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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B01D |
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管理番号 | 1206948 |
審判番号 | 不服2006-10039 |
総通号数 | 121 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-01-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-05-17 |
確定日 | 2009-11-12 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第 85801号「空気フィルタ、殊に内燃機関の吸込空気のための空気フィルタ」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年11月 7日出願公開、特開平 7-289838〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成7年4月11日(パリ条約による優先権主張1994年4月14日、ドイツ国)の出願であって、平成18年2月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成18年5月17日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、手続補正がなされ、その後、平成20年10月14日付けで平成18年5月17日付けの手続補正が却下されるとともに、当審からの拒絶理由が通知され、これに対し、平成21年2月17日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 2.本願発明 本願の請求項1?3に係る発明は、平成21年2月17日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 【請求項1】 ケーシング(13)と、ケーシング(13)内に配置された空気フィルタ挿入体(16)と、ケーシング(13)を閉鎖するカバー(10)とから成っている 、内燃機関の吸込空気のための空気フィルタにおいて、 空気フィルタ挿入体(16)がほぼ方形のカートリッジであって、該カートリッジが環状のシール装置(18)を有しており、該シール装置(18)は、7から20までの範囲のショア硬度を有していて、フィルタ内の生空気室とフィルタ内の清浄空気室とを分離するようにケーシング(13)とカバー(10)との間に締め込まれており、更に、カバー(10)とケーシング(13)とを互いに結合し、ひいてはそれと同時に空気フィルタ挿入体(16)をケーシング(13)内に固定するための閉鎖部材(19)が設けられており、カバー(10)が各閉鎖部材(19)の領域内においてだけケーシング(13)に直接的に接触しており、各閉鎖部材(19)の領域外ではカバー(10)とケーシング(13)との間に間隔(20)が存在しており、カバー(10)が支承ブロック(12)を有しており、該支承ブロック(12)はそれぞれ前記閉鎖部材(19)のすぐ近くに配置されていており、ケーシング(13)がさらに固定部材(15)を有しており、該固定部材(15)が、前記閉鎖部材(19)のすぐ近くに配置されており、前記固定部材(15)は、カバー(10)とケーシング(13)とが互いに固定される際に前記支承ブロック(12)に接触するように形成されていることを特徴とする、内燃機関の吸込空気のための空気フィルタ。 3.引用例 これに対して,当審における,平成20年10月14日付けで通知した拒絶の理由に引用した引用文献1である、本願の優先権主張の日前の平成3年11月1日に頒布された「実願平2-16556号(実開平3-105908号)のマイクロフィルム」(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「(1)上面にカバー体を着脱自在に設けたエアクリーナケースの外周部に、弾性体製のフック体を、その上端が前記カバー体の外周面に向けて遠近移動自在となるようその下端において回動自在に枢着し、該フック体の上端に、レバー体を、一端と他端との間の中途部において回動自在に枢着する一方、前記カバー体の外周部に、前記レバー体の一端に対する係合溝を形成して成るカバー体の係止装置において、前記係合溝の底面に、前記レバー体の一端に対するガイド部を、カバー体の外周面から係合溝における外壁の付け根部に向けて下向き傾斜するように形成したことを特徴とするエアクリーナにおけるカバー体の係止装置。」(実用新案登録請求の範囲) (イ)「本考案の実施例を図面に基づいて説明すると、図において符号1は、内部にフィルタエレメント2を備えたエアクリーナケースを、符号3は、前記エアクリーナケース3(符号1の誤記と認められる。)の上面に着脱自在に取付くカバー体を各々示し、前記エアクリーナケース1の外周部に、円周方向に沿って適宜間隔で支持部4を外向き突設し、該支持部4に形成した割り溝5内に、従来と同様にフック体7とレバー体8とを備えた線材製の係止金具6におけるフック体7の下端7aを回動自在に枢着する。 前記カバー体3の外周部には、当該カバー体3を補強するための断面横向きT字状の補強体を全周にわたって形成することにより、上向きに開口した係合溝9を形成して、更に、該係合溝9の内面のうち前記係止金具6に対応した部位には、前記レバー体8の一端8aが接当するリブ状のガイド部9aを、カバー体3の外周面から係合溝9における外壁9bの付け根部に向かって下向きに延びるように一体的に造形する。」(明細書第6頁14行?第7頁12行) (ウ)「エアクリーナケース1にカバー体3を係止するには、第2?3図に示すように、係止金具6におけるレバー体8の他端8bを摘んで、レバー体8を、その一端8aをガイド9aに接当した状態でカバー体3の外周面に向けて回動し、フック体7の上端7bをいわゆる支点越えさせることにより、レバー体8をカバー体3の外周面に立て掛けた状態にすれば良い。」(明細書第7頁13?末行) (エ)「上記の実施例は、カバー体の補強体を利用して、係合溝をカバー体の全周にわたって形成した場合であったが、係合溝は係止金具の取付け箇所のみに形成しても良い」(明細書第8頁13?16行) (オ)第1図(明細書第10頁)には、本考案の実施例の装置全体の斜視図が示され、そこには、上記(イ)に記載の構成が図示されている。 (カ)第2図及び第3図(明細書第11頁)には、上記(ウ)の係止操作に関する構成が図示され、第2図は、係止する前の状態の断面図であって、そこには「カバー体3とエアクリーナケース1との間に、シール部材を介してフィルタエレメント2が保持されている」ことが図示され、第3図は、係止状態での断面図であって、そこには「カバー体3とエアクリーナケース1とが、カバー体3の外周部に設けられた係合溝9の外壁9bとエアクリーナケース1の外周部に設けられた支持部4で当接し、エアクリーナケース1の外周部の立ち上がり部ではカバー体3とエアクリーナケース1とが間隔が空いた状態で係止されている」ことが窺える。 4.対比・判断 引用例には、記載事項(ア)、(イ)によれば、「内部にフィルタエレメント2を備えたエアクリーナケース1と、エアクリーナケース1の上面に着脱自在に取付くカバー体3が、弾性体製のフック体7とレバー体8を備えた係止金具6により係止されるエアクリーナであって、エアクリーナケース1の外周部に、円周方向に沿って適宜間隔で支持部4が外向き突設され、支持部4にはフック体7が取付けられ、カバー体3の外周部に設けられた係合溝9に係止金具6のレバー体8を掛けて回動することによりカバー体3がエアクリーナケース1に係止されるエアクリーナ」が記載されているといえる。 そして、上記記載中の「カバー体3がエアクリーナケース1に係止される」ことに関し、記載事項(カ)には、「カバー体3とエアクリーナケース1との間に、シール部材を介してフィルタエレメント2が保持されている」こと、「カバー体3とエアクリーナケース1とが、カバー体3の外周部に設けられた係合溝9の外壁9bとエアクリーナケース1の外周部に設けられた支持部4で当接し、エアクリーナケース1の外周部の立ち上がり部ではカバー体3とエアクリーナケース1とが間隔が空いた状態で係止されている」ことが記載されている。 これらの記載を本願発明の記載振りに則して整理すると、引用例には、「内部にフィルタエレメント2を備えたエアクリーナケース1と、該エアクリーナケース1の上面に着脱自在に取付くカバー体3が、フック体7とレバー体8を備えた係止金具6により係止されるエアクリーナであって、エアクリーナケース1の外周部に、円周方向に沿って適宜間隔で支持部4が外向き突設され、支持部4にはフック体7が取付けられ、カバー体3の外周部に設けられた係合溝9に係止金具のレバー体を掛けて回動することにより、カバー体3とエアクリーナケース1との間に、シール部材を介してフィルタエレメント2が保持された状態で、かつ、カバー体3とエアクリーナケース1とが、カバー体3の外周部に設けられた係合溝9の外壁9bとエアクリーナケース1の外周部に設けられた支持部4で当接し、エアクリーナケース1の外周部の立ち上がり部ではカバー体3とエアクリーナケース1とが間隔が空いた状態で係止されているエアクリーナ」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 本願発明と引用発明の対比を検討する前に、本願発明の「カバー(10)が各閉鎖部材(19)の領域内においてだけケーシング(13)に直接的に接触しており、各閉鎖部材(19)の領域外ではカバー(10)とケーシング(13)との間に間隔(20)が存在しており、カバー(10)が支承ブロック(12)を有しており、該支承ブロック(12)はそれぞれ前記閉鎖部材(19)のすぐ近くに配置され」との特定事項の「閉鎖部材(19)の領域内」及び「閉鎖部材(19)の領域外」の技術内容についてみておくと、本願明細書の段落【0015】の記載及び平成21年2月17日付けの意見書の「【意見の内容】[3]」によれば、「閉鎖部材の領域」とは「閉鎖部材が位置する領域もしくは閉鎖部材の近傍」を意味し、「閉鎖部材の領域内」で支承ブロック(12)と固定部材(15)が直接接触している部分であり、「閉鎖部材の領域外」で支承ブロック(12)と固定部材(15)が直接接触していない部分であると解することができる。 そこで、本願発明と引用発明を対比すると、 引用発明の「フィルタエレメント2」、「エアクリーナケース1」、「カバー体3」、「シール部材」、「係止金具6」及び「エアクリーナ」は、それぞれ本願発明の「空気フィルタ挿入体(16)」、「ケーシング(13)」、「カバー(10)」、「シール装置(18)」、「閉鎖部材(19)」及び「空気フィルタ」に相当し、引用発明の「フィルタエレメント2」がカートリッジであることは、フィルタエレメントを内部に備えるエアークリーナケースとカバー体の、係止金具による着脱自在の構成がフィルタエレメントの交換にあることは自明であることから明らかであり、また、「シール部材」が「エアクリーナ内の未清浄空気室と清浄空気室とを分離」していることも機能及び構造からみて自明である。また、「カバー体3とエアクリーナケース1との間に、シール部材を介してフィルタエレメント2が保持された」構造からみて、該エレメント2の周囲に「シール部材」を有している構成を有していることは明らかであり、かかる構成は、本願発明の「カートリッジが環状のシール装置(18)を有して」いることに相当する。また、引用発明の「カバー体3とエアクリーナケース1とが、カバー体3の外周部に設けられた係合溝9の外壁9bとエアクリーナケース1の外周部に設けられた支持部4で当接し、エアクリーナケース1の外周部の立ち上がり部ではカバー体3とエアクリーナケース1とが間隔が空いた状態で係止されている」ことは、本願発明の「カバー(10)が各閉鎖部材(19)の領域内においてだけケーシング(13)に直接的に接触しており、各閉鎖部材(19)の領域外ではカバー(10)とケーシング(13)との間に間隔(20)が存在して」いることと実質同様の技術意味を有していることは明らかである。 以上のことから、両者は、「ケーシング(13)と、ケーシング(13)内に配置された空気フィルタ挿入体(16)と、ケーシング(13)を閉鎖するカバー(10)とから成っている 、空気フィルタにおいて、 空気フィルタ挿入体(16)がカートリッジであって、該カートリッジが環状のシール装置(18)を有しており、該シール装置(18)は、フィルタ内の生空気室とフィルタ内の清浄空気室とを分離するようにケーシング(13)とカバー(10)との間に締め込まれており、更に、カバー(10)とケーシング(13)とを互いに結合し、ひいてはそれと同時に空気フィルタ挿入体(16)をケーシング(13)内に固定するための閉鎖部材(19)が設けられており、カバー(10)が各閉鎖部材(19)の領域内においてだけケーシング(13)に直接的に接触しており、各閉鎖部材(19)の領域外ではカバー(10)とケーシング(13)との間に間隔(20)が存在している、空気フィルタ」である点で一致し、次の点で相違する。 相違点a:本願発明では、空気フィルタが「内燃機関の吸込空気のための」ものであるのに対して、引用発明では、かかる構成が特定されていない点 相違点b:本願発明では「空気フィルタ挿入体がほぼ方形のカートリッジ」であるのに対して、引用発明では、「フィルタエレメント」を有するものであるが、方形ではない点 相違点c:本願発明では「シール装置は、7から20までの範囲のショア硬度を有していて」いるのに対して、引用発明では、かかる構成が特定されていない点 相違点d:本願発明では「カバー(10)が支承ブロック(12)を有しており、該支承ブロック(12)はそれぞれ前記閉鎖部材(19)のすぐ近くに配置されていて、ケーシング(13)がさらに固定部材(15)を有しており、該固定部材(15)が、前記閉鎖部材(19)のすぐ近くに配置されており、前記固定部材(15)は、カバー(10)とケーシング(13)とが互いに固定される際に前記支承ブロック(12)に接触するように形成されている」のに対して、引用発明では、「カバー体3とエアクリーナケース1とが、カバー体3の外周部に設けられた係合溝9の外壁9bとエアクリーナケース1の外周部に設けられた支持部4で当接し」ている点 そこで、上記相違点について検討する。 (i)相違点a、bについて 相違点aは、本願発明は「内燃機関」用の空気フィルタを特定するものであるが、引用発明の「エアークリーナ」は、「エアークリナ-」が内燃機関用の空気フィルタとして普通に使用される用語であるとともに、引用例(明細書第3頁9行)に従来技術文献として挙げられた「実開昭60-3263号公報」が「自動車用エアクリーナ」に関するものであることから、内燃機関用のものであるとみることができ、相違点aは実質的な違いがあるとはいえない。仮に違いがあるとしても、上記した事由や内燃機関用のエアクリーナはごく周知のものであることに照らせば、この用途を特定することに格別の困難性はない。 また、相違点bは、空気フィルタ挿入体の形状を方形に特定するものであるが、空気フィルタ挿入体(フィルタエレメント)は形状が方形のものは、円形のものと同様に通常使用されているものであり、かかる形状の限定を格別のこととすることはできない。 (ii)相違点cについて 相違点cの「シール装置のショア硬度」については、シール機能、弾性的機能、圧縮強度などを勘案して適宜選択されるものであり、本願明細書をみても、本願発明の「7から20までの範囲のショア硬度」に格別の臨界的意義もない。そして、内燃機関用エアクリーナのパッキン部として硬度が20(HS)のものも普通に用いられている(一例として、実願平4-74320号(実開平6-31820号)のCD-ROM(【0009】及び【図1】参照)を提示する。)硬さである。更に、引用発明では「カバー体3とエアクリーナケース1とが、カバー体3の外周部に設けられた係合溝9の外壁9bとエアクリーナケース1の外周部に設けられた支持部4で当接」させている構成としているため、シール部材に過度の圧縮荷重がかかるものでないので低硬度のものを用いることができる。 以上のことに照らせば、引用発明の「シール部材」として、本願発明の「7から20までの範囲のショア硬度」を選択することは、当業者であれば容易に選定し得るものである。 (iii)相違点dについて 本願発明は「カバー(10)が支承ブロック(12)を有しており、該支承ブロック(12)はそれぞれ前記閉鎖部材(19)のすぐ近くに配置されていて、ケーシング(13)がさらに固定部材(15)を有しており、該固定部材(15)が、前記閉鎖部材(19)のすぐ近くに配置されており、前記固定部材(15)は、カバー(10)とケーシング(13)とが互いに固定される際に前記支承ブロック(12)に接触するように形成されている」ものであるが、この「接触」については、引用発明の「カバー体3とエアクリーナケース1とが、適宜間隔で当接し」ている点で同じである。そして、引用発明の「カバー体3の外周部に設けられた係合溝9の外壁9b」と「エアクリーナケース1の外周部に設けられた支持部4」について、本願発明の「ケーシング(13)」の「固定部材(15)」と「カバー(10)」の「支承ブロック(12)」とに、取り付けられる箇所がカバーであるのか、ケースであるのかなど若干の構造上の違いがあるものの、機能上の差異はなく、引用発明の「エアクリーナケース1の外周部に設けられた支持部」を「カバー体3の外周部に設けられた係合溝9の外壁9b」に代えて設けるとともに、その「支持部」を「ケース1の外周部に外壁の立ち上げ部材」として構成することは、係合溝9が外周部に設けられるものであって、引用例の記載事項(エ)に「カバー体の補強体を利用して、係合溝をカバー体の全周にわたって形成した場合であったが、係合溝は係止金具の取付け箇所のみに形成してもよい」と記載がある以上、当業者が適宜設計事項の範疇で変更することができるものである。してみると、閉鎖部材が係止作用上自ずと支承ブロックや固定部材の近くに配置されるものであることを勘案すれば、上記相違点dに係る本願発明の構成を導出することに格別困難はない。 そして、本願発明の相違点a?dに係る構成によって奏する明細書記載の効果については、引用例から予測し得る範囲内のものであって、格別のものとはいえない。 したがって、本願発明は、その出願前頒布された引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 なお、請求人は、平成21年2月17日付けの意見書において「引用文献1(引用例)の係合溝9の外壁9bは上下方向の長さと比べて厚みが薄く、外壁9bが容易に撓んで、カバー体3とケース1が外壁9b以外の領域で互いに接触してしまい、シール部材のシール面の圧力が大きく低下する危険があると思われます。また、引用文献1の第1図および第2図を見ると、ケースの外周の立ち上がった部分とカバー体の係合溝下部とには「間隔」が存在していますが、そもそもこの間隔は、本願発明におけるような意図を持って形成されたものではありませんので、引用文献1の構成から本願発明固有の作用効果を引き出すことは到底不可能である」と主張している。しかしながら、引用例の「外壁9bが容易に撓んで」、との主張は単なる憶測にすぎず、材質などによっても異なる上、図面上の厚さだけで云々できないことから、この主張を格別意味あるものとすることはできない。また、引用例で「間隔」が存在していること、及び上述のとおり「カバー体3とエアクリーナケース1とが、適宜間隔で当接し」たものであることを勘案すれば、カバー体並びにエアクリーナケースの精度を必要以上に上げることなく、公差への対応が図られることは、当業者であればごく普通に推察し得ることであることから、請求人が主張するように到底不可能であるとまではいえない。したがって、請求人の意見書に記載された「本願発明固有の作用効果」についての主張を格別のものとすることはできない。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 しかるに、本願は、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-06-04 |
結審通知日 | 2009-06-11 |
審決日 | 2009-06-23 |
出願番号 | 特願平7-85801 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(B01D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 充、田口 昌浩 |
特許庁審判長 |
大黒 浩之 |
特許庁審判官 |
木村 孔一 小川 慶子 |
発明の名称 | 空気フィルタ、殊に内燃機関の吸込空気のための空気フィルタ |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |
代理人 | 久野 琢也 |
代理人 | 山崎 利臣 |
代理人 | 矢野 敏雄 |