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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01D
管理番号 1177478
審判番号 不服2006-7426  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-19 
確定日 2008-05-07 
事件の表示 平成11年特許願第192040号「データ記録表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 1月26日出願公開、特開2001- 21387〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成11年7月6日の出願であって、平成18年4月6日付け(発送日:平成18年4月10日)で拒絶査定がなされ、これに対して、同月19日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものであり、その請求項1ないし4に係る発明は、平成17年9月22日提出の手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】
2次元表示器を用いたデータ記録表示装置であって、
表示画面は、画面の切り替えに応じた所定の画面を表示する第1の領域と、第1の領域がどのような画面に切り替えられても常に装置全体の共通情報を表示する第2の領域とに分割され、
第1の領域の一部には画面操作に関連した複数の選択対象項目を必要なときに選択的に一覧表示する階層化された選択項目表示領域が設けられ、
表示画面の近傍または一部には上下左右および確定に対応した5個の画面設定操作用キーが設けられていることを特徴とするデータ記録表示装置。」

第2 引用刊行物に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開平10-185959号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
1 「【特許請求の範囲】
【請求項1】ハウジングと、
測定信号を表す波形を表示し、また、少なくともテスト/測定パラメータ(セッティング)を調整するための1つ以上の項目を備えたメニュー及び/またはサブメニューを表示するディスプレイと、
選択キーのような、特に、手動によって作動し、前記メニューをポップ・アップする単一打鍵装置である、電気スイッチと、
カーソルを移動させて、前記メニューの項目(セッティング等)を選択するポインティング・デバイスと、
を備えて成り、
前記電気スイッチが、前記項目によって示されるサブメニューを起動し、
前記電気スイッチが、前記パラメータの調整後、前記項目に相関した前記サブメニューを停止し、
前記電気スイッチが、データ・プロセッサをトリガして、初期バックグラウンド内容を復元し、前記メニューのポップ・アップ前に見えるようにする、
ことを特徴とする、光学信号及び/または電気信号の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、測定装置に関するものであり、とりわけ、光学時間領域反射率計(OTDR)または電気時間領域反射率計(TDR)におけるテスト/測定パラメータを調整するための方法に関するものである。」
2 「【0006】本発明による装置または計器は、その操作のために少数のノブまたはボタンだけしか必要としない。・・・・・選択キーを押すと、とりわけ、測定(セッティング)前にテスト/測定パラメータを調整し、また、測定信号の表現形態(ズーム)、及び、前記ディスプレイのウインドウにおける項目の言語、現在の時間、日付、及び、特定のオペレータに関する計器の構成といった、ディスプレイの基本的バックグラウンド内容の表現形態を調整するため、アイコン、オブジェクト、または、テキスト説明を備えたメニューが計器のディスプレイ/スクリーンにポップ・アップする。オペレータが、ポインティング・デバイスを用いて、メニューの所定のオブジェクトまたは項目を選択し、選択キーを押すと、関連サブメニューが起動する。次に、オペレータは、サブメニューの特定の項目を選択して、選択キーを押し、所定の値を選択することによって測定パラメータを変更するか、あるいは、ポインティング・デバイスのアップまたはダウン機能でその値を個別に増減させる。」
3 「【0028】【実施例】図1には、計器がオペレータの手に保持された時の、本発明によるOTDRの右半分に関する平面図が示されている。図1には、ハウジング2、TFTまたはDSTNモノクロまたはカラー・ディスプレイのようなディスプレイ3、ディスプレイ3に沿ってカーソル(不図示)を移動させるポインティング・デバイス4、及び、ポインティング・デバイスによってメニューまたはサブメニューの項目が選択された後、メニューまたは別のサブメニューをポップ・アップするための選択キー5を備えたOTDR1が描かれている。」
4 「【0030】図1から分かるように、本発明によるOTDRは、本発明によるOTDRを操作するのに3つのボタン4、5、6だけしか備えていない・・・・・
【0031】図1には、計器の右手側におけるディスプレイ3に近接した操作ボタンの配置が示されている。・・・・・
【0032】ポインティング・デバイス4(カーソル・キー)は、交差方向に傾斜させることが可能なスイッチの形態をなす機能キー・ブロックである。カーソル・キーは、そのエッジに上下左右を示す4つの矢印を備えている。・・・・・
【0033】選択キー5は、その中央に隆起した部分を備えている。・・・・・本発明によれば、操作ボタンまたはキー4、5、6、及び、7をディスプレイ3にすぐ隣接して配置することが提案されている。」
5 「【0035】ディスプレイ3には、とりわけ、測定信号を表す全体波形を表示するための第1のウインドウ21、全体波形の一部をより詳細に表示するための独立したウインドウ22、及び、カーソル4の画像24及び選択キー5の機能を説明する画像26によって示される、ポインティング・デバイス4の現在の機能を表示するための第3のウインドウ23が示されている。ポインティング・デバイス4に現れる矢印は、記号24によって示されるように、押すと、マーカA(25によって表示)からマーカBにスイッチする。
【0036】測定の実施、及び、前に測定された、測定信号を表す波形のロードが済むと、全体波形が、第1のウインドウ21に表示され、その全体波形の一部が、ウインドウ22により詳細に表示される。ポインティング・デバイス4の左向き矢印を押すと、垂直ライン27を波形上の任意の位置まで移動させることができる。テストを受けるファイバの選択されたポイントに関する測定データが、ウインドウ28に表示される(図2にはデータが見られない)。右を示す矢印を押すと、垂直ライン27が右に移動する。同じことが、現在割り当てられている上向き矢印を押して、垂直ラインAから垂直ラインBにスイッチした後のマーカBにも当てはまる。ポインティング・デバイス4の下向き矢印を押すと、全波形(「フル」機能)が、ディスプレイ3のウインドウ22に示されるか、あるいは、強調表示マーカAまたはBのまわりの波形がより詳細に示される。」
6 「【0038】図3には、操作モードにブートした後であって、かつ、測定の実施、または、以前に測定された既に測定済みの信号を表す波形のロードに先立つ、ただし、選択キー5を押した後における、OTDRのスクリーンが示されている。メニュー31がディスプレイ3にポップ・アップする。同時に、第3のウインドウ33が、指示「Popup Menu」によって指示されるその外観の変更を行う。記号34によって示されるポインティング・デバイス4の上下左右の矢印を用いて、オペレータは、メニューのテキスト・フィールド内を移動し、サブメニュー「Setting」35のような項目を強調表示することができる。押すと、それに現在割り当てられている機能がサブメニューをポップ・アップすることになる(記号「Select」36を備えた選択キー5の表現で表示される)、選択キー5を押した後、メニューがスクリーンから消え、図4に示すサブメニュー「Measurement Settings」がポップ・アップする。
【0039】図4には、サブメニュー「Measurement Settings」が示されている。第3のウインドウ43は、再び、記号44及び46によって示されるカーソル・キー4及び選択キー5の現在の機能を表示する「Parameter」ウインドウに、その外観を変化させている。カーソル・キー4を用いて、カーソル45を異なるセッティング・オプションに移動させると、それが強調表示される。選択キー5を押した後、サブメニュー(不図示)が現れ、カーソル4によって選択し、選択キー5によってセットすることが可能な所定の値が示されるか、あるいは、カーソル・キー4の上または下向き矢印を押すことによって、値をステップ式に上昇または低下させることが可能になる。値は、それに従ってインクリメントまたはデクリメントする。測定セッティングの調整が済むと、その値は、「OK」ソフトウェア・ボタンによって確認するか、あるいは、「Store...」ボタン等によって記憶することが可能である。オペレータが、セットされたばかりのパラメータに関して測定を実施したいという場合には、カーソルをOKフィールドに移動させ、選択キー5によってセッティングの確認を行う。」
7 「【0041】図5には、メニュー31のズーム・サブメニューを選択し、選択キー5を押した後の、ディスプレイ3の外観が示されている。第3のウインドウ53「Zoom」には、記号54及び56で表示された、カーソル・キー4及び選択キー5に割り当てられた機能が示されている。
【0042】実行/停止ボタン6を押して測定を実施した後、測定された全体波形が、第1のウインドウ21に表示され、波形の一部が、第2のウインドウ22により詳細に表示される(不図示)。カーソル・キー4を用いて、調整可能な矩形(不図示)が第1のウインドウ51にポップ・アップされる。
【0043】調整可能な矩形または他の幾何学図形が、全体波形の一部を包囲し、包囲された部分が、第2のウインドウ22により詳細に示される(不図示)。矩形または別の図形のサイズは、カーソル・キー4の矢印で調整される。」
8 「【0044】図6には、メニュー31の項目「Config.」の背後のサブメニューが示されている。修正すべき項目は、カーソル・キー4でアクセスし、選択キー5で選択することが可能である。第3のウインドウ63「Menu」には、記号64及び66を用いて、カーソル・キー4及び選択キー5にどの機能が割り当てられているかが示される。図6の例の場合、ディスプレイにおける項目の言語は、英語から、強調表示された項目65によって示されたドイツ語に変更される。この構成の修正は、選択キー5を押した後に行われる。」
9 「【0046】図7には、概略ブロック図を用いて本発明によるOTDR1が示されている。
・・・・・
【0049】・・・・・受信されたアナログ測定信号は、アナログ/デジタル変換器によって変換され、デジタル表現の測定信号が、関連メモリに納められたソフトウェアによって駆動される信号プロセッサ(もう1つのデータ・プロセッサ)に加えられる。該測定信号は、信号プロセッサによる処理を受けた後、バスを介して、RAM、フラッシュメモリに、または、周辺コントローラに送られる。」
10 「【0058】[実施態様6]前記ポインティング・デバイス、とりわけ、カーソル・キー(4)が、上下左右を示す異なる矢印を備える4つの独立したキーを有し、それぞれ、各独立キー毎に示される方向に前記カーソルを移動させる電気信号を発生することを特徴とする、実施態様1に記載の装置。」
11 図面の図2ないし図6の記載から、「DATE/TIME」、「BATTERY・・・%FULL」という表示は、第2のウインドウ22、第3のウインドウ23等の画面の切り替えとは無関係に、常に表示画面の一定の所定位置に表示されていることが見て取れる。

上記摘記事項1?11及び図面の記載から、次のことが読み取れる。
・摘記事項1及び3から、OTDRが、ディスプレイ3、ポインティング・デバイス4、選択キー5を備えること。
・摘記事項5及び9から、OTDRは測定信号を記憶しその波形を表示すること。
・摘記事項5及び7から、ディスプレイ3の表示画面には、測定信号を表す全体波形を表示するための第1のウインドウ21、全体波形の一部をより詳細に表示するための独立した第2のウインドウ22、ポインティング・デバイス4及び選択キー5の機能を説明するための第3のウインドウ23が表示されること。
・摘記事項1、6、8及び図面の図3、図4、図6の記載から、少なくともテスト/測定パラメータ(セッティング)を調整するための1つ以上の項目を備えたメニュー又はサブメニューが選択キー5の操作によりポップ・アップされること、また、ポインティング・デバイス4によってメニュー又はサブメニューの項目を選択し、該選択された項目によって示されるサブメニューを選択キー5の操作によってポップ・アップすること。
・摘記事項6、8及び図面の図3、図4、図6の記載から、メニュー及びサブメニューは第2のウインドウ22内に表示されること。
・摘記事項10から、ポインティング・デバイス4は、上下左右を示す異なる矢印を備える4つの独立したキーを有し、それぞれ、各独立キー毎に示される方向に前記カーソルを移動させる電気信号を発生するものであること。
・摘記事項1から、選択キー5は単一打鍵装置であること。
・摘記事項4から、ポインティング・デバイス4及び選択キー5をディスプレイにすぐ隣接して配置すること。

以上のことから、引用刊行物には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「ディスプレイ3、ポインティング・デバイス4、選択キー5を備え、測定信号を記憶しその波形を表示するOTDRであって、
ディスプレイ3の表示画面には、測定信号を表す全体波形を表示するための第1のウインドウ21、全体波形の一部をより詳細に表示するための独立した第2のウインドウ22、ポインティング・デバイス4及び選択キー5の機能を説明するための第3のウインドウ23が表示されるとともに、第2のウインドウ22、第3のウインドウ23等の画面の切り替えとは無関係に、常に一定の所定位置に「DATE/TIME」、「BATTERY・・・%FULL」という表示がなされ、
少なくともテスト/測定パラメータ(セッティング)を調整するための1つ以上の項目を備えたメニュー又はサブメニューが選択キー5の操作によりポップ・アップされ、ポインティング・デバイス4によってメニュー又はサブメニューの項目を選択し、該選択された項目によって示されるサブメニューが選択キー5の操作によってポップ・アップされ、これらメニュー及びサブメニューは第2のウインドウ22内に表示されるものであり、
ポインティング・デバイス4は、上下左右を示す異なる矢印を備える4つの独立したキーを有し、それぞれ、各独立キー毎に示される方向に前記カーソルを移動させる電気信号を発生するものであり、
選択キー5は単一打鍵装置であり、
ポインティング・デバイス4及び選択キー5をディスプレイにすぐ隣接して配置することを特徴とするOTDR。」

第3 対比・判断
1 本願発明と引用発明との対比
(1)引用発明の「ディスプレイ3」、「OTDR」は、それぞれ、本願発明の「2次元表示器」、「データ記録表示装置」に相当する。
(2)引用発明の「第1のウインドウ21」及び「第2のウインドウ22」は、摘記事項5及び7の記載からみて、ズーム機能の選択の有無に応じて、それぞれのウインドウ内に表示される波形が変更されるものであり、また、「第3のウインドウ23」も、摘記事項5、6、7、8の記載からみて、ポインティング・デバイス4及び選択キー5の現在の機能に応じてその表示内容が切り替えられるものであるから、これら3者を合わせた表示画面上の領域は、本願発明の「第1の領域」に相当する。
(3)引用発明の「「DATE/TIME」、「BATTERY・・・%FULL」という表示」は、摘記事項2の「ディスプレイのウインドウにおける項目の言語、現在の時間、日付、及び、特定のオペレータに関する計器の構成といった、ディスプレイの基本的バックグラウンド内容の表現形態を調整するため、アイコン、オブジェクト、または、テキスト説明を備えたメニューが計器のディスプレイ/スクリーンにポップ・アップする」という記載、図面の図6のサブメニュー「Config.」の項目の記載、また、これらの「DATE/TIME」、「BATTERY・・・%FULL」という言葉自体の意味するところからみて、現在の日付、時間、バッテリーの残容量を表示したものであることは明らかであり、これらはOTDR全体に共通する情報であるといえる。
したがって、引用発明の「第2のウインドウ22、第3のウインドウ23等の画面の切り替えとは無関係に、常に一定の所定位置に「DATE/TIME」、「BATTERY・・・%FULL」という表示がなされ」る表示画面上の領域は、本願発明の「第2の領域」に相当する。
(4)引用発明の「メニュー」及び「サブメニュー」は、ともに、少なくともテスト/測定パラメータ(セッティング)を調整するための1つ以上の項目を備えており、メニューの項目の中から選択された項目によって示されるサブメニュがポップ・アップされることから、両者は階層化された関係にある。
したがって、引用発明の「メニュー」及び「サブメニュー」を表示する表示画面上の領域は、本願発明の選択項目表示領域に相当する。
(5)引用発明の「ポインティング・デバイス4」及び「選択キー5」は、本願発明の「上下左右および確定に対応した5個の画面設定操作用キー」に相当する。

(6)したがって、本願発明と引用発明とは、
「2次元表示器を用いたデータ記録表示装置であって、
表示画面は、画面の切り替えに応じた所定の画面を表示する第1の領域と、第1の領域がどのような画面に切り替えられても常に装置全体の共通情報を表示する第2の領域を有し、
第1の領域の一部には画面操作に関連した複数の選択対象項目を必要なときに選択的に一覧表示する階層化された選択項目表示領域が設けられ、
表示画面の近傍または一部には上下左右および確定に対応した5個の画面設定操作用キーが設けられていることを特徴とするデータ記録表示装置。」
である点で一致し、次の相違点で相違する。
[相違点] 本願発明では、表示画面が第1の領域と第2の領域とに分割されるのに対し、引用発明には、表示画面をこれら2つの領域に分割することについての明示がない点。

2 判断
上記相違点について検討する。
引用刊行物の図面の図2ないし図6の記載をみると、表示画面には、第1ないし第3のウインドウ、「DATE/TIME」、「BATTERY・・・%FULL」という表示がなされている領域以外に、「MARKER A 1km/Div」という表示、該表示の下方の「A-B:2.300km」、「2 PT LOSS:0.000dB」・・・等の表示、「RANGE:0-10km」、「PWIDTH:100ns」・・・等の表示、「LASER OFF λ=1550nm」という表示、「% COMPLETE」及びその直下の横長の矩形の表示がそれぞれなされている各領域が見て取れる。
上記「MARKER A 1km/Div」という表示については、上記摘記事項5の記載からみて、ポインティング・デバイス4がマーカAを選択しており、ウインドウ22の表示の時間軸のレンジが「1km/Div」であることを表していることは明らかである。
また、その他の表示に関しては、引用刊行物では、「【0037】ディスプレイ3の他のウインドウにおける項目は、当該技術の熟練者には自明のことであり、従って、解説しない。」と記載され説明が略されてはいるものの、「自明のこと」と記載されているように、当該技術分野における技術常識に照らしてみれば、上記「A-B:2.300km」、「2 PT LOSS:0.000dB」・・・等の表示が、マーカA及びB間の距離、その間の損失等の測定値等を表すものであること、「RANGE:0-10km」、「PWIDTH:100ns」・・・等の表示が、測定範囲、パルス幅等の測定条件を表すものであること、また、「LASER OFF λ=1550nm」が、現在のレーザの動作状態及び波長を表すものであること、また、「% COMPLETE」及びその直下の横長の矩形の表示が、波形のロード等の処理の進行状況を表すものであることは明らかである。
そうすると、これらの各表示は、いずれも、マーカの選択、表示のレンジの切り替え、マーカの移動、測定条件の変更、測定の実行、波形のロード等の諸操作に伴う画面の切り替えに応じて所定の表示がなされるものであるから、その表示の態様の点で、第1ないし第3のウインドウにおける表示と同様のものであるといえる。
一方、「DATE/TIME」、「BATTERY・・・%FULL」という表示は画面の切り替えに無関係に常に表示されるものであるから、上記各表示とは明らかに態様が異なるものである。
このように態様が異なる各表示を表示画面上のどのような位置にそれぞれ配置するかは、視認性、操作性等の種々の観点を考慮しつつ当業者が適宜決定する設計的事項であって、その際に、採り得る配置のうちでも、とりわけ際だった特徴点である上記のような表示の態様の違いに着目して、これらを2群に分けてそれぞれをまとめて2つの領域として表示画面上に配置するようにすることはごく自然な着想であると言うことができる。
したがって、引用発明において上記相違点に係る構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明の奏する効果は、引用発明から当業者が予測し得る範囲内のものであり、格別のものではない。
よって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
そして、本願発明が特許を受けることができないものであるから、その余の請求項2ないし4に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-10 
結審通知日 2008-03-11 
審決日 2008-03-25 
出願番号 特願平11-192040
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 榮永 雅夫  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 下中 義之
上原 徹
発明の名称 データ記録表示装置  

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