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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1242051 |
審判番号 | 不服2008-30858 |
総通号数 | 142 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-12-05 |
確定日 | 2011-08-18 |
事件の表示 | 特願2004- 82975「情報処理システムおよび情報転送方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 9月29日出願公開、特開2005-267559〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成16年3月22日の出願であって、平成20年6月6日付けで拒絶理由通知がなされ、同年8月18日付けで手続補正がなされたが、同年10月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年12月22日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成20年12月22日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年12月22日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)補正の目的の適否について 平成20年12月22日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)の目的が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合するか否かを検討する。 本件手続補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「情報処理装置と他の情報処理装置とを備える情報処理システムであって、 前記情報処理装置は、 前記他の情報処理装置と接続するための接続手段と、 所定のフォーマットのデータと前記他の情報処理装置において実行される前記他の情報処理装置から自機へデータを転送するためのソフトウェアとを記憶する記憶手段と、 前記記憶手段に記憶された所定のフォーマットのデータを再生する再生手段と を備え、 前記他の情報処理装置は、 前記情報処理装置と接続するための他の接続手段と、 データを記憶するための他の記憶手段と、 前記情報処理装置が前記他の接続手段に接続されたときに、前記情報処理装置から前記ソフトウェアを読み出して実行し、前記実行されたソフトウェアに基づいて、前記他の記憶手段に記憶されたデータのうち所定のデータの転送指示操作がなされたときに、前記所定のデータが前記所定のフォーマット以外のフォーマットである場合には、前記所定のフォーマットに変換した前記所定のデータを、前記他の接続手段を制御して前記情報処理装置へ転送させる制御手段と を備える情報処理システム。」 との記載から、 「情報処理装置と他の情報処理装置とを備える情報処理システムであって、 前記情報処理装置は、 前記他の情報処理装置と接続するための接続手段と、 所定のフォーマットのデータと前記他の情報処理装置において実行される前記他の情報処理装置から自機へデータを転送するためのソフトウェアとを記憶する記憶手段と、 前記記憶手段に記憶された所定のフォーマットのデータを再生する再生手段と を備え、 前記他の情報処理装置は、 前記情報処理装置と接続するための他の接続手段と、 データを記憶するための他の記憶手段と、 前記情報処理装置が前記他の接続手段に接続され、所定操作があったときに、前記情報処理装置から前記ソフトウェアを読み出して実行し、前記実行されたソフトウェアに基づいて、前記他の記憶手段に記憶されたデータのうち所定のデータの転送指示操作がなされたときに、前記所定のデータが前記情報処理装置で再生可能なものかを判別し、再生可能なものである場合には、前記情報処理装置での再生に適したデータ形式に変換した前記所定のデータを、前記他の接続手段を制御して前記情報処理装置へ転送させる制御手段と を備える情報処理システム。」 との記載に補正された。 上記補正内容は、「・・・前記所定のデータが前記所定のフォーマット以外のフォーマットである場合には、前記所定のフォーマットに変換した前記所定のデータを、前記他の接続手段を制御して前記情報処理装置へ転送させる制御手段」を「・・・前記所定のデータが前記情報処理装置で再生可能なものかを判別し、再生可能なものである場合には、前記情報処理装置での再生に適したデータ形式に変換した前記所定のデータを、前記他の接続手段を制御して前記情報処理装置へ転送させる制御手段」に補正することを含むものである。 上記補正において、「・・・前記所定のデータが前記所定のフォーマット以外のフォーマットである場合・・・」を「・・・前記所定のデータが前記情報処理装置で再生可能なものかを判別し、再生可能なものである場合・・・」に補正することが、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定して特許請求の範囲の減縮をすることに該当するか否かについて検討する。 上記補正前の記載における場合分けの条件は、「所定のデータ」が「前記所定のフォーマット以外のフォーマットである場合」に限定されたものであったのに対し、上記補正後の記載では、「所定のデータ」が「前記情報処理装置で再生可能なものかを判別し、再生可能なものである場合」であるとされている。 ここで、「所定のフォーマット」の「所定のデータ」は、「前記情報処理装置で再生可能なもの」であることは明らかであるから、上記補正後の記載の「所定のデータ」が「前記情報処理装置で再生可能なものかを判別し、再生可能なものである場合」は、「所定のフォーマット以外」に限定されることなく「所定のフォーマット」のものである場合も含むものに拡張されている。 よって、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定して特許請求の範囲の減縮をしたものとは認められず、上記請求項1に係る補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の規定に適合しない。 また、特許請求の範囲の請求項5及び6についても、上記補正と同様の補正がなされており、補正後の請求項5及び6に記載された発明は、補正前の請求項5及び6に記載された発明を特定するために必要な事項を限定して特許請求の範囲の減縮をしたものとは認められず、請求項5及び6に係る補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の規定に適合しない。 さらに、特許請求の範囲の請求項1,5及び6に係る補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除、第3号の誤記の訂正、第4号の明りょうでない記載の釈明に該当するものでないことは明らかである。 (2)むすび よって、本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.補正却下の決定を踏まえた検討 (1)本願発明 平成20年12月22日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成20年8月18日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「情報処理装置と他の情報処理装置とを備える情報処理システムであって、 前記情報処理装置は、 前記他の情報処理装置と接続するための接続手段と、 所定のフォーマットのデータと前記他の情報処理装置において実行される前記他の情報処理装置から自機へデータを転送するためのソフトウェアとを記憶する記憶手段と、 前記記憶手段に記憶された所定のフォーマットのデータを再生する再生手段と を備え、 前記他の情報処理装置は、 前記情報処理装置と接続するための他の接続手段と、 データを記憶するための他の記憶手段と、 前記情報処理装置が前記他の接続手段に接続されたときに、前記情報処理装置から前記ソフトウェアを読み出して実行し、前記実行されたソフトウェアに基づいて、前記他の記憶手段に記憶されたデータのうち所定のデータの転送指示操作がなされたときに、前記所定のデータが前記所定のフォーマット以外のフォーマットである場合には、前記所定のフォーマットに変換した前記所定のデータを、前記他の接続手段を制御して前記情報処理装置へ転送させる制御手段と を備える情報処理システム。」 (2)引用例及び周知例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2003/036541号(特表2005-507130号公報参照。以下、「引用例1」という。)、特開2002-359810号公報(以下、「引用例2」という。)、及び原査定の備考欄において周知文献として引用された「澤村 徹,今さらですがNet MDを正しく知っていますか? Net MD vs デジタルプレイヤー,PCfan,日本,(株)毎日コミュニケーションズ,2003年7月1日,第10巻16号,pp.90-91」(以下、「周知例」という。)には、それぞれ、図面とともに次の事項が記載されている。 (なお、引用例1については、対応する特表2005-507130号公報の記載を摘記する。) (引用例1) A.「【0001】 本発明は、メディアデバイスに関し、より具体的にはメディアデバイス上のメディアの同期または管理に関する。」 B.「【0014】 図2は、本発明のある実施形態によるメディアシンクロシステム200のブロック図である。メディアシンクロシステム200は例えば、図1に示されるメディア管理システム100のより一般的なものを表現する。メディアシンクロシステム200は、メディアプレーヤー202およびパーソナルコンピュータ204を含む。パーソナルコンピュータ204はメディアマネージャ206を含む。パーソナルコンピュータ204はさらにメディアデータベース208を含む。メディアプレーヤー202はメディアデータベース210を含む。典型的にはメディアプレーヤー202はまた、メディアコンテンツを記憶するデータ記憶デバイス(例えばディスクドライブ)、使用中のメディアコンテンツを記憶するキャッシュメモリ、ユーザに情報を表示するスクリーンディスプレイ、およびメディアプレーヤー202の動作を制御するプロセッサ(例えばマイクロプロセッサ)を含む。 【0015】 周辺ケーブル212は、メディアプレーヤー202およびパーソナルコンピュータ204間のデータパス(またはデータリンク)を提供する。周辺ケーブル212は、メディアプレーヤー202をパーソナルコンピュータ204に結合する周辺バスを提供する。周辺バスは例えば、ファイヤワイヤバスまたはユニバーサルシリアルバス(USB)でありえる。パーソナルコンピュータ上に記憶されたメディアコンテンツおよびメディアプレーヤー204上に記憶されたメディアコンテンツの間のシンクロ操作は、それぞれのメディアデータベース208および210に記憶されたメディア情報の比較を通して高度に達成されえる。それぞれのデータベース208および210からのメディア情報の比較によって、パーソナルコンピュータ204上にある特定のメディアアイテムがメディアプレーヤー202上にないことが示されるとき、その特定のメディアアイテムは周辺ケーブル212上をメディアプレーヤーへ転送(ダウンロード)されえる。逆に、それぞれのデータベース208および210からのメディア情報の比較によって、メディアプレーヤー202上にある特定のメディアアイテムがパーソナルコンピュータ204上にないことが示されるとき、その特定のメディアアイテムはメディアプレーヤー202から削除(消去)されるか、または周辺ケーブル212上をパーソナルコンピュータ204へ転送(アップロード)されえる。したがってメディアプレーヤー202にメディアデータベース210を提供することによって、メディアコンテンツのより高度なシンクロおよび管理が可能になる。 【0016】 メディアデータベース210はまた、従来のアプローチよりもさらに高度なユーザインタフェースをメディアプレーヤー202がユーザに対して提供することを可能にする。そのようなユーザインタフェースは、メディアプレーヤー202のスクリーンディスプレイ上に提示されえる。ユーザインタフェースは例えば、メディアプレーヤー202のユーザがメディアプレーヤー202上にあるメディアコンテンツをブラウズ、ソート、検索、再生などをすることを可能にする。ユーザインタフェースはまたメディアプレーヤー202のユーザがダウンロード(追加)したり、メディアプレーヤー202からメディアアイテムを消去(削除)したりすることを可能にする。メディアマネージャ206はまた、ユーザがパーソナルコンピュータ204上にあるメディアコンテンツをブラウズ、ソート、検索、再生、プレイリスト作成、コンパクトディスク(CD)を焼くなどできるようにするユーザインタフェースを持つ。ユーザインタフェースはまた、パーソナルコンピュータ204のユーザがメディアアイテムをパーソナルコンピュータ204からメディアアイテムをダウンロード(追加)したり、消去(削除)したりできるようにする。ある実施形態において、メディアマネージャ206およびその関連付けられたユーザインタフェースは、カリフォルニア州、クパチーノのアップルコンピュータ社からのiTunes、バージョン2.0によって提供される。」 C.「【0017】 図3は、本発明のある実施形態によるメディアマネージャ処理300のフローチャートである。メディアマネージャ処理300は例えば、図1に示されるメディアマネージャ106または図2に示されるメディアマネージャ206によって実行されえる。 【0018】 メディアマネージャ300はまずパーソナルコンピュータ(ホストコンピュータ)に接続されたメディアプレーヤーを検出する(302)。ここでメディアプレーヤーがパーソナルコンピュータに接続されるとき、シンクロ操作が行われて、メディアプレーヤーおよびパーソナルコンピュータ間でメディアコンテンツをシンクロさせえる。メディアプレーヤーがパーソナルコンピュータに接続されていると検出された後、メディアプレーヤーおよびパーソナルコンピュータ間のメディアコンテンツはシンクロさせられえる(304)。シンクロは、一方向(すなわち単一方向)に、または二方向(双方向)に実行されえる。好ましい実施形態においては、シンクロはパーソナルコンピュータからメディアプレーヤーへの一方向である。他の実施形態においては、シンクロはメディアプレーヤーからパーソナルコンピュータへの一方向でありえる。さらに他の実施形態においては、シンクロは、パーソナルコンピュータからメディアプレーヤーへと同様、メディアプレーヤーからパーソナルコンピュータへの二方向でありえる。いずれの場合も、メディアプレーヤーは典型的にはパーソナルコンピュータよりもより少ないメディア記憶容量しか持たず、よって実行されえるシンクロの程度に限度がありえる。シンクロ処理は、メディアプレーヤーがすでに検出されている(302)と仮定して手動で、またはこのような検出に応じて自動で実行されえる。接続の検出に続いての自動シンクロの場合、シンクロはユーザがボタンまたはユーザインタフェース要素と対話することなく実行されえ、すなわち接続そのものがシンクロを起動する。」 D.「【0019】 図4は、本発明のある実施形態によるシンクロ処理400のフローチャートである。シンクロ処理400は例えば、図1に示されるパーソナルコンピュータ104、または図2に示されるパーソナルコンピュータ204のようなホストコンピュータによって実行されえる。より具体的にはシンクロ処理400は、図1に示されるメディアマネージャ106、または図2に示されるメディアマネージャ206によって実行されえる。 【0020】 シンクロ処理400はまずメディア情報をメディアプレーヤー上のメディアデータベースから読み出す(402)。次にプレーヤーメディア情報は、ホストコンピュータ上のメディアデータベースからの第1メディア情報と比較される。このような比較は、プレーヤーメディア情報およびホストメディア情報の間の差に関する比較情報を生成する。次にシンクロ処理400は、この比較情報に基づいてホストコンピュータおよびメディアプレーヤーの間で1つ以上のメディアアイテムがコピーされるべきかを判断する(406)。例えばメディアアイテム(例えば曲を表すオーディオファイル)は、曲目、アルバム名、および/またはアーチスト名のような、そのメディアアイテムの特徴または属性に関するメディア情報を用いて比較されえる。その後、決定された1つ以上のメディアアイテムがコピーされ(408)、適切なメディアデータベースがアップデートされる。操作408に続いて、シンクロ処理400は完了し終了する。」 E.「【0039】 図7は、本発明の他の実施形態によるメディア管理システム700のブロック図である。メディア管理システム700は、ホストコンピュータ702およびメディアプレーヤー704を含む。ホストコンピュータ702は典型的にはパーソナルコンピュータである。他の従来の要素の中でもホストコンピュータは、ソフトウェアモジュールである管理モジュール706を含む。管理モジュール706は、ホストコンピュータ702上だけでなく、メディアプレーヤー704上にもあるメディアアイテム(および/またはプレイリスト)の集中管理を提供する。より具体的には管理モジュール706は、ホストコンピュータ702と関連付けられたメディア記憶708内に記憶されたこれらのメディアアイテムを管理する。管理モジュール706はまた、メディアデータベース710と対話することによって、メディア記憶708内に記憶されたメディアアイテムに関連付けられたメディア情報を記憶する。 【0040】 メディア情報は、メディアアイテムの特徴または属性に関する。例えば、オーディオまたはオーディオビジュアルメディアの場合、メディア情報は、タイトル、アルバム、トラック、アーチスト、作曲家およびジャンルのうちの少なくとも1つが含まれえる。メディア情報のうちこれらのタイプは、特定のメディアアイテムに特定である。さらにメディア情報は、メディアアイテムのクオリティの特徴に関しえる。メディアアイテムのクオリティ特徴の例は、ビットレート、サンプルレート、イコライゼーション設定、ボリューム設定、スタート/ストップおよび総時間のうちの少なくとも1つが含まれえる。 【0041】 さらにホストコンピュータ702はプレイモジュール712を含む。プレイモジュール712は、メディア記憶708内に記憶されたある種のメディアアイテムを再生するのに利用されえるソフトウェアモジュールである。プレイモジュール712はまた、メディアデータベース710からのメディア情報を表示(ディスプレイスクリーン上に)または他のかたちで利用しえる。典型的には当該メディア情報は、プレイモジュール712によって再生されるべきメディアアイテムに対応する。 【0042】 ホストコンピュータ702はまた、メディアプレーヤー704内の対応する通信モジュール716に結合する通信モジュール714を含む。接続つまりリンク718は取り外し可能に通信モジュール714および716を結合する。ある実施形態において、接続またはリンク718はファイヤワイヤバスまたはUSBバスのようなこの技術分野でよく知られたデータバスである。 【0043】 メディアプレーヤー704はまた、メディアプレーヤー704内にメディアアイテムを記憶するメディア記憶720を含む。メディア記憶720に記憶されるメディアアイテムは典型的には接続またはリンク718上を通してホストコンピュータ702から受け取られる。より具体的には管理モジュール706は、メディア記憶708上にあるこれらメディアアイテムの全て、または一部を接続またはリンク718上を通してメディアプレーヤー704内のメディア記憶720に送る。さらに、メディアプレーヤー704にホストコンピュータ702からやはり送られるメディアアイテムについての対応するメディア情報は、メディアデータベース722内に記憶されえる。この点で、ホストコンピュータ702内のメディアデータベース710からのある種のメディア情報は、メディアプレーヤー704内のメディアデータベース722へ接続またはリンク718上を通して送られえる。さらにメディアアイテムのいくつかを特定するプレイリストも管理モジュール706によって接続またはリンク718上を通してメディアプレーヤー704内のメディア記憶720またはメディアデータベース722に送られえる。 【0044】 さらにメディアプレーヤー704は、メディア記憶720およびメディアデータベース722に結合するプレイモジュール724を含む。このプレイモジュール724は、メディア記憶720内に記憶されたある種のメディアアイテムを再生するのに利用されえるソフトウェアモジュールである。プレイモジュール724はまた、メディアデータベース722からのメディア情報を表示(ディスプレイスクリーン上に)または他のかたちで利用しえる。典型的には当該メディア情報は、プレイモジュール724によって再生されるべきメディアアイテムに対応する。 【0045】 したがってある実施形態においてメディアプレーヤー704は、メディアプレーヤー704上のメディアアイテムを管理する能力が限定されているか、まったくそのような能力を持たない。しかしホストコンピュータ702内の管理モジュール706は、メディアプレーヤー704上にあるメディアアイテムを間接に管理する。例えば、メディアプレーヤー704にメディアアイテムを「追加」するために、管理モジュール706は、メディア記憶708からメディアプレーヤー704に追加されるべきメディアアイテムを特定し、特定されたメディアアイテムがメディアプレーヤー704に送られるように機能する。他の例では、メディアプレーヤー704からあるメディアアイテムを「消去」するために、管理モジュール706は、メディア記憶708から消去されるべきメディアアイテムを特定し、特定されたメディアアイテムがメディアプレーヤー704から消去されるように機能する。さらに他の例では、もしメディアアイテムの特徴への変更(すなわち更新)が管理モジュール706を用いてホストコンピュータ702においてなされたなら、そのような特徴がメディアプレーヤー704上の対応するメディアアイテムにも反映させられえる。ある実施形態においては、追加、消去および/または変更は、メディアプレーヤー704上のメディアアイテムをホストコンピュータ702上のメディアアイテムとシンクロさせるあいだのバッチのような処理で行われる。」 上記A?Eの記載及び関連する図面を参照すると、引用例1には、実質的に、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例1記載の発明」という。) 「メディアプレーヤーとパーソナルコンピュータとを備えるメディアシンクロシステムであって、 前記メディアプレーヤーは、 前記パーソナルコンピュータと接続するための接続手段と、 メディアアイテムを記憶するメディア記憶と、 前記メディア記憶に記憶されたメディアアイテムを再生するプレイモジュールと を備え、 前記パーソナルコンピュータは、 前記メディアプレーヤーと接続するための他の接続手段と、 メディアアイテムを記憶するための他のメディア記憶と、 前記メディアプレーヤーが前記他の接続手段に接続されたときに、前記他のメディア記憶に記憶されたデータのうち所定のメディアアイテムを、前記他の接続手段を制御して前記メディアプレーヤーへ転送させる管理モジュールと を備えるメディアシンクロシステム。」 (引用例2) F.「【0013】第1の本発明の電子カメラは、外部のパーソナルコンピュータと接続可能なインターフェイスを有する電子カメラにおいて、前記パーソナルコンピュータのアクセスに応じて提供されるプログラムが格納された第一の格納領域と、前記パーソナルコンピュータに接続されたとき、前記パーソナルコンピュータにストレージ機器として認識させることによって、前記第一の格納領域に自動的にアクセスさせる動作手段と、を有し、前記パーソナルコンピュータは、前記アクセスを介して前記第一の格納領域に格納された前記プログラムを提供され且つ実行することで、前記電子カメラを前記ストレージ機器とは異なる機器として認識するようになっていることを特徴とする。 【0014】この構成により、前記パーソナルコンピュータに前記電子カメラを接続するだけで、前記パーソナルコンピュータに、前記電子カメラをCD-ROMドライブのごときデータを記録/再生可能な機器すなわちストレージ機器として認識させ、それにより前記第一の記憶領域からプログラムを読み出すことができ、且つ読み出されたデバイスドライバのごときプログラムに基づいて、前記電子カメラを前記ストレージ機器と異なる機器(例えば本来の電子カメラ)として認識させ、それにより画像データの読み込み(例えば、撮像)などの動作を自動的に行わせることができる。」 上記Fの記載を参照すると、引用例2には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例2記載の発明」という。) 「電子カメラとパーソナルコンピュータとを備えるシステムにおいて、 前記パーソナルコンピュータのアクセスに応じて提供されるプログラムを前記電子カメラの第一の格納領域に格納させ、 前記電子カメラと前記パーソナルコンピュータとが接続されたとき、前記パーソナルコンピュータは、前記電子カメラの前記第一の格納領域にアクセスすることにより前記プログラムの提供を受け、 前記プログラムに基づいて、前記電子カメラに対して画像データの読み込みなどの動作を行わせること。」 (周知例) G.「WMAもMP3をNetMDへ転送するには WMAやMP3もOK 既存の資産をフル活用 前述の通り、パソコンからNetMDに転送可能な音楽ファイルの形式はOpenMGである。では、WMAやMP3でサウンドライブラリを構築しているユーザーは、ライブラリを作り直さなくてはならないのか!?そんなことはない。NetMDに付属するソフトはWMAやMP3のインポート機能を搭載し(「BeatJam」はWMAに非対応)、手持ちの音楽資産をそのまま引き継げる。また、チェックアウト時は自動的にOpenMGに変換してNetMDプレイヤーに転送されるのだ。 (図面:略) 1.登録データをNetMDへ転送! 「OpenMG Jukebox」はMP3やWMAファイルの読み込みに対応する。〈チェックイン/アウト〉タブからMP3ファイルなどをドラッグ&ドロップして〈チェックアウト〉ボタンを押すだけで自動的にOpenMGファイルに変換して転送してくれる。OpenMGファイルに変換される分チェックアウトに時間がかかるが、気になるレベルではない」(第91頁) (3)対比 本願発明と引用例1記載の発明とを対比すると、引用例記載の発明における「メディアプレーヤー」、「パーソナルコンピュータ」、「メディアシンクロシステム」、「メディアアイテム」、「メディア記憶」、「プレイモジュール」、「管理モジュール」は、本願発明における「情報処理装置」、「他の情報処理装置」、「情報処理システム」、「データ」、「記憶手段」、「再生手段」、「制御手段」に相当するから、本願発明と引用例1記載の発明とは、ともに、 「情報処理装置と他の情報処理装置とを備える情報処理システムであって、 前記情報処理装置は、 前記他の情報処理装置と接続するための接続手段と、 データを記憶する記憶手段と、 前記記憶手段に記憶されたデータを再生する再生手段と を備え、 前記他の情報処理装置は、 前記情報処理装置と接続するための他の接続手段と、 データを記憶するための他の記憶手段と、 前記情報処理装置が前記他の接続手段に接続されたときに、前記他の記憶手段に記憶されたデータのうち所定のデータを、前記他の接続手段を制御して前記情報処理装置へ転送させる制御手段と を備える情報処理システム。」 である点で一致し、次の点で相違するものと認められる。 (相違点) 相違点1:本願発明においては、「情報処理装置」の「記憶手段」が「他の情報処理装置において実行される前記他の情報処理装置から自機へデータを転送するためのソフトウェア」を記憶するものであり、かつ、「他の情報処理装置」の「制御手段」が「・・・前記情報処理装置から前記ソフトウェアを読み出して実行し、前記実行されたソフトウェアに基づいて、前記他の記憶手段に記憶されたデータのうち所定のデータの転送指示操作がなされたときに、・・・前記所定のデータを、前記他の接続手段を制御して前記情報処理装置へ転送させる」ものであるのに対し、引用例1記載の発明は、そのようなものではない点。 相違点2:本願発明においては、「情報処理装置」の「記憶手段」に記憶される「データ」が「所定のフォーマットのデータ」であり、かつ、「他の情報処理装置」の「制御手段」が「所定のデータ」を「情報処理装置へ転送させる」際に、「所定のデータが所定のフォーマット以外のフォーマットである場合には、前記所定のフォーマットに変換し」て転送させるようにしているのに対し、引用例1記載の発明は、そのようなものではない点。 (4)判断 そこで、上記相違点1及び2について検討する。 (相違点1について) 上記引用例2記載の発明に見られるように、一般に、パーソナルコンピュータに対して外部接続される何らかの情報処理装置(上記引用例2記載の発明においては、「電子カメラ」)に上記パーソナルコンピュータにおいて実行されるソフトウェアを記憶させておき、上記パーソナルコンピュータに対して上記情報処理装置を接続することにより上記ソフトウェアを上記パーソナルコンピュータ内に取り込み、該ソフトウェアを実行させることにより、上記情報処理装置にデータの読み込み動作等を行わせることは、公知の技術である。 そして、上記ソフトウェアの動作内容を、上記パーソナルコンピュータ内の記憶手段に記憶されたデータのうちの所定のデータの転送指示操作がなされたときに該所定のデータを上記外部接続される情報処理装置に対して転送させるような動作内容とすることは、当業者が適宜になし得ることにすぎない。 してみれば、引用例1記載の発明に対して、上記引用例2記載の発明を適用することにより、パーソナルコンピュータに対して外部接続されるメディアプレーヤー内の記憶手段に、上記パーソナルコンピュータにおいて実行される上記パーソナルコンピュータから上記メディアプレーヤーへデータを転送するためのソフトウェアを記憶させるようにし、かつ、上記パーソナルコンピュータの制御手段が上記メディアプレーヤーから上記ソフトウェアを読み出して実行し、該ソフトウェアに基づいて、上記パーソナルコンピュータ内の記憶手段に記憶されたデータのうちの所定のデータの転送指示操作がなされたときに該所定のデータを上記メディアプレーヤーに転送させるような動作を行わせること、すなわち、「情報処理装置」の「記憶手段」を「他の情報処理装置において実行される前記他の情報処理装置から自機へデータを転送するためのソフトウェア」を記憶するものとし、かつ、「他の情報処理装置」の「制御手段」を「・・・前記情報処理装置から前記ソフトウェアを読み出して実行し、前記実行されたソフトウェアに基づいて、前記他の記憶手段に記憶されたデータのうち所定のデータの転送指示操作がなされたときに、・・・前記所定のデータを、前記他の接続手段を制御して前記情報処理装置へ転送させる」ものとすることは、当業者が適宜になし得ることにすぎない。 (相違点2について) 上記周知例には、「パソコン」から「NetMDプレイヤー」へ音楽ファイルを転送する機能を有する「OpenMG Jukebox」というソフトウエアは、上記「パソコン」内の「MP3やWMAファイル」を上記「NetMDプレイヤー」が取り扱うことのできる「OpenMGファイル」というファイル形式に変換して転送する動作を行う旨の記載がなされている。 してみれば、引用例1記載の発明に対して、上記周知例記載の技術を適用することにより、「情報処理装置」の「記憶手段」に記憶される「データ」を、例えば「OpenMGファイル」という「所定のフォーマット」のデータとし、かつ、「他の情報処理装置」の「制御手段」が「所定のデータ」を「情報処理装置へ転送させる」際に、該「所定のデータ」が「OpenMGファイル」という「所定のフォーマット」以外の例えば「MP3やWMAファイル」というフォーマットである場合には、上記「OpenMGファイル」という「所定のフォーマット」に変換して転送させるようにすることは、当業者が適宜になし得ることにすぎない。 (本願発明の作用効果について) そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1,2に記載の発明及び上記周知例記載の技術から当業者が容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 (5)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1,2に記載の発明及び上記周知例記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-06-20 |
結審通知日 | 2011-06-21 |
審決日 | 2011-07-04 |
出願番号 | 特願2004-82975(P2004-82975) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 北村 学、高瀬 勤 |
特許庁審判長 |
長島 孝志 |
特許庁審判官 |
本郷 彰 小曳 満昭 |
発明の名称 | 情報処理システムおよび情報転送方法 |
代理人 | 田辺 恵基 |