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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1220355
審判番号 不服2008-6399  
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-03-14 
確定日 2010-07-14 
事件の表示 特願2004- 55154「熱放出装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 8月19日出願公開、特開2004-235657〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年1月29日の出願であって、平成19年1月25日付けで拒絶理由通知がなされ、同年5月29日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年7月9日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、同年11月15日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成19年12月7日付けで前記平成19年11月15日付け手続補正についての補正の却下の決定がされるとともに、拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年3月14日に拒絶査定を不服とする審判請求がなされるとともに、同年4月1日に手続補正がなされたものである。

2.平成20年4月1日付け手続補正についての補正却下の決定
<結論>
平成20年4月1日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

<理由>
(2-1)補正の内容
本件補正は、平成19年5月29日付け手続補正書により補正された、特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】一面側に発熱電子部品が接触され他面側に円弧状凹部でなる保持面が形成された一枚の熱伝導プレートと、該熱伝導プレートと略同一幅の直径を有すると共に該熱伝導プレートと略同一長さの円筒状の熱伝導ブロックであって側面が前記保持面に接合される一つの熱伝導ブロックと、前記熱伝導ブロックを通すクリップ穴が各々に設けられた複数の並行に配置されたフィンで構成され各フィンが前記熱伝導ブロックの軸に対して垂直に配列されるヒートシンクとを備え、該ヒートシンクの前記熱伝導ブロックが設けられる側と反対側から冷却風が該ヒートシンク内に流れ込む構成としたことを特徴とする熱放出装置。」を、

「【請求項1】一面側に発熱電子部品が接触され他面側に円弧状凹部でなる保持面が形成された一枚の熱伝導プレートと、
円筒状であって、側面が前記保持面に接合される一つの熱伝導ブロックと、
前記熱伝導ブロックを通すクリップ穴が各々に設けられた複数の並行に配置されたフィンで構成され各フィンが前記熱伝導ブロックの軸に対して垂直に配列されるヒートシンクとを備え、
該ヒートシンクの前記熱伝導ブロックが設けられる側と反対側から冷却風が該ヒートシンク内に流れ込む構成とし、
上記熱伝導ブロックが、上記熱伝導ブロック、ヒートシンク及び熱伝導ブロックを組み合わせて、上記熱伝導プレートの熱が上記熱伝導ブロックを経て上記ヒートシンクのフィンに均一に伝達できるような直径と長さを有することを特徴とする熱放出装置。」とする補正を含むものであり、

その補正箇所は、上記熱伝導ブロックについての「該熱伝導プレートと略同一幅の直径を有すると共に該熱伝導プレートと略同一長さの」という限定を、「上記熱伝導ブロック、ヒートシンク及び熱伝導ブロックを組み合わせて、上記熱伝導プレートの熱が上記熱伝導ブロックを経て上記ヒートシンクのフィンに均一に伝達できるような直径と長さを有する」という記載に補正したことを要点とするものである。

(2-2)補正の適否
上記の点について検討すると、
熱伝導ブロックの寸法に係る、本件補正後の「上記熱伝導プレートの熱が上記熱伝導ブロックを経て上記ヒートシンクのフィンに均一に伝達できるような直径」とは、本願明細書および図面の記載を参酌しても、その直径の範囲が明瞭に特定できず、依然として、その寸法が明確であるとはいえない。
また、本件補正後の「上記熱伝導プレートの熱が上記熱伝導ブロックを経て上記ヒートシンクのフィンに均一に伝達できるような直径」とは、作用効果によりその寸法を特定したものであり、熱伝導ブロックの直径を熱伝導プレートの幅との関係により特定した、本件補正前の「該熱伝導プレートと略同一幅の直径」をさらに限定したものとは認められない。

よって、本件補正は、明瞭でない記載の釈明および特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。また、誤記の訂正および請求項の削除を目的とするものでないことも明らかである。

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.原査定の理由
(1)平成19年5月29日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
(2)この出願は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

理由1)
明細書又は図面についてなされた補正である「該伝熱プレート(「熱伝導プレート」の誤記)と略同一幅の直径を有すると共に該熱伝導プレートと略同一長さの円筒状の熱伝導ブロック」は、出願当初明細書又は図面に記載もなければその示唆すらなく、また仮に「該伝熱プレート(「熱伝導プレート」の誤記)と略同一幅の直径を有すると共に該熱伝導プレートと略同一長さの円筒状の熱伝導ブロック」であるものと仮定すると、本願図面において伝熱ブロック(「熱伝導プレート」の誤記)に形成される円弧状凹部は半円形状となるものと認められるが、当該半円形状は本願図面から読み取ることができず矛盾していること。更には、本願発明が解決しようとする技術課題である「従来の熱放出装置の伝熱ブロック11(「熱伝導ブロック11」の誤記)は、垂直に配置される。ファン13が駆動されると、冷えた空気は、熱伝導ブロック11の後ろ側へは流れず・・・従って、従来の熱放出装置の放熱効率は低いものである」に照らして本願図面を参酌しても、上記補正と当該技術課題は関連がなく、当該図面から上記補正を読み取ることはできないものと認められるので、上記補正は出願当初明細書又は図面(「出願当初の明細書等」)に記載した範囲内においてしたものとは認められない。

理由2)
請求項1乃至4
本請求項に記載の「該伝熱プレート(「熱伝導プレート」の誤記)と略同一幅の直径を有すると共に該熱伝導プレートと略同一長さの円筒状の熱伝導ブロック」における「略」が意味する幅及び長さに対する範囲規定は明確でない。また発明の詳細な説明は、当該「略」について当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているものとは認められない。

4.当審の判断
・理由1)について
請求人は、平成19年5月29日付け意見書((3)補正の根拠.の欄)において、熱伝導ブロックが熱伝導プレートと略同一幅の直径を有することについては、【図2】の記載から明白である旨主張している。
しかしながら、【図2】に熱伝導ブロックが熱伝導プレートと略同一幅の直径を有するとは認められず、かつ、出願当初の明細書等には、熱伝導ブロックの直径に関し、それをどのように設定するかについても含め、何らの記載も示唆もなく、熱伝導ブロックが熱伝導プレートと略同一幅の直径を有することは自明な事項でもない。

よって、熱伝導ブロックが「該熱伝導プレートと略同一幅の直径を有する」ことをさらに発明特定事項とする補正は、願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものとは認められない。

・理由2)について
請求項1乃至4における「略同一幅の直径」、「略同一長さ」とは、その特定される範囲が不明確であり、また、発明の詳細な説明には、直径および長さについて何ら記載されておらず、当業者が請求項1乃至4に係る発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているとは認められない。

5.むすび
したがって、本願は、特許法第17条の2第3項、同法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-02-10 
結審通知日 2010-02-16 
審決日 2010-03-01 
出願番号 特願2004-55154(P2004-55154)
審決分類 P 1 8・ 57- Z (H01L)
P 1 8・ 55- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田代 吉成  
特許庁審判長 徳永 英男
特許庁審判官 川真田 秀男
鈴木 正紀
発明の名称 熱放出装置  
代理人 川合 誠  
代理人 青木 俊明  

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