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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
管理番号 1195050
審判番号 不服2007-33168  
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-12-07 
確定日 2009-04-03 
事件の表示 特願2004-176996「把手付きボトル栓」拒絶査定不服審判事件〔平成17年12月 8日出願公開、特開2005-335806〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1. 手続の経緯
本願は、平成16年6月15日の出願(優先権主張 平成16年4月26日)であって、平成19年10月31日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年12月7日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。
そして、当審において、当該平成19年12月7日付け手続補正は、平成20年11月28日付けの補正の却下の決定により却下されるとともに、同日付けで拒絶理由通知が通知され、これに対して同年12月12日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2. 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年12月12日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1は下記のとおり記載されている。
「ワインボトル口頸部内面への嵌合用の縦長の栓4を有し、この栓の上面の左右方向中間部へ、蝶番5を介してL字形状をなす左右一対の把手6,6の基端を付設しており、これら把手は、ワインボトル口頸部内面に嵌合された栓を引き抜くための把手であり、それら把手の基端側板部6aをボトル栓上面へ載置しかつ他方板部6bはボトル口頸部2の左右外側面に沿って垂下させることが可能に形成するとともに、各把手の他方板部6bの垂下長を、その把手の基端側板部6aの左右長さよりも長くしたことを特徴とする把手付きボトル栓。」

3. 引用発明
本願の出願前に頒布された刊行物である昭和2年実用新案出願公告第6936号公報(以下、「引用例」という。)には、次の記載がある(なお、当審において旧字体は新字体に、カタカナはひらがなに変換した)。
a)「本案は瓶口の上部突縁(A)に被嵌すべき金属製帽体(1)の内側に「キルク」(2)を嵌着して瓶口にその一部を嵌入し得へくし帽体(1)の上部中央に金具(3)を設着して之に屈曲把手(5)及(6)をその各先端部(5)^(1)(6)^(1) が互に接触して弾発すべく枢着し把手の該先端の一部に帽体(1)を押圧すべき突起(5)^(2)及(6)^(2)を設け而して屈曲把手の他端に瓶口の下方突縁(B)の下部に於て瓶体に接着し得へき半環状の脚片(4)を設着したるものなり。
本案は如上構造を有するを以て帽体(1)を瓶口に被嵌し屈曲把手(5)(6)を押し下くる場合は把手の枢着部に於て先端部(5)^(1)及(6)^(1)は回動して該部に設けたる突起(5)^(2)及(6)^(2)は帽体(1)を強く圧下し而して把手の先端部は互に接触弾発して同時に把手の先端に設着せる半環状脚片(4)は瓶口の下方突縁(B)の下部に捲着して瓶栓を固定せしめ得へきものにして把手を上方に引上くる事により先端部(5)^(1)(6)^(1)は離隔して突起部(5)^(2)(6)^(2)は帽体(1)を離れ容易に栓を瓶口より脱し得らる。」(第1頁本文第2列-第9列)

b)「本案は瓶体に繋着せしめさる瓶栓なるに係らず半環状の脚片(4)を瓶口に捲着せしめ之と一体となす把手の枢着部に於て互に弾発せしめ突起(5)^(2)、(6)^(2)により瓶口の密閉を完全ならしむると共に栓を瓶体に固定せしむるにより該環状脚(4)の部分に於て瓶体を把持するに便にして且瓶口の開閉極めて容易なると密閉完全なるとを以て「サイダー」、「ビール」等の瓶栓或いは予備栓に好適す。」(第1頁本文第10列-第12列)

c)閉栓時における屈曲把手の長さについて、第1図乃至第3図を参照すると、把手の瓶側面部分の垂下長の方が把手の瓶栓上面部分の左右長さより長い点が開示されている。
以上の記載及び図面によれば、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「瓶口への嵌入するキルク(2)を有し、このキルク(2)の上面の左右方向中間部へ、金具(3)を介して屈曲把手(5)(6)の基端を付設して、それ等屈曲把手の基端側部分を瓶栓上面へ載置しかつ他方側部分は瓶口頸部の左右外側面に沿って垂下させることが可能に形成するとともに、各屈曲把手の他方部分の垂下長を、その屈曲把手の基端側部分の左右長さよりも長くした屈曲把手付き瓶栓。」

4. 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比すると、まず、引用発明の「瓶栓」、「キルク(2)」、「金具(3)」、及び「屈曲把手(5,6)」は、本願発明の「ボトル栓」、「栓」、「蝶番」、及び「L字形状をなす左右一対の把手」にそれぞれ相当する。
そうすると、両者は、
「栓を有し、この栓の上面の左右方向中間部へ、蝶番を介してL字形状をなす左右一対の把手の基端を付設して、それ等把手の基端側板部をボトル栓上面へ載置しかつ他方板部はボトル口頸部の左右外側面に沿って垂下させることが可能に形成するとともに、各把手の他方板部の垂下長を、その把手の基端側板部の左右長さよりも長くした把手付きボトル栓。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点)
本願発明では、栓が「ワインボトル口頸部内面への嵌合用の縦長」のものであり、そのために把手が、「栓を引き抜くための把手」であるのに対し、引用発明では、瓶の用途は「サイダー」「ビール」等であり、栓に相当するキルク(2)が口頸部内面への嵌合用の縦長の栓ではなく、そのため把手が栓を引き抜くためのものではない点。

(2)判断
上記相違点について検討する。
まず、ボトルの用途をワインボトルに限定する点について、ボトルにどのような液体を入れるかは、当業者が必要に応じて適宜選択する設計的事項にすぎない(例えばコルク栓を有するボトルをワインに用いる点については、特開2001-130601号公報参照)。
さらに、引用発明の把手は、栓が嵌合用の縦長の形状でないため、栓を引き抜くものではない点では確かに両者は相違する。
しかし、栓の形状として、容器口頸部内面への嵌合用の縦長の形状とすることは、従来周知の技術手段であり(例えば、特開2001-130601号公報、登録実用新案第59410号公報参照)、栓の形状を上記周知の形状とすれば、嵌入している栓を瓶口から脱するための把手が、引き抜くための把手となることは、当業者が当然に予測できたことであり、格別顕著な効果を有するものとはいえない。
また、容器口頸部内面へ嵌合した栓を引き抜くための部材を、栓に設けることも従来周知である(例えば、登録実用新案第57376号公報参照)。
したがって、本願発明は、引用発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。
 
審理終結日 2009-02-03 
結審通知日 2009-02-04 
審決日 2009-02-18 
出願番号 特願2004-176996(P2004-176996)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 倉田 和博  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 熊倉 強
村山 禎恒
発明の名称 把手付きボトル栓  
代理人 今岡 憲  

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