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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1224225
審判番号 不服2008-4081  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-02-21 
確定日 2010-09-30 
事件の表示 特願2002-271983「画像表示プログラム及び画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 4月 8日出願公開、特開2004-110399〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成14年9月18日の出願であって、その特許請求の範囲に記載された発明は、平成20年3月21日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものと認める。
そして、その請求項8に係る発明(以下、本願発明という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項8】 記録媒体に記録されたデータのインデックス画像を生成し、ディスプレイに表示する画像表示装置であって、
コンピュータの記録媒体に記憶されているデータ及び当該データに付随するセキュリティレベル情報を読み出すデータ読み出し手段と、
前記データ読み出し手段によって読み出したデータ及びセキュリティ情報に基づいて、セキュリティレベルに応じて異ならせたインデックス画像を各データ毎に生成するインデックス画像生成手段と、
前記インデックス画像生成手段によって生成された前記セキュリティレベルに応じて異なる前記各データ毎のインデックス画像を、ディスプレイ画面上に表示させる画像表示制御手段と
を有する画像表示装置。」

ただし、上記記載中の「インデックス画像」は、本願明細書中に当該用語を定義する記載がないことと、「インデックス」の語が「情報検索で、目的の情報を探すための手掛りとなる文字・記号。[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]」といった意味を有していること等を考慮し、「目的の情報を探すための手掛りとなる画像」といった程度の意味に解釈した。
また、上記記載中の「記録媒体に記録された」と「コンピュータの記録媒体に記憶されている」は、相互に表現が相違しているが、発明の詳細な説明の記載を参酌し、共に後者(「コンピュータの記録媒体に記憶されている」)の意味、すなわち「コンピュータが有する記録媒体に記憶されている」の意味であると解釈した。
さらに、「セキュリティレベル情報」と「セキュリティ情報」についても、発明の詳細な説明の記載を参酌し、共に前者(「セキュリティレベル情報」)の意味、すなわち「セキュリティのレベルを表す情報」の意味であると解釈した。

2.引用例記載の発明

原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-51987号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。

「【請求項1】 認証情報の設定により保護された保護文書と、それ以外の通常文書とを保持可能な文書保持手段と、
前記文書保持手段に保持された各文書をそれぞれアイコン形式で一覧表示し、それらアイコンを介して文書編集操作を受け付けるデスクトップ手段であって、通常文書及び認証済みの保護文書については当該文書の所定ページの縮小イメージを含むサムネイルアイコンを表示し、未認証の保護文書については所定の保護状態アイコンを表示するデスクトップ手段と、
前記保護状態アイコンを指定して当該保護文書のサムネイルアイコンの表示指示を受け付けた場合に、当該保護文書の認証情報の入力を求め、これに応じて入力された認証情報が当該保護文書の正しい認証情報であると判定した場合に、当該保護文書のサムネイルアイコンを前記保護状態アイコンに代えて表示する旨前記デスクトップ手段に指示する認証手段と、
を有する電子文書管理システム。
【請求項2】 前記保護文書には予め定められた複数種類の認証方式のいずれかが適用され、前記保護状態アイコンとしては、当該保護文書に適用された認証方式の種類が区別可能な形態のものを用いることを特徴とする請求項1記載の電子文書管理システム。
【請求項3】 前記デスクトップ手段は、認証済みの保護文書を表すサムネイルアイコンに、当該文書が保護文書であることを示すマークを付して表示することを特徴とする請求項1記載の電子文書管理システム。
【請求項4】 前記保護文書は、当該文書の認証情報に関連した暗号鍵により暗号化された状態で前記文書保持手段に保持されていることを特徴とする請求項1記載の電子文書管理システム。
【請求項5】 前記デスクトップ手段は、前記認証手段から保護文書のサムネイルアイコンを表示する旨指示を受けた場合に、前記文書保持手段から暗号化された当該文書のデータを取り出して復号し、この復号結果からサムネイルアイコンを作成して表示することを特徴とする請求項4記載の電子文書管理システム。」

「【0015】図1は、本発明に係る電子文書管理システムのシステム構成を概略的に示す図である。
【0016】文書表示部10は、このシステムにおけるユーザインタフェース処理を行う機構である。文書表示部10は、例えば図3に示すような形態のデスクトップ画面を含むGUI(グラフィカルユーザインタフェース)画面を生成し、この画面に対するユーザの入力を取り込んで、それに応じた処理を行う。文書表示部10は、デスクトップ画面に各文書を表すアイコンを表示し、このアイコンの操作により、文書単位ないしページ単位の文書編集指示を受け付ける。」

「【0019】サムネイル作成部18は、文書のページイメージを縮小して、アイコンに用いるサムネイル(縮小イメージ)を作成する機構である。」

また、上記記載事項を技術常識に照らせば、以下のことがいえる。
(1)「アイコン」は、画像の一種であるということができ、引用例の「電子文書管理システム」はその「アイコン」を表示するものであるから、該引用例の「電子文書管理システム」は、「画像表示装置」とも呼ぶことができるものである。
(2)引用例の「電子文書管理システム」は、文書保持手段に保持された文書が通常文書及び認証済みの保護文書の場合にはサムネイルアイコンを表示し、未認証の保護文書の場合には所定の保護状態アイコンを表示するものであるから、当然に「文書保持手段から文書及び当該文書に付随する保護に関する情報を読み出す手段」と呼び得る手段を有している。
(3)引用例の「電子文書管理システム」は、前記「保護に関する情報」に応じて異なる各文書毎のアイコンを表示するものであり、また、そのような「アイコン」の表示のために何らかの制御が必要であることは当然であるから、該「電子文書管理システム」は、当然に、「前記保護に関する情報に応じて異なる各文書毎のアイコンを表示させる画像表示制御手段」と呼び得る手段を有している。

したがって、引用例には、以下の発明(以下、「引用例記載発明」と呼ぶ。)が記載されているといえる。

「文書保持手段に保持された各文書のアイコン(サムネイルアイコン)を生成し、文書表示部に表示する画像表示装置であって、
文書保持手段から文書及び当該文書に付随する保護に関する情報を読み出す手段と、
前記保護に関する情報に応じて異なる各文書毎のアイコン(サムネイルアイコン又は保護状態アイコン)を表示させる画像表示制御手段と、
を有する画像表示装置。」

3.対比
本願発明と引用例記載発明を対比すると、以下の対応関係が認められる。
(1)引用例記載発明の「文書保持手段に保持された」は、本願発明の「記録媒体に記録された」ないし「コンピュータの記録媒体に記憶されている」に相当する。
(2)引用例記載発明の「文書」は、本願発明の「データ」に相当する。
(3)引用例記載発明の「アイコン」は、「目的の情報を探すための手掛りとなる画像」であるといえるから、本願発明の「インデックス画像」に相当する。
(4)引用例記載発明の「文書表示部」は、本願発明の「ディスプレイ」に相当する。
(5)引用例記載発明の「保護に関する情報」と本願発明の「セキュリティレベル情報」ないし「セキュリティ情報」は、「保護に関する情報」である点で共通する。

したがって、本願発明と引用例記載発明の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「記録媒体に記録されたデータのインデックス画像を生成し、ディスプレイに表示する画像表示装置であって、
コンピュータの記録媒体に記憶されているデータ及び当該データに付随する保護に関する情報を読み出すデータ読み出し手段と、
前記保護に関する情報に応じて異なる前記各データ毎のインデックス画像を、ディスプレイ画面上に表示させる画像表示制御手段と
を有する画像表示装置。」である点

(相違点)
本願発明の「保護に関する情報」は、「セキュリティレベル情報」、すなわち「セキュリティのレベルを表す情報」であるのに対し、引用例記載発明の「保護に関する情報」は、「セキュリティのレベルを表す情報」ではなく、また、本願発明は「データ読み出し手段によって読み出したデータ及びセキュリティ情報に基づいて、セキュリティレベルに応じて異ならせたインデックス画像を各データ毎に生成するインデックス画像生成手段」を有しているのに対し、引用例記載発明はそれに対応する手段を有していない点。

4.当審の判断

(1)上記相違点について
以下の点を勘案すると、引用例記載発明の「保護に関する情報」を、「セキュリティのレベルを表す情報」とすると共に、引用例記載発明に「データ読み出し手段によって読み出したデータ及びセキュリティ情報に基づいて、セキュリティレベルに応じて異ならせたインデックス画像を各データ毎に生成するインデックス画像生成手段」に相当する手段を設けること、換言すれば、引用例記載発明において、上記相違点に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
ア.記録媒体に記録された複数のデータのそれぞれに、本願明細書の段落【0025】に例示されるような「読み取り専用」「書き込み専用」「変更可能」「フルコントロール」といった相互に異なるセキュリティのレベルを設けることは周知であり、引用例記載発明における「文書」にそのようなセキュリティレベルを設けることは、当業者が容易に推考し得たことであること、引用例の請求項3や図8の記載からも明らかなように、引用例記載発明における「保護に関する情報」は、保護の有無だけではなく、3種類以上の保護の種類を表し得るものであり、その保護の種類として「セキュリティレベル」を採用できない理由はないこと、等の事情にかんがみれば、引用例記載発明の「保護に関する情報」を「セキュリティレベル情報」とすることは、当業者が容易に推考し得たことである。
イ.上記ア.で論じたところに従い、引用例記載発明の「保護に関する情報」を「セキュリティレベル情報」とする場合には、「セキュリティレベルに応じて異なる各文書毎のアイコン」が必要になるが、そのようなアイコンは、引用例の段落【0019】でいう「サムネイル作成部」のような画像表示装置内の手段で生成するのが最も自然であり、そのようにできない理由はない。そして、このことは、取りも直さず、引用例記載発明に「データ読み出し手段によって読み出したデータ及びセキュリティ情報に基づいて、セキュリティレベルに応じて異ならせたインデックス画像を各データ毎に生成するインデックス画像生成手段」に相当する手段を設けることが容易であったことを意味する。

(2)本願発明の効果について
本願発明の構成によってもたらされる効果は、引用例の記載事項等から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用例記載発明に基いて容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-07-28 
結審通知日 2010-08-03 
審決日 2010-08-16 
出願番号 特願2002-271983(P2002-271983)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 辻本 泰隆  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 田口 英雄
真木 健彦
発明の名称 画像表示プログラム及び画像表示装置  
代理人 田中 米藏  
代理人 小谷 悦司  
代理人 小谷 昌崇  

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