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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41J
管理番号 1222048
審判番号 不服2007-5695  
総通号数 130 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-22 
確定日 2010-08-19 
事件の表示 平成11年特許願第105101号「印刷装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年10月17日出願公開、特開2000-289301〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成11年4月13日の出願であって、平成16年7月2日及び平成18年6月19日付けで手続補正がなされ、平成19年1月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年2月22日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年3月23日付けで手続補正がなされ、当審において、平成19年3月23日付けの手続補正が平成21年10月14日付けで却下されるとともに、同日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月18日付けで手続補正がなされ、平成22年2月9日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月16日付けで手続補正がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、平成22年4月16日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項によってそれぞれ特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「複数の画像と複数の印刷情報が格納されている着脱自在な記録媒体から、印刷画像を指定する情報と前記印刷画像の印刷部数とが設定されている前記印刷情報を読み出す読み出し手段と、
画像を印刷する印刷手段と、
前記印刷情報に基づいて前記印刷手段により画像を印刷させる印刷制御手段であって、前記印刷情報で指定される印刷画像を、当該印刷画像に対応する印刷部数で印刷させる印刷制御手段と、
印刷回数を、前記印刷情報の一部として、当該印刷情報として設定されている前記印刷部数に対応させて記録する印刷回数記録手段であって、前記印刷情報で指定される印刷画像について、当該印刷画像に対応する印刷部数での印刷が終了したことに応じて、当該印刷部数に対応する印刷回数を1増加された印刷回数に更新する印刷回数記録手段と、を有し、
前記印刷回数記録手段は、前記複数の印刷情報それぞれに印刷回数を記録し、
前記印刷制御手段は、印刷回数が0である印刷画像だけ印刷を実行させることを特徴とする印刷装置。」

第3 引用刊行物及び引用発明
当審において平成21年10月14日付けで通知した拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平8-48061号公報(以下「引用例」という。)には、以下の事項が図とともに記載されている。(下線は審決で付した。以下同じ。)

1 「【0002】
【従来の技術】一般に、プリンタ装置(以下、単にプリンタという)は、パーソナルコンピュータやワークステーションといった上位装置(以下、ホストコンピュータという)に接続され、その上位装置から送られてきた印刷データ(各種制御コマンドが含まれる)を解釈し、実行することで印刷出力するためのビットマップイメージを生成し、それに基づいて記録紙上に可視画像を形成出力している。図6はこの様子を示している。」

2 「【0012】
【実施例】以下、添付図面に従って本発明に係る実施例を詳細に説明する。
【0013】本発明の概要を説明すると、図5の如く、ホストコンピュータとメモリ装置とを接続し、そのメモリ装置に印刷データを格納する。メモリ装置には、着脱自在の記憶メディア(例えば光磁気ディスク、フロッピーディスク、或はリムーバブルなハードディスク等)を装着し、それに記憶させる。
【0014】一方、プリンタには、図9に示すように1つ乃至複数のメモリ装置が接続されていて、このメモリ装置に記憶メディアを装着する。そして、メモリ装置を介して印刷データをプリンタに転送することで、印刷を行おうとするものである。
【0015】1つの印刷データの形式は、図1(a),(b)に示すように、一対のリクエストファイルと印刷データ部分であるデータファイルで構成されている。リクエストファイルは、そのデータファイルを特定するためのデータ名、その格納先アドレスを記憶しているアドレス部、更にはそのデータ形式を記憶している部分で構成されている。データ形式とは、そのデータがビットマップデータであるか、文字コード等のコードデータか、或はそれらの混在データであるかを示す情報を意味する。
【0016】図2は、実施例におけるプリンタの構成を示している。図示において、1000が実施例におけるプリンタであり、2000が通常の印刷データの発生源であるホストコンピュータ、3000が先に説明したメモリ装置である。プリンタ1000は以下の構成を有する。
【0017】1は装置全体の制御を司るCPU、2はCPUの動作処理手順であるプログラム(詳細は後述する)、フォントデータ、各種データを記憶しているROMである。3はCPU1のワークエリア、受信バッファとして使用するRAMである。4はメモリコントローラであって、フォントデータを記憶しているフォントカートリッジや機能拡張を行なわせるプログラムを記憶したプログラムROMカートリッジ等の外部メモリ5を接続し、そのデータ授受を司る。6はホストコンピュータからの印刷データを受信するためのインターフェース、7はメモリ装置3000とのデータ授受を行うためのインターフェースである。尚、少なくともインターフェース7は双方向データ通信が行えるようになっている。
【0018】8は通常の印刷装置に備えれているそれと同様の操作パネルであり、ホストコンピュータコンピュータとのオンライン/オフライン等の設定スイッチ等が配設されている。9は実施例に特有の操作パネルであり、メモリ装置3000とオンライン/オフラインの設定スイッチが設けられているが、詳細は後述する。但し、ホストコンピュータ2000とメモリ装置3000の両方が同時にオンラインになることはない。すなわち、少なくとも、一方の操作パネルでオンライン状態にすると、もう一方ではオフラインになる。10は実際に印刷するイメージデータを展開する画像バッファメモリであり、11は画像バッファメモリの内容に従って印刷処理を行うプリンタエンジン部である。
【0019】上記構成における実施例の印刷装置の動作を図3に従って説明する。尚、以下では、ホストコンピュータ2000からの印刷データを印刷するモードをホストアクセスモードと言い、メモリ装置からの印刷データに基づいて印刷するモードをメモリダイレクトモードという。
【0020】さて、操作パネルでいずれか一方のインターフェースがオンラインになると(電源投入時にはホストアクセスモードがデフォルトで選択される)、それをステップS1で判断する。
【0021】ホストコンピュータとオンライン状態になっている場合には、ステップS2に進んで、ホストアクセスモードとして処理を行なう。また、メモリ装置とオンライン状態の場合には、ステップS3に進んで、メモリダイレクトモードとしての処理を行う。
【0022】ホストアクセスモード自身は、通常の印刷処理と同様なのでここでの説明は省略し、メモリダイレクトモードの処理内容を図4のフローチャートに従って説明する。
【0023】先ず、ステップS11でインターフェース7を介し、接続されているメモリ装置を順次アクセスし、記憶メディアが装着され、尚且つ、その中にリクエストファイルが存在するかどうかをチェックする。このため、インターフェース7は双方データ通信が要求されるのである。
【0024】メモリ装置3000は、この要求を受けると、その内部に設けられたメモリコントローラ(図示のMC)が、自身に記憶メディアが装着されているかどうか、装着されていればその中にリクエストファイルが存在するかどうかをチェックし、その結果(もしあればリクエストファイル名一覧)を実施例のプリンタ1000に返送する。この処理は、接続されている個々のメモリ装置に対して行う。
【0025】上記処理の結果、いずれのメモリ装置にもリクエストファイルが存在しないことが判明したら本処理を終了する。尚、このときその旨を報知し、ホストアクセスモードに自動的に移行させるようにしても良い。
【0026】さて、リクエストファイルが存在すると判断した場合、処理はステップS12に進んで、リクエストファイル名一覧を表示する。ユーザは、この結果を見てその中の1つを選択し、それに基づくデータ部分の転送を開始させる(ステップS13)。そして、ステップS14に進んで、転送されてきたデータに従って印刷処理を行う。尚、メモリ装置3000からのデータ転送のプロトコルは、ホストコンピュータからのデータ転送プロトコルと同じであるものとする。つまり、メモリ装置内のMCがあたかもホストコンピュータと同様のタイミングで印刷データの転送を行う。但し、実施例におけるプリンタ1000に、大容量の記録装置がある場合には、一気に高速転送させるようにさせても良い。
【0027】こうして、メモリダイレクトモードによる一連の印刷処理が終了すると本ルーチンから上位ルーチンに復帰する。」

3 「【0042】また、インターフェース7を介してメモリ装置とオンラインになってからメモリダイレクトモード処理を行うのではなく、CPU1に定期的に割り込み信号を与え、その割り込み処理で各メモリ装置にリクエストファイルが存在するかを監視し、それがある場合には自動的にメモリダイレクトモードで処理を行うようにしても良い。このようにすると、例えばリクエストファイル及びそのデータ部分を記憶した記憶媒体をメモリ装置に装着するという作業だけで印刷が行われることになる。但し、この場合、一旦、印刷したものに対して連続して印刷は行われないようにすべきである。なぜなら、その記憶装置を装着したままでいると、連続して印刷されてしまうからである。そこで、リクエストファイルには、印刷済みであるのか、或は未だ一度も印刷されていないのかを示すフラグを設け、印刷した場合には、そのフラグをCPU1がインターフェース7を介してメモリ装置にセットするよう指示を与えればよい。また、印刷済みフラグがセットされいるリクエストに答えるには、操作パネルからその指示を与えた場合に実行されるようにする。
【0043】このようにすると、少なくとも印刷フラグがオフのリクエストに対しては、自動的に印刷処理を行なうことが可能になる。」

4 上記1ないし3から、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「装置全体の制御を司るCPUと、メモリ装置とのデータ授受を行うためのインターフェースと、印刷処理を行うプリンタエンジン部とを有し、印刷データが格納された着脱自在の記憶メディアが装着されるメモリ装置が接続され、前記メモリ装置を介して転送された印刷データに基づいて記録紙上に可視画像を形成出力するプリンタであって、
ホストコンピュータからの印刷データを印刷するモードであるホストアクセスモードと、メモリ装置からの印刷データに基づいて印刷するモードであるメモリダイレクトモードとを備え、
1つの印刷データは、リクエストファイルと印刷データ部分であるデータファイルとで構成され、
前記リクエストファイルは、そのデータファイルを特定するためのデータ名と、そのデータファイルの格納先アドレスを記憶しているアドレス部と、そのデータファイルのデータ形式を記憶している部分とで構成されているプリンタにおいて、
リクエストファイル及びその印刷データ部分であるデータファイルを格納した記憶メディアをメモリ装置に装着するという作業だけで印刷が行われるようになし、かつ、その記憶メディアをメモリ装置に装着したままでいても一旦印刷したものに対しては連続して印刷が行われないようにするために、
前記リクエストファイルに、印刷済みであるのか、或は未だ一度も印刷されていないのかを示す印刷フラグを設けるとともに、前記CPUに定期的に割り込み信号を与え、その割り込み処理で、前記メモリ装置(に装着された記憶メディア)に存在する前記印刷フラグがオフの印刷データについて、自動的に前記メモリダイレクトモードで印刷処理を行い、印刷した印刷データの印刷フラグはセットされるようにしたプリンタ。」

第4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 引用発明の「着脱自在の記憶メディア」、「プリンタ」、「『可視画像を形成出力するプリンタ』の『印刷処理を行うプリンタエンジン部』」、「特定」、「データ名」及び「『プリンタ』の『CPU』」は、それぞれ、本願発明の「着脱自在な記録媒体」、「印刷装置」、「画像を印刷する印刷手段」、「指定」、「情報」及び「印刷制御手段」に相当する。

2 引用発明のプリンタは、リクエストファイルと印刷データ部分であるデータファイルとで構成される印刷データが格納された着脱自在の記憶メディアが装着されるメモリ装置が接続され、該メモリ装置を介して転送された前記印刷データに基づいて記録紙上に可視画像を形成出力することから、引用発明の「『記憶メディア』に『格納』されている『印刷データ部分であるデータファイル』」は、本願発明の「『記録媒体』に『格納』されている『画像』」に相当する。

3 引用発明のリクエストファイルが、その印刷データ部分であるデータファイル(画像)を特定(指定)するためのデータ名(情報)で構成されることから、引用発明の「リクエストファイル」は、本願発明の「印刷情報」に相当し、引用発明の「印刷情報(リクエストファイル)」と本願発明の「印刷画像を指定する情報と印刷画像の印刷部数とが設定されている印刷情報」とは、「印刷画像を指定する情報が設定されている」点で一致する。

4 上記1ないし3に照らせば、引用発明の「リクエストファイルと印刷データ部分であるデータファイルとで構成されている印刷データが格納された着脱自在な記録媒体(記憶メディア)」と本願発明の「複数の画像と複数の印刷情報が格納されている着脱自在な記録媒体」とは、「画像と印刷情報が格納されている」点で一致する。

5 引用発明において、メモリ装置は、印刷データが格納された着脱自在の記憶メディアが装着されるものであり、その印刷データは、リクエストファイルと印刷データ部分であるデータファイルとで構成されるものであるから、上記1ないし4に照らせば、引用発明の「メモリ装置とのデータ授受を行うためのインターフェース」と本願発明の「着脱自在な記録媒体から、印刷画像を指定する情報と前記印刷画像の印刷部数とが設定されている前記印刷情報を読み出す読み出し手段」とは、「着脱自在な記録媒体から、印刷画像を指定する情報が設定されている前記印刷情報を読み出す読み出し手段」の点で一致する。

6 引用発明において、「印刷装置(プリンタ)」は、装置全体の制御をCPUに司られており、印刷処理を行うプリンタエンジン部を有し、メモリ装置を介して転送された印刷データに基づいて記録紙上に可視画像を形成出力するものであり、上記印刷データはリクエストファイルと印刷データ部分であるデータファイルとで構成されているから、引用発明の「印刷制御手段(CPU)」と本願発明の「印刷制御手段」とは「前記印刷情報に基づいて前記印刷手段により画像を印刷させる」点で一致するとともに、本願発明の「前記印刷情報で指定される印刷画像を、当該印刷画像に対応する印刷部数で印刷させる」事項のうち「前記印刷情報で指定される印刷画像を印刷させる」事項を有する点で一致する。
また、引用発明の「前記メモリ装置(に装着された記憶メディア)に存在する前記印刷フラグがオフの印刷データについて、自動的に前記メモリダイレクトモードで印刷処理を行」う点は、本願発明の「印刷回数が0である印刷画像だけ印刷を実行」する事項に相当し、引用発明においても、「印刷制御手段(CPU)」が、この「印刷回数が0である印刷画像だけの印刷」を実行させていることは明らかである。

7 上記1ないし6から、本願発明と引用発明とは、
「画像と印刷情報が格納されている着脱自在な記録媒体から、印刷画像を指定する情報が設定されている前記印刷情報を読み出す読み出し手段と、
画像を印刷する印刷手段と、
前記印刷情報に基づいて前記印刷手段により画像を印刷させる印刷制御手段であって、前記印刷情報で指定される印刷画像を印刷させる印刷制御手段と、を有し、
前記印刷制御手段は、印刷回数が0である印刷画像だけ印刷を実行させる印刷装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。

相違点:
本願発明では、前記印刷装置が「印刷回数記録手段」を有し、記録媒体に格納されている前記画像及び印刷情報がいずれも「複数の」ものであり、前記印刷情報に、印刷画像を指定する情報とともに「前記印刷画像の印刷部数」も設定し、前記印刷制御手段が印刷画像を印刷させる部数は当該印刷画像に対応する前記「印刷部数」であり、前記「印刷回数記録手段」が、前記印刷情報の一部として、当該印刷情報として設定されている前記印刷部数に対応させて前記印刷回数を記録し、前記印刷情報で指定される印刷画像について、当該印刷画像に対応する印刷部数での印刷が終了したことに応じて、当該印刷部数に対応する印刷回数を1増加された印刷回数に更新し、前記複数の印刷情報それぞれに印刷回数を記録するのに対して、
引用発明では、印刷した印刷データの印刷フラグはセットされるようになっているが、「印刷回数記録手段」を有しているかどうか不明であり、記録媒体に前記画像及び印刷情報をいずれも複数格納し得ることが当業者に自明であるが、複数格納しているかどうかは不明であり、前記印刷情報に「印刷部数」は設定されておらず、前記印刷制御手段が印刷画像を印刷させる部数は不明である点。

第5 判断
上記相違点について検討する。
1 どの画像をそれぞれ何枚ずつプリントするかというプリントジョブ及び画像情報が書き込まれたメモリカードから、前記画像情報及びプリントジョブの内容を読み取って、読み取ったプリントジョブで指定された画像を指定された枚数ずつプリントするプリンタは、本願の出願前に周知である(以下「周知技術1」という。例.特開平6-8537号公報(【請求項1】、【0027】、【0031】、図1及び図5参照。)、特開平11-78131号公報(【請求項1】、【請求項2】、【0027】、【0028】、【0057】?【0059】、【0076】、図1及び図6参照。「印刷管理ファイル」が「プリントジョブ」に相当する。))。

2 読み出し回数、検索された回数、あるいは、検索されて表示や印刷がされた回数等の回数を示す値を、それらに関する履歴情報として記憶することは、本願の出願前に周知である(以下「周知技術2」という。例.特開平9-128276号公報(【0085】?【0093】参照。)、特開平3-67343号公報(第2ページ右上欄第12行?右下欄第14行及び第3ページ左下欄第3行?第12行参照。)、特開平10-143519号公報(【0011】、【0016】及び【0017】参照。)、特開平10-11457号公報(【0031】?【0034】、【0076】参照。))。

3 引用発明の記録媒体に画像及び印刷情報をいずれも複数格納し得ることが当業者に自明であるから、上記1及び2からして、引用発明において、前記記録媒体に画像及び印刷情報をいずれも複数格納するとともに、どの画像をそれぞれ何枚ずつプリントするかという情報(本願発明の「前記印刷画像の印刷部数」に相当する。)も前記印刷情報に設定し、前記記録媒体を装着するという作業だけで前記読み出し手段で前記印刷情報を読み出して、前記印刷情報で指定された画像を指定された枚数ずつ印刷が行われるようになし、かつ、前記記録媒体を装着したままでいても一旦印刷したものに対しては連続して印刷が行われないようにするために、印刷フラグに代えて、或いは印刷フラグに加えて、印刷がされた回数を示す値を履歴情報として記憶するようになすことは、当業者が、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易になし得た程度のことである。そして、その際に、上記印刷がされた回数をどういう単位で計数するかは、当業者が適宜決定すべき設計上の事項(特開平8-305516号公報の「また、複写動作および印刷動作の実行回数のカウント方法については、上記のようにジョブ単位の集計に限らずに、例えば一回の複写あるいは印刷動作において10枚分の複写あるいは印刷を行った場合には10回とカウントするというように、枚数単位で累計を行うようにしても良い。」(【0090】)の記載参照。)であるから、ジョブ単位で集計すること、すなわち本願発明の「印刷回数を、前記印刷情報の一部として、当該印刷情報として設定されている前記印刷部数に対応させて記録する印刷回数記録手段であって、前記印刷情報で指定される印刷画像について、当該印刷画像に対応する印刷部数での印刷が終了したことに応じて、当該印刷部数に対応する印刷回数を1増加された印刷回数に更新する印刷回数記録手段」を設けることは、当業者が適宜なし得た程度のことである。
したがって、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の構成となすことは、当業者が、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易になし得たことである。

4 本願発明が奏する効果は、引用発明、周知技術1及び周知技術2がそれぞれ奏する効果から当業者が予測し得たものである。

5 まとめ
したがって、本願発明は、当業者が、引用例に記載された発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が、引用例に記載された発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-06-11 
結審通知日 2010-06-21 
審決日 2010-07-07 
出願番号 特願平11-105101
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 畑井 順一  
特許庁審判長 小牧 修
特許庁審判官 星野 浩一
桐畑 幸▲廣▼
発明の名称 印刷装置  
代理人 別役 重尚  

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