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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01N
管理番号 1230722
審判番号 不服2009-18531  
総通号数 135 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-01 
確定日 2011-02-08 
事件の表示 特願2004-127502「溶射被覆された物品の作製方法及び超音波試験法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年11月18日出願公開、特開2004-325450、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成16年4月23日(パリ条約による優先権主張 平成15年4月24日 米国)の特許出願であって,平成21年5月29日付けで拒絶査定がなされ,それに対し同年10月1日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,同日付で手続補正(以下,「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正について
1.補正の目的
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1?7は,以下のとおり補正された(以下,「補正発明1」?「補正発明7」という。)。下線は,補正部分を示す。
「【請求項1】
溶射皮膜(46)を有する物品を作製する方法であって,
表面(42)を有する基材物品(44)を準備する段階と,
被覆された物品(40)を形成する段階と,
を含み,前記形成する段階が前記基材物品(44)の表面(42)上に被覆材料(41)を溶射する段階を含み,前記被覆材料(41)と前記基材物品(44)と間の接触表面が結合ライン(48)であり,
前記方法が更に,
前記被覆された物品(40)を非破壊的に試験する段階を含み,
前記非破壊的に試験する段階が,
超音波送信信号(68)を前記被覆された物品(40)に配向する段階と,
前記被覆された物品(40)から超音波受信信号(72)を受信する段階と,
前記超音波受信信号(72)を用いて前記結合ライン(48)に隣接して位置する前記被覆された物品(40)の結合ライン近傍区域(50)を評価する段階と,
を含み,
前記評価する段階が,
前記結合ライン近傍区域(50)からの前記超音波受信信号(72)内に強い応答ピークが存在する場合に,層間剥離の存在を判断し,
前記結合ライン近傍区域(50)からの前記超音波受信信号(72)内に弱い応答ピークが存在する場合に,機械的結合の存在を判断し,
前記結合ライン近傍区域(50)からの前記超音波受信信号(72)内に応答ピークが存在しない場合に,金属結合の存在を判断することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記準備する段階が,ニッケル基合金又はコバルト基合金製の基材物品(44)を準備する段階を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記形成する段階が,前記溶射する段階の後に,被覆材料(41)を有する前記基材物品(44)を熱処理する段階を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶射する段階が,高速度オキシ燃料溶射,空気プラズマ溶射,減圧プラズマ溶射,電気ワイヤアーク溶射,燃焼ワイヤ式溶射,又は燃焼粉体式溶射によって,被覆材料(41)を溶射する段階を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記非破壊的に試験する段階が,5MHZ乃至20MHZの周波数で超音波送信信号(68)を配向する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記評価する段階が,前記結合ライン近傍区域(50)を定めるために超音波受信信号(72)内に空間ゲートを設定する段階を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記非破壊試験の段階が,前記超音波受信信号(72)を反射超音波信号として受信する段階を含むことを特徴とする,請求項1に記載の方法。」

上記補正は,補正前の請求項1に係る発明を特定するための必要な事項である「前記結合ライン近傍区域(50)からの前記超音波受信信号(72)内に応答ピークが実質的に存在しない場合」について,「前記結合ライン近傍区域(50)からの前記超音波受信信号(72)内に応答ピークが存在しない場合」であるとし,また同じく補正前の請求項5に係る発明を特定するための必要な事項である「約5MHZ乃至20MHZの周波数」について,「5MHZ乃至20MHZの周波数」であるとするものである。そして両者はその対象範囲を狭くするものであるから,それぞれを限定するものであり,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下,「平成18年改正前」という。)の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2.独立特許要件について
原査定の理由にも引用された,本願出願日前に頒布された刊行物である特開2000-074888号公報(以下,「引用刊行物1」という。),及び特開平04-238265号公報(以下,「引用刊行物2」という。)には,共に溶射皮膜を被覆された物品を非破壊的に試験する方法として超音波エコーを用いる検査方法が記載されているが,引用刊行物1,2に記載された発明は基材からの反射エコーを検出しているものであり,本件発明のように「被覆材料」と「基材」の界面からの反射エコーを直接検出するものではない。
そして,界面を検出することによって,機械的結合と金属結合とを確実に確認することが可能となるという格別な効果を奏すると認められる。
そうすると,補正発明1?補正発明7は,原査定の拒絶の理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって結論のとおり審決する。
 
審決日 2011-01-27 
出願番号 特願2004-127502(P2004-127502)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 横井 亜矢子  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 信田 昌男
竹中 靖典
発明の名称 溶射被覆された物品の作製方法及び超音波試験法  
代理人 荒川 聡志  
代理人 黒川 俊久  
代理人 小倉 博  

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