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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1183047
審判番号 不服2006-607  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-01-10 
確定日 2008-08-13 
事件の表示 特願2002-371699「イメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 4月15日出願公開、特開2004-118175〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成14年12月24日(優先権主張:2002年9月27日,米国)の出願であって、平成17年10月4日付け(発送日:同年10月11日)で拒絶査定がなされ、これに対し平成18年1月10日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年2月9日付けで明細書を補正対象とする手続補正書(以下、この手続補正書による補正を「平成18年2月9日付け補正」といい、また「本件補正」ともいう。)が提出されたものである。

第2 平成18年2月9日付け補正についての補正の却下の決定

1 補正の却下の決定の結論
平成18年2月9日付け補正を却下する。

2 補正の却下の決定の理由
(1)本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を次のように補正する内容を含むものである。

ア 本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】 表示するイメージフレームの一番目のイメージラインの開始点を基準点として決定するステップと、
イメージ供給装置によって生成されるインディケーター信号であって、その両端の水平位置が、ユーザにより選択されたイメージフレーム内のサブ領域の両垂直エッジの水平位置と一致するインディケーター信号を含んだ、前記表示するイメージフレームのイメージラインのうちの何れかに含まれているラインパターンを検出するステップと、
前記基準点から前記インディケーター信号の両端までの水平距離を測定するステップと、
前記測定した水平距離から、選択された前記サブ領域に対応するハイライト領域の水平座標値を計算して、前記ハイライト領域をサーチするステップと、
前記サーチしたハイライト領域の輝度利得を増幅するステップと、
からなることを特徴とするイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項2】 前記輝度利得は前記パターンに含まれる輝度パラメーターによって増幅することを特徴とする請求項1に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項3】 前記ラインパターンに含まれるオリジナルチェックサムを検出するステップ及び、
新しいチェックサムを計算し前記パターンの検証のために前記新しいチェックサムを前記オリジナルチェックサムと比較するステップと
を含めることを特徴とする請求項1に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項4】 前記ハイライト領域の座標値は前記パターンが検証された場合にのみ計算されることを特徴とする請求項3に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項5】 前記両垂直エッジの水平距離は前記パターンが含まれたイメージラインの開始点から前記インディケーター信号の両端までの水平距離を測定することで測られることを特徴とする請求項1に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項6】 前記インディケーター信号の両端の水平距離は前記パターンが含まれたイメージラインの開始点と前記インディケーター信号の両端との間に各々位置している画素をカウントすることで測られることを特徴とする請求項5に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項7】 前記パターンは前記パターンが含まれたイメージラインから前記ユーザの選択領域までの垂直距離に対する情報を更に含んでいることを特徴とする請求項1に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項8】 前記ハイライト領域は前記基準点と前記パターンが含まれたイメージラインとの間の垂直なオフセット距離を用いて前記ハイライト領域の垂直な座標値を計算することでサーチすることを特徴とする請求項7に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項9】 前記ハイライト領域の水平座標値が前記ユーザ選択領域の両垂直エッジの水平距離値と同一であることを特徴とする請求項1に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項10】 表示するイメージフレームの一番目のイメージラインの開始点を基準点として決定するステップと、
前記表示するイメージフレームのイメージラインの何れか一つに含まれるラインパターンであって、パターンが含まれたイメージラインから、ユーザにより選択されたイメージフレーム内のサブ領域までの垂直距離値に関する情報を含む、ラインパターンを検出するステップと、
前記基準点と前記パターンが含まれたイメージラインとの間の垂直オフセット距離を測定するステップと、
前記測定したオフセット距離から、選択された前記サブ領域に対応するハイライト領域の垂直座標値を計算して前記ハイライト領域をサーチするステップと、
また、前記サーチしたハイライト領域の輝度利得を増幅するステップと
を含めてなることを特徴とするイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項11】 前記輝度利得は前記パターンに含まれた輝度パラメーターによって増幅することを特徴とする請求項10に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項12】 前記ラインパターンに含まれたオリジナルチェックサムを検出するステップと、
新しいチェックサムを計算し前記パターンの検証のために前記新しいチェックサムを前記オリジナルチェックサムと比較するステップと
を更に含んでいることを特徴とする請求項10に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項13】 前記ハイライト領域の座標値は前記パターンが検証された場合にだけ計算することを特徴とする請求項12に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項14】 前記垂直オフセット距離は、前記基準点と前記パターンが含まれたイメージライン間に位置する各イメージラインをカウントすることで測定されることを特徴とする請求項10に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項15】 前記パターンは、その両端の水平位置が、ユーザにより選択された領域の両垂直エッジの水平位置と一致するインディケーター信号を更に含んでいることを特徴とする請求項10に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項16】 前記ハイライト領域は、前記基準点から前記ユーザ選択領域の垂直エッジまでの水平距離を用いて前記ハイライト領域の水平座標値を計算することでサ-チされることを特徴とする請求項15に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項17】 前記ハイライト領域の垂直座標値は、前記ユーザ選択領域の垂直距離値に前記測定したオフセット距離値を加えることで得られることを特徴とする請求項10に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項18】 表示するイメージフレームの一番目のイメージラインの開始点を新しい基準点に決定するステップと、
前記表示するイメージフレームのイメージラインの何れか一つに含まれているラインパターンであって、イメージ供給装置によって生成され、かつその両端の水平位置が、ユーザにより選択されたイメージフレーム内のサブ領域の両垂直エッジの水平位置と一致するインディケーター信号と、前記ラインパターンを含むイメージラインから選択された前記サブ領域までの垂直距離値に対する情報と、を含むラインパターンを検出するステップと、
前記基準点から前記インディケーター信号の両端までの水平距離を測定し、前記基準点と前記パターンが含まれたイメージラインとの間の垂直オフセット距離を測定するステップと、
前記測定した水平距離から計算する水平座標値と、前記測定したオフセット距離から計算する垂直座標値と、を計算して、選択された前記サブ領域に対応するハイライト領域をサーチするステップと、
前記識別したハイライト領域の輝度利得を増幅するステップと
からなることを特徴とするイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項19】 前記輝度利得は前記パターンに含まれた輝度パラメーターによって増幅することを特徴とする請求項18に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項20】 前記ラインパターンに含まれたオリジナルチェックサムを検出するステップと、
新しいチェックサムを計算し前記パターンの検証のために前記新しいチェックサムを前記オリジナルチェックサムと比較するステップと
からなることを特徴とする請求項18に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項21】 前記ハイライト領域の水平及び垂直座標値は前記パターンが検証された場合にのみ計算されることを特徴とする請求項20に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項22】 前記垂直エッジの水平距離は前記パターンが含まれたイメージラインの開始点から前記インディケーター信号の両端までの水平距離を測定することで測られるこことを特徴とする請求項18に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項23】 前記インディケーター信号の両端の水平距離は前記パターンが含まれたイメージラインの開始点と前記インディケーター信号の両端との間に各々位置した画素をカウントすることで測定することを特徴とする請求項22に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項24】 前記垂直オフセット距離は、前記基準点と前記パターンが含まれたイメージラインとの間に位置する各々のイメージラインをカウントすることで測定されることを特徴とする請求項18に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項25】 前記ハイライト領域の水平座標値は前記ユーザ選択領域の両垂直エッジの水平距離値と同一であることを特徴とする請求項18に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項26】 前記ハイライト領域の垂直座標値は、前記ユーザ選択領域の垂直距離値に前記測定したオフセット距離値を加えることで得られることを特徴とする請求項18に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。」

イ 本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】 表示する全体のイメージフレームの一番目のイメージラインの開始点を基準点として決定するステップと、
イメージ供給装置によって生成されるインディケーター信号であって、その両端の水平位置が、ユーザにより選択されたイメージフレーム内のサブ領域の両垂直エッジの水平位置と一致するインディケーター信号を含んだ、前記表示する全体のイメージフレームのイメージラインのうちの何れかに含まれているラインパターンを検出するステップと、
前記一番目のイメージラインの開始点と前記インディケーター信号の両端との間の画素数をカウントすることにより、前記基準点から前記インディケーター信号の両端までの水平距離を測定するステップと、
前記測定した水平距離から、選択された前記サブ領域に対応するハイライト領域の水平座標値を計算して、前記ハイライト領域をサーチするステップと、
前記サーチしたハイライト領域の輝度利得を増幅するステップと、
からなることを特徴とするイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項2】 前記輝度利得は前記パターンに含まれる輝度パラメーターによって増幅することを特徴とする請求項1に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項3】 前記ラインパターンに含まれるオリジナルチェックサムを検出するステップ及び、
新しいチェックサムを計算し前記パターンの検証のために前記新しいチェックサムを前記オリジナルチェックサムと比較するステップと
を含めることを特徴とする請求項1に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項4】 前記ハイライト領域の座標値は前記パターンが検証された場合にのみ計算されることを特徴とする請求項3に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項5】 前記両垂直エッジの水平距離は前記パターンが含まれたイメージラインの開始点から前記インディケーター信号の両端までの水平距離を測定することで測られることを特徴とする請求項1に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項6】 前記パターンは前記パターンが含まれたイメージラインから前記ユーザの選択領域までの垂直距離に対する情報を更に含んでいることを特徴とする請求項1に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項7】 前記ハイライト領域は前記基準点と前記パターンが含まれたイメージラインとの間の垂直なオフセット距離を用いて前記ハイライト領域の垂直な座標値を計算することでサーチすることを特徴とする請求項6に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項8】 前記ハイライト領域の水平座標値が前記ユーザ選択領域の両垂直エッジの水平距離値と同一であることを特徴とする請求項1に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項9】 表示する全体のイメージフレームの一番目のイメージラインの開始点を基準点として決定するステップと、
前記表示する全体のイメージフレームのイメージラインの何れか一つに含まれるラインパターンであって、パターンが含まれたイメージラインから、ユーザにより選択されたイメージフレーム内のサブ領域までの垂直距離値に関する情報を含む、ラインパターンを検出するステップと、
前記基準点と前記パターンが含まれたイメージラインとの間の垂直オフセット距離を測定するステップと、
前記測定したオフセット距離と選択された前記サブ領域までの垂直距離値とから、該選択されたサブ領域に対応するハイライト領域の垂直座標値を計算して前記ハイライト領域をサーチするステップと、
また、前記サーチしたハイライト領域の輝度利得を増幅するステップと
を含めてなることを特徴とするイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項10】 前記輝度利得は前記パターンに含まれた輝度パラメーターによって増幅することを特徴とする請求項9に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項11】 前記ラインパターンに含まれたオリジナルチェックサムを検出するステップと、
新しいチェックサムを計算し前記パターンの検証のために前記新しいチェックサムを前記オリジナルチェックサムと比較するステップと
を更に含んでいることを特徴とする請求項9に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項12】 前記ハイライト領域の座標値は前記パターンが検証された場合にだけ計算することを特徴とする請求項11に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項13】 前記垂直オフセット距離は、前記基準点と前記パターンが含まれたイメージライン間に位置する各イメージラインをカウントすることで測定されることを特徴とする請求項9に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項14】 前記パターンは、その両端の水平位置が、ユーザにより選択された領域の両垂直エッジの水平位置と一致するインディケーター信号を更に含んでいることを特徴とする請求項9に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項15】 前記ハイライト領域は、前記基準点から前記ユーザ選択領域の垂直エッジまでの水平距離を用いて前記ハイライト領域の水平座標値を計算することでサ-チされることを特徴とする請求項14に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項16】 前記ハイライト領域の垂直座標値は、前記ユーザ選択領域の垂直距離値に前記測定したオフセット距離値を加えることで得られることを特徴とする請求項9に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項17】 表示する全体のイメージフレームの一番目のイメージラインの開始点を新しい基準点に決定するステップと、
前記表示する全体のイメージフレームのイメージラインの何れか一つに含まれているラインパターンであって、イメージ供給装置によって生成され、かつその両端の水平位置が、ユーザにより選択されたイメージフレーム内のサブ領域の両垂直エッジの水平位置と一致するインディケーター信号と、前記ラインパターンを含むイメージラインから選択された前記サブ領域までの垂直距離値に対する情報と、を含むラインパターンを検出するステップと、
前記基準点から前記インディケーター信号の両端までの水平距離を測定し、前記基準点と前記パターンが含まれたイメージラインとの間の垂直オフセット距離を測定するステップと、
前記測定した水平距離から計算する水平座標値と、前記測定したオフセット距離及び選択された前記サブ領域までの垂直距離値から計算する垂直座標値と、を計算して、該選択されたサブ領域に対応するハイライト領域をサーチするステップと、
前記識別したハイライト領域の輝度利得を増幅するステップと
からなることを特徴とするイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項18】 前記輝度利得は前記パターンに含まれた輝度パラメーターによって増幅することを特徴とする請求項17に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項19】 前記ラインパターンに含まれたオリジナルチェックサムを検出するステップと、
新しいチェックサムを計算し前記パターンの検証のために前記新しいチェックサムを前記オリジナルチェックサムと比較するステップと
からなることを特徴とする請求項17に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項20】 前記ハイライト領域の水平及び垂直座標値は前記パターンが検証された場合にのみ計算されることを特徴とする請求項19に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項21】 前記垂直エッジの水平距離は前記パターンが含まれたイメージラインの開始点から前記インディケーター信号の両端までの水平距離を測定することで測られるこことを特徴とする請求項17に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項22】 前記インディケーター信号の両端の水平距離は前記パターンが含まれたイメージラインの開始点と前記インディケーター信号の両端との間に各々位置した画素をカウントすることで測定することを特徴とする請求項21に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項23】 前記垂直オフセット距離は、前記基準点と前記パターンが含まれたイメージラインとの間に位置する各々のイメージラインをカウントすることで測定されることを特徴とする請求項17に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項24】 前記ハイライト領域の水平座標値は前記ユーザ選択領域の両垂直エッジの水平距離値と同一であることを特徴とする請求項17に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。
【請求項25】 前記ハイライト領域の垂直座標値は、前記ユーザ選択領域の垂直距離値に前記測定したオフセット距離値を加えることで得られることを特徴とする請求項17に記載のイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。」

なお、アンダーラインは、補正箇所を示すために請求人が付したものである。

(2)本件補正の適否について
本件補正の補正前の請求項10を補正後の請求項9とする補正は、補正前の請求項10に係る発明を特定するために必要な事項である「前記表示するイメージフレーム」について、「前記表示する全体のイメージフレーム」との限定を付加し、補正前の請求項10に係る発明を特定するために必要な事項である「前記ハイライト領域をサーチするステップ」について、補正前の請求項10に「前記測定したオフセット距離から・・・垂直座標値を計算して」とあったのを、補正後の請求項9の「前記測定したオフセット距離と選択された前記サブ領域までの垂直距離値とから・・・垂直座標値を計算して」とすることにより、計算に用いるパラメータについての限定を付加するものであって、当該補正は、平成18年法律第55号による改正前の特許法(以下、単に「特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項9に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(3)引用例
ア 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先権主張の日前の2001年6月7日に頒布された刊行物である国際公開第01/41117号(以下「引用例1」という。)には、図面とともに下記の事項が記載されている。
(なお、以下の摘記事項における訳文は、当該引用例1に係る出願の日本国における公表公報である特表2003-515774号公報の記載を参照し、公表公報の段落番号等を括弧内に記載した。)

(ア)「The invention relates to a display data-generating device, a method of generating display data, a display apparatus, and a system comprising a display datagenerating device and a display apparatus.
WO-A-99/21355 discloses a system of a computer and a monitor for improving the image quality of selected video windows when the video information in the window is a photograph or moving video. This document states possible image quality improvements for this kind of video information: increased sharpness or contrast, gamma or color correction. However, if these image quality improvements are performed on characters and numerals, the readability will decrease. It is therefore required to generate information in the computer to provide the monitor with the position of the window, only inside which the image quality improvement has to be performed.
In an embodiment, the position information comprises a first pulse signal which corresponds to the width in the horizontal direction of the window, and a second pulse signal which corresponds to the width in the vertical direction of the window. It is mentioned that this approach has the drawback that a separate wire connection is required between the computer and the monitor. Therefore, in the other embodiments disclosed, marker signals are generated in the video information which is transported from the computer to the monitor to indicate the start and the end position of the window. It is a drawback that these marker signals are permanently visible for every window.
It is, inter alia, an object of the invention to generate information indicating a position of a window, which information is less visible.」(明細書1ページ1行-25行:なお、行番号は各ページ左の行番号の表示による。以下、同様。)

(訳文「本発明は、表示データ発生装置、表示データ発生方法、表示装置及び、表示データ発生装置と表示装置を有するシステムに関する。
WO-A-99/21355は、窓内のビデオ情報が写真又は動画ビデオであるときに、選択されたビデオ窓の画像品質を改善するためのコンピュータとモニタのシステムを開示する。この文献は、向上されたシャープさ又はコントラスト、ガンマ又は、色補正のような、この種のビデオ情報に関する可能性のある画像品質の改善を述べる。しかし、これらの画像品質改善が文字と数字に行われると、読取り性が減少する。従って、画像改善がその中でのみ行われる窓の位置をモニタに提供するための情報をコンピュータ内で発生することが要求される
実施例では、位置情報は、窓の水平方向の幅に対応する第1のパルス信号と、窓の垂直方向の幅に対応する第2のパルス信号とを有する。このアプローチは、コンピュータとモニタ間に別の線の接続が要求されるという欠点がある。従って、開示された他の実施例では、窓の開始位置と終了位置を示すためにコンピュータからモニタへ送られるビデオ情報内に、マーカー信号が発生される。これらのマーカー信号は、各窓内で永久に目に見えるという欠点がある。
とりわけ、本発明の目的は、窓の位置を示す、あまり目に見えない情報を発生することである。」(段落【0001】-【0003】))

(イ)「Fig. 1 shows a display data-generating device 10 and a display apparatus 20.
The display data-generating device 10 may be a computer, and the display apparatus 20 may be a computer monitor.
The display data-generating device 10 comprises a display data generator 106, a microprocessor 105, and an optional digital bus driver 107.
The microprocessor 105 controls the display data generator 106 (for example, a computer graphics adapter) to send a video signal 101, a video signal 102, a video signal 103, and horizontal and vertical synchronizing pulses 104 to the display apparatus 20.
Usually, the video signals 101,102,103 represent the three primary colors red, green, and blue, respectively. The two synchronizing signals 104 can be either sent separately or combined through one wire.
As discussed before, the reference information comprises instants of occurrence and running numbers of a first and a second predetermined pixel. This reference information and the window coordinates are generated by the microcomputer 105. There are many possibilities to transport the reference information and the window coordinates from the display data-generating device 10 to the display apparatus 20. For example, the instants of occurrence of the first and the second predetermined pixel may be encoded as level transitions in at least one of the analog video signals 101,102,103. The microprocessor105 may further control the optional digital bus driver 107 to send control data DB to the display apparatus comprising the running numbers of the first and the second predetermined pixel and the window coordinates. It is also possible to encode the complete reference information and the window coordinates in the analog video signals 101,102,103.
The display apparatus 20 comprises a picture enhancement circuit 201, a video amplifier 202 divided into three sections R, G and B, a display device 204, a windows manager circuit (further referred to as WMC) 203, and a microprocessor 205. 」(明細書6ページ23行-7ページ14行)

(訳文「図1は、表示データ発生装置10と表示装置20を示す。表示データ発生装置10はコンピュータでもよく、表示装置20はコンピュータモニタでもよい。
表示データ発生装置10は、表示データ発生器106、マイクロプロセッサ105、及び、オプションのディジタルバスドライバ107を有する。
マイクロプロセッサ105は、表示データ発生器106(例えば、コンピュータグラフィックスアダプター)を制御して、ビデオ信号101、ビデオ信号102、ビデオ信号103及び、水平及び垂直同期パルス104を表示装置20へ送る。通常は、ビデオ信号101,102,103は、3原色の赤色、緑色及び、青色をそれぞれ表す。2つの同期信号104は、別々に又は、1つの線を通して結合しての何れかで伝送される。
前述のように、基準情報は、第1と第2の所定の画素の発生時点と連続番号を有する。この基準情報と窓座標は、マイクロプロセッサ105により発生される。表示データ発生装置10から表示装置20へ基準情報と窓座標を送る多くの可能性がある。例えば、第1と第2のあらかじめ定められた画素の発生の時点は、ビデオ信号101,102及び103の中の少なくとも1つ内のレベル変化しとして符号化されうる。マイクロプロセッサ105は更に、第1と第2のあらかじめ定められた画素の連続番号と窓座標を含む制御データDBを表示装置に送るように、オプションのディジタルバスドライバ107を制御する。アナログビデオ信号101,102及び103内に完全な基準情報と窓座標を符号化することも可能である。
表示装置20は映像改善回路201、R,G及びBの3つの部分に分割されたビデオ増幅器202、表示装置204、ウインドウマネージャ回路(以後WMCと呼ぶ)203及び、マイクロプロセッサ205を有する。」(段落【0030】-【0034】)

(ウ)「The picture enhancement circuit 201 can accomplish various functions whose purpose is to provide a picture in the selected window (s) which is more pleasant or impressive to the user.
Some examples of picture enhancement are described hereinafter.
A first example is the sharpness boosting function (further referred to as SBF).
・・・
In another example of video processing in selected windows to obtain picture enhancement, the white color temperature is adapted.
・・・
As the optimal picture enhancement function depends on the data content of the window, an identification of the video content is necessary to decide where to apply the processing and where not. For example, photographs and films having a higher brightness (contrast) and/or sharpness are more pleasant to the human eye. On the other hand, the same treatment applied to other kinds of pictures like text or graphics shows unacceptable artifacts to the professional user of the monitor. This identification may be performed manually by the user by selecting a window, and by selecting the enhancement function to be activated.」(明細書7ページ26行-9ページ7行)

(訳文「映像改善回路201は、ユーザに更に快適で印象的な画像を選択された窓内に供給する目的の種々の機能を達成することができる。
映像改善回路のある例を以下に説明する。
第1の例は、鮮明度向上機能(以後SBFと呼ぶ)である。
・・・
画像改善を得るための選択された窓内のビデオ処理の他の例は、白色色温度が適応される。
・・・
最適な映像改善機能は窓内のデータ内容に依存するので、ビデオコンテンツの識別は、処理を与えるか否かを決定するのに必要である。例えば、高輝度(コントラスト)とシャープさを有する写真と映画は人間の目には更に好まれる。一方、テキストやグラフィックスのような他の種類の映像に同じ扱いが与えられると、モニタのプロのユーザには受け入れられない欠陥を示す。この識別は、窓を選択することによりユーザにより手動で行われ、そして、改善機能を選択することにより活性化される。」(段落【0037】-【0045】)

(エ)「Figure 2 shows signals for elucidating the operation of the system shown in
Figure 1. Fig. 2A shows the horizontal synchronization pulse Hs. Fig. 2B shows the reference timing information which indicates the time of occurrence tr1, tr2 of the first and a second predetermined pixel Nr1, Nr2. Fig. 2C shows a control signal indicating to the picture enhancement circuit 201 when the enhancement function has to be active. Fig. 2D shows one of the video signals 101,102,103 when a full white line is displayed.
The picture enhancement circuit 201 must be controlled by an electric signal perfectly in phase with the windows to be enhanced. Without adequate means, the user would have to manually phase the area to be processed with the selected window. Moreover, when the user works with a multi-sync monitor, he should perform this phasing operation whenever he wants to change the resolution on the screen. This would be very cumbersome. Therefore, a circuit should be provided which automatically keeps the right phase between the areas to be processed and the selected windows. An aspect of the invention provides such a circuit wherein the reference information which allows an automatically correct phase is as little visible as possible.」(明細書9ページ13行-27行)

(訳文「図2は、図1に示すシステムの動作を説明する信号を示す。図2Aは、水平同期パルスHsを示す。図2Bは、第1と第2の予め定められた画素Nr1,Nr2の発生の時間tr1、tr2を示す基準タイミング情報を示す。図2Cは、改善機能が活性化されたときに、映像改善回路201に指示する制御信号を示す。図2Dは、完全な白色ラインが表示されたときに、ビデオ信号101,102及び103の1つを示す。
映像改善回路201は、改善されるべき窓と同期していることが好ましい電気信号により制御されねばならない。適切な手段がないと、ユーザは、選択された窓と処理されるべき領域の位相を、手動で合わせなければならない。更に、ユーザがマルチシンクモニタを動作させるときには、スクリーンの解像度を変更したいときにはいつでもこの動作を行わなければならない。これは、非常に厄介である。従って、回路は処理される領域と選択された窓の間を正しい位相で自動的に保持するようにされるべきである。本発明の特徴は、自動的に位相を補正することを可能とする基準情報が、できる限り目立たないような回路を提供する。」(段落【0046】-【0047】))

(オ)「The spatial position of a window on the screen is determined in the monitor 20 by the time phase with respect to the synchronizing signals 104. For the sake of simplicity, the principle will be explained only for the horizontal deflection of the monitor 20. The same may be applied, mutatis mutandis, to the vertical direction.」(明細書9ページ28行-31行)

(訳文「スクリーン上の窓の空間位置は、同期信号104に関する時間位相により、モニタ20内で決定される。簡単のために、原理を、モニタ表示装置20の水平偏向に対してのみ説明する。同じことが、必要な変更を加えて垂直偏向に対しても適用できる。」(段落【0048】))

(カ)「Fig. 2A represents the horizontal synchronizing signal 104 supplied to the monitor 20, with the active part of the horizontal synchronizing signal 104 lasting from the instant t0 to the instant tf. The horizontal frequency fh of the monitor 20 is given by:
fh =1/ (th-t0).
The active video period Ta starts at the instant t1 with the first pixel in a line with pixel number 1, ends at instant t4 with the last pixel in a line with pixel number N (for example, 1024). Fig. 2D represents the active video signal of one of the video signals 101, 102,103 when all pixels in a line have the same predetermined value. The first pixel of all three video signals 101,102,103 starts at the same instant t1 and the last pixel of all three video signals 101,102,103 ends at the same instant t4. The time period between tf and t1 is called"back porch", and the interval of time between t4 and th is called"front porch". Fig.2C shows the control signal C which must be perfectly in phase with the selected window on the screen for controlling the picture enhancement circuit 201 to perform the enhancement function on exactly the video data within the window.
To elucidate the operation of the circuit shown in Fig. 1, let it be assumed, by way of example, that there is a video format of 1024 x 768 pixels, and that the window to be processed starts at pixel number 300 and ends at pixel number 700.
As is shown in Figs. 2:
- t1 (start of the active video signal) corresponds to pixel number 1,
- tw1 (start, of the window) corresponds to pixel number 300,
- tw2 (end of the window) corresponds to pixel number 700,
- t4 (end of the active video signal) corresponds to pixel number 1024.
In order to process the video signal in the window starting at pixel number 300 and ending at pixel number 700, the display data-generating device 10 should provide the information of the temporal position of the window with respect to the synchronizing pulse Hs or at least where the first pixel with number 1 is located in time with respect to the horizontal synchronizing pulse Hs.
Unfortunately, this is not the case without special provisions because, although all the timing information is generated in the graphics adapter of the display data-generating device 10, this information is stored in registers which are not easily accessible and are video-card dependent. Furthermore, this information cannot be derived from the signals 101,102,103,104 supplied by the display data-generating device 10 because the video signals 101,102,103 depend on the video content. Due to the unpredictable content of the video signals 101,102,103, it is not possible to reliably determine the instant of occurrence t1 of the first pixel in a line with respect to the instant t0 of occurrence of the synchronizing pulse 104.
The problem is even more serious in multi-sync monitors, where even when the horizontal frequency may be the same for the same format, the back porch and the front porch very often have different values.」(明細書9ページ32行-11ページ5行)

(訳文「図2Aは、時点t0から時点tfへ続く水平同期信号104のアクティブ部分を伴なう、モニタ20に供給される、水平同期信号104を示す。モニタ20の水平周波数fhは、
fh=1/(th-t0)
により与えられる。
アクティブビデオ期間Taは、画素番号1を有するライン内の第1画素を有する時点t1で開始し、画素番号N(例えば、1024)を有するライン内の最後の画素を有する時点t4で終了する。図2Dはビデオ信号101,102及び103のうちの1つのアクティブビデオ信号を示す。全ての3つのビデオ信号101,102及び103の第1の画素は、同じ時点t1で開始し、そして、全ての3つのビデオ信号101,102及び103の最後の画素は、同じ時点t4で終了する。tfとt1の間の時間期間は、”バックポーチ”と呼ばれ、t4とthの間の時間期間は“フロントポーチ”と呼ばれる。図2Cは、窓内のビデオデータに正確に改善機能を実行するために、映像改善回路201を制御するために、スクリーン上の選択された窓と完全に位相が合っていなければならない制御信号Cを示す。
図1に示す回路の動作を説明するために、例により、ビデオフォーマットは1024x768画素であり、そして、処理されるべき窓は、画素番号300で開始しそして、画素番号700で終了するとする。
図2に示すように、
-t1(アクティブビデオ信号の開始)は、画素番号1に対応し、
-tw1(窓の開始)は、画素番号300に対応し、
-tw2(窓の終了)は、画素番号700に対応し、
-t4(アクティブビデオ信号の終了)は、画素番号1024に対応する。
画素番号300で開始し、そして、画素番号700で終了する窓内のビデオ信号を処理するために、表示データ発生装置10は、同期パルスHsに関する窓内の時間位置の情報又は、少なくとも画素番号1が同期パルスHsに関して時間で配置されているところを提供すべきである。
不運にも、全てのタイミング情報は表示データ発生装置10のグラフィックアダプター内で発生されるが、この情報は簡単にアクセスできないレジスタ内に蓄積されそして、ビデオカードに依存するので、これは特別な準備無しの場合ではない。更に、ビデオ信号101,102及び103はビデオコンテンツに依存するので、この情報は、表示データ発生装置10より供給される、信号101,102、103、104から得ることができない。ビデオ信号101,102及び103の予測できない内容によって、同期パルス104の発生の時点t0に関して、ライン内で第1の画素の発生の時点t1を信頼性を持って決定することは可能ではない。
問題は、同じフォーマットに対しては水平同期周波数は同じであるときでさえも、バックポーチとフロントポーチは非常に頻繁に異なる値を有する、マルチシンクモニタでは更に深刻である。」(段落【0050】-【0055】)

(キ)「An embodiment of the invention is based on the recognition that the video signals 101,102,103 can be used to generate the necessary reference timing information by forcing the graphics adapter 106 to generate, during a predetermined line, a timing signal which is used as reference for all the time relations.
The timing information may consist of a timing signal with a first level transition at a first predetermined pixel with running number Nr1 occurring at a first predetermined instant tr1, and a second level transition at a second predetermined pixel with running number Nr2 occurring at a second predetermined instant tr2. Examples of such a timing signal are shown in Fig. 2B. The solid line shows a single pulse, the dashed line shows two pulses. The period of time between two pixels can be calculated from the period of time between these two instants tr1, tr2 and the running numbers Nr1, Nr2. The start instant tw1 of the window is determined by multiplying the number of pixels occurring between the running number Nw1 of the start pixel of the window and one of the running numbers Nr1, Nr2 of the predetermined pixels as follows:
tw1 = tr1 + (Nw1-Nr1) *(tr2-tr1)/ (Nr2-Nr1+1)
when using the time difference between the start pixel of the window Nw1 and the first predetermined pixel Nr1.」(明細書11ページ6行-22行)

(訳文「本発明の実施例は、グラフィクアダプター106に、予め定められたライン中に、全ての時間関係に関する基準として使用されるタイミング信号を発生させるようにすることにより、ビデオ信号101,102及び103を、必要な基準タイミング情報を発生させるのに使用できるという認識に基づいている。
タイミング情報は、第1の所定の時点tr1で発生する連続番号Nr1を有する第1の予め定められた画素での第1のレベルの変化と、第2の所定の時点tr2で発生する連続番号Nr2を有する第2の予め定められた画素での第2のレベルの変化を有するタイミング信号からなる。そのようなタイミング信号の例を、図2Bに示す。実線は単一パルスを示し、破線は2つのパルスを示す。2つの画素の間の時間の期間は、これらの2つの時点tr1、tr2の間の時間期間と連続番号Nr1、Nr2から計算できる。窓の開始時点tw1は、窓の開始画素の連続番号Nw1と、以下のように、予め定められた連続番号Nr1、Nr2の1つとの間に発生する画素の数を乗算することにより決定される。
tw1=tr1+(Nw1-Nr1)*(tr2-tr1)/(Nr2-Nr1+1)
ここで、窓Nw1の開始画素と第1の予め定められた画素Nr1の間の時間差を使用する。」(段落【0056】-【0057】))

(ク)「The first and second predetermined pixels may occur in one and the same line of the video information to allow determination of the horizontal start (and/or end) position of the window. The first and second predetermined pixels may occur in different lines of the video information to allow determination of the vertical start (and/or end) position of the window. 」(明細書11ページ29行-33行)

(訳文 「窓内の水平開始(及び/又は終了)位置の決定を可能とするために、第1と第2の予め定められた画素はビデオ情報の1つの且つ同じライン内に発生しうる。窓内の垂直開始(及び/又は終了)位置の決定を可能とするために、第1と第2の予め定められた画素はビデオ情報の異なるライン内に発生しうる。」(段落【0058】))

(ケ)「In a preferred embodiment, the first predetermined pixel Nr1 is the start pixel of a line with running number 1 and occurring at a relative instant zero, and the second predetermined pixel Nr2 is the last pixel of a line with running number N and occurring at a relative instant Ta. Now, the instant of occurrence tw1 of a pixel with a running pixel number Nw1 is defined by:
tw1 = Nw1 * Ta/N.」(明細書12ページ1行-6行)

(訳文「好適な実施例では、第1の予め定められた画素Nr1は、連続番号1を有し且つ相対時点ゼロで発生するラインの開始画素であり、第2の予め定められた画素Nr2は、連続番号Nを有し且つ相対時点Taで発生するラインの終了画素である。そこで、連続画素番号Nw1を有するがその発生時点tw1は、
tw1=Nw1*Ta/N
により定義される。」(段落【0059】))

(コ)「In the PC, all the information is encoded and embedded in at least one of the video signals 101,102,103 or is sent to the bus driver 107 for the transmission (using USB, DDC or the like).
If the embedding choice is made, all the information can be transmitted during one single line ("data-line"), utilizing the fact that there are three video channels. For example, the green channel can carry the burst-line and thered/blue channel can carry the window coordinates.
・・・
The first (and simplest) way is to blank the at least one line which is carrying the encoded information before it is displayed on the display screen of the monitor. Of course, before the blanking is performed, the (encoded) reference timing information has been retrieved first. The drawback of this solution is that the user loses at least one line of information. On the other hand, when this at least one line is positioned at the bottom of the picture, this loss is hardly visible. The line (or lines) containing the reference timing information are detected in the WMC 203 and blanked in the picture enhancement circuit 201.」(明細書12ページ22行-13ページ8行)

(訳文「PC内では、全情報が、ビデオ信号101,102及び103の少なくとも1つに符号化され且つ埋め込まれている。又は、(USB、DDC又は、同様なものを使用して)送信のためにバスドライバ107に送られる。
埋め込み選択が行われる場合には、全情報が、3つのビデオチャネルがあるという事実を使用して、1つの単一ライン(”データライン”)中に伝送されることができる。例えば、緑色チャネルは、バーストラインを担い、そして、赤/青色チャネルは窓座標を担う。
・・・
第1の(そして最も簡単な)方法は、符号化された情報を担う少なくとも1つのラインを、モニタの表示スクリーンに表示される前に、ブランクにすることである。もちろん、ブランキングが行われる前に、(符号化された)基準タイミング情報が最初に取り出される。この解決方法の欠点は、ユーザが、少なくとも1つのラインの情報を失うことである。一方、この少なくとも1つのラインが映像の下部に配置されているときには、この損失はほとんど目に見えない。基準タイミング情報を含むライン(又は、複数のライン)は、WMC203内で検出され、そして、映像改善回路201内でブランクにされる。」(段落【0065】-【0068】)

(サ)「The basic purpose of the piece of software resident in the monitor (firmware) is to execute all the calculations for deriving the temporal position of the selected window (s) on the basis of the information transmitted by the computer.
The WMC 203 performs the following operations:
- decoding of the signal sent by the computer 10 either embedded in the
video signal 101,102,103, or travelling on a communication bus driven
by the digital bus driver 107,
- generation of a control signal as shown in Fig. 2C whose duration and
phase correspond to the duration and phase of the window (s) selected by
the user.」(明細書13ページ24行-33行)

(訳文「モニタ内に存在するソフトウェアの部分(ファームウェア)の基本的な目的は、コンピュータにより送信される情報を基にして選択された窓の時間位置を得るために全ての計算を実行することである。
WMC203は、以下の動作を実行する。
- ビデオ信号101,102及び103内に埋め込まれているか又は、ディジタルバスドライバ107により駆動される通信バスを送られてのいずれかでコンピュータ10により送られる信号を復号し、
- 継続時間と位相が、ユーザにより選択された窓の継続時間と位相に対応する、図2Cに示す制御信号を発生する。」(段落【0072】-【0073】)

(シ)「10. A display data-generating device (10) as claimed in claim 4, characterized in that the microprocessor (105) is further programmed to encode, in one of the data signals (101,102,103), the coordinates (Nw1, Nw2), and the running numbers (Nr1) and (Nr2), or the total number (N) of pixels in the line when the first predetermined pixel is the first pixel (0) in a line and the second predetermined pixel is the last pixel (N) in the line.」(CLAIMS)

(訳文「【請求項10】 マイクロプロセッサは、データ信号の中の1つに、座標(Nw1,Nw2)及び、連続番号(Nr1)と(Nr2)又は、第1の予め定められた画素がライン内の第1の画素(0)でありかつ第2の予め定められた画素がライン内の最後の画素(N)であるときには、ライン内の画素の合計数(N)を符号化するように更にプログラムされることを特徴とする、請求項4に記載の表示データ発生装置。」(【特許請求の範囲】))

(ス)「22. A display apparatus (20) as claimed in claim 15, characterized in that the picture enhancement circuit (201) comprises controllable amplifiers for controlling the contrast and/or brightness of the received display data (DD), and that the control circuit (203, 205) is adapted to further receive information indicating the desired level of contrast and brightness of the display data in the window.」(CLAIMS)

(訳文「【請求項22】 映像改善回路は、受信された表示データ(DD)のコントラスト及び/又は輝度を制御する制御可能な増幅器を有し且つ、制御回路は、窓内の表示データのコントラストと輝度の所望のレベルを示す情報を更に受信するようになされることを特徴とする請求項15に記載の表示装置。」(【特許請求の範囲】))

上記摘記事項(カ)の記載及びFIG.2Aないし2Dから、各信号における、それぞれの時点tは水平同期信号の立ち上がりの時点であるt0を基準点としていることが読み取れる。
また、上記摘記事項(コ)の「埋め込み選択が行われる場合には、全情報が、3つのビデオチャネルがあるという事実を使用して、1つの単一ライン(”データライン”)中に伝送されることができる。例えば、緑色チャネルは、バーストラインを担い、そして、赤/青色チャネルは窓座標を担う。」との記載から、窓座標をデータラインに埋め込むことが読み取れ、上記摘記事項(コ)の「PC内では、全情報が、ビデオ信号101,102及び103の少なくとも1つに符号化され且つ埋め込まれている。」との記載、及び、上記摘記事項(サ)の「WMC203は、以下の動作を実行する。-ビデオ信号101,102及び103内に埋め込まれているか又は、ディジタルバスドライバ107により駆動される通信バスを送られてのいずれかでコンピュータ10により送られる信号を復号し、-継続時間と位相が、ユーザにより選択された窓の継続時間と位相に対応する、図2Cに示す制御信号を発生する。」との記載からみて、WMC203が、窓座標が埋め込まれたデータラインを検出することも、引用例に記載されているに等しい事項である。
さらに、上記摘記事項(ス)の「映像改善回路は、受信された表示データ(DD)のコントラスト及び/又は輝度を制御する制御可能な増幅器を有し且つ、制御回路は、窓内の表示データのコントラストと輝度の所望のレベルを示す情報を更に受信する」との記載、及び、上記摘記事項(ウ)の「例えば、高輝度(コントラスト)とシャープさを有する写真と映画は人間の目には更に好まれる。」との記載から、画像改善回路が窓内の輝度利得を増幅するものが読み取れる。
そうすると、上記摘記事項(ア)ないし(ス)から、引用例1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「水平同期信号104の発生の時点t0を基準点として決定するステップと、
ビデオ信号101,102及び103の少なくとも1つに含まれるデータラインであって、ユーザにより選択された窓の窓座標(Nw1,Nw2)が埋め込まれた少なくとも1つのデータラインを検出するステップと、
基準タイミング情報のレベルが変化する時点tr1及びtr2を検出するステップと、
検出した時点tr1及びtr2と、上記窓座標(Nw1,Nw2)とから、窓の開始時点tw1を計算して窓の領域を決定するステップと、
窓内の輝度利得を増幅するステップとを含めてなる表示装置のユーザにより選択された窓の輝度の制御方法。」

イ 引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先権主張の日前の2002年5月24日に頒布された刊行物である特開2002-149142号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに下記の事項が記載されている。

(ア)「【0066】これら図5Bおよび図5Cに示されるドットクロック、コントロールコードおよびコントロールデータは、上述したように、コンピュータ装置1側で映像信号RGBに対して埋め込まれる。このとき、ドットクロック、コントロールコードおよびコントロールデータは、ディスプレイ装置2の表示領域5に表示される画像データとして映像信号に埋め込まれる。

(イ)「【0073】図6は、上述のようにしてデータが重畳された映像信号RGBによる、ディスプレイ装置2の表示領域5に対する表示の例を示す。この図6の例では、表示領域5の上端2ライン分の映像信号が用いられてデータ転送が行われている。また、ブランキング信号は、データが重畳されたライン全体に対応している。スタートビットは、例えば表示領域5の左上隅に対応するタイミングで重畳され、映像信号RGBにデータが重畳されている期間は、ブランキング信号により非表示状態とされる。
【0074】例えば、垂直周波数を60Hzとして、1ラインに4バイトのデータを重畳する場合には、2ラインを用いたときに3.84kビット/秒のデータ転送速度を得ることができる。また、例えば映像信号の解像度が1024ドット×768ラインである場合、768ライン中の2ラインが非表示状態となっても、視覚的には大きな影響がないと考えられる。
【0075】なお、図6では、表示領域5の上端に2ラインをデータ転送のために用い、ブランキング信号により非表示状態にするとしたが、これはこの例に限定されない。データ転送を表示領域5の下端のラインを利用してもよいし、上端および下端のラインを共にえば1ラインずつ用いることもできる。また、各ラインの左端あるいは右端の所定ドットをデータ転送のために用いるようにしてもよい。この場合、表示領域5内の実質的な有効表示領域は、幅が若干狭まることになる。さらに、データ転送速度をある程度犠牲して、ラインの一部だけをデータ転送のために用いるようにもできる。」

(4)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明において「水平同期信号104の発生の時点t0を基準点として決定する」ことは、本願補正発明において「表示する全体のイメージフレームのイメージラインの開始点を基準点として決定する」ことに相当する。
イ 引用発明の「ビデオ信号101,102及び103の少なくとも1つに含まれるデータライン」は、本願補正発明の「表示する全体のイメージフレームのイメージラインの何れか一つに含まれるラインパターン」に相当する。
ウ 引用発明の「窓」は、本願補正発明の「イメージフレーム内のサブ領域」に相当し、引用発明の「ユーザにより選択された窓の窓座標(Nw1,Nw2)」と、本願補正発明の「イメージフレーム内のサブ領域までの垂直距離値に関する情報」とは、「イメージフレーム内のサブ領域までの位置に関する情報」である点で、共通する。
エ 引用発明の「窓の領域」は、本願補正発明の「ハイライト領域」に相当するとともに、引用発明の「時点tr1及びtr2」は、基準点を基準としているといえるから、引用発明の「基準タイミング情報のレベルが変化する時点tr1及びtr2を検出するステップ」及び「検出した時点tr1及びtr2と、上記窓座標(Nw1,Nw2)とから、窓の開始時点tw1を計算して窓の領域を決定するステップ」と、本願補正発明の「前記基準点と前記パターンが含まれたイメージラインとの間の垂直オフセット距離を測定するステップ」及び「前記測定したオフセット距離と選択された前記サブ領域までの垂直距離値とから、該選択されたサブ領域に対応するハイライト領域の垂直座標値を計算して前記ハイライト領域をサーチするステップ」とは、「前記基準点を基準として選択されたサブ領域に対応するハイライト領域の位置を計算して前記ハイライト領域をサーチするステップ」である点で共通する。
オ 引用発明の「表示装置」及び「ユーザにより選択された窓」は、それぞれ、本願補正発明の「イメージディスプレイ装置」及び「ユーザ選択領域」に相当する。

以上アないしオから、本願補正発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点1ないし3で相違する。

<一致点>
「表示する全体のイメージフレームのイメージラインの開始点を基準点として決定するステップと、
前記表示する全体のイメージフレームのイメージラインの何れか一つに含まれるラインパターンであって、パターンが含まれたイメージラインから、ユーザにより選択されたイメージフレーム内のサブ領域までの位置に関する情報を含む、ラインパターンを検出するステップと、
前記基準点を基準として、選択されたサブ領域に対応するハイライト領域の位置を計算して前記ハイライト領域をサーチするステップと、
また、前記サーチしたハイライト領域の輝度利得を増幅するステップと
を含めてなるイメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法。」

<相違点1>
本願補正発明では、「表示する全体のイメージフレームの一番目のイメージラインの開始点を基準点として決定する」のに対し、引用発明では、「水平同期信号104の発生の時点t0を基準点として決定する」にあたり、基準点を決定するのに用いられる水平同期信号は、データラインの最初に与えられている水平同期信号であるから、「表示する全体のイメージフレームのデータラインに対応したイメージラインの開始点を基準点として決定する」点。

<相違点2>
本願補正発明の「位置に関する情報」は、「垂直距離値に関する情報」であって、本願補正発明が、「前記基準点と前記パターンが含まれたイメージラインとの間の垂直オフセット距離を測定するステップ」を具備し、前記測定したオフセット距離と選択された前記サブ領域までの垂直距離値とから、ハイライト領域の垂直座標値を計算しているのに対し、引用発明の「位置に関する情報」である「窓座標(Nw1,Nw2)」は、「水平方向の位置に関する情報」であり、基準タイミング情報と窓座標(Nw1,Nw2)とから、水平方向の窓の開始時点tw1を計算するものであって、垂直方向の窓の領域の位置については、どのように決定されるのかが明らかではなく、「垂直距離値」、「垂直オフセット距離」及び「垂直座標値」についても記載がない点。

(5)判断
上記各相違点について検討する。

ア 相違点1について
引用例1の上記摘記事項(カ)に記載の「バックポーチ」及び「フロントポーチ」が、水平及び垂直の両方向に存在し、変化するものであることは、例えば、特開平11-305737号公報及び特開平11-272247号公報に記載されるごとく、周知の技術(以下「周知技術A」という。)である。
当該周知技術Aを知る当業者にとって、引用例1の上記摘記事項(カ)に記載の「同期パルス104の発生の時点t0に関して、ライン内で第1の画素の発生の時点t1を信頼性を持って決定することは可能ではない。」との技術課題は、水平偏向方向のみならず、垂直変更方向についても同様の技術課題が存在していることが明らかであるから、引用例1の上記摘記事項(オ)の「簡単のために、原理を、モニタ表示装置20の水平偏向に対してのみ説明する。同じことが、必要な変更を加えて垂直偏向に対しても適用できる。」との記載に基づき、垂直偏向について引用発明を適用することは、当業者が容易に想到できることである。
そして、引用発明では、水平偏向について、「水平同期信号104の発生の時点t0を基準点として決定する」としているのであるから、引用例1の上記摘記事項(オ)の記載に基づき垂直偏向に対して適用したときには、「水平同期信号104」に代えて、「垂直同期信号」の発生の時点を基準点として決定して、その結果、水平偏向及び垂直偏向の双方について、水平及び垂直同期信号をの発生の時点を基準点として決定すること、即ち、表示する全体のイメージフレームの一番目のイメージラインの開始点を基準点として決定することに、格別の困難性を認めない。

イ 相違点2について
上記「ア 相違点1について」で検討したとおり、垂直偏向について引用発明を適用することは、当業者が容易に想到できることである。
そして、引用発明を垂直偏向に適用するときに、引用例1の「第1と第2のあらかじめ定められた画素の発生の時点は、ビデオ信号101,102及び103の中の少なくとも1つ内のレベル変化しとして符号化されうる。」(上記摘記事項(イ)参照。)、「図2Bは、第1と第2の予め定められた画素Nr1,Nr2の発生の時間tr1、tr2を示す基準タイミング情報を示す。」(上記摘記事項(エ)参照。)及び「窓内の垂直開始(及び/又は終了)位置の決定を可能とするために、第1と第2の予め定められた画素はビデオ情報の異なるライン内に発生しうる。」(上記摘記事項(ク)参照。)との記載に基づき、水平偏向についての基準タイミング情報としての第1と第2の予め定められた画素が挿入されたラインを、窓内の垂直開始(及び/又は終了)位置の決定を可能とするための垂直偏向についての基準タイミング情報としても用いるとともに、垂直偏向についての窓座標についても、水平偏向の窓座標と同様にデータライン中に伝送し、垂直偏向の基準タイミング情報と垂直偏向についての窓座標とから、水平偏向と同様にしてハイライト領域となる窓の領域を決定することに格別の困難性はない。
また、垂直偏向についての基準タイミング情報を得るために挿入するデータラインを何れの位置に挿入するかは、当業者が適宜選択できる事項であるところ、引用例1の上記摘記事項(ケ)には、水平偏向について、第1の予め定められた画素及び第2の予め定められた画素を、それぞれ、アクティブビデオ期間Taの最初と最後の画素となる連続番号1と連続番号Nの画素とすることが記載され、また、引用例2には、データラインを表示領域の最初の行に挿入することが記載されているから、引用例1,2のこれらの記載に基づき、垂直偏向についても基準タイミング情報を得るためのデータラインを表示領域の最初の行に挿入し、垂直同期信号と挿入されたデータラインまでの期間を垂直オフセットとして測定することにも格別の困難性はない。
さらに、引用発明では、「基準タイミング情報のレベルが変化する時点tr1及びtr2」及び「窓の開始時点tw1」は、水平同期信号104の発生の時点t0からの期間として記載されたものとなっているが、例えば、特開平11-305737号公報に記載されるごとく、クロック信号または水平同期信号を計数することにより、垂直偏向及び水平偏向における期間を、ドット数あるいは長さとして計数することが従来周知の技術(以下「周知技術B」という。)であるから、引用発明の各時点を、ドット数あるいは長さに適宜置き換えることにより、垂直のオフセットを「垂直オフセット距離」として測定し、ハイライト領域の位置を「垂直座標値」として計算することにも、別段、困難性があったとはいえない。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用例1及び2の記載並びに周知技術A,Bから当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用例1及び2に記載された発明並びに周知技術A,Bに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6)むすび
以上のとおりであるから、本件補正後の請求項9に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
そして、本件補正後の請求項9に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
平成18年2月9日付け補正は上記のとおり却下したので、本件出願の請求項10に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成17年5月31日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項10に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記「第2 1 (1)本件補正前の特許請求の範囲」を参照。)

第4 引用例
引用例1,2及びその記載事項は、上記「第2 2(3)引用例」に記載したとおりである。

第5 対比・判断
本願発明は、上記「第2 2」で検討した本願補正発明から、「前記表示するイメージフレーム」についての「全体の」、及び、「前記ハイライト領域をサーチするステップ」についての「選択された前記サブ領域までの垂直距離値とから」という各限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 2 (5)判断」に記載したとおり、引用例1及び2に記載された発明並びに周知技術A,Bに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例1及び2に記載された発明並びに周知技術A,Bに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本件出願の請求項10に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、請求項10に係る発明が特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-17 
結審通知日 2008-03-18 
審決日 2008-03-31 
出願番号 特願2002-371699(P2002-371699)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09G)
P 1 8・ 575- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 後藤 亮治  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 山下 雅人
堀部 修平
発明の名称 イメージディスプレイ装置のユーザ選択領域輝度の制御方法  
代理人 島田 哲郎  
代理人 青木 篤  
代理人 下道 晶久  
代理人 鶴田 準一  
代理人 西山 雅也  

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