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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1246879 |
審判番号 | 不服2010-23265 |
総通号数 | 145 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-10-15 |
確定日 | 2011-11-10 |
事件の表示 | 特願2006-227041「太陽電池封止膜用組成物及びこれを用いた太陽電池封止膜」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 3月 6日出願公開、特開2008- 53377〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成18年8月23日の出願であって、平成21年9月17日、同年12月17日及び平成22年6月10日に手続補正がなされ、同年7月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成22年6月10日の手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項によってそれぞれ特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「エチレン-極性モノマー共重合体、架橋剤、受酸剤、ならびにアルキレンオキシ基を有する化合物を含み、 前記アルキレンオキシ基を有する化合物が、下記式(1): 【化1】 [但し、R^(2)は、エチレン基、又は、-CH_(2)CH(CH_(3))-で示される基であり、R^(3)は、水素原子またはメチル基を表し、nは、4?9の整数であり、mは1であり、R^(1)は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表す]で示される化合物であり、且つ 前記受酸剤が、水酸化マグネシウム(Mg(OH)_(2))である太陽電池封止膜用組成物。」 第3 引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2005-29588号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項が図とともに記載されている(下線は審決で付した。以下同じ)。 1 「【0007】 【発明が解決しようとする課題】 本発明者の検討によれば、EVAフィルムは、酢酸ビニルをその構成成分として含んでいるため、高温時の湿気ないし水の透過により経時的に加水分解して酢酸を生じ易い傾向にあり(また元々微量の酢酸を含んでいる)、このような酢酸は、内部の導線や電極と接触して錆の発生を促進することが明らかとなった。 【0008】 また、このようなEVAフィルムは、自動車のフロントガラス等の合わせガラスにも使用されている。合わせガラスは、一般にガラス板の間(またはガラスとプラスチック板の間)に有機樹脂からなる透明接着剤層(中間膜)を挟持させた構造のものであるが、近年、ガラスとEVAフィルムとの間に蒸着金属膜を挿入した熱線反射用の合わせガラスも盛んに使用されるようになってきている。このような蒸着金属膜も前記と同様、EVAフィルムから生じる酢酸により、金属膜の錆の発生を促進することも分かった。このような熱線反射用のガラス、合わせガラスは、建築用等にも需要は広がっている。 【0009】 上記のような用途に使用されるEVAフィルムは、基本的に高度な透明性が必要であるので、透明性を保持しながら上記錆の発生が防止されたフィルムが望まれている。 【0010】 金属の錆を発生を防止するため、ポリマーに受酸剤を使用する例として、エチレン/酸コポリマー若しくはこれらのイオノマー等の熱可塑性樹脂と、5重量%未満の酸化マグネシウム、アルミの珪酸ナトリウムを含む熱可塑性組成物が特表2001-505951号公報に記載されている。しかしながら、この組成物はパッケージ材料や、ワイヤ、ケーブル材料に使用するものであり、本発明の高度に透明なフィルムについては言及していない。 【0011】 従って、かかる点を鑑みなされた本発明の目的は、環境の変化等により経時的に加水分解して酢酸を発生することが無く、且つ透明性に優れた透明フィルムを提供することにある。 【0012】 また、本発明の目的は、太陽電池の封止膜や、合わせガラス等の透明接着剤層に好適な、耐久性、透明性に優れた透明フィルムを提供することにある。」 2 「【0013】 【課題を解決するための手段】 本発明は、エチレン/酢酸ビニル共重合体、及び該共重合体中に分散された受酸剤粒子を含む透明フィルムであって、受酸剤粒子の含有量が共重合体に対して0.5質量%以下であり、且つ受酸剤粒子の平均粒径が5μm以下であることを特徴とする透明フィルムにある。 【0014】 上記透明フィルムにおいて、受酸剤粒子の含有量が0.2質量%以下であることが好ましい。発生する酢酸の量に応じた好適な酸の処理速度を示す。受酸剤は、一般に酸を吸収するか、及び/または中和する機能を有する。 【0015】 受酸剤粒子は、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸化物又は複合金属水酸化物若しくはこれらの混合物であることが好ましい。発生する酢酸の量、及び用途に応じ適宜選択することができる。また受酸剤粒子が、MgO、ZnO,Pb_(3)O_(4)、Ca(OH)_(2)、Al(OH)_(3)、Fe(OH)_(2)、CaCO_(3)及びハイドロタルサイトから選択される少なくとも1種であることが好ましい。特に、MgO、ZnOが好ましい。発生する酢酸の量、及び用途に応じ適宜選択することができる。」 3 「【0026】 上記EVAは、酢酸の発生の抑制のため、及びガラス板或いは有機ポリマー等との接着性調整のために、架橋剤として有機過酸化物又は光増感剤を一般に含有することができる。有機過酸化物を含有する樹脂組成物は、加熱により硬化性が向上しているので、得られるフィルムの膜強度も向上する。 …(略)… 【0031】 本発明のEVAフィルムは、膜の種々の物性(機械的強度、接着性、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性、架橋速度等)の改良あるいは調整、特に機械的強度の改良のため、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及び/又はエポキシ基含有化合物、又は多官能性化合物である架橋助剤を含んでいることが好ましい。特に、適当な種類を適量添加することにより透明性を向上させることができ、また酢酸発生量を抑制することができる。 【0032】 使用するアクリロキシ基含有化合物及びメタクリロキシ基含有化合物としては、一般にアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体であり、例えばアクリル酸あるいはメタクリル酸のエステルやアミドを挙げることができる。エステル残基の例としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリル等の直鎖状のアルキル基、シクロヘキシル基、テトラヒドルフルフリル基、アミノエチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、3-クロロ-2-ヒドロキシプオピル基を挙げることができる。また、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとアクリル酸あるいはメタクリル酸のエステルも挙げることができる。」 4 上記1ないし3から、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「環境の変化等により経時的に加水分解して酢酸を発生することが無く、太陽電池の封止膜に好適な、耐久性、透明性に優れた透明フィルムであって、 エチレン/酢酸ビニル共重合体、架橋剤、受酸剤粒子、アクリロキシ基含有化合物又はメタクリロキシ基含有化合物を含んでおり、 前記アクリロキシ基含有化合物及びメタクリロキシ基含有化合物は、トリエチレングリコールとアクリル酸あるいはメタクリル酸とのエステルであり、 前記受酸剤粒子が金属水酸化物である透明フィルム。」 第4 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 1 引用発明の「エチレン/酢酸ビニル共重合体」及び「受酸剤粒子」は、それぞれ、本願発明の「エチレン-極性モノマー共重合体」及び「受酸剤」に相当する。 2 引用発明の「透明フィルム」は、環境の変化等により経時的に加水分解して酢酸を発生することが無く、太陽電池の封止膜に好適な、耐久性、透明性に優れたものであるから、引用発明の「透明フィルム」は、本願発明の「太陽電池封止膜用組成物」に相当するといえる。 3 引用発明の「アクリロキシ基含有化合物又はメタクリロキシ基含有化合物」は、トリエチレングリコールとアクリル酸あるいはメタクリル酸のエステルであり、トリエチレングリコールがポリエチレングリコールの一種であることは周知であり(第5の1(2)参照。)、ポリエチレングリコールとは、一般式(2) (式中、nは2以上の整数を表す)で表される化合物であることが、当業者に自明である(特開平9-254106号公報【0025】ないし【0027】参照。)から、引用発明の「アクリロキシ基含有化合物又はメタクリロキシ基含有化合物」と本願発明の「アルキレンオキシ基を有する化合物」とは、 「下記式(1): [但し、R^(2)は、エチレン基、又は、-CH_(2)CH(CH_(3))-で示される基であり、R^(3)は、水素原子またはメチル基を表し、nは、2以上の整数であり、mは1であり、R^(1)は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表す]で示される化合物」である点で一致する。 4 引用発明の「『受酸剤粒子』である『金属水酸化物』」と本願発明の「『受酸剤』である『水酸化マグネシウム(Mg(OH)_(2)』」とは、金属水酸化物である点で一致する。 5 上記1ないし4から、本願発明と引用発明とは、 「エチレン-極性モノマー共重合体、架橋剤、受酸剤、ならびにアルキレンオキシ基を有する化合物を含み、 前記アルキレンオキシ基を有する化合物が、下記式(1): [但し、R^(2)は、エチレン基、又は、-CH_(2)CH(CH_(3))-で示される基であり、R^(3)は、水素原子またはメチル基を表し、nは、2以上の整数であり、mは1であり、R^(1)は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表す]で示される化合物であり、且つ 前記受酸剤が、金属水酸化物である太陽電池封止膜用組成物。」 である点で一致し、次の点で相違する。 相違点1: 前記式(1)中の整数nが、本願発明では、「4?9」であるのに対して、引用発明では、3である点。 相違点2: 前記金属水酸化物が、本願発明では、「水酸化マグネシウム(Mg(OH)_(2)」であるのに対して、引用発明では、明らかでない点。 第5 判断 上記相違点1及び2について検討する。 1 相違点1について (1)引用例には、「アクリロキシ基含有化合物及びメタクリロキシ基含有化合物としては、…(略)…トリエチレングリコール、…(略)…ポリエチレングリコール、…(略)…等の多価アルコールとアクリル酸あるいはメタクリル酸のエステルも挙げることができる 。」(第3の3【0032】参照。)と記載されており、このトリエチレングリコールは、上記第4の3の一般式(2)中のnが3のポリエチレングリコールである。 (2)ポリエチレングリコールには、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール及びノナエチレングリコールが含まれることが、本願の出願前に周知であり(以下「周知事項1」という。例.上記特開平9-254106号公報【0025】ないし【0028】、特開平5-253560号公報【0012】及び【0013】参照。)、これらは、上記第4の3の一般式(2)中のnがそれぞれ2ないし9のポリエチレングリコールである。 (3)テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート ペンタエチレングリコールジアクリレート、ペンタエチレングリコールジメタクリレート、ヘキサエチレングリコールジアクリレート、ヘキサエチレングリコールジメタクリレート、ヘプタエチレングリコールジアクリレート、ヘプタエチレングリコールジメタクリレート、オクタエチレングリコールジアクリレート、オクタエチレングリコールジメタクリレート、ノナエチレングリコールジアクリレート及びノナエチレングリコールジメタクリレートは、いずれも本願の出願前に周知の化合物である(以下「周知事項2」という。例.特開昭62-24246号公報3頁左上欄下から4行ないし3頁右上欄7行、特開昭62-21141号公報4頁左上欄下から5行ないし4頁右上欄7行、特開昭61-228007号公報3頁右上欄8ないし19行参照。)。 (4)上記(1)ないし(3)から、引用発明において、上記第4の3の一般式(2)中のnが3のポリエチレングリコールであるトリエチレングリコールに代えて、前記nを3から1増やして4としたポリエチレングリコールであるテトラエチレングリコール、前記nを3から2増やして5としたポリエチレングリコールであるペンタエチレングリコール、前記nを3から3増やして6としたポリエチレングリコールであるヘキサエチレングリコール、前記nを3から4増やして7としたポリエチレングリコールであるヘプタエチレングリコール、前記nを3から5増やして8としたポリエチレングリコールであるオクタエチレングリコール、あるいは前記nを3から6増やして9としたポリエチレングリコールであるノナエチレングリコールを用い、上記相違点1に係る本願発明の構成となすことは、当業者が、周知事項1及び周知事項2に基づいて容易になし得た程度のことである。 2 相違点2について 水酸化マグネシウムが受酸剤であることは、本願の出願前に周知である(以下「周知事項3」という。例.特開2001-89784号公報特に【0013】及び【0017】、特開平10-97812号公報特に【0009】、特開2000-150006号公報特に【0053】及び【0054】参照。)から、引用発明において、受酸剤粒子である金属水酸化物として水酸化マグネシウムを用い、上記相違点2に係る本願発明の構成となすことは、当業者が周知事項3に基づいて適宜になし得た設計上のことである。 3 効果について (1)本願発明の発明特定事項である「下記式(1): nは、4?9の整数であり」に関して、本願の明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。 ア 「【0054】 なかでも、透明性に優れる太陽電池用封止膜を形成することができることから、本発明による組成物は、アルキレンオキシ基を有する化合物として、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数n=4?9)が好ましく、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。」 イ 「【0103】 以下、本発明を実施例により説明する。本発明は、以下の実施例により制限されるものではない。 【0104】 (実施例1) (1)エチレン酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量26重量%)100質量部 (2)架橋剤(2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン)1.3質量部 (3)架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート)2.0質量部 (4)受酸剤1(Mg(OH)_(2) 平均粒子径0.4μm)0.05質量部 (5)添加剤1(ノナエチレングリコールジメタクリレート、共栄社化学株式会社製 ライトエステル9EG)0.5質量部 上記配合のEVA組成物を用いて、80℃でカレンダー成形して、EVA膜(厚さ900μm)を成膜した。 【0105】 (実施例2?8及び比較例1?4) 添加剤1の他、添加剤2(ノナエチレングリコールジアクリレート、共栄社化学株式会社製 ライトアクリレート9EG-A)、添加剤3(テトラエチレングリコールジアクリレート、共栄社化学株式会社製 ライトアクリレート4EG)及び受酸剤2(Mg(OH)_(2) 平均粒子径6μm)を用い、それぞれ表1に示す配合とした以外は、実施例1と同様にしてEVA組成物を調製してEVA膜を成膜した。 【0106】 (評価) 各実施例および比較例で作製したEVA膜の全光線透過率を下記手順に従って測定した。 【0107】 EVA膜を50mm×50mmの大きさに打ち抜き、これを2枚のガラス基板(厚さ3mm、大きさ50mm×50mm)を用いて、ガラス基板/EVA膜/ガラス基板の順に積層した。このようにして得られた積層体を、真空ラミネーターで、真空下、温度約155℃、脱気時間3分、プレス時間10分間の条件で、加熱圧着し、さらに155℃のオーブンで45分間加熱して、EVA膜のゲル分率が約95質量%となるようにEVAを架橋させた。その後、積層体の厚み方向の光線透過スペクトルを分光光度計(日立製作所株式会社製 U-4000)を用いて、波長範囲300?1200nmの全光線透過率を3箇所測定し、その平均値を算出した。結果を表1に示す。 【0108】 【表1】 」 (2)実施例1及び2、実施例7及び8は、上式(1)に係るアルキレンオキシ基を有する化合物を含有し、かつ、上記式(1)に係るnが9である添加剤1を含む例であり、実施例3及び4は、上式(1)に係るアルキレンオキシ基を有する化合物を含有し、かつ、上記式(1)に係るnが9である添加剤2を含む例であり、実施例5及び6は、上式(1)に係るアルキレンオキシ基を有する化合物を含有し、かつ、上記式(1)に係るnが4である添加剤3を含む例である一方、比較例1ないし4は、上記式(1)に係るアルキレンオキシ基を有する化合物を含有しない例であるから、上記表1は、上記式(1)に係るアルキレンオキシ基を有する化合物において、上記nが4ないし9と上記nが2、3、10以上とを比較したものでない。 (3)上記段落【0108】【表1】において、上式(1)に係るアルキレンオキシ基を有する化合物のうち、上記式(1)に係るnが4である添加剤3を含む実施例6の太陽電池封止膜用組成物の全光線透過率[%]と上記式(1)に係るアルキレンオキシ基を有する化合物を含有しない比較例3の太陽電池封止膜用組成物の全光線透過率[%]とは「80.1%」であり、また、上式(1)に係るアルキレンオキシ基を有する化合物のうち、上記式(1)に係るnが9である添加剤1を含む実施例8の太陽電池封止膜用組成物の全光線透過率[%]は上記式(1)に係るアルキレンオキシ基を有する化合物を含有しない比較例3の太陽電池封止膜用組成物の全光線透過率[%]に比べ劣るものであるとするテスト結果が示されている。 上記テスト結果から、下記式(1): [但し、R^(2)は、エチレン基、又は、-CH_(2)CH(CH_(3))-で示される基であり、R^(3)は、水素原子またはメチル基を表し、nは、4?9の整数であり、mは1であり、R^(1)は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表す]で示される化合物が、上記nが、2、3及び10以上の整数である点のみ異なる化合物に比べ透明性に優れると結論付けることはできない。 したがって、本願発明の発明特定事項である「下記式(1): nは、4?9の整数であり」との臨界的意義は、不明であると言わざるを得ない。 (4)上記(2)及び(3)から、本願発明の奏する効果は、格別のものとは認められず、当業者が、引用発明の奏する効果、周知事項1、周知事項2、周知事項3及び引用例に記載された事項から予測できた程度のものである。 4 まとめ したがって、本願発明は、当業者が、引用例に記載された発明、周知事項1、周知事項2、周知事項3及び引用例に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、当業者が、引用例に記載された発明、周知事項1、周知事項2、周知事項3及び引用例に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-09-06 |
結審通知日 | 2011-09-13 |
審決日 | 2011-09-27 |
出願番号 | 特願2006-227041(P2006-227041) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 濱田 聖司 |
特許庁審判長 |
長島 和子 |
特許庁審判官 |
菅野 芳男 桐畑 幸▲廣▼ |
発明の名称 | 太陽電池封止膜用組成物及びこれを用いた太陽電池封止膜 |
代理人 | 江藤 聡明 |