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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1175645
審判番号 不服2007-9957  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-06 
確定日 2008-04-02 
事件の表示 平成 9年特許願第203258号「撮影レンズおよびカメラシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 2月26日出願公開、特開平11- 52216〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年7月29日の出願であって、平成19年2月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年4月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。そして、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年8月28日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「鏡筒内に光学系を収容した撮影レンズにおいて、
前記光学系を前記撮影レンズの光軸方向に移動するレンズ駆動手段と、
前記鏡筒表面に操作可能に設けられた設定操作部材を有し、該設定操作部材の操作に応答して、前記鏡筒内における前記光学系の移動範囲内の第1位置を前記光学系の第1移動端として設定する第1移動端設定手段と、
前記鏡筒表面に操作可能に設けられた設定操作部材を有し、該設定操作部材の操作に応答して、前記鏡筒内における前記光学系の移動範囲内のうち前記第1移動端とは異なる第2位置を前記光学系の第2移動端として設定する第2移動端設定手段と、
前記光学系を移動させ、且つ、前記第1移動端と前記第2移動端との間で前記光学系の移動を制限するように前記レンズ駆動手段を制御する制御手段と、
前記鏡筒表面に操作可能に設けられるとともに、設定された前記第1移動端と前記第2移動端の少なくとも一方を、前記操作されている期間に亘って解除する解除操作部材とを備えた
ことを特徴とする撮影レンズ。」

2.引用例
これに対して原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-160288号公報(以下、「引用例1」という。)には、
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真撮影等に用いられる測距装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】写真撮影等に用いられる測距装置において、測距可能な全範囲、すなわち撮影レンズの最短撮影距離から最長撮影距離(多くの場合は無限遠)までの間全てを測距した場合に、被写体の遠近競合があった場合の誤測距を避けることを主目的として測距する距離範囲を選択的に制限する技術は知られている。」(段落【0001】、【0002】)、

「【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明の請求項1においては、第1の入力に従って測距を行ない、その測距結果に基づく第1の距離に関するデータを第1のメモリ手段に記憶する手段と、第2の入力に従って測距を行ない、その測距結果に基づく第2の距離に関するデータを第2のメモリ手段に記憶する手段と、前記第1のメモリ手段に記憶された前記第1の距離に関するデータと、前記第2のメモリ手段に記憶された前記第2の距離に関するデータとによって制限された範囲内で合焦するようにレンズ駆動手段を制御する制御手段とからなるものであり、」(段落【0005】)、

「【0007】
【実施例】図1は、本発明による測距装置を有するカメラの構成を示すブロック図である。図において、1は測距装置全体の制御を行なう制御手段であり、例えばマイクロコンピュータ等によって構成される。2はレンズの繰出量を検出するためのレンズ位置検出手段であり、例えばコード板とそれに接触するスイッチで構成されたり、コード板とそれに対応して信号を出力するフォトセンサによって構成されたりする。3はレンズを合焦位置へ駆動するためのレンズ駆動手段であり、例えばモータとそのドライバによって構成される。4はレンズの焦点状態を検出するための測距手段、5は第1のメモリ手段、6は第2のメモリ手段、7は被写体の輝度情報を得るための測光手段、8はシャッタや絞りからなる露光手段である。
【0008】また、制御手段1に接続されるSW1及びSW2はそれぞれレリーズスイッチの第1ストロークスイッチ、第2ストロークスイッチであり、SW3は第1の距離に関するデータを入力するためのスイッチ、SW4は第2の距離に関するデータを入力するためのスイッチ、SW5は距離範囲の制限を一時的に行なわない時に使用するスイッチ、SW6は第1のメモリ手段に記憶された第1の距離に関するデータ、及び第2のメモリ手段に記憶された第2の距離に関するデータをクリアして、距離範囲の制限を解除するためのスイッチである。
【0009】さらに、DSP1は距離範囲の制限が行なわれていることを表示するための表示器、DSP2は距離範囲の制限の制限端にレンズが行き当たったことを示すための表示器である。DSP1及びDSP2は例えばLEDまたはLCDなどによって構成される。制御手段1の具体的な動作について、図2及び図3のフローチャートに従って説明する。なお、以下の各ステップを“S”と表示する。
【0010】不図示の電源スイッチがオンされて制御手段1の動作が可能となると、図2のS1より動作を開始する。まず、メモリの内容や出力信号の初期化を行なう(S1)。ここで、第1のメモリ手段5の内容と第2のメモリ手段6の内容はともにクリアされ、後述する距離制限フラグは0とし、表示器DSP1とDSP2はともに消灯とする。次に、レリーズスイッチの第1ストロークスイッチSW1のオン/オフをチェックする(S2)。もしもオンならばS3へ進み、測距手段4よりレンズの焦点状態に関する情報を入力する(S3)。そして、入力されたレンズの焦点状態に関する情報を基に、レンズを合焦状態となるように駆動制御する(S4)。このレンズの駆動制御の詳細については後に説明する。続いて、測光手段7より被写体の輝度情報を入力する(S5)。
・・・(中略)・・・
【0018】図2のS4で記載したレンズの駆動制御のさらに詳細な内容について、図3のフローチャートに従って説明する。
【0019】まず、現在のレンズの位置の情報を、レンズ位置検出手段2より入力する(S31)。
【0020】次に、距離制限フラグが1であるか0であるかをチェックする(S32)。もしも1であるとすると、S33へ進む。そして、距離範囲の制限を一時的に行なわない時に使用するスイッチSW5のオン/オフをチェックする(S33)。もしもオフであるとするとS34へ進み、距離範囲の制限が行なわれていることを表示するための表示器DSP1を点灯とする(S34)。前記S31において入力した現在のレンズの位置の情報が、第1のメモリ手段5及び第2のメモリ手段6とに記憶されている情報に基づく距離制限の範囲内にあるかどうかをチェックする(S35)。もしも、距離制限の範囲内にある場合はS36へ進むが、そうでない場合は、レンズの駆動は行なわないものとして、このまま図2のS5へ戻る。
【0021】次に、前述した図2のS3にて入力したレンズの焦点状態に関する情報より、レンズが現在合焦状態にあるかどうかをチェックする(S36)。もしも、既にレンズが合焦状態にある場合はレンズを駆動する必要がないので、このまま図2のS5へ戻る。しかし、そうでない場合はS37へ進む。そして、入力されたレンズの焦点状態に関する情報を基に、レンズを合焦状態となるようにレンズ駆動手段3を制御し、レンズの駆動を開始する(S37)。
【0022】次に、現在のレンズの位置の情報を、レンズ位置検出手段2より入力するとともに、これを第1のメモリ手段5、及び第2のメモリ手段6とに記憶されている情報と比較して、どちらか一方と一致するかどうかをチェックする(S38)。もしも一致していなければS39へ進み、距離範囲の制限の制限端にレンズが行き当たったことを示すための表示器DSP2を消灯とする(S39)。
【0023】次に、レンズ位置検出手段2の出力を入力して、レンズが所望の合焦位置まで駆動されたかどうかをチェックする(S40)。もしも、レンズが所望の合焦位置まで駆動された場合にはS41へ進むが、そうでない場合にはS38へ戻る。レンズが所望の合焦位置まで駆動された場合にはレンズ駆動手段3を制御し、レンズの駆動を停止する(S41)。この後、図2のS5へ戻る。
【0024】また、前述したS38にて、現在のレンズの位置の情報が第1のメモリ手段5、及び第2のメモリ手段6とに記憶されている情報とのどちらか一方と一致する場合には、距離範囲の制限の制限端にレンズが行き当たったことを示すための表示器DSP2を点灯させる(S42)。この後、S41へ進んで、レンズの駆動を停止する。
【0025】また、前述したS33にてスイッチSW5がオンであった場合はS43へ進み、距離範囲の制限が行なわれていることを表示するための表示器DSP1を消灯させる(S43)。そして、S44へ進む。なお、S32にて距離制限フラグが0であった場合もS44へ進む。これは、何れも距離範囲の制限を行わずにレンズの駆動を行なう場合である。そして、入力されたレンズの焦点状態に関する情報を基に、レンズを合焦状態となる様にレンズ駆動手段3を制御し、レンズの駆動を開始する(S44)。
【0026】次に、レンズ位置検出手段2の出力を検出して、レンズが所望の合焦位置まで駆動されたかどうかをチェックする(S45)。もしも、レンズが所望の合焦位置まで駆動された場合にはS41へ進むが、そうでない場合にはレンズが所望の合焦位置まで駆動されるのを待つ。」(段落【0007】?【0026】)、
との記載が認められる。段落【0007】には、測距装置を有するカメラの構成を示す図1にかかる記載として「レンズ」との記載があり、また、一般に、カメラが鏡筒を備えていることは自明である。そうすると、前記カメラは、鏡筒内にレンズを収容していることも自明である。
したがって、これらの記載によれば、引用例1には、
「鏡筒内にレンズを収容したカメラにおいて、
前記レンズを駆動するためのレンズ駆動手段3と、
第1の距離に関するデータを入力するためのスイッチSW3を有し、その操作により第1の距離に関するデータを第1のメモリ手段に記憶する手段と、
第2の距離に関するデータを入力するためのスイッチSW4を有し、その操作により第2の距離に関するデータを第2のメモリ手段に記憶する手段と、
前記第1の距離に関するデータと、前記第2の距離に関するデータとによって制限された範囲内で合焦するようにレンズ駆動手段を制御する制御手段1と、
前記第1の距離と前記第2の距離に関するデータを一時的に無効にして距離範囲の制限を行なわない時に使用するスイッチSW5とを
備えたことを特徴とするカメラ。」
との発明(以下、「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-337346号公報(以下、「引用例2」という。)には、
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カメラに最適な自動合焦装置に関する。」(段落【0001】)、

「【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、本発明による自動合焦装置は、焦点整合用レンズを自動的に駆動する駆動手段を備えた自動合焦装置において、駆動手段の駆動範囲を制限する制限手段と、被写体が動体であるか否かを判定する動体判定手段と、動体判定手段により被写体が動体であると判定されると、制限手段による制限を解除する制限解除手段とを有する。」(段落【0007】)、

「【0022】図3は、本発明による自動合焦装置の一実施例を示す上面図である。
【0023】実際の撮影距離範囲設定作業を図3を用いて説明すると、撮影者が撮影距離範囲設定を行う際は、まず撮影距離範囲の上限と下限を設定を行うために、制限距離設定スイッチ22をONにする。次に撮影者は、撮影レンズ20を被写体が存在すると考える位置のうち最も近距離側にレンズ距離環27を移動させ、近距離側撮影規制設定ボタン41を押下げ、レンズ駆動許容範囲の近距離側位置を第1記憶手段33(図1)に記憶する。続いて撮影者は、撮影レンズ20を被写体が存在すると考える位置のうち最も遠距離側にレンズ距離環を移動させ、遠距離側撮影規制設定ボタン42を押下げ、レンズ駆動許容範囲の遠距離側位置を第2記憶手段34(図1)に記憶する。上記設定終了後、撮影者は制限距離設定スイッチ22をOFFとし撮影距離範囲設定作業は完了する。なお、距離制限スイッチ43をONとすることで、設定した撮影距離範囲の規制が有効となる。」(段落【0022】、【0023】)、

「【0048】以上、本発明を実施例により説明したが、本発明の技術的思想によれば、種々の変形が可能である。例えば、上述した実施例においては、駆動範囲の情報入力、駆動範囲の情報記憶およびレンズ駆動範囲の制御をカメラボディ側で行うように構成したが、これに限られるものではなく、情報入力手段32、第1記憶手段33、第2記憶手段34または制御手段15のうちの任意の手段をレンズ側に設けても良いことは勿論である。」(段落【0048】)、
が記載されている。

3.対比・判断
そこで、本願発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「レンズ」は、本願発明の「光学系」に相当し、以下同様に、「レンズを駆動するためのレンズ駆動手段3」は「光学系を撮影レンズの光軸方向に移動するレンズ駆動手段」に、「スイッチSW3」、「スイッチSW4」は「設定操作部材」に、「第1の距離」は「第1移動端」に、「第1の距離に関するデータを第1のメモリ手段に記憶する手段」は「第1移動端設定手段」に、「第2の距離」は「第2移動端」に、「第2の距離に関するデータを第2のメモリ手段に記憶する手段」は「第2移動端設定手段」に、「制限された範囲内で合焦するようにレンズ駆動手段を制御する制御手段1」は「光学系の移動を制限するようにレンズ駆動手段を制御する制御手段」に、「スイッチSW5」は「解除操作部材」に、それぞれ相当する。そして、本願発明における「鏡筒内に光学系を収容した撮影レンズ」の「撮影レンズ」は、具体的な定義が明細書中においてなされていないところ、段落【0057】「又、本実施形態では、一眼レフレックスカメラのレンズ駆動装置について説明したが、二眼のコンパクトカメラのオートフォーカス制御用のレンズ駆動装置に本発明を適用してもよい。」との記載を参酌すると、前記「撮影レンズ」は、カメラ全体を意味するものと解するのが妥当であるから、引用例1発明の「カメラ」は、本願発明の「撮影レンズ」に相当する。また、引用例1発明の「第1の距離と前記第2の距離に関するデータを無効に」するは、本願発明の「設定された第1移動端と第2移動端を解除する」に相当するから、両者は、

「鏡筒内に光学系を収容した撮影レンズにおいて、
前記光学系を前記撮影レンズの光軸方向に移動するレンズ駆動手段と、
設定操作部材を有し、該設定操作部材の操作に応答して、前記鏡筒内における前記光学系の移動範囲内の第1位置を前記光学系の第1移動端として設定する第1移動端設定手段と、
設定操作部材を有し、該設定操作部材の操作に応答して、前記鏡筒内における前記光学系の移動範囲内のうち前記第1移動端とは異なる第2位置を前記光学系の第2移動端として設定する第2移動端設定手段と、
前記光学系を移動させ、且つ、前記第1移動端と前記第2移動端との間で前記光学系の移動を制限するように前記レンズ駆動手段を制御する制御手段と、
設定された前記第1移動端と前記第2移動端を、解除する解除操作部材とを備えたことを特徴とする撮影レンズ。」である点で一致し、

設定操作部材及び解除操作部材の配置について、本願発明が「鏡筒表面に操作可能に設けられる」であるのに対して、引用例1発明はそのような構成を備えていない点(相違点1)、

解除操作部材が、本願発明では「設定された第1移動端と第2移動端の少なくとも一方を、操作されている期間に亘って解除する解除操作部材」というものであるのに対して、引用例1発明では「第1の距離と第2の距離に関するデータを一時的に無効にして距離範囲の制限を行なわない時に使用するスイッチSW5」というものである点(相違点2)
の2点で相違する。

次に、上記相違点について検討する。
[相違点1について]
引用例1発明と同種のカメラが示された引用例2の段落【0048】には、「以上、本発明を実施例により説明したが、本発明の技術的思想によれば、種々の変形が可能である。例えば、上述した実施例においては、駆動範囲の情報入力、駆動範囲の情報記憶およびレンズ駆動範囲の制御をカメラボディ側で行うように構成したが、これに限られるものではなく、情報入力手段32、第1記憶手段33、第2記憶手段34または制御手段15のうちの任意の手段をレンズ側に設けても良いことは勿論である。」との記載がある。そして、駆動範囲の情報入力、駆動範囲の情報記憶およびレンズ駆動範囲の制御をカメラボディ側で行うように構成した実施例が示された図3には、近距離側撮影規制設定ボタン41、遠距離側撮影規制設定ボタン42をカメラボディ上に設けたものが示されている。そうすると、前記情報入力手段32をレンズ側に設けることが引用例2に記載されているから、そのための構成要素である近距離側撮影規制設定ボタン41、遠距離側撮影規制設定ボタン42をレンズ側の表面部である鏡筒表面に設けることは、当業者が適宜なしえたものと認められる。そして、前記近距離側撮影規制設定ボタン41、遠距離側撮影規制設定ボタン42は、引用例1発明のスイッチSW3、スイッチSW4に、各々、対応しているから、引用例1発明のスイッチSW3、スイッチSW4を鏡筒表面に設けることは、当業者が容易に想到しえたものと認められる。また、引用例1発明の、スイッチSW3、スイッチSW4と同じく、手で操作される部材であって、距離範囲の制限を一時的に行なわない時に使用するスイッチSW5を鏡筒表面に設けることも同様に当業者が容易に想到しえたものと認められる。してみると、この相違点にかかる本願発明の構成は、当業者が引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された発明に基づいて容易に想到しえたものと認められる。

[相違点2について]
本願の明細書の段落【0054】には、本願発明の「解除操作部材」に対応する「レンジ解除スイッチSW5」について、「この実施形態では、レンジ解除スイッチSW5を用いた第1移動端、第2移動端の解除は、例えば、レンジ解除スイッチSW5が操作(オン)されている場合に、常に、行われる」との記載があり、前記記載によれば、本願発明の解除操作部材の、「操作されている期間に亘って解除」は、「オンである間解除」を表している。また、引用例1には、図3、段落【0020】及び【0025】に示されるように、S33においてスイッチSW5のオン/オフをチェックすることにより、オフである場合はS34へ進み、距離範囲の制限が行なわれ、オンであった場合はS43へ進み、何れの制限距離範囲の制限も行なわれないことが示されている。そうすると、本願発明のように、解除操作部材が「操作されている期間に亘って解除する」は、引用例1に記載されていると認めることができる。
また、引用例1発明において、距離範囲の制限を一時的に行なわない時に、第1の距離と第2の距離に関するデータの両方について制限が行なわれないようにすることに換えて、少なくとも一方の制限距離範囲の制限が行なわれないようにすることは、当業者が必要に応じて適宜なしえたものと認められる。
結局、この相違点にかかる本願発明の構成は、当業者が引用例1に記載された発明に基づいて容易に想到しえたものと認められる。

また、前記各相違点を総合的に検討しても奏される効果は当業者が当然予測できる範囲内のものと認められる。
そして、本願発明の奏する効果も、引用例1、2に記載の各技術事項が奏する効果以上のものが期待できるとも認められない。

4.むすび
したがって、本願発明は、引用例1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-01-30 
結審通知日 2008-02-05 
審決日 2008-02-18 
出願番号 特願平9-203258
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 本田 博幸  
特許庁審判長 江塚 政弘
特許庁審判官 青木 和夫
森内 正明
発明の名称 撮影レンズおよびカメラシステム  
代理人 古谷 史旺  

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