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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63F
管理番号 1238551
審判番号 訂正2011-390032  
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2011-03-29 
確定日 2011-06-02 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4250588号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4250588号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第4250588号の請求項1-4に係る発明は、平成16年12月21日に出願した特願2004-370085号の特許出願に係り、平成21年1月23日にその特許権の設定の登録がなされたものである。

2.審判請求の要旨
本件審判請求の要旨は、本件特許第4250588号の明細書及び特許請求の範囲を明りょうでない記載の釈明を目的として明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものである。
その訂正内容は、次のとおりである(下線部が訂正部分である)。

<訂正事項1>
請求項1の「前記窓孔部と対応する部位が透光性を有するように形成されると共に被覆する部位毎にそれぞれ対応した形状の複数のカバーパーツを連結させたカバー部材」とあるのを「前記窓孔部と対応する部位が透光性を有するように形成されると共に、被覆する部位毎にそれぞれ対応した形状の複数のカバーパーツを連結させたカバー部材」と訂正する。

<訂正事項2>
明細書の段落0005において「前記窓孔部と対応する部位が透光性を有するように形成されると共に被覆する部位毎にそれぞれ対応した形状の複数のカバーパーツを連結させたカバー部材」とあるのを「前記窓孔部と対応する部位が透光性を有するように形成されると共に、被覆する部位毎にそれぞれ対応した形状の複数のカバーパーツを連結させたカバー部材」と訂正する。

<訂正事項3>
明細書の段落0008において「その窓孔部が透光性を有するように形成されたカバー部材」とあるのを「その窓孔部と対応する部位が透光性を有するように形成されたカバー部材」と訂正する。

3.当審の判断
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前は窓孔部と対応する部位が透光性を有するように形成される対象が不明りょうであったものを「前記窓孔部と対応する部位が透光性を有するように形成されると共に、被覆する部位毎にそれぞれ対応した形状の複数のカバーパーツを連結させたカバー部材」と下線部の読点を追加することにより、その対象がカバー部材であることを明らかにするためのものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記訂正は訂正前の明細書に記載された事項に基づいて行われているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、上記2.の<訂正事項1>についての訂正により、特許請求の範囲の請求項1における明りょうでない記載の釈明を行った結果、記載表現が一致しなくなった明細書の記載を、訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるための訂正であり、明りょうでない記載の釈明に該当する。
また、訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でされたものである。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項1の記載と整合しておらず不明りょうであった記載を請求項1の記載と整合させるための訂正であり、明りょうでない記載の釈明に該当する。
また、訂正事項3による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でされたものである。

(4)付記
上記各訂正事項は、上述したとおり、明りょうでない記載の釈明を目的としたものと認めることができ、特許法第126条第1項ただし書第1号または第2号に掲げる事項を目的としたものではないから、同法同条第5項の適用はない。
そのため、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際に独立して特許を受けることができたか否かを、あらためて検討することは、訂正許否の要件とはならない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項及び第4項の規定にも適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機の前面枠
【技術分野】
【0001】
本発明は、外枠に対して開閉自在に装着された内枠の前面に開閉自在に装着されるパチンコ遊技機等の遊技機の前面枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の例えばパチンコ遊技機としては、図5に示すものが知られている。このパチンコ遊技機101は、前面下部に腰板部102が張設された外枠の前面側に、該外枠の上端から下部の腰板部102の上端までの距離と略等しい高さ幅を有すると共に、遊技盤保持枠を含む状態で形成された内枠が開閉自在に装着されている。そして、この内枠の前面には、該内枠の遊技盤保持領域を被覆する第1の扉枠103aと、この第1の扉枠103aの下方に位置し上皿105が設けられた第2の扉枠103bと、この第2の扉枠103bの下方に位置し下皿106と遊技球発射操作ハンドル107等が設けられた第3の扉枠103cからなる前面枠103が配設されて、この前面枠103で内枠の前面が被覆されるようになっている。なお、かかるパチンコ遊技機としては、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2001-353318号公報
【特許文献2】特開2002-159703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようなパチンコ遊技機101にあっては、遊技機101の前面枠103が、装飾カバー104a?104cで被覆された第1?第3の3つの扉枠103a?103cで形成され、これらの各扉枠103a?103cによって内枠(外枠)の前面が被覆される構造であるため、前面枠103を製造する場合、例えば各扉枠103a?103cの前面(表面)に装飾カバー104a?104cを取り付け、この各扉枠103a?103cを外枠に対して例えば下方の第3の扉枠103cから上方に順に取り付ける必要がある。また、この各扉枠103a?103cの取り付け時に、上下の扉枠103a、103bあるいは扉枠103b、103cの接合部108に規定値以上の隙間が発生しないように、かつ各扉枠103a?103cが互いにスムーズに開放操作できるように位置決めしつつ取り付ける必要があり、これらの各作業が面倒となって、前面枠103の製造工程が複雑化し易いという問題点を有している。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、前面枠基体の装飾部を装飾カバーユニットにより一括して覆うことにより、前面枠の組立作業性を大幅に向上させてその製造工程の簡素化を図り得ると共に意匠的美観を向上させ得る遊技機の前面枠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、矩形状に形成された前面枠基体に、遊技領域を含む窓孔部と、該窓孔部を除く部位に形成された装飾部とが備えられ、この前面枠基体の表面の略全体に、前記窓孔部と対応する部位が透光性を有するように形成されると共に、被覆する部位毎にそれぞれ対応した形状の複数のカバーパーツを連結させたカバー部材と、該カバー部材の下部表面側を被覆し遊技球発射操作ハンドルが取り付けられる操作ハンドルカバーとを有する装飾カバーユニットを装着することにより、前記窓孔部及び装飾部を一括して被覆してなることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、前記前面枠基体の装飾部に電飾部材が配設されると共に、該電飾部材を被覆する前記カバー部材の電飾部材被覆部位が透光性を有するレンズ部材として機能することを特徴とする。
【0007】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記前面枠基体の装飾部に音声発生手段が配設されると共に、該音声発生手段を被覆する前記カバー部材の音声発生手段被覆部位に音声通過孔が設けられていることを特徴とし、請求項4に記載の発明は、前記カバー部材の遊技領域の下方を被覆する部位に、前記操作ハンドルカバーに設けられた受皿に遊技球を誘導するための受皿誘導樋が一体形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、窓孔部や装飾部が形成された前面枠基体の表面に、その窓孔部と対応する部位が透光性を有するように形成されたカバー部材とこのカバー部材の下部表面側を被覆し遊技球発射操作ハンドルが取り付けられる操作ハンドルカバーとを有する装飾カバーユニットが装着され、該カバーユニットにより前面枠基体の表面の略全体が一括して被覆されるため、前面枠基体の表面を略一枚物の装飾カバーユニットで覆うことができて、前面枠基体への装飾カバーユニットの取付作業が極めて簡単に行える等、前面枠の組立作業性を向上させてその製造工程の大幅な簡素化を図ることができる。また、カバー部材が、被覆する部位毎にそれぞれ対応した形状の複数のカバーパーツを連結させて構成されるため、装飾部の各機能に応じた複数のカバーパーツを予め成形し、これを熱溶着等により連結させてカバー部材を形成でき、意匠的に変化に富みかつ各カバーパーツ間に隙間等のないカバー部材が容易に得られて、前面枠表面の意匠的美観を向上させることができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、前面枠基体の装飾部に電飾部材が配設されると共に、この電飾部材を被覆するカバー部材の電飾部材被覆部位が透光性を有するレンズ部材として機能するため、カバーを電飾用のレンズとして使用でき、電飾効果を高めて前面枠表面の意匠的美観を一層向上させることができる。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、前面枠基体の装飾部に音声発生手段が配設されると共に、この音声発生手段を被覆するカバー部材の音声発生手段被覆部位に音声通過孔が設けられるため、遊技等に関する音声を音声発生手段から前面枠前方に良好に発することができて、遊技機による遊技性を十分に高めることができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の発明の効果に加え、カバー部材の遊技領域下方を被覆する部位に、操作ハンドルカバーに設けられた受皿に遊技球を誘導するための受皿誘導樋が一体形成されているため、例えば遊技者が遊技機と併設された球自販機で購入した遊技球を遊技機下方の受皿に自動的に誘導できて、遊技機による遊技性の一層の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1?図4は、本発明に係わるパチンコ遊技機の一実施形態を示し、図1がその正面図、図2が前面枠の開放状態を示す斜視図、図3が前面枠の分解斜視図、図4が前面枠基体の裏面図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、パチンコ遊技機1は、縦長の矩形状に枠組み形成されその前面下部に腰板部3が張設された外枠2と、この外枠2の前面側の一端部に上下のヒンジ4によって開閉自在に装着されると共に図示しない遊技盤保持枠が形成された内枠5と、この内枠5の前面側の幅方向一端部に前記ヒンジ4によって開閉自在に装着された前面枠6等で構成されている。
【0015】
前記前面枠6は、図2?図4に示すように、その高さ寸法(高さ幅)が前記外枠2の上端から下部に位置する腰板部3の上端までの寸法と略等しく設定された前面枠基体7と、この前面枠基体7の表面7aに装着された装飾カバーユニット8と、前記前面枠基体7の裏面7bに装着されたガラス枠ユニット9等を備えている。このうち前面枠基体7は、図3に示すように鉄板等の金属板よって略板状に形成され、略円形の窓孔部10としての開口10aが形成されると共に、表面7a側の開口10a周囲に各種形状のカバー取付部11aを有する装飾部11が一体形成されている。
【0016】
また、前記装飾カバーユニット8は、図2及び図3に示すように、4つのカバーパーツにより正面視略円環状に形成されてその中央部分に前記開口10aと共に、窓孔部10を形成する略円形の開口10b(図3参照)が形成されたカバー部材12と、このカバー部材12の下部表面側に被覆される操作ハンドルカバー13と、カバー部材12の左上部に配置される正面視三日月状の電飾カバー14等によって構成されている。
【0017】
このうち、カバー部材12は、遊技者が例えばパチンコ遊技機1に併設された球自販機で購入した遊技球を、前記操作ハンドルカバー13に設けられた受皿15に誘導するための受皿誘導樋16が一体形成された非透光性の受皿誘導樋カバー12aと、この誘導樋カバー12aの左上部及び右側方に一体化されその内部に電飾部材としてのLED(図示せず)が配置された透光性の電飾カバー12b、12cと、この電飾カバー12a、12c間で受皿誘導樋カバー12aと直径方向の対向位置に設けられ内部にスピーカ等の音声発生手段(図示せず)が配置された非透光性の音声発生カバー12dの4つのカバーパーツによって形成されている。
【0018】
そして、これら4つの各カバー12a?12dが、後述するように予め所定の成形型を使用しかつ所定色の樹脂により成形されると共に、この成形した各カバー12a?12dを熱溶着用の型内にセットして各接合部を熱溶着することにより各カバー12a?12dが一体化されてカバー部材12が形成されている。これらの各カバー12a?12dのうち少なくとも電飾カバー12b、12cは、内部に配置されるLED等の色が前面枠6の前方に効果的に放射されるように、その内面及び表面が例えば曲面と平面を組み合わせた三次元形状に形成されてレンズとして機能するようになっている。
【0019】
この場合、受皿誘導樋カバー12aや音声発生カバー12dで覆う装飾部11にLED等が配置される場合には、各カバー12a、12dの該LEDに対応した部分にレンズ機能も持たせることも勿論可能であり、このことはカバー部材12以外の操作ハンドルカバー13や電飾カバー14についても同様である。さらに、前記音声発生カバー12dは音声発生手段の前面に開口が設けられて、この開口に音声通過孔を形成する例えば金属の薄板からなるメッシュ板18(図1参照)が嵌め込まれれている。
【0020】
なお、前記電飾カバー14は、カバー部材12と別体で形成されて前面枠基体7の左上コーナ部に配置され、その内部の前面枠基体7の装飾部11には、図示しない枠状態表示LED等が配置されている。この電飾カバー14は電飾カバー12bと別体に限らず、電飾カバー12bに一体成形することでカバー部材12に一体化することも勿論可能である。また、カバー部材12の各カバー12a?12dや電飾カバー14の裏面側、あるいは操作ハンドルカバー13の裏面側には、突起等からなる取付部23(図3参照)がそれぞれ設けられており、この取付部23が前面枠基体7の前記装飾部11のカバー取付部11aに、例えば凹凸嵌合やビス止め等の適宜の固着手段により位置決めされつつ取り付けられている。
【0021】
さらに、前記前面枠基体7の裏面7bには、図4に示すように、開口10の周囲にガラス枠ユニット9を取り付けるための固定フック19や差し込み軸20が複数個設けられている。そして、幅方向一端側の上下の差し込み軸20に、ガラス枠ユニット9の一端側の上下に設けた突起(図示せず)をそれぞれ嵌合させると共に、ガラス枠ユニット9の幅方向他端側を固定フック19で係止させることにより、ガラス枠ユニット9が前面枠基体7の裏面7bに装着されている。このガラス枠ユニット9の枠に取り付けられるガラス9aとしては、枠形状に合致した平面ガラスが使用されるが、例えば遊技盤に対して外方(前面枠6の表面方向)に突出した凸状の曲面ガラスを使用して、パチンコ遊技機1のデザイン効果を高めることも勿論可能である。
【0022】
次に、このように構成された前面枠6の製造方法の一例と前面枠6の開放動作の一例について説明する。先ず、前面枠6の製造は、前面枠基体7をプレス加工して開口10aや装飾部11を一体形成すると共に、固定フック19や差し込み軸20を取り付け、またこれとは別に装飾カバーユニット8を作成する。この装飾カバーユニット8の作成は、各カバーに対応した所定の金型と所定色の樹脂を使用して、前記受皿誘導樋カバー12a、電飾カバー12b、12c及び音声発生カバー12dからなるカバー部材12の4個のカバーパーツと、操作ハンドルカバー13及び電飾カバー14の合計6個のカバーを作成する。この時、前記音声発生カバー12dは、成形したベースの開口に予め成形等した音声通過部材としてのメッシュ板18を嵌め込み固定することによって作成される。
【0023】
そして、前記カバー部材12を形成する各カバー12a?12dを作成したら、これらの各カバー12a?12dを前面枠6の外形形状に略合致した形状の型を使用し、該型の所定位置に各カバー12a?12dを配置して、これらの各接合端部を所定温度で加熱して熱溶着させる。これにより、各カバー12a?12dが一体化されて各カバー12a?12d間の接合部に隙間がなくかつ中央部分に前記開口10bが形成されたカバー部材12が作成される。なお、前記電飾カバー14は、カバー部材12と別体で構成する場合に所定の金型を使用して個別に成形される。
【0024】
前面枠基体7とカバー部材12等を作成したら、前面枠基体7の装飾部11に各種LEDが搭載された電飾用の基板や状態表示基板等(いずれも図示せず)を取り付ける。そして、これらの各種部品が取り付けられた前面枠基体7の装飾部11に、一体化したカバー部材12や電飾カバー14を取り付けると共に、カバー部材12の下部に該カバー部材12の下部表面側を一部覆う状態で操作ハンドルカバー13を取り付ける。この時、カバー部材12の装飾部11への取り付けは、カバー部材12の開口10bを前面枠基体7の開口10aに合致させる状態で前面枠基体7の表面7a側から装着しつつ、装飾部11のカバー取付部11aを利用して固定することにより行われる。
【0025】
また、カバー部材12の下部に装着される操作ハンドルカバー13には、遊技球発射操作ハンドル21や演出ボタン22等が取り付けられており、該カバー13内部には演出スイッチ基板や残高表示基板あるいは残高表示器等(いずれも図示せず)が内蔵された状態となっている。この操作ハンドルカバー13の取付部23を介した取り付けにより、装飾カバーユニット8が前面枠基体7の表面7aに取り付けられ、次に、前面枠基体7の裏面7bに前記ガラス枠ユニット9を差し込み軸20と固定フック19で取り付けることにより前面枠6が形成される。この前面枠6は、その幅方向の左端側の上下に設けたヒンジ4が外枠2に回動自在に支持されると共に、幅方向の右端下部に設けた鍵ユニット17(図2参照)により施錠されたり解錠されて開放可能に外枠2に組み付けられる。
【0026】
そして、このように組み付けられたパチンコ遊技機1において、前面枠6は次のようにして開放操作される。すなわち、鍵ユニット17により施錠された状態において、鍵ユニット17に鍵17aを差し込み反時計方向に回転させることにより、図2に示すように、前面枠6のみが外枠2(内枠5)に対して開放され、鍵ユニット17に鍵17aを差し込んで時計方向に回転させることにより、図示はしないが内枠5が前面枠6と一体となって開放されることになる。
【0027】
また、内枠5と前面枠6が前記鍵ユニット17により施錠された状態において、遊技盤の前面は前面枠6で完全に被覆されると共に、前面枠6の窓孔部10から内枠5に取り付けられた遊技盤の遊技領域が視認される。この視認状態において、パチンコ遊技機1の最も前面に位置する装飾カバーユニット8のカバー部材12が、各カバー12a?12dの熱溶着により一体化されると共に、このカバー部材12の下部前面に操作ハンドルカバー13が一体的に組み付けられていることから、各カバー12、13の表面間に隙間がほとんど形成されず、パチンコ遊技機1の腰板部3上に1枚の装飾用カバー(カバー部材12及び操作ハンドルカバー13等)が位置した状態となり、この状態で遊技者により遊技が行われることになる。
【0028】
なお、以上の前面枠6の製造方法の説明は一例であって、各種手順で行うことができるし、前面枠基体7への各種部品や基板の組み付けあるいは各種装飾カバーの組み付けも手動で行うことは勿論のこと、例えば予め成形された各カバー12a?12dの溶着、カバー部材12や各種基板等の各部品の前面枠基体7の装飾部11への組み付け等の作業をロボットにより自動的に行うようにする等、各工程の一部や全部を自動化することも可能である。
【0029】
このように、上記実施形態のパチンコ遊技機1にあっては、前面枠基体7の表面7aに開口10aからなる窓孔部10を形成すると共にこの開口10aの周囲に装飾部11を形成し、この前面枠基体7の表面7aを、該基体7の開口10aに対応した開口10bが形成されたカバー部材12と遊技球発射操作ハンドル21が取り付けられた操作ハンドルカバー13とにより一括して覆うため、前面枠基体7の表面7aを略一枚物の装飾カバーユニット8で覆うことができて、前面枠基体7への装飾カバーユニット8の取付作業が極めて簡単に行える等、前面枠7の組立作業性を向上させてその製造工程の大幅な簡素化を図ることができる。特に、カバー部材12の取付部と前面枠基体のカバー取付部11aとを凹凸嵌合等のワンタッチ式の固着構造を採用すれば、前面枠6の製造をより一層簡単に行うことができる。
【0030】
また、装飾部11を覆うカバー部材12が、遊技球誘導樋部や左右の電飾部及び音声発生部の各部位毎にそれぞれ対応した形状の4つのカバー12a?12dで形成され、これらが熱溶着されて互いに連結されることで中央に開口10bを有する正面視略円環状に形成されているため、装飾部11の各機能に応じた複数のカバー12a?12dを連結させてカバー部材12を形成でき、意匠的に変化に富み中央に窓孔部10を形成する開口10bを有するカバー部材12を簡単に製造することができる。
【0031】
また、前面枠基体7の装飾部11にLED等の電飾部材が配設され、この電飾部材がカバー部材12の電飾カバー12b、12c等で被覆されると共に、この電飾カバー12b、12c等が透光性を有してその内面や表面形状等によりレンズとして機能することから、電飾カバー12b、12cを電飾用のレンズとして使用できて、内部の光をカバー部材12を介して外部である前方に効果的に放つことができる等、カバー部材12により装飾カバーユニット8の電飾効果を一層高めることができる。
【0032】
さらに、パチンコ遊技機1の前面となる前面枠6に、開口10bを有するカバー部材12が配置されると共に、このカバー部材12に連続した状態で遊技球発射操作ハンドル21等が組み付けられた操作ハンドルカバー13が一体的に組付配置されているため、前面枠基体7のカバー部分における隙間の発生をほとんどなくすことができる。また、窓孔部10の周囲に配置されるカバー部材12が、受皿誘導樋カバー12aと電飾カバー12b、12c及び音声発生カバー12dを熱溶着で溶着することにより一体化された状態で前面枠基体7に取り付けられているため、カバー部材12の所定位置に所定機能に応じた所定色のカバーを一体的に配置することができ、これらのことから、従来にない意匠的美観を高めたパチンコ遊技機1を提供することが可能となる。
【0033】
また、前面枠基体7の装飾部11にスピーカ等の音声発生手段が配設されると共に、この音声発生手段を被覆する音声発生カバー12dにメッシュ板18が設けられているため、遊技等に関する音声を音声発生手段から前面枠6前方に良好に発することができる。また、カバー部材12の受皿誘導樋カバー12aに、前面枠基体7の下部に設けた受皿15に遊技球を誘導するための受皿誘導樋16が一体形成されているため、例えば遊技者がパチンコ遊技機1と併設された球自販機で購入した遊技球を下方の受皿15に自動的かつ確実に誘導することができる。これらにより、遊技者が快適な音楽を聴きながら遊技球の購入をスムーズに行いつつ、パチンコ遊技を良好に楽しむことが可能となる。
【0034】
また、上記実施形態のパチンコ遊技機にあっては、次のような付随的な作用効果を奏することができる。すなわち、外枠2に対して開閉自在に装着された内枠5の前面に、該内枠5の全体を一括して被覆するように前面枠6が開閉自在に設けられているため、パチンコ遊技機1の前面となる前面枠6が、例えば図5に示すパチンコ遊技機のように複数の扉枠に分割されることがなくなり、従来各扉枠間の接合部108に必然的に発生していた隙間をなくすことができて、例えば隙間から不正具を挿入する等の不正行為の発生を確実に防ぐことができる。
【0035】
また、前面枠6に設けた鍵ユニット17に、鍵17aを差し込んで反時計方向に回転操作することにより前面枠7を外枠2から開放できると共に、鍵17aを差し込んで時計方向に回転操作することにより内枠5と前面枠7を開放できるため、一つの鍵17aの操作で前面枠6や内枠5を開放できて、前面枠6や内枠5の開放操作自体を簡単に行うことができると共に、一つの鍵ユニット17の配置で対応できて、施錠機構の簡略化を図ることができる。また、1枚物の前面枠6を開放することで遊技盤の前面や遊技球発射操作ハンドル21部分が開放されるため、遊技中の各種トラブル発生時に、従来のように第1?第3の各扉枠を上段から順に一々開ける必要がなくなり、トラブル発生時の対応を的確かつ素早く行うこともできる。
【0036】
なお、以上の説明においては、装飾カバーユニット8のカバー部材12を4つのカバー12a?12dに分割した場合について説明したが、例えば左右に二分割したりあるいは所定位置で三分割や五分割以上に分割する等、パチンコ遊技機1の前面意匠や機能に合わせて適宜に分割することができるし、各カバー12a?12dの色調等も適宜に変更することができる。また、例えばカバー部材12の形態があまり複雑でない場合には、各カバー12a?12dを複数色の樹脂を使用した多色同時成形により一体成形しても良く、この場合は、熱溶着作業等が不要となって、カバー部材12の一層のコストダウンが図れると共に、カバー部材12が接合部のない完全な一枚物となって、パチンコ遊技機1の意匠的美観の一層の向上や不正行為の一層の防止等を図ることができる。
【0037】
さらに、上記実施形態においては、カバー部材12のカバー12b、12cを透光性としカバー12a、12dは非透光性としたが、本発明はこれに限定されず、例えばカバー12a、12dを透光性かあるいは半透光性の樹脂で形成しても良く、前面枠6に要求される意匠や機能に応じて所定の材質を使用することができる。また、上記実施形態においては、操作ハンドルカバー13をカバー部材12と別体としたが、例えば前記電飾カバー12c部分に操作ハンドルカバー13を一体成形する等、カバー部材12に操作ハンドルカバー13を一体化した構成を採用しても良い、またさらに、上記実施形態においては、カバー部材12の各カバー12a?12dを熱溶着で連結したが、例えば接着剤やビス止め等の適宜の固着手段で一体化しても良いし、上記実施形態における、前面枠基体7、受皿誘導樋16、受皿15の形状や配置位置等も一例であって、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、パチンコ遊技機に限らず、外枠や内枠等の枠の前面に前面枠が開閉自在に装着される、例えばコイン(メダル)を遊技媒体とするスロット遊技機等の各種遊技機に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係わる遊技機としてのパチンコ遊技機の一実施形態を示す正面図
【図2】同その前面枠の開放状態を示す斜視図
【図3】同前面枠の分解斜視図
【図4】同前面枠基体の裏面図
【図5】従来のパチンコ遊技機の一例を示す正面図
【符号の説明】
【0040】
1・・・・・・・・パチンコ遊技機
2・・・・・・・・外枠
3・・・・・・・・腰板部
5・・・・・・・・内枠
6・・・・・・・・前面枠
7・・・・・・・・前面枠基体
7a・・・・・・・表面
7b・・・・・・・裏面
8・・・・・・・・装飾カバーユニット
9・・・・・・・・ガラス枠ユニット
10・・・・・・・窓孔部
10a、10b・・開口
11・・・・・・・装飾部
11a・・・・・・カバー取付部
12・・・・・・・カバー部材
12a・・・・・・受皿誘導樋カバー
12b、12c・・電飾カバー
12d・・・・・・音声発生カバー
13・・・・・・・操作ハンドルカバー
14・・・・・・・電飾カバー
15・・・・・・・受皿
16・・・・・・・受皿誘導樋
17・・・・・・・鍵ユニット
18・・・・・・・メッシュ板
19・・・・・・・固定フック
20・・・・・・・差し込み軸
21・・・・・・・遊技球発射操作ハンドル
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状に形成された前面枠基体に、遊技領域を含む窓孔部と、該窓孔部を除く部位に形成された装飾部とが備えられ、この前面枠基体の表面の略全体に、前記窓孔部と対応する部位が透光性を有するように形成されると共に、被覆する部位毎にそれぞれ対応した形状の複数のカバーパーツを連結させたカバー部材と、該カバー部材の下部表面側を被覆し遊技球発射操作ハンドルが取り付けられる操作ハンドルカバーとを有する装飾カバーユニットを装着することにより、前記窓孔部及び装飾部を一括して被覆してなることを特徴とする遊技機の前面枠。
【請求項2】
前記前面枠基体の装飾部に電飾部材が配設されると共に、該電飾部材を被覆する前記カバー部材の電飾部材被覆部位が透光性を有するレンズ部材として機能することを特徴とする請求項1に記載の遊技機の前面枠。
【請求項3】
前記前面枠基体の装飾部に音声発生手段が配設されると共に、該音声発生手段を被覆する前記カバー部材の音声発生手段被覆部位に音声通過孔が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機の前面枠。
【請求項4】
前記カバー部材の遊技領域の下方を被覆する部位に、前記操作ハンドルカバーに設けられた受皿に遊技球を誘導するための受皿誘導樋が一体形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の遊技機の前面枠。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2011-05-23 
出願番号 特願2004-370085(P2004-370085)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 郡山 順高橋 三成  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 吉村 尚
澤田 真治
登録日 2009-01-23 
登録番号 特許第4250588号(P4250588)
発明の名称 遊技機の前面枠  
代理人 越川 隆夫  
代理人 越川 隆夫  

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