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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65H |
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管理番号 | 1195889 |
審判番号 | 不服2007-11564 |
総通号数 | 114 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-04-20 |
確定日 | 2009-04-15 |
事件の表示 | 特願2006-227342「ホースリール」拒絶査定不服審判事件〔平成18年11月16日出願公開,特開2006-312560〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は,平成15年8月14日に出願した特願2003-293350号の出願を,平成18年8月24日に特許法第44条第1項の規定により分割し,新たな特許出願としたものであって,平成19年2月7日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年4月20日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに,同年5月11日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成19年5月11日付けの手続補正について 本件補正により,特許請求の範囲の請求項1は, 「ホースを巻き取るドラムがフレームに回動自在に支持されたホースリールにおいて,前記フレームを,前記ドラムを周囲から包囲するケース状に形成し,前記フレームに,起立状態を安定化する一対の脚部を支持し,両脚部が,前記フレームより側方に延出した展開状態と,前記フレームの下部に配置された収納状態とを選択的に形成可能に構成する一方,前記ドラムに巻き取られるホースの移動経路上に,該ホースに接して当該ホースの移動を促す方向に回転する回転部材を設け,前記フレームに前記ホースの出入口を設けて,前記回転部材を前記出入口の上部のみに設けたことを特徴とする請求項1記載のホースリール。」と補正された。 ここで,上記補正における「請求項1記載の」は,必要のない用語であることは明らかであるから,誤記であるものとし,以下,当該記載はないものとする。 上記補正は,請求項1を削除するものであるから,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。 3.本願発明 本願補正は,上記のとおり適法であるから,本願の請求項1に係る発明は,平成19年5月11日付け手続補正書により補正された明細書の,特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下,「本願発明」という。)。 「ホースを巻き取るドラムがフレームに回動自在に支持されたホースリールにおいて,前記フレームを,前記ドラムを周囲から包囲するケース状に形成し,前記フレームに,起立状態を安定化する一対の脚部を支持し,両脚部が,前記フレームより側方に延出した展開状態と,前記フレームの下部に配置された収納状態とを選択的に形成可能に構成する一方,前記ドラムに巻き取られるホースの移動経路上に,該ホースに接して当該ホースの移動を促す方向に回転する回転部材を設け,前記フレームに前記ホースの出入口を設けて,前記回転部材を前記出入口の上部のみに設けたことを特徴とする請求項1記載のホースリール。」 4.引用例の記載事項 4-1.引用例1 原査定の拒絶の理由に引用された登録実用新案第3027936号公報(以下「引用例1」という。)には,次の事項が記載されている。 a.(11頁5?23行) 「本考案は、洗車、水まき等に使用するホースの収納及び使い勝手並びに作業効率の向上を考慮して改良した合成樹脂製ホースリール付き踏み台に関する。」 b.(11頁9?10行) 「 このホースリール付き踏み台1は、踏み台にホースリールを格納して一体品とし、ホースの収納、洗車等の際の使い勝手及び作業効率の改良を図ったものである。ホースリール付き踏み台1は具体的には、踏み台部2とホースリール部3とから構成されている。 踏み台部2は、外郭を構成する本体5と、この本体5の上側に着脱自在に取り付けられた蓋体6とから構成されている。 本体5は、図5から図10に示すように、4枚の壁板によって筒状に、かつ、頭部(上部)を除去した裁頭四角錐状に形成されている。この本体5は、蓋体6が被せられた状態でその上に人が乗るため、壁面の厚みを増したり、補強用リブ(図示せず)を設けたりして、十分な強度が持たされている。 本体5の4枚の壁板の下部にはそれぞれ切欠部7a,7b,7c,7dが設けられている。4枚の壁板のうち正面壁板5aの上部には、大きく切り欠いたホース取出し窓8が設けられている。後述の大巻取りドラム45に巻かれたホース55は本体5の内部からホース取出し窓8を介して外部に繰り出されるようになっている。 本体5の裏面壁板5bの上部には、前記ホース取出し窓8よりも小さく形成されたホース取出し窓9が設けられている。後述の小巻取りドラム46に巻かれたホース55は本体5の内部からホース取出し窓9を介して外部に繰り出されるようになっている。」 上記の記載b及び図面より,ホースリール付き踏み台は下部4隅にそれぞれ脚部を備えていることが記載されている。 これら記載事項及び図示内容を総合し,本願発明の記載ぶりに則って整理すると,引用例1には,次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されている。 「ホースを巻き取る巻取りドラムがケースに回動自在に支持されたホースリール付き踏み台において,前記ケースを,前記巻取りドラムを周囲から包囲するケース状に形成し,前記ケースに,起立状態を安定化する一対の脚部を支持し,前記ケースに前記ホース取出し窓を設けたことを特徴とするホースリール付き踏み台。」 4-2.引用例2 同じく拒絶の理由に引用された実公平7-48625号公報(以下「引用例2」という。)には,次の事項が記載されている。 c.(3頁6欄) 「本考案では,ホース巻取機1を接地面に載置して,ドラム4からホース3を解舒する際に,同ホース巻取機1に収納した安定板17を引き出すことにより,接地面積を大きくし,ホース巻取機1を安定させて,ホース3を引張っても,同巻取機1の転倒を防止することができる。このように,本考案によれば,安定板17によってホース巻取機1を接地面に安定させて,転倒しないようにし,ホース3の解舒操作を容易に行うことができる。特に,安定板が左右側板の外側方に張出しているため,巻取機本体が左右側方に傾動するおそれがなく,また,安定板が左右側板の左右側方に突出するものでるため,ホースの解舒作業にも巻取機本体が前後左右方法に傾動しにくく,安定したホース解舒作業を行える。さらに,ホース巻取機1を使用しない場合は,安定板17をホース巻取機1内に収納することができ,ホース巻取機1をコンパクトとし,その収納をも容易に行うことができる。」 これら記載事項及び図示内容を総合し,本願発明の記載ぶりに則って整理すると,引用例2には,次の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されている。 「ホースを巻き取るドラムが巻取機本体に回動自在に支持されたホースの巻取機において,前記巻取機本体を,前記ドラムを周囲から包囲するケース状に形成し,前記フレームに,起立状態を安定化する一対の安定板を支持し,両安定板が,前記巻取機本体より側方に延出した展開状態と,前記フレームの下部に配置された収納状態とを選択的に形成可能に構成するホースの巻取機。」 5.対比判断 5-1.対比 本願発明と引用発明1とを対比すると,両者は,「ホースリール」に関するものである点で同じである。そして,その構造または機能からみて,引用発明1の「巻取りドラム」は本願発明の「ドラム」に相当し,以下同様に,「ケース」は「フレーム」に,「ホースリール付き踏み台」は「ホースリール」に,「ホース取出し窓」は「出入口」に,それぞれ相当する。 そこで,本願発明の用語を用いて表現すると,両者は次の点で一致する。 (一致点) 「ホースを巻き取るドラムがフレームに回動自在に支持されたホースリールにおいて,前記フレームを,前記ドラムを周囲から包囲するケース状に形成し,前記フレームに,起立状態を安定化する一対の脚部を支持し,前記フレームに前記ホースの出入口を設けたことを特徴とするホースリール。」 そして,両者は次の点で相違する(対応する引用例1記載の用語をかっこ内に示す)。 (相違点1) 本願発明は,両脚部が,フレーム(ケース)より側方に延出した展開状態と,前記フレーム(ケース)の下部に配置された収納状態とを選択的に形成可能に構成するのに対し,引用発明1は,両脚部は固定されている点。 (相違点2) 本願発明は,ドラム(巻取りドラム)に巻き取られるホースの移動経路上に,該ホースに接して当該ホースの移動を促す方向に回転する回転部材を設け,前記回転部材を前記出入口(ホース取出し窓)の上部のみに設けたのに対し,引用発明1は単に出入口(ホース取出し窓)を設けたのみである点。 5-2.判断 上記相違点について判断する。 (相違点1について) 本願発明のように,起立状態を安定化する一対の脚部(安定板)を支持し,両脚部(安定板)が,フレーム(巻取機本体)より側方に延出した展開状態と,前記フレーム(巻取機本体)の下部に配置された収納状態とを選択的に形成可能に構成することは,引用発明2に記載されている(対応する引用例2記載の用語をかっこ内に示す)。 引用発明1及び引用発明2は,いずれもホースリールに関するものであるから,引用発明1に引用発明2記載の脚部(安定板)の技術手段を適用して,相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得た事項である。 (相違点2について) ホースリールにおいて,ドラムに巻き取られるホースの移動経路上であるホースの出入り口に,ホースに接して,ホースの移動を促す方向に回転する回転部材を設けた点は,本願出願前周知の技術手段である。 周知例として,例えば実願昭57-25401号(実開昭58-127060号公報)のマイクロフィルム(2頁12?16行,第3図,第4図参照),実公昭38-2367号公報(1頁左欄下から4行?同末行,1頁右欄11?16行,第1図参照),特公昭54-32558号公報(1頁2欄11?17行,第1図参照)がある。 本願発明は,回転部材を出入口(ホース取出し窓)の上部のみに設けたものであるが,回転部材をどこに設けるかは設計上の事項にすぎない。 そうすると,引用発明1に周知の技術手段である回転部材の技術手段を適用して,相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得た事項である。 そして,本願発明の作用効果も,格別のものでなく,引用発明1,引用発明2及び周知の技術手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 以上のとおり,本願発明は,引用発明1,引用発明2及び周知の技術手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-02-02 |
結審通知日 | 2009-02-10 |
審決日 | 2009-02-23 |
出願番号 | 特願2006-227342(P2006-227342) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65H)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉澤 秀明 |
特許庁審判長 |
松縄 正登 |
特許庁審判官 |
佐野 健治 遠藤 秀明 |
発明の名称 | ホースリール |
代理人 | 三好 千明 |