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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200580033 審決 特許
無効2007800031 審決 特許
無効200580341 審決 特許
無効200680227 審決 特許
無効200680168 審決 特許

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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A23L
管理番号 1164350
審判番号 無効2006-80198  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-10-11 
確定日 2007-08-29 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3495828号発明「冷凍パスタ類の製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3495828号の請求項1?4に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第3495828号の請求項1?4に係る発明は、平成7年9月14日に特許出願され、平成15年11月21日にその特許の設定登録がなされたものである。
これに対して、日本製粉株式会社(以下、「請求人」という。)から平成18年10月11日付けで請求項1?4に係る発明について、無効審判の請求がなされたところ、その後の手続の経緯は、以下のとおりである。
答弁書 平成18年12月26日
訂正請求書 平成18年12月26日
弁駁書 平成19年2月27日
口頭審理陳述要領書(被請求人) 平成19年4月25日
口頭審理陳述要領書その2(被請求人)平成19年4月25日
口頭審理 平成19年4月25日
上申書(請求人) 平成19年5月11日
上申書(第二)(請求人) 平成19年5月11日
上申書(被請求人) 平成19年6月5日

II.訂正請求の適否
1.訂正事項
平成18年12月26日付けの訂正請求は、本件明細書及び特許請求の範囲の記載を、その訂正請求書に添付した全文訂正明細書に記載される次のとおりに訂正することを求めるものである。
(a)【特許請求の範囲】の【請求項1】について、「α化した後、食塩を含まない水で冷却した後のα化パスタ類に、食塩または食塩水を添加して、α化パスタ類の表面に食塩又は食塩水を付着させて、直ちに急速凍結させることを特徴とする冷凍パスタ類の製造方法。」を、「乾燥パスタ類をα化した後、食塩を含まない温度0?5℃の水で冷却した後のα化パスタ類に、食塩または食塩水を添加して、α化パスタ類の表面に食塩又は食塩水を付着させて、直ちに急速凍結させることを特徴とする冷凍パスタ類の製造方法。」と訂正する。
(b)【特許請求の範囲】の【請求項3】について、「α化したパスタ類が、食塩を含まない水中で茹でてα化したパスタ類であるか、食塩を含まない水中での茹で処理と蒸し処理を併用してα化したパスタ類であるか、または蒸してα化したパスタ類である請求項1または2の製造方法。」を、「α化したパスタ類が、乾燥パスタ類を、食塩を含まない水中で茹でてα化したパスタ類であるか、食塩を含まない水中での茹で処理と蒸し処理を併用してα化したパスタ類であるか、または蒸してα化したパスタ類である請求項1または2の製造方法。」と訂正する。
(c)段落番号【0007】の、「すなわち、本発明は、α化した後、食塩を含まない水で冷却した後のα化パスタ類に、食塩または食塩水を添加して、α化パスタ類の表面に食塩または食塩水を付着させて、直ちに急速凍結させることを特徴とする冷凍パスタ類の製造方法である。」を、「すなわち、本発明は、乾燥パスタ類をα化した後、食塩を含まない温度0?5℃の水で冷却した後のα化パスタ類に、食塩または食塩水を添加して、α化パスタ類の表面に食塩または食塩水を付着させて、直ちに急速凍結させることを特徴とする冷凍パスタ類の製造方法である。」と訂正する。
(d)段落番号【0010】の、「また、α化処理時の水の温度、水蒸気の温度や圧力、α化処理の時間、α化後の歩留りなどの条件は特に制限されず、それぞれのパスタ類に適した条件を採用してα化したパスタ類を製造し、そのα化したパスタ類を、食塩を含まない水で冷却した後、それを用いて冷凍処理を行えばよい(以下、α化した後、食塩を含まない水で冷却した後のα化したパスタ類を単に「α化したパスタ類」または「α化パスタ類」ということがある)。そして本発明では、芯の残存が少なくて違和感のない食感に優れるα化したパスタ類およびその冷凍物を得るために、α化したパスタ類として、食塩を含まない水中で茹でてα化するか、食塩を含まない水中における茹で処理と蒸し処理を併用してα化するか、または蒸してα化して得られたパスタ類を用いるのが特に好ましい。」を、「また、α化処理時の水の温度、水蒸気の温度や圧力、α化処理の時間、α化後の歩留りなどの条件は特に制限されず、それぞれのパスタ類に適した条件を採用してα化したパスタ類を製造し、そのα化したパスタ類を、食塩を含まない温度0?5℃の水で冷却した後、それを用いて冷凍処理を行えばよい(以下、α化した後、食塩を含まない温度0?5℃の水で冷却した後のα化したパスタ類を単に「α化したパスタ類」または「α化パスタ類」ということがある)。そして本発明では、芯の残存が少なくて違和感のない食感に優れるα化したパスタ類およびその冷凍物を得るために、α化したパスタ類として、食塩を含まない水中で茹でてα化するか、食塩を含まない水中における茹で処理と蒸し処理を併用してα化するか、または蒸してα化して得られたパスタ類を用いるのが特に好ましい。」と訂正する。
(e)段落番号【0011】の、「そして本発明では、上記したようなα化したパスタ類、すなわちα化した後に食塩を含まない水で冷却してなるα化パスタ類に、食塩または食塩水を添加して、α化パスタ類の表面に、食塩を付着させるか、または食塩水を付着させて凍結処理を行う。その場合に、α化したパスタ類の表面への食塩または食塩水の付着量は、α化したパスタ類100重量部に対して食塩が0.05?3重量部の割合で均一に付着されるようにするのが好ましい。より具体的に説明すると、α化したパスタ類の表面に食塩をそのまま直接付着させる場合は、添加した食塩の全量がそのままα化したパスタ類と一緒になって凍結処理されることが多いので、その場合にはα化したパスタ類に対して添加した食塩の量がそのまま上記した食塩の付着量として計算され、好ましくはその付着量を、α化したパスタ類100重量部当たり上記した0.05?3重量部とする。しかし、α化したパスタ類の表面に食塩をそのまま直接付着させる場合であっても、凍結処理を行うまでの間にパスタ類から食塩の一部が分離(離脱)して凍結処理時に食塩の量が低減している場合があり、その場合には、凍結処理時にα化したパスタ類と共にそのまま凍結処理に持ち込まれる食塩の量を調べて、その付着量をα化したパスタ類100重量部当たり上記した0.05?3重量部になるようにするのが好ましい。」を、「そして本発明では、上記したようなα化したパスタ類、すなわち乾燥パスタ類をα化した後に食塩を含まない温度0?5℃の水で冷却してなるα化パスタ類に、食塩または食塩水を添加して、α化パスタ類の表面に、食塩を付着させるか、または食塩水を付着させて凍結処理を行う。その場合に、α化したパスタ類の表面への食塩または食塩水の付着量は、α化したパスタ類100重量部に対して食塩が0.05?3重量部の割合で均一に付着されるようにするのが好ましい。より具体的に説明すると、α化したパスタ類の表面に食塩をそのまま直接付着させる場合は、添加した食塩の全量がそのままα化したパスタ類と一緒になって凍結処理されることが多いので、その場合にはα化したパスタ類に対して添加した食塩の量がそのまま上記した食塩の付着量として計算され、好ましくはその付着量を、α化したパスタ類100重量部当たり上記した0.05?3重量部とする。しかし、α化したパスタ類の表面に食塩をそのまま直接付着させる場合であっても、凍結処理を行うまでの間にパスタ類から食塩の一部が分離(離脱)して凍結処理時に食塩の量が低減している場合があり、その場合には、凍結処理時にα化したパスタ類と共にそのまま凍結処理に持ち込まれる食塩の量を調べて、その付着量をα化したパスタ類100重量部当たり上記した0.05?3重量部になるようにするのが好ましい。」と訂正する。
(f)段落番号【0018】の、「本発明の冷凍パスタ類は、α化した後に食塩を含まない水で冷却してなるα化パスタ類の表面に食塩または食塩水を付着させて冷凍してあり、そのため解凍した際には、食塩を含む解凍パスタ類が得られるので、本発明の冷凍パスタ類を用いて調理を行う場合は、一緒に用いるソース類や具材の塩分を調節して味を整えるのがよい。また、本発明の冷凍パスタ類と共に、ソース類および/または具材を組み合わせて解凍すればそのまま直ちに食し得る冷凍パスタ食品にする場合は、冷凍パスタ類、ソース類および具材の全体に含まれる塩分の合計含有量をその冷凍パスタ食品の食味を良好なものに保ち得る範囲にしておくのが好ましい。一般に、冷凍パスタ食品の全重量に基づいて、食塩の合計含有量、すなわち冷凍パスタ類、ソース類および具材に含まれる食塩の合計量を1.5重量%以下にしておくと、塩辛過ぎず、健康的にも害のない、食味の良好な冷凍パスタ食品が得られるので望ましい。」を、「本発明の冷凍パスタ類は、乾燥パスタ類をα化した後に食塩を含まない温度0?5℃の水で冷却してなるα化パスタ類の表面に食塩または食塩水を付着させて冷凍してあり、そのため解凍した際には、食塩を含む解凍パスタ類が得られるので、本発明の冷凍パスタ類を用いて調理を行う場合は、一緒に用いるソース類や具材の塩分を調節して味を整えるのがよい。また、本発明の冷凍パスタ類と共に、ソース類および/または具材を組み合わせて解凍すればそのまま直ちに食し得る冷凍パスタ食品にする場合は、冷凍パスタ類、ソース類および具材の全体に含まれる塩分の合計含有量をその冷凍パスタ食品の食味を良好なものに保ち得る範囲にしておくのが好ましい。一般に、冷凍パスタ食品の全重量に基づいて、食塩の合計含有量、すなわち冷凍パスタ類、ソース類および具材に含まれる食塩の合計量を1.5重量%以下にしておくと、塩辛過ぎず、健康的にも害のない、食味の良好な冷凍パスタ食品が得られるので望ましい。」と訂正する。

2.訂正要件の判断
(1)訂正目的の適否
上記訂正(a)は、α化パスタ類をつくるのに用いるパスタ類を「乾燥パスタ類」に に限定し、併せて、α化パスタ類を冷却するための食塩を含まない水の温度を「0?5℃」に限定するものであり、この訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記訂正(b)は、α化パスタ類をつくるのに用いるパスタ類を「乾燥パスタ類」に に限定するものであり、この訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記訂正(c)?(f)は、訂正(a)及び(b)により特許請求の範囲を訂正したことにより明細書の対応する記載を訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の追加の有無
本件訂正前の特許明細書には、「乾燥スパゲテイ(マ・マーママカロニ株式会社製「ハイブルー」)(直径1.7mm)1kgを温度99?100の熱湯10リットル中で8分間茹でた後(茹で歩留り240%)、温度0?5℃の冷水中に速やかに投入して水洗冷却した。」(段落番号【0022】)と記載されているから、上記訂正(a)?(f)は、特許明細書に記載した事項の範囲内でされたものである。
(3)拡張・変更の存否
上記訂正(a)?(f)は、特許請求の範囲を減縮し、これにより生じた発明の詳細な説明の明りょうでない記載を是正するだけのものであり、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものでない。

3.訂正の結論
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第134条の2第1項ただし書き、並びに同条第5項で準用する特許法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.本件発明
本件明細書及び特許請求の範囲についての上記訂正請求は、上記「II」で記載したとおり認められたので、本件請求項1?4に係る発明は、訂正された本件明細書(以下、「本件訂正明細書」という。)の、特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、「本件訂正発明1」?「本件訂正発明4」という。)。

【請求項1】乾燥パスタ類をα化した後、食塩を含まない温度0?5℃の水で冷却した後のα化パスタ類に、食塩または食塩水を添加して、α化パスタ類の表面に食塩または食塩水を付着させて、直ちに急速凍結させることを特徴とする冷凍パスタ類の製造方法。
【請求項2】α化したパスタ類100重量部に対して食塩の付着量が0.05?3重量部の割合になるようにして、α化したパスタ類の表面に食塩または食塩水を付着させる請求項1の製造方法。
【請求項3】α化したパスタ類が、乾燥パスタ類を、食塩を含まない水中で茹でてα化したパスタ類であるか、食塩を含まない水中での茹で処理と蒸し処理を併用してα化したパスタ類であるか、または蒸してα化したパスタ類である請求項1または2の製造方法。
【請求項4】請求項1?3のいずれか1項の製造方法により得られる冷凍パスタ類。

IV.請求人の主張と証拠方法
1.請求人の主張
(1)請求人は、訂正前の本件特許請求の範囲の請求項1?4に係る各発明について、「これらの特許を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として、無効審判請求書に添付して、下記「2」に示す甲第1号証及び甲第2号証を提出して、本件特許請求の範囲の請求項1?4に係る各発明は、甲第1号証に記載された発明であり、また甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第1項3号及び同法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効にされるべきであるとの無効理由を主張し、
(2)さらに、本件訂正発明1?4についても、証拠方法として、上述の甲第1号証及び甲第2号証に加え、弁駁書、上申書、及び上申書(第二)に添付して、更に、下記「2」に示す参考資料を提出して、本件訂正発明1?4と、甲第1号証の比較例2に記載の発明との構成上の差異は「0?5℃の水による冷却」という冷却条件の限定だけであり、該「0?5℃の水による冷却」は周知技術であり、これにより茹麺線の剛性を増加せしめ、解凍後の食感をすぐれたものにできることもまた周知であるので、甲第1号証の比較例2に記載の発明において、「0?5℃の水による冷却」を採用することは当業者が容易に想到し得たことであり、その効果も当業者の予測を超える顕著なものではないから、「本件訂正発明1?4は、その出願前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。」との無効理由を主張している(平成19年5月11日付上申書(第二)第22頁(13)むすびの項参照)。

2.証拠方法
(1)甲第1号証(特開昭61-141855号公報)
(a)「実施例1 デューラム小麦のセモリナ100重量部(以下単に部と云う)と水27部を混合し、押出機を用いて直径2mmのダイより押出し成型してスパゲテイを得た。この成型直後のスパゲティの水分含有量は29%であった。これを直ちにバッチ式蒸し器にて蒸気圧0.8Kg/cm2、品温96℃にて7分間蒸した。次いでこのスパゲテイを約10倍量の沸騰水中で5分間茹でた後水道水で水洗、冷却を1分30秒間行つた。水切り後のスパゲテイの水分含有量は62%であつた。このスパゲテイにサラダオイル2%、食塩0.3%を添加しよく混合した後、220gずつ秤量してスチロールの容器に入れ-30℃で60分間、急速冷凍した。」(第3頁右上欄第10行?左下欄第10行)
(b)「比較例2 実施例1と同様にして押出成型したスパゲテイ(水分含有量29%)を熱風乾燥機にて、温度45?58℃、湿度65?85%の条件で水分含有量が12.5%になる迄約18時間乾燥した。このスパゲテイを約10倍量の沸騰水中で9分間茹で、さらに水道水で水洗、冷却を1分30秒間行つた。水切り後のスパゲテイの水分含有量は62%であつた。このスパゲテイを実施例1と同様にして冷凍した。これを実施例1と同様に電子レンジで解凍調理し、色調の測定、物性の測定及び官能検査を行つた。その結果を第2表に示す。」(第4頁右下欄第11行?第5頁左上欄第8行)
(c)第2表 「物性の測定」の項で、伸張抵抗(g)、伸張度(mm)、圧縮値(g)が、実施例1では、それぞれ、46.1、33.5、246であるのに対し、比較例2は、それぞれ、45.5、30.0、245であること、また、「官能検査」の項で、風味、食感が、実施例1では、4.5、4.5であるのに対し、比較例2では、4.5、4.8であることが示されている。(第5頁、右上欄、第2表)
(d)「この茹処理は完全にα化して可食状態にするものであり、これは通常の方法、例えば熱湯中で2?8分間熱処理する方法によつて行われる。茹処理したパスタは水道水等で1?2分間処理して水洗と冷却を行うのが好ましい。」(第2頁右下欄第10?15行)

(2)甲第2号証 本件特許の審査過程における、平成15年9月1日付意見書

(3)参考資料
参考資料1 特開昭49-100249号「冷凍麺の製造方法」
参考資料2 特開昭60-97747号「冷凍麺の製造法」
出願人 日本製粉株式会社
第2項左上欄下2行「・・・特許1,111,099号には、 冷凍前に茹麺を0-5℃の冷水で処理する方法が開示されてい る。」
参考資料3 特開昭61-285955「冷凍麺の製造方法」
出願人 東洋水産株式会社
第1項左欄下2行「・・・この方法は、茹であげた麺線を凍結 する前に0-5℃の水で冷却処理し、・・・」
参考資料4 特開昭64-60344号「冷凍茹麺の調理方法」
出願人 柿川 靖穂
第2項右下欄第8?12行
「洗いの工程で、茹麺線を0-5℃の水で冷却処理すると、冷 却茹麺線の剛性を増加した優れた冷却茹麺線にできることは、 後述の特許出願番号昭和49年第11559号、冷凍麺の製造 法で明らかである。」
参考資料5 特開平3-175942号「冷凍麺の製造方法」
出願人 近畿冷熱株式会社
第1項左欄下3行?右欄第2行
「典型的な先行技術は、特公昭56-5503に開示されてい る。この先行技術では、茹麺線を0-5℃の温度を保った水で 冷水処理して急速冷却し、これによって、茹麺線の剛性を増加 させた後に、冷凍を行っている。」
参考資料6 特開平3-201957号「即席冷凍麺類およびその製造法」
出願人 日清製粉株式会社、マ・マーマカロニ株式会社
第2項右上欄下5行
「これを0-5℃の冷水で急冷し・・・即席冷凍麺を製造する 方法である。」
参考資料7 特開平7-68499号「冷凍スパゲティの製造方法」
出願人 岩谷産業株式会社
第2項右欄上第14?22行
「冷凍スパゲティは、乾麺の状態のスパゲティを沸騰した熱湯 内で数分茹でる(茹上げ工程)。この茹上がったスパゲティを 0-5℃の冷水で冷却する(冷水冷却工程)。ここで茹上がっ たスパゲティを冷水で冷却するのは、スパゲティの品温を下げ ることにより、茹上後の茹伸びを防止して茹上げ直後の釜上状 態を保持するため及び、以後の冷凍工程でのエネルギー負荷を 小さくして冷凍時間を短くするためである。」
参考資料8 特開2002-345424号公報
参考資料9 日清フーズ株式会社業務用冷凍食品のご案内(パンフレット)
参考資料10“ めんのシマダヤ(味)なウェブ、シマダヤ商品ラインナップ、 業務用商品、冷凍スパゲティ“ 、[online]、
[平成19年4月25日検索]、インターネット
a.html>
参考資料11 ”株式会社久世| 商品紹介 | PB(Private Brand)| 穀物加工品
”、[online]、[平成19年4月25日検索]、
インターネット

参考資料12 日清フーズ株式会社業務用冷凍食品のご案内(パンフレット) (H18.4)
参考資料13 ”日清製粉グループ | 小麦粉を学ぶ |こむぎの図書館”、
[online]、[平成19年4月29 日検索]、
インターネット

参考資料14 日清製粉株式会社業務用冷凍食品のご案内(パンフレット)
(1990年3月)
参考資料15 マ・マー業務用製品のご案内(パンフレット)
参考資料16 特開昭47-20354号公報
参考資料17 特開昭56-51962号公報
参考資料18 特開昭57-22654号公報
参考資料19 特開昭60-114157号公報
参考資料20 特開昭62-294054号公報
参考資料21 特開昭58-862号公報
参考資料22 山口大学教育学部研究論叢 1978年6月26日受理,
p.191-p.201「乾めんのゆで方と可食状態における α化度について」
参考資料23 「食品と科学」、株式会社 食品と科学社、1987年9月発 行、p.96
参考資料24 特開昭56-127060号公報
参考資料25 特開昭59-175870号公報
参考資料26 特開昭62-146575号公報
参考資料27 特開昭62-232345号公報
参考資料28 特開昭63-12258号公報
参考資料29 特開昭63-116658号公報
参考資料30 特開昭62-171651号公報
参考資料31 特開平8-163962号公報
参考資料32 特開平9-163945号公報
参考資料33 特開2000-125792号公報
参考資料34 特開2002-180080号公報
参考資料35 特開昭59-154952号公報

V.被請求人の反論と証拠方法
1.被請求人の反論
被請求人は、請求人の主張に対して、本件特許明細書を上述のとおり訂正するとともに、答弁書、口頭審理陳述要領書、口頭審理陳述要領書(その2)及び上申書に添付して、乙第1?21号証を提示し、本件訂正発明1?4は、甲第1号証に記載された発明ではなく、更には、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許要件を具備したものであると反論している。
被請求人の主張を整理すると、以下のとおりである。
(1)本件訂正発明は、乾燥パスタ類をα化して得られるα化パスタ類の食塩を含まない水による冷却を、「温度0?5℃の水」を用いて行うことを要件とする発明であり、本件訂正発明と甲第1号証に記載された発明とは、(a)α化したパスタ類の調製に用いる原料パスタ類の形態(種類);および、(b)α化したパスタ類を、食塩を含まない水で冷却する際の水の温度;の両方において、互いに全く異なっている。
即ち、甲第1号証の実施例1?6では、「生パスタを半乾燥した半乾燥パスタ」または「生パスタを表面スチーム処理したもの」をα化パスタ類(茹パスタ)の調製に用いており、また、これらの実施例においては、α化したパスタ類を冷却するための冷却水について、いずれも、「水道水」を用いており、温度0?5℃という特定の低温範囲に調製した冷却水は用いていない。
そして、本件訂正発明は、上記構成を採用することにより、「加熱解凍したときに、麺に締まりがあってシコシコとして弾力に富む良好な歯ごたえを有し、且つ芯の残存が少なくて違和感のない、優れた食感を有する解凍パスタ類を与えることのできる高品質の冷凍パスタ類が得られるという効果」が奏されるものであるので、甲第1号証に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)-1.本件訂正発明が甲第1号証に記載された発明から容易になし得たとする請求人の主張は、「甲第1号証、特にその比較例2において、乾燥パスタ類の茹で処理が食塩を添加しない熱水(沸騰水)を用いて行われている」という前提に基づいているが、この前提は大きく誤っている。
すなわち、甲第1号証には、「甲第1号証の比較例2において、乾燥パスタ類の茹で処理が食塩を添加しない熱水(沸騰水)を用いておこなわれていること」を裏付けるに足る記載は全くされていないし、請求人の提出した参考資料1?35からもこの点が証明され得ない。
そして、甲第1号証、特にその実施例および比較例では、パスタ類(スパゲテイ)の茹で処理は、甲第1号証の出願前または出願当時に採用されていた「通常の方法」、すなわち「食塩を添加した熱水(沸騰水)を用いて茹でる方法」によって行われるはずである。
すなわち、パスタ類を茹でるに当たっては、「食塩を添加した熱水(沸騰水)を用いて茹でる方法」が、パスタ類の「通常の茹で方」として、甲第1号証の出願前、出願当時、本件特許の出願当時および現在において、工業的に、さらには家庭において広く採用されており、周知である。
一方、特許出願の明細書においては、周知事項であってかつ当該出願発明の要旨(特徴)とは直接関係のない事項については具体的な説明が省略されることはしばしば行われている。
したがって、特許出願の明細書中に、発明の要旨(特徴)とは直接関係のない当該周知の事項についての具体的な説明が直接なされていないからといって、当該出願発明において当該周知の事項が採用されていないことには直ちには成り得ない。

(2)-2.甲第1号証の出願前または出願当時において、パスタ類の茹で処理を「食塩を添加した熱水(沸騰水)を用いて行うか」または「食塩を添加しない熱水(沸騰水)を用いて行うか」は適宜選択可能な方法であるというのでは、「通常の方法」を採用してパスタ(スパゲテイ)を茹でている甲第1号証の実施例および比較例、特に比較例2において、乾燥スパゲテイの茹で処理が食塩を添加しない熱水(沸騰水)を用いて行われているとの確定(決定)は到底なし得ないはずである。

(2)-3.乙第21号証[実験成績証明書(2)]の実験結果から明らかなように、乾燥スパゲテイまたは半乾燥スパゲテイを、通常の茹で処理に用いられている「食塩濃度が0.5から1.5%の熱水(沸騰水)」を用いて茹でた後に、冷却水で水洗冷却してなる茹でスパゲティおよび当該茹でスパゲティを冷凍した冷凍スパゲティでは、食塩の含有量が0.5%以下と少なくて、そのままでは塩味のする茹でスパゲティ(塩味のする冷凍スパゲティ)は得られない。
この結果は、パスタ類を茹でる際に通常採用されている、「食塩濃度が0.5?1.5%程度の熱水(沸騰水)による茹で処理」が、パスタ類に塩味をつけるためのものではなく、茹でたときのパスタ表面のべたつきや柔らかくなり過ぎるのを防止するためのものであるという、周知の技術常識と良く一致している。
また、乙第21号証[実験成績証明書(2)]の実験例5の結果(表5)にみるように、乾燥スパゲティを食塩を添加しない熱水(沸騰水)で茹でて15℃の水道水で水洗冷却した後に、食塩を0.3%添加混合してから冷凍して得られる冷凍スパゲティは塩味が殆どせず、0.3%という食塩含量では「塩味」という味付けのためには、それ単独では有効ではない。
したがって、乙第21号証[実験成績証明書(2)]の実験結果は、「甲第1号証の実施例および比較例では、食塩濃度が0.5?1.5%程度の熱水(沸騰水)を用いてパスタ(乾燥パスタや半乾燥パスタ)を茹でた後に水道水(温度が15℃の冷却水)を用いて水洗冷却して茹でパスタをつくり(茹でパスタの食塩含量0.1?0.4%)、それに更に0.3%の食塩を添加してから冷凍して冷凍パスタを製造していて、最終的に得られる冷凍パスタにおける食塩含量が0.5%またはそれを超える量になることによって塩味のする冷凍パスタ(味付された冷凍パスタ)を得られていること」を十分に裏付けている。

2.証拠方法
乙第1号証 マ・マーマカロニ株式会社 生産管理部所属の工藤正紀氏の 宣誓書
乙第2号証 「昭和61年度 水質年報」(創刊号)、地図および第37- 42頁、宇都宮市水道局配水課編集発行(昭和62年3月)
乙第3号証 「水質年報 第18集(第14年度)」、第2頁、第3頁、第 45頁および第56頁、水質年報編集委員会編集発行(平成 16年3月発行)
乙第4号証 「水質年報 第19集(第15年度)」、第3頁、第4頁、第 43頁および第53頁、宇都宮市上下水道局 配水管理セン ター 水質管理室 編集発行(平成16年9月発行)
乙第5号証 「水質年報 第20集(第16年度)」、第5頁、第6頁、第 40頁および第51頁、宇都宮市上下水道局 配水管理セン ター 水質管理室 編集発行(平成17年10月発行)
乙第6号証 日清フーズ株式会社 開発センター 食品研究所所属の入江 謙太朗氏の作成した実験成績証明書
乙第7号証 「マリオのイタリア料理3パスタ、ピッツァ」、第7頁、19 78年10月5日 第1刷発行
乙第8号証 「NHKきょうの料理 スパゲッティ ピッツァ」第18-1 9頁、昭和54年10月10日 第2刷発行
乙第9号証 「家庭画報編 おいしい麺」第192頁、昭和58年7月1日 発行
乙第10号証「パスタ専科」第98頁、社団法人全日本マカロニ協会編、昭 和58年11月1日発行
乙第11号証「特選パスタ料理」第186頁、1988年2月1日発行
乙第12号証「うちのパスタ料理」第6頁、1994年6月10日発行
乙第13号証 日本製粉株式会社製の乾燥スパゲティである“オーマイスパ ゲッティ”の包装袋
乙第14号証 はごろもフーズ株式会社製の乾燥スパゲティである“ポポロ スパ5分”の包装袋
乙第15号証 日清フーズ株式会社製の乾燥スパゲティである“マ・マー” (太さ1.8mm、ゆで時間11分)の包装袋
乙第16号証「標準食品成分表-四訂-」第11頁、14-16頁、20頁 および29-31頁(1991年2月10日改定5版発行)
乙第17号証「五訂 日本食品標準成分表」第1-3頁および34-39頁 (平成12年12月20日 科学技術庁資源調査会発行)
乙第18号証 特開昭57-39749号公報
乙第19号証 特開平2-49553号公報
乙第20号証 特開昭63-313552号公報
乙第21号証 日清フーズ株式会社 開発センター 食品研究所所属の入江 謙太郎氏の作成した実験成績証明書(2)

VI.当審の判断
請求人の弁駁書における主張のうち、「本件訂正発明は、当該参考資料1?7に記載されている冷凍麺の製造技術に甲第1号証の冷凍前に食塩を付与する方法を単に適用しただけである」という主張は撤回された。
そして、請求人により弁駁書に添付して提出された参考資料1?7は、周知技術が存在する事実を追加的に主張立証するためのものであるから、請求人の弁駁書における上記撤回された主張以外の主張は、無効審判請求書に記載された請求理由の要旨を変更するものではない。
そこで、以下に、本件訂正発明に対し請求人が主張する上述の無効理由について、当審の判断を示す。

1.本件訂正発明1について
1-1.本件訂正発明1は、上記「III」に記載されたとおり、「乾燥パスタ類をα化した後、食塩を含まない温度0?5℃の水で冷却した後のα化パスタ類に、食塩または食塩水を添加して、α化パスタ類の表面に食塩または食塩水を付着させて、直ちに急速凍結させることを特徴とする冷凍パスタ類の製造方法。」である。

1-2.甲第1号証に記載された発明との対比・判断
甲第1号証には、上記「IV」の2の(1)の(b)に記載したように、「比較例2 実施例1と同様にして押出し成型したスパゲテイ(水分含有量29%)を熱風乾燥機にて、温度45?58℃、湿度65?85%の条件で水分含有量が12.5%になる迄約18時間乾燥した。このスパゲテイを約10倍量の沸騰水中で9分間茹で、さらに水道水で水洗、冷却を1分30秒間行つた。水切り後のスパゲテイの水分含有量は62%であつた。このスパゲテイを実施例1と同様にして冷凍した。これを実施例1と同様に電子レンジで解凍調理し、色調の測定、物性の測定及び官能検査を行つた。その結果を第2表に示す。」と記載されている。
そして、当該比較例2の記載中、「押出し成型したスパゲテイ(水分含有量29%)を熱風乾燥機にて、温度45?58℃、湿度65?85%の条件で水分含有量が12.5%になる迄約18時間乾燥した」スパゲテイは、本件訂正発明1における「乾燥パスタ」に相当し、また、「実施例1と同様にして冷凍した。」とは、上記「IV」の2の(1)の(a)に示したように、実施例1に、冷凍工程について、「水切り後のスパゲテイの水分含有量は62%であった。このスパゲテイにサラダオイル2%、食塩0.3%を添加しよく混合した後、220gずつ秤量してステロールの容器に入れ-30℃で60分間、急速冷凍した。」と記載されていることから、水切り後のスパゲテイにサラダオイル2%、食塩0.3%を添加し混合した後、急速冷凍したと解される。
そこで、本件訂正発明1と甲第1号証の比較例2に記載された上記技術的事項を対比すると、両者は、「乾燥パスタ類をα化した後、食塩を含まない水で冷却した後のα化パスタ類に、食塩を添加して、α化パスタ類の表面に食塩を付着させて、ただちに急速凍結させることを特徴とする冷凍パスタ類の製造方法。」である点で一致し、冷却に用いる水の温度が、本件訂正発明1では、0?5℃であるのに対し、甲第1号証においては、上記「IV」の2の(1)の(d)に、「茹処理したパスタは水道水等で1?2分間処理して水洗と冷却を行うのが好ましい。」との一般的な記載がなされているが、上記比較例2においては、水道水で冷却することが記載されているにとどまり、水の温度については記載されていない点でのみ相違する。
上記相違点について検討する。
被請求人は、平成18年12月26日付答弁書において、乙第1号証の宣誓書に基づき、甲第1号証に記載された実施例及び比較例に関する実験は、1984年12月14日以前の11月に、栃木県宇都宮市平出工業団地32番地2 マ・マーマカロニ株式会社の工場内で、水道水として当該工業団地に供給されている市営水道水を使用して行ったものであること、そして、乙第2?乙5号証の記載に基づき、当該住所における11月時点の水道水の温度が17℃前後であったことを主張し、さらに、乙第6号証の実験成績証明書に基づき、温度「0?5℃」の水で冷却することによって、温度17℃の水道水で冷却した場合に比し、得られる解凍茹でスパゲティの破断強度および食感が向上することを主張する。
しかしながら、たとえ、これらの点が被請求人の主張するとおりであったとしても、審判請求人が弁駁書に添付して提出した、本件特許の出願前に頒布された刊行物である参考資料1?7に示され、例えば、参考資料1において、「冷凍麺の製造方法」という名称の発明に関し、「麺線は茹でた直後はきわめて柔軟でフレキシブルであり、これが茹上げ直後の麺線の口当たりが良く、美味である要因となっている」(第1頁左下欄第12?14行)こと、「茹麺線を冷凍する前に、あらかじめ0?5℃の温度を保った水で冷水処理して急速冷却することによつて、きわめて良好な冷凍麺が得られること」(第1頁右下欄第6?9行)、そして、当該冷却方法を採用することにより、「品質の劣化が無く美味であった。」(第3頁左上欄第2?3行参照)ことが記載されているように、冷凍麺を製造する際に、その茹麺を温度「0?5℃」の冷水で冷却することによって、茹麺線の剛性を増加せしめ、解凍後の食感をすぐれたものにできることは本件特許の出願時には、周知の事項である。
そして、甲第1号証に記載された発明も、上記「IV」の2の(1)の(c)に示されるように、その官能検査の評価項目に「食感」が挙げられているとおり、解凍後の食感の優れた冷凍パスタ類を得ることをその目的の一つとするものである。
してみれば、甲第1号証に記載された上記技術的事項において、茹で処理したパスタの冷却を行うに際し、解凍後の食感がさらに向上することを期待して、上記周知の「0?5℃」の冷水で冷却する技術を採用することは当業者が容易に想到し得たことである。
そして、その効果も、被請求人が平成18年12月26日付答弁書において示した乙第6号証の実験結果を参酌しても、当業者の予測を超える顕著なものとは認められない。したがって、被請求人の上記「V」の1の(1)に示される主張は採用できない。
なお、被請求人は、上記「V」の1の(2)に示すように、本件訂正発明は、乾燥パスタ類のα化を、食塩を添加しない条件で行っている点においても、甲第1号証の比較例2に記載の発明と相違する旨の主張をしているが、本件訂正発明1は、本件訂正特許明細書の段落番号【0010】に、「また、α化処理時の水の温度、水蒸気の温度や圧力、α化処理の時間、α化後の歩留りなどの条件は特に制限されず、それぞれのパスタ類に適した条件を採用してα化したパスタ類を製造し、そのα化したパスタ類を、食塩を含まない温度0?5℃の水で冷却した後、それを用いて冷凍処理を行えばよい(以下、α化した後、食塩を含まない温度0?5℃の水で冷却した後のα化したパスタ類を単に「α化したパスタ類」または「α化パスタ類」ということがある)。そして本発明では、芯の残存が少なくて違和感のない食感に優れるα化したパスタ類およびその冷凍物を得るために、α化したパスタ類として、食塩を含まない水中で茹でてα化するか、食塩を含まない水中における茹で処理と蒸し処理を併用してα化するか、または蒸してα化して得られたパスタ類を用いるのが特に好ましい。」旨記載されていることからみて、「乾燥パスタ類をα化」する工程は、「食塩を含まない水中で茹でてα化するか、食塩を含まない水中における茹で処理と蒸し処理を併用してα化するか、または蒸してα化」するものに限定されるものではなく、食塩を含む水中で茹でられたものも、食塩を添加しない条件下でα化したものも、ともに包含するものであるので、甲第1号証の比較例において食塩を添加した沸騰水で茹でているか否かを検討するまでもなく、この点は相違点ではないので、上記主張は採用しない。
以上のとおりであるから、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明及び本件出願時当時の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

2.本件訂正発明2について
本件訂正発明2は、本件訂正発明1において、α化したパスタ類の表面に食塩または食塩水を付着させる量について、「α化したパスタ類100重量部に対して食塩の付着量が0.05?3重量部の割合になるよう」にする旨特定したものである。
この点につき、甲第1号証には、上記「IV」の2の(1)の(a)及び(b)に記載したように、α化し、冷却水で冷却後、水切りしたパスタ類に添加する食塩の添加量が0.3%であることが記載されているので、食塩の付着量に差異は無い。
なお、被請求人は、平成18年12月26日付の答弁書において、甲第1号証に記載の発明において、冷凍の前に冷却したα化パスタに食塩を添加する目的は、専ら味付けだけのためであり、本件訂正発明とその目的が相違する旨の主張をしているが、本件訂正発明2と、甲第1号証に記載の発明とは、食塩の添加時期及び添加量において相違せず、その目的の異同によらず両者に相違は認められない。
したがって、本件訂正発明2は、本件訂正発明1と同様に、甲第1号証に記載された発明及び本件特許の出願時当時の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

3.本件訂正発明3について
本件訂正発明3は、本件訂正発明1または2において、「α化したパスタ類が、乾燥パスタ類を、食塩を含まない水中で茹でてα化したパスタ類であるか、食塩を含まない水中での茹で処理と蒸し処理を併用してα化したパスタ類であるか、または蒸してα化したパスタ類である」ことを特定したものである。そして、被請求人は、上記被請求人の主張「V」の1の(2)に示したとおり、甲第1号証のものは、パスタ類を茹でる際に食塩を添加することが周知であることを加味すれば、食塩を添加した沸騰水中でα化されており、この点で、本件訂正発明3と異なり、また、このことにより、解凍後の食感が優れた、冷凍パスタが得られることを主張する。
そこで、甲第1号証の比較例2における茹で処理が、食塩を含む水中で行われたものであるか否かについて、即ち、本件訂正発明3と、甲第1号証の比較例2に記載の発明が、本件訂正発明3で特定された茹で処理工程において相違するのか否かについて、以下に検討する。
(3-1)一般に、特許出願の明細書中に明文で記載された事項については、そのまま解釈すると明らかに不合理となる場合を除き、文言どおりに解すべきであり、明文で記載されていない事項についてまで、周知事項を加味し、そこに当然記載されていると認めるためには、相応の理由が必要である。
これを、甲第1号証の記載についてみると、「IV」の2の(1)の(b)に記載したように、比較例2には、茹で処理に関し、「このスパゲテイを約10倍量の沸騰水中で9分間茹で、さらに水道水で水洗、冷却を1分30秒間行つた。」旨記載されており、それ自体、何ら不明確な記載ではない。
(3-2)甲第1号証に記載の発明は、「IV」の2の(1)の(c)に示した第2表において、伸張度等の物性、食感等の官能検査の結果が示されていることからも明らかなように、解凍後の食感の優れた冷凍スパゲティを得ることを目的とするものであり、比較例2の上記指摘箇所には、食感に影響を与えることが技術常識から明らかな茹で処理という工程について、茹でるための沸騰水の量、茹で時間について具体的に記載されている。
さらに、茹で処理における食塩の添加の目的が、茹でたときのパスタ表面のべたつきや柔らかくなり過ぎるのを防止するためである旨、当業者に一般に認識されていることは被請求人も認めるとおりである(上記被請求人の主張「V」の1の(2)-3.参照)。
してみれば、茹でる温度、茹でるための水の量、茹で時間と並んで、食感に影響を及ぼし得ると考えられる食塩の添加についてのみ、被請求人が、上記「V」の1の(2)-1.において主張するように、発明の要旨(特徴)とは直接関係のない事項であることを理由として、「食塩を含む」と記載することが省略されたとは言い難く、むしろ、沸騰水は「沸騰した食塩水」ではなく、文言どおり、「沸騰した水」と解釈することが自然である。
(3-3)被請求人は、甲第1号証の第2頁の右下欄第9?14行に、「次いで、このようにして半乾燥又は表面スチーム処理された生パスタは茹で処理する。この茹で処理は完全にα化して可食状態にするものであり、これは通常の方法、例えば熱湯中で2?8分間熱処理する方法によつて行われる。」と記載されているので、甲第1号証に記載の実施例及び比較例においても、「通常の方法」で茹で処理されており、茹で処理において、食塩を添加することは周知の技術であるから、甲第1号証に記載の比較例2においても、食塩を添加しているはずである旨の主張をしている。
確かに、パスタの茹で処理において、食塩を添加することは周知の技術である。
しかしながら、一方で、パスタを茹でる際に、食塩を添加することは必ずしも必要ではないことも、例えば、参考資料22に、「昔から調理書に、ゆでるとき食塩を添加するのがよいうという方法を示しているものがあり、とくにマカロニーの袋などには現在も、食塩添加を正しい調理方法として記載しているものが見受けられるが、食塩添加は決して良いゆで方ではないといわねばならない。」(第194頁第39?41行)と記載されるように、甲第1号証の出願前知られていた。
また、被請求人の指摘する箇所に記載の「通常の方法」とは、その文脈からみて、特に食塩の添加の有無について言及したものではなく、パスタの茹で処理に際し通常考慮されるべき条件、例えば、茹でる温度や、茹で時間等の条件を含む種々の条件について言及したものと解することができ、これら温度や時間等の条件については、食塩の添加についてとは異なり、比較例2においても、具体的に記載されている。とすれば、何の記載もない食塩の添加について、茹で処理方法における食塩の添加が周知技術であるという証拠がいくら列挙されても、比較例2においては、茹で処理時において、必ず食塩を添加しているということにはならない。
(3-4)さらに、被請求人は、上記「V」の1の(2)-2.において示したように、甲第1号証の出願前または出願当時において、パスタ類の茹で処理を「食塩を添加した熱水(沸騰水)を用いて行うか」または「食塩を添加しない熱水(沸騰水)を用いて行うか」は適宜選択可能な方法であるというのでは、「通常の方法」を採用してパスタ(スパゲテイ)を茹でている甲第1号証の実施例および比較例、特に比較例2において、乾燥スパゲテイの茹で処理が食塩を添加しない熱水(沸騰水)を用いて行われているとの確定(決定)は到底なし得ないはずであると主張する。
しかしながら、甲第1号証の比較例2には、「沸騰水」と明文で記載され、それに食塩を添加することは何ら記載されていないのであるから、被請求人が、パスタを茹でる際には、必ず「食塩を添加した熱水(沸騰水)を用いて行」っていることを証明しない限り、食塩を添加していない沸騰水を用いて茹でていると解すべきである。そして被請求人の提出した証拠をみても、パスタを茹でる際には、必ず食塩を添加するとの技術常識が甲第1号証の出願当時に存在していたということはできない。しかも、請求人が提出し、甲第1号証の出願前に頒布された、参考資料14には、「冷凍スパゲティ」及び「ラウンドアップスパゲティ」の「食塩相当量mg」が「0」であることが記載され、参考資料22には、「昔から調理書に、ゆでるとき食塩を添加するのがよいうという方法を示しているものがあり、とくにマカロニーの袋などには現在も、食塩添加を正しい調理方法として記載しているものが見受けられるが、食塩添加は決して良いゆで方ではないといわねばならない。」(第194頁第39?41行)と記載され、さらに、公知日は不明であるが、被請求人が調査したところ、フロント頁の右上における「コック帽と握手した手」からなるマークから、1980?1990年ぐらいに頒布されたものであると認められる参考資料15に、「Q4.茹で水に添加する塩分の量の多・小によって変化はあるか。無添加の場合とどのような差が生ずるか。(答)・食塩濃度0.5%程度までなら、添加の有無による麺質の差はない。・ゆで水への食塩の添加は、パスタの下味付けに意味があると考えるべきであり、上記以上の食塩濃度では塩味がつきすぎ、かんばしくない。」と記載されていることからみて、パスタ類の茹で処理を、食塩を添加しないで行う場合もあり得ることが示されているのであるから、このことからも、甲第1号証の比較例2において、必ず「食塩を添加した熱水(沸騰水)を用いて行」っているとは認められない。
(3-5)加えて、被請求人は上記「V」の1の(2)-3において示したように、『乙第21号証[実験成績証明書(2)]の実験結果から明らかなように、乾燥スパゲテイまたは半乾燥スパゲテイを、通常の茹で処理に用いられている「食塩濃度が0.5から1.5%の熱水(沸騰水)」を用いて茹でた後に、冷却水で水洗冷却してなる茹でスパゲティおよび当該茹でスパゲティを冷凍した冷凍スパゲティでは、食塩の含有量が0.5%以下と少なくて、そのままでは塩味のする茹でスパゲティ(塩味のする冷凍スパゲティ)は得られず、また、乙第21号証[実験成績証明書(2)]の実験例5の結果(表5)にみるように、乾燥スパゲティを食塩を添加しない熱水(沸騰水)で茹でて15℃の水道水で水洗冷却した後に、食塩を0.3%添加混合してから冷凍して得られる冷凍スパゲティは塩味が殆どせず、0.3%という食塩含量では「塩味」という味付けのためには、それ単独では有効ではない』ことをもって、『乙第21号証[実験成績証明書(2)]の実験結果は、「甲第1号証の実施例および比較例では、食塩濃度が0.5?1.5%程度の熱水(沸騰水)を用いてパスタ(乾燥パスタや半乾燥パスタ)を茹でた後に水道水(温度が15℃の冷却水)を用いて水洗冷却して茹でパスタをつくり(茹でパスタの食塩含量0.1?0.4%)、それに更に0.3%の食塩を添加してから冷凍して冷凍パスタを製造していて、最終的に得られる冷凍パスタにおける食塩含量が0.5%またはそれを超える量になることによって塩味のする冷凍パスタ(味付された冷凍パスタ)を得られていること」を十分に裏付けている』旨主張する。
しかしながら、一般に、パスタ類は、ソースや具材と共に食するものであるから、味付けは、必ずしも、それ自体を食して明確な「塩味」がすることを要するものではなく、ソースや具材と共に食したときに良好な食味となるような下味を意味するものであることは当業者の技術常識である。このことは、請求人の提出した参考資料14において、「軽い下味」がついているとされる、「エレッキングスパゲティ」及び「フライパン用スパゲテイNo.1」において、スパゲティ食塩相当量は0.4%であることからも明らかである。
そして、被請求人の示した乙第21号証[実験成績証明書(2)]の実験結果である【表5】には、食塩を加えないで茹で、0.3%食塩を後付けした場合、5人のパネラー全員が、「塩味はしないが、味を感じる。」と評価していることからみて、あえて、茹で処理に食塩水を用いなくとも、味付けされていることが確認されているといえる。
したがって、乙第21号証[実験成績証明書(2)]の実験結果は、甲第1号証の比較例2において、沸騰水が、食塩濃度が0.5?1.5%程度の熱水であったと裏付けるものではなく、かえって、沸騰水が、食塩を添加しない沸騰した真水であると解釈することによって何ら不合理な点はないことを示すものである。
以上のとおりであるから、甲第1号証の引用例2において、茹で処理は、文言どおり、食塩を含まない水中で行われたものであると解され、これを疑うべき理由はないから、本件訂正発明3と、甲第1号証の比較例2に記載の発明が、本件訂正発明3で特定された茹で処理工程において相違するとの被請求人の主張は認めることができない。
したがって、本件訂正発明3は、本件訂正発明1と同様に、甲第1号証に記載された発明及び本件特許の出願日当時の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

4.本件訂正発明4について
本件訂正発明4は、本件訂正発明1?本件訂正発明3に係る製造方法により得られる冷凍パスタ類に係る発明であるところ、上述のとおり、本件訂正発明1?3が、甲1号証に記載された発明及び本件特許の出願日当時の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該製造方法により得られる物の発明である訂正発明4も、同様の理由により、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

VII.結び
以上のとおり、本件訂正後の請求項1?4に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明及び本件特許の出願日当時の周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、同法第123条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
冷凍パスタ類の製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】乾燥パスタ類をα化した後、食塩を含まない温度0?5℃の水で冷却した後のα化パスタ類に、食塩または食塩水を添加して、α化パスタ類の表面に食塩または食塩水を付着させて、直ちに急速凍結させることを特徴とする冷凍パスタ類の製造方法。
【請求項2】α化したパスタ類100重量部に対して食塩の付着量が0.05?3重量部の割合になるようにして、α化したパスタ類の表面に食塩または食塩水を付着させる請求項1の製造方法。
【請求項3】α化したパスタ類が、乾燥パスタ類を、食塩を含まない水中で茹でてα化したパスタ類であるか、食塩を含まない水中での茹で処理と蒸し処理を併用してα化したパスタ類であるか、または蒸してα化したパスタ類である請求項1または2の製造方法。
【請求項4】請求項1?3のいずれか1項の製造方法により得られる冷凍パスタ類。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は冷凍パスタ類の製造方法および該方法により得られる冷凍パスタ類に関する。より詳細には、電子レンジや熱湯などを用いて解凍した際に、麺に締まりがあってシコシコとして弾力に富む良好な歯ごたえを有し、且つ芯の残存が少なくて違和感のない、優れた食感を有する解凍パスタ類を得ることのできる冷凍パスタ類、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
長期にわたって保存が可能であり、しかも必要なときに電子レンジや熱湯などを用いて解凍するだけで、短時間に且つ簡単に、茹でたてに近い良好な食感を有する麺類が得られるところから、茹でた麺類を冷凍した冷凍麺類が近年開発され、その需要が伸びている。そして、食生活の洋風化や、種々のパスタ用ソースが販売されるようになって、冷凍麺類のうちでも冷凍パスタ類の生産量が近年ますます増える傾向にあり、それに伴って冷凍パスタ類の食感などに対する消費者の要求も一層厳しいものとなっている。
【0003】
スパゲティなどのパスタ類に対しては、一般に、締まりがあって、シコシコとしていて、弾力に富む、歯ごたえの良好な食感が強く求められており、そのような食感を有するパスタ類を得るための提案が従来から色々なされている。そしてそのような従来技術として、パスタ類を食塩を含む水溶液中で茹でてα化する方法が知られており、具体的には、マカロニ類を食塩を含む水溶液中で茹でた後にグルコースを含む水溶液で表面処理して凍結乾燥する方法(特公昭56-39616号公報)、スパゲティ類を塩化ナトリウムを含む水溶液中で加圧下に茹でる方法(特開平2-49553号公報)、スパゲティ等の麺類を食塩などの可食性塩類を含む水溶液中でα化した後凍結真空乾燥する方法(特開平4-75564号公報)などを挙げることができる。
【0004】
しかしながら、食塩を含む水溶液中でパスタ類を茹でてα化する上記した従来法による場合は、食塩を含まない水溶液を用いてパスタ類を茹でる場合に比べて確かに食感の硬い茹でパスタ類を得ることができるが、食塩を含む水溶液中で茹でた場合には茹上げたパスタ類に芯が残り易く、そのため食した際に違和感のある食感となり易い。そして、本発明者らが、食塩を含む水溶液を用いて茹でてα化したそのようなパスタ類を凍結させて冷凍パスタ類を製造したところ、芯の残存による違和感は冷凍パスタ類においても解消せず、そのような冷凍パスタ類を解凍したときにやはり違和感のある食感になり易いこと、しかも解凍した茹でパスタ類の弾力性などが充分には良好ではなく、食感が必ずしも満足のゆくものではないことが判明した。その上、パスタ類を食塩を含む水溶液を用いて茹でてα化すると、食塩を含まない水中で茹でる場合に比べて、所定の歩留りにまで茹上げるのに時間がかかるという問題があり、一方茹で時間を一定にした場合には歩留りが低くなって生産性が低くなり、経済的でないという欠点がある。また、茹で槽の金属に腐食が生じ易い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電子レンジや熱湯などを用いて解凍したときに、締まりがあってシコシコとして弾力に富む良好な歯ごたえを有し、且つ芯の残存が少なくて違和感のない、優れた食感を有する解凍パスタにすることのできる冷凍パスタ類を、円滑に製造し得る方法を提供することである。そして、本発明の目的は、上記したような優れた特性を有する冷凍パスタ類を簡単な操作で、しかも良好な歩留りで、経済的に製造することのできる方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく本発明者らが種々検討を重ねた結果、パスタ類を食塩を含む水溶液中で茹でる代わりに、パスタ類をα化した後に該パスタ類の表面に食塩または食塩水を付着させて凍結させると、極めて簡単な操作であるにも拘わらず、電子レンジや熱湯などを用いて解凍したときに、締まりがあってシコシコとして弾力に富む良好な歯ごたえを有し、且つ芯の残存が少なくて違和感のない、優れた食感を有する冷凍パスタ類が得られることを見出した。また、本発明者らは、そのようにして製造した冷凍パスタ類は、食塩を含有しているので、該冷凍パスタ類にソースおよび/または具材を組み合わせて冷凍パスタ食品として流通、販売する場合は、冷凍パスタ食品の全重量に基づいて、食塩の合計含有量が好ましくは1.5重量%以下になるように調整しておくと、そのソースおよび/または具材付きの冷凍パスタ食品を解凍して食する際に、塩辛すぎず全体として良好な食味になり、しかも塩分の取り過ぎも防止できることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、乾燥パスタ類をα化した後、食塩を含まない温度0?5℃の水で冷却した後のα化パスタ類に、食塩または食塩水を添加して、α化パスタ類の表面に食塩または食塩水を付着させて、直ちに急速凍結させることを特徴とする冷凍パスタ類の製造方法である。
【0008】
そして、本発明は、上記の製造方法により得られる冷凍パスタ類である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。本発明では、α化したパスタ類の種類は特に制限されず、冷凍パスタ類にすることのできるα化したパスタ類であればいずれでもよく、茹で処理、蒸し処理、茹で処理と蒸し処理との併用などによってα化したパスタ類を用いることができる。限定されるものではないが、本発明で用いられるパスタ類の具体例としては、スパゲティ、カペリーニ、フェデリーニ、ベルミチェリ、スパゲーニなどの棒状のパスタ類;ブカティーニ、マケロンチェリ、メッツアニ、チトニなどの管状のロングパスタ類;フェトネーチ、ラザーネッテ、ラザーニヤなどの帯状のパスタ類(ヌードル類);エルボ、ペンネ、ホィール、シェルなどのショートマカロニ類(カットマカロニ類);リゾニ、ステラ、アネリーニ、アルファベット、プリメリーナ等のスモールパスタ類などを挙げることができる。
【0010】
また、α化処理時の水の温度、水蒸気の温度や圧力、α化処理の時間、α化後の歩留りなどの条件は特に制限されず、それぞれのパスタ類に適した条件を採用してα化したパスタ類を製造し、そのα化したパスタ類を、食塩を含まない温度0?5℃の水で冷却した後、それを用いて冷凍処理を行えばよい(以下、α化した後、食塩を含まない温度0?5℃の水で冷却した後のα化したパスタ類を単に「α化したパスタ類」または「α化パスタ類」ということがある)。そして本発明では、芯の残存が少なくて違和感のない食感に優れるα化したパスタ類およびその冷凍物を得るために、α化したパスタ類として、食塩を含まない水中で茹でてα化するか、食塩を含まない水中における茹で処理と蒸し処理を併用してα化するか、または蒸してα化して得られたパスタ類を用いるのが特に好ましい。
【0011】
そして本発明では、上記したようなα化したパスタ類、すなわち乾燥パスタ類をα化した後に食塩を含まない温度0?5℃の水で冷却してなるα化パスタ類に、食塩または食塩水を添加して、α化パスタ類の表面に、食塩を付着させるかまたは食塩水を付着させて凍結処理を行う。その場合に、α化したパスタ類の表面への食塩または食塩水の付着量は、α化したパスタ類100重量部に対して食塩が0.05?3重量部の割合で均一に付着されるようにするのが好ましい。より具体的に説明すると、α化したパスタ類の表面に食塩をそのまま直接付着させる場合は、添加した食塩の全量がそのままα化したパスタ類と一緒になって凍結処理されることが多いので、その場合にはα化したパスタ類に対して添加した食塩の量がそのまま上記した食塩の付着量として計算され、好ましくはその付着量を、α化したパスタ類100重量部当たり上記した0.05?3重量部とする。しかし、α化したパスタ類の表面に食塩をそのまま直接付着させる場合であっても、凍結処理を行うまでの間にパスタ類から食塩の一部が分離(離脱)して凍結処理時に食塩の量が低減している場合があり、その場合には、凍結処理時にα化したパスタ類と共にそのまま凍結処理に持ち込まれる食塩の量を調べて、その付着量をα化したパスタ類100重量部当たり上記した0.05?3重量部になるようにするのが好ましい。
【0012】
また、食塩水を付着させる場合も、凍結処理時にα化したパスタ類と共にそのまま凍結処理に持ち込まれる食塩の量を調べて、それを上記した食塩の付着量とする。食塩水を用いる場合に、α化したパスタ類の表面に付着させる食塩水の量が多いと、凍結処理するまでの間にパスタ類から食塩水の一部が分離(離脱)して除かれることがあるので、凍結処理時(凍結処理の直前)にα化したパスタ類に付着している食塩の量を調べて、その付着量をα化したパスタ類100重量部当たり上記した0.05?3重量部とするのが好ましい。
【0013】
α化したパスタ類の表面に食塩をそのまま直接付着させる場合は、α化したパスタ類に単に食塩だけを直接添加混合してパスタ類の表面に食塩を付着させる方法を一般に用いるが、場合によってはパスタ類の表面に食塩が均一に付着されるようにするために、パスタ類の表面に予め少量の水または油脂類を付着させておいてから食塩を添加してパスタ類の表面に食塩を付着させてもよい。また、α化したパスタ類の表面に食塩水を付着させる場合は、食塩水の濃度を1重量%以上にするのが好ましい。食塩水の濃度が1重量%未満であると、多量の食塩水をα化したパスタ類に加えることが必要になり、その場合にはα化したパスタ類の表面から分離(離脱)する食塩水の量が多くなって、α化したパスタ類100重量部に対して食塩を上記した0.05?3重量部の割合で付着させるのが困難になり、しかも食塩が無駄になり易い。また、α化したパスタ類に対してそのような低濃度の食塩水を多量に共存させた状態でそのまま冷凍処理した場合には、パスタ類を解凍した際に水分が多すぎて、べとついたり柔らかすぎたりして、食感および食味が不良になり、しかも解凍したパスタ類に粉末ソースや具材を和えて食する場合に粉末ソースや具材などがパスタ類に付着せず分離して食感を不良なものにする。
【0014】
α化したパスタ類の表面に食塩を付着させる場合および食塩水を付着させる場合のいずれの場合も、α化したパスタ類と共に凍結処理に持ち込まれる水分の量が、α化したパスタ類の重量に基づいて約16重量%以下になるようにしておくのが、解凍した際に麺がべとついたり柔らかすぎたりせず、しかも解凍したパスタ類に粉末ソースや具材を和えて食する場合に粉末ソースや具材などのパスタ類からの分離が生じないので、好ましい。
【0015】
α化したパスタ類の表面への食塩または食塩水の付着方法は特に制限されず、α化したパスタ類全体に食塩または食塩水を好ましくは均一に付着できる方法であればいずれでもよい。限定されるものではないが、例えば、α化したパスタ類に食塩または食塩水を添加した後に全体に均一に付着されるようにパスタ類を撹拌しても、またはパスタ類を撹拌しながら食塩または食塩水を添加してもよい。
【0016】
凍結処理に当たっては、α化したパスタ類を1食分または複数食分ずつ型容器に充填して行えばよく、型容器への充填は、ほぼ偏平な冷凍パスタ類が得られるようにして行うのが、得られる冷凍パスタ類が解凍しやすく、かつ均一な解凍を行うことができ望ましい。凍結処理時に用いる型容器は、冷凍パスタ類を包装、流通させるのに用いるトレーをそのまま型容器として用いても、または冷凍麺専用の型容器を用いてもよい。また、パスタの種類によっては、主食として用いずに、料理の付け合わせに用いたり、具に用いたりするものもあるので、そのようなものでは、α化したパスタを適当な量に小分けして凍結処理を行えばよい。そして、凍結処理は急速凍結によって行う。一般に、-0.5℃/分?-2.0℃/分の冷却速度で、-30℃以下にまで急速凍結するのがよい。
上記のようにして得られた本発明の冷凍パスタ類は、従来の冷凍パスタ類と同様にしてプラスチックフイルムやシート、それからなる袋などの包材を用いて包装して、流通、販売することができ、その場合に一般に-18℃以下の温度に保って冷凍しておくとよい。
【0017】
更に、本発明では、上記で製造した冷凍パスタ類のみを包装して流通・販売しても、または冷凍パスタ類と共にソース類および/または具材などを添付して流通・販売してもよい。ソース類および/または具材などを冷凍パスタ類に添付する場合は、麺にのびを生じたり、パスタ類の食感や食味を損なわない限りは、冷凍パスタ類の上、下、横、中間などの適当な場所にソース類および/または具材を冷凍パスタ類に直接接触させた状態にして添付してもよく、或いはソース類および/または具材を冷凍パスタ類とは別に包材中に入れ、それを冷凍パスタ類に添付してもよい。
【0018】
本発明の冷凍パスタ類は、乾燥パスタ類をα化した後に食塩を含まない温度0?5℃の水で冷却してなるα化パスタ類の表面に食塩または食塩水を付着させて冷凍してあり、そのため解凍した際には、食塩を含む解凍パスタ類が得られるので、本発明の冷凍パスタ類を用いて調理を行う場合は、一緒に用いるソース類や具材の塩分を調節して味を整えるのがよい。また、本発明の冷凍パスタ類と共に、ソース類および/または具材を組み合わせて解凍すればそのまま直ちに食し得る冷凍パスタ食品にする場合は、冷凍パスタ類、ソース類および具材の全体に含まれる塩分の合計含有量をその冷凍パスタ食品の食味を良好なものに保ち得る範囲にしておくのが好ましい。一般に、冷凍パスタ食品の全重量に基づいて、食塩の合計含有量、すなわち冷凍パスタ類、ソース類および具材に含まれる食塩の合計量を1.5重量%以下にしておくと、塩辛過ぎず、健康的にも害のない、食味の良好な冷凍パスタ食品が得られるので望ましい。
【0019】
本発明により得られる冷凍パスタ類は、包装したまま電子レンジで解凍するのに特に適しており、その場合にはプラスチックフイルムなどからなる包材に適当な小孔を開けておくと解凍時に包材が蒸気圧などによって破れるのを防止することができる。しかしながら、電子レンジで解凍せずに、包材ごと、または包材から取り出して、熱湯や蒸し器などを用いて解凍してもよい。
【0020】
【実施例】
以下に例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。以下の例中、解凍した茹でスパゲティの破断強度の測定は次のようにして行った。また、以下の例中、特に断らない限りは%は重量%を表す。
【0021】
解凍茹でスパゲティの破断強度の測定:
イマダデシタルフォースゲイジ[機種;DPRSX 1TR,(株)イマダ社製]を用いて、これにA型アタッチメントを装着した。茹でスパゲティの麺線1本を、アタッチメントの刃の長手方向に対して90°で交差するように置き、約1mm/秒の速度でアタッチメントを押し下げて麺線が破断される時の最大荷重値を破断強度(gf)として求めた。
【0022】
《実施例1》
(1)乾燥スパゲティ(マ・マーマカロニ株式会社製「ハイブルー」)(直径1.7mm)1kgを温度99?100℃の熱湯10リットル中で8分間茹でた後(茹で歩留り240%)、温度0?5℃の冷水中に速やかに投入して水洗冷却した。
(2)上記(1)で得られた茹でスパゲティを速やかに冷水から取り出し、茹でスパゲティ1kgに対して食塩5gを添加混合して茹でスパゲティの表面に食塩を均一に付着させ(茹でスパゲティ100重量部当たり食塩の付着量0.5重量部)、次いで型容器中への充填量が180gずつになるように分けて直ちに充填して、-1?-1.5℃/分の冷却速度で-30℃にまで急速凍結して冷凍茹でスパゲティを製造し、それをプラスチックフイルムで包装して、-30℃の冷凍庫に保存した。
(3)上記の(1)で得られた水洗冷却後の茹でスパゲティを、食塩を添加せずにそのまま180gずつ容器に充填し、上記の(2)と同じ条件下に急速凍結して、冷凍茹でスパゲティを製造した後、プラスチックフイルムで包装して、-30℃の冷凍庫に保存した。
(4)上記(2)および(3)で得られたそれぞれの冷凍茹でスパゲティを、7日後に冷凍庫より取り出して、包装したまま家庭用電子レンジ(出力500W)を用いて3分間解凍して、解凍茹でスパゲティを得た。
(5)上記(4)で得たそれぞれの解凍茹でスパゲティの破断強度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。また、上記(4)で得たそれぞれの解凍茹でスパゲティに対して、スパゲティ用粉末ソース(日清製粉株式会社製「和風たらこ」)を解凍茹でスパゲティ200g当たり10gの割合で加えて、その食感(弾力性の有無)を、10名のパネラーにより、食塩を添加して凍結したもの[上記(2)で得られたもの]と食塩を添加せずに凍結したもの[上記(3)で得られたもの]との間の2点比較法によって評価してもらったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
【0023】
《実施例2》
(1)実施例1の(1)と同様にして乾燥スパゲティを茹でた後(茹で歩留り240%)、温度0?5℃の冷水中に速やかに投入して水洗冷却した。
(2)上記(1)で得られた茹でスパゲティを速やかに冷水から取り出し、型容器中に250gの割合で充填した後、茹でスパゲティの表面に10%食塩水25gを噴霧して均一に混合し(茹でスパゲティ100重量部当たりの食塩の付着量1重量部)、次いで実施例1の(2)と同様にして急速凍結して冷凍茹でスパゲティを製造した後、プラスチックフイルムで包装して、-30℃の冷凍庫に保存した。
(3)上記の(1)で得られた水洗冷却後の茹でスパゲティを、食塩を添加せずにそのまま180gずつ容器に充填し、上記の(2)と同じ条件下に急速凍結して、冷凍茹でスパゲティを製造した後、プラスチックフイルムで包装して、-30℃の冷凍庫に保存した。
(4)上記(2)および(3)で得られたそれぞれの冷凍茹でスパゲティを、7日後に冷凍庫より取り出して、包装したまま家庭用電子レンジ(出力500W)を用いて4分間解凍して、解凍茹でスパゲティを得た。
(5)上記(4)で得たそれぞれの解凍茹でスパゲティの破断強度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
また、上記(4)で得たそれぞれの解凍茹でスパゲティに対して、スパゲティ用粉末ソース(日清製粉株式会社製「和風たらこ」)を解凍茹でスパゲティ200g当たり10gの割合で加えて、その食感(弾力性の有無)を、10名のパネラーにより食塩水を添加して冷凍したもの[上記(2)で得られたもの]と添加せずに冷凍したもの[上記(3)で得られたもの]との間の2点比較法によって評価してもらったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
【0024】
《実施例3》
(1)実施例1の(1)と同様にして乾燥スパゲティを茹でた後(茹で歩留り240%)、温度0?5℃の冷水中に速やかに投入して水洗冷却した。
(2)上記(1)で得られた茹でスパゲティを速やかに冷水から取り出し、型容器中に180gの割合で充填した後、茹でスパゲティの表面に10%食塩水9gを噴霧して均一に混合し(茹でスパゲティ100重量部当たりの食塩の付着量0.5重量部)、その上にミートソース60gを拡げてかけて(茹でスパゲティおよびミートソースの合計重量に対する食塩の合計重量1.0%)、実施例1の(2)と同様にして急速冷凍してミートソース添付の冷凍茹でスパゲティを製造した後、プラスチックフイルムで包装して、-30℃の冷凍庫に保存した。
(3)上記の(1)で得られた水洗冷却後の茹でスパゲティを、食塩水を噴霧せずにそのまま180gずつ容器に充填した後、ミートソース60gを拡げてかけて(茹でスパゲティおよびミートソースの合計重量に対する食塩の合計重量0.63%)、上記の(2)と同じ条件下に急速冷凍して、冷凍茹でスパゲティを製造した後、プラスチックフイルムで包装して、-30℃の冷凍庫に保存した。(4)上記(2)および(3)で得られたそれぞれの冷凍茹でスパゲティを、7日後に冷凍庫より取り出して、包装したまま家庭用電子レンジ(出力500W)を用いて6分間解凍して、ミートソース付きの解凍茹でスパゲティを得た。
(5)上記(4)で得られたそれぞれの解凍茹でスパゲティの破断強度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
また、上記(4)で得られたそれぞれのミートソース付きの解凍茹でスパゲティの食感(弾力性の有無)を、10名のパネラーにより食塩水を添加して冷凍したもの[上記(2)で得られたもの]と添加せずに冷凍したもの[上記の(3)で得られたもの]との間の2点比較法によって評価してもらったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
【0025】
【表1】

【0026】
上記の表1の結果から、食塩または食塩水を付着させてから凍結して製造した冷凍茹でスパゲティは、食塩または食塩水を付着させずに凍結した製造した冷凍茹でスパゲティに比べて、解凍したときに弾力性に優れる良好な食感を有することがわかり、そのことは食塩または食塩水を付着させてから凍結して製造した冷凍茹でスパゲティを解凍したものの方が、食塩または食塩水を付着させずに凍結した製造した冷凍茹でスパゲティを解凍したものに比べて、その破断強度が大きいことによって裏付けられる。
【0027】
《実施例4?6および比較例1?4》
(1)乾燥スパゲティ(マ・マーマカロニ株式会社製「ハイブルー」)(直径1.7mm)1kgを温度99?100℃の熱湯10リットル中で7分45秒間茹でた後(茹で歩留り240%)、温度0?5℃の冷水中に速やかに投入して水洗冷却し、この茹でスパゲティを速やかに冷水から取り出し、食塩を添加せずにそのまま180gずつ容器に充填し、-1?-1.5℃/分の冷却速度で-30℃にまで急速凍結して冷凍茹でスパゲティを製造し、それをプラスチックフイルムで包装して、-30℃の冷凍庫に保存した(比較例1)。
(2)上記(1)で用いたのと同じ乾燥スパゲティ1kgを、温度99?100℃の1%食塩水中で7分45秒間茹でた後(茹で歩留り236%)、温度0?5℃の冷水中に速やかに投入して水洗冷却した。この茹でスパゲティの食塩含量を調べたところ、0.42%であった。また、この茹でスパゲティを速やかに冷水から取り出して180gずつ容器に充填し、上記(1)と同じ条件下で急速凍結して冷凍茹でスパゲティを製造した後、上記(1)と同様にして包装して、冷凍庫に保存した(比較例2)。
【0028】
(3)上記(1)で用いたのと同じ乾燥スパゲティ1kgを、温度99?100℃の3%食塩水中で7分45秒間茹でた後(茹で歩留り231%)、温度0?5℃の冷水中に速やかに投入して水洗冷却した。この茹でスパゲティの食塩含量を調べたところ、1.09%であった。また、この茹でスパゲティを速やかに冷水から取り出して180gずつ容器に充填し、上記(1)と同じ条件下で急速凍結して冷凍茹でスパゲティを製造した後、上記(1)と同様にして包装して、冷凍庫に保存した(比較例3)。
(4)上記(1)で用いたのと同じ乾燥スパゲティ1kgを、温度99?100℃の3%食塩水中で8分30秒間茹でた後(茹で歩留り240%)、温度0?5℃の冷水中に速やかに投入して水洗冷却した。この茹でスパゲティの食塩含量を調べたところ、0.74%であった。また、この茹でスパゲティを速やかに冷水から取り出して180gずつ容器に充填し、上記(1)と同じ条件下で急速凍結して冷凍茹でスパゲティを製造した後、上記(1)と同様にして包装して、冷凍庫に保存した(比較例4)。
【0029】
(5)上記(1)で用いたのと同じ乾燥スパゲティ1kgを、温度99?100℃の熱湯で7分45秒間茹でた後(茹で歩留り240%)、茹でスパゲティ1kgに対して食塩4.2gを添加混合して茹でスパゲティの表面に食塩を均一に付着させ(食塩の付着量=0.42%であり上記の比較例2に合わせた)、次いでこの茹でスパゲティを速やかに180gずつ容器に充填し、上記(1)と同じ条件下で急速凍結して冷凍茹でスパゲティを製造した後、上記(1)と同様にして包装して、冷凍庫に保存した(実施例4)。
(6)上記(1)で用いたのと同じ乾燥スパゲティ1kgを、温度99?100℃の熱湯で7分45秒間茹でた後(茹で歩留り240%)、茹でスパゲティ1kgに対して食塩7.4gを添加混合して茹でスパゲティの表面に食塩を均一に付着させ(食塩の付着量=0.74%であり上記の比較例4に合わせた)、次いでこの茹でスパゲティを速やかに180gずつ容器に充填し、上記(1)と同じ条件下で急速凍結して冷凍茹でスパゲティを製造した後、上記(1)と同様にして包装して、冷凍庫に保存した(実施例5)。
【0030】
(7)上記(1)で用いたのと同じ乾燥スパゲティ1kgを、温度99?100℃の熱湯で7分45秒間茹でた後(茹で歩留り240%)、茹でスパゲティ1kgに対して食塩7.4gを水22gに溶かした食塩水を添加混合して食塩水を茹でスパゲティの表面に均一に付着させ(食塩の付着量=0.74%であり上記の比較例4に合わせた)、次いでこの茹でスパゲティを速やかに180gずつ容器に充填し、上記(1)と同じ条件下で急速凍結して冷凍茹でスパゲティを製造した後、上記(1)と同様にして包装して、冷凍庫に保存した(実施例6)。
(8)上記(1)?(7)で得られたそれぞれの冷凍茹でスパゲティを、7日後に冷凍庫より取り出して、包装したまま家庭用電子レンジ(出力500W)を用いて3分間解凍して、解凍茹でスパゲティをにし、その解凍茹でスパゲティに対して、スパゲティ用粉末ソース(日清製粉株式会社製「和風たらこ」)を解凍茹でスパゲティ200g当たり10gの割合で加えて、その食感を下記の表2に示す評価基準にしたがって10名のパネラーにより点数評価してもらい、その平均値を採ったところ下記の表3に示すとおりであった。
【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
上記の表3の結果から、食塩水を用いてスパゲティを茹でてから冷凍して製造した比較例2?4の冷凍茹でスパゲティは、食塩を含まない水で茹でてからそのまま冷凍して製造した比較例1の冷凍茹でスパゲティに比べて、解凍したときに麺の硬さが増しているが、解凍茹でスパゲティに芯が残存していて違和感があり、しかも硬すぎ、弾力性が充分でなく、食感が必ずしも良好でないことがわかる。それに対して、食塩を含まない水で茹でてから食塩または食塩水を付着させて凍結して製造した実施例4?6の冷凍茹でスパゲティは、食塩を含まない水で茹でてからそのまま凍結した比較例1の冷凍茹でスパゲティに比べて、解凍したときに麺が締まっていて、シコシコとした弾力性に優れる良好な食感を有し、しかもスパゲティに芯があまりなく違和感がないことがわかる。
【0034】
さらに、上記の表3の結果から、食塩水を用いてスパゲティを茹でてから冷凍して冷凍茹でスパゲティを製造している比較例2?4の場合は、食塩を含まない水を用いて茹でてから冷凍して冷凍茹でスパゲティを製造している比較例1および実施例4?6に比べて、茹で時間が同じ場合は歩留りが低くなり、また比較例1および実施例4?6と同じ歩留りにするためには一層長い茹で時間が必要であり、生産性が低下することがわかる。
【0035】
《実施例7》
(1)乾燥スパゲティ(マ・マーマカロニ株式会社製「ハイブルー」)(直径1.7mm)1kgを温度99?100℃の熱湯10リットル中で8分間茹でた後(茹で歩留り242%)、温度0?5℃の冷水中に速やかに投入して水洗冷却した。
(2)上記(1)で得られた茹でスパゲティを速やかに冷水から取り出し、茹でスパゲティに対して食塩を下記の表4に示す割合で添加混合して食塩を茹でスパゲティの表面に均一に付着させ、次いで型容器中への充填量が180gずつになるように分けて直ちに充填して、実施例1の(2)と同様にして、急速凍結して冷凍茹でスパゲティを製造した後、包装して、冷凍庫に保存した。
(3)上記(2)で得られたそれぞれの冷凍茹でスパゲティを、7日後に冷凍庫より取り出して、包装したまま家庭用電子レンジ(出力500W)を用いて3分間解凍して、解凍茹でスパゲティにし、それぞれの解凍茹でスパゲティの破断強度を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりの結果であった。また、上記で得られた解凍茹でスパゲティに対して、スパゲティ用粉末ソース(日清製粉株式会社製「和風たらこ」)を解凍茹でスパゲティ200g当たり10gの割合で加えて、その食感を、10名のパネラーにより上記の表2に示した評価基準にしたがって、点数評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表4に示すとおりであった。
【0036】
【表4】

【0037】
上記の表4の結果から、α化した(茹でた)パスタ類の表面に食塩を付着させて冷凍するに当たっては、α化したパスタ類100重量部に対して食塩の付着量が0.05?3重量部の範囲であると、麺が締まっていてシコシコとして良好な歯ごたえを有する食感の良好なパスタが得られることがわかる。
【0038】
《実施例8》
(1)乾燥スパゲティ(マ・マーマカロニ株式会社製「ハイブルー」)(直径1.7mm)1kgを温度99?100℃の熱湯10リットル中で8分間茹でた後(茹で歩留り242%)、温度0?5℃の冷水中に速やかに投入して水洗冷却した。
(2)上記(1)で得られた茹でスパゲティを速やかに冷水から取り出し、茹でスパゲティに対して、下記の表5に示す食塩水を添加混合して食塩水を茹でスパゲティの表面に均一に付着させ、次いで型容器中への充填量が180gずつになるように分けて直ちに充填して、実施例1の(2)と同様にして、急速凍結して冷凍茹でスパゲティを製造した後、包装して、冷凍庫に保存した。
(3)上記(2)で得られたそれぞれの冷凍茹でスパゲティを、7日後に冷凍庫より取り出して、包装したまま家庭用電子レンジ(出力500W)を用いて3分間解凍して、解凍茹でスパゲティにし、それぞれの解凍茹でスパゲティの破断強度を上記した方法で測定したところ、下記の表5に示すとおりの結果であった。その解凍茹でスパゲティに対して、スパゲティ用粉末ソース(日清製粉株式会社製「和風たらこ」)を解凍茹でスパゲティ200g当たり10gの割合で加えて、その食感を、10名のパネラーにより上記の表2に示した評価基準にしたがって、点数評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表5に示すとおりであった。
【0039】
【表5】

【0040】
上記の表5の結果から、α化した(茹でた)パスタ類の表面に食塩水を付着させて冷凍する場合にも、α化したパスタ類100重量部に対して食塩の付着量が0.05?3重量部の範囲になるようにして食塩水を付着させて凍結を行うと、解凍したときに、麺が締まっていてシコシコとして良好な歯ごたえを有する食感の良好なパスタが得られることがわかる。
【0041】
【発明の効果】
本発明の方法による場合は、電子レンジや熱湯などを用いて解凍した際に、麺に締まりがあってシコシコとして弾力に富む良好な歯ごたえを有し、且つ芯の残存が少なくて違和感のない、優れた食感を有する、高品質の解凍パスタ類を極めて簡単な操作で円滑に製造することができる。
そして、本発明による場合は、上記した優れた食感を有する高品質の冷凍パスタ類を、短いα化処理時間で、良好なα化歩留りで製造することができる。
さらに、上記した優れた特性を有する冷凍パスタ類をソースおよび/または具材と組み合わせて、その全体が食塩含有量を調節することによって、塩辛すぎず、適当な塩味を有し、食感的にも良好な冷凍パスタ食品を得ることができる。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2007-07-03 
結審通知日 2007-07-06 
審決日 2007-07-18 
出願番号 特願平7-260943
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (A23L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中川 知美  
特許庁審判長 種村 慈樹
特許庁審判官 八原 由美子
鵜飼 健
登録日 2003-11-21 
登録番号 特許第3495828号(P3495828)
発明の名称 冷凍パスタ類の製造方法  
代理人 辻 邦夫  
代理人 田所 義嗣  
代理人 辻 邦夫  
代理人 辻 良子  
代理人 辻 良子  
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