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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G
管理番号 1245215
審判番号 不服2010-18097  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-08-11 
確定日 2011-10-14 
事件の表示 特願2007-337481「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 7月16日出願公開、特開2009-157238〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯

本願は2007年12月27日の出願であって、平成21年12月 3日付けで通知した拒絶理由に対して、平成22年 2月12日付けで手続補正書が提出されたが、同年 4月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成22年 8月11日付けで審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、その後、当審における審尋に対して平成23年 3月22日付けで回答書が提出されたものである。


第2 平成22年 8月11日付け手続補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成22年 8月11日付け手続補正を却下する。

[理由]
1.補正事項
平成22年 8月11日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は、本件補正前の平成22年 2月12日付け手続補正により補正された、
「 【請求項1】
(a)第1の画像処理を行う第1の画像処理部と、
(b)該第1の画像処理部の上方に配設され、前記第1の画像処理が行われた媒体を排出するための排出部と、
(c)排出された媒体を積載するための媒体積載部と、
(d)該媒体積載部の上方に配設され、第2の画像処理を行う第2の画像処理部と、
(e)該第2の画像処理部における所定の箇所に配設され、所定の操作を行うための操作部とを有するとともに、
(f)前記媒体積載部に、画像形成装置の前面及び側面の両方に臨ませて、かつ、排出された媒体と媒体積載部の表面との間に隙間が形成されるように、凹部によって段差部が形成され、
(g)該段差部及び操作部は、画像形成装置の上方から見て、操作部が段差部を遮らない位置に形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記凹部が形成される側面とは反対側の側面に寄せて形成される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記段差部は、画像形成装置の手前側から奥側にかけて、中央に向けて斜めに延びるように形成される請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記媒体積載部に排出される媒体の角部が凹部にかかるように、斜めに延在させて形成される請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記凹部における画像形成装置の側面に臨む部分は、前記第1、第2の画像処理部間を連結する側壁の切欠を介して露出させられる請求項1?4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記段差部は、画像形成装置の第1、第2の側面側に形成される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記凹部における中央側の奥に突出部が更に奥側にかけて形成される請求項1?6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
(a)媒体に画像を形成する画像形成部と、
(b)該画像形成部の上方に配設され、画像が形成された媒体を排出するための排出部と、
(c)排出された媒体を積載するための媒体積載部とを有するとともに、
(d)該媒体積載部には、画像形成装置の前面及び側面の両方に臨ませて、かつ、排出された媒体と媒体積載部の表面との間に隙間が形成されるように、凹部によって段差部が形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記段差部は、画像形成装置の手前側から奥側にかけて、中央に向けて斜めに延びるように形成される請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記凹部は、前記媒体積載部に排出される媒体の角部が凹部にかかるように、斜めに延在させて形成される請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記凹部における中央側の奥に突出部が更に奥側にかけて形成される請求項8?10のいずれか1項に記載の画像形成装置。 」

から、

「 【請求項1】
(a)第1の画像処理を行う第1の画像処理部と、
(b)該第1の画像処理部の上方に配設され、前記第1の画像処理が行われた媒体を排出するための排出部と、
(c)排出された媒体を積載するための媒体積載部と、
(d)該媒体積載部の上方に配設され、第2の画像処理を行う第2の画像処理部と、
(e)該第2の画像処理部における所定の箇所に配設され、所定の操作を行うための操作部とを有するとともに、
(f)前記媒体積載部に、画像形成装置の前面及び側面の両方に臨ませて、かつ、排出された媒体と媒体積載部の表面との間に隙間が形成されるように、凹部が形成され、該凹部によって、前記画像形成装置の前面と側面との間に延在する段差部が形成され、
(g)該段差部及び操作部は、画像形成装置の上方から見て、操作部が段差部を遮らない
位置に形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記凹部が形成される側面とは反対側の側面に寄せて形成される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記段差部は、画像形成装置の手前側から奥側にかけて、中央に向けて斜めに延びるように形成される請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記媒体積載部に排出される媒体の角部が凹部にかかるように、斜めに延在させて形成される請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記凹部における画像形成装置の側面に臨む部分は、前記第1、第2の画像処理部間を連結する側壁の切欠を介して露出させられる請求項1?4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記段差部は、画像形成装置の第1、第2の側面側に形成される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記凹部における中央側の奥に突出部が更に奥側にかけて形成される請求項1?6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
(a)媒体に画像を形成する画像形成部と、
(b)該画像形成部の上方に配設され、画像が形成された媒体を排出するための排出部と、
(c)排出された媒体を積載するための媒体積載部とを有するとともに、
(d)該媒体積載部には、画像形成装置の前面及び側面の両方に臨ませて、かつ、排出された媒体と媒体積載部の表面との間に隙間が形成されるように、凹部が形成され、該凹部によって、前記画像形成装置の前面と側面との間に延在する段差部が形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記段差部は、画像形成装置の手前側から奥側にかけて、中央に向けて斜めに延びるように形成される請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記凹部は、前記媒体積載部に排出される媒体の角部が凹部にかかるように、斜めに延在させて形成される請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記凹部における中央側の奥に突出部が更に奥側にかけて形成される請求項8?10のいずれか1項に記載の画像形成装置。 」

に補正された。

2.補正の適否について
上記補正は、補正前の請求項1及び請求項8に記載した発明を特定するための事項である「段差部」を、「凹部が形成され、該凹部によって、前記画像形成装置の前面と側面との間に延在する」ものに限定したものである。
したがって、これらの補正事項は、全体として平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び請求項8に記載された発明(以下、それぞれ「補正発明1」及び「補正発明8」という。)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

3.引用刊行物
3-1)引用刊行物1
本願の出願前に頒布された特開平8-339105号公報(原査定の拒絶理由における「引用文献1」。以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与。)

(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 装置上部位置に画像読取部を配設し、該画像読取部の下方に作像部を配設した画像形成装置であって、前記画像読取部と前記作像部との間の装置筐体内に排紙部空間を設けた胴内排紙型の画像形成装置において、
前記排紙部空間の底部に排紙トレイが設けられ、該排紙トレイの装置手前側略中央部に切欠きを設け、該切欠き部を下方に落し込んで所定の厚みを有する空間を形成するとともに該空間底部を排紙部底板で規定し、排紙部底板上に形成された前記所定の厚みを有する空間を上方及び装置手前側に開放して用紙取り出し導入空間とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】 前記排紙トレイが装置前面に引き出し可能なことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】 前記画像読取部の装置前面側に操作部が配設され、該操作部下面となる前記排紙部空間の上壁前面部を装置奥から手前に向かって高くなるように傾斜させたことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】 前記排紙部空間底部の装置手前側部分を、装置奥から手前に向かって低くなるように傾斜させたことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。」

(1b)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、さらに詳しく言えば、画像読取部と作像部との間の装置筐体内に排紙部空間を設けた胴内排紙型の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば複写機やファクシミリ等のように、原稿読み取り部(以下、スキャナという)を備えた画像形成装置においては、装置の上部位置にスキャナを配置しているものが多い。特に、オフィスで広く用いられている電子写真方式により画像形成を行う機種においてはほとんどがこの形式である。・・・(中略)・・・
【0004】そこで、本願出願人は、スキャナと作像部とを分離して配置し両者の間に排紙部空間を形成することにより、排紙トレイを装置側面に突出させないようにして占有面積を減少させた胴内排紙型の画像形成装置を別途提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記胴内排紙型の画像形成装置においては、装置筐体内に排紙部空間が形成され、その排紙部空間内に排紙トレイが設けられているので、排紙トレイ上に排出された用紙が取り出しにくいという問題が有った。
【0006】本発明は、上述の胴内排紙型の画像形成装置における用紙が取り出しにくいという問題を解決し、排紙トレイ上に排出された用紙を容易に取り出すことのできる胴内排紙型の画像形成装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、本発明により、装置上部位置に画像読取部を配設し、該画像読取部の下方に作像部を配設した画像形成装置であって、前記画像読取部と前記作像部との間の装置筐体内に排紙部空間を設けた胴内排紙型の画像形成装置において、前記排紙部空間の底部に排紙トレイが設けられ、該排紙トレイの装置手前側略中央部に切欠きを設け、該切欠き部を下方に落し込んで所定の厚みを有する空間を形成するとともに該空間底部を排紙部底板で規定し、排紙部底板上に形成された前記所定の厚みを有する空間を上方及び装置手前側に開放して用紙取り出し導入空間とすることにより解決される。
【0008】また、本発明は、前記の課題を解決するために、前記排紙トレイが装置前面に引き出し可能なことを提案する。さらに、本発明は、前記の課題を解決するために、前記画像読取部の装置前面側に操作部が配設され、該操作部下面となる前記排紙部空間の上壁前面部を装置奥から手前に向かって高くなるように傾斜させることを提案する。
【0009】さらに、本発明は、前記の課題を解決するために、前記排紙部空間底部の装置手前側部分を、装置奥から手前に向かって低くなるように傾斜させることを提案する。」

(1c)「【0010】
【実施例】以下、本発明の詳細を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る胴内排紙型の画像形成装置の一実施例の正面図である。この図に示す画像形成装置100は、その本体101と、本体101の下部にオプションとして装着された給紙テーブル103と、本体101の上面に同じくオプションとして装着された自動原稿給送装置(以下、ADFという)102とで構成される。この画像形成装置100は、複写機の機能とファクシミリの機能とを併せ持ち、また、読み取った原稿の画像情報(光信号)を電気信号に変換して作像を行う、いわゆるデジタル複合機である。
【0011】本体101は、そのほぼ中央部に作像部1が配置され、その下方に給紙部2が位置している。また、本体最上部にはスキャナ部3が配置されている。そして、そのスキャナ部3と作像部1との間に空間が設けられ排紙部4(図2,4参照)を形成している。従来の画像形成装置は、排紙トレイを装置側面に張り出したウイング型として構成されているが、本実施例における本体101は、デジタル機の特性を活かして作像部1とスキャナ部3とを分離し、両者の間を排紙空間とすることによりウイングレス化を図り、装置側面に出っ張りのない省スペースな画像形成装置を実現させたものである。
【0012】本体101において、作像部1は従来周知の電子写真方式によるプリントエンジンとして構成され、図示しないレーザ書き込み装置,電子写真プロセス手段,定着装置等を内蔵している。給紙部2は、2段の給紙カセット21を有しており、作像部1に記録用紙を供給する。各カセット21は装置手前側に引き出して用紙補給を行うフロントローディング・タイプであり、カセット前面の中央部に引き出し用の取っ手が設けられている。スキャナ部3では、その上面にコンタクトガラス(図示せず)が配置され、その下方に図示しないスキャナユニットが配設される。排紙部4は、正面を除く三方の側面、すなわち図1における左右両側と装置奥側が壁面によって取り囲まれ、さらに、スキャナ部3及び作像部1により上下を囲まれている。排紙部4の最下部に設けられた排紙トレイ41は、作像部1の上面に形成されたものである。図1において左側の排紙部側壁45内には用紙搬送路が設けられ、作像部1で記録が行われた用紙は、この側壁45の高さ方向の中央やや下の位置から排紙トレイ41上に排出される。側壁45内の用紙搬送路の所定の位置に、用紙排出切換機構を設けてやれば、排紙トレイ41の上部に複数の補助トレイを装着して用紙を排出することが可能となる。」

(1d)「【0017】ところで、排紙部4の排紙トレイ41は、排出された用紙の後端揃えのために、図1において中央付近から左側の部分が次第に低くなり、左端に向かって落ち込んでいる。また、図2に示すように、排紙トレイ41は排紙部底板42から所定の厚みをもって形成されている。そして、トレイ41の手前側中央部付近が略半円形に奥側に向かってえぐられている。このため、トレイ41の抉られた部分が他の部分と段差を有し、排紙部底板42上に用紙取出し導入空間43を形成している。これにより、トレイ41上に用紙が排出されたときに、用紙手前部分の下側に導入空間43が位置することになり、その導入空間43に指先が入り込んで用紙を取り出しやすい構造になっている。また、排紙部底板42は緩やかな曲線で装置手前側に膨らんでいる。この底板42が手前に膨らんでいることと、上記した導入空間43が形成されたことにより、底板42の中央部分が用紙取り出し案内テーブルとして機能することになり、排出された用紙の取り出し易さを実現するとともに、視覚的にも用紙の取り出し易さを感じさせるようになっている。
【0018】さて、排紙部4の上部で、スキャナ部3の装置手前側には操作部60が設けられている。この操作部60は、図3に示すように、その右側部分にスタートキー61,クリア/ストップキー62,テンキー63,コピー/ファクス切換キー64等の基本操作キーが配置される。操作部60の中央部には、装置の状態等を表示する液晶表示パネル65を中心とする表示部が配置される。この表示部には濃度調節キー66や縮小,拡大,等倍複写の選択キーや用紙サイズ選択キー等も配設される。操作部左側部分には拡張キーが配設される。この拡張キーは、本実施例ではファクシミリの送信先番号を登録するワンタッチキー67が配設される。
【0019】この操作部60は、図4に示すように、本体101の最上部の装置手前側に位置している。その操作部60の下部すなわち排紙部空間の上壁前面部44は、装置手前側から奥側に向かって次第に低くなるように傾斜している。逆に言えば、上壁前面部44は、装置奥側から手前側に向かって次第に高くなり、排紙部4の開口面積を広くしている。これにより、オペレータが装置手前に立って排紙部4を見たときに、その間口の開口を広く見せて排紙部内部を視認しやすくするとともに、排紙部4の内部へ手を差し入れやすくしている。また、排紙トレイ41上に排出された用紙を取り出す際にも、手や用紙が操作部60の下部に当接することもなく、用紙の取り出しを容易にしている。
【0020】さらに、排紙部空間底部の装置手前側部分となる排紙部底板42は、その装置奥側部分よりも手前側部分が低くなっている。そのため、排紙トレイ41上に排出された用紙を取り出すために前述の導入空間43に手を差し入れることが容易になり、用紙の取り出しがさらに容易になっている。また、用紙取り出し時に導入空間43から手を引き出す際に、排紙部底板42の手前側部分が低くなっていることにより、手及び用紙が引っ掛かることがない。
【0021】このように、本実施例の胴内排紙型画像形成装置100においては、装置筐体内に形成された排紙部4から用紙を取り出し易くするための工夫が種々施され、排紙トレイ41に排出された用紙を容易に取り出すことが可能になっている。
【0022】次に、本発明の他の実施例について説明する。この実施例の画像形成装置は、排紙トレイを装置筐体から手前に引き出し可能に設けたこと以外は前記実施例の装置100と同様の構成なので、異なる部分を中心に説明する。
【0023】図5に示すように、排紙トレイ141は、排紙部4から装置の手前側に引き出し可能になっている。トレイ141を移動させるために、排紙トレイ141の左右両端部(装置幅方向の両端部)の下面にベアリング(図示せず)が取り付けてある。そして、排紙部4の左右側壁の内側にはレール状の突起が設けられており、そのレール状突起の上をベアリングによりトレイ141がスライドできるようになっている。なお、排紙トレイ141に対応するレール状突起はトレイに隠れて図示されていないが、補助トレイ用のレール状突起46が排紙部4の右側側壁に示されている。なお、本実施例においては、排紙部底板142の装置手前側に突出した部分を、作像部1の前カバー11と一体的に構成している。
【0024】通常時、排紙トレイ141は排紙部4内に格納されている。そして、トレイ141上に用紙Pが排出された場合、オペレータは排紙トレイ141を手前に引き出し、用紙Pを容易に取り出すことができる。用紙Pを取り出した後は、次の用紙排出に備えてトレイ141を排紙部4内に格納しておく。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の胴内排紙型画像形成装置によれば、排紙トレイの装置手前側のほぼ中央部に切欠きを設けて用紙取り出しの導入空間を形成したので、その導入空間に手を差し入れて排紙トレイ上に排出された用紙を容易に取り出すことができる。
【0026】請求項2の構成により、排紙トレイが装置前面に引き出し可能なので、排出された用紙の取り出しがさらに容易となる。請求項3の構成により、操作部下面となる排紙部上壁前面部を傾斜させたので、排紙部内部を視認しやすくするとともに、排紙部4の内部へ手を差し入れやすくして用紙の取り出しを容易にしている。
【0027】請求項4の構成により、排紙部空間底部の装置手前側部分を傾斜させたことにより、用紙取り出し時の手や用紙の引っ掛かりを防止することができる。」

(1e)図1,図2は以下のとおり。





これらを踏まえると、刊行物1には次の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されているものと認められる。
「 本体101の最上部に配置されたスキャナ部3及びほぼ中央部に配置された作像部1との間に空間が設けられた排紙部4を形成し、
従来周知の電子写真方式によるプリントエンジンとして構成され、レーザ書き込み装置,電子写真プロセス手段,定着装置等を内蔵している作像部1と、
その上面にコンタクトガラスが配置され、その下方にスキャナユニットが配設されるスキャナ部3とを有するとともに、
排紙部4の上部で、スキャナ部3の装置手前側には、基本操作キー,表示部,拡張キーが配置された操作部60が設けられ、
排紙部側壁45内には用紙搬送路が設けられ、作像部1で記録が行われた用紙は、この側壁45の高さ方向の中央やや下の位置から排紙トレイ41上に排出されるものであって、
排紙トレイ41に、トレイ41の手前側中央部付近が略半円形に奥側に向かってえぐられており、このため、トレイ41の抉られた部分が他の部分と段差を有し、排紙部底板42上に用紙取出し導入空間43が形成され、これにより、トレイ41上に用紙が排出されたときに、用紙手前部分の下側に導入空間43が位置することになり、その導入空間43に指先が入り込んで用紙を取り出しやすい構造になっていることを特徴とする画像成形装置。」

3-2)引用刊行物2
本願の出願前に頒布された特開2005-234222号公報(原査定の拒絶理由における「引用文献2」。以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与。)

(2a)「【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の装置本体上方に画像読取部を配置し、この画像読取部の下方に、画像形成がなされ、排出手段により排出された転写紙を積載するための用紙排出部を備えた胴内排紙型の画像形成装置が知られている。この様に胴内に用紙排出部を設けるのは、画像形成装置本体の側面等に用紙排出用の排紙トレイ等を設ける構成とすると、画像形成装置全体が大型化してしまうため、省スペース化を図るためである。
【0003】
又、一般に、画像形成装置においては、複写を行う際に、各ユーザーの目的に応じた情報を入力するための操作装置(以下、「操作パネル」という)が設けられており、当該操作パネルは、操作時のユーザーの利便性を考慮して、通常、画像形成装置本体上方に配置された画像読取装置の前面側に突出して設けられている(例えば、特許文献1参照)。この操作パネルは、複数の機能や条件等が表示される表示部と、入力キー等が配置された操作部とを備え、当該表示部を見ながら、操作部に設けられた入力キー等を操作するにより、複写を行う際の各ユーザーの目的に応じた機能や条件を適宜、選択し、設定できるよう構成されている。
【0004】
又、分離可能に接続された画像読取装置と画像出力装置とを備え、画像読取装置と画像出力装置が接続された状態においては、画像記録機能および画像読取機能の両機能を有する画像形成装置として使用でき、画像読取装置と画像出力装置が分離された状態においては、パソコン等に接続することにより、画像読取装置をイメージスキャナと使用することができるとともに、画像出力装置をプリンタとして使用可能な画像形成装置が開示されている。この画像形成装置においては、画像読取用操作パネルが、画像形成装置本体上方に配置された画像読取装置の前面側に設けられるとともに、画像記録用操作パネルが、胴内に設けられた用紙排出部の前面側に設けられており、画像形成装置として使用する場合には、画像読取用操作パネルおよび画像記録用操作パネルの両操作パネルのいずれか一方の操作パネルのみで設定可能にするとともに、他方の操作パネルの入力を禁止または無効にする構成としている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003-300357号公報
【特許文献2】特開2001-257820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の画像形成装置においては、ユーザーの操作性は向上するが、操作パネルが画像読取装置の前面側に突出して設けられるとともに所定の位置に固定されているため、転写紙のサイズによっては、胴内に設けられた用紙排出部に積載された転写紙の視認性が悪くなり、当該転写紙が取り出しにくくなるため、用紙の取り残しが発生するという問題があった。又、操作パネルが胴内に設けられた用紙排出部の前面側に設けられる場合においては、用紙排出部に積載された転写紙の視認性は向上するが、当該転写紙を取り出す際に、ユーザーの手等が操作パネルに触れてしまい、誤作動を引き起こすという問題があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、胴内の用紙排出部に積載された用紙を容易に取り出すことができるとともに、用紙を取り出す際の誤作動を確実に回避することができる画像形成装置を提供することを目的とする。」

(2b)「【0029】
従って、操作パネル22を、ガイドレール33に沿って画像読取部5の前面5a上を摺動させながら移動させることが可能になるため、図2に示した画像読取部5の前面5a左方側に位置する状態から、ガイドレール33に沿って、操作パネル22を右方向(即ち、図中の矢印Aの方向)に移動させることにより、当該操作パネル22は、図4に示した画像読取部5の前面5a右方側に位置する状態になる様に構成されている。又、逆に、図4に示した状態から、ガイドレール33に沿って、操作パネル22を左方向(即ち、図中の矢印Bの方向)に移動させることにより、図3に示した状態に戻る様に構成されている。この様に、操作パネル22は、ガイドレール33に沿って、画像読取部5の下方に設けられた用紙排出部21に対して所定の方向(即ち、左右方向)に移動自在となる様に設けられている。
【0030】
以上より、例えば、用紙排出部21に排出される転写紙のサイズが小サイズ(例えば、B5サイズ等)の場合は、図4に示す排出位置21a側に転写紙は排出されるため、ユーザーは、図4に示す位置まで操作パネル22を移動させることにより、用紙排出部21に積載された小サイズの転写紙を容易に認識することが可能になる。また、逆に、転写紙のサイズが大サイズ(例えば、A3サイズ等)の場合は、図2に示す排出位置21b側に転写紙は排出されるため、ユーザーは、図2に示す位置まで操作パネル22を移動させることにより、用紙排出部21に積載された大サイズの転写紙を容易に認識することが可能になる。」

(2c)「【0037】
以上に説明した様に、本実施形態においては、画像読取部5の前面5aに操作パネル22を配置するとともに、当該前面5aにガイドレール33を設け、操作パネル22を当該ガイドレール33に沿って、用紙排出部21に対して左右方向に移動自在となる様に構成しているため、胴内に設けられた用紙排出部21に積層された転写紙のサイズに応じて、操作パネル22を移動させることが可能になる。従って、ユーザーの操作性を考慮して、操作パネル22を画像読取部5の前面側5aに突出して設けた場合であっても、操作時におけるユーザーの利便性を維持したまま、用紙排出部21に積層された転写紙に対する視認性が向上するため、当該転写紙を容易に取り出すことが可能になる。」

(2d)図4は以下のとおり。



4.補正発明1について
4-1)対比
まず、刊行物1発明において、「本体101の最上部に配置されたスキャナ部3及びほぼ中央部に配置された作像部1との間に空間が設けられた排紙部4を形成し」ていることから、本体101の上から順に、スキャナ部3,排紙部4,作像部1の配置となっている。

補正発明1の第1の画像処理部に関して、本願明細書の段落【0015】には「前記プリンタ20によって、第1の画像処理である画像の形成を行う第1の画像処理部」と記載されていることから、刊行物1発明における、「従来周知の電子写真方式によるプリントエンジンとして構成され、レーザ書き込み装置,電子写真プロセス手段,定着装置等を内蔵している作像部1」は、補正発明1の「第1の画像処理を行う第1の画像処理部」に相当している。

補正発明1の第2の画像処理部に関して、本願明細書の段落【0015】には「前記スキャナ部40によって、第2の画像処理である画像の読取りを行う第2の画像処理部が構成される」と記載されていることから、刊行物1発明の「その上面にコンタクトガラスが配置され、その下方にスキャナユニットが配設されるスキャナ部3」は、補正発明1の「該媒体積載部の上方に配設され、第2の画像処理を行う第2の画像処理部」に相当している。

刊行物1発明の「排紙部側壁45内には用紙搬送路が設けられ、作像部1で記録が行われた用紙は、この側壁45の高さ方向の中央やや下の位置から排紙トレイ41上に排出される」ことにおいて、「作像部1で記録が行われた用紙」は、「側壁45の高さ方向の中央やや下の位置」から排出されることから、この刊行物1発明の「側壁45の高さ方向の中央やや下の位置」には、補正発明1の「第1の画像処理が行われた媒体を排出するための排出部」に相当するものが設けられている。
さらに、刊行物1発明の「排紙部4」は「作像部1」の上に配置していることから、「排紙部側壁45」は「作像部1」の上方に配設されることになるので、刊行物1発明の「排紙部側壁45内には用紙搬送路が設けられ、作像部1で記録が行われた用紙は、この側壁45の高さ方向の中央やや下の位置から排紙トレイ41上に排出される」ことは、補正発明1の「該第1の画像処理部の上方に配設され、前記第1の画像処理が行われた媒体を排出するための排出部」に相当している。

そして当該用紙が排出される先である「排紙トレイ41」が「排出された媒体を積載するための媒体積載部」に相当している。

刊行物1発明の「排紙部4の上部で、スキャナ部3の装置手前側には、基本操作キー,表示部,拡張キーが配置された操作部60」は、「該第2の画像処理部における所定の箇所に配設され、所定の操作を行うための操作部」に相当している。

刊行物1発明において、「トレイ41の手前側中央部付近が略半円形に奥側に向かってえぐられている」ことにより、「トレイ41の抉られた部分が他の部分と段差」となり、「排紙部底板42上に用紙取出し導入空間43を形成して」おり、さらに「導入空間43」は「用紙手前部分の下側に位置」し、「指先が入り込んで用紙を取り出しやすい構造となっていること」から、刊行物1発明の「導入空間」と補正発明1の「凹部」とは、「画像形成装置の前面に臨ませて、かつ、排出された媒体と媒体積載部の表面との間に隙間が形成させるように、形成され」ていることで共通し、また刊行物1発明の「段差」と補正発明1の「段差部」とは、「画像形成装置の前面に延在する」ことで共通している。

したがって補正発明1と刊行物1発明とは、
「(a)第1の画像処理を行う第1の画像処理部と、
(b)該第1の画像処理部の上方に配設され、前記第1の画像処理が行われた媒体を排出するための排出部と、
(c)排出された媒体を積載するための媒体積載部と、
(d)該媒体積載部の上方に配設され、第2の画像処理を行う第2の画像処理部と、
(e)該第2の画像処理部における所定の箇所に配設され、所定の操作を行うための操作部とを有するとともに、
(f)前記媒体積載部に、画像形成装置の前面に臨ませて、かつ、排出された媒体と媒体積載部の表面との間に隙間が形成されるように、凹部が形成され、該凹部によって、前記画像形成装置の前面に延在する段差部が形成されることを特徴とする画像形成装置。」
の点で一致し、下記の点で相違しているものと認める。

(相違点)
補正発明1は、画像形成装置の前面及び側面の両方に臨ませて凹部が形成され、該凹部によって、画像形成装置の前面と側面に延在する段差部が形成され、段差部及び操作部は、画像形成装置の上方から見て、操作部が段差部を遮らない位置に形成されるのに対して、刊行物1発明の凹部は前面にのみ臨ませて形成され、段差部も前面にのみ延在し、しかも段差部及び操作部は、画像形性装置の上方から見て、操作部が段差部を遮らない位置に形成されているかどうか不明な点。

4-2)判断
上記相違点について検討する。
刊行物2には、「操作パネルが画像読取装置の前面側に突出して設けられるとともに所定の位置に固定されているため、転写紙のサイズによっては、胴内に設けられた用紙排出部に積載された転写紙の視認性が悪くなり、当該転写紙が取り出しにくくなるため、用紙の取り残しが発生するという問題があった」(段落【0005】)ことから、例えば図4で言えば、「操作パネル22は、図4に示した画像読取部5の前面5a右方側に位置する状態になる様に構成されている」(段落【0029】)ことで、「排出位置21a側(当審中:図4では左方側)に転写紙は排出されるため、・・・(中略)・・・用紙排出部21に積載された小サイズの転写紙を容易に認識することが可能にな」(段落【0030】)り、「用紙排出部21に積層された転写紙に対する視認性が向上するため、当該転写紙を容易に取り出すことが可能となる」(段落【0037】)ことが記載されていることから、刊行物2の上記記載は、操作パネルを画像読取部の前面側の左右どちらかに寄せて突出して設け、そして転写紙を容易に取り出すことが可能な位置を、上記操作パネルを寄せた側とは反対側とする技術思想を示唆されているものと認められる。
したがって、刊行物2に接した当業者であれば、排紙トレイ上に排出された用紙を容易に取り出すことを目的とする刊行物1発明の操作部と媒体を取り出すであろう段差部の配置に関して、操作部を左右どちらかに寄せ、そして段差部を操作部とは反対側に寄せたこと、つまりは操作部が段差部を遮らない位置に形成するものに替える程度のことは、当業者ならば容易に思いつくことである。
そして、段差部が左右どちらかに寄れば、前面のみに延在しているものから側面にまで延在するようになることは、必然的になされる事項に過ぎず、さらに凹部を前面及び側面に臨ませることについても同様である。

したがって、本願補正発明1は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

5.補正発明8に対して
5-1)対比,判断
補正発明8と補正発明1とを比較すると、補正発明8は、補正発明1の「(a)第1の画像処理を行う第1の画像処理部と、(b)該第1の画像処理部の上方に配設され、前記第1の画像処理が行われた媒体を排出するための排出部と、」を、「(a)該体に画像を形成する画像形成部と、(b)該画像形成部の上方に配設され、画像が形成された媒体を排出するための排出部と、」としているが、この違いは単に表現上に違いに過ぎず、実質的に同じ事項を表している。
とすれば、補正発明8は、補正発明1の構成(d)と(e)と(g)を省いたものに相当している。
してみると、補正発明8の構成要件をすべて含み、さらに別の構成要件を付加したものに相当する補正発明1が、前記第2 4.に記載したとおり、引用刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、補正発明8も同様の理由により、引用刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

また、別の判断についても述べておく。
補正発明8は、補正発明1と比較して、補正発明1の発明構成要件である第2の画像処理部や操作部を備えていないことから、本願明細書に記載されている操作部と段差部(凹部)との位置関係から奏される作用・効果については、補正発明8の作用・効果と認めることができない。とすれば、刊行物1発明の段差部や凹部を、前面だけではなく側面にも延在させたり臨ませたりすることは、中央寄りにあった段差部や凹部を単に側方に寄せたものであって、当業者が適宜選択し得る形状変更に過ぎないものとも言える。
なお、凹部もしくは段差部を前面及び側面に亘って延在させたり臨ませたりすることは、特開平10-301349号公報等に記載されている様に、従来より周知な構成に過ぎない点も付言しておく。

したがって、本願補正発明8は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、もしくは刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

6.補正の却下の決定についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項の規定において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について

1.本願発明
平成22年 8月11日付け手続補正は上述のとおり却下されたので、本願の請求項1および請求項8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」,「本願発明8」という。)は、本件補正前の平成22年 2月12日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1および請求項8に記載された以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
(a)第1の画像処理を行う第1の画像処理部と、
(b)該第1の画像処理部の上方に配設され、前記第1の画像処理が行われた媒体を排出するための排出部と、
(c)排出された媒体を積載するための媒体積載部と、
(d)該媒体積載部の上方に配設され、第2の画像処理を行う第2の画像処理部と、
(e)該第2の画像処理部における所定の箇所に配設され、所定の操作を行うための操作部とを有するとともに、
(f)前記媒体積載部に、画像形成装置の前面及び側面の両方に臨ませて、かつ、排出された媒体と媒体積載部の表面との間に隙間が形成されるように、凹部によって段差部が形成され、
(g)該段差部及び操作部は、画像形成装置の上方から見て、操作部が段差部を遮らない位置に形成されることを特徴とする画像形成装置。

【請求項8】
(a)媒体に画像を形成する画像形成部と、
(b)該画像形成部の上方に配設され、画像が形成された媒体を排出するための排出部と、
(c)排出された媒体を積載するための媒体積載部とを有するとともに、
(d)該媒体積載部には、画像形成装置の前面及び側面の両方に臨ませて、かつ、排出された媒体と媒体積載部の表面との間に隙間が形成されるように、凹部によって段差部が形成されることを特徴とする画像形成装置。」

2.引用刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-339105号公報及び特開2005-234222号公報の記載事項は、前記第2 3.に記載したとおりである。

3.本願発明1
本願発明1は、実質的に本願補正発明1の「段差部」を「画像形成装置の前面と側面との間に延在する」との限定を省いたものに相当する。
してみると、本願発明1の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明1が、前記第2 4.に記載したとおり、引用刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1も同様の理由により、引用刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.本願発明8
本願発明8は、実質的に本願補正発明8の「段差部」を「画像形成装置の前面と側面との間に延在する」との限定を省いたものに相当する。
してみると、本願発明8の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明8が、前記第2 5.に記載したとおり、引用刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、または引用刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明8も同様の理由により、引用刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、または引用刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願の請求項1または請求項8に係る発明は、刊行物1および刊行物2に記載された発明に基づいて、また請求項8に係る発明は刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-04 
結審通知日 2011-08-09 
審決日 2011-08-24 
出願番号 特願2007-337481(P2007-337481)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03G)
P 1 8・ 575- Z (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 畑井 順一  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 磯貝 香苗
住田 秀弘
発明の名称 画像形成装置  
代理人 川合 誠  
代理人 清水 守  
代理人 青木 俊明  

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