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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) E04H
管理番号 1217164
審判番号 不服2008-8727  
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-09 
確定日 2010-05-20 
事件の表示 特願2005-134785「免震構造」拒絶査定不服審判事件〔平成17年12月 2日出願公開、特開2005-330799〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は,平成16年5月17日に出願した特願2004-146189号の一部を特許法第44条第1項の規定により平成17年5月6日に新たな特許出願としたものであって,平成20年3月3日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年4月9日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同年4月28日付けで手続補正(同年5月23日付けで方式補正されている。)がなされたものである。
その後,当審において,平成21年12月21日付けで平成20年4月28日付けの手続補正に対して補正の却下の決定がなされるとともに,同日付けで拒絶理由が通知され,それに対して,平成22年2月22日付けで手続補正がなされるとともに,意見書が提出されたものである。

【2】本願発明
本願の請求項1に係る発明は,平成22年2月22日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「【請求項1】
微振動を嫌う機器類が配置された構造物と、その基礎との間に免震装置を介装した免震構造であって、
上記構造物を、上記機器類の嫌振程度に起因する振動許容値の大小により、2以上のエリアに区分し、最も振動許容値の小さな嫌振エリアに、伝達される微振動が当該嫌振エリアにおける上記振動許容値よりも小さくなるような鉛直方向および水平方向の剛性を有する剛すべり支承を配置するとともに、他のエリアに、伝達される微振動が当該他のエリアにおける上記振動許容値よりも小さくなるような鉛直方向および水平方向の剛性を有する免震装置を配置してなり、
かつ上記剛すべり支承の上記剛性は、上記嫌振エリアの床上に当該剛すべり支承を介して支承された質量(M)の重り上および上記床上に設置した加速度センサーによって測定された、これら床および重りの常時微振動の比から求められる固有振動数(f)により、式K=(2πf)^(2)Mを用いて得られた当該剛性K以上に設定されていることを特徴とする免震構造。」(以下,「本願発明」という。)

【3】引用刊行物
1.刊行物1
当審の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された刊行物である,特開平11-311036号公報(以下,「刊行物1」という。)には,以下の記載がある。
(1a)「クリーンルームが設けられる内部支持構造と、内部支持構造を囲む外部支持構造とからなり、外部支持構造に内部支持構造内を通過する複数階の梁を架設し、内部支持構造に外部支持構造の上下の梁間に位置する複数階の梁を架設して、外部支持構造の梁と内部支持構造の梁とを上下交互に配した建築物であって、
内部支持構造の梁上を、振動から絶縁すべき製造機器を配置するプロセスエリアとし、外部支持構造の梁上を、前記製造機器に付属するポンプ等の振動発生源を配置するユーティリティエリアとすることにより、製造機器を外部振動から絶縁できるように構成したクリーンルーム建築物。」(【請求項1】)
(1b)「【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】半導体や光学機械等の精密機械製造工場では、清浄雰囲気が必要とされる工程をクリーンルーム内で行い、クリーンルームの温度・湿度・塵埃量等の室内環境を適正に制御するとともに、クリーンルームの振動を軽減する対策を講じている。特に振動を嫌う工程としては、半導体製造におけるパターン露光工程やフォトマスクの検査工程等があり、製品の高集積化や微細化に伴って振動の許容値が小さくなってきている。
クリーンルームに生じる振動の原因としては、交通機関等から地盤を介して伝播される外部振動、クリーンルームに空気を供給する空調機器や超純水を供給するためのポンプ等の製造に必要なユーティリティ設備が発生する振動、クリーンルーム内の製造装置自体が発生する振動等がある。」(段落【0002】?【0003】)
(1c)「そこで、クリーンルーム内の製造装置に付属する振動発生源とプロセスエリアとを絶縁してクリーンルームの振動を可及的に低下させ、製造及び検査工程における不安定要素を解消するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は上記課題を解決することを目的とする。」(段落【0007】)
(1d)「【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を図に従って詳述する。図1はクリーンルーム建築物1の骨組を示し、クリーンルーム建築物1は、内部支持構造2と、内部支持構造2を取り囲む外部支持構造3とからなり、内部支持構造2と外部支持構造3はそれぞれ基礎4から別々に立ち上げて分離されている。
外部支持構造3と内部支持構造2にはそれぞれトラス梁5,6が架設され、最上層のトラス梁5は外部支持構造3に架設されており、以下、下方へ向かって内部支持構造2のトラス梁6と外部支持構造3のトラス梁5とが一段毎に交互に配設されている。内部支持構造2の空間はクリーンルームとして使用され、外部支持構造3は空調機器やエレベータ等を設置するユーティリティ棟として使用される。」(段落【0009】?【0010】)
(1e)「プロセスエリア8の天井9は、このトラス梁5の下弦材の位置に設置され、・・・天井9とその下のトラス梁6との空間がプロセスエリア8であり、プロセスエリア8の床となるトラス梁6は、内部支持構造2に支持されて外部支持構造3とは構造的に絶縁されている。プロセスエリア8には、製造設備のうちで直接製造に関わり、外部振動の影響を排除すべき機器が設置される。」(段落【0012】)
(1f)「トラス梁6とその下のトラス梁5との間の空間はユーティリティエリア13であり、その床14は外部支持構造3のトラス梁5に支持される。ユーティリティエリア13には、プロセスエリア8内に配置される製造設備に付帯するポンプ等の振動発生源や振動の影響を受けない機器を配置する。
したがって、ユーティリティエリア13で発生する振動は外部支持構造3へ伝わり、内部支持構造2には有害な振動は伝播しない。・・・」(段落【0015】?【0016】)
(1g)「図2及び図3はクリーンルーム建築物1における基礎の他の実施形態を示し、図2は内部支持構造2の基礎16と、外部支持構造3の基礎17を分離したものであり、図3は、外部支持構造3を潜函形コンクリート基礎18で支持し、潜函形コンクリート基礎18上の地盤に内部支持構造2の基礎19を形成したものである。このように基礎を分離した場合は、図に示すように、1階のユーティリティエリア13も外部支持構造3に架設したトラス梁5上に設けて、ユーティリティエリア13から内部支持構造2の基礎16,19への振動の伝播を遮断すれば、一体形基礎のものよりもさらに防振性能の向上が期待できる。」(段落【0020】)

以上の記載事項(1a)?(1g)及び図面の記載からみて,刊行物1には,以下の発明が記載されているものと認められる。
「外部振動の影響を排除すべき機器が配置された構造物を,
外部振動の影響を排除すべき機器が配置されたプロセスエリア8と,振動発生源や振動の影響を受けない機器が配置されたユーティリティエリア13や空調機器等を設置するユーティリティ棟として使用される外部支持構造3からなるエリアに区分し,
外部振動の影響を排除すべき機器が配置されたプロセスエリア8を,外部支持構造3から構造的に絶縁した内部支持構造2に設けると共に,振動発生源や振動の影響を受けない機器が配置されたユーティリティエリア13を,上記外部支持構造3により支持するように構成した,
外部振動の影響を排除すべき機器が配置された構造物の構造。」

2.刊行物2
当審の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された刊行物である,特開昭61-116142号公報(以下,「刊行物2」という。)には,図面とともに,以下の記載がある。
(2a)「本発明は免震・防振構造に係り,特に半導体製造装置を載置するために好適な免震・防振構造に関する。
〔発明の背景〕
クリーンルーム等においては各種の半導体製造装置が設置され,この半導体製造装置の中にはステッパー等のように極端に振動を嫌う装置がある。従ってこのような振動を嫌う半導体製造装置においては免震・防振構造の床上に設置する必要がある。」(1頁右下欄3?12行)
(2b)「第3図並びに第4図では本発明に係る第1実施例の構造が示されている。第3図に示すように基盤10上には架台枠32が積層ゴム26,26を介して支持されている。積層ゴム26は前記したようにゴム板28と金属板30とが交互に積層状に配設されて構成されている。架台枠32には上方に向けて縦壁34が立設され,この縦壁34は第4図に示すように方形状に枠組形成されている。この縦壁34で形成される空間部には半導体製造装置等の機器類等を支持する架台24が設置される。架台24の底面は弾性体36を介して架台枠32上に支持されている。また架台24の4側面24A,24A,24A,24A,は積層ゴム26を介して架台枠32の縦壁34に支持されている。積層ゴム26は架台24の側面24Aと架台枠32の縦壁34との隙間に予め予圧をかけて圧縮した状態で配置される。
前記の如く構成された本発明に係る実施例によれば,鉛直方向の荷重に対しては基盤10と架台枠32との間に設置される積層ゴム26で支持し,水平方向の荷重に対しては架台24と縦壁34との間に設置される積層ゴム26において支持するので,3次元の方向の振動に対して免震・防振効果を有することになる。」(2頁左下欄6行?同右下欄9行)
(2c)「第2実施例においては架台枠32上に立設される縦壁34は第6図に示すように格子状に形成され,複数の空間部44が形成されている。この複数の空間部44内には各々機器類等を支持する架台46が配設されている。この架台46は内部が空洞の角柱状に形成され,この下端部には縦壁34の下部に形成された支持突起48との間に弾性材50を介して支持されている。また架台46の側面と縦壁34との間には予め予圧を加えた状態で積層ゴム26が配設されている。この積層ゴム26は水平方向の荷重を吸収するために設けられたものである。他の空間部44における架台46を支持する積層ゴム26並びに弾性体50は架台46が支持する機器類等の重量或いは要求される防振構造に合わせてその弾性係数等を決定することができる。・・・
前記実施例によれば,架台枠32を支持する積層ゴム40は多段形式に構成されているので,水平方向の剛性は強く軽量の機器類が設置されても横揺れに対して座屈するようなことはない。また横方向の揺れに対しては縦壁34と架台46との間には積層ゴム26が配設されているので,横方向の荷重を支持することができる。」(3頁左上欄2行?同右上欄6行)

3.刊行物3
当審の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された刊行物である,特開平8-303029号公報(以下,「刊行物3」という。)には,図面とともに,以下の記載がある。
(3a)「内部に複数階のクリーンルームを有する本体建屋と、該本体建屋から分離して、本体建屋の少なくとも2側面に沿って立設する脚部と脚部で支えられ前記本体建屋の上方に掛け渡される機械・用役室とからなる外周建屋で構成することを特徴とするクリーンルームの為の建屋構造。」(【請求項1】)
(3b)「次に、本発明のクリーンルームの為の建屋構造の第3実施例を説明する。図8は第3実施例を説明するクリーンルームの為の建屋構造の縦断面図である。第3実施例は、本体建屋12と基礎40との間に多段積層ゴム等の免震部材80を備え、外周建屋14は少なくとも本体建屋12の上半分に当たる風を遮断する壁面82を備えるようにしたものである。その他の構成は第1実施例と同様である。
このように構成された第3実施例によれば、第1実施例と同様の効果が得られる他に、外周建屋14の防風効果によって高層の本体建屋12がゆれるのを防止することができると共に、地震に対する免震対策を図ることができる。この場合、本体建屋12の基礎に免震部材80を設けた場合、突風を受けて本体建屋12がゆれやすくなるので、外周建屋14は少なくとも本体建屋12の上半分に当たる風を遮断する壁面82を備えることが不可欠となる。」(段落【0022】?【0023】)

【4】対比・判断
本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると,刊行物1記載の発明の「外部振動の影響を排除すべき機器が配置されたプロセスエリア8」及び「振動発生源や振動の影響を受けない機器が配置されたユーティリティエリア13や空調機器等を設置するユーティリティ棟として使用される外部支持構造3からなるエリア」が,本願発明の「最も振動許容値の小さな嫌振エリア」及び「他のエリア」に相当している。
そして,刊行物1記載の発明の「外部振動の影響を排除すべき機器が配置されたプロセスエリア8を,外部支持構造3から構造的に絶縁した内部支持構造2に設けると共に,振動発生源や振動の影響を受けない機器が配置されたユーティリティエリア13を,上記外部支持構造3により支持する」ことと,本願発明の「伝達される微振動が当該嫌振エリアにおける上記振動許容値よりも小さくなるような鉛直方向および水平方向の剛性を有する剛すべり支承を配置するとともに、他のエリアに、伝達される微振動が当該他のエリアにおける上記振動許容値よりも小さくなるような鉛直方向および水平方向の剛性を有する免震装置を配置」することは,「振動許容値の大小により区分された各エリアに伝達される微振動が,当該各エリアにおける振動許容値よりも小さくなるようにする」という技術思想において共通している。

したがって,両者は,以下の点で一致している。
「微振動を嫌う機器類が配置された構造物の構造であって,
構造物を,機器類の嫌振程度に起因する振動許容値の大小により,最も振動許容値の小さな嫌振エリアとその他のエリアに区分し,振動許容値の大小により区分された上記各エリアに伝達される微振動が,当該各エリアにおける振動許容値よりも小さくなるようにした,
構造物の構造。」

そして,以下の点で相違している。
(相違点1)
本願発明は,微振動を嫌う機器類が配置された構造物と,その基礎との間に免震装置を介装した免震構造であって,
振動許容値の大小により区分された各エリアに伝達される微振動が,当該各エリアにおける振動許容値よりも小さくなるようにするために,
最も振動許容値の小さな嫌振エリアに配置される免震装置を,伝達される微振動が当該嫌振エリアにおける上記振動許容値よりも小さくなるような鉛直方向および水平方向の剛性を有する剛すべり支承とし,他のエリアに配置される免震装置を,伝達される微振動が当該他のエリアにおける上記振動許容値よりも小さくなるような鉛直方向および水平方向の剛性を有する免震装置とする構造であるのに対して,
刊行物1記載の発明は,免震構造ではなく,
振動許容値の大小により区分された各エリアに伝達される微振動が,当該各エリアにおける振動許容値よりも小さくなるようにするために,
最も振動許容値の小さな嫌振エリアを他のエリアから絶縁させるものであって,そのために,最も振動許容値の小さな嫌振エリアを,震動源等を支持する外部支持構造3から構造的に絶縁した内部支持構造2に設け,その他のエリアを,上記外部支持構造3に設けるか,もしくは,上記外部支持構造3により支持するようにした構造である点。
(相違点2)
相違点1に関連して,本願発明は,「剛すべり支承の剛性は、嫌振エリアの床上に当該剛すべり支承を介して支承された質量(M)の重り上および上記床上に設置した加速度センサーによって測定された、これら床および重りの常時微振動の比から求められる固有振動数(f)により、式K=(2πf)^(2)Mを用いて得られた剛性K以上に設定されている」という構成を備えているのに対して,刊行物1記載の発明は,そもそも剛すべり支承を備えておらず,当然,上記の様な構成を備えたものではない点。

相違点1について検討する。
構造物に免震装置や制震装置等の対地震対策を行うことは,本件出願当時常識であって,例えば刊行物2の記載事項(2a)や刊行物3の記載事項(3b)に記載されているように,振動を嫌う構造物においても,当然行われている周知の技術である。
してみると,刊行物1記載の発明に免震装置を設けることは,当業者が当然考慮することである。
そして,刊行物1記載の発明においては,構造物を振動許容値の異なる複数のエリアに区分し、該区分された各エリアに伝達される微振動が,当該各エリアにおける上記振動許容値よりも小さくなるようにしているのであり,刊行物3の記載事項(3b)にあるように,構造物に免震部材を設けた場合には突風等によって揺れやすくなることが知られ,刊行物2の記載事項(2c)にあるように,支持する機器類等の要求する防振構造に合わせて免震装置の弾性係数を決定することが公知となっていることから考えると,刊行物1記載の発明に免震装置を設けた状態で,各エリアに対する微振動の伝達について考慮することは,当業者が容易に想到することである。
そうすると,本願発明の嫌振エリアにおいて採用されている剛すべり支承を含め,さまざまな免震装置が周知となっているのであるから,刊行物1記載の発明に免震装置を設けるに際して,それら周知の免震装置の中から各エリアの振動許容値等に適した免震装置を選択して配置することは,当業者が容易になし得たことであって,嫌振エリアの免震装置として剛すべり支承を採用することによって当業者が予測できない格別の効果が生じるとも認められない。
したがって,刊行物1記載の発明及び刊行物2及び3に記載された周知の技術から,上記相違点1に係る構成を想到することは,当業者が容易になし得たことである。

次に,相違点2について検討する。
相違点2に係る本願発明の構成は必ずしも明確ではないが,該構成について請求人がその根拠であると主張する本願明細書の段落【0010】には,免震装置の微振動時における剛性(K)が既知でない場合の免震装置の剛性の求め方が記載されている。
そして,上記相違点2に係る本願発明の構成が,上記記載事項以外の構成を特定するものであるとする合理的な理由はないから,上記相違点2に係る本願発明の構成を免震装置の剛性を求めるための構成として解釈して,すなわち,相違点2に係る本願発明の構成により免震装置の剛性を求め,嫌振エリアや他のエリアの振動許容値に適した剛性と比較したり設定したりしてなる免震構造について検討する。

基礎と構造物との間に免震装置を配置した周知の免震構造において,免震装置をその性能が不明のまま設置するとは考えられず,通常,免震装置の性能を把握して設置することは当然のことであるが,万が一,免震装置の剛性等性能が不明であったり,使用条件によって著しく異なる可能性がある場合に,実地における実験等によって求めることは,当業者が容易に想到することである。
そして,請求項1及び上記段落【0010】に記載された剛性を求めるために用いられる式は,剛性(バネ定数)と固有振動数との関係を表す式として周知の式であって,相違点2に係る構成全体としても当業者が適宜なし得た程度のことに過ぎない。
したがって,刊行物1記載の発明に剛すべり支承を設けた場合に,上記相違点2に係る本願発明の構成により剛すべり支承の剛性を求め,嫌振エリアや他のエリアの振動許容値に適した剛性と比較したり設定したりすることは,当業者がとって容易になし得たことである。

したがって,刊行物1記載の発明及び周知の技術から,上記相違点2に係る構成を想到することは,当業者が容易になし得たことである。

以上より,本願発明は,刊行物1記載の発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

【5】むすび
以上のとおり,本願発明は特許を受けることができないから,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-03-19 
結審通知日 2010-03-23 
審決日 2010-04-08 
出願番号 特願2005-134785(P2005-134785)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (E04H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新井 夕起子田中 洋行  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 関根 裕
宮崎 恭
発明の名称 免震構造  
代理人 清水 千春  

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