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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1216946
審判番号 不服2008-25808  
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-10-08 
確定日 2010-06-08 
事件の表示 特願2006- 70246「高周波パッケージモジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 6月15日出願公開、特開2006-157067、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 【1】手続きの経緯
本願は、平成13年 9月 5日に出願した特願2001-268330号の一部を平成18年 3月15日に新たな特許出願としたものであって、平成20年 6月13日付拒絶理由通知に対して、平成20年 8月18日付けで手続補正書を提出し、これに対して平成20年 9月 4日付けで拒絶査定され、これに対し、平成20年10月 8日付けで拒絶査定不服の審判が請求されると共に、平成20年11月 7日付けで手続補正がなされたものである。


【2】平成20年11月 7日付けの手続補正についての補正の却下の決定
1.補正の却下の決定の結論
平成20年11月 7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

2.理由
1)補正の概略
本件補正は、平成20年 8月18日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下、「補正前の請求項1」という。)を、
「【請求項1】
半導体回路チップを誘電体基板上にフリップチップ実装した高周波パッケージモジュールに於いて、
前記フリップチップ実装した前記半導体回路チップ上のメタルパターンと前記誘電体基板上のメタルパターンとの間を接続する複数のメタルピラーを、前記半導体回路チップの動作周波数の波長の1/4以下の間隔で、該半導体回路チップ上のメタルパターンの少なくとも該半導体回路チップの周縁部分及び該半導体回路チップに形成された回路ラインの外側に沿った部分に設けた構成を有する
ことを特徴とする高周波パッケージモジュール。」
と補正しようとする事項を含むものである。

そして、上記請求項1に係る本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「メタルパターンの全面」を「メタルパターンの少なくとも該半導体回路チップの周縁部分及び該半導体回路チップに形成された回路ラインの外側に沿った部分」としようとする補正を含むものである。

2)補正の適否
上記の補正について、審判請求人は、審判請求書の請求の理由において、補正の目的を、
「本願発明は、更に前記引用文献及び周知技術文献との相違を明確にする為に、特許請求の範囲を補正しました。・・・構成を追加しました。この補正内容は、出願当初の明細書の段落番号0046?0050及び図8(B)の記載内容に基づくもので、新規事項の追加に相当するものではありません。」
と説明しており、また、平成22年 3月25日付の「《前置報告書の内容》について、審判請求人の意見を事前に求める」審尋に対する回答書において、
「御指摘の明細書の段落番号0046?0050の例えば0047に、図8の(B)を参照して、「トランジスタ部分68と接続する回路ライン61」の外側に沿ったメタルパターン62に、メタルピラー65を形成することが記載されており、又段落番号0049に、「メタルピラー65は、図6に示すメタルピラー44に相当し、フリップチップ実装時の回路ライン61と接続ライン66との間を接続する・・・」と記載されていますように、図6には、ドレイン電極41を接続した回路ライン及びゲート電極42を接続した回路ラインの外側に沿ったソース電極43を接続したメタルパターンに、メタルピラー44を設けた構成が示されています。この場合のメタルピラー44は、回路ラインの外側に沿った部分に形成したメタルピラーを示すことは明らかであります。」
と回答している。

しかしながら、「メタルパターンの少なくとも該半導体回路チップの周縁部分及び該半導体回路チップに形成された回路ラインの外側に沿った部分」との構成は、「メタルパターンの全面」ではなく、「該半導体回路チップの周縁部分及び該半導体回路チップに形成された回路ラインの外側に沿った部分」のみの場合をも含むものであり、請求人が、補正の根拠として主張している本願明細書の出願当初の明細書の段落番号0046?0050には、「該半導体回路チップの周縁部分及び該半導体回路チップに形成された回路ラインの外側に沿った部分」のみに複数のメタルピラーを設けることについては、記載も示唆もされていない。
また、図8(B)にも、「該半導体回路チップの周縁部分及び該半導体回路チップに形成された回路ラインの外側に沿った部分」のみに複数のメタルピラーを設けることは、図示されていない。
また、その他の明細書の記載及び図面にも、上記補正に係る構成を説明乃至は示唆している記載は認められない。

加えて、上記「メタルパターンの少なくとも該半導体回路チップの周縁部分及び該半導体回路チップに形成された回路ラインの外側に沿った部分」は、補正前の「メタルパターンの全面」ではなく、その一部分のみでも良い場合を含むこととなったので、請求項1に係る発明特定事項を拡張したことにもなっており、また、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明の何れの目的にも該当しない。

3)本件補正についてのむすび
したがって、本件補正は、新規事項を追加しようとする補正であるから、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであり、また、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項のいずれをも目的としたものでもないから、同項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


【3】本願発明について
平成20年11月 7日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成20年 8月18日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されたとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶の理由を検討してもその理由によって拒絶をすべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2010-05-26 
出願番号 特願2006-70246(P2006-70246)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
P 1 8・ 561- WY (H01L)
P 1 8・ 572- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石野 忠志  
特許庁審判長 藤原 敬士
特許庁審判官 筑波 茂樹
加藤 浩一
発明の名称 高周波パッケージモジュール  
代理人 渡邊 弘一  
代理人 眞鍋 潔  
代理人 柏谷 昭司  
代理人 伊藤 壽郎  

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