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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1188612
審判番号 不服2007-20446  
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-07-23 
確定日 2008-11-26 
事件の表示 平成 9年特許願第312038号「容器運搬具」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 7月 7日出願公開、特開平10-181767〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年11月13日(パリ条約による優先権主張1996年11月13日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成19年4月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年7月23日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明
特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの「プラスチック製把手部(26)と、プラスチック製容器係合部(24)とを含み、前記把手部(26)はその縁部に沿って複数のタブ(46)を有し、前記容器係合部(24)はこれに組み合わされる容器(22)を運搬するため、一対の列状に設けた複数の開口(28)を有し、前記把手部(26)のタブ(46)が、前記開口(28)の列の間で、前記容器係合部(24)に固定されて成る複数の容器(22)を運搬する容器運搬具(20)において、
前記把手部(26)が単層プラスチック材料からなり、前記容器係合部(24)に溶接または溶着されており、
前記容器係合部(24)は、前記列状に設けた開口(28)の各対の間に形成された複数のスロット(38)を更に含み、前記タブ(46)の各々は、前記容器係合部の各スロット(38)に挿入され、前記容器係合部(24)の下側に溶接または溶着されて、前記タブ(38)が実質的に前記容器係合部(24)の下側に、そして前記把手部(26)の残り部分が実質的に前記容器係合部(24)の上になるよう結合点を形成し、容器運搬具(20)の使用時に前記結合点をせん断力の掛かる位置に置くようにしたことを特徴とする複数の容器(22)を運搬する容器運搬具(20)。」(以下、「本願発明」という。)である。

3.原査定の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、「本願の各請求項に係る発明は、その出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、そして、引用刊行物として、特開平07-315429号公報(以下、「引用例1」という)、実願平03-070268号(実開平04-132059号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という)が引用された。

4.当審の判断
(4-1)引用例1の記載事項
a.第【0010】欄には、
「【実施例】図示の如く、略同一の6本のビン12と、ポリーマ製キャリア14と、板紙製把手16とから成るパッケージ10が本発明の好適な一実施例を構成する。ビン12は、パッケージを長さ方向に分割する仮想面の両側に長さ方向に二列配置されて略長方形配列となっている。…略…キャリア14は、弾性を有するポリマー材料の単一シートから、打ち抜き等で、形成される。…略…」と記載されている。
b.第【0011】欄には、
「キャリア14は、ビン収納孔30を形成…略…するように製造される。又、キャリア14は、仮想面中の仮想線に沿って延びる、長さ方向に一列3ケのスロット40を形成するように製造される。各スロット40は2ケのビン収納孔30間にある内側バンド片34に穿設されている。…略…」と記載されている。
c.第【0012】欄には、
「把手16は、板紙材料シートから、打ち抜き等で製造される。把手16は、…略…互いに左右が逆の鏡像である2つのハンドル部50を形成するように折り曲げて、ハンドル部が折曲した上縁52から下方に延びるようにする。各ハンドル部50には、その下縁56から下方に延びる長さ方向に一列3ケのタブ54が形成されている。把手16は、各タブ54が互いに隣接する一対のタブ54の一方となるように、折り曲げられる。…略…把手16はタブ54を3対有していて、各対のタブ54は3ケのスロット40の各1つを介して下方に延びることになる。タブ54はキャリア14の下方に延びるが、把手16のその他の部分はビン12の首部22間のキャリア14から上方に延びることとなる。」と記載されている。
d.第1、2、4図を参酌すれば、
「ポリーマ製キャリア14に、パッケージを長さ方向に分割する仮想面の両側に長さ方向に二列配置されて収納孔30が略長方形配列され、かつ、各収納孔の中間に一列3ケのスロット40が形成された」点が記載されている。
上記記載事項「a?d」を総合すれば、
引用例1には、
「タブ54を有する板紙製把手16と、ポリーマ製キャリア14とを含み、前記把手16は、ハンドル部50に、その下縁56から下方に延びる長さ方向に一列3ケのタブ54が形成され、前記キャリア14は、ビン収納孔30を二列配置するよう形成され、前記ハンドル部の下縁56から下方に延びる長さ方向に一列3ケのタブ54が形成されたパッケージ10において、前記キャリア14は、長さ方向に一列3ケのスロット40を各収納孔の中間に3ケ有していて、前記把手16の各タブ54は、3ケのスロット40の各1つを介して下方に延び、タブ54はキャリア14の下方に延びるが、把手16のその他の部分はビン12の首部22間のキャリア14から上方に延びたパッケージ10。」の発明が記載されている。(以下、「引用例1に記載の発明」という)
(4-2)引用例2の記載事項
e.第【0007】欄には、
「複数の物品3の上端部が持ち運び可能にそれぞれ嵌合される保持体本体1に、一対の切欠き10,10が形成されこれらの両切欠き10,10に可撓性を有する提手12の両端部12aが挿通され、該両端部12aは前記切欠き10と間隔Lを有して保持体本体1の裏面に固着されてなることにある。」と記載されている。
f.第【0010】欄には、
「図1?図3において、1はポリプロピレン等の合成樹脂製のシート体からなる保持体本体で、該保持体本体1には飲料缶3の上端部に形成された環状のフランジ4に着脱自在に勘合される複数(本実施例においては6個)の嵌合部が一体に形成されている。」と記載されている。
g.第【0011】欄には、
「12は可撓性を有する合成樹脂材料からなる帯状の提手で、その両端側は、前記保持体本体1の両切欠き10に挿入されると共に、保持体本体1の裏面1b側に屈曲され、超音波接着法により固着されている。」と記載されている。
上記記載事項「e?g」を総合すれば、
引用例2には、
「合成樹脂製のシート体からなる保持体本体1に一対の切欠き10,10が形成され、これらの両切欠き10,10に可撓性を有する合成樹脂材料からなる帯状の提手12の両端部12aが挿通され、該両端部12aは、前記切欠き10と間隔Lを有して保持体本体1の裏面に超音波接着法により固着されてなる、複数の物品3の上端部が持ち運び可能にそれぞれ嵌合される保持体。」の発明が記載されている。(以下、「引用例2に記載の発明」という)

(4-2)対比・判断
そこで、本願発明と引用例1に記載の発明とを対比すると、
後者の「把手」、「ポリーマ製キャリア」、「タブ」、「ビン」、「収納孔」、「スロット」、「パッケージ」は、前者の「把手部」、「プラスチック製容器係合部」、「タブ」、「容器」、「開口」、「スロット」、「容器運搬具」に夫々相当するから、
両者は、「把手部(26)と、プラスチック製容器係合部(24)とを含み、前記把手部(26)はその縁部に沿って複数のタブ(46)を有し、前記容器係合部(24)はこれに組み合わされる容器(22)を運搬するため、一対の列状に設けた複数の開口(28)を有し、前記把手部(26)のタブ(46)が、前記開口(28)の列の間で、前記容器係合部(24)に固定されて成る複数の容器(22)を運搬する容器運搬具(20)において、
前記容器係合部(24)は、前記列状に設けた開口(28)の各対の間に形成された複数のスロット(38)を更に含み、前記タブ(46)の各々は、前記容器係合部の各スロット(38)に挿入されたことを特徴とする複数の容器(22)を運搬する容器運搬具。」で一致し、以下の点で相違している。
相違点a:本願発明では「把手部」が、「単層プラスチック材料」であるのに対し、引用例1に記載の発明には、把手部が「板紙製」との記載しかない点。
相違点b:本願発明では「把手部」が、「容器係合部(24)の下側に溶接または溶着されて、タブ(38)が実質的に容器係合部(24)の下側に、そして把手部(26)の残り部分が実質的に前記容器係合部(24)の上になるよう結合点を形成し、容器運搬具(20)の使用時に前記結合点をせん断力の掛かる位置に置く容器係合部(24)に溶接または溶着」されるのに対し、引用例1に記載の発明には、「把手16の各タブ54は、3ケのスロット40の各1つを介して下方に延びる」との記載しかない点。

〈判断〉
そこで上記相違点について検討する。
相違点aについて、
引用例2に記載の発明には、合成樹脂製のシート体からなる保持体本体1と、合成樹脂材料からなる帯状の提手は超音波接着法により固着される点が、記載されている。
そして、この帯状の提手を、単層にすることも当業者が必要に応じて選択し得る設計事項にすぎない。
してみれば、引用例2に記載の発明の、合成樹脂材料からなる帯状提手と合成樹脂製のシート体保持体本体を、引用例1に記載の発明に適用して本願発明を構成することは、当業者が必要に応じ適宜なしえた程度である。

相違点bについて、
引用例2に記載の発明には、合成樹脂製のシート体からなる保持体本体1に形成された一対の切欠き10,10に合成樹脂材料からなる帯状の提手12の両端部12aが挿通され、該両端部12aは、前記切欠き10と間隔Lを有して保持体本体1の裏面に超音波接着法により固着される点が、記載されている。
また、引用例2に記載の発明のように、該両端部12aが、前記切欠き10と間隔Lを有して保持体本体1の裏面に超音波接着法により固着されたものが、使用時に前記結合点をせん断力の掛かる位置に置くことになり、かつ、把手部(26)の残り部分が実質的に前記容器係合部(24)の上になることは、当業者に周知の技術である。
してみれば、引用例2に記載の発明の、合成樹脂材料からなる帯状提手と合成樹脂製のシート体保持体本体を超音波接着取付する技術及び周知技術を引用例1に記載の発明に適用して本願発明を構成することは、当業者が必要に応じ適宜なしえた程度である。

そうすると、本願発明は、引用例1、2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1、2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それゆえ、本願は、請求項2?5に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-06-24 
結審通知日 2008-07-01 
審決日 2008-07-14 
出願番号 特願平9-312038
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石田 宏之柳田 利夫  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 佐野 健治
中西 一友
発明の名称 容器運搬具  
代理人 鶴田 準一  
代理人 島田 哲郎  
代理人 廣瀬 繁樹  
代理人 青木 篤  

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