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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1176703
審判番号 不服2006-25719  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-11-15 
確定日 2008-04-24 
事件の表示 特願2001- 3708「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 7月23日出願公開、特開2002-204886〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成13年1月11日の出願であって、平成18年6月19日付けで拒絶理由が通知され、平成18年10月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成18年11月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。そして、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年1月31日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「遊技者により操作される操作手段と、前記操作手段に基づいて遊技動作を処理制御する処理制御手段と、前記処理制御手段の処理制御による遊技動作の結果,複数の図柄を停止表示する図柄表示手段と、前記図柄表示手段に停止表示された図柄組合せが図柄組合せによって予め定められた複数種類の入賞役のいずれかに該当して入賞が発生すると,前記処理制御手段の制御によって前記入賞役の種類に応じた配当を付与する配当付与手段とを備えて構成される遊技機において、
前記処理制御手段は、前記図柄表示手段に停止表示された図柄組合せが前記複数種類の入賞役のいずれかに該当して入賞が連続する連続入賞が発生して所定の事象が繰り返して起こると、前記配当付与手段に前記入賞役の種類に応じて付与される配当とは別に、前記連続入賞に対して前記入賞役の種類に関わらず褒賞を付与させる制御を行うことを特徴とする遊技機。」

2.当審の拒絶理由
一方、当審において平成19年11月27日付けで通知した拒絶の理由の概要は、本願発明は、本願の出願前に頒布された、特開平11-290505号公報(以下、「引用例1」という。)、「JRA 4歳3冠馬と天皇賞・秋、JC、有馬を制した馬に特別ボーナスを支給」、日刊スポーツ新聞、第15頁、1999.08.05、日刊スポーツ新聞社発行(以下、「引用例2」という。)及び特開2000-334162号公報(以下、「引用例3」という。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3.引用例
引用例1には、
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遊技に必要な複数の図柄を可変表示する可変表示装置と、この可変表示を制御するマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)等の制御手段とを備えたスロットマシン、パチスロ、ビデオポーカーその他の遊技機に関する。」(段落【0001】)、

「【0007】
【課題を解決するため手段】本発明の第1の態様は、遊技に必要な複数の図柄を可変表示する可変表示装置と、可変表示装置の可変表示を制御する制御手段と、任意の画像を表示可能な表示手段とを具備し、表示手段に表示される画像は、可変表示装置による通常の遊技とは別の二次遊技に必要な表示であって、通常の遊技が所定の入賞態様となったときに表示することを特徴とする。
【0008】二次遊技の例としては、表示手段において所定の図柄が複数個、所定方向に並ぶか或いは所定位置の全部に表示された時、上り(役成立)となって、所定の利益が遊技者に与えられるようなゲームが好適である。
【0009】表示手段としては、液晶,CRT,LEDなどの電気的表示装置、或いは従来のスロットマシン等で用いられている回転リール構造の機械的表示装置を使用できる。従って、表示手段で表示される画像には、これらの表示装置で表現できる種々の文字や図形、動画或いは光の点滅等、電気的に表示されるもののほか、リールの表面に描かれた図柄、模様なども含まれる。
【0010】第2の態様では、表示手段は、可変表示が停止した時の所定の入賞態様に対応したシンボル画像を、その種類別に表示可能な表示画面を有し、可変表示が停止して所定の入賞態様となる毎に、その入賞態様に対応したシンボル画像を表示画面に表示する。
【0011】第3の態様では、表示画面に一度に表示されるシンボル画像の数は、入賞態様の種類によって異なる。
【0012】第4の態様では、表示画面はシンボル画像の種類別に一定の表示領域を有しており、この表示領域内でシンボル画像が横方向に連続表示するように構成している。
【0013】第5の態様では、表示画面の表示が所定の条件を満たした時、遊技者に利益を与えることとする。この所定の条件としては、表示領域のいずれかがそこに表示されるシンボル画像で埋まった状態になることである。
【0014】第6の態様では、表示領域のいずれかを埋めたシンボル画像の種類によって遊技者に与える利益が異なることとする。
【0015】第7の態様では、表示画面が上記所定の条件を満たした後、制御手段は表示画面を初期画面に戻すリセット処理を行う。このリセット処理には、表示領域のいずれかを埋めたシンボル画像を全て消去する個別消去方式、表示画面上のシンボル画像を全て消去する全消去方式、又は個別消去方式と全消去方式の両方式を併存させていずれかの方式を任意に選択する方式がある。
【0016】第8の態様では、表示手段は、二次遊技によって遊技者に与える利益配当数をシンボル画像の種類別に表示する利益配当表示部を有し、上記リセット処理後、表示領域内を埋めたシンボル画像の利益配当数について、倍増もしくは所定数を加算した利益配当数を利益配当表示部に表示する。」(段落【0007】?【0016】)、

「【0029】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例のスロットマシンの外観を示す斜視図である。このスロットマシン1は、遊技媒体としてコイン、メダル又はトークンなどを用いて遊技する遊技機であるが、以下ではコインを用いるものとして説明する。
【0030】スロットマシン1の全体を形成しているキャビネット2の正面には、横に並んだ3つの表示窓3L,3C,3Rが設けられ、各表示窓の中央(入賞ライン14上)及び上下のいずれかの位置に種々の図柄(シンボル)が表示される(図3参照)。これらの図柄は、図2に示すように、表示窓3L,3C,3Rに対応してキャビネット2の内部に配置した3つの回転リール4L,4C,4Rの円周面を形成するシートの表面に描かれている。図2の例では、各シートの表面の長さ方向に22個の位置が設定され、所定の入賞態様となる図柄組合せを構成するシンボル“7”、“BAR”等、その他のシンボルが配置されると共に、偶数の位置は「ブランク」(空白)となっている。
【0031】このようなシートを円周面に巻いた回転リールは、本発明の遊技機における可変表示装置を構成する変動表示部材の一例の機械的変動表示手段である。変動表示部材の他の例としては、CRTや液晶の表示画面に種々の図柄や画像を表示する電気的変動表示手段がある。
【0032】上記キャビネット2の側面部には、遊技者の操作により上記リールを回転させるためのスタートレバー5が所定の角度範囲で回動自在に取り付けられている。
【0033】キャビネット2の正面部の表示窓の下方中央には、本発明における表示手段の一例としての液晶表示器6が配置されている。この液晶表示器6の表示画面は、図3に示すように、横方向の3つのラインで画面を仕切ることにより縦に3分割表示するシンボル画像表示部6aとコイン配当表示部6bとを含んで形成されている。3分割された各表示領域には、それぞれ独立した画像を表示し、表示すべき所定のシンボル画像が予め決められている。例えば、図3では、上段の表示領域6a1には、シンボル画像“7”、中段の表示領域6a2には、シンボル画像“3BAR”、下段の表示領域6a3には、シンボル画像“2BAR”を表示するように構成している。また、コイン配当表示部6bには、各シンボル画像毎に対応したコイン配当数が各表示部6b1,6b2,6b3に表示される。各シンボル画像は、後述のように、所定の条件により表示を開始される。そして、正面から見て左側から右側に向けてシンボル画像が連続表示され、3つの表示領域6a1,6a2,6a3のいずれかの表示領域をシンボル画像で埋めれば、遊技者に所定枚数のコインが払い出される(詳細は、後述する)。
【0034】液晶表示器6の下方には、遊技媒体であるコイン(或いはメダル)を入れるコイン投入口7、上記スタートレバー5の操作とは別に押しボタン操作で前記リールを始動するためのスピンスイッチ8、1回の押しボタン操作により、クレジットされているコインのうち1枚だけをゲームに賭けるための1-BETスイッチ9、1回のゲームに賭けることが可能な最大枚数のコインを賭けるための最大BETスイッチ10、遊技者が獲得したコインのクレジット/払い出しを押しボタン操作で切り換えるC/Pスイッチ11が配置され、キャビネット2の正面下部には、C/Pスイッチ11の切換えにより正面下部のコイン払出口12から払い出されるコインを貯めるコイン受け部13等が配置されている。
【0035】図4は、スロットマシン1における遊技処理動作を制御する制御部と、これに電気的に接続する周辺装置(アクチュエータ)とを含む回路構成を示す。
【0036】この場合、制御手段は、マイコン20を主たる構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン20は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU21と、記憶手段であるROM22及びRAM23を含み、CPU21に、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路24及び分周器25と、サンプリングされる乱数を発生する乱数発生器26及び乱数サンプリング回路27とが接続されている。なお、乱数サンプリングのための手段として、マイコン20内で、すなわちCPU21の動作プログラム上で乱数サンプリングを実行するように構成してもよい。その場合、乱数発生器26及び乱数サンプリング回路27は省略可能であり、或いは、乱数サンプリング動作のバックアップ用として残しておくことも可能である。
【0037】マイコン20のROM22には、スロットマシンの遊技制御のほか、後述の複数の表示画像を液晶表示器6の画面に表示する処理を実行するために必要な情報やデータが格納されている。
【0038】図4の回路において、マイコン20からの制御信号により動作が制御される主要なアクチュエータとしては、前記リール4L,4C,4Rをそれぞれ回転駆動するステッピングモータ15L,15C,15Rと、遊技媒体のコインを収納するホッパー(払い出しのための駆動部を含む)30と、前述の表示画面とがあり、それぞれモータ駆動回路31、ホッパー駆動回路32、液晶駆動回路16を介してCPU21の出力端に接続されている。これらの駆動回路は、CPU21から出力される駆動指令などの制御信号を受けて、各アクチュエータの動作を制御する。
【0039】また、マイコン20が制御信号を発生するために必要な入力信号を発生する主な入力信号発生手段として、コイン投入口7に投入されたコインを検出するコインセンサ7S、スタートレバー5の操作を検出するスタートスイッチ5S、スピンスイッチ8、1-BETスイッチ9、最大BETスイッチ10、C/Pスイッチ11、可変表示装置のリール回転検出器からのパルス信号を受けて各リールの位置を検知するための信号をCPU21へ供給するリール位置検出回路34、及び、ホッパー30から払い出されたコインを検出するコイン検出部35の計数値が指定された枚数データに達した時にコイン払出し完了を検知するための信号をCPU21へ供給する払出し完了信号回路36が、CPU21の入力端に接続されている。
【0040】図4の回路において、乱数発生器26は、所定の数値範囲に属する乱数を発生し、サンプリング回路27は、スタートレバー5が操作された後、適当なタイミングで乱数サンプリングを行う。サンプリングされた乱数は、ROM22内の記憶部に格納されている予め定めた入賞領域に属しているか否かが判定され、入賞領域に属していれば「入賞リクエスト信号」を発生する。
【0041】リール4L,4C,4Rの回転が開始された後、ステッピングモータ15L,15C,15Rの各々に供給される駆動パルスの数が計数され、その計数値はRAM23の所定エリアに書き込まれる。リール4L,4C,4Rからは各々の一回転毎にリセットパルスが得られ、これらのパルスはリール位置検出回路35を介してCPU21に入力される。CPU21は、こうして得られたリセットパルスにより、RAM23に格納した駆動パルス計数値を“0”にクリアする。これにより、RAM23内には、各リール4L,4C,4Rについて一回転の範囲内における回転位置に対応した計数値が格納される。
【0042】上記のようなリール4L,4C,4Rの回転位置と図柄とを対応づけるため、「図柄テーブル」がROM22に格納されている。ROM22には、「入賞図柄組合せテーブル」も格納されている。この入賞図柄組合せテーブルで、入賞となる図柄の組合せと、入賞のコイン配当枚数と、その入賞を表す入賞判定コードとが対応づけられる。入賞図柄組合せテーブルは、リール4L,4C,4Rの制御を行っている時、及び全リール停止後の入賞確認を行う時に参照される。更に、ROM22には、液晶表示器6に後述の二次遊技を行うための複数の表示画像データが格納されている。
【0043】図5は、回転リール4L,4C,4Rにおける通常のゲーム(一次遊技)及び液晶表示器6における通常のゲームとは別に行われるゲーム(二次遊技)についての動作の処理手順を示すフロー図である。図中ST1,ST2,・・・ は、手順(ステップ)の番号を示す。
【0044】この処理は、スロットマシン1の遊技制御手段であるマイコン20のCPU21で実行されるが、液晶表示器6のような表示手段自体が表示制御部としてのCPUを備えた場合には、そのCPUが、遊技制御手段としてのCPU21からの表示指令(例えば、入賞の種類又はハズレに対応した表示指令)に応じて表示画像を決定するようにしてもよい。
【0045】図5において、初めに遊技機(スロットマシン1)の電源がオンで、遊技者が所定の操作をする、すなわち、コイン投入口7にコインを投入し(ST1)、1-BETスイッチ9又は最大BETスイッチ10の操作後スタートレバー5又はスピンスイッチ8を操作すると(ST2)、リール4L,4C,4Rが回転して可変表示を開始する(ST3)。この時、乱数サンプリングにより抽出した乱数に基づいて入賞/非入賞の判定及び停止図柄の決定をする(ST4)。そして、「入賞リクエスト信号」が発生したかどうかを判定し(ST5)、その判定結果に応じて、回転中のリール4L,4C,4Rの停止制御を行う。すなわち、「入賞リクエスト信号」が発生したときは、入賞となる図柄組合せを表示するように停止制御を行い(ST7)、「入賞リクエスト信号」が発生していなければ、「ハズレ」となる図柄組合せを表示するように停止制御を行う(ST6)。
【0046】上記の処理において、ST3の可変表示は、CPU21がモータ駆動回路31に駆動信号を送り、ステッピングモータ15L,15C,15Rを駆動してリール4L,4C,4Rを回転することにより実現される。また、ST4の入賞判定は、適宜のタイミングで乱数発生器26から乱数をサンプリングし、抽出した乱数の値が予め定めた入賞領域に属しているか否かを判定することにより、実現される。そして、入賞と判定された場合には、CPU21は、入賞の種類に対応した図柄表示位置にリール4L,4C,4Rを停止制御する信号をモータ駆動回路31に送る。これにより、ST6又はST7の停止制御が実現される。 CPU21は、入賞と判定した場合には、入賞の種類に対応したコイン払出し指令信号をホッパー駆動回路32に供給してホッパー30から所定枚数のコインの払出しを行う(ST8)。その際、コイン検出部35は、ホッパー30から払い出されるコインの枚数を計数し、その計数値が指定された枚数データに達した時点で、払出し完了信号回路36がCPU21に払い出し完了信号を入力する。これにより、CPU21は、ホッパー駆動回路32を介してホッパー30の駆動を停止し、コインの払い出し処理を終了する。
【0047】また、CPU21は、「入賞リクエスト信号」が発生したとき(ST5で“YES”のとき)は、上記入賞判定によって決定した入賞態様が液晶表示器6における二次遊技用の入賞態様であるかどうかの判定を行う(ST9)。ここで、二次遊技は、各種入賞態様の内の所定の入賞態様(例えば“7-7-7”)が表示窓3L,3C,3Rの中央の入賞ライン14上に揃って入賞した場合にのみ行われ、図3のシンボル画像表示部6aの上段の表示領域6a1にリール図柄“7”と同じシンボル画像“7”を1つ表示する。
【0048】上記ST9の判定で二次遊技用の入賞態様でないと判定した場合は、二次遊技は行わず、ゲームを終了する。
【0049】一方、ST9において入賞ライン14上に二次遊技用の入賞態様を表示すると判定したときは、シンボル画像表示部6aの所定の表示領域6a1,6a2,6a3に所定のシンボル画像を1つ表示する(ST10)。
【0050】次に、二次遊技終了条件が達成されたかどうかを判定する(ST11)。二次遊技終了条件は、シンボル画像表示によって、シンボル画像表示部6aの3つの表示領域6a1,6a2,6a3のいずれか1つの表示領域がシンボル画像で埋まった(もはやシンボル画像を表示すべき領域がない)状態である。
【0051】上記ST11の判定で“YES”であれば、コイン払出し指令信号をホッパー駆動回路32に供給してホッパー30から所定枚数のコインの払出しを行う(ST12)。ここで払い出されるコインの枚数は、一定数に固定してもよいが、図柄によって異ならせる(例えば、図3の例では、“7”で二次遊技を終了した場合は500枚、“3BAR”の場合は100枚、“2BAR”の場合は50枚)と、二次遊技の興趣が更に高められる。
【0052】上記ST11の判定で“NO”であれば、このままゲームを終了する。
【0053】コインの払い出し後、CPU21は、次に行われるゲームに備えるためのシンボル画像表示部6aのリセット処理を行って(ST13)、遊技終了となる。」(段落【0029】?【0053】)、

「【0062】このように、各シンボル画像はシンボル画像表示部6aの所定の表示領域において横方向に並んでいくように連続表示され、いずれかのシンボル画像が所定個数を表示してその表示領域を埋め尽くしたら、二次遊技の入賞(ゴール)となり、所定枚数のコインが払い出される。コインの配当枚数は、液晶表示器6上のコイン配当表示部6bの各表示部6b1,6b2,6b3に各シンボル画像に対応して表示され、図8では、“7”のコインの配当枚数が500枚であることを示す“500”がコイン配当表示部6bの上段の表示部6b1に、“3BAR” のコインの配当枚数が100枚であることを示す“100”がコイン配当表示部6bの中段の表示部6b2に、“2BAR”のコインの配当枚数が50枚であることを示す“50”がコイン配当表示部6bの下段の表示部6b3に表示されている。」(段落【0062】)、

「【0088】上記実施例は、スロットマシンであるが、本発明は、可変表示装置でポーカー遊技を行うビデオポーカー(ゲーム機)にも適用できる。
【0089】例えば、ポーカーゲームの上がりであるカード図柄の組合せ“スリーカード”、“フルハウス”、“ストレートフラッシュ”等が可変表示部に表示されたとき、これらに対応して、上記シンボル画像表示部6aの各表示領域6a1,6a2,6a3に、シンボル画像“2BAR”、“3BAR”、“7”等を表示する。」(段落【0088】、【0089】)、

との記載が認められ、段落【0047】の「CPU21は、「入賞リクエスト信号」が発生したとき(ST5で“YES”のとき)は、上記入賞判定によって決定した入賞態様が液晶表示器6における二次遊技用の入賞態様であるかどうかの判定を行う(ST9)。」との記載は、通常のゲーム(一次遊技)において停止制御された図柄組合せが、一次遊技用の入賞態様であった場合に、二次遊技用の入賞態様であるかどうかの判定を行う、ということを表すことは明らかである。また、段落【0049】?【0051】の「ST9において入賞ライン14上に二次遊技用の入賞態様を表示すると判定したときは、シンボル画像表示部6aの所定の表示領域6a1,6a2,6a3に所定のシンボル画像を1つ表示する(ST10)。次に、二次遊技終了条件が達成されたかどうかを判定する(ST11)。二次遊技終了条件は、シンボル画像表示によって、シンボル画像表示部6aの3つの表示領域6a1,6a2,6a3のいずれか1つの表示領域がシンボル画像で埋まった(もはやシンボル画像を表示すべき領域がない)状態である。上記ST11の判定で“YES”であれば、コイン払出し指令信号をホッパー駆動回路32に供給してホッパー30から所定枚数のコインの払出しを行う(ST12)。」及び段落【0062】の「このように、各シンボル画像はシンボル画像表示部6aの所定の表示領域において横方向に並んでいくように連続表示され、いずれかのシンボル画像が所定個数を表示してその表示領域を埋め尽くしたら、二次遊技の入賞(ゴール)となり、所定枚数のコインが払い出される。」との記載によれば、引用例1には、「一次遊技用の入賞態様となった図柄組合せが二次遊技用の入賞態様であった場合の回数が所定の数になった場合に所定枚数のコインの払出しを行う」ことが記載されていることは明らかである。
したがって、これらの記載によれば、引用例1には、
「遊技者の操作により上記リールを回転させるためのスタートレバー5又はスピンスイッチ8と、遊技処理動作を制御する制御部と、停止制御された図柄組合せを可変表示する可変表示装置と、停止制御された図柄組合せが一次遊技用の入賞態様となる図柄の組合せであった場合に所定枚数のコインの払出しを行うホッパー30とを備えた遊技機において、
前記制御部は、可変表示装置の図柄表示位置に停止制御された図柄組合せが一次遊技用の入賞態様となる図柄の組合せであった場合に所定枚数のコインの払出しを行い、さらに、前記一次遊技用の入賞態様となった図柄組合せが二次遊技用の入賞態様であった場合の回数が所定の数になった場合に所定枚数のコインの払出しを行うことを特徴とする遊技機。」
との発明(以下、「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

引用例2には、
「JRAが、来年から4歳クラシック(皐月賞、ダービー、菊花賞)3冠馬(内国産馬に限る)、ならびに天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念のすべてを制した(同一年)馬に数億円規模の「特別ボーナス」を支給することが4日、明らかになった。・・・。
外国産馬へのクラシック解放は、国内の生産者にとっては大きなプレッシャーとなる。能力の高い外国産馬の攻勢で、馬が売れなくなり、生産業そのものが立ち行かなくなる不安に直面するからだ。そこで、開放の見返りとして考え出された案の1つが、3冠馬(皐月賞、ダービー、菊花賞)に対するボーナスだ。支給対象は内国産馬に限り、馬主、生産者に対して一定額が支払われる。金額は未定だが、外国の例からも数億円単位に設定されるのは確実だ。
同年に天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念を制した馬についても同様にボーナスを支給する。これは生産者対策のほかに、この3レースを歴史があり格の高い「G1中のG1」と位置づけ、A級馬の全戦参戦を呼びかける意味も含まれる。」
が記載されている。

引用例3には、
「【発明の属する技術分野】本発明は、ゲーム結果に応じてメダルが払い出されるゲーム装置および情報記憶媒体に関するものである。」(段落【0001】)、

「【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明は、ゲーム結果に応じてメダルが払い出されるゲーム装置において、内容の異なる複数の通常ゲームと、該通常ゲームの結果が所定条件を満たしたことを判定する手段と、該判定手段が前記所定条件に満たしたと判定したとき、出現する前記通常ゲームと内容の異なる特定ゲームとを有することを特徴としている。」(段落【0005】)、

「【0014】本実施形態のゲーム装置では、宝くじゲーム11、すごろくゲーム12、トランプゲーム13、ビンゴゲーム14、ゴルフゲーム15および麻雀ゲーム16の各通常ゲームが予め決められた順番で行われるとともに、各投票ステージ4a?4eでは同一ゲームをすべて同時進行でを行われるように設定されている。各通常ゲームは、まずメダルベットの受付をし、受付時間が終了すると、ゲームが開始される。そして、ゲームが終了するとその結果に応じてメダルが払い出され、そして次のゲームのメダルベットの受付を開始する。
【0015】このように構成された通常ゲーム11?16は、各ゲーム毎に勝ち負けが判定されるので、プレイヤーは通常ゲームへの参加、不参加を任意に選択することができる。よって、すべての通常ゲームに参加することもできるし、得意とするゲームだけを選択して参加することもできる。
【0016】本実施形態のゲーム装置は、図示していない制御部の判定手段によって通常ゲームの結果を監視しており、各通常ゲーム11?16に対して所定以上の成績、例えば連続して6つの通常ゲーム11?16に勝利したとき等の結果が得られたとき、そのプレイヤーに対してボーナスゲーム20が実施される。
【0017】図4は、そのボーナスゲーム20が開始されるまで制御フローを示すもので、通常ゲーム11?16が行われると(ステップ1)、プレイヤーが勝利したかが判断される(ステップ2)。プレイヤーが通常ゲームを勝利すると、勝利数メモリが1を加算し(ステップ3)、負けると勝利数メモリがクリアされて通常ゲームに戻る(ステップ4)。通常ゲームに勝利した場合には、勝利数メモリが6になったかが判断される(ステップ5)。すなわち、通常ゲーム11?16を連続してすべて勝利したかが判断される。そして、6連勝するとボーナスゲーム20が行われる(ステップ6)。なお、通常ゲームに勝利しても勝利数メモリが6に達しない場合には次の通常ゲームに戻る。また、図示していないが、通常ゲームに参加しなかった場合も上記勝利数メモリはクリアされる。
【0018】このようにしてボーナスゲーム20が行われ、このボーナスゲームとしては前記標的22を回転し、投票ステージ4a?4eに設けられた発射ボタン23を押して矢を標的22に当て、その当たった数字に応じてメダルを払い出す等に設定されている。」(段落【0014】?【0018】)、

「また、上記実施形態では通常ゲームで所定の条件をクリアすると、ボーナスゲームの参加権利が得られるが、ボーナスゲームの代りに所定枚数のメダルを払い出すようにしても良い。さらに、ボーナスゲームに代って、次の1ないし複数の通常ゲームにおいて、そのゲーム設定を大幅に易しくし、簡単に勝利することができるように構成することもできる。なお、このように構成するとボーナスゲームを不要にすることができる。」(段落【0022】)
が記載されている。

4.対比・判断
そこで、本願発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「スタートレバー5又はスピンスイッチ8」は、本願発明の「操作手段」に相当し、以下同様に、「制御部」は「処理制御手段」に、「可変表示装置」は「図柄表示手段」に、「ホッパー30」は「配当付与手段」に、それぞれ相当し、さらに、引用例1発明の「停止制御された図柄組合せが一次遊技用の入賞態様となる図柄の組合せであった場合に所定枚数のコインの払出しを行う」は、本願発明の「停止表示された図柄組合せが図柄組合せによって予め定められた複数種類の入賞役のいずれかに該当して入賞が発生すると,入賞役の種類に応じた配当を付与する」に相当するから、両者は、
「遊技者により操作される操作手段と、前記操作手段に基づいて遊技動作を処理制御する処理制御手段と、前記処理制御手段の処理制御による遊技動作の結果,複数の図柄を停止表示する図柄表示手段と、前記図柄表示手段に停止表示された図柄組合せが図柄組合せによって予め定められた複数種類の入賞役のいずれかに該当して入賞が発生すると,前記処理制御手段の制御によって前記入賞役の種類に応じた配当を付与する配当付与手段とを備えて構成される遊技機。」という点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
処理制御手段が、本願発明では、「図柄組合せが図柄組合せによって予め定められた複数種類の入賞役のいずれかに該当して入賞が発生すると,前記入賞役の種類に応じた配当を付与」し、さらに、「図柄表示手段に停止表示された図柄組合せが前記複数種類の入賞役のいずれかに該当して入賞が連続する連続入賞が発生して所定の事象が繰り返して起こると、配当付与手段に前記入賞役の種類に応じて付与される配当とは別に、前記連続入賞に対して前記入賞役の種類に関わらず褒賞を付与させる制御を行う」というものであるのに対して、引用例1発明では、「可変表示装置の図柄表示位置に停止制御された図柄組合せが一次遊技用の入賞態様となる図柄の組合せであった場合に所定枚数のコインの払出しを行い、さらに、前記一次遊技用の入賞態様となった図柄組合せが二次遊技用の入賞態様であった場合の回数が所定の数になった場合に所定枚数のコインの払出しを行う」というものである点。

次に相違点を検討する。
[相違点1]について
この相違点において、引用例1発明には、本願発明の「図柄組合せが図柄組合せによって予め定められた複数種類の入賞役のいずれかに該当」に対応する「図柄組合せが一次遊技用の入賞態様となる図柄の組合せであった場合」という構成は示されてはいるものの、本願発明の「前記複数種類の入賞役のいずれかに該当して入賞が連続する連続入賞が発生して所定の事象が繰り返して起こる」という点については示されていない。
しかしながら、引用例1には、二次遊技用の入賞態様となる図柄組合せの実施例として、“2BAR”、“3BAR”、“7”が例示されているから、引用例1には、通常のゲーム(一次遊技)と二次遊技との両方に共通する入賞態様が複数種類あることが明確に示されているといえる。
そして、引用例2には、競馬のA級馬の全戦参戦を呼びかけるための方策として、同一年に、皐月賞、ダービー、菊花賞のすべてを制した場合、又は、天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念のすべてを制した場合に特別ボーナスを与えることが示され、また、引用例3には、トランプゲーム、麻雀ゲーム等の複数の通常ゲームを所定数連勝した場合に、所定枚数のメダルを払い出したり、当たった数字に応じてメダルを払い出すボーナスゲームを行うことが示されている。さらに、引用例3には、通常ゲームの参加について、段落【0015】に「すべての通常ゲームに参加することもできるし、得意とするゲームだけを選択して参加することもできる。」との記載から、ボーナスゲームの対象として、1種類の通常ゲームに連勝した場合も含まれることは明らかである。
そして、この引用例2、3に示される、ゲームに連勝した時にボーナスを与えたり、メダルを払い出すボーナスゲームを行うという技術思想を引用例1発明に適用することに格別の困難性は認められないから、引用例2、3に示される前記技術思想を引用例1発明に適用し、停止制御された図柄組合せが、複数種類ある一次遊技用の入賞態様のいずれかに該当して、その入賞が連続した時に所定枚数のコインの払出しを行うようにすることによって、この相違点にかかる本願発明のように構成することは、当業者が容易に想到しえたものと認められる。

また、本願発明の奏する効果も、引用例1?3に記載の各技術事項が奏する効果以上のものが期待できるとも認められない。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用例1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-02-21 
結審通知日 2008-02-26 
審決日 2008-03-10 
出願番号 特願2001-3708(P2001-3708)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松川 直樹  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 植野 孝郎
青木 和夫
発明の名称 遊技機  
代理人 峯岸 武司  

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