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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20051439 審決 特許
不服200515647 審決 特許
不服200414570 審決 特許
不服20051648 審決 特許
不服200513231 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 H05B
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H05B
管理番号 1166577
審判番号 不服2005-23426  
総通号数 96 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-12-05 
確定日 2007-10-24 
事件の表示 特願2002- 33138「電子レンジ」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 6月20日出願公開、特開2003-173867〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願の手続きの経緯は次のとおりである。

(1)平成14年2月8日 特許出願(パリ条約による優先権主張2001年12月4日,韓国)
(2)平成16年8月6日付け 拒絶理由
(3)平成16年11月10日付け 手続補正
(4)平成17年1月6日付け 最後の拒絶理由
(5)平成17年4月11日付け 手続補正
(6)平成17年8月26日付け 補正却下の決定(平成17年4月11日付け手続補正を却下)
(7)平成17年8月26日付け 拒絶査定(最後の拒絶理由によって本願を拒絶)
(8)平成17年12月5日付け 拒絶査定に対する審判請求
(9)平成18年1月4日付け 手続補正

2.平成18年1月4日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成18年1月4日付け手続補正(以下,「本件請求時補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)本件請求時補正の内容
本件請求時補正により,特許請求の範囲の請求項1は,次のとおりに補正された。

「本体の内部に区画設置された調理室及び電装品室と,
該調理室及び電装品室の底部に配された導波管と,
前記電装品室で前記導波管に結合されたマグネトロンと,
前記調理室に向かって開放されるよう前記導波管に設けられた一対の開口部と,
該一対の開口部に設けられた高周波分散装置と,を備え,
前記一対の開口部は,
前記導波管に配された第1開口部と,
該第1開口部と前記マグネトロンとの間に配された第2開口部と,を備え,
前記導波管は,狭幅であって,前記調理室の下部に,前記マグネトロンが設けられた前方から,前記第1開口部が配される後方に向けて延設され,
前記第1開口部の中心は,前記マグネトロンが設けられた導波管の前記前方に位置する該導波管の管端部から,高周波管内波長の1/2の奇数倍になる位置に形成され,
前記第2開口部の中心は,前記マグネトロンが設けられた導波管の前記前方に位置する該導波管の管端部から,高周波管内波長の1/2の奇数倍からややはずれる位置に形成されることを特徴とする電子レンジ。」

(2)新規事項の追加の有無についての検討
前記請求項1における次の補正事項が,本願願書に最初に添付した明細書又は図面(以下,「本願当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内であるか否かについて検討する。

「前記第1開口部の中心は,前記マグネトロンが設けられた導波管の前記前方に位置する該導波管の管端部から,高周波管内波長の1/2の奇数倍になる位置に形成され,
前記第2開口部の中心は,前記マグネトロンが設けられた導波管の前記前方に位置する該導波管の管端部から,高周波管内波長の1/2の奇数倍からややはずれる位置に形成される」

〈審判請求人の主張〉
審判請求人は,平成18年1月26日付け手続補正書(審判請求理由を補充するもの)において,前記補正事項の補正の根拠に関して,次のとおり主張する。

『ここで、「高周波導波管内波長の1/2の奇数倍になる位置」及び「高周波管内波長の1/2の奇数倍からややはずれる位置」の距離測定の起点がマグネトロンが設けられた導波管の前方に位置する該導波管の管端部(すなわち、マグネトロンが設けられた側の導波管の管端部)であることは、本願当初明細書又は図面に記載されていない。
しかしながら、例えば、審査官殿が「補正の却下の決定」において、照射部でない部分を起点に導波管内での位置を測っている例として引用された3つの各参考文献には以下の(イ)?(ハ)に述べるように導波管の管端部を起点として距離計測することが記載されている。
(中略)
以上から、本願出願当時、「導波管の管端部を起点として距離計測すること」は当業者には既に周知技術であり、本願明細書に「導波管の管端部を起点として距離計測すること」が記載されていないとしても、当業者であれば、上記周知技術に基づいて本願発明を実施することはできたものと確信する。』(2頁下から2行?3頁23行参照)

〈当審の判断〉
審判請求人も前記手続補正書で認めるように,「高周波管内波長の1/2の奇数倍になる位置」及び「高周波管内波長の1/2の奇数倍からややはずれる位置」の距離測定の起点を「マグネトロンが設けられた導波管の前方に位置する該導波管の管端部」とすることは,本願当初明細書等に記載されていない。

ところで,本願発明において導波管に設けられる調理室への高周波電波供給開口部設定位置は本願発明の課題達成上重要な技術事項と認められるところ,該開口部設定位置を決定するための距離測定の起点が不明であれば,該開口部設定位置は決定できないものと認められる。

しかるに,審判請求人が「導波管の管端部を起点として距離計測することが記載されている」文献として挙げた前記「3つの各参考文献」は,いずれも高周波管内波長をパラメータとした前記開口部の位置に係わるものではなく,導波管の管端部を起点として距離計測することは記載されていないし,また,例えば原審の平成16年8月6日付け拒絶理由通知書で引用した特開平8-138856号公報(図16参照)には,前記距離測定の起点をマグネトロンの給電点とした例が記載されている。

しかも,平成16年11月10日付け手続補正では,前記距離測定の起点を「前記マグネトロンが前記導波管に設けられた位置である導波管の前方」と補正し,また,平成17年4月11日付け手続補正では,その起点を「前記マグネトロンの照射部」と補正している。

したがって,「高周波管内波長の1/2の奇数倍になる位置」及び「高周波管内波長の1/2の奇数倍からややはずれる位置」の距離測定の起点を「マグネトロンが設けられた導波管の前方に位置する該導波管の管端部」とすることが,本願当初明細書等の記載からみて自明であるとは到底いえない。

よって,前記の補正事項を含む本件請求時補正は,本願当初明細書等に記載した事項の範囲内でしたものとは認められない。

(3)むすび
以上のとおり,本件請求時補正は,特許法第17条の2第3項の規定に違反するから,同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願について
(1)本願の明細書及び図面
平成17年4月11日付けの手続補正は同年8月26日付けで決定をもって却下されており,本件請求時補正も前記のとおり却下されたので,本願の明細書及び図面は,平成16年11月10日付けの手続補正により補正されたものとなる。

そして,平成16年11月10日付けの手続補正により特許請求の範囲の請求項1は次のとおり補正された。

「本体の内部に区画設置された調理室及び電装品室と、
該調理室及び電装品室の底部に配された導波管と、
前記電装品室で前記導波管に結合されたマグネトロンと、
前記調理室に向かって開放されるよう前記導波管に設けられた一対の開口部と、
該一対の開口部に設けられた高周波分散装置と、を備え、
前記一対の開口部は、
前記導波管に配された第1開口部と、該第1開口部と前記マグネトロンとの間に配された第2開口部と、を備え、
前記導波管は、前記調理室の下部から狭幅に横方向に延設され、前記マグネトロンが前記導波管に設けられた位置である導波管の前方から、前記第1開口部が位置する前記導波管の後方に向けて、前記第1開口部の中心は高周波管内波長の1/2の奇数倍になる位置に形成され、前記第2開口部の中心は高周波管内波長の1/2の奇数倍からややはずれる位置に形成されることを特徴とする電子レンジ。」

(2)原査定の拒絶の理由
原審の拒絶査定は,「この出願については,平成17年1月6日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって,拒絶すべきものである。」としており,前記拒絶理由通知書(最後の拒絶理由通知書)に記載した理由は,次のとおりのものである。

「平成16年11月10日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。」

(3)当審の判断
平成16年11月10日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)により補正された前記請求項1における次の補正事項が,本願当初明細書等に記載した事項の範囲内であるか否かについて検討する。

「前記マグネトロンが前記導波管に設けられた位置である導波管の前方から、前記第1開口部が位置する前記導波管の後方に向けて、前記第1開口部の中心は高周波管内波長の1/2の奇数倍になる位置に形成され、前記第2開口部の中心は高周波管内波長の1/2の奇数倍からややはずれる位置に形成される」

先ず,前記の補正事項に関して,「前記第1開口部の中心は高周波管内波長の1/2の奇数倍になる位置」及び「前記第2開口部の中心は高周波管内波長の1/2の奇数倍からややはずれる位置」の距離測定の起点を「前記マグネトロンが前記導波管に設けられた位置である導波管の前方」とすることが,本願当初明細書等に記載されていないことは明らかである。

また,本件請求時補正についての「当審の判断」の項で述べたように、本願発明において導波管に設けられる調理室への高周波電波供給開口部設定位置は本願発明の課題達成上重要な技術事項と認められるところ,該開口部設定位置を決定するための距離測定の起点が不明であれば,該開口部設定位置は決定できないものと認められる。

しかるに,前記距離測定の起点を「前記マグネトロンが前記導波管に設けられた位置である導波管の前方」とすると,例えば,マグネトロンのアンテナ位置でも、導波管端部位置でも、あるいは他の位置でも,とにかく導波管の前方であれば何処でもよいということになり,開口部設定位置を正しく決定することができなくなる。

しかも,平成17年4月11日付け手続補正では,前記距離測定の起点を「前記マグネトロンの照射部」と補正し,平成18年1月4日付け手続補正では,その起点を「前記マグネトロンが設けられた導波管の前記前方に位置する該導波管の管端部」と補正している。

したがって,「前記第1開口部の中心は高周波管内波長の1/2の奇数倍になる位置」及び「前記第2開口部の中心は高周波管内波長の1/2の奇数倍からややはずれる位置」の距離測定の起点を「前記マグネトロンが前記導波管に設けられた位置である導波管の前方」とすることが,本願当初明細書等の記載からみて自明であるとは到底いえない。

加えて,審判請求人は,平成17年1月6日付け最後の拒絶理由通知に対する平成17年4月11日付け意見書1頁下から9行?下から2行において,「審査官殿は、『(中略)しかも「導波管の前方」を距離測定の起点とすることは当初明細書又は図面に記載されておらず、当業者にとっても自明でないから新規事項に該当する』旨認定されています。
審査官殿ご指摘の点につきましてはその通りであります。」としている。

よって,前記補正事項を含む本件補正は,本願当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとは認められない。

(4)むすび
以上のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないことから,本願は,拒絶すべきものである。
 
審理終結日 2007-05-23 
結審通知日 2007-05-29 
審決日 2007-06-11 
出願番号 特願2002-33138(P2002-33138)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (H05B)
P 1 8・ 55- Z (H05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 結城 健太郎  
特許庁審判長 水谷 万司
特許庁審判官 関口 哲生
長浜 義憲
発明の名称 電子レンジ  
代理人 志賀 正武  
代理人 渡邊 隆  
代理人 実広 信哉  
代理人 村山 靖彦  

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