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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63F
管理番号 1230308
審判番号 訂正2010-390099  
総通号数 135 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-03-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2010-09-29 
確定日 2010-12-25 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4114088号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4114088号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第4114088号の明細書を明りょうでない記載の釈明を目的として審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記(1)、(2)の各事項のとおり訂正することを求めるものである(下線部は訂正箇所を意味する。)。

(1)訂正事項1
明細書の段落【0012】の「その接触部がアース側に導通されているためパチンコ球に帯電した電荷がアース側へ移動することで除電されることとなる。」を「その接触部がアースと直接的又は間接的に接続されることでアース側に導通するためパチンコ球に帯電した電荷がアース側へ移動することで除電されることとなる。」と訂正する。

(2)訂正事項2
明細書の段落【0033】の「当該揺動手段の流下するパチンコ球との接触部がアース側に導通された構成としたことにより、」を「当該揺動手段の流下するパチンコ球との接触部がアースと直接的又は間接的に接続されることでアース側に導通する構成としたことにより、」と訂正する。


2.当審の判断
訂正事項1、2について
訂正事項1、2は、関連するのであわせて検討する。
訂正前の本件特許明細書(以下、「訂正前明細書」という。)には、「一方の球均し12にはカーボンパッキン16が接触するようビス14に貫かれて設けられている。」(段落【0017】)との記載があり、図2には、「カーボンパッキン16」と一体となった「アース線15」が図示されていることから、「球均し12」は、「アースと直接的に接続され」た構成が記載されているものと認められる。
また、図3には「球均し12」自身がパチンコ球と接触する構成が図示されていることから、「球均し12」自身がパチンコ球と接触する「接触部」を構成していることは自明である。
さらに、訂正前明細書に記載された「球均し12」と「揺動手段」とは、訂正前明細書全体の記載の内容から同一の構成を指していることは自明である。
よって、訂正前明細書には、揺動手段(球均し12)のパチンコ球と接触する「接触部」がアースと直接的に接続される構成が記載されており、さらに、訂正前明細書の「また、本実施の形態では、球均し12,12は銅材などの導電材で形成されている。」(段落【0016】)との記載から
、訂正前明細書には、パチンコ球に帯電した電荷が揺動手段(球均し12)を介してアース側へ移動することで除電される構成が記載されているものと認められる。
また、訂正前明細書には、「そして、その支持孔53には、球均し本体52を揺動支持するための金属パイプ54が嵌挿される。そして本実施の形態の球均し51には、その球均し本体52の中心を貫くように針55がはめ込まれている。具体的には、針55は、その一端が支持孔53内にまで達し、他端が球均し本体52の真下から所定量突出するよう形成されたものである。」(段落【0026】)との記載があり、この記載から、「球均し本体52」にはめ込まれた「針55」が「球均し本体52」の真下から所定量突出することで、パチンコ玉と接触する「接触部」を形成し、さらに、訂正前明細書の「従って、球均し51が取り付けられた状態では、支持孔53内に達した針55が金属パイプ54と接触し、その針55が、金属パイプ54、カーボンパッキン56、そして、そのカーボンパッキン56に接続された不図示のアース線15を介して金枠などのアース側へ接続されるよう構成されることとなる。」(段落【0027】)との記載から、「針55」は、「金属パイプ54」、「カーボンパッキン56」を介して間接的に「アース線15」に接続されているものと認められる。
また、「針55」が導電性物質からなることが記載されていないものの、訂正前明細書の「樹脂などの絶縁材で形成されたひょうたん型の球均し本体52から構成」との記載、及び「そのため、本実施の形態のパチンコゲーム機においても針55に接触するパチンコ球を除電して制御回路等への悪影響を防止することが可能」(段落【0027】)との記載から、「パチンコ球」に帯電した電荷が「針55」を介してアースされることは明らかであるから、「針55」は導電性物質からなることは自明である。
よって、訂正前明細書には、揺動手段(球均し12)のパチンコ球と接触する接触部(針55)がアースと間接的に接続され、パチンコ球に帯電した電荷が揺動手段(球均し12)、金属パイプ54、カーボンパッキン56を介してアース側へ移動することで除電される構成が記載されているものと認められる。

以上のことから総合すると、訂正前明細書には、2つの実施の形態、すなわち「揺動手段(球均し12)」のパチンコ球と接触する「接触部」がアースと直接的に接続される実施の形態及び、「揺動手段(球均し12)」のパチンコ球と接触する「接触部」がアースと間接的に接続される実施の形態が記載されているものと認められる。
そして、訂正事項1、2の訂正によって、当該2つの実施の形態が明細書に開示されていることがより一層、明りょうとなるものである。
したがって、訂正事項1、2の訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

さらに、上記訂正事項1、2は、いずれも訂正前の明細書に記載された事項に基づいて行われているから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもないことは明らかである。

4.むすぶ
以上のとおりであるから、本件訂正は、平成6年改正前の特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同法同条第1項ただし書き及び第2項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
パチンコゲーム機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコゲーム機背面側に形成された機構盤上にあって、当該パチンコゲーム機の最上段に配設された賞球タンクが補給装置から落下するパチンコ球を受けて一旦貯留し、賞球の払い出しにともなって前記賞球タンク内からパチンコ球が順に当該パチンコゲーム機に形成された流路を通って払出されるパチンコゲーム機において、
前記流路上に配設された揺動手段を有し、当該揺動手段の流下するパチンコ球との接触部がアース側に導通されたものであることを特徴とするパチンコゲーム機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ球に発生する静電気を抑制するパチンコゲーム機に関し、特に、ゲーム機背面に形成された賞球タンクから払出されるパチンコ球に帯電した静電気を除去するパチンコゲーム機に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近のパチンコゲーム機では、遊技内容に変化を加えることによってパチンコゲーム機を利用する遊技者の興味を高めるべく種々の役物が備えられている。そのような中、パチンコゲーム機には、そのような役物の制御を含む各種機器の制御に非常に多くの電子制御回路が組み込まれている。例えば、役物制御回路、表示回路、或いは賞球の排出制御回路などあらゆる回路が組み込まれている。そして、このような制御もマイクロコンピュータ等を含む電子制御回路が主流となり、その構造も非常に複雑なものになってきている。
ところで、パチンコゲーム機に使用されるパチンコ球は、導電体である鉄によって形成されて研磨処理などが施されたものであるが、そのパチンコ球には研磨剤との摩擦によって静電気が発生し帯電することとなる。また、循環して使用されるパチンコ球は、パチンコ球同士の摩擦、若しくはパチンコ球とプラスチック材やセルロイド材が用いられている通路との摩擦などを原因としても静電気が発生することとなる。
【0003】
そのため、パチンコゲーム機では、このようなパチンコ球に生じた静電気を原因として誤動作を生じる等の障害が発生するという問題が生じた。即ち、前述したように現在のパチンコゲーム機は、各種機器がマイコン化された電子回路によって制御されているため、パチンコ球に帯電した電荷が放電現象のようにして高電圧パルスとして発生し、その電子回路にノイズとなって生じることとなった。そのため、このようなノイズに弱い電子回路は、静電気がパチンコ球からパルス性のノイズとして発生することを原因として回路の誤動作や動作停止などの種々の障害を発生することとなった。
そこで、従来からこのような静電気に対する対策としてハードウェアの面、及びソフトウェアの面から種々の取り組みがなされてきている。しかし、これらは比較的小さいパルス性のノイズに対して有効であるものの、放電のように大きなパルス性のノイズでは、電子回路の耐圧を越える電圧が印加され各電子回路が物理的に破壊されてしまうといった問題に対処できるものではなかった。
【0004】
一方、パチンコ球は、島設備内を下から上へと循環して各パチンコゲーム機に供給されるため、島設備内のパチンコ球の循環機やパチンコゲーム機に賞球タンクなどのようにパチンコ球が大量に集められる場所がある。そのような場所では、パチンコ球同士の衝突が激しく特に静電気が発生し易い。
そこで、従来から静電気対策を施したパチンコゲーム機が種々開発されている。その一例として特開平5?305177号公報に開示された、パチンコゲーム機背面側にある賞球タンクに連通した払出流路においてパチンコ球の帯電防止機能を備えたパチンコゲーム機が挙げられる。
以下、本公報に開示された従来のパチンコゲーム機について図面を参照して簡単に説明する。図10は、パチンコゲーム機の払出流路の一部を示した平面図であり、カバーを外した状態を示したものである。
【0005】
パチンコゲーム機は、列設された島毎にパチンコ球を補給するための補給樋が設けられ、所定のタイミングで各パチンコゲーム機の賞球タンクへパチンコ球が落下するよう構成されている。そして、最上段に位置する賞球タンクから払出流路を流下し、賞球基板からの所定の指令に基づいてパチンコ球が賞球として払い出されることとなる。
そのような図10に示した払出流路の構成は、賞球排出通路101、余剰球排出通路102、連絡路103及び球抜き通路104がプラスチック材などで形成されている。そして、その流路を覆う樋カバー111が設けられ、流路の内部又は側方に形成された止め穴105に樋カバー111に形成されたビス穴112を一致させ、不図示のビスによって止着することによって樋カバー111が取り付けられる。
【0006】
そして、本従来例のパチンコゲーム機では、前記課題を解決すべく、不図示の賞球タンク並びに樋カバー111が除電樹脂で成形されている。除電樹脂とは、例えば、カーボン系極細線維物質を数パーセント含有したABS樹脂によって構成されたものである。
そこで、このようなカーボン系極細線維物質の先端に帯電したパチンコ球の逆のイオンが集まることによって、中和現象を起こして静電気が空気中にコロナ放電される。そのため、各通路を流下するパチンコ球は、帯電した電荷が除電樹脂によってコロナ放電されることで除去され、前述した電子回路への悪影響の防止が図られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例で示した除電手段を備えたパチンコゲーム機では、確かにその除電効果を奏する点で評価できるもののコストの面で現実的でない点で課題を残すものであった。即ち、電子回路が配設されたパチンコゲーム機の背面側で静電気の除電を行う点では従来の他のパチンコゲーム機と比べて有効であるものの、賞球タンク及び樋カバーをABS樹脂を使用したのでは、一般に使用されるプラスチック材などに比べて価格が高くなるものであった。
一方、パチンコゲーム機において発生するパチンコ球の静電気は、パチンコ球が発射レールを伝わって表側の遊技領域内に放たれる場合のように、パチンコ球の移動量が大きい場合にも発生し易い。そこで、除電効果を奏する他の従来例としては、ガイドレールに放電部材を設けたもの(特開平7?24111号公報)、或いは遊技領域内に配設された風車の軸に放電部材を設けたもの(特開平7?31745号公報)等が開示されている。しかし、前述したようにパチンコ球同士が激しくの衝突しあう賞球タンクなどで静電気を多く発生すること、及びその静電気が特に電子回路への悪影響を及ぼすことを考慮すると、パチンコゲーム機の遊技領域即ち前面側に除電手段を設けるよりも背面側で除電することがより有効であるといえる。
【0008】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、電子回路への静電気の悪影響を効果的に防止する安価な除電手段を有するパチンコゲーム機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のパチンコゲーム機は、パチンコゲーム機背面側に形成された機構盤上にあって、当該パチンコゲーム機の最上段に配設された賞球タンクが補給装置から落下するパチンコ球を受けて一旦貯留し、賞球の払い出しにともなって前記賞球タンク内からパチンコ球が順に当該パチンコゲーム機に形成された流路を通って払出されるものであって、前記流路上に配設された揺動手段を有し、当該揺動手段の流下するパチンコ球との接触部がアース側に導通されたものであることを特徴とする。
【0010】
【0011】
【0012】
このような構成からなる本発明のパチンコゲーム機では、補給装置から賞球タンク内に吐出され蓄えられた多くのパチンコ球は、その賞球タンク内でパチンコ球同士が激しくの衝突しあうため、多くの静電気を発生することとなるが、そこから順にパチンコゲーム機に形成された流路を通って払出される際、帯電したパチンコ球が揺動手段と接触すると、その接触部がアースと直接的又は間接的に接続されることでアース側に導通するためパチンコ球に帯電した電荷がアース側へ移動することで除電されることとなる。従って、パチンコ球に発生した静電気が流路に近接して配設された電子回路へ悪影響を及ぼすことを効果的に防止し、その防止手段としての除電手段を安価に提供できた。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明にかかるパチンコゲーム機の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態のパチンコゲーム機を示した背面図である。
このパチンコゲーム機1は、所定量のパチンコ球を賞球として払い出すものであり、枠体2に対して開閉可能に蝶着された機構セット盤3上に形成されている。そのパチンコゲーム機1の最上段には、上方に開口した賞球タンク4が機構セット盤3に固定されている。その賞球タンク4の直上には補給装置5が配設され、吐出部5aが垂下されている。賞球タンク4は、傾斜した底面に連通孔が形成され、その連通孔下方にはパチンコ球を整列流出し得る傾斜したタンクレール6が連設されている。
【0014】
更に、賞球ケース7内には、タンクレール6の下流側のパチンコ球をさらに減圧して送り出す送出樋8が連設され、その送出樋8を通過するパチンコ球の数を確認する確認スイッチ、そのパチンコ球の送り出しを調節する払い出しソレノイド等(いずれも不図示)が内装されている。そして、送出樋8の下流側には排出部が形成され、排出路9a及び下部受け皿満タンスイッチが内装された排出路9bが下端部下方に開口して形成されている。
また、機構セット盤3上には、基板ボックス内に装填されたメイン基板10が、遊技盤裏面を覆うセンタカバー11に装着され状態で固定されている。このメイン基板10は、パチンコゲーム機の遊技動作などを制御する制御回路が構成されている。そして、その制御回路は、制御動作を所定の手順で実行することができるCPU、その動作プログラムデータを格納するROM、データの書き込み及び読み出しを行うRAM、又は入出力回路やクロック発生器などを含むマイクロコンピュータが装着されている。
【0015】
そして、このような構成をなす遊技盤の背面にあて、パチンコゲーム機1のタンクレール6の途中には揺動可能な球均し12が設けられている。タンクレール6に開孔した賞球タンク4の連通孔は、パチンコ球の詰まりを防止すべくある程度の大きさを有している。そのため、タンクレール6へはパチンコ球が重ねられて流下することとなるので、球均し12が、更に下流側での詰まりを防止し適切なパチンコ球の払い出しを行うべくパチンコ球を整列させるよう構成されたものである。
具体的には、そのタンクレール6の底面から所定の高さの位置に軸支された球均し12が、タンクレール6を通るパチンコ球が接触することにより下流方向に受けた力で押された場合、その球均し12とタンクレール6底面との間に1個のパチンコ球が通過できる程度の隙間を有するよう構成されたものである。
【0016】
そこで、次に本発明の特徴をなす球均しの第1の実施の形態について具体的に説明する。図2は、第1実施の形態の球均しの取り付け状態を示した分解斜視図である。球均し12は、賞球タンク4に連結された連結板13に軸支されている。この連結板13は、賞球タンク4の底面裏にわずかに揺動するよう軸支され、図1に示すよう端部には賞球タンク4内の底板4aに加わるパチンコ球の重量を検出する検出スイッチが係設されている。球均し12は、このような連結板の中途下方に軸支されている。
本実施の形態の球均し12は、同型のものが流路の幅方向に重ねて設けられている。その球均し12,12は、所定幅のリング材が二重にして形成されたものであり、外側には略三角形状をしたおむすび型の三角リング12aをなし、その内部には2個の円形リング12b,12cが嵌装されている。この円形リング12b,12bにはパチンコ球の挿入が可能であり、球均し12,12の自重を調節して、揺動具合を調整することができる。そして、円形リング12b,12cを底面にした三角リング12aの頂部に支持管12dが形成されている。また、本実施の形態では、球均し12,12は銅材などの導電材で形成されている。
【0017】
このような構成の球均し12,12は、ビス14によって連結板13の支持部13a,13aに軸支されている。また、一方の球均し12にはカーボンパッキン16が接触するようビス14に貫かれて設けられている。そして、そのカーボンパッキン16にはアース線15が接続され、パチンコゲーム機の金枠或いは外枠などのアース側へ接続されている。
そこで、賞球タンク4内に蓄えられたパチンコ球は、前述したようにそのタンク内で激しく衝突しあい多くの静電気を発生させたままタンクレール6内へと送られることとなる。しかし、本実施の形態では、そのタンクレール6内を通るパチンコ球が図3に示すように球均し12,12によって均されて整列した状態で通過することとなるため、パチンコ球が球均し12,12に接触した際に帯電した電荷が球均し12,12を介してアース側へ移動し、静電気の発生したパチンコ球が除電される。
【0018】
従って、本実施の形態のパチンコゲーム機によれば、従来パチンコ球の整列のために使用してきた球均しに除電効果を与えるよう構成したことで、メイン基板10を構成する制御回路、特にマイクロコンピュータへの悪影響を防止することが可能となった。また、球均しを利用して構成したことによって除電手段を簡易に構成することができ、かつ部材費用もかからないことから、除電手段を安価に提供することが可能となった。
【0019】
次に、本発明の第2実施の形態について説明する。なお、以下に示す第2乃至第6実施の形態は、いずれも前記第1実施の形態で示したパチンコゲーム機の球均し12に代わる変形例であるため、他の構成は省略しその特徴的な構成である球均しについてのみ説明する。
そこで、図4は、第2実施の形態の球均し21を示した分解斜視図である。本実施の形態の球均し21は、樹脂などの絶縁材で形成されたひょうたん型の球均し本体22から構成され、体積の大きい方を下部にする一方、上端部に厚み方向に支持孔23が穿設されている。この球均し21の厚みは、配設されるタンクレール6幅に対応させたものである。そして、支持孔23には、球均し本体22を揺動支持するための金属パイプ24が嵌挿される。また、球均し21には、短冊状の金属板25が用意され、リード線26を介してカーボンパッキン27に接続されている。
【0020】
そこで、前記第1実施の形態のようにこの球均し21の取り付けには、連結板13の支持部13a,13a間に金属パイプ24が嵌挿された球均し本体22が配設され、金属パイプ24と一方の支持部13aとの間にカーボンパッキン27を挟んだ状態で、ボルト28が一方から貫通され他方でナットなどで固定される。また、カーボンパッキン27にはアース線15が接続されている。球均し21が取り付けられた状態では、金属板25は、球均し本体22の曲面部、特にパチンコ球が接触する上流側の曲面部22aにならうように添えられる。よって、本実施の形態では、その金属板25が、リード線26、カーボンパッキン27、そして、そのカーボンパッキン27に接続された不図示のアース線15を介して金枠などのアース側へ接続されるよう構成されることとなる。
【0021】
従って、前述したように賞球タンク4からタンクレール内を流れるパチンコ球は、この球均し21に均されることとなる。その際、必ず金属板25に接触するため、帯電したパチンコ球は金属板25との接触によって電荷が金属板25からアース側へ移動することで除電される。
よって、本実施の形態のパチンコゲーム機によれば、従来パチンコ球の整列のために使用してきた球均しに除電効果を与えるように構成したことによって、メイン基板10を構成する制御回路、特にマイクロコンピュータへの悪影響を防止することが可能となった。また、球均しを利用して構成したことによって除電手段を簡易に構成することができ、かつ部材費用もかからないことから除電手段を安価に提供することが可能となった。
【0022】
次に、本発明の第3実施の形態について説明する。ここで、図5は、第3実施の形態の球均しを示した分解斜視図である。
本実施の形態の球均し31は、前記第2実施の形態のものと同様に樹脂などの絶縁材で形成されたひょうたん型の球均し本体32から構成され、体積の大きい方を下部にする一方、上端部に厚み方向に支持孔33が穿設されている。この球均し本体32の厚みは、配設されるタンクレール6幅に対応させたものである。そして、その支持孔33には、球均し本体32を揺動支持するための金属パイプ34が嵌挿される。そして本実施の形態の球均し31には、球均し本体32へ側方から装着する金属製のカバー35が用意されている。
そこで、前記第1実施の形態のようにこの球均し31の取り付けには、連結板13の支持部13a,13a間に、カバー35が装着され金属パイプ34が嵌挿された球均し本体32が配設され、金属パイプ34と一方の支持部13aとの間にカーボンパッキン36を挟んだ状態で、ボルト37が一方から貫通され他方でナットなどで固定される。
【0023】
従って、球均し31が取り付けられた状態では、カバー35は、球均し本体32を覆って設けられ、カーボンパッキン36に接続された不図示のアース線15を介して金枠などのアース側へ接続されるよう構成されることとなる。
そのため、本実施の形態のパチンコゲーム機においてもタンクレール内を流れるパチンコ球が、この球均し31に接触することで整列されるとともに除電され、制御回路等への悪影響を防止することが可能となった。また、このような簡易な構成により除電手段を安価に提供することも可能となった。
【0024】
次に、本発明の第4実施の形態について説明する。ここで、図6は、第4実施の形態の球均しを示した斜視図である。
本実施の形態の球均し41は、前記第3実施の形態のものと同様に樹脂などの絶縁材で形成されたひょうたん型の球均し本体42から構成され、体積の大きい方を下部にする一方、上端部に厚み方向に支持孔43が穿設されている。この球均し本体42の厚みは、配設されるタンクレール6幅に対応させたものである。そして、その支持孔43には、球均し本体42を揺動支持するための金属パイプ44が嵌挿される。そして本実施の形態の球均し41には、その球均し本体42の中心を貫くように導電繊維製のブラシ45がはめ込まれている。具体的には、ブラシ45は、カーボン混合繊維から形成された短冊形状をなしたものであり、その一端が支持孔43内にまで達し、他端が球均し本体42の真下から所定量突出するよう形成されたものである。
【0025】
そこで、前記第1実施の形態のようにこの球均し41の取り付けには、連結板13の支持部13a,13a間に金属パイプ44が嵌挿された球均し本体42が配設され、金属パイプ44と一方の支持部13aとの間にカーボンパッキン46を挟んだ状態で、ボルト47が一方から貫通され他方でナットなどで固定される。
従って、球均し31が取り付けられた状態では、支持孔43内に達したブラシ45が金属パイプ44と接触し、そのブラシ45が、金属パイプ44、カーボンパッキン46、そしてそのカーボンパッキン46に接続された不図示のアース線15を介して金枠などのアース側へ接続されるよう構成されることとなる。
そのため、本実施の形態のパチンコゲーム機においてもブラシ45に接触するパチンコ球を除電して制御回路等への悪影響を防止することが可能となり、その除電手段を安価に提供することが可能となった。特に、本実施の形態のものでは、下端に突出したブラシ45へパチンコ球が接すればよいため、球均し本体42は2段に重なって流れてきたパチンコ球にのみ当たるよう高さを調節することができ、タンクレールを流れるパチンコ球への抵抗を軽減することで全体の流れをスムーズにすることができる。
【0026】
次に、本発明の第5実施の形態について説明する。ここで、図7は、第5実施の形態の球均しを示した斜視図である。
本実施の形態の球均し51は、前記第4実施の形態のものと同様に樹脂などの絶縁材で形成されたひょうたん型の球均し本体52から構成され、体積の大きい方を下部にする一方、上端部に厚み方向に支持孔53が穿設されている。この球均し本体52の厚みは、配設されるタンクレール6幅に対応させたものである。そして、その支持孔53には、球均し本体52を揺動支持するための金属パイプ54が嵌挿される。そして本実施の形態の球均し51には、その球均し本体52の中心を貫くように針55がはめ込まれている。具体的には、針55は、その一端が支持孔53内にまで達し、他端が球均し本体52の真下から所定量突出するよう形成されたものである。
【0027】
そこで、前記第1実施の形態のようにこの球均し51の取り付けには、連結板13の支持部13a,13a間に、針55が装着され金属パイプ54が嵌挿された球均し本体52が配設され、金属パイプ54と一方の支持部13aとの間にカーボンパッキン56を挟んだ状態で、ボルト57が一方から貫通され他方でナットなどで固定される。
従って、球均し51が取り付けられた状態では、支持孔53内に達した針55が金属パイプ54と接触し、その針55が、金属パイプ54、カーボンパッキン56、そして、そのカーボンパッキン56に接続された不図示のアース線15を介して金枠などのアース側へ接続されるよう構成されることとなる。
そのため、本実施の形態のパチンコゲーム機においても針55に接触するパチンコ球を除電して制御回路等への悪影響を防止することが可能となり、その除電手段を安価に提供することが可能となった。また、前記第4実施の形態のものと同様に、タンクレールを流れるパチンコ球への抵抗を軽減することで全体の流れをスムーズにすることができる。
【0028】
次に、本発明の第6実施の形態について説明する。ここで、図8は、第6実施の形態の球均しを示した斜視図である。
本実施の形態の球均し61は、前記実施の形態のものと同様なひょうたん型の形状をなし、上端部に厚み方向に支持孔62が穿設されたものであって、それ自体が金属によって形成されてたものである。
そこで、前記第1実施の形態のようにこの球均し61の取り付けるには、連結板13の支持部13a,13a間に金属パイプ63が嵌挿された球均し61が配設され、金属パイプ63と一方の支持部13aとの間にカーボンパッキン64を挟んだ状態で、ボルト65が一方から貫通され他方でナットなどで固定される。従って、球均し61が取り付けられた状態では、金属パイプ63、カーボンパッキン64、そして、そのカーボンパッキン64に接続された不図示のアース線15を介して金枠などのアース側へ接続され、タンクレールを流れるパチンコ球が除電されることとなる。そのため、制御回路等への悪影響を防止することが可能となり、その除電手段を安価に提供することが可能となった。
【0029】
次に、本発明の第7実施の形態について説明する。本実施の形態のパチンコゲーム機は、前記第1実施の形態で示したものと同様な構成をなすものであり、その特徴とするところは、パチンコ球の流路上に配設させた球均しに代わる揺動部材を設けた点にある。なお、他の構成は前記第1実施の形態で示したパチンコゲーム機と同様であるため省略する。そこで、図9は、本実施の形態の除電手段を示した斜視図である。
本実施の形態の除電手段は、タンクレール6の下流部に配設されるものである。そのタンクレール6は、下流側に流路を2分割する分流板6aが立設され、その両側の壁面頂部には、それぞれ2カ所づつ取付穴6b,6b…が形成されている。一方、タンクレール6の流路幅に合わせた板材71が用意され、その両端には取付穴6b,6b…に嵌合する支軸72,72が設けられている。また、板材71には、その中央線上に沿って取付部73が立設され、それを挟むように2カ所の穴74,74が開設されている。
【0030】
そして、このような板材71に対して2本の接触部75a,75aが跳ね上げられた形状の球止め部材75が設けられている。
そこで、球止め部材75は、タンクレール6に取り付けられた板材71の取付部73にビス76によって揺動可能に軸支され、その接触部75a,75aが穴74,74から下方に突出するよう係設される。このとき、板材71に係設された接触部75a,75aは、分流板6aを挟んで位置し、それぞれを流れるパチンコ球がその接触部75a,75aに接触するよう構成される。また、ビス76の先端にはカーボン製の止め輪77が嵌合され、それに不図示のアース線が接続されている。
【0031】
よって、本実施の形態のパチンコゲーム機では、このような除電手段を設けたことにより、賞球タンク4からタンクレール6内に流れ込んだパチンコ球が必ず接触部75a,75aに接触するため、パチンコ球に帯電した電荷は、その板材71から止め輪77に接続されたアース線を介して除電される。そのため、本実施の形態のものでも制御回路等への悪影響を防止することが可能となり、その除電手段を安価に提供することが可能となった。
【0032】
以上、本発明にかかるパチンコゲーム機の実施の形態について数例を挙げて説明したが、本発明は、これら実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記各実施の形態では除電手段12,21…をタンクレール上に配設させたが、その配置は当該箇所に限定されるものではなく他の流路上であってもよい。
【0033】
発明の効果
本発明は、パチンコゲーム機背面側に形成された機構盤上にあって、その最上段に配設された賞球タンクが補給装置から落下するパチンコ球を受けて一旦貯留し、賞球の払い出しにともなって前記賞球タンク内からパチンコ球が順に前記パチンコゲーム機に形成された流路を通って払出されるものであって、当該揺動手段の流下するパチンコ球との接触部がアースと直接的又は間接的に接続されることでアース側に導通する構成としたことにより、帯電したパチンコ球が流下する際、その揺動手段と接触することによって帯電した電荷がアース側に移動するので、電子回路への静電気の悪影響を効果的に防止し、その防止手段としての除電手段を安価にしたパチンコゲーム機を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示したパチンコゲーム機の背面図である。
【図2】第1実施の形態の球均しの取り付け状態を示した分解斜視図である。
【図3】第1実施の形態の球均しの動作状態を示した正面図である。
【図4】第2実施の形態の球均しを示した分解斜視図である。
【図5】第3実施の形態の球均しを示した分解斜視図である。
【図6】第4実施の形態の球均しを示した斜視図である。
【図7】第5実施の形態の球均しを示した斜視図である。
【図8】第6実施の形態の球均しを示した斜視図である。
【図9】第7実施の形態の除電手段を示した斜視図である。
【図10】従来のパチンコゲーム機における払出流路の一部を示した平面図であり、カバーを外した状態を示したものである。
【符号の説明】
1 パチンコゲーム機
2 枠体
3 機構セット盤
4 賞球タンク
4a 底板
5 補給装置
5a 吐出部
6 タンクレール
6a 分流板
6b 取付穴
7 賞球ケース
8 送出樋
9a,9b 排出路
10 メイン基板
11 センタカバー
12 球均し
12a 三角リング
12b,12c 円形リング
12d 支持管
13 連結板
13a 支持部
14 ビス
15 アース線
21,31,41,51,61 球均し
22,32,42,52 球均し本体
23,33,43,53,62 支持孔
24,34,44,54,63 金属パイプ
25 金属板
26 リード線
27,36,46,56,64 カーボンパッキン
28,37,47,57,65 ボルト
35 カバー
45 ブラシ
55 針金
71 板材
72 支軸
73 取付部
74 穴
75 球止め部材
75a 接触部
76 ビス
77 止め輪
101 賞球排出通路
102 余剰球排出通路
103 連絡路
104 球抜き通路
105 止め穴
111 樋カバー
112 ビス穴
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2010-12-16 
出願番号 特願平8-333573
審決分類 P 1 41・ 853- Y (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 高橋 三成  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 井上 昌宏
川島 陵司
登録日 2008-04-25 
登録番号 特許第4114088号(P4114088)
発明の名称 パチンコゲーム機  
代理人 矢野 寿一郎  
代理人 矢野 寿一郎  

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