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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1228033
審判番号 不服2007-35397  
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-12-28 
確定日 2010-12-08 
事件の表示 特願2002-147964「データベースパブリッシング方法及びその装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年12月 5日出願公開、特開2003-345782〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成14年5月22日の出願であって、その特許請求の範囲に記載された発明は、平成20年1月28日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものと認める。
そして、その請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、以下のとおりである。
「 物件データベースに記録された物件データを紙に印刷したり画面に表示するための組版用電子文書を生成するためのデータベースパブリッシング方法において、
コンピュータが、CPUを用いて、各ページテンプレートに1又は2以上のエリアを設定するエリア設定ステップと、
コンピュータが、CPUを用いて、各ページにいずれかの前記ページテンプレートを割り当てるページテンプレート割当ステップと、
コンピュータが、CPUを用いて、各前記ページテンプレートの各前記エリアの各セルに別々に設定することが可能な2種類以上の小組テンプレートのうちの何れか1の小組テンプレートを各エリアの各セルに設定する小組テンプレート設定ステップと、
コンピュータが、CPUを用いて、物件データを蓄積する物件データベースから読み出された複数の物件データの各々を各ページに割り当てられた前記ページテンプレートの各前記エリアの各小組テンプレートに割り当てる物件割当ステップと、
を備えることを特徴とするデータベースパブリッシング方法。」


2.引用例記載の発明

(1)原査定の拒絶の理由に引用された”データベースパブリッシングとワンソース・マルチユースで未来型DTP始動”,DTP WORLD,株式会社ワークスコーポレーション,1997年10月13日,第2巻,第5号,p.46,47(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
ただし、審決起案システムの都合上、「丸付き数字の1」を「《丸1》」と表記する等、意味が変わらない範囲で表記を変えた部分がある。

ア.
「Try It!
データベースパブリッシング 2
ボックスの自動生成まで行なう完全自動組版可能なDBPress」(p.46右端の記事タイトル欄)

イ.
「DBプレスの特徴は、DBプレスに登録してあるレイアウトのテンプレート(小組)を自動的に割り付けて、さらにそこに該当データを流し込んでいく、自動組版ができることだ。この際、流し込むテンプレートを変更することも可能だ。」(p.46の枠囲いの下)

ウ.
「1 ファイルの書き出し
ファイルメーカーなどのデータベースに登録されているデータから、必要なデータを検索して抽出。その後、どのような順序でレイアウトするかを想定してデータの並び替えを行なう。
2 ファイルの読み込み
DBPressメニューから「入力項目定義…」を選択して、1で書き出したファイルを読み込む。そして、各項目が文字なのか、数値なのか、画像なのかを、項目ごとに指定する。
3 データの定義
さらに項目ごとに文字列なのか画像ファイル名なのかを指定する。画像ファイル名を指定された項目のデータは、後で流し込みの際に呼び出される外部の画像ファイル名と同じになっていなければならない。
4 小組設定
DBPressメニューの「小組の設定…」から「明細小組」を選択した。小組とはレイアウトのテンプレートだと思えばよいだろう。明細小組とは、グループ化された複数のボックスを含むテンプレートだ。
5 リンク設定
あらかじめ用意したテンプレート(小組)と項目をリンクさせる。ボックスを選択したまま、DBPressメニューの「テキストボックスの設定…」→「入力項目設定…」を選んで、項目を選択する。
6 テキストスタイル設定《丸1》
・・・(後略)・・・」(p.46の枠囲いの中)

エ.
「1 小組のレイアウト
設定編《丸1》-5で、項目とリンクさせたテンプレートと同じ大きさの画像ボックスを、ダミーとしてマスターページに作成する。このとき、同じボックスを同じ位置に2つ作成してグループ化しておくことが必要。
2 小組の設定…
DBPressメニューから「小組の設定…」を選択し、表れたダイアログに、図のように「ダミー」と名称をつけておく。併せて、小組タイプのポップアップメニューを「明細小組」に指定しておく。
3 小組の配置…
次にこの小組を配置する。DBPressメニューから「小組の記憶…」を選択し、現れたダイアログに座標値やいくつ作るのかの複製数を入力する。これは1ページにいくつの小組を配置するかを指定するものだ。
4 フォーマット配置
3できちんと座標値や複製数が指定されると、1?2で作ったダミーの小組が、1ページ内に綺麗にレイアウトされるはずだ。最終的には、この位置に設定編《丸1》-5にあるテンプレートが記憶されることになる(小組すり替えと呼ぶ)。
5 作成ページ数設定
どのページにどのマスターページを割り当てるか指定する。DBPressメニューの「マスターページ割り当て」で現れたダイアログで指定する。」(p.47の上側の枠囲いの中)

オ.
「 組版実行
設定がすべてすんだら、「組版実行…」を選択し、ダイアログで小組すり替えをチェックしOKボタンをクリックすると、何もないページに自動的にテンプレートが作成され、そこに文字や画像が流し込まれていく。」(p.47の下側の枠囲いの中)

また、上記各記載事項を技術常識に照らせば、以下のことがいえる。

カ.上記記載事項ア.?オ.から把握される、DBプレスというソフトウエアがコンピュータに組み込まれることによって、そのCPUを用いて実現される方法は、「データベースに記録されたデータを紙に印刷したり画面に表示するための組版用電子文書を生成するためのデータベースパブリッシング方法」とも呼び得るものである。

キ.上記記載事項エ.の中の5の欄の「どのページにどのマスターページを割り当てるか指定する。DBPressメニューの「マスターページ割り当て」で現れたダイアログで指定する。」なる記載によれば、上記オ.の方法は、「コンピュータが、CPUを用いて、各ページにいずれかのマスターページを割り当てるマスターページ割当ステップ」と呼び得るステップを有している。

ク.上記記載事項エ.の中の4の欄の「3できちんと座標値や複製数が指定されると、1?2で作ったダミーの小組が、1ページ内に綺麗にレイアウトされるはずだ。最終的には、この位置に設定編《丸1》-5にあるテンプレートが記憶されることになる(小組すり替えと呼ぶ)。」なる記載や、同ウ.の中の5の欄の「あらかじめ用意したテンプレート(小組)と項目をリンクさせる。ボックスを選択したまま、DBPressメニューの「テキストボックスの設定…」→「入力項目設定…」を選んで、項目を選択する。」なる記載等によれば、上記カ.の方法は、「コンピュータが、CPUを用いて、各前記マスターページにレイアウトされた各ダミーの小組にテンプレート(小組)を設定するテンプレート(小組)設定ステップ」と呼び得るステップも有している。

ケ.上記記載事項ア.?オ.の記載によれば、上記カ.の方法は、「コンピュータが、CPUを用いて、データを蓄積するデータベースから読み出された複数のデータの各々を各ページに割り当てられた前記マスターページの各テンプレート(小組)に割り当てるデータ割当ステップ」と呼び得るステップも有している。

したがって、引用例1には、以下の発明(以下、「引用例1記載発明」と呼ぶ。)が記載されているといえる。
「 データベースに記録されたデータを紙に印刷したり画面に表示するための組版用電子文書を生成するためのデータベースパブリッシング方法において、
コンピュータが、CPUを用いて、各ページにいずれかのマスターページを割り当てるマスターページ割当ステップと、
コンピュータが、CPUを用いて、各前記マスターページにレイアウトされた各ダミーの小組にテンプレート(小組)を設定するテンプレート(小組)設定ステップと、
コンピュータが、CPUを用いて、データを蓄積するデータベースから読み出された複数のデータの各々を各ページに割り当てられた前記マスターページの各テンプレート(小組)に割り当てるデータ割当ステップと、
を備えるデータベースパブリッシング方法。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-270020号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。

「【請求項2】 商品の写真および文字を紙面に貼り付けるレイアウト作業をコンピュータ上で行う自動編集システムにおいて、
仮想のレイヤーに随意の間隔でもってグリッドを設定し、そのグリッドをキーとして、商品の掲載枠となるブロックを配置するグリッド配置もしくは、前記仮想のレイヤーに随意形状の領域を設定し、その領域に順に前記ブロックを詰める棚配置により、ブロックをシミュレーション配置し、このシミュレーション配置により得たブロックの位置データに基づき、上記紙面に相当するドキュメントに、商品の画像および文字を貼り付けるようにしたことを特徴とする自動編集システム。」

「【0041】以上で前作業が終了し、次に実際の編集作業に進む。ステップS7では、図8に示すように、上記表示装置12の表示画面51上に広告紙面に対応するドキュメント52を指定し、続いてステップS8にて、前記ドキュメントサイズ52内に、所望サイズのブロックエリア52A,52B,52C,52D,52Eを作成する。52Fの領域は当広告の見出しにあたる箇所であり、又、ブロックエリア52A内に位置する領域52A'は、当ブロックエリア52Aに商品以外の記事を掲載するための領域であり、例えば図にあるように、そのエリアに季節商品を特集して掲載するのであれば、その特集を記載するための記事や広告が掲載される。これらは予め編集レイアウト装置11の編集機能を用いて作成しておく。」

「【0047】ステップS12では、最初に貼り付け作業を行うブロックエリアとして例えばブロックエリア52Aを選択し、ステップS13では、そのブロックエリア52Aにブロックを自動配置する際に、“グリッド配置"を採用するのか、“棚配置”を採用するのかを選択する。グリッド配置を選択した場合は図4のステップS21に進み、グリッドの縦横の間隔、ブロックを配置する際のグリッド使用方向、センタリングの有無等の設定を行う。
【0048】図13の上図ではドキュメント内に3つのブロックエリアが設定されており、同図の中図に示すように、ブロックエリア1では“左上端”から右方向にグリッドG11、G12…が設定され、ブロックエリア2では、“左上端"から下方向にグリッドG21、G22…が設定され、ブロックエリア3では“右上端"から左方向にグリッドG31、G32…が設定されている。これらのグリッド間の距離がグリッド間隔であり、図中の矢印がグリッド使用順を示す方向となる。図8のブロックエリア52Aに対してはブロック使用方向を左方向とした。」

そして、上記記載事項及び、引用例2の図3、8、13?15によれば、引用例2には、「画面上で複数のブロックエリアを設定し、設定した各ブロックエリアに商品の写真や文字を配置する」ことが記載されているといえる。
また、引用例2の図14、15には、設定したブロックエリア内に種々の体裁の商品の写真や文字を配置する例が示されている。


3.対比
本願発明と引用例1記載発明を対比すると、以下の対応関係が認められる。
(1)引用例1記載発明の「マスターページ」が、本願発明の「ページテンプレート」に相当する。
(2)引用例1記載発明の「テンプレート(小組)」が、本願発明の「小組テンプレート」に相当する。
(3)引用例1記載発明の「マスターページにレイアウトされた各ダミーの小組」と、本願発明の「各セル」とは、「ページテンプレート上に配置された、各小組テンプレートが設定されるべき領域」である点で共通する。
(4)本願発明の「物件データ」は、引用例1記載発明でいう「データ」の一種であり、本願発明の「物件データベース」と引用例記載発明の「データベース」は、「データベース」である点で、また、本願発明の「物件割当ステップ」と引用例1記載発明の「データ割当ステップ」は、「データ割当ステップ」である点で、それぞれ共通する。

したがって、本願発明と引用例1記載発明の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「 データベースに記録されたデータを紙に印刷したり画面に表示するための組版用電子文書を生成するためのデータベースパブリッシング方法において、
コンピュータが、CPUを用いて、各ページにいずれかのページテンプレートを割り当てるページテンプレート割当ステップと、
コンピュータが、CPUを用いて、各前記ページテンプレート上に配置された、各小組テンプレートが設定されるべき領域に、小組テンプレートを設定する小組テンプレート設定ステップと、
コンピュータが、CPUを用いて、データを蓄積するデータベースから読み出された複数のデータの各々を各ページに割り当てられた前記ページテンプレートの各小組テンプレートに割り当てるデータ割当ステップと、
を備えるデータベースパブリッシング方法。」である点
(相違点1)
本願発明の「データベース」に記録された「データ」は、「物件データベース」に記録された「物件データ」であり、本願発明の「データ割当ステップ」は、「物件割当ステップ」であるのに対し、引用例1記載発明の「データベース」に記録された「データ」は、「物件データベース」に記録された「物件データ」であるとは限らず、引用例1記載発明の「データ割当ステップ」は、「物件割当ステップ」であるとは限らない点。

(相違点2)
本願発明は「コンピュータが、CPUを用いて、各ページテンプレートに1又は2以上のエリアを設定するエリア設定ステップ」を有しており、本願発明の「各前記ページテンプレート上に配置された、各小組テンプレートが設定されるべき領域」は、前記「エリア設定ステップ」により設定された「エリア」内の「各セル」であり、それに伴い、本願発明の「データ割当ステップ」(「物件割当ステップ」)において「データ」(「物件データ」)が割り当てられる「各小組テンプレート」は、「各前記エリア」に属するものとされているのに対し、引用例1記載発明は、「コンピュータが、CPUを用いて、各ページテンプレートに1又は2以上のエリアを設定するエリア設定ステップ」に相当するステップを有しておらず、引用例1記載発明の「各前記ページテンプレート上に配置された、各小組テンプレートが設定されるべき領域」(「各前記マスターページにレイアウトされた各ダミーの小組」)は、当然に、「エリア設定ステップ」に相当するステップにより設定された「エリア」内の「各セル」に相当するものではなく、それに伴い、引用例1記載発明の「データ割当ステップ」において「データ」が割り当てられる「各小組テンプレート」(「テンプレート(小組)」)は、「各前記エリア」に属するものとはされていない点。

(相違点3)
本願発明の「各前記ページテンプレート上に配置された、各小組テンプレートが設定されるべき領域」(「各セル」)に設定される「小組テンプレート」は、「各前記エリアの各セルに別々に設定することが可能な2種類以上の小組テンプレートのうちの何れか1の小組テンプレート」であるのに対し、引用例1記載発明の「各前記ページテンプレート上に配置された、各小組テンプレートが設定されるべき領域」(「各前記マスターページにレイアウトされた各ダミーの小組」)に設定される「小組テンプレート」(「テンプレート(小組)」)は、「各前記エリアの各セルに別々に設定することが可能な2種類以上の小組テンプレートのうちの何れか1の小組テンプレート」ではない点。


4.当審の判断

(1)上記相違点について

ア.(相違点1)について
引用例1記載発明が、物件データを取り扱う用途に適していることは当業者に自明であるし、引用例1記載発明をそのような用途に使用することを妨げるべき事情もないから、引用例1記載発明の「データベース」に記録された「データ」を「物件データベース」に記録された「物件データ」とし、引用例1記載発明の「データ割当ステップ」を「物件割当ステップ」とすることは、当業者が容易に推考し得たことである。

イ.(相違点2)について
下記(ア)?(エ)の事情にかんがみれば、引用例1記載発明に「コンピュータが、CPUを用いて、各ページテンプレートに1又は2以上のエリアを設定するエリア設定ステップ」に相当するステップを設け、引用例1記載発明の「各前記ページテンプレート上に配置された、各小組テンプレートが設定されるべき領域」(「各前記マスターページにレイアウトされた各ダミーの小組」)を前記「エリア設定ステップ」に相当するステップにより設定された「エリア」内の「各セル」に相当するものとし、引用例1記載発明の「データ割当ステップ」において「データ」が割り当てられる「各小組テンプレート」(「テンプレート(小組)」)を「各前記エリア」に属するものとすることも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(ア)上述したように、引用例2には、「画面上で複数のブロックエリアを設定し、設定した各ブロックエリアに商品の写真や文字を配置する」ことが記載されている。
(イ)引用例2の記載事項は、デスクトップパブリッシングの技術に関するものであるという意味において、引用例1記載発明と同一の技術分野に属しており、該引用例2に示される技術や知見のうち、引用例1記載発明にも有用と思われるものを引用例1記載発明に採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。
(ウ)引用例2に示される上記「画面上で複数のブロックエリアを設定し、設定した各ブロックエリアに商品の写真や文字を配置する」という技術ないし知見が、引用例1記載発明においても有用な場合があることは、当業者に自明である。
(エ)引用例1記載発明に、引用例2に示される上記「画面上で複数のブロックエリアを設定し、設定した各ブロックエリアに商品の写真や文字を配置する」という技術ないし知見を採用する場合に、「コンピュータが、CPUを用いて、各ページテンプレートに1又は2以上のエリアを設定するエリア設定ステップ」に相当するステップを設け、「各前記ページテンプレート上に配置された、各小組テンプレートが設定されるべき領域」(「各前記マスターページにレイアウトされた各ダミーの小組」)を前記「エリア設定ステップ」に相当するステップにより設定された「エリア」内の「各セル」に相当するものとすべきことは当業者に自明であり、また、そのようにした場合には、「データ割当ステップ」において「データ」が割り当てられる「各小組テンプレート」(「テンプレート(小組)」)は、当然に、「各前記エリア」に属するものとなる。

ウ.(相違点3)について
下記(ア)、(イ)の事情にかんがみれば、引用例1記載発明の「各前記ページテンプレート上に配置された、各小組テンプレートが設定されるべき領域」(「各前記マスターページにレイアウトされた各ダミーの小組」)に設定される「小組テンプレート」(「テンプレート(小組)」)を、「各前記エリアの各セルに別々に設定することが可能な2種類以上の小組テンプレートのうちの何れか1の小組テンプレート」とすることも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(ア)上記イ.で検討したように、引用例1記載発明の「各前記ページテンプレート上に配置された、小組テンプレートが設定されるべき領域」(「各前記マスターページにレイアウトされた各ダミーの小組」)を「エリア設定ステップ」に相当するステップにより設定された「エリア」内の「各セル」に相当するものとすることは、当業者が容易に推考し得たことである。
(イ)下記a.?c.の事情によれば、上記(ア)に従って、引用例1記載発明の「各前記ページテンプレート上に配置された、各小組テンプレートが設定されるべき領域」(「各前記マスターページにレイアウトされた各ダミーの小組」)を「エリア設定ステップ」に相当するステップにより設定された「エリア」内の「各セル」に相当するものとすることに併せて、そこに設定される「小組テンプレート」(「テンプレート(小組)」)を、「各前記エリアの各セルに別々に設定することが可能な2種類以上の小組テンプレートのうちの何れか1の小組テンプレート」とすることも、当業者が容易に想到し得たことである。
a.上記「2.」の「(1)」の「イ.」に転記した引用例1の「この際、流し込むテンプレートを変更することも可能だ。」なる記載や、引用例2の図14、15に種々の体裁の商品の写真や文字を配置する例が示されている事実からも伺い知れるように、ページ上に商品の写真や文字等を配置するパブリッシング方法において、商品の写真や文字を種々の体裁で配置したいという要求があることは、当業者に自明である。
b.上記(ア)に従って引用例1記載発明の「各前記ページテンプレート上に配置された、各小組テンプレートが設定されるべき領域」(「各前記マスターページにレイアウトされた各ダミーの小組」)を「エリア設定ステップ」に相当するステップにより設定された「エリア」内の「各セル」に相当するものとしたものにおいて、上記「各小組テンプレートが設定されるべき領域」にどのような体裁の小組テンプレートを設定するかは、当業者が適宜決定すべき事項であり、その体裁を各「小組テンプレートが設定されるべき領域」ごとに異なったものとすることができない理由はない。
c.上記(ア)に従って引用例1記載発明の「各前記ページテンプレート上に配置された、各小組テンプレートが設定されるべき領域」(「各前記マスターページにレイアウトされた各ダミーの小組」)を「エリア設定ステップ」に相当するステップにより設定された「エリア」内の「各セル」に相当するものとしたものにおいて、上記a.の要求を満たそうとした場合に、上記各「小組テンプレートが設定されるべき領域」に設定される「小組テンプレート」(「テンプレート(小組)」)を、「各前記エリアの各セルに別々に設定することが可能な2種類以上の小組テンプレートのうちの何れか1の小組テンプレート」とすべきことは当然のことである。

(2)本願発明の効果について
本願発明の構成によってもたらされる効果は、各引用例の記載事項等から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。


5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1記載発明及び引用例2記載の事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-10-12 
結審通知日 2010-10-13 
審決日 2010-10-26 
出願番号 特願2002-147964(P2002-147964)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今村 剛  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 久保 正典
田口 英雄
発明の名称 データベースパブリッシング方法及びその装置  
代理人 永井 道雄  
代理人 山下 穣平  

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