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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1218601
審判番号 不服2006-16455  
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-07-31 
確定日 2010-06-17 
事件の表示 特願2000-190016「半導体デバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 2月16日出願公開、特開2001- 44432〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年6月23日(パリ条約による優先権主張1999年6月24日、米国)の出願であって、平成18年4月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年7月31日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、その後、当審において平成21年4月23日付けで拒絶理由通知がなされ、同年10月27日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、さらに、前記意見書の内容を補充する目的で、同年12月4日付けで上申書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成21年10月27日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものであって、そのうちの、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】 半導体デバイスであって、
ソース、ドレインおよび該ソースから該ドレインへと延長するチャネルを有するドープされた基板であって、該チャンネルが該基板のドーパント濃度よりも大きく、かつ該ソースおよびドレインのドーパント濃度よりも小さい1×10^(16)/cm^(3 )から1×10^(19)/cm^(3 )の範囲内のドーピング濃度を有しており、該ソースおよびドレインが実質的に均一にドープされており、低濃度でドープされた(LDD)領域を含まない、ドープされた基板と、
該チャンネルの上に形成され、および幅が画成された酸化物であって、該基板と共に、ストレスが存在せず、かつ平坦なインターフェースを形成する酸化物と、
該チャンネルの上に配置され、該酸化物の幅と同じ幅と、1.25μm以下の長さと、
を有するゲート構造体とを備え、
ことを特徴とする半導体デバイス。」

3.当審の拒絶理由
当審において平成21年4月23日付けで通知した拒絶の理由1の要点は、本願は、発明の詳細な説明の記載が以下の点で、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていないというものである。

「(1)「酸化物層16」について
本願明細書の【発明の詳細な説明】には、「酸化物16」の詳細とその特性について、「同一出願人の米国特許出願(発明の名称“High Quality Oxide For Use In Integrated Circuits”に開示されている。」と、また、その製造シーケンスについても、「同出願人による米国特許出願“A Process For Fabricating Oxides”に開示されている。」と記載されているのみであり、「酸化物16」の材料、特性、製造方法などを具体的に特定する記載は何らなされていない。

(2)「インターフェース19」について
本願明細書の【発明の詳細な説明】には、「第2酸化物部分18」と「基板12」との間に形成される「インタフェース19」に関して、「酸化物/基板のインタフェース19は、ストレスがなく平面状態である。」(【0015】)、「ほぼストレスのない平面上のインタフェース19が形成できる。」(【0018】)と記載されているのみであり、どの程度ストレスがなく、どの程度の平面性を有するのかについての具体的根拠となる数値は記載されていない。

(3)「酸化物層16」、「インターフェース19」による効果について
上記(1)、(2)で述べたように、本願明細書の【発明の詳細な説明】には、「酸化物層16」について具体的な材料、特性、製造方法に記載がなく、「インターフェース19」においても、どの程度ストレスがないのか、どの程度の平坦性を有するのかについての具体的数値が示されていない以上、その作用・効果が不明であると言わざるを得ない。図5に示された測定も、具体的にどのような条件下で行われたものか不明である。

4.当審の拒絶理由に対する請求人の主張
請求人は、平成21年12月4日付けで提出した上申書において、当審の拒絶理由における拒絶の理由1に対して、以下のように主張している。

「(3)(a)拒絶理由1-(1)および(2)における『「酸化物16」の材料、特性、製造方法などを具体的に特定する記載は何らなされていない。』および『「第2酸化物部分18」と「基板12」との間に形成される「インタフェース19」に関して、どの程度ストレスがなく、どの程度の平面性を有するのかについての具体的根拠となる数値は記載されていない。』との指摘に対して
本願発明は、「酸化物層16」が、ストレスが存在せず、かつ平坦な特性を有することを要件とするものであります。一般に、ストレスが存在せず平坦な酸化物層なるは、高温の酸化処理を用いて形成され得るものです。したがって、ストレスのない平坦な酸化物を製造するのに必要となる高温の酸化処理は、当業者にはよく知られているものであるといえます。よって、「酸化物16」の材料、特性、製造方法などが、明細書には開示されていないものの、これら情報は、当業者には自明なことであり、よって、このようなデバイスを製造する目的で開示する必要はないと考えます。(当審注:以下「主張a」という。)
(b)拒絶理由1-(3)における『「酸化物層16」について具体的な材料、特性、製造方法に記載がなく、「インターフェース19」においても、どの程度ストレスがないのか、どの程度の平坦性を有するのかについての具体的数値が示されていない以上、その作用・効果が不明であると言わざるを得ない。』との指摘に対して
本願発明の技術的作用効果は、他の要件なしに当業者が、達成の仕方を理解することとなる、本願発明のいくつかの技術的特徴事項の組み合わせの結果そのものであります。具体的にいうと、明細書には、チャンネルドープレベルが、ストレスのない平坦なインターフェースとの組み合わせにおいて、1.25ミクロン以下の長さを有し、かつ低濃度でドープされたソース/ドレイン領域を有さないデバイスのパンチスルー、ひいてはショートチャンネル効果を低減するのに必要となる、ということが示されております。チャンネルドープならびにストレスがなく平坦なインターフェースが存在しないと、1.25ミクロン以下の長さを有し、低濃度でドープされたソース/ドレイン領域を有さないデバイスにはショートチャンネル効果の問題が生じます。よって、ストレスがなく平坦な酸化物を形成する処理のみならず、前述したチャンネルドープレベルを形成する処理は、当業者にはよく知られていることから、技術的作用効果は、それらの組み合わされた使用に源を発するものといえます。(当審注:以下「主張b」という。)」

5.当審の判断
(1)請求項1に記載のとおり、本願発明に係る半導体デバイスは、「該チャンネルの上に形成され、および幅が画成された酸化物であって、該基板と共に、ストレスが存在せず、かつ平坦なインターフェースを形成する酸化物」をその構成としている。
この構成について、本願の明細書には、次の記載がある(下線は当審で付加)。

・「【発明の実施の形態】
図1において本発明の一実施例によるトランジスタ10を示す。同図においてトランジスタ10は、基板12の上に形成されたゲート構造体11を有する。チャネル13がソース14とドレイン15の間に形成されている。ゲート構造体11は酸化物層16を有し、この酸化物層16は第1酸化物部分17と第2酸化物部分18を有する。第2酸化物部分18は、基板12との間でインタフェース19を形成する。材料層20が導電層21と酸化物層16との間に形成されている。」(【0011】)
・「酸化物/基板のインタフェース19は、ストレスがなく平面状態である。さらにまた酸化物層16は、従来の酸化物に比較するとインタフェーストラップ(Nit)の数と欠陥密度(D0 )は減少している。酸化物層16のこれらの特徴は、本発明を達成するのに有益である。酸化物の詳細とその特性は、同一出願人の米国特許出願(発明の名称“High Quality Oxide For Use In Integrated Circuits”に開示されている。」(【0015】)
・「図2-4に本発明製造シーケンスを示す。図2はチャネル13の上に酸化物層16を形成するのに用いられる酸化物成長シーケンスであり、その結果ほぼストレスのない平面上のインタフェース19が形成できる。この製造シーケンスの詳細は同出願人による米国特許出願“A Process For Fabricating Oxides”に開示されている。その後、図3に示すようにゲート構造体11が従来の処理技術を用いて完成される。この従来の処理技術には高k層の堆積ステップとアモルファスシリコンまたは多結晶シリコンの堆積ステップとゲート注入ステップとゲートマスキングステップが含まれる。」(【0018】)
・「酸化物層16は、シリコンボンドをダングリングする回数を減らし、そのためインタフェーストラップの数も減少させる。本出願人は、これはインタフェースにストレスが存在せず平面状態であるためにかつより完全な酸化プロセスの結果であると考えている。さらにまた、本発明の酸化物内にはインタフェーストラップの数が少ないために水素により不動態化処理されるトラップの数も少ない。本発明の酸化物を具備したデバイス内で、水素の放出に起因してデバイスのドリフトが少なくなることが予想される。最後にLDD構造は、ショートチャネルデバイスのホトキャリア効果を低減するのに役立つが、本発明の一実施例ではホットキャリア効果を大幅に減少させることになる。」(【0028】)

以上の記載から、半導体デバイス(トランジスタ)のチャンネル上に形成されてゲート構造体の一部となる酸化層(このようなゲート構造体自体は周知である。)に、特定の性質を有する酸化物を採用し、酸化物と基板との間(インターフェース)をストレスのない平面状態とすることが、本願発明の課題解決に不可欠であることが理解できる。
このことは、審判請求の理由を補充するために審判請求人が提出した平成18年10月20日付けの手続補正書(2頁下から14?同8行)において、上記の構成が、従来技術に対する本願発明の特徴点である旨主張していることとも符合する。

(2)ところで、発明の実施可能要件を定める特許法第36条第4項は、「・・・発明の詳細な説明は、・・・発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載しなけばならない。」と規定する。したがって、明細書及び図面に記載された事項と出願時の技術常識とに基づいて、当業者が発明を実施しようとした場合に、どのように実施するかが理解できないとき(例えば、どのように実施するかを発見するために、当業者に期待しうる程度を超える試行錯誤等を行う必要があるとき)には、実施可能要件は満たされない。ここで、発明の「実施」とは、「物の発明」の場合、その物を製造、使用することであるから、当業者がその物を製造することができる程度に記載しなければならず、そのためには、明細書、図面全体の記載及び技術常識に基づき特許出願時の当業者がその物を製造できるような場合を除き、具体的な製造方法を記載しなければならない。

(3)本件についてみると、上記のとおり、本願発明は、「該チャンネルの上に形成され、および幅が画成された酸化物であって、該基板と共に、ストレスが存在せず、かつ平坦なインターフェースを形成する酸化物」を有することを不可欠の構成としているから、実施可能要件を満たすためには、どのような材質・特性を有する酸化物を採用すれば基板と酸化物の間(インターフェース)をストレスが存在せず平坦に形成できるのかが理解でき、かつ、当該酸化物の製造方法が分かるように、発明の内容を開示しなければならない。さらに、「ストレスが存在せず、かつ平坦なインターフェース」といえるための評価基準や評価方法が特定されていなければ、従来技術との区別がつかず、本願発明の効果を確認できない。

(3)そこで、上記の観点から、本願明細書の記載について検討する。
(3-1)「酸化物」「酸化物層16」について
本願発明の「酸化物」について、本願明細書における実質的な記載箇所を見ると、上記の段落【0011】、【0015】、【0018】、【0028】の記載があるだけである。しかし、これらの記載から分かることは、チャンネル上に形成される酸化物の性質が発明の効果を奏する上で重要な役割を果たしているということにとどまり、どのような材質・特性を有する酸化物を採用すれば基板と酸化物の間(インターフェース)をストレスが存在せず平坦に形成できるのかについて開示するところがなく、また、当該酸化物の製造方法の具体的な開示もない。
明細書の段落【0018】には、「この製造シーケンスの詳細は同出願人による米国特許出願“A Process For Fabricating Oxides”に開示されている。その後、図3に示すようにゲート構造体11が従来の処理技術を用いて完成される。この従来の処理技術には高k層の堆積ステップとアモルファスシリコンまたは多結晶シリコンの堆積ステップとゲート注入ステップとゲートマスキングステップが含まれる。」との記載があるが、この記載から、酸化物の具体的な製造方法、当該製造方法で得られた酸化物の材質・性質、及びこの酸化物を用いた場合の基板と酸化物の間(インターフェース)のストレスと平坦度の程度について理解することはできない。
(なお、特許法施行規則様式29(第24条関係)〔備考〕6は、明細書の記載について、「文章は口語体とし、技術的に正確かつ簡明に発明の全体を出願当初から記載する。この場合において、他の文献を引用して明細書の内容に代えてはならない」と規定している。)

(3-2)「基板と酸化物との間(インターフェース)」について
本願明細書には、「第2酸化物部分18」と「基板12」との間に形成される「インタフェース19」について、「酸化物/基板のインタフェース19は、ストレスがなく平面状態である。」(【0015】)、「ほぼストレスのない平面上のインタフェース19が形成できる。」(【0018】)と記載されているのみであり、どの程度ストレスがなく、どの程度平面性を有するのかについて、評価基準や評価方法が具体的に開示されていない(ストレスがまったくなく、平面性も完ぺきなインターフェースというものは実在しないから、客観的な評価基準、評価方法がなければ、評価のしようがない)。したがって、従来技術との区別もつかない。

(3-3)本願発明の効果について
本願明細書には、「酸化物層16」、「インタフェース19」による効果について、次の記載がある。

・「酸化物層16は、シリコンボンドをダングリングする回数を減らし、そのためインタフェーストラップの数も減少させる。本出願人は、これはインタフェースにストレスが存在せず平面状態であるためにかつより完全な酸化プロセスの結果であると考えている。さらにまた、本発明の酸化物内にはインタフェーストラップの数が少ないために水素により不動態化処理されるトラップの数も少ない。本発明の酸化物を具備したデバイス内で、水素の放出に起因してデバイスのドリフトが少なくなることが予想される。」(【0028】)
・「ホットキャリアエージングのその結果の大幅な改善は、図5のグラフから明らかである。従来ではホットキャリアエージングの限界は、トランスコンダクタンスの15%の変動である。プロット51は、ゲート長さが0.24μmで、酸化物層の厚さが5nm(50A)である本発明のデバイスのものである。プロット50は、ホットキャリアの悪影響を低減するために、LDD構造を組み込んだ同一のゲート長さを有する従来のデバイスに対するのもである。」(【0029】)
・「図5から明らかなように、1μA/μmの基板電流限界は、従来のLDD MOSFETでは100時間で達成したが、本発明の実施例においては、この限界は400時間である。ほぼ同等のゲート長さを有するデバイスにおいては、このホットキャリアエージングは、従来のLDD構造を必要とするデバイスと比較すると、本発明により4倍改善されている。」(【0030】)
・「HCAを減少することにより信頼性を改善することに加えて、本発明のデバイスは、キャリアの移動度が増加しソース-ドレインの抵抗が減少する両方の結果により駆動電流が増加する。移動度が増加することは、散乱センタの減少の結果である。Rsdの減少は、従来のLDD構造で使用される低濃度でドープしたソース領域とドレイン領域を省いたことの直接的な結果である。」(【0031】)
しかし、上に述べたように、「酸化物層16」について具体的な材料・特性、製造方法の記載がなく、「インタフェース19」においても、どの程度ストレスがなく、どの程度平面性を有するのかについて、評価基準や評価方法が具体的に開示されていないから、その作用・効果についても、客観的に評価することができない。図5の測定結果も、具体的にどのような条件下において行われたものなのか不明である。

(4)小括
したがって、本願明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。

6.当審拒絶理由に対する審判請求人の主張について
(1)主張aについて
特許法第36条第4項は、「・・・発明の詳細な説明は、・・・その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に、記載しなければならない。」と規定する。ここで、「実施」とは、「物の発明」の場合、その物を製造、使用することであるから、当業者がその物を製造することができる程度に記載しなければならず、そのためには、明細書、図面全体の記載及び技術常識に基づき特許出願時の当業者がその物を製造できるような場合を除き、具体的な製造方法を記載しなければならないものと認められる。
ここで、請求人の主張aについて検討すると、「ストレスのない平坦な酸化物を製造するのに必要となる高温の酸化処理」が「当業者にはよく知られているものである」という点については、具体的な証拠が提示されていない以上、首肯することができないが、仮に、「当業者によく知られたものである」としても、本願発明の作用・効果との関係において、「どの程度ストレスがなく、どの程度の平面性を有する」「インターフェース」を形成する「高温の酸化物」が必要であり、そのような「高温の酸化物」を得るための具体的な製造条件が記載されていない以上、当業者が発明を実施しようとした場合に、どのように実施するかが理解できないものと認められる。
したがって、請求人の主張aは、採用できない。

(2)主張bについて
本願明細書には、「酸化物層16は、シリコンボンドをダングリングする回数を減らし、そのためインタフェーストラップの数も減少させる。本出願人は、これはインタフェースにストレスが存在せず平面状態であるためにかつより完全な酸化プロセスの結果であると考えている。さらにまた、本発明の酸化物内にはインタフェーストラップの数が少ないために水素により不動態化処理されるトラップの数も少ない。本発明の酸化物を具備したデバイス内で、水素の放出に起因してデバイスのドリフトが少なくなることが予想される。最後にLDD構造は、ショートチャネルデバイスのホトキャリア効果を低減するのに役立つが、本発明の一実施例ではホットキャリア効果を大幅に減少させることになる。」(【0028】)と記載されている。
しかしながら、上記(1)において述べたように、本願発明の作用・効果との関係において、「どの程度ストレスがなく、どの程度の平面性を有する」「インターフェース」を形成する「高温の酸化物」が必要であり、そのような「高温の酸化物」を得るための具体的な製造条件が記載されていない以上、当業者が発明を実施しようとした場合に、どのように実施するかが理解できないものと認められるので、仮に、「ストレスがなく平坦な酸化物を形成する処理のみならず、前述したチャンネルドープレベルを形成する処理」が、「当業者にはよく知られている」としても、請求人が主張するように、「技術的作用効果は、それらの組み合わされた使用に源を発するもの」であるとはいえない。
よって、請求人の主張bは、採用できない。

(3)まとめ
よって、本願明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとは言えない。

7.むすび
以上の次第で、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項の規定を満たさないから、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-01-18 
結審通知日 2010-01-20 
審決日 2010-02-03 
出願番号 特願2000-190016(P2000-190016)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (H01L)
P 1 8・ 113- WZ (H01L)
P 1 8・ 537- WZ (H01L)
P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲辻▼ 弘輔  
特許庁審判長 相田 義明
特許庁審判官 小野田 誠
北島 健次
発明の名称 半導体デバイス  
代理人 岡部 正夫  
代理人 臼井 伸一  
代理人 越智 隆夫  
代理人 本宮 照久  
代理人 加藤 伸晃  
代理人 朝日 伸光  

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