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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1177442
審判番号 不服2005-3903  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-03-07 
確定日 2008-05-07 
事件の表示 特願2002- 94153「ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クッキングペーパーのいずれかを収納する組み立て角箱」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月15日出願公開、特開2003-292070〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1. 手続の経緯
本願は、平成14年3月29日の出願であって、平成17年1月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年3月7日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成17年4月5日に手続補正がなされたものである。

2. 平成17年4月5日にした手続補正(以下「本件手続補正」という。)についての補正却下の決定
〔補正却下の決定の結論〕
本件手続補正を却下する。

〔理由〕
(1)本願補正発明
本件手続補正により、明細書の特許請求の範囲の請求項2は、
「【請求項2】 一対の内フラップと一対の外フラップを重ね合わせて妻面を形成する組み立て角箱において、前記一対の外フラップの一方の外フラップに打ち抜き部を設け、他方の外フラップに該打ち抜き部を通して前記一対の内フラップに接着する接着剤を塗布する一方、前記打ち抜き部として、前記一方の外フラップの先端部両隅に切込み部を形成することにより、前記他方の外フラップを前記一対の内フラップに接着する接着部分に掛け止める掛止突部を設けるとともに、前記他方の外フラップの前記接着剤を塗布する位置の間に、前記一方の外フラップと接合するための接着剤を塗布して接着剤塗布位置を計3箇所とし、前記一対の内フラップと前記一対の外フラップを重ね合わせて形成される妻面の面積に対し、前記接着剤の塗布面積を0.1以上10%未満とし、前記切込み部を形成する一方の外フラップに解体用ミシン線および切離し用ミシン線を形成し、前記組み立て角箱を解体するとき、指を当てて破るための解体用ミシン線を、前記一方の外フラップに幅50?100mm、高さ15?40mmで略U字形に設け、その解体用ミシン線と連続して前記一方の外フラップの先端に平行に、切離し用ミシン線を設けてなり、解体後、前記解体用ミシン線と前記切離し用ミシン線により切り取られる破片を、前記一方の外フラップと接合するための接着剤により前記他方の外フラップに接着した状態としてなることを特徴とする、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クッキングペーパーのいずれかを収納する組み立て角箱。」と補正された。
上記補正は、補正前の請求項2に記載された発明を特定するために必要な事項である「接着剤塗布」について、「他方の外フラップの接着剤を塗布する位置の間に、一方の外フラップと接合するための接着剤を塗布して接着剤塗布位置を計3箇所とする」との限定事項を付加するものであり、同じく、「接着剤の塗布面積」について、補正前の請求項4の「0.1以上10%未満とする」との限定事項を繰り入れるものであり、同じく、「解体用ミシン線」について、補正前の請求項5の「一方の外フラップに幅50?100mm、高さ15?40mmで設ける」との限定事項を繰り入れるものであり、同じく、「解体用ミシン線」について、「略U字形に設ける、」との限定事項を付加するものであり、同じく、「解体用ミシン線および切離し用ミシン線」について、「解体用ミシン線と連続して一方の外フラップの先端に平行に、切離し用ミシン線を設けてなり、解体後、解体用ミシン線と切離し用ミシン線により切り取られる破片を、一方の外フラップと接合するための接着剤により他方の外フラップに接着した状態としてなる」との限定事項を付加するものであり、これらの限定した事項は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されている。しかも、補正後の請求項2に記載された発明と補正前の請求項2に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が異なるものではない。
したがって、上記補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
そこで、本件手続補正後の上記請求項2に記載された事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、特開2002-29580号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。

(a)【特許請求の範囲】
【請求項1】 取出し口を有する上面板と、底板と、一対の側板との4面からなる角筒状本体における、前記一対の側板の両端縁に一対の内フラップを連接し、前記上面板と底板の両端縁に一対の外フラップを連接して、折り曲げた前記内フラップの外面に前記一対の上下の外フラップを重ね合わせて直方体形状に組み立てるティシュペーパー収納箱において、
前記一対の上下の外フラップ先端部は組み立て状態で互いに重なり合い、
上下何れか一方の外フラップの先端部両側に切欠き段部が設けられることにより、該先端部中央部に突出部が形成され、かつ該突出部の横幅は、前記一対の内フラップ先端縁同士の間にできる間隔よりも大きく形成され、
他方の外フラップの内面に一直線状に塗布された接着剤を介して、前記一対の内フラップと前記一対の外フラップとが接合されて角筒状本体の左右妻面が密閉されていることを特徴とするティシュペーパー収納箱。
【請求項2】 箱の内側の高さ寸法が40?60mmであることを特徴とする請求項1記載のティシュペーパー収納箱。
【請求項3】 前記角筒状本体の左右妻面の中央付近の高さ位置において、前記突出部を有する下部外フラップ先端部の外面に上部外フラップ先端部が重なり合う構成とされ、また下部外フラップの先端付近に、該下部外フラップの基端縁に平行な切離し用ミシン線と、中央に親指大の径をなしかつ下部外フラップの基端側に突出する円弧状の切離し用ミシン線とが形成されていると共に、前記両ミシン線が互いに交差するように配設され、
さらに下部外フラップの先端縁と、該フラップの基端縁に平行に設けられた切離し用ミシン線との間の位置において、前記一対の内フラップと前記一対の外フラップとが、上部外フラップの内面に一直線状に塗布された接着剤を介して接合されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のティシュペーパー収納箱。
【請求項4】 請求項1?請求項3のいずれかに記載のティシュペーパー収納箱を組み立てるために使用するカートンブランクであって、
ティシュペーパー取出し口を具備する長方形状の上面板と、これと同じ寸法の底板と、長方形状の左右一対の側板と、接合片とを一方向に連接し、
かつ前記一対の側板の両端縁に夫々内フラップを折り曲げ自在に連接し、また前記上面板と底板の両端縁に夫々上下の外フラップを折り曲げ自在に連接し、何れか一方の外フラップの先端部両側に切欠き段部が設けられることにより、該先端部中央部に突出部が形成されていることを特徴とするカートンブランク。
【請求項5】 直方体形状の箱体の内部に、折り畳まれた複数枚のティシュペーパーの束が収納されている請求項1?請求項3の何れかに記載のティシュペーパー収納箱。
【発明の詳細な説明】
(b)
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、折り畳まれた複数枚のティシュペーパーの束を収納する紙箱に関するものである。
(c)【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来技術に鑑み、本発明の目的は次の課題を解決することにある。
(1)ティシュペーパー収納箱を組み立てる際に使用する接着剤が、フラップからはみ出すことを防ぎ、収納したティシュペーパーに付着し難い構造とすることにより、特に箱高さの比較的低いティシュペーパー収納箱の組み立てを容易とする。
(2)接着剤塗布量を減らして、箱解体時に解体し易い構成とする。
(3)さらに、ティシュペーパー収納箱を組み立てる際の接着箇所と接着剤の量を減少させることにより、製造工程の簡素化と製造単価の低減を図る。
(d)【0011】<全体構成>まず箱全体の構成を説明する。この箱10は1枚のカートンブランクから直方体形状に形成するものであり、カートンブランクは板紙などの紙を主体とした材料から形成される。機能的にはティシュペーパー取出し口を具備する幅の広い長方形をした上面板と、これと同じ大きさの底板と、幅の狭い長方形をした左右一対の側板との、全体として4枚のパネルとからなり、4枚のパネルは連接するこれらパネルの端に設けられた接合片により、角筒状に組み立てられる。角筒状本体の前記一対の側板の両端縁には夫々内フラップが折り曲げ自在に連接され、また前記上面板と底板の両端縁に夫々上下の外フラップを折り曲げ自在に連接している。前記内フラップと外フラップは、ほぼ同じ長さに形成されているもので、組立時に前記内フラップの外面に前記上下の外フラップの先端部を互いに重ね合わせて角筒状本体の開口面を閉塞する。符号10a、10bは一対の側板であり、10cはティシュ取出口20を有する上面板、10dは底板、10eは接合片であり、前記一対の側板10a、10b及び上面板10c、底板10dを、接合片10eを介して角筒状の箱本体を形成する。11a、11bは前記一対の側板の両端縁に連接した内フラップ、12a、12bと13a、13bは、前記上面板及び底板の両端縁に連接した上下外フラップであり、これらの各パネルは、図2に示したように、折線を介して一体に連接されている。ティシュ取出口20は切離し用ミシン線により区画される。因みに符号21は、埃の浸入防止のため前記取出口20を塞ぐように箱内面に貼着したプラスチックフィルムである。
(e)【0012】<箱妻面の構成>内フラップ11a、11bは、図3に示したように、箱の妻面において、右左一対の側板10a、10bの両端縁から折り曲げた状態で、該内フラップの先端の間に間隙ができる長さに形成され、また、上下外フラップ12a、12bと13a、13bは上面板10c及び底板10dの両端縁から折り曲げた状態で、かつ箱妻面の中央付近の高さ位置において、前記両外フラップの先端が互いに重なりあって、重合部14(図1参照)を構成する長さに形成されている。
(f)【0013】箱妻面の構成をさらに詳しく述べると、上面板10cに連接した上部外フラップ12a,12bが底板10dに連接した下部外フラップ13a、13bの上に、先端部において重なりあうように構成するとともに、下部外フラップ13a、13bの先端に突出部15a、15bをさらに設けたものである。前記突出部15a、15bの幅は、図3のように、該内フラップの先端の間にできる間隙よりも大きく形成されている。また該突出部の両側には切欠き段部15c、15dが形成されている。突出部15a、15bの基部には下部外フラップ13a、13bの基端部に平行に切離し用ミシン線16a、16bを設け、また、中央に親指大の径をなし、かつ下部外フラップ13a、13bの基端側に突出する円弧状の切離し用ミシン線17a、17bを形成して、前記円弧状の切離し用ミシン線17a、17bの両端が前記突出部15a、15bの基部に沿って突出部15a、15bに平行に設けた切離し用ミシン線16a、16bと交差するように設けられている。突出部15a、15bの形状は、本例のような台形状あるいは矩形状とすると妻面の接着、密閉及びカートンブランクの効率的製造の点で好ましいが、特に限定するものではない。
(g)【0014】<接着過程>角筒状に連繋した箱本体の中に、折り畳まれた複数枚のティシュペーパーの束を収納した後、その両端の開口面すなわち箱の妻面を閉塞するときは、側板10a、10bの両端縁から折り曲げた内フラップ11a、11bの外側に、上下外フラップ12a、12bと13a、13bを重ね合わせる。このとき、まず上部外フラップ12a,12bの内面にのみ接着剤gを一直線上に塗布する。接着剤を塗布するときは重ね合わせたときに下部外フラップの前記突出部15a、15bと、その両側の内フラップ11a、11bに接着剤が接着されるように配置する。そして上下外フラップ12a、12bと13a、13bを箱妻面の中央付近の高さ位置において重ね合わせるとき、この直線状に塗布した接着剤gにより、前記下部外フラップの先端の突出部15a、15bと上部外フラップ12a,12bとを接合すると同時に、前記突出部15a、15bの両側の部分において、上部外フラップ12a,12bと一対の内フラップ11a、11a、11b、11bとを接合することにより、ティシュを収納した箱の開口面を閉塞して、本発明のティシュペーパー収納箱10を組み立てる。
(h)【0015】<解体しやすい構成>ところで、上記ティシュペーパー収納箱10は、ティシュペーパーを使い果した後、次のように解体して箱を扁平に潰し、廃棄処分やリサイクルに供する。まず、上下外フラップの重なる部分14の下部中央(具体的には下部外フラップ)に設けた円弧状ミシン線17a、17bに爪を立てるなどして、ミシン線を切り離すことにより開口18を設け、その開口に指を差し込み引っ掛けてそのまま外側に引っ張ると上部外フラップ12a、12bが開き、下部外フラップ13a、13bの突出部15a、15bの基部をミシン線16a、16bに沿って切り離すことができる。尚、ミシン線16a、16bはミシン線17a、17bの円弧の内側部分においては、切り離しにくいミシン線とされ、折り曲げ線として機能している。上部外フラップ12a,12bと一対の内フラップ11a、11a、11b、11bは、突出部15a、15bの両側の接着剤gにより局部的に接合されているだけであるから、内外フラップの接着は容易に剥がれ、箱は、極めて容易に解体して扁平に潰すことができる。
(i)【0016】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の構成によれば、ティシュペーパー収納箱の妻面を密閉するために、内外フラップの接合は、外フラップの一箇所に一直線上に塗布された接着剤のみで行うことができ、また、箱高さの比較的低いティシュペーパー収納箱を組み立てる際にも接着剤の塗布長さを変更することなく、塗布した接着剤がフラップからはみ出したり、収納したティシュペーパーに付着することがない構造にすることができる。
(j)【0017】また、前述の通り内外フラップを接合する接着剤はその付着箇所を外フラップの一箇所のみにすることができ、かつ接着剤付着量も減少させることができるので、箱解体時に内外フラップの接着が剥がしやすくなり、解体し易い構成となるとともに製造工程の簡素化と製造単価の低減を図ることができるという極めて有利な効果を発揮する。

以上の記載、及び第1?4図の記載から、刊行物1には次の発明が記載されているものと認められる。
「一対の内フラップ11a、11bと一対の上部外フラップ12a、12b、下部外フラップ13a、13bを重ね合わせて妻面を形成する収納箱において、前記一対の上部外フラップ12a、12b、下部外フラップ13a、13bの一方の下部外フラップ13a、13bに切欠き段部15c、15dを設け、他方の上部外フラップ12a、12bに該切欠き段部15c、15dを通して前記一対の内フラップ11a、11bに接着する接着剤gを塗布する一方、他方の上部外フラップ12a、12bの内面に一直線状に塗布された接着剤gを介して、前記一対の内フラップ11a、11bと前記一対の上部外フラップ12a、12b、下部外フラップ13a、13bとが接合されて、一方の下部外フラップ13a、13bに円弧状切離し用ミシン線17a、17bおよび切離し用ミシン線16a、16bを形成し、前記収納箱を解体するとき、指を当てて破るための円弧状切離し用ミシン線17a、17bを円弧状に設け、その円弧状切離し用ミシン線17a、17bと連続して前記一方の下部外フラップ13a、13bの先端に平行に、切離し用ミシン線16a、16bを設けてなり、解体後、前記円弧状切離し用ミシン線17a、17bと前記切離し用ミシン線16a、16bにより切り取られる突出部15a、15bを、前記一方の下部外フラップ13a、13bと接合するための接着剤gにより前記他方の上部外フラップ12a、12bに接着した状態としてなるティッシュペーパーを収納する収納箱。」

同じく、原査定の拒絶の理由に引用された、実願平5-35804号(実開平7-6112号)のCD-ROM(以下「刊行物2」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。

(l)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】背面板の周縁に設けた、所定間隔の二本の折り目線を介して横面板と内面板と前面板を連設し、該前面板の上方に二本の切り取り可能なミシン目線を介して固定板を連設してなるフロッピーディスク用ケースにおいて、前記前面板上方を切り欠いて差し込み片を設け、該差し込み片の両側で、かつ、前面板両肩部に山形状のミシン目線を介して切り離し可能な三角片を設け、前記固定板内側の複数箇所と前記前面板両肩の三角片中央部にスポット糊部を設けて、前記内面板両側縁の少なくとも2カ所づつに切り欠き部を設けて、各折り目線から内側に横面板、内面板、前面板と折り畳み、前記内面板側縁の切り欠き部を介して固定板と三角片を横面板に貼着したことを特徴とするフロッピーディスク用ケース。
【請求項2】前記背面板周囲に設けた二本の折り目線の間隔を広げ伸ばし、所定数枚のフロッピーディスクの収納を可能としたことを特徴とする請求項1に記載のフロッピーディスク用ケース。
(m)【産業上の利用分野】
本考案は、紙製のフロッピーディスク用ケースに関するものである。
(n)【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、手作業或いは自動製凾機においても、ケースブランクの内側と外側の複数箇所に糊部を設ける場合は、糊付け作業が2工程となり作業時間のロスが多く、また糊部の箇所を増やすことやフロッピーディスクの収納枚数によって、糊付け位置をずらしたり、糊付けするノズルを増設することが必要となるが、糊付けノズルの移動距離に制限があったり、またノズルの増設も出来ない場合もあり、糊付け作業(糊部の形成)を難しくしていた。
(o)【0004】
そこで本考案は、ケースのブランクを改良し、糊付け作業の箇所を内側のみに減らすことで、1工程にすると共に、フロッピーディスクの収納を1枚?10枚用にしても、内側の複数箇所の糊部で対応できるフロッピーディスク用ケースを提供する。
(p)【0006】
【作用】
本考案のフロッピーディスク用ケースは、図1に示すように、内面板(15)の両側縁に少なくとも2カ所づつの切り欠き部(16,16,16,16))を設け、前面板(11)の両肩に設けた三角片(18,18) と切り欠き(K) を挟んで二本のミシン目線(d,d) を介して連設した固定板(12)に、少なくとも3カ所のスポットの糊部(t,t,t) と三角片に1カ所づつのスポットの糊部(t2,t2) を設け、この固定板と三角片を切り欠き部を介して、横面板(14,14) に貼着すると共に、中央の糊部(t) によって内面板(15)外側の中央部と接着して、内面板を補強するように固着されるので、開封の際、前面板を二本のミシン目線から切り離しても、5カ所の貼着で全体を強固に固着し、肩崩れしないフロッピーディスク用ケース(50)となる。しかも、背面板(10)周囲の二本の折り目線の間隔を広げて、この部分の用紙を伸ばすだけで、フロッピーディスクを1枚から10枚までの収納を可能としたケースになり、その際、背面板、横面板、前面板、内面板の寸法はそのままで、しかも糊部の位置も切り欠き部の位置も変更せずに対応することができる。
(q)【0009】
図1に示すように、先ず、ほぼ正方形状(横幅91mm×高さ94mm)の背面板(10)の周縁にフロッピーディスクの厚さより僅かに広く、幅約4mm間隔で平行な二本の折り目線(a,a) を設け、この折り目線を介して横面板(14,14) を連設する。また、背面板(10)上縁には幅約4mm間隔で平行の二本の折り目線(b,b) を介して前面板(11)を設け、この前面板の中央部上端を切り欠いて差し込み片(S) を設け、この差し込み片両側で、かつ前面板(11)の両肩部に山形状のミシン目線(d,d) を介して、切り離し可能な三角片(18,18) を設けて、更に、切り欠き(k) を挟んで約10mm間隔で二本の平行なミシン目線(c,c) を介して、固定板(12)を連設したものである。一方、背面板(10)の下側縁には、幅約4mm間隔の平行な二本の折り目線(b,b) を介して、内面板(15)を設け、この中央部には差し込み片挿入口(17)を形成したものである。また、この内面板(15)の両側縁には、少なくとも2カ所づつの切り欠き部(16,16,16,16) を設けたものである。この切り欠き部の形状は限定するものではなく、円形状、三角形状等の形状のいずれでもよく、折り畳んだ際に、横面板(14,14) の外側面の一部が切り欠き部から露出すればよい。
(r)【0010】
この組立は、図2(A) に示すように、固定板(12)内側の少なくとも3カ所と前記三角片(18,18) 中央部の1カ所づつにスポット糊部(t,t,t,t2,t2) を設け、各折り目線から内側に横面板、内面板、前面板の順に折り畳み、固定板と三角片を内面板上に被せて、固定板両端のスポット糊部(t,t) と三角片のスポット糊部(t2,t2) が切り欠き部(16,16,16,16) を挟むようにして、横面板と固定板と三角片が接着して、更に、固定板中央のスポット糊部(t) が内面板の外側中央部に貼着される。この際、図2(B) に示すように、横面板と固定板を直接貼着して内面板を挟むようにしたが、切り欠き部(16,16,16,16) を介して横面板と貼着する部分と、一部が切り欠き部端部の内面板とも貼着してもよく、ケースは更に強固なものとなる。
(s)【0011】
本考案のフロッピーディスク用ケースは、フロッピーディスクを挿入して組み立てるもので、前面板(11)上方に設けた二本のミシン目線(c,c) をフロッピーディスクを取り出す際に切り取り、前面板を三角片から切り離すと固定板と三角片が横面板(14,14) の4カ所と内面板の1カ所で貼着されるので、ケースは型崩れせずフロッピーディスクの保護用、保存用として使用できる。
(t)【0013】
このケースの場合は、内面板(25)の両側縁に1カ所づつの切り欠き部(26,26) を設けたもので、これに従って固定板(22)の3カ所にスポット糊部を設け、接着はこの切り欠き部を介して直接2カ所で横面板(24,24) と貼着したものである。
(u)【0014】
本実施例は、1枚のフロッピーディスクを収納するケースで説明したが、背面板(10)の周縁の各折り目線(a,a,b,b) の間隔をフロッピーディスクの3枚、5枚、10枚の厚さに伸ばし広げることで、横面板、内面板、前面板、固定板を伸ばすことなく、しかも糊部の位置、切り欠き部の位置を変更しなくとも収納、包装することができるフロッピーディスク用ケース(50)となる(図示はせず)。
尚、本実施例おいてはスポットの糊部としたが、線糊も可能であり特に限定しない。
(v)【0015】
【考案の効果】
本考案のフロッピーディスク用ケースは、糊部を固定板と三角片の内側だけにしたもので、糊付け作業が1工程で済ランニングコストが安価になる。しかも4カ所のスポット糊部により、横面板の中央部及び下端部と更に内面板の1カ所で貼着されるので、型崩れせずフロッピーディスクの保存用として繰り返し使用することができる。
また、背面板周囲の二本の折り目線間隔をフロッピーディスクの収納する枚数の厚さに合わせて伸ばし広げるだけで、他の面板を伸ばさなくとも1枚から10枚までのフロッピーディスクを収納、包装することができる。
更に、フロッピーディスク用ケースの改良によって、機械製凾の場合も、糊付け工程が1工程で済、また糊付けノズルの移動だけで製凾することができる。

以上の記載、及び第1?3図の記載から、刊行物2には次の発明が記載されているものと認められる。
「一対の横面板14、24と一対の前面板11、21、内面板15、25を重ね合わせて妻面を形成するケースにおいて、前記一対の前面板11、21、内面板15、25の一方の内面板15、25に切り欠き部16、26を設け、他方の前面板11、21に該切り欠き部16、26を通して前記一対の横面板14、24に接着するスポット糊部tを塗布する一方、前記他方の前面板11、21の前記スポット糊部tを塗布する位置の間に、前記一方の内面板15、25と接合するためのスポット糊部tを塗布してスポット糊部t塗布位置を計3箇所としたフロッピーディスク用ケース。」

(3)対比
本願補正発明と刊行物1に記載の発明とを対比すると、刊行物1に記載の発明の「内フラップ11a、11b」、「下部外フラップ13a、13b」、「上部外フラップ12a、12b」、「接着剤g」、「突出部15a、15b」、「円弧状切離し用ミシン線17a、17b」及び「切離し用ミシン線16a、16b」は、それぞれ本願補正発明の「内フラップ」、「一方の外フラップ」、「他方の外フラップ」、「接着剤」、「破片」、「解体用ミシン線」及び「切離し用ミシン線」に相当する。
また、刊行物1に記載の発明の収納箱は、摘示事項(a)、(d)に記載のように、直方体形状に組み立てた後の製品であることから、本願補正発明の組み立て角箱に相当することは明らかである。
また、刊行物1に記載の発明の切欠き段部と本願補正発明に記載の打ち抜き部について、両者は共に一方の外フラップに設けられ、且つ他方の外フラップに該打ち抜き部(切欠き段部)を通して一対の内フラップに接着する接着剤が塗布される点において共通するから、該切欠き段部は本願補正発明の打ち抜き部に相当する構成といえる。
また、刊行物1に記載の発明の他方の上部外フラップ12a、12bの内面に一直線状に塗布された接着剤gを介して、一対の内フラップ11a、11bと一対の下部外フラップ13a、13bとを接合する際の接着剤gの塗布位置は、他方の上部外フラップ12a、12bに一対の内フラップ11a、11bに接着する接着剤gが塗布される一方、他方の上部外フラップ12a、12bの接着剤を塗布する位置の間には、一方の下部外フラップ13a、13bと接合するための接着剤gが塗布されていることであるから、結果的に、本願補正発明と刊行物1に記載の発明とは、他方の外フラップに一対の内フラップに接着する接着剤を塗布する一方、他方の外フラップの接着剤を塗布する位置の間に、一方の外フラップと接合するための接着剤を塗布している点で一致する。
さらに、刊行物1に記載の発明の円弧状切離し用ミシン線17a、17bは円弧状であるが、円弧形状は概ね、略U字形に相当するといえる。
以上のとおりであるから、両者は、
「一対の内フラップと一対の外フラップを重ね合わせて妻面を形成する組み立て角箱において、前記一対の外フラップの一方の外フラップに打ち抜き部を設け、他方の外フラップに該打ち抜き部を通して前記一対の内フラップに接着する接着剤を塗布する一方、他方の外フラップの接着剤を塗布する位置の間に、前記一方の外フラップと接合するための接着剤を塗布して、一方の外フラップに解体用ミシン線および切離し用ミシン線を形成し、前記組み立て角箱を解体するとき、指を当てて破るための解体用ミシン線を略U字形に設け、その解体用ミシン線と連続して前記一方の外フラップの先端に平行に、切離し用ミシン線を設けてなり、解体後、前記解体用ミシン線と前記切離し用ミシン線により切り取られる破片を、前記一方の外フラップと接合するための接着剤により前記他方の外フラップに接着した状態としてなるティッシュペーパーを収納する組み立て角箱。」
である点で一致し、以下の4点で相違する。

[相違点1]
本願補正発明は、打ち抜き部として、一方の外フラップの先端部両隅に切込み部を形成することにより、他方の外フラップを一対の内フラップに接着する接着部分に掛け止める掛止突部を設けるのに対し、刊行物1に記載の発明は、打ち抜き部として、一方の下部外フラップの先端部両隅に切欠き段部を形成しており、該切欠き段部にはそのような掛止突部が特に設定されていない点。

[相違点2]
本願補正発明は、接着剤塗布位置を計3箇所としているのに対し、刊行物1に記載の発明の接着剤塗布位置は一直線状に塗布された接着剤gの1箇所としている点。

[相違点3]
本願補正発明は、一対の内フラップと前記一対の外フラップを重ね合わせて形成される妻面の面積に対し、接着剤の塗布面積を0.1以上10%未満としているのに対し、刊行物1に記載の発明の接着剤gは、その塗布面積が特に明示されていない点。

[相違点4]
本願補正発明は、解体用ミシン線を、一方の外フラップに幅50?100mm、高さ15?40mmで略U字形に設けているのに対し、刊行物1に記載の発明の解体用ミシン線は略U字形に設けているが、その具体的寸法が特に明示されていない点。

(4)当審の判断
上記相違点1?4について検討する。
[相違点1について]
刊行物1に記載の発明について検討するに、刊行物1に記載の発明の技術課題は、摘示事項(c)に記載のように、接着剤塗布量を減らして、箱解体時に解体し易い構成とすることであり、また、ティシュペーパー収納箱を組み立てる際の接着箇所と接着剤の量を減少させることにより、製造工程の簡素化と製造単価の低減を図ることである。
なお、本願補正発明の課題は、接着剤の塗布量を減らしても外フラップが抜け出ず、容易に解体することができる組み立て角箱を提供することである。
したがって、刊行物1に記載の発明は、本願補正発明と同一の課題を有するといえる。
ここで、刊行物1に記載の発明は、接着剤の塗布量を減らすことを技術課題としているが、当該発明の改良を試みること、すなわち、刊行物1に記載の一直線状に塗布された接着剤より、さらに接着剤の塗布量の低減を図ることは、当業者の通常の創作能力である。
一方、接着剤の塗布量を減らすことを技術課題として、刊行物2には、一対の前面板、内面板の一方の内面板に切り欠き部を設け、他方の前面板に該切り欠き部を通して一対の横面板に接着するスポット糊部tを塗布するという、発明が開示されている。
ここで、刊行物2に記載の発明の「前面板」、「内面板」、「切り欠き部」、「横面板」及び「スポット糊部t」は、それぞれ本願補正発明の「他方の外フラップ」、「一方の外フラップ」、「切込み部」、「内フラップ」及び「接着剤」に相当する。
また、本願補正発明の他方の外フラップを一対の内フラップに接着する接着部分に掛け止める掛止突部とは、一方の外フラップの先端部両隅に切込み部を設けることにより形成される構成であるから、本願補正発明の切込み部と同様の構成である切り欠き部を備える刊行物2に記載の発明からは、第1?3図に開示されているように該掛止突部に相当する構成が形成されているといえる。
したがって、刊行物2に記載の発明は、本願補正発明に倣って「一対の外フラップの一方の外フラップに切込み部を設け、他方の外フラップに該切込み部を通して一対の内フラップに接着する接着剤を塗布する一方、一方の外フラップの先端部両隅に切込み部を形成することにより、他方の外フラップを一対の内フラップに接着する接着部分に掛け止める掛止突部を設ける」と言い換えることができる。
そうすると、刊行物1に記載の発明と同一の課題を有する刊行物2に記載の発明に触れた当業者からは、さらなる接着剤塗布量の低減を図るために、刊行物1に記載の発明において、一方の下部外フラップに切欠き段部を設け、一直線状に塗布する接着剤gの態様に代えて、刊行物2に記載の発明の一方の内面板に切り欠き部を設け、他方の前面板に該切り欠き部を通して一対の横面板に接着するスポット糊部tを塗布する態様を採用して、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、刊行物1、2の共通する技術課題から容易に想到し得ることである。

なお、審判請求人は、「刊行物2に記載の発明は、プロッピーディスク用ケースに関するものであり、ケースを解体することなく、接着を外して解体することも、その際の解体の容易化を図ることも無関係なことであって、本願発明の技術目的の開示がない」と主張している。
上記主張について検討するに、刊行物2に記載の発明は、フロッピーディスク用ケースであり、確かに、そのケースの収容物はフロッピーディスクであるから、刊行物1に記載の発明のティシュペーパー収納箱とは、収容する対象物が相違しているといえる。
しかしながら、刊行物2に記載の発明は、摘示事項(m)に記載のように、紙製のフロッピーディスク用ケースであり、紙製の素材を糊により組み立てるものである。
それに対し、刊行物1に記載の発明は、摘示事項(b)に記載のように、折り畳まれた複数枚のティシュペーパーの束を収納する紙箱に関するものであり、紙製の素材を接着剤により組み立てるものである。
したがって、刊行物1,2に記載の発明は、共に組立箱であり、その箱の素材を紙製として、接着剤あるいは糊で組立てるものであることから、組立箱としての基本構造が共通している。
したがって、たとえ、その収容物が相違するとしても組立箱としての基本構造が一致する限りにおいて両者は近接した技術分野であり、且つ刊行物1,2に記載の発明の技術分野間に適用を妨げる特段の事由も認められないことから、刊行物2に記載の発明がフロッピーディスク用ケースであっても、この点が格別の阻害要因とはなり得ない。
さらに、上述したように、組み立て角箱を容易に解体することとは、そもそも、刊行物1に開示の技術課題であり、刊行物1に記載の発明は解体の容易化を図るために接着剤塗布量を減らしているものである。
したがって、解体の容易化を図ることとは、接着剤塗布量を低減させるという技術事項に帰結する。
そして、接着剤塗布量を減らすことを目的として、刊行物2に記載の発明は発現されているのであるから、接着剤塗布量を減らすという、刊行物1,2に記載の発明は同一の技術課題を共有するものであり、課題の共通性という有力な動機付けをもってして、刊行物1,2に記載の発明は組み合わせが容易であるといわざるを得ない。。
よって、容易想到性の判断は、上述のとおり、課題の共通性という動機付けにより是認されるのであるから、審判請求人が主張するような刊行物2に記載の発明のケースを解体させる技術思想の存否によって、容易想到性はなんら阻害されるものではなく、上記判断を左右するものではない。
よって、上記主張は採用できない。

[相違点2について]
刊行物2には、上記相違点1に係る、一対の前面板、内面板の一方の内面板に切り欠き部を設け、他方の前面板に該切り欠き部を通して一対の横面板に接着するスポット糊部tを塗布する、という技術事項に加えて、摘示事項(p)、(r)、(t)には「他方の前面板11、21のスポット糊部tを塗布する位置の間に、一方の内面板15、25と接合するためのスポット糊部tを塗布してスポット糊部t塗布位置を計3箇所とした」という技術事項が開示されている。
当該技術事項は、本願補正発明に倣って「他方の外フラップの接着剤を塗布する位置の間に、一方の外フラップと接合するための接着剤を塗布して接着剤塗布位置を計3箇所とした」と言い換えることができる。
そして、上記相違点1で検討したとおり、刊行物2に記載の発明を、刊行物1に記載の発明に適用することは当業者であれば容易に想到し得ることであるから、刊行物2に記載の発明に係る「接着剤塗布位置を計3箇所とする」という事項を、刊行物1に記載の発明の一直線状に塗布された1箇所の接着剤gの塗布位置に代えて採用することも当業者であれば容易に想到し得ることである。
さらに、刊行物2の摘示事項(u)には、「尚、本実施例おいてはスポットの糊部としたが、線糊も可能であり特に限定しない。」と記載されており、糊部の態様とし、線糊とスポットの糊部との置換可能性を示唆している。
ここで、該線糊とは、刊行物1に記載の発明の一直線状に塗布された接着剤の態様に相当することは明らかである。
そうすると、刊行物1に記載の発明に、塗布位置を計3箇所とするスポット糊部を採用することは、刊行物2の記載中の示唆からも容易に想到し得ることといえる。

[相違点3について]
接着剤の塗布面積は、接着剤の塗布量を減らしても外フラップが抜け出ず、かつ、組み立てが確実で、しかも、容易に解体することを支障なく達成できる程度に、最適の塗布量を当業者が適宜に設定し得るものと解するのが相当である。
また、接着剤の塗布面積を0.1以上10%未満とする点は、格別特異な数値範囲とも解されず、しかもそれによる臨界的意義は認められない。
したがって、上記相違点3に係る本願補正発明の構成は当業者の設計事項と解するのが相当であり、当業者であれば容易に想到し得ることである。

[相違点4について]
フラップを接着させて組立箱を製品する分野において、解体用ミシン線を用いて該組立箱を解体する際に、該解体用ミシン線の具体的寸法は、組立箱の剛性、接着剤の接着強度、解体の容易性、あるいはユーザーの好みなどを考慮して、指を1本でも複数本でも用いることができるように適宜の寸法が設計上採用し得るものと解されるところ、該解体用ミシン線の形状を略U字形を前提として、ある程度の幅寸法を設定することも、例えば、実願昭63-45965号(実開平1-147928号)のマイクロフィルムにもみられるように、この出願前から行われていることである。
また、解体用ミシン線を、一方の外フラップに幅50?100mm、高さ15?40mmで略U字形に設ける点は、格別特異な数値範囲とも解されず、しかもそれにより臨界的意義が奏されるものとも認められない。
したがって、上記相違点4に係る本願補正発明の構成は当業者の設計事項と解するのが相当であり、当業者であれば容易に想到し得ることである。

そして、本願補正発明の効果も刊行物1,2に記載の発明及び周知技術から当業者が容易に予測し得たものであり、格別顕著なものとはいえない。
以上のとおりであるから、本願補正発明は、刊行物1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

(5)むすび
したがって、本件手続補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3. 本願発明について
(1)本願発明
上記のとおり、本件手続補正は却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明は、明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項2は、次のとおり記載されている。
「【請求項2】 一対の内フラップと一対の外フラップを重ね合わせて妻面を形成する組み立て角箱において、前記一対の外フラップの一方の外フラップに打ち抜き部を設け、他方の外フラップに該打ち抜き部を通して前記一対の内フラップに接着する接着剤を塗布する一方、前記打ち抜き部として、前記一方の外フラップの先端部両隅に切込み部を形成することにより、前記他方の外フラップを前記一対の内フラップに接着する接着部分に掛け止める掛止突部を設けるとともに、前記切込み部を形成する一方の外フラップに解体用ミシン線および切離し用ミシン線を形成することを特徴とする、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クッキングペーパーのいずれかを収納する組み立て角箱。」(以下請求項2に係る発明を、「本願発明」という。)

(2)刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、刊行物及び記載事項は、上記2(2)に記載したとおりである。

(3)対比 ・判断
本願発明は、本願補正発明から、接着剤塗布についての「他方の外フラップの接着剤を塗布する位置の間に、一方の外フラップと接合するための接着剤を塗布して接着剤塗布位置を計3箇所とする」との限定事項を省いたものであり、同じく、接着剤の塗布面積についての「0.1以上10%未満とする」との限定事項を省いたものであり、同じく、解体用ミシン線についての「一方の外フラップに幅50?100mm、高さ15?40mmで設ける」との限定事項を省いたものであり、同じく、解体用ミシン線についての「略U字形に設ける、」との限定事項を省いたものであり、同じく、解体用ミシン線および切離し用ミシン線についての「解体用ミシン線と連続して一方の外フラップの先端に平行に、切離し用ミシン線を設けてなり、解体後、解体用ミシン線と切離し用ミシン線により切り取られる破片を、一方の外フラップと接合するための接着剤により他方の外フラップに接着した状態としてなる」との限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含むものに相当する本願補正発明が、上記2(4)に記載したとおり、刊行物1,2に記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様に当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-04 
結審通知日 2008-03-11 
審決日 2008-03-24 
出願番号 特願2002-94153(P2002-94153)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
P 1 8・ 575- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 祐介  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 田中 玲子
関口 勇
発明の名称 ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クッキングペーパーのいずれかを収納する組み立て角箱  
代理人 中尾 俊介  

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