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審決分類 審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23C
審判 全部無効 2項進歩性  A23C
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  A23C
管理番号 1223758
審判番号 無効2009-800254  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-12-24 
確定日 2010-09-13 
事件の表示 上記当事者間の特許第3744776号発明「カラメル風味を呈する食品素材粉末の製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯・本件特許発明
本件特許第3744776号に係る発明についての出願は,平成12年7月28日に特許出願され,平成17年12月2日にその発明について特許の設定登録がなされた。そして,その請求項1ないし4の記載は以下のとおりであり,特許明細書の記載からみて,同請求項に係る発明は,その記載のとおりのものであると認められる(以下,各発明を「本件特許発明1」ないし「本件特許発明4」ともいう。)。

「【請求項1】
糖類を加熱してカラメル化し,得られたカラメルに一次乳製品を混合して調乳液を調製し,調製した調乳液を加熱して褐変させ,冷却し,噴霧乾燥し,噴霧乾燥粉末を取得することを特徴とするカラメル風味を呈する食品素材粉末の製造方法。
【請求項2】
糖類を固形分比率で20%(重量)以上含有する調乳液を調製する請求項1に記載の食品素材粉末の製造方法。
【請求項3】
固形分の濃度が30%(重量)以上の調乳液を調製して,調乳液を実質的に濃縮せずに噴霧乾燥する請求項1又は請求項2に記載の食品素材粉末の製造方法。
【請求項4】
練乳を固形分比率で30%(重量)以上含有する調乳液を調製する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の食品素材粉末の製造方法。」

第2 請求人の主張

これに対して,請求人は,証拠方法として以下の甲第1?11号証を提出し,本件特許発明1ないし4について,以下の理由により無効にすべきであると主張している。なお,平成22年7月22日の口頭審理において,請求人は,審判請求書における,本件特許の請求項2?4に対する特許法第36条第4項および同条第6項第2号に基づく主張を撤回した(第1回口頭審理調書)。

1.本件特許発明1?3は,甲第1号証に記載された発明と同一であるか,甲第1号証に記載された発明に基づいて,出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第1項第3号又は同条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,その特許は同法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきである。(以下,「無効理由1」という。)
2.本件特許発明4は,甲第1号証および甲第3号証に記載された発明に基づいて,出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,その特許は同法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきである。(以下,「無効理由2」という。)
3.本件特許発明1は,甲第2号証および甲第1号証に記載された発明に基づいて,出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,その特許は同法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきである。(以下,「無効理由3」という。)
4.本件特許の請求項1は,その記載によって特定される内容が不明確であるため,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず,同法123条第1項第4号の規定に該当し,無効とすべきである。(以下,「無効理由4」という。)

甲第1号証:特公昭54-27423号公報
甲第2号証:「世界の料理」昭和40年6月9日発行
甲第3号証:「菓子・飴・砂糖 理論と実際」昭和29年4月15日発行
甲第4号証:「日本乳業年鑑」第206?209頁
日本乳業協会編集兼発行 平成22年3月15日発行
甲第5号証:「五訂食品成分表2001」第6?9,206?211頁
女子栄養大学出版部発行 平成13年4月発行
甲第6号証:「ミルク総合事典」第2?5,358?363頁
株式会社朝倉書店発行 1998年5月1日第3刷
甲第7号証:「MILK PROTEIN 乳タンパク質」第252?253頁
酪農技術普及学会発行 昭和48年8月5日再版
甲第8号証:「乳とその加工」第12?13頁
株式会社建帛社 平成9年7月1日第3刷発行
甲第9号証:「食品成分の機能と化学」第50?53頁
株式会社アイピーシー 2001年2月28日発行
甲第10号証:「乳業事典」第34?35,188?189頁
株式会社朝倉書店発行 昭和46年11月10日再版発行
甲第11号証:「ミルク化学要説」第252?255頁
株式会社技報堂 昭和36年9月20日発行

第3 被請求人の主張
これに対して,被請求人は,証拠方法として以下の乙第1?10号証を提出し,本件審判の請求は成り立たないと主張している。

乙第1号証:厚生省 食品衛生課 乳肉衛生課 食品化学課 共編「食品法規必携」,第56?57頁,奥付,中央法規出版株式会社,昭和51年1月10日発行
乙第2号証:乳業技術講座編集委員会編,「乳製品製造II 乳業技術講座第3巻」,第99?100頁,第326?333頁,奥付,株式会社朝倉書店,昭和39年11月20日発行
乙第3号証:染野義信ら編,「判例工業所有権法(第二期版)」,一三一七の八四?九五,第一法規出版株式会社,平成3年10月31日発行
乙第4号証:染野義信ら編,「判例工業所有権法(第二期版)」,一三一七の二三,第一法規出版株式会社,平成3年10月31日発行
乙第5号証:染野義信ら編,「判例工業所有権法(第二期版)」,一三一七の一六?二二,第一法規出版株式会社,平成3年10月31日発行
乙第6号証:平成21年(行ケ)第10281号審決取消請求事件判決文
乙第7号証:染野義信ら編,「判例工業所有権法(第二期版)」,一三一七の七一?七四,第一法規出版株式会社,平成3年10月31日発行
乙第8号証:染野義信ら編,「判例工業所有権法(第二期版)」,一三一一の九三,第一法規出版株式会社,平成3年10月31日発行
乙第9号証:染野義信ら編,「判例工業所有権法(第二期版)」,一三一一の一三三?一四四,第一法規出版株式会社,平成3年10月31日発行
乙第10号証:染野義信ら編,「判例工業所有権法(第二期版)」,七七一の三七一?三八二,第一法規出版株式会社,平成3年10月31日発行

第4 無効理由1について

1.本件特許発明1の「一次乳製品」の解釈
本件特許発明1が甲第1号証に記載された発明であるか否かを判断する上で,本件特許発明1の「一次乳製品」の解釈,具体的には,それに「カゼイン」又は「カゼインのアルカリ塩」が含まれるか否かについて,両当事者間で争いがあるので,まずその点について検討する。

(1)請求人の主張
この点に関し,請求人は,概略以下のように主張している。

ア 「乳製品」について
(ア)被請求人が乙第1号証として提出した「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令:昭和26年12月27日厚生省令第52号」(以下,乳等省令)の定義によれば,牛乳や脱脂乳は,「乳」に含まれ,「乳製品」に含まれない。それに対して,本件特許明細書では,「一次乳製品」には,牛乳,脱脂乳が含まれるものとして説明されている。このように,本件特許発明の一次乳製品は,乳等省令の定義に厳格に従うものではなく,乳等省令の定義を本件特許発明における一次乳製品の解釈に用いることはできない。
(イ)乳等省令による乳製品の厳格な定義に従わない以上,本件特許発明における乳製品は,広義に解釈すべきものである。
(ウ)甲第4?6号証には,乳製品としてカゼインが挙げられており,一般的に,カゼインは,乳製品として取り扱われている。このため,カゼイン又はカゼインのアルカリ塩は,本件特許発明の乳製品に該当する。

イ 「一次乳製品」について
(ア)本件特許明細書では,理化学的操作によって得られる乳製品を「一次乳製品」と定義し,微生物,発酵によって得られる乳製品を「二次乳製品」と定義している。「理化学的操作」の「理化学」とは,物理学および化学を意味するから,本件特許発明における「一次乳製品」とは,物理学的操作や化学的操作によって得られる乳製品である。
(イ)カゼインは,製造の過程で凝固させる方法によって,「酸カゼイン」と「レンネットカゼイン」の2つのタイプに分けられる。酸カゼインは,等電点沈殿で得られることが知られており,等電点沈殿は,理化学的操作であるため,理化学的操作によって得られるカゼインは,本件特許発明における「一次乳製品」に属する。
(ウ)本件特許明細書の段落【0008】では,「二次乳製品は,…乳蛋白質が分解された状態となっており,前記従来技術(I)のように調乳液が増粘したり,乳糖が析出したりすることは抑制される。」と記載されている。レンネットカゼインと区別される酸カゼインは,「乳蛋白質が分解された状態」ではなく,「調乳液が増粘させたり,乳糖を析出したりすることは抑制される」といった機能も有していない。このように,酸カゼインは,本件特許発明の「一次乳製品」に属する
(エ)本件特許明細書の段落【0013】には,「…一次乳製品を採用した場合には,調乳液が増粘しやすくなるため,」と記載されている。ここで,カゼインは,増粘に与える影響が大きい因子であることが知られている。この点を考慮しても,カゼインは,本件特許発明1の一次乳製品であるといえる。

(2)判断
ア 「一次乳製品」という用語の意義
本件特許発明1を特定する事項である「乳製品」の意義については,甲第4?6号証には,「カゼイン」もそれに含まれると解される記載がある(ただし,「カゼインのアルカリ塩」が含まれるとの明確な記載はない。)。反面,乙第1号証の記載からは,我が国の省令上は,「カゼイン」または「カゼインのアルカリ塩」は「乳製品」の定義には含まれていない。すなわち,「一次乳製品」及び「乳製品」については,両当事者の提出した証拠をみても,本件特許の出願時に本件発明の技術分野において明確かつ一義的な定義が存在するものとはいえない。
また,そもそも乳を加工した製品である「乳製品」に,乳をどの程度まで加工した製品が含まれるかについては,その解釈について広狭があり得ると解するのが自然である。
すなわち,本件特許発明1の「一次乳製品」について,特許請求の範囲の記載からは,その意義を一義的に明確に理解することができない。そこで,その解釈において本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌する。

イ 本件特許明細書の記載
本件特許明細書には,「一次乳製品」に関して以下(ア)?(オ)の記載が存在するが,「カゼイン」または「カゼインのアルカリ塩」に関する記載はない。
(ア)「本発明において,『一次乳製品』及び『二次乳製品』とは,次のように定義されるものである。即ち,一般に,乳又は乳製品は,乳を直接利用するものと,微生物や酵素を利用して得るものとに分類される。前者としては,牛乳,濃縮乳,全粉乳類,クリーム,バター,脱脂乳,脱脂粉乳類等の,主として理化学的操作(乳化,殺菌,濃縮,乾燥,凍結など)によって得られる乳製品が例示され,後者としては,発酵乳,チーズ,発酵バター,発酵クリーム,乳酸菌飲料等の,主として微生物,発酵によって得られる乳製品が例示される(山内邦男等編,『ミルク総合事典』,第3?4ページ,株式会社朝倉書店,1998年5月1日)。本発明においては,『一次乳製品』とは前者を意味するもの,即ち微生物や酵素を利用せず,乳を直接利用するものとして,また,『二次乳製品』とは後者を意味するものとして定義する。」(【0001】)
(イ)「このようなメイラード反応は,蔗糖,ブドウ糖等の糖類と,アミノ酸とを反応させるものであるが,後者のアミノ酸としては,乳又は乳製品が使用されることが多く,特に,乳又は乳製品であれば,香りが高く,風味の点で優れた食品素材が得られる利点がある。従来,このように糖類と乳製品とをメイラード反応させて食品素材を得る技術としては,糖類や,乳又は乳製品を配合して調乳液を調製し,このように調製した調乳液を加熱してメイラード反応を起させる,という手順が一般的であった。」(【0003】)
(ウ)「以上の従来技術において,従来技術(I)は,乳製品として一次乳製品を使用するものであり,従来技術(II)は,乳製品として二次乳製品を使用するものである。」(【0005】)
(エ)「また,前記(I)の技術では,調乳液を加熱してメイラード反応により褐変させる際に,乳製品中の乳糖と乳蛋白質とが強く反応し,調乳液が増粘しやすくなるという問題があった。」(【0006】)
(オ)「…従来技術(I)のように乳製品として二次乳製品ではなく一次乳製品を採用した場合であっても,前記従来技術(II)のように糖類を一旦カラメル化した上で調乳液に配合する方法を採用すれば,調乳液の増粘や乳糖の析出が緩和され,工業的に充分な安定度をもって調乳液の噴霧乾燥が可能であり,しかも糖類の含有量を20%以上にすることも可能であるという事実を発見し,更に研究を重ねて,本発明を完成させた。」(【0009】)

ウ 「一次乳製品」の解釈
(ア)「乳製品」の解釈について
「乳製品」について,本件特許明細書には,メイラード反応におけるアミノ酸源について,「特に,乳又は乳製品であれば,香りが高く,風味の点で優れた食品素材が得られる利点がある。」との記載がある(上記記載事項イ(イ))。すなわち,本件特許明細書においては,「乳製品」とは,それを用いることにより「香りが高く,風味の点で優れた食品素材が得られる」ものとして記載されている。しかしながら,「カゼイン」または「カゼインのアルカリ塩」については,甲第1号証の第3欄の第2表に「カルメルと各種アミノ化合物との反応」という表題で,原料にカゼインを用いた場合には風味の形成がないことが記載されている。また,「カゼイン」または「カゼインのアルカリ塩」は,しばしばglueyフレーバー(膠臭)がし,風味上問題となることがよく知られている(五十嵐脩他2名編「丸善食品総合辞典」,平10年3月25日,丸善株式会社の「カゼイン」及び「カゼインナトリウム」の項,及び,特開平9-172965号公報の【0002】及び【0003】の記載を参照。)。これらのことから,「カゼイン」または「カゼインのアルカリ塩」は,本件特許明細書に記載された,「香りが高く,風味の点で優れた食品素材が得られる」原料には該当しない。
また,本件特許明細書の上記記載事項イ(ウ)?(オ)からみて,本件特許発明1は,乳製品として一次乳製品を使用する従来技術(I)の,乳製品中の乳糖と乳蛋白質とが強く反応し,調乳液が増粘しやすくなるという問題を,糖類を一旦カラメル化した上で調乳液に配合することにより解決したものであると認められる。したがって,「乳製品」には乳糖が含まれることが本件特許発明1の前提となっているものと認められる。しかし,「カゼイン」または「カゼインのアルカリ塩」は,そもそも乳糖を含まないものであり,本件特許明細書の記載によれば調乳液の増粘という問題が生じないものである。
上記のことから,「カゼイン」または「カゼインのアルカリ塩」は,本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌すると,本件特許発明1の「乳製品」には該当しないものと解される。

(イ)「一次」乳製品の解釈について
以上のとおり,本件特許明細書の記載によれば,「カゼイン」または「カゼインのアルカリ塩」は,本件特許発明1の「乳製品」には該当しないと解されるところ,当然,それらは,本件特許発明1の「一次乳製品」にも該当しないこととなる。しかし,以下,念のため,仮に「カゼイン」または「カゼインのアルカリ塩」が,本件特許発明1の「乳製品」に該当するとした場合に,それが,本件特許発明1の「一次乳製品」に該当するか否かについても検討する。

本件特許明細書の記載(上記記載事項イ(ア))によれば,「一次乳製品」とは,以下のようなものであると定義されている。
(i) 微生物や酵素を利用せず,乳を直接利用するものであること
(ii)乳又は乳製品であって乳を直接利用するものとしては,牛乳,濃縮乳,全粉乳類,クリーム,バター,脱脂乳,脱脂粉乳類等の,主として理化学的操作(乳化,殺菌,濃縮,乾燥,凍結など)によって得られる乳製品が例示されること

ここで,「直接利用するものである」か否かについては,様々な解釈が可能であるところ,例示されている一次乳製品は,すべて乳の風味を維持するものであり,その風味を有さない製品は含まれていない。また,「理化学的操作」の例示をみても,乳の風味に基本的に影響しない操作のみが例示され,酸カゼインを生産する操作である,酸の添加と等電点沈殿についての記載はない。
そして,「カゼイン」又は「カゼインのアルカリ塩」は,上記(ア)で述べたように,風味上の問題を有し,乳の風味を維持しているものということはできないから,特許明細書に記載された「一次乳製品」に相当するものとはいえない。「カゼインのアルカリ塩」については,カゼインを化学処理して得られるものであり,乳を直接利用するものとはさらにいい難い。
したがって,本件特許明細書に記載された「一次乳製品」の定義によっても,「カゼイン」または「カゼインのアルカリ塩」が「一次乳製品」であるとはいえない。

エ 小活
上記のとおりであるから,本件特許発明1の「一次乳製品」に「カゼイン」または「カゼインのアルカリ塩」が含まれるとはいえない。
なお,請求人は,本件特許発明1における「乳製品」は,広義に解釈すべきものであると主張するが,特許請求の範囲の記載の意義が一義的に明確に理解することができない場合は,その解釈は明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌してなされるべきであり,必ず広義に解すべきものとはいえないから,請求人の主張は採用できない。

2.甲第1号証の記載
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証には,以下の事項が記載されている。
(1)「溶液状としたチーズにカラメル又はカラメル及糖類を加えて100℃?130℃に加熱処理してなるものを主原料とする食品調味料の製造法。」(特許請求の範囲)
(2)「本発明は糖の非アミノ性褐色化(いわゆるカラメル化)での熱分解生成物を利用すればアミノ糖による褐色化反応(メイラード反応性褐色化)が進行され好ましい風味が形成される事実を発見したことにもとずきなされたものである。即ち第1表のごとくカラメルの存在下に反応させれば,加熱中に形成される風味がすぐれていることを知った。検討を加えたところ,第2表に示すように,チーズ類を用いる場合が最も好ましい,新しい風味が発現することを知った。
第2表
カルメルと各種アミノ化合物との反応
(115℃,30分加熱)
形成された風味
カゼイン 風味の形成なし

ブルーチーズ 独特の好ましい風味
チェダーチーズ 独特の好ましい風味
ゴーダチーズ 独特の好ましい風味」(第2欄20行?第3欄18行)
(3)「上記事実に基づいて液状化したチーズを加えた系にカラメルを添加し加熱処理するとチーズに含有される蛋白質分解物,脂肪分解物,糖分解物がカラメル成分と反応して特異的な好ましい風味を形成し,これが食品の調味に有効であることを発見した。」(第3欄35?40行)
(4)「これにカゼイン又はそのアルカリ塩とカラギーニンを加えて分散溶解させたのちホモジナイザーで乳化して溶液化する。」(第4欄3?5行)
(5)「次にチーズ溶液に糖を加えた系にカラメルを加えこれを加熱(115℃30分)すると良好な特異的な風味を形成し,全く新しいタイプの調味料となることがわかった。」(第4欄第17?18行)
(6)「本発明について述べるに,材料の配合を固形物で示すと下記のようになる。
チーズ 0?60%
リン酸塩 1?4%
カラメル 1?3%
カゼインナトリウム 10?15%
カラギーニン 0.2?0.3%
乳化剤 0.1?0.3%
糖 20?30%」(第5欄12?20行,なお,チーズ以外の材料の上限値を合計しても52.6%にしかならないから,チーズの下限値「0」は誤記と認められる。)
(7)「次に本品を粉末状で食品に使用する場合の効用について具体例をあげて説明する。(1)チーズボール(クッキーの一種)の場合は,材料の配合をバター10.08%,砂糖22.67%,卵黄3.78%,本発明品7.05%,牛乳15.79%,小麦粉40.30%,ベーキングパウダー0.50%とし,通常の方法でチーズボールをつくる。チーズボールは黒色を呈し,好ましい特異的な風味を有する。」(第6欄29?37行)
(8)「実施例:
(1)水10.000gを秤量,攪拌槽に入れ80?90℃に加温,…チェダーチーズ4.500gを調理器で裁断して添加攪拌溶解する。この溶解液にカラギーニン(マリンコロイド社製SEAKEM14)9g,カゼインナトリウム680g,乳糖1.3000gを加えて溶解,次いでカラメル(グルコースカラメル,固形分62%,水分38%)150g及び乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル)15gを加えて溶解する。これで溶液のpHは5.0?5.5を呈するので20%カセイソーダ溶液でpHを8.0とし,マントンゴーリンホモゲナイザー(操作圧200Kg/cm2)で脂肪を均質化し,加圧釜に入れ115℃で40分加熱処理する。加熱が終了したら冷却しpHを6.8に調整してスプレー乾燥する。
原料配合処方:(固形分%)
チェダーチーズ 55.48%

カゼインナトリウム 12.96%
グリセリン脂肪酸エステル 0.29%
乳糖 26.50%
カラギーニン(SEAKEM14) 0.15%
カラメル(グリコスカラメル) 1.94%」(第7欄33行?第8欄19行)

以上の記載事項からは,甲第1号証には,溶液状にしたチーズを原料に用いることにより,良好な特異的な風味の全く新しいタイプの調味料が得られたことが記載されており,溶液状にしたチーズを原料に用いる発明は記載されていると認められるが,その課題を解決する手段であるチーズを用いない,「カラメルを加えて加熱処理してなるものを主原料とする食品調味料の製造法」が記載されているということはできない。
また,甲第1号証に記載された「グルコースカラメル」,及び,乳製品であるチーズを混合した原料の「溶液」は,それぞれ,本件特許発明1の「糖類を加熱してカラメル化し,得られたカラメル」及び「調乳液」に相当する。そして,甲第1号証に記載された「食品調味料」は,食品に使用することにより風味を付与するものであって,本件特許発明1の「食品素材」に相当する。さらに,甲第1号証に記載された方法においても,加熱によりメイラード反応性褐色化が進行するものと認められるから,該方法は「調整した溶液を加熱して褐変」するものであると認められる。

したがって,甲第1号証には,
「糖類を加熱してカラメル化し,得られたカラメルにチーズ及びカゼイン又はそのアルカリ塩を混合して調乳液を調製し,調製した調乳液を加熱して褐変させ,冷却し,噴霧乾燥し,噴霧乾燥粉末を取得することを特徴とする新しい風味を呈する食品素材粉末の製造方法。」
の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

3.対比
本件特許発明1と甲1発明とを比較すると,前述したように「カゼイン」又は「そのアルカリ塩」は,本件特許発明1が原料とする「一次乳製品」には該当しないから,両者は,
「糖類を加熱してカラメル化し,得られたカラメルに乳製品を混合して調乳液を調製し,調製した調乳液を加熱して褐変させ,冷却し,噴霧乾燥し,噴霧乾燥粉末を取得することを特徴とする風味を呈する食品素材粉末の製造方法。」である点で一致しているが,
(1)原料の乳製品が,本件特許発明1では,一次乳製品であるのに対し,甲1発明では,チーズである点,
(2)原料に対して,本件発明1では,「カゼイン」又は「そのアルカリ塩」を加えることは特定されていないのに対して,甲1発明では,カゼイン又はそのアルカリ塩を加えている点,及び
(3)呈する風味が,本件特許発明1では,カラメル風味であるのに対し,甲1発明では,特異的な新しい風味である点,
において相違している。

4.判断
(1)本件特許発明1の新規性について
以上のとおり,本件特許発明1は,甲1発明と比較して上記相違点(1)?(3)を有し,その相違点が実質的相違ではないということもできないから,本件特許発明が甲第1号証に記載された発明であるということはできない。

なお,上記相違点(1)及び(2)については,本件特許の請求項1には,チーズや「カゼイン」又は「カゼインのアルカリ塩」を原料に含まないことは明記されていないが,それらを原料に含み得ることについては何ら記載も示唆もされていないし,本件特許発明1において,原料にそれらを添加する技術的意味は見いだしがたく,それらの添加が適宜行われるようなものともいえない。
しかも,原料にチーズを用いる点については,本件特許明細書において,甲第1号証が従来技術(II)として挙げられており,「しかしながら,二次乳製品を使用している以上,前記従来技術(II)によって得られた食品素材は,特殊な風味を呈する食品素材であり,飲食品に対して純粋にカラメル風味を付与したいという目的には不向きであった。」(【0009】)と,その問題点について言及され,その問題点を解決するものが本件特許発明1なのであるから,その点からも,本件特許発明1には,原料にチーズを加えることは含まれていないものと解される。

(2)本件特許発明1の進歩性について
請求人は,具体的な理由は示していないが,一応,本件特許発明1が,甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも主張しているので,以下その点について検討する。

ア 相違点(1)について
本件発明は,上記のように,飲食品に対して,特殊な風味を呈するのではなく,純粋にカラメル風味を付与したいという目的を有するものであり,そのために,原料としてチーズ等の二次乳製品ではなく一次乳製品を使用するものである。しかし,甲1発明は,特異的な新しい風味を付与することが目的であり,そのために原料にチーズを使用するものであって,その課題及び解決手段が全く相違する。
そして,甲1発明において,その課題達成手段であるチーズを他の乳製品に置き換えると本来の課題が達成できないことは明らかであり,そのような原料を採用することには阻害事由があるというべきである。

イ 相違点(3)について
上記のように,本件特許発明1と甲1発明とは,付与しようとする風味が全く異なり,甲1発明のような特異的な新しい風味を付与するという食品素材の発明から,本件特許発明1のような純粋にカラメル風味を付与する食品素材の発明に当業者が容易に想到するという論理付けは困難である。

ウ 小活
したがって,相違点(2)について検討するまでもなく,本件特許発明1が,甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

5.本件特許発明2及び3について
以上の通り,本件特許発明1は,甲第1号証に記載された発明であるとも,該発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるともいうことはできないから,それを引用してさらに限定を加えた本件特許発明2及び3についても同様である。

6.小活
以上のとおりであるから,本件特許発明1?3が,甲第1号証に記載された発明であるとも,また,該発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということもできない。

第5 無効理由2について

1.請求人の主張
請求人は,本件特許発明4に関する無効理由2(甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明に基づく進歩性の欠如)について,概略以下のように主張する。

(ア)甲第3号証には,練乳を用いることが記載されている。ここで,甲第1号証および甲第3号証には,「練乳を固形分比率で30%以上含有すること」については記載されていない。しかしながら,練乳を固形分比率で30%以上にすることは,単なる数値の選択にすぎず,本件特許発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に推考し得るものである。
(イ)ここで,本件特許明細書の段落【0017】には,「一次乳製品として練乳を採用し,これを固形分比率で30%(重量)以上含有する調乳液を調整することを望ましい態様とする。」と記載されているだけであり,練乳を固形分比率で30%以上に設定することの技術的意義が不明である。したがって,固形分比率が30%という数値は,単なる選択値にすぎない。

2.判断
前述のとおり,本件特許発明1は,甲第1号証に記載された発明であるとも,該発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるともいうことはできないから,それを引用してさらに限定を加えた本件特許発明4についても同様である。
また,甲第3号証に記載されているのは,菓子であるキャラメルを製造する際に,砂糖などを煮詰め,終わり頃に練乳を加えるというものであり,本件特許発明とは,課題も技術も全く異なるものであるから,それを,本件特許発明のように噴霧乾燥してカラメル風味を呈する食品素材粉末を製造する方法に適用することが容易であるとはいえない。

3.小活
以上のとおりであるから,本件特許発明4が,甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

第6 無効理由3について

1.請求人の主張
請求人は,本件特許発明1は,甲第2号証に記載された発明に甲第1号証に記載された事項を組み合わせることにより,当業者が容易に発明することができるものであると主張する(第1回口頭審理調書)。

2.甲第2号証の記載
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第2号証には,「子供達のためのキャンデー」との表題の頁に以下の記載がある。

「 クリーム・キャラメル
砂糖,カップ2杯 刻んだナッツ,カップ1杯
薄いコーン・シロップ,カップ1杯 バニラエッセンス,小さじ2杯
バター,カップ1/4 塩,小さじ1/2
濃い生クリーム,カップ2杯

大型ソース鍋に砂糖とコーン・シロップをあわせ,キャンデー用温度計を鍋に入れ弱火にかけ絶えずかき混ぜて沸騰しはじめたら,かきまぜずに温度計が305°になるまで熱する。鍋をおろしてバター大さじ1杯を加えてから火にもどし,沸騰が途絶えぬように残りのバターを少しづつ加える。クリームを温めてゆっくりと鍋に加え,沸騰させながら激しくかきまぜ,250°になったら火からおろして5分間おく。ナッツ,塩バニラをあまりかきまぜずに加えて,出来たキャンデーを油をひいた20×28センチの天板に流し込み少なくも8時間おき,天板を返してキャンデーを出し,丈夫な包丁で切る。一切れづつ鑞紙にくるむ。約900グラム出来る。」(第199頁左欄1?16行)

すなわち,甲第2号証には,砂糖およびコーン・シロップを鍋に入れて加熱し,バターを加えながら加熱し,さらにクリームを加え沸騰させながらかきまぜ,冷却し,固化してクリーム・キャラメルを得る方法の発明が記載されている。

3.対比
本件特許発明1と甲第2号証に記載された発明(以下「甲2発明」という。)を比較すると,甲第2発明において,クリームを加える時点で,砂糖及びコーン・シロップが加熱によりカラメル化しているか否かはさておき,両者は,少なくとも以下の点で相違している。

(1)本件特許発明1が,加熱して得られた液を冷却し,噴霧乾燥し,噴霧乾燥粉末を得て食品素材粉末としているのに対し,甲2発明では,加熱して得られた液は,冷却し固化させてクリーム・キャラメルとしており,噴霧乾燥することは特定されていない点

4.判断
本件特許発明1の課題は,「本発明の目的は,カラメル風味を呈する食品素材粉末の新しい製造方法を提供することである。また,本発明の目的は,飲食品に配合することにより効果的にカラメル風味を付与できる食品素材であって,粉末状で取り扱いが簡便で保存性が良く,一次乳製品を原料としていながらも,製造コストが安価な噴霧乾燥法を採用することができる,食品素材粉末の製造方法を提供することである」(【0009】)というものである。これに対して,甲2発明の課題は,子供向けのキャンデーとしてのクリーム・キャラメルを提供することであり,課題の点で本件特許発明とは全く異なるものである。
そして,甲第2号証を精査しても,甲2発明の方法により得られるクリーム・キャラメルを噴霧乾燥して食品素材粉末とする動機付けとなりうる事項は見いだせない。逆に,クリーム・キャラメルのように溶解状態でさえ粘度の高いものを噴霧乾燥することは実際上不可能であると考えられるし,しかも本件特許発明1は「冷却し,噴霧乾燥している」ものであるが,甲2発明の方法により得られるクリーム・キャラメルは冷却し,固体になったものであるから,「冷却し,噴霧乾燥」することは全く不可能である。このことからは,甲2発明から本件特許発明1に至る阻害事由が存在するというべきである。
請求人は,口頭審理陳述要領書において「噴霧乾燥を行うのであれば,噴霧乾燥を行いやすいように,コーン・シロップ等の量を適宜選択すればよい。」とも主張するが,そもそも甲2発明の方法により得られるクリーム・キャラメルを噴霧乾燥することには阻害事由が存在することは上記の通りである。
また,仮に,請求人が主張するように,甲2発明において加熱により得られたクリーム・キャラメルを噴霧乾燥することが容易に想到し得たとしても,噴霧乾燥しやすいように,コーン・シロップ等の量を適宜選択する場合には,加熱により得られた液は,水分をかなりの量含有している必要があると考えられ,そのようなものにおいて糖のカラメル化が進行しているとは考え難い。すなわち,その場合に加熱により得られる液は,「糖類を加熱しカラメル化」したものに一次乳製品を混合した調乳液を加熱したものとはいえず,しかも,そのようなものはすでにクリーム・キャラメルとはいえないものであるから,甲2発明から本件特許発明1に至るにはその点でも阻害事由が存在するというべきである。

したがって,本件特許発明1が,甲2発明に甲第1号証に記載された事項を組み合わせることにより,当業者が容易に想到し得るものであるということはできない。
そして,本件特許発明1の効果は,「本発明は,カラメル風味を呈する食品素材粉末の製造方法に係るものであり,本発明の方法によれば,1)粉末状で取り扱いが簡便で保存性が良く,飲食品に配合することにより効果的にカラメル風味を付与できる食品素材粉末を得ることができる,2)また,一次乳製品を原料としていながらも,噴霧乾燥法を採用することができ,製造コストが安価である,3)しかも,乳糖を分解する操作等の複雑な工程も必要としない,4)また,噴霧乾燥粉末でありながら糖類の含有量が高い食品素材粉末を得ることができる,5)更に,飲食品に対し,香料,着色料等の補助的な添加物を使用せずにカラメル風味を強力に付与できる食品素材粉末を製造することができる,等の格別の効果が奏される。」(【0019】)というものであり,そのような効果が甲2号証及び甲第1号証から予期できる程度のものということもできない。

5.小活
以上のとおりであるから,本件特許発明1が,甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明することができたものであるということはできない。

第7 無効理由4について

1.請求人の主張
請求人は,本件特許は,請求項1の記載が以下の理由で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない,と主張する。

(1)本件特許発明1に関し,本件特許明細書には,カラメルに混合する乳製品として二次乳製品ではなく,一次乳製品を用いることに特徴があると記載されているが,本件特許の請求項1には,一次乳製品を混合するとしか記載されておらず,二次乳製品が含まれ得る記載となっているから,請求項1に,本件特許発明1の意図する技術的意義が特定されておらず,本件特許発明1の目的を考慮すると本件請求項1に係る特許発明は不明確である。
(2)本件特許の請求項1には,カラメルに一次乳製品を混合するとだけ記載されており,一次乳製品をどの程度加えればよいかについて,不明である。

2.判断

(1)原料に二次乳製品が含まれ得るとの主張について
本件特許の請求項1には,本件特許発明1の方法について,「糖類を加熱してカラメル化し,得られたカラメルに一次乳製品を混合して調乳液を調製し,調製した調乳液を加熱して褐変させ,冷却し,噴霧乾燥し,噴霧乾燥粉末を取得する」と,製造方法としての手順が明記されており,これを読んだ当業者であれば,製造方法としての発明の手順は容易に理解することができる。
そして,本件特許発明1については,本件特許明細書に,「即ち,本発明では,乳製品原料として『一次乳製品』を採用することを第二の特徴としている。」(【0013】)という記載があることからも明らかなように,原料として「一次乳製品」を用いることがその特徴であり,それにより明細書に記載された課題を解決しているものと認められる。そして,「一次乳製品」を用いることは請求項1に記載されているから,請求項1の記載から本件特許発明1が明確に理解できるというべきである。
また,前記「第4 4.(1)」で述べたように,本件特許発明1に,原料にチーズのような二次乳製品を加えることが含まれるものとはいえない。
したがって,請求人の「本件特許発明1の目的を考慮すると本件請求項1に係る特許発明は不明確である。」との主張は採用できない。

(2)一次乳製品の配合量が不明であるとの主張について
また,一次乳製品の配合量についても,同様の理由により,請求項1にその記載がなくとも請求項1の記載から本件特許発明1が明確に理解できるというべきである。
さらに,本件特許明細書の段落【0018】には,本件特許発明1の実施例が記載されており,一次乳製品を始めとする原料の使用量や,温度や処理時間等の条件が具体的数値により記載されている。そして,一次乳製品を使用して加工食品を製造するにあたってその配合量をどのようにするかは,当業者が適宜選択できる事項であり,当業者であれば本件特許明細書の実施例を参考にして配合量を適宜決定することができるのであるから,その記載がなければ本件特許発明が明確に理解できないというものではない。
そもそも,本件特許発明1は,特許明細書に記載された課題を解決するための手段の一つとして,原料に一次乳製品を採用したのであり,その技術的思想は請求項1の記載から明確であり,一次乳製品の配合量を特定しなければその技術的思想が明確でないというものではない。

3.小活
以上のとおりであるから,本件特許の請求項1の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとはいえない。

第8 むすび
以上のとおりであるから,請求人の主張及び証拠方法によっては,本件特許の請求項1ないし4に係る発明の特許を無効とすることができない。
審判に関する費用については,特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2010-08-03 
出願番号 特願2000-229681(P2000-229681)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (A23C)
P 1 113・ 113- Y (A23C)
P 1 113・ 537- Y (A23C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 植原 克典  
特許庁審判長 鵜飼 健
特許庁審判官 加々美 一恵
内田 俊生
登録日 2005-12-02 
登録番号 特許第3744776号(P3744776)
発明の名称 カラメル風味を呈する食品素材粉末の製造方法  
代理人 須藤 政彦  
代理人 井出 真  
代理人 須藤 政彦  

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