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審決分類 |
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 F16B 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 F16B 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16B 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 F16B 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 F16B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F16B |
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管理番号 | 1195933 |
審判番号 | 不服2008-6240 |
総通号数 | 114 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-03-13 |
確定日 | 2009-04-17 |
事件の表示 | 平成10年特許願第371829号「シャープペンシルにおける芯タンクと消しゴム受け部材との継ぎ手構造」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 7月11日出願公開、特開2000-192915〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
【1】 手続の経緯 本願は、平成10年12月28日の出願であって、平成20年1月31日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成20年3月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで明細書について手続補正がなされたものである。 【2】 平成20年3月13日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年3月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正却下とする理由1 1-1 補正事項 本件補正は、平成19年10月5日付けの手続補正にて補正された特許請求の範囲の請求項1に記載の、 「少なくとも一方が筒状部材であって、その筒状部材に他方の部材を連結固定する継ぎ手構造であって、前記筒状部材の内面か、あるいは、他方の部材の外面に、略円周状の凸部を形成すると共に、その凸部が形成された部材の材質の硬度を他方の部材の材質の硬度よりも大きくしたことを特徴とする継ぎ手構造。」 を、 「シャープペンシルにおける芯タンクと消しゴム受け部材との継ぎ手構造であって、その消しゴム受け部材を筒状部材となし、その筒状部材の内面か、あるいは、前記芯タンクの外面に、略円周状の凸部を形成すると共に、その凸部が形成された部材の材質の硬度を他方の部材の材質の硬度よりも大きくし、また、前記消しゴム受け部材に消しゴムと、その消しゴムを覆うように消しゴムカバーを着脱自在に取り付け、さらに、前記消しゴム受け部材に大径部を形成し、その大径部に前記消しゴムを取り付けたことを特徴とするシャープペンシルにおける芯タンクと消しゴム受け部材との継ぎ手構造。」とする補正を含んでいる。なお、下線は当審において付したものである。 1-2 補正の目的 前記補正は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「少なくとも一方が筒状部材」を「シャープペンシルにおける芯タンクと消しゴム受け部材との継ぎ手構造であって、その消しゴム受け部材を筒状部材」と、「他方の部材の外面」を「前記芯タンクの外面」と、「継ぎ手構造」を「シャープペンシルにおける芯タンクと消しゴム受け部材との継ぎ手構造」と、それぞれ補正するとともに、さらに、「前記消しゴム受け部材に消しゴムと、その消しゴムを覆うように消しゴムカバーを着脱自在に取り付け、さらに、前記消しゴム受け部材に大径部を形成し、その大径部に前記消しゴムを取り付けた」として、特許請求の範囲を減縮するものであるが、前記補正により追加された「消しゴム」及び「消しゴムカバー」は、補正前の請求項1に記載されたいずれの課題解決手段の下位概念化にも該当しない。 しかも、補正前の請求項1に係る発明が解決しようとする課題は、「安価な継ぎ手構造を提供する」(出願当初の明細書の段落【0003】及び【0013】参照)ことであるところ、補正後の請求項1に係る発明が解決しようとする課題は、「消しゴム受け部材に消しゴムだけでなく、消しゴムカバーをも着脱可能に取り付けることで発生してしまう問題を、芯タンクの該外周に、略円周状の凸部を形成すると共に、その凸部が形成された部材の材質の硬度を他方の部材の材質の硬度より大きくすることによって、即ち、芯タンクと消しゴム受け部材との結合をより強固なものとする」(当審における審尋に対する平成20年12月26日付け回答書「3.審尋に対する回答」参照。)ことにあるものであって、補正前と補正後にあっては、発明が解決しようとする課題を変更するものである。 以上により、本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものではないから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに当たらない。また、本件補正が、同法第17条の2第4項各号に規定する「請求項の削除」(1号)、「誤記の訂正」(3号)及び「明りょうでない記載の釈明」(4号)のいずれにも該当しないことも、明らかである。 1-3 小括 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 2 補正却下とする理由2 上述のとおり、本件補正は却下すべきものであるが、審判請求人は、前記回答書において、本件補正は「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである旨の主張を行っているので、本件補正後の請求項1に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)についても更に検討する。 2-1 本願補正発明 補正後の本願請求項1に係る発明は、平成18年10月6日付け、平成19年10月5日付け及び平成20年3月13日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。(以下、「本願補正発明」という。) 「シャープペンシルにおける芯タンクと消しゴム受け部材との継ぎ手構造であって、その消しゴム受け部材を筒状部材となし、その筒状部材の内面か、あるいは、前記芯タンクの外面に、略円周状の凸部を形成すると共に、その凸部が形成された部材の材質の硬度を他方の部材の材質の硬度よりも大きくし、また、前記消しゴム受け部材に消しゴムと、その消しゴムを覆うように消しゴムカバーを着脱自在に取り付け、さらに、前記消しゴム受け部材に大径部を形成し、その大径部に前記消しゴムを取り付けたことを特徴とするシャープペンシルにおける芯タンクと消しゴム受け部材との継ぎ手構造。」 2-2 引用刊行物とその記載事項 当審において新たに発見した、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である、実願昭59-165746号(実開昭61-81988号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「この考案は筆記具のノツク部を芯パイプに簡単に嵌合できる筆記具のノツク部嵌合機構に関する。」(第1ページ第12行及び第13行) イ 「以下、この考案の一実施例について説明する。 この考案をシヤープペンシルに適用した第1図において、芯パイプ1の後端部には、ノツク部嵌合用の膨出部2が突設形成されている。この膨出部2は、芯パイプ1を押しつぶすように加工することによつて容易に形成され、a<b,b<cの長さの関係を満たしている。ここでaは芯パイプ1の直径外径長さ、bはノツク部3の内径長さ、cは膨出部2外径長さを示す。 従つて、ノツク部3は膨出部2によつて芯パイプ1に確実に嵌合している。 第2図はボールペンの芯パイプ後端に形成された膨出部であつて、…尚4はボールペン消しゴムである。」(第2ページ第11行ないし第3ページ第5行) ウ 「以上のようにこの考案によれば、芯パイプの後端にノツク部内壁と嵌合する膨出部を突設することによつて、極めて簡単な構造で確実にノツク部を嵌合でき、しかも安価に製造できる等の効果がある。」(第4ページ第12行ないし第16行) エ また、前記イの摘示事項には「bはノツク部3の内径長さ」と記載されていることから、ノツク部3は筒状部材であることは明らかである。さらに、第1図により、ノツク部3には大径部が形成されており、その大径部には消しゴムが取り付けられていることが看取でき、その消しゴムがノツク部3に着脱自在に取り付けられることは、シャープペンシルの技術分野においては技術常識である。 以上の点を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1に記載された発明」という。)が記載されているものと認める。 「シヤープペンシルにおける芯パイプ1とノツク部3との嵌合構造であって、そのノツク部を筒状部材となし、前記芯パイプの外面に、膨出部2を形成し、また、前記ノツク部3に消しゴムを着脱自在に取り付け、前記ノツク部に大径部を形成し、その大径部に前記消しゴムを取り付けたシヤープペンシルにおける芯パイプ1とノツク部3との嵌合構造。」 また、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である、実願昭62-16615号(実開昭63-125209号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 オ 「(産業上の利用分野) 本考案はシャフト圧入構造に係り、…好適なシャフト圧入構造に関する。」(第1ページ第13行ないし第18行) カ 「本実施例によれば、硬度の高い鋼材で形成されたリンク機構2のアーム2aの圧入孔4の溝部4aが、硬度の低いAl材で形成され圧入孔4に圧入された同期シャフト3の外周にくい込むため、同期シャフト3は強固にアーム2aに結合される。… 上述した実施例ではVTRのリンク機構2のアーム2aと同期シャフト3の圧入構造について説明したが、高い硬度の被圧入部材の圧入孔に低い硬度のシャフトを圧入する場合の他の圧入構造に応用しても同様の効果がある。」(第4ページ第19行ないし第5ページ第13行) キ 「上述したように本考案によれば、高い硬度の被圧入部材の圧入孔を絞り加工により形成して圧入孔外周を肉厚とし、しかも圧入孔内周に溝部を形成したので、この圧入孔に低い硬度のシャフトを圧入したときに溝部がシャフトの外周にくい込んで結合強度を上げることができる。」(第5ページ第15行ないし第20行) 2-3 対比 本願補正発明と刊行物1に記載された発明を対比すると、後者の「芯パイプ1」はその機能、構造からみて、前者の「芯タンク」に相当し、以下同様に「ノツク部3」は「消しゴム受け部材」に、「嵌合構造」は「継ぎ手構造」に、それぞれ相当する。 また、前記摘示事項イには「cは膨出部2外径長さ」と記載されていることから、後者の「膨出部2」は前者の「略円周状の凸部」に相当する。 してみると、両者は、本願補正発明の表記に倣えば、 「シャープペンシルにおける芯タンクと消しゴム受け部材との継ぎ手構造であって、その消しゴム受け部材を筒状部材となし、前記芯タンクの外面に、略円周状の凸部を形成すると共に、前記消しゴム受け部材に消しゴムを着脱自在に取り付け、さらに、前記消しゴム受け部材に大径部を形成し、その大径部に前記消しゴムを取り付けたシャープペンシルにおける芯タンクと消しゴム受け部材との継ぎ手構造。」である点で一致し、次の点で相違している。 〈相違点1〉 本願補正発明は、「その凸部が形成された部材の材質の硬度を他方の部材の材質の硬度よりも大きくし」としているのに対し、刊行物1に記載された発明は、前記芯パイプの外面に、膨出部2を形成しているものの、上記硬度に関する言及がない点。 〈相違点2〉 本願補正発明は、前記消しゴム受け部材に消しゴムと、「その消しゴムを覆うように消しゴムカバーを着脱自在に取り付け」ているのに対し、刊行物1に記載された発明は、前記ノツク部3に消しゴムを着脱自在に取り付けているものの、上記消しゴムカバーを備えていない点。 2-4 相違点の判断 〈相違点1〉に対し 前記オないしキの摘示事項によれば、刊行物2には、「溝部4aが形成されたアーム2aの圧入孔4の材質の硬度を同期シャフト3の材質の硬度よりも大きくして、溝部4aが同期シャフト3の外周にくい込んで結合強度を上げる」事項が記載されている。 ここで、刊行物2に記載された「溝部4a」は、略円周状の凸部であるか否かはさておき、「凸部」である限りにおいて、本願補正発明の「凸部」に相当する。してみると、刊行物2においても、上記相違点1に係る「凸部が形成された部材の材質の硬度を他方の部材の材質の硬度よりも大きくし」なる事項が記載または示唆されているといえる。 そして、刊行物1に記載された発明に刊行物2に記載された事項を適用することを妨げる特段の事情も窺えないので、刊行物1に記載された発明の嵌合構造に刊行物2に記載された事項を適用して、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 〈相違点2〉に対し シャープペンシルにおいて、消しゴム受け部材に消しゴムを覆うように消しゴムカバーを着脱自在に取り付けることは、従来周知の技術(例えば、特開平10-16468号公報の段落【0018】の「受け部9aにはキャップ10が取り外し可能に設けられている。」なる記載、及び特開平3-97598号公報第2ページ下段左欄第10行ないし第13行の「さらに該消しゴム14を覆う頭冠15が軸筒7の後部に着脱自在に取り付けられ振出式シャープペンシルが構成されている。」なる記載参照。)である。 したがって、刊行物1に記載された発明に前記周知の技術を適用して、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 そして、本願補正発明の奏する効果も、刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された事項並びに前記周知の技術から、当業者であれば予測できる程度のものであって格別なものとは認められない。 2-5 小括 したがって、本願補正発明は、刊行物1及び刊行物2に記載された発明並びに前記周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3 むすび 以上により、上記理由1及び理由2のいずれにおいても、本件補正は却下すべきものである。 【3】 本願発明について 1 本願発明 平成20年3月13日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1及び2に係る発明は、平成18年10月6日付け及び平成19年10月5日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明は以下のとおりである(以下、「本願発明1」という)。 「少なくとも一方が筒状部材であって、その筒状部材に他方の部材を連結固定する継ぎ手構造であって、前記筒状部材の内面か、あるいは、他方の部材の外面に、略円周状の凸部を形成すると共に、その凸部が形成された部材の材質の硬度を他方の部材の材質の硬度よりも大きくしたことを特徴とする継ぎ手構造。」 2 引用刊行物とその記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物2の記載事項は、前記[【2】2-2 引用刊行物とその記載事項]に記載したとおりである。 前記摘示事項オないしキによれば、刊行物2には、次の発明(以下、「刊行物2に記載された発明」という。)が記載されているものと認める。 「アーム2aの圧入孔4に同期シャフト3を圧入固定する同期シャフト3の圧入構造であって、前記圧入孔4の内面に、溝部4aを形成すると共に、その溝部4aが形成された部材の材質の硬度を同期シャフト3の材質の硬度よりも大きくした同期シャフト3の圧入構造。」 3 対比 本願発明1と刊行物2に記載された発明とを対比すると、後者の「同期シャフト3」は、その機能、構造からみて、前者の「他方の部材」に相当する。 また、後者の「アーム2aの圧入孔4」は後者の「同期シャフト3」に対しては、「一方の部材」であることは明らかであるので、後者の「アーム2aの圧入孔4」と前者の「筒状部材」とは、「一方の部材」である限りにおいて、共通している。 さらに、後者の「溝部4a」と前者の「略円周状の凸部」は、略円周状であるか否かはさておき、「凸部」である限りにおいて共通している。 そして、後者の「圧入固定する同期シャフト3の圧入構造」は前者でいう「連結固定する継ぎ手構造」に他ならない。 してみると、両者は、本願発明1の表記に倣えば、 「一方の部材であって、その一方の部材に他方の部材を連結固定する継ぎ手構造であって、前記一方の部材の内面に、凸部を形成すると共に、その凸部が形成された部材の材質の硬度を他方の部材の材質の硬度よりも大きくした継ぎ手構造。」である点で一致し、次の点で相違している。 〈相違点3〉 本願発明1は、「少なくとも一方が筒状部材であって、その筒状部材に」他方の部材を連結固定する継ぎ手構造であるのに対し、刊行物2に記載された発明は、アーム2aの圧入孔4に同期シャフト3を圧入固定する同期シャフト3の圧入構造であって、アーム2aの圧入孔4が上記した筒状部材であるとまでは言えない点。 〈相違点4〉 本願発明1は、「前記筒状部材の内面に、略円周状の凸部を形成する」のに対し、刊行物2に記載された発明は、前記圧入孔4の内面に、溝部4aを形成するものの、溝部4aが上記した略円周状とまでは言えない点。 4 相違点の判断 〈相違点3〉に対し 上記摘示事項カによれば「上述した実施例ではVTRのリンク機構2のアーム2aと同期シャフト3の圧入構造について説明したが、高い硬度の被圧入部材の圧入孔に低い硬度のシャフトを圧入する場合の他の圧入構造に応用しても同様の効果がある。」と記載されていることから、この記載によれば、VTRのリンク機構2のアーム2aと同期シャフト3の圧入構造以外にも、種々の圧入構造に適用できる旨が示唆されており、その中には一方の筒状部材に他方の部材を圧入、すなわち連結する構造をも含むことは、当業者であれば容易に認識できる事項である。 したがって、刊行物2に記載された発明の「アーム2aの圧入孔4に同期シャフト3を圧入固定する同期シャフト3の圧入構造」を本願発明1の如く、「少なくとも一方が筒状部材であって、その筒状部材に他方の部材を連結固定する継ぎ手構造」とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 〈相違点4〉に対し 圧入において、圧入面に円周状の凸部を設けることは従来周知の技術(例えば、特開平5-60203号公報の図5の「環状ローレット」、実願平4-44813号(実開平5-95780号)のマイクロフィルムの「嵌合部32」参照。)である。 したがって、上記相違点3の判断の前提下において、刊行物2に記載された発明に前記周知の技術を適用して、上記相違点4に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 そして、本願発明1の奏する効果も、刊行物2に記載された発明及び前記周知の技術から、当業者であれば予測できる程度のものであって格別なものとは認められない。 5 むすび 以上により、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(本願発明)は、刊行物2記載の発明及び前記周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであることから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 それゆえ、本願は、特許請求の範囲の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-02-04 |
結審通知日 | 2009-02-10 |
審決日 | 2009-02-23 |
出願番号 | 特願平10-371829 |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(F16B)
P 1 8・ 571- Z (F16B) P 1 8・ 575- Z (F16B) P 1 8・ 121- Z (F16B) P 1 8・ 574- Z (F16B) P 1 8・ 573- Z (F16B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 藤村 聖子 |
特許庁審判長 |
溝渕 良一 |
特許庁審判官 |
戸田 耕太郎 山岸 利治 |
発明の名称 | シャープペンシルにおける芯タンクと消しゴム受け部材との継ぎ手構造 |