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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1177231
審判番号 不服2005-12271  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-06-30 
確定日 2008-05-08 
事件の表示 平成 9年特許願第190878号「プロセス監視制御システム」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 2月12日出願公開、特開平11- 38952〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成9年7月16日の出願であって、平成17年5月26日付け(発送日:同年5月31日)で拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月30日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、同年7月29日付けで明細書を補正対象とする手続補正書(以下、この手続補正書による補正を「平成17年7月29日付け補正」といい、また「本件補正」ともいう。)が提出されたものである。

第2 平成17年7月29日付け補正についての補正の却下の決定
1 補正の却下の決定の結論
平成17年7月29日付け補正を却下する。

2 補正の却下の決定の理由
(1)本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を次のように補正する内容を含むものである。

ア 本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】 ネットワーク結合されるCRT監視制御装置とプログラマブル・ロジック・コントローラ及びマクロ監視用表示装置を備えたプロセス監視制御システムにおいて、
前記マクロ監視用表示装置は、複数台のCRT又はプロジェクタによって複数画面を持つ構成にしたマルチスクリーンディスプレイと、キーボードやマウスを接続したパソコン構成のマルチスクリーン表示制御装置とを備え、
前記マルチスクリーン表示制御装置は、前記コントローラ等から監視制御情報とその画面表示指定情報が与えられたとき、該画面表示指定情報に応じて、前記マルチスクリーンディスプレイの全画面を1画面として当該監視制御情報をトレンド表示又はグラフィック表示、又は一部画面にトレンド表示して他の画面にグラフィック表示する処理手段を備えたことを特徴とするプロセス監視制御システム。」

イ 本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】 ネットワーク結合されるCRT監視制御装置とプログラマブル・ロジック・コントローラ及びマクロ監視用表示装置を備えたプロセス監視制御システムにおいて、
前記マクロ監視用表示装置は、複数台のCRT又はプロジェクタによって複数画面を持つ構成にしたマルチスクリーンディスプレイと、マンマシンインタフェース用のキーボードやマウスを接続、およびITVやビデオなどの映像信号を発生する映像信号発生装置を接続したパソコン構成のマルチスクリーン表示制御装置とを備え、
前記マルチスクリーン表示制御装置は、
前記プログラマブル・ロジック・コントローラからのプロセス情報をプロセスI/O手段16を経て取り込みビット・計測処理を行う監視手段17と、 イベントアラーム表示手段20を介して前記マルチスクリーンディスプレイに状態・故障情報を表示する状態・故障情報表示手段19と、 前記CRT監視制御装置からの情報を前記マルチスクリーンディスプレイに表示するCPUリンク手段27と、 画面ビルダ手段29、ユーティリティ手段30、システムメンテナンス手段31、ユーザプログラミング手段32を備え、前記キーボードやマウスからの入力情報を前記マルチスクリーンディスプレイに表示するマンマシンインタフェース28とを備え、 前記監視手段17は、 状態・故障情報表示手段19を参照しながら該プロセス情報の処理を実行し、その結果がトレンド表示の場合にはトレンドウィンドウ表示手段23を介して前記マルチスクリーンディスプレイにトレンド表示する手段と、 表示要求がグラフィック表示の場合にはグラフィックウィンドウ表示手段22を介して前記マルチスクリーンディスプレイにグラフィック表示する手段と、 トレンド表示とグラフィック表示について、あらかじめ設定される画面表示指定を基にマルチスクリーンパノラマ表示手段21を介して前記マルチスクリーンディスプレイの全画面を1画面としてトレンド表示又はグラフィック表示、又は一部画面にトレンド表示して他の画面にグラフィック表示する手段と、 カメラ選択手段18により選択された前記映像信号発生装置からの映像信号を、動画像ウィンドウ表示手段24を介して前記マルチスクリーンディスプレイに動画像として表示する手段と、を備えたことを特徴とするプロセス監視制御システム。」
なお、アンダーラインは、補正箇所を示すために請求人が付したものである。

(2)補正の目的について
本件補正の請求項1についての補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「キーボードやマウス」について、「マンマシンインターフェイス用」との限定を付加し、
請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「マルチスクリーン表示制御装置」について、「ITVやビデオなどの映像信号を発生する映像信号発生装置を接続した」という限定を付加するとともに、「前記プログラマブル・ロジック・コントローラからのプロセス情報をプロセスI/O手段16を経て取り込みビット・計測処理を行う監視手段17と、イベントアラーム表示手段20を介して前記マルチスクリーンディスプレイに状態・故障情報を表示する状態・故障情報表示手段19と、前記CRT監視制御装置からの情報を前記マルチスクリーンディスプレイに表示するCPUリンク手段27と、画面ビルダ手段29、ユーティリティ手段30、システムメンテナンス手段31、ユーザプログラミング手段32を備え、前記キーボードやマウスからの入力情報を前記マルチスクリーンディスプレイに表示するマンマシンインタフェース28とを備え」という限定を付加し、
また、本件補正により付加された上記「前記監視手段17」について、さらに、「状態・故障情報表示手段19を参照しながら該プロセス情報の処理を実行し、その結果がトレンド表示の場合にはトレンドウィンドウ表示手段23を介して前記マルチスクリーンディスプレイにトレンド表示する手段と、表示要求がグラフィック表示の場合にはグラフィックウィンドウ表示手段22を介して前記マルチスクリーンディスプレイにグラフィック表示する手段と、カメラ選択手段18により選択された前記映像信号発生装置からの映像信号を、動画像ウィンドウ表示手段24を介して前記マルチスクリーンディスプレイに動画像として表示する手段と、を備えた」という限定を付加するとともに、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「マルチスクリーン表示制御装置」の備える「前記コントローラ等から監視制御情報とその画面表示指定情報が与えられたとき、該画面表示指定情報に応じて、前記マルチスクリーンディスプレイの全画面を1画面として当該監視制御情報をトレンド表示又はグラフィック表示、又は一部画面にトレンド表示して他の画面にグラフィック表示する処理手段」については、上記「前記監視手段17」の備える「トレンド表示とグラフィック表示について、あらかじめ設定される画面表示指定を基にマルチスクリーンパノラマ表示手段21を介して前記マルチスクリーンディスプレイの全画面を1画面としてトレンド表示又はグラフィック表示、又は一部画面にトレンド表示して他の画面にグラフィック表示する手段」と限定するものである。
そして、本件補正の請求項1についての補正は、同時に、平成17年2月28日付けの拒絶理由で指摘された、本件補正前の「前記コントローラ等から監視制御情報とその画面表示指定情報が与えられたとき、該画面表示指定情報に応じて」についての記載不備も解消するものでもある。
したがって、本件補正の請求項1についての補正は、平成18年法律第55号による改正前の特許法(以下、単に「特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮及び同項第4号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(3)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本件出願の日前に頒布された刊行物である特開平9-16367号公報(公開日:平成9年1月17日。以下「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0001】【産業上の利用分野】本発明は,オペレーションシステムと連携動作が可能なマルチスクリーン制御システムに関するものである。
【0002】既存のマルチスクリーン制御システムは,オペレーション端末の操作画面の表示にとどまったシステムである。通信網オペレーションシステムにおいては,警報監視をはじめとして様々なオペレーションを必要とする。そのため,これらのオペレーションシステムとの連携動作が可能なマルチスクリーンのHMI(Human-Machine Interface) システムが重要である。
【0003】【従来の技術】マルチスクリーン制御システムは,複数のコンピュータシステムの画像を,任意の位置に,必要であれば拡大して表示できるシステムである。通信網オペレーションシステムにおけるマルチスクリーン制御システムのHMIには,複数のオペレーション操作画面をオペレーションの内容に応じて切り替え,表示することができる機能が必要である。通信網オペレーションシステムは,様々なオペレーションシナリオにより,多種多様な操作画面を持つ。例えばネットワークリソース等の警報監視業務も,多くの監視画面を持つ。通信網オペレーションのシナリオが複雑になるにつれ,それに伴うオペレーションシステムの操作画面および監視画面の数は,増加する傾向にある。マルチスクリーン制御システムは,これらの要求条件を満たし,効率よく運用を行うことができるシステムとして位置づけられるが,従来,複数の操作画面を単に集めて人間が切り替えて表示するだけであり,オペレーション効率を向上させる上で不十分であった。」

イ 「【0011】【課題を解決するための手段】図1は,本発明の構成例を示す図である。図中,10はマルチスクリーン制御マネージャ部,11はマルチスクリーン制御エージェント部,12はマルチスクリーン制御装置,13はサービス管理システム(SMS),14はネットワーク管理システム(NMS),15は伝送装置等のネットワークエレメント(NE)を表す。
【0012】マルチスクリーン制御マネージャ部10は,サービス管理システム13やネットワーク管理システム14やネットワークエレメント15等の通信網オペレーションシステムから送られてくるCMIP,SNMP等の通信プロトコルを用いたイベント通知を受信する手段と,受信したイベント通知の内容を識別して,その内容に関係する操作画面を割り出す手段と,その割り出した操作画面をマルチスクリーン上に表示または拡大表示するための制御信号を通信プロトコルに従って組み立てて送出する手段とを持つ。
【0013】マルチスクリーン制御エージェント部11は,マルチスクリーン制御マネージャ部10からの制御信号を受信し,マルチスクリーン制御装置12が識別可能なプロトコルの制御信号に変換して,マルチスクリーン制御装置12に送出する装置である。
【0014】マルチスクリーン制御装置12は,複数の画面を持つマルチスクリーンの画面表示を制御する装置である。本発明は,これらの装置によって構成される。本発明の特徴は,マルチスクリーン制御マネージャ部10とマルチスクリーン制御エージェント部11間の制御プロトコルとして通信網オペレーションシステムと同様のプロトコルを用いたことにある。
【0015】なお,サービス管理システム13は,パス開通や試験等のオペレーションシナリオを実行するシステムであり,ネットワーク管理システム14は,ネットワーク上のパスや伝送装置等の管理を行うシステムであり,ネットワークエレメント15は,例えばXCやSLTなどの通信を行うための伝送装置(ハードウェア)である。
【0016】【作用】マネージャは,情報のやり取りなどにおいてそれを管理する側のモジュールであり,エージェントは,管理される側のモジュールである。
【0017】本発明では,マルチスクリーン制御マネージャ部10が,サービス管理システム13,ネットワーク管理システム14,または一般のネットワークエレメント15等からCMIP,SNMP等の通信プロトコルを用いたイベント通知を受信すると,そのイベント通知の内容に関係する操作画面を割り出し,割り出した操作画面を表示拡大するための通信プロトコルを組み立ててマルチスクリーン制御エージェント部11に指示し,マルチスクリーン制御エージェント部11がマルチスクリーン制御装置12に対して,複数の画面を持つマルチスクリーンの画面表示を制御するための制御信号を送出するので,オペレーションシステムのオペレーションに応じて連携動作が可能であり,オペレーションの結果に応じて,最適な操作画面を選択し,任意の位置に切り替え表示もしくは拡大表示することができる。
【0018】マルチスクリーン制御マネージャ部10におけるイベント通知の内容に関係する操作画面の割り出し処理は,例えばあらかじめイベント種別と操作画面種別および拡大表示するかしないかなどの情報とをテーブル化しておき,それを参照することによって実現することができる。
【0019】このオペレーションシステムとの連携動作の実現にあたっては,CMIPプロトコル,SNMPプロトコル等のオペレーションシステムに利用されるプロトコルを使用可能である。
【0020】【実施例】本実施例のマルチスクリーン制御システムは,オペレーションシステムとの連携動作を行うために,オペレーションシステムに使用されている制御用プロトコルとしてCMIP(Common Management Information Protocol) を用いた。オペレーションシステムに使用されるプロトコルを用いることにより,例えばSNMP(Simple Network Management Protocol) プロトコルや他のプロトコルを用いることも可能である。
【0021】なお,このプロトコルに関する参考文献としては以下のものがあり,よく知られているものであるので,ここでは,これらのプロトコルに関する詳細な説明を省略する。
【0022】〔参考文献〕
[1]大鐘久生著:“?SNMPとCMIP? TCP/IPとOSIネットワーク管理”,SRCハンドブック,ISBN4-915778-21-5 .
[2]M.T.ローズ著 西田竹志訳:“TCP/IPネットワーク管理入門実用的な管理をめざして”,トッパン,ISBN4-8101-8521-4 .
図2に本実施例のマルチスクリーン制御システムとそれを用いたオペレーションシステムの概要を示す。
【0023】本マルチスクリーン制御システムは,図2(A)に示すように,(1) マルチスクリーン制御マネージャ(Multi Screen Control Manager) システム20,(2) マルチスクリーン制御エージェント(Multi Screen Control Agent) システム21,(3) マルチスクリーン制御装置 (Multi Screen Control Device)12,(4) マルチスクリーンモニタ (Multi Screen Monitors)22,の4つの部分からなる。
【0024】マルチスクリーン制御エージェントシステム21は,マルチスクリーン制御装置12およびマルチスクリーンモニタ22に対応して存在する。マルチスクリーン制御マネージャシステム20は,システム内に1個または複数個存在する。
【0025】これにより,図2(B)のようなマルチスクリーン制御システムを用いた通信網オペレーションシステムを構築することができる。マルチスクリーン制御マネージャシステム20は,マルチスクリーン制御エージェントシステム21とともに動作し,複数のオペレーションシステム上のエージェント24(図1に示すサービス管理システム13,ネットワーク管理システム14,ネットワークエレメント15等)から送られてくるイベントレポート(EventReport) を監視する。マルチスクリーン制御マネージャシステム20は,それらのイベントレポートから,あらかじめ決められたシナリオに従い,警報等を認識し,そのイベントレポートに最適と考えられる操作画面を選択して,最適な位置への表示もしくは拡大表示を行うために,マルチスクリーン制御エージェントシステム21に対して,その制御に対応するCMIPコマンドを生成し送出する。
【0026】このマルチスクリーン制御システムを用いて,オペレーションシステムを構築することにより,通信網オペレーションシステムとの連携動作が可能になり,各スクリーンに最適な操作画面を表示,拡大制御することができる。
【0027】図3に,本発明に係るマルチスクリーン制御システムの装置構成例を示す。図中,12はマルチスクリーン制御装置,15はネットワークエレメント(NE),30はマルチスクリーン,31はマルチスクリーン制御装置12からの制御信号によって指定された画像を拡大する画像拡大装置,32はマルチスクリーン制御装置12からの制御信号によってマルチスクリーン30に表示する画像を切り替える画像切り替え器,33a?33dはオペレーション端末であるワークステーション(WS),34はTCP/IP等によるネットワーク(Network)を表す。
【0028】図4に,本実施例におけるマルチスクリーン制御システムと通信網オペレーションとの結合例を示す。また,図5に,画像の切り替え,拡大の実行シーケンスを示す。
【0029】図4に示すHMI端末40?42は,図3に示すワークステーション33a?33dの中のオペレーション端末である。サービス管理システム13,ネットワーク管理システム14は,それぞれ図3に示すワークステーション33a?33dの中の1つまたは複数で動作する。また,マルチスクリーン制御マネージャシステム20およびマルチスクリーン制御エージェントシステム21も,図3に示すワークステーション33a?33dの中のいずれかで動作する。マルチスクリーン制御マネージャシステム20は,複数あってもよい。ネットワークエレメント15は,例えばXCやSLTなどの通信を行うための伝送装置である。
【0030】このような図4に示す通信網オペレーションシステムにおいて,各々のシステムはすべてCMIPプロトコルを用いてオペレーションを行っている。HMI端末40?42は,通信網オペレーションシステムのオペレーションを行うための端末であり,オペレータによって,HMI端末40?42から通信網オペレーションが行われる。
【0031】図5に示すオペレーションシステム50は,図4に示すサービス管理システム13,ネットワーク管理システム14,ネットワークエレメント15等であり,通信網オペレーションを行うため様々なイベント通知,警報通知等を行っている。マルチスクリーン制御マネージャシステム20は,これらのオペレーションシステム50のイベント通知,警報通知等を監視するシステムとして動作している。このマルチスクリーン制御マネージャシステム20は,イベント通知,警報等のイベントを受け取った後には,そのイベント通知の種類,またそのイベント通知により影響があると思われるHMI端末40?42の操作画面を抽出し,拡大表示もしくは表示位置を選択する。
【0032】マルチスクリーン制御マネージャシステム20は,そのHMI端末40?42の画面を拡大もしくは表示するために,マルチスクリーン制御エージェントシステム21に対して表示および拡大動作を行う送出(CMIPもしくはSNMP)コマンドを組み立てる。本実施例で用いたCMIPコマンドは,M-SET,M-GETコマンドである。このコマンドによって送受信される制御情報として,例えば標準画面の切り替え指示,拡大画面の切り替え指示,出力機器の設定指示,表示スクリーンを決めるスイッチ設定指示,スイッチ状態の読み出し指示,現在の状態の次の状態のスイッチ状態呼び出し指示,現在の状態の前の状態のスイッチ状態呼び出し指示,スイッチ番号の状態を画面に反映させる指示,スクリーンの電源をオンにする指示,スクリーンの電源をオフにする指示,制御装置のリセット指示,操作履歴の要求,特定のスクリーンのミュート実行指示,全スクリーンのミュート実行指示,スクリーンセーバ起動のためのタイマ起動指示,現在のモニタ状態の要求,コネクションの切断指示等がある。
【0033】マルチスクリーン制御エージェントシステム21は,マルチスクリーン制御マネージャシステム20が送出したコマンドを受信すると,マルチスクリーン制御装置12に制御コマンドを送る。これにより,マルチスクリーン制御装置12を介して,マルチスクリーン30上にHMI端末40?42の画面が最適な位置に表示もしくは拡大表示される。
【0034】以上の装置構成をもとに,マルチスクリーン30として12台のマルチスキャンモニタを設置し,実際に本システムを稼働させたところ,通信網オペレーションシステムと連携動作が可能なマルチスクリーン制御システムの動作結果を確認することができ,その効果を検証することができた。
【0035】【発明の効果】以上説明したように,本発明によれば,オペレーションシステムのオペレーションに応じて連携動作が可能で,任意のオペレーション画面を自由に切り替え,拡大表示が可能な連携動作を実現することができるため,オペレーション業務や監視業務等の内容に応じて適切なオペレーションを遂行することができ,警報監視業務等のオペレーション効率を著しく向上させることが可能になる。」

ウ 図面の図3には、8つのスクリーンからなるマルチスクリーン30に表示される画面について、中央の4つのスクリーンを用いて画面3が表示され、左右の4つのスクリーンにそれぞれ1ないし4の画面が表示されるごとく描かれている。

上記摘記事項アないしウによると、引用例には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「ネットワーク結合されるワークステーション33a?33dの中のオペレーション端末であるHMI端末40?42とネットワークエレメント15を含むオペレーションシステム50及びマルチスクリーン30を備えた通信網オペレーションシステムとの連携動作が可能なマルチスクリーン制御システムにおいて、
マルチスクリーン30と、マルチスクリーン制御装置12と、ワークステーション33a?33dの中のいずれかで動作するマルチスクリーン制御マネージャシステム20及びマルチスクリーン制御エージェントシステム21であって、
マルチスクリーン制御マネージャシステム20は、オペレーションシステム50のイベント通知、警報通知等を監視するシステムとして動作し、イベント通知、警報等のイベントを受け取った後には、そのイベント通知の種類、またそのイベント通知により影響があると思われるHMI端末40?42の操作画面を抽出し、拡大表示もしくは表示位置を選択して、HMI端末40?42の画面を拡大もしくは表示するために,マルチスクリーン制御エージェントシステム21に対して表示および拡大動作を行う送出(CMIPもしくはSNMP)コマンドを組み立て、
マルチスクリーン制御エージェントシステム21は、マルチスクリーン制御マネージャシステム20が送出したコマンドを受信して、マルチスクリーン制御装置12に制御コマンドを送り、これにより、マルチスクリーン制御装置12を介して、マルチスクリーン30上にHMI端末40?42の画面が最適な位置に表示もしくは拡大表示されるマルチスクリーン制御システム。」

(4)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
a 引用発明の「ネットワーク結合されるワークステーション33a?33dの中のオペレーション端末であるHMI端末40?42」は、本件補正発明の「ネットワーク結合されるCRT監視制御装置」に相当する。
b 本件補正発明の「プログラマブル・ロジック・コントローラ」と、引用発明の「ネットワークエレメント15を含むオペレーションシステム50」とは、「監視制御対象」である点で共通する。
c 引用発明は「マルチスクリーン30」で表示を行うから、引用発明には、本件補正発明の「マクロ監視用表示装置」に相当するものが存在し、引用発明の「マルチスクリーン30」はまた、本件補正発明の「複数台のCRT又はプロジェクタによって複数画面を持つ構成にしたマルチスクリーンディスプレイ」に相当する。
d 本件補正発明の「プロセス監視制御システム」と、引用発明の「通信網オペレーションシステムとの連携動作が可能なマルチスクリーン制御システム」とは、「監視制御システム」である点で共通する。
e 本件補正発明の「前記プログラマブル・ロジック・コントローラからのプロセス情報をプロセスI/O手段16を経て取り込みビット・計測処理を行う監視手段17」と、引用発明の「オペレーションシステム50のイベント通知、警報通知等を監視するシステムとして動作」する「マルチスクリーン制御マネージャシステム20」とは、「監視制御対象からの情報をI/O手段を経て取り込み監視を行う監視手段」である点で共通する。
f 引用発明の「マルチスクリーン制御エージェントシステム21」は、「マルチスクリーン制御装置12」を介して、マルチスクリーン30上にHMI端末40?42の画面を最適な位置に表示もしくは拡大表示するから、引用発明の「マルチスクリーン制御エージェントシステム21」及び「マルチスクリーン制御装置12」は、本件補正発明の「 前記CRT監視制御装置からの情報を前記マルチスクリーンディスプレイに表示するCPUリンク手段27」に相当する。

そうすると、本件補正発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点1ないし5で相違する。

(一致点)
「ネットワーク結合されるCRT監視制御装置と監視制御対象及びマクロ監視用表示装置を備えた監視制御システムにおいて、
前記マクロ監視用表示装置は、複数台のCRT又はプロジェクタによって複数画面を持つ構成にしたマルチスクリーンディスプレイと、マルチスクリーン表示制御装置とを備え、
前記マルチスクリーン表示制御装置は、
前記監視制御対象からの情報をI/O手段を経て取り込み監視を行う監視手段と、
前記CRT監視制御装置からの情報を前記マルチスクリーンディスプレイに表示するCPUリンク手段とを備えた監視制御システム。」

(相違点1)
本件補正発明は、「プログラマブル・ロジック・コントローラ」を監視制御対象とする「プロセス監視制御システム」であり、「監視手段」は、「前記プログラマブル・ロジック・コントローラからのプロセス情報を取り込みビット・計測処理を行う」のに対し、引用発明は、「ネットワークエレメント50を含むオペレーションシステム50」を監視制御対象とする「通信網オペレーションシステムとの連携動作が可能なマルチスクリーン制御システム」であって、「監視手段」は、「オペレーションシステム50からののイベント通知、警報通知等の情報を取り込み監視する」ものである点。

(相違点2)
本件補正発明の「マルチスクリーン表示制御装置」が、マンマシンインターフェイス用のキーボードやマウスを接続したパソコン構成のマルチスクリーン表示制御装置であるのに対し、引用発明の「マルチスクリーン表示制御装置」は、ワークステーション33a?33dの中のいずれかで動作するマルチスクリーン制御エージェントシステム21が、マルチスクリーン制御装置12を介して、マルチスクリーン30上の表示を制御するように構成され、パソコン構成とはされておらず、また、本件補正発明が「画面ビルダ手段29、ユーティリティ手段30、システムメンテナンス手段31、ユーザプログラミング手段32、前記キーボードやマウスからの入力情報を前記マルチスクリーンディスプレイに表示するマンマシンインタフェース28」を備えているのに対し、引用発明ではこれらの構成を具備しているのかどうかが明らかではない点。

(相違点3)
本件補正発明の「マルチスクリーン制御手段」は、「ITVやビデオなどの映像信号を発生する映像信号発生装置を接続した」ものであり、本件補正発明の「監視手段17」は、「カメラ選択手段18により選択された前記映像信号発生装置からの映像信号を、動画像ウィンドウ表示手段24を介して前記マルチスクリーンディスプレイに動画像として表示する手段」を備えているのに対し、引用発明はこれらの構成を具備していない点。

(相違点4)
本件補正発明が、「イベントアラーム表示手段20を介して前記マルチスクリーンディスプレイに状態・故障情報を表示する状態・故障情報表示手段19」を備えるのに対して、引用発明は、本件補正発明の「状態・故障情報」に相当する「イベント通知、警報通知等」をマルチスクリーン30に表示するのかどうかが明らかではない点。

(相違点5)
本件補正発明の「監視手段」が、「状態・故障情報表示手段19を参照しながら該プロセス情報の処理を実行し、その結果がトレンド表示の場合にはトレンドウィンドウ表示手段23を介して前記マルチスクリーンディスプレイにトレンド表示する手段と、表示要求がグラフィック表示の場合にはグラフィックウィンドウ表示手段22を介して前記マルチスクリーンディスプレイにグラフィック表示する手段と、トレンド表示とグラフィック表示について、あらかじめ設定される画面表示指定を基にマルチスクリーンパノラマ表示手段21を介して前記マルチスクリーンディスプレイの全画面を1画面としてトレンド表示又はグラフィック表示、又は一部画面にトレンド表示して他の画面にグラフィック表示する手段」を備えるのに対し、引用発明はこれらの構成を具備していない点。

(5)当審の判断
上記各相違点について検討する。

(相違点1について)
大型ディスプレイと複数のCRT監視装置とがネットワークで接続された装置構成により、プラント等におけるプロセスを監視制御する技術は、例えば、特開平4-240524号公報に、「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、複数のグラフィックデイスプレイ及び大型デイスプレイを備えたシステムに係り、特に、オペレータ操作卓上の入力デバイスからの入力によりそれぞれのデイスプレイ間でウインドウを転送するのに好適なプロセス監視システムに関する。【0002】【従来の技術】従来のプロセス監視制御システムにおいては、マンマシンインターフェースとしてCRTを用いるのが一般的である。」と記載されるごとく周知である(以下「周知技術A」という。)。また、プラント等におけるプロセスを監視するにあたり、プログラマブル・ロジック・コントローラからのプロセス情報を取り込みビット・計測処理する技術も、同文献に「【0017】プロセスコンピュータ17は、監視対象のプロセスデータを収集する。」及び「【0027】プロセスコンピュータ17は、・・・分散設置されたプログラマブル・コントローラ、マイクロコントローラを介してプロセスと入出力を行う場合とがあるが、いずれの場合でもプロセスから入力されたプロセスデータを、プロセスデータ収集処理125で編集し、プロセスデータベース124に記憶させておく。」と記載されるごとく従来周知である(以下「周知技術B」という。)。
引用発明と周知技術Aとは、ともに監視制御対象がネットワーク結合された監視制御システムに関するものであって、大型ディスプレイと複数のCRT監視装置とがネットワーク結合されている点において装置構成も共通しているのであるから、引用発明を周知技術Aのプロセスの監視制御に転用することに格別の困難性はなく、さらに、プロセス情報を取り込むべき監視制御対象として周知技術Bと同様にプログラマブル・ロジック・コントローラを選択して上記相違点1のごとく構成することにも格別の困難性はない。

(相違点2について)
プラント等の各種監視制御装置の技術分野において、専用装置に代えて、汎用のパーソナルコンピュータを用いて監視制御装置を構築する技術が、例えば、特開平8-322089号公報に「【0005】さらに、最近では、価格の安いパーソナルコンピュータを用いたプラント監視装置が出始めている」と記載され、特開平8-288946号公報に「【0002】【従来の技術および発明が解決しようとする課題】近年、生産ラインや防災・セキュリティシステムやプラントの制御・監視等を行う技術分野においては、制御対象となるシステムの機能高度化、複雑化に伴ないシステムに対する入力及びシステムからの出力表示を行う入出力操作パネルも操作スイッチや表示器の数が増大して大型化、複雑化してきており、このため生産者側からみれば操作パネルの多種類化による生産性の低下及び操作パネルのコストアップなどの問題が生じてきている。【0003】そこで、近年、フラットディスプレイ上に透明タッチパネルを積層して操作パネルを構成すると共に、前記ディスプレイに表示すべき操作パネル用の表示画面データをパーソナルコンピュータおよび所定の作画ソフトウェアを用いてユーザ側で自由に作成できるようにしたグラフィック操作パネル(以下、AIP(Adovanced Intelligent Panel)という)が提案されている。・・・【0005】画面作成の終了したAIPは、通常は、使用されるシステム内のプログラマブルコントローラ(PLC)やパーソナルコンピュータなどの制御装置と各種インタ-フェ-スで接続され、制御装置の指示やAIP内の内部処理により、例えばプラントの運転状況、無人搬送車の位置、各種センサのデ-タ表示、異常通知などに関する情報を図形やグラフなどで視覚的に表示するとともに、スイッチ入力等を前記制御装置に通知するよう機能する。」と記載され、特開平9-160636号公報に「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、発電所,化学工場などの各種プラントを安全に統合管理するための統合オペレーション装置に関し、更に詳しくは、汎用化されているパーソナルコンピュータ(パソコン)をオペレータが直接操作してプラントの運転・管理等を行うことができるようにした統合オペレーション装置に関する。」及び「【0016】オペレータコンソールPC1,PC2…は、それぞれマンマシンインターフェース機能であるCRTのような表示手段や、キーボード、マウス等の入力装置を備えており、汎用化されているものが用いられていることから、今後開発される各種のソフトウェアをインストールすることで、機能の更新や追加を容易に行うことができる。」と記載されるごとく従来周知の技術である(以下「周知技術C」という。)
引用発明についても、マルチスクリーン30への表示を制御するために設けられた構成要素であるマルチスクリーン制御装置12について、周知技術Cと同様にして、汎用のパーソナルコンピューターを用いてシステムを構築することに格別の困難性はなく、本件補正発明の「マンマシンインターフェース用のキーボードやマウスを接続」した構成、並びに、「画面ビルダ手段29、ユーティリティ手段30、システムメンテナンス手段31、ユーザプログラミング手段32」及び「前記キーボードやマウスからの入力情報を前記マルチスクリーンディスプレイに表示するマンマシンインタフェース28」としての機能も、汎用のパーソナルコンピュータに適宜具備すべき構成及び機能にすぎないのであるから、引用発明に周知技術Cを適用して、上記相違点2のごとく構成することに格別の困難性はない。また、引用発明においてマルチスクリーン30への表示画面を実際に選択し、構築していたマルチスクリーン制御マネージャシステム20及びマルチスクリーン制御エージェントシステム21の各機能についても、ネットワーク接続された何れの端末にこれらの機能を分担させるかは、当業者が適宜選択できる事項にすぎないものである。

(相違点3について)
プラント等の監視制御装置の技術分野において、ITVやビデオなどの映像信号を発生する映像信号発生装置を接続し、必要に応じてウインドウ表示する技術は、例えば、特開平5-34181号公報に「【0018】モニタカメラ19は、プラントを常時、監視撮像し、その映像信号20をプラント監視装置11に入力する。また、プラントからの操業情報22も常時、プラント監視装置11に入力されている。・・・【0020】プラント監視装置11は、プラントに何らかの異常が発生して異常信号21が入力されると、そのプラント異常信号21を受信して、監視情報ウィンドウ表示制御装置24がモニタ表示装置12に表示されている操業画面13の上に監視情報ウィンドウ画面14を自動的に展開し、これと同時に、映像情報ウィンドウ表示制御装置25が映像ウィンドウ画面15を自動的に展開し、これらのウィンドウ画面14,15にそれぞれ、図1に示すように異常発生時の監視情報とプラント状態を示す映像を表示する。」と記載されるごとく従来周知の技術である(以下「周知技術D」という。)
引用発明についても、プラント等の監視制御装置に転用したときに、周知技術Dを単に付加して上記相違点3のごとく構成することに格別の困難性はない。

(相違点4について)
引用文献には、「図5に示すオペレーションシステム50は,図4に示すサービス管理システム13,ネットワーク管理システム14,ネットワークエレメント15等であり,通信網オペレーションを行うため様々なイベント通知,警報通知等を行っている。マルチスクリーン制御マネージャシステム20は,これらのオペレーションシステム50のイベント通知,警報通知等を監視するシステムとして動作している。このマルチスクリーン制御マネージャシステム20は,イベント通知,警報等のイベントを受け取った後には,そのイベント通知の種類,またそのイベント通知により影響があると思われるHMI端末40?42の操作画面を抽出し,拡大表示もしくは表示位置を選択する。」との記載がある(上記摘記事項イの段落【0031】参照。)。これらのHMI端末40?42の操作画面の抽出及び表示は、オペレータにイベント及び警報を通知するために行われるのであるから、その具体的手段として、これらの情報を状態・故障情報として表示することにも、イベントアラーム表示手段を介して表示を行うことにも、格別の困難性はない。

(相違点5について)
プラント等の監視制御装置の技術分野において、トレンド表示及びグラフィック表示を適宜切り替えて表示を行うことは、例えば、特開平7-320177号公報に「【0002】【従来の技術】原子力発電所に限らず一般的工業用プラントでは、時々刻々と変化するプラントの状態を的確に監視するため、警報表示、指示表示、トレンド表示、ミミック表示等の表示形態によってプラント情報をオペレータに対して提供している。・・・【0005】また、トレンド表示は、プラントアナログ量の過去から現在までの変化の経過を表示することによりプラントの傾向を示すものである。【0006】ミミック表示は、プラントを構成する各種機器のON/OFFの状態を示すランプの組を各種機器の実際の配列に合わせて平面上に配置し、各種機器の状態をオペレータが視覚的に認識可能なようにするものである。」,「【0020】図15に示すメニュー画面(a)上でオペレータがトレンド表示をタッチして選択すると、図19に示すトレンド表示用画面(e)に切り替わる。この画面では、画面番号u「301」、画面名称「cuw系トレンド表示画面」、トレンド表示窓に固定画面データsによる表示に加えてプラント情報rを時系列に表示している。【0021】さらに、図15に示すメニュー画面(a)上でオペレータがミミック表示401を選択すると、図20に示すミミック表示用画面(f)に切り替わる。この画面では、画面番号u「401」、画面名称「cuw系ミミック表示画面」が表示され、ミミック表示窓に装置系統図等の固定画面データsが表示され、その中にプラント情報rの数値または棒グラフの表示がされている。」及び「【0025】・・・大画面データ表示装置32の画面選択手段3がオペレータ代表者用机52に設置されている」と記載されるごとく従来周知の技術であり、トレンド表示とグラフィック表示を組み合わせて表示を行うことも、例えば、特開平2-242293号公報に、「ウィンドウサイズは、個別CRT画面サイズを1とし、運転状態に応じて詳細情報を見る必要がある画面は2倍,3倍のサイズ等の拡大サイズを設定できる。・・・第5図は、大画面の基本画面の一例でプラント全体図である。第6図はCRT詳細画面の一例でプラント起動前準備運転の主要パラメータトレンドグラフである。第7図は、運転状態起動前準備の大画面表示例で、・・・第9図は当該設備系動作時の大画面表示例である。」(4ページ左下欄15行-右下欄14行)と記載され、図面の第7図及び第9図に、とトレンド表示とグラフィック表示とが組み合わされた画面が描かれているごとく従来周知の技術である(以下、これらの技術を「周知技術E」という。)。
一方、引用例の図面の図3には、マルチスクリーン30に複数の画面を組み合わせて表示するごとく描かれるとともに(上記摘記事項ウを参照。)、「拡大表示もしくは表示位置を選択する。」(上記摘記事項イの段落【0031】を参照。)とも記載されているし、マルチスクリーン全体に1つの画面を表示することも表示の一形態として選択できることが明らかである。
そうすると、引用発明をプロセスの監視制御に転用するときについても、マルチスクリーンに表示する画面は、任意の画面を組み合わせて、あるいは全体を一画面として任意に選択できるといえるのであって、周知技術Eと同様の表示を行うことにより上記相違点5のごとく構成することに格別の困難性を認めない。

そして、本件補正発明の作用効果も、引用例の記載及び周知技術AないしEから当業者が予測できる範囲内のものである。

したがって、本件補正発明は、引用例に記載された発明及び周知技術AないしEに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(6)本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
平成17年7月29日付け補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成15年11月14日付け、及び平成17年2月2日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2 2(1)ア 本件補正前の特許請求の範囲」の請求項1に記載のとおりである。

第4 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2 2(3)引用例」に記載したとおりのものである。

第5 対比・判断
本願発明は、前記「第2 2」で検討した本件補正発明の発明特定事項から、前記「第2 2(2)補正の目的について」で記載した各限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「第2 2 (5)」に記載したとおり、引用発明及び周知技術AないしEに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術AないしEに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定によって特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-10 
結審通知日 2008-03-11 
審決日 2008-03-25 
出願番号 特願平9-190878
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09G)
P 1 8・ 575- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福永 健司後藤 亮治  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 上原 徹
堀部 修平
発明の名称 プロセス監視制御システム  
代理人 橋本 剛  

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