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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1250646 |
審判番号 | 不服2010-24245 |
総通号数 | 147 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-03-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-10-27 |
確定日 | 2012-01-19 |
事件の表示 | 特願2009-197070「入力装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 3月10日出願公開、特開2011- 48669〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成21年8月27日の出願であって、平成22年7月20日付で拒絶査定がなされ、これに対し平成22年10月27日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同時に手続補正がされたものである。 第2.平成22年10月27日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成22年10月27日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正内容 平成22年10月27日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成21年8月27日出願時の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明 「【請求項1】 入力を受け付けるタッチセンサと、 前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、 前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、 前記荷重検出部により検出される押圧荷重が、所定の荷重基準を満たす状態で所定期間継続した際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する制御部と、 を備えることを特徴とする入力装置。」を、 「 【請求項1】 入力を受け付けるタッチセンサと、 前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、 前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、 前記荷重検出部により前記押圧荷重を検出した後、該検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たしてから所定期間経過した際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する制御部と、 を備えることを特徴とする入力装置。」に補正するものである。(下線は請求人が付与。) 2.補正の目的 上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「制御部」について、押圧対象に対して触感を呈示するのが、「荷重検出部により検出される押圧荷重が、所定の荷重基準を満たす状態で所定期間継続した際」から「荷重検出部により押圧荷重を検出した後、該検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たしてから所定期間経過した際」に限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。 3.引用例の記載事項 (1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-332063号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。 a.「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、表示画面上の入力検出面を摺動接触操作して情報を入力するデジタルカメラや、情報処理装置、携帯電話機、情報携帯端末装置等に適用して好適な触覚機能付き入力装置、情報入力方法及び電子機器に関する。詳しくは、表示画面上の入力検出面における操作体の押下操作に対して触覚を与える場合に、その入力検出面における操作体の押下位置の加圧力に対応した振動パターンに基づいて当該入力検出面を振動する振動手段を備え、操作体となる操作者の指等による押下操作に対応した振動パターン(振幅と周波数と振動回数)により複数種類の振動を発生できるようにしたものである。」 b.「【0015】 上述した課題は、表示画面上の入力検出面における操作体の押下操作に対して触覚を与える触覚機能付き入力装置であって、入力情報を表示する表示手段と、この表示手段上に入力検出面を有して、当該入力検出面における操作体の押下位置の加圧力を検出すると共に、当該押下位置に表示された入力情報を入力する入力検出手段と、この入力検出手段によって検出された操作体の加圧力に対応する振動パターンに基づいて入力検出面を振動する振動手段とを備えることを特徴とする触覚機能付き入力装置によって解決される。」 c.「【発明の効果】 【0022】 本発明に係る触覚機能付き入力装置によれば、表示手段上の入力検出面における操作体の押下操作に対して触覚を与える場合に、その入力検出面における操作体の押下位置の加圧力に対応した振動パターンに基づいて当該入力検出面を振動する振動手段を備えるものである。 d.「【0026】 本発明に係る電子機器によれば、本発明に係る触覚機能付き入力装置が応用されるので、表示画面上の入力検出面を摺動するように接触操作して情報を入力する場合に、操作体となる操作者の指等による押下操作に対応した振動パターンにより複数種類の振動を発生させることができる。これにより、携帯電話機やデジタルカメラ等に応用した場合に、表示手段上の入力検出面における操作体の押下操作に対応した確実な触覚を取得できるようになる。」 e.「【実施例1】 【0028】 図1は、本発明に係る第1の実施例としての触覚入力機能付き携帯電話機100の構成例を示す斜視図である。 この実施例では、表示手段上の入力検出面において、操作体が押下した位置の加圧力に対応した振動パターンに基づいて当該入力検出面を振動する振動手段を備え、その入力検出面における操作体の押下操作に対して触覚を付与できるようにすると共に、表示手段に表示されたボタンアイコン等の入力を確定できるようにしたものである。 【0029】 図1に示す携帯電話機100は電子機器の一例であり、表示画面上の入力検出面を摺動接触操作される触覚機能付きの入力装置90を有している。携帯電話機100は下部筐体10及び上部筐体20を備え、これらの筐体10及び20間は、回転レンジ機構11によって可動自在に係合されている。この回転レンジ機構によれば、下部筐体10の操作面の一端に設けられた図示しない軸部と、下部筐体10の裏面の一端に設けられた図示しない軸受け部とが回転自在に係合され、上部筐体20は下部筐体10に対して角度±180°の回転自由度を有して面結合されている。 【0030】 下部筐体10には、複数の押しボタンスイッチ12から成る操作パネル18が設けられる。押しボタンスイッチ12は、「0」?「9」数字キー、「*」や「#」等の記号キー、「オン」や「オフ」等のフックボタン、メニューキー等から構成される。下部筐体10において、操作パネル面の下方には、通話用のマイクロフォン13が取り付けられ、送話器として機能するようになされる。 【0031】 また、下部筐体10の下端部には、モジュール型のアンテナ16が取り付けられ、その上端内部側面には、大音響用のスピーカー36aが設けられ、着信メロディ等を放音するようになされる。下部筐体10には、バッテリー16や回路基板17等が設けられ、下部筐体10の裏面にはカメラ34が取り付けられている。 【0032】 上述の下部筐体10に対して、回転レンジ機構11によって可動自在に係合された上部筐体20には、その表面の上方に通話用のスピーカー36bが取り付けられ、受話器として機能するようになされる。上部筐体20のスピーカー取り付け面の下方には、触覚機能付き入力装置90が設けられる。入力装置90は、入力検出手段45及び表示手段29を有しており、表示画面上の入力検出面における操作体の押下操作に対して触覚を与えるものである。表示手段29には、複数のボタンアイコン等の入力情報が表示される。 【0033】 図2は、触覚機能付きの入力装置90の構成例を示す斜視図である。図2に示す入力装置90は、長さがLcm程度で、幅がWcm程度の入力手段24と、この下方に、入力手段24よりも一回り小さな液晶表示ディスプレイから成る表示手段29とが積層され、更に、表示手段29の周囲には、例えば、4個の力検出手段55a?55dが取り付けられて構成され、当該入力検出面における操作体の押下位置の加圧力を検出すると共に、当該押下位置に表示された入力情報を入力する。 【0034】 入力検出手段45は、入力手段24及び4個の力検出手段55a?55dから構成される。この例では、入力検出手段45の入力検出面の一方をX方向とし、当該X方向と直交する他方をY方向とし、X及びY方向と直交する方向をZ方向とする。入力手段24はボ タンアイコンの選択位置を検出するようになされる。入力手段24には蓄積電極となる透明電極をマトリクス状に配置したタッチパネルが使用される。タッチパネルは、静電容量シートとしての静電容量方式の入力デバイスである。入力手段24から得られる入力情報には位置情報が含まれる。位置情報はボタンアイコン押下時の位置検出信号S1により得られる。 【0035】 力検出手段55a?55dは、表示手段29の同一平面の四隅に設けられ、当該入力検出面における操作体の押下位置の加圧力Fを検出する。力検出手段55aは、例えば、右下隅の入力量(力)として、例えば、当該アイコン選択時の力検出信号Sfaを検出する。同様にして、力検出手段55bは、右上隅の入力量(力)として、当該アイコン選択時の力検出信号Sfbを検出し、力検出手段55cは、左上隅の入力量(力)として、当該アイコン選択時の力検出信号Sfcを検出し、力検出手段55dは、左下隅の入力量(力)として、当該アイコン選択時の力検出信号Sfdを各々検出する。これら4個の力検出手段55a?55dは、並列に接続され、これら4つの力検出信号Sfa+Sfb+Sfc+Sfdを制御手段15に出力する。以下、この合算した信号を入力検出信号S2とする。 【0036】 表示手段29の周囲には、力検出手段55a?55dの他に振動手段の一例となる4個のアクチュエータ25a?25dが取り付けられ、表示手段29に表示されるボタンアイコンの選択操作に基づいて表示画面を振動するようになされる。アクチュエータ25a?25dは圧電素子から構成される。アクチュエータ25aには制御手段15から振動制御信号Saが供給される。アクチュエータ25bには同様にして振動制御信号Sbが供給され、アクチュエータ25cには振動制御信号Scが供給され、アクチュエータ25dには振動制御信号Sdが各々供給される。振動制御信号Sa?Sdは、複数の振動パターンを発生するための信号である。 【0037】 アクチュエータ25a?25dは、力検出手段55a?55dによって検出された操作体の加圧力Fに対応する振動パターンに基づいて入力検出面を振動する。この例で、アクチュエータ25a?25dは、予め準備された加圧力Fに対応する振動パターンにより異なった触覚を与えるようになされる。 【0038】 上述の入力手段24、表示手段29、4個のアクチュエータ25a?25d及び力検出手段55a?55dには制御手段15が接続される。制御手段15には記憶手段35が接続され、入力項目選択用の表示画面を、例えば、3次元的に表示するための表示データD4や、当該表示データD4に対応したアイコンの選択位置及び振動モードに関する制御情報Dc等が表示画面毎に記憶される。 【0039】 制御情報Dcには、表示手段29におけるアプリケーション(3次元的な表示や、各種表示内容)に同期した複数の異なった触覚を発生でき、その触覚を発生せしめる複数の具体的な振動波形、及び、アプリケーション毎の具体的な触覚発生モードを設定するアルゴリズムが含まれる。記憶手段35には、EEPROMや、ROM、RAM等が使用される。 【0040】 この例で制御手段15は、入力手段24から出力される位置情報に基づいて表示手段29の表示制御及びアクチュエータ25a?25dの出力制御をする。例えば、制御手段15は、入力手段24から得られる位置検出信号S1及び力検出手段55a?55dから得られる入力検出信号S2に基づいて記憶手段35から制御情報Dcを読み出してアクチュエータ25a?25dに振動制御信号Sa?Sdを供給する。 【0041】 また、制御手段15は、表示画面中のボタンアイコンを奥行方向に遠近感を有して3次元的に表示するように表示手段29を表示制御する。このように構成された入力装置90は、例えば、入力項目選択用の表示画面に表示された複数のボタンアイコンの1つを押下(接触)して当該表示画面上で入力手段24をZ方向に押下すると触覚を伴って画面入力操作されるものである。 【0042】 図3A及びBは、アクチュエータ25a?25d、力検出手段55a及び55b等の配置例を示す断面の構成図である。 図3Aに示す入力装置90は、図2に示したように上部筐体20において、入力手段24、表示手段29及び力検出手段55a、55b、バックライト49等から成る3層構造を有している。」(下線は当審にて付与、以下同様。) f.「【0050】 次に、触覚入力機能付きの携帯電話機100の内部構成例及び感触フィードバック入力方法について説明をする。図6は、触覚入力機能付き携帯電話機100の内部構成例を示すブロック図である。 図6に示す携帯電話機100は、下部筐体10の回路基板17に各機能のブロックを実装して構成される。なお、図1?図5に示した各部及び手段と対応する部分は、同一符号で示している。携帯電話機100は、制御手段15、操作パネル18、受信部21、送信部22、アンテナ共用器23、入力検出手段45、アクチュエータ25a?25d、表示手段29、電源ユニット33、カメラ34及び記憶手段35を有している。 【0051】 図6に示す入力検出手段45は、図2では静電容量方式の入力デバイスを説明したが、カーソリングと選択の機能を区別できるものであれば何でも良く、例えば、抵抗膜方式、表面波弾性方式(SAW)、光方式、複数段方式タクトスイッチ等の入力デバイスであっても良く、好ましくは位置情報と力情報を制御手段15に与えられる構成の入力デバイスであれば良い。上述の入力検出手段45は操作者30の指30aを介して少なくとも位置検出信号S1および入力量(押圧力;加圧力F)となる入力検出信号S2が入力される。 【0052】 制御手段15は、A/Dドライバ31、CPU32、画像処理部26及びアクチュエータ駆動回路37を有している。A/Dドライバ31には、入力検出手段45からの位置検出信号S1および入力検出信号S2が供給される。A/Dドライバ31ではカーソリングとアイコン選択の機能を区別するために位置検出信号S1および入力検出信号S2よりなるアナログ信号をデジタルデータに変換する。この他にA/Dドライバ31は、このデジタルデータを演算処理して、カーソリング入力かアイコン選択情報かを検出し、カーソリング入力かアイコン選択かを区別するフラグデータD3あるいは位置情報D1または入力検出情報D2をCPU32に供給するようになされる。これらの演算はCPU32内で実行してもよい。 【0053】 A/Dドライバ31にはCPU32が接続される。CPU32はシステムプログラムに基づいて当該電話機全体を制御するようになされる。記憶手段35には当該電話器全体を制御するためのシステムプログラムデータが格納される。図示しないRAMはワークメモリとして使用される。CPU32は電源オンと共に、記憶手段35からシステムプログラムデータを読み出してRAMに展開し、当該システムを立ち上げて携帯電話機全体を制御するようになされる。例えば、CPU32は、A/Dドライバ31からの入力データD1?D3を受けて所定の指令データDを電源ユニット33や、カメラ34、記憶手段35、アクチュエータ駆動部37、映像&音声処理部44等のデバイスに供給したり、受信部21からの受信データを取り込んだり、送信部2へ送信データを転送するように制御する。 【0054】 この例で、CPU32は、入力検出手段45から得られる入力検出情報D2と予め設定された押下判定閾値Fthとを比較し、当該比較結果に基づいてアクチュエータ25a?25d等を振動制御するようにアクチュエータ駆動部37を制御する。例えば、入力検出手段45の押下位置における入力検出面から伝播される触覚をA及びBとすると、触覚Aは、その押下位置における操作者の指30aの加圧力Fに応じた入力検出面を低周波数かつ小振幅の振動パターンから、高周波数かつ大振幅の振動パターンに変化させることによって得られる。また、触覚Bは、その押下位置における操作者の指30aの加圧力Fに応じた入力検出面を高周波数かつ大振幅の振動パターンから、低周波数かつ小振幅の振動パターンに変化させることよって得られる。 【0055】 CPU32は、入力検出手段45が押下判定閾値Fthを越える入力検出情報D2を検出したとき、触覚Aを起動し、その後、押下判定閾値Fthを下回る入力検出情報D2を検出したとき、触覚Bを起動するようにアクチュエータ駆動回路37を制御する。このようにすると、操作者の指30a等の”加圧力”に合わせた異なる振動パターンを発生させることができる。」 以上の記載によれば、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「入力装置90は、入力検出手段45及び表示手段29を有し、表示画面上の入力検出面における操作体の押下操作に対して触覚を与えるものであり、入力装置90は、入力手段24と、この下方に、入力手段24よりも一回り小さな液晶表示ディスプレイから成る表示手段29とが積層され、 入力手段24には蓄積電極となる透明電極をマトリクス状に配置したタッチパネルが使用され、 力検出手段55a?55dは、表示手段29の同一平面の四隅に設けられ、当該入力検出面における操作体の押下位置の加圧力Fを検出し、 表示手段29の周囲には、力検出手段55a?55dの他に振動手段の一例となる4個のアクチュエータ25a?25dが取り付けられ、力検出手段55a?55dによって検出された操作体の加圧力Fに対応する振動パターンに基づいて入力検出面を振動するものであり、 入力検出手段45は操作者30の指30aを介して少なくとも位置検出信号S1および入力量(押圧力;加圧力F)となる入力検出信号S2が入力され、 入力検出信号S2は、デジタルデータ(入力検出情報D2)に変換されてCPU32に入力され、 CPU32は、入力検出手段45が押下判定閾値Fthを越える入力検出情報D2を検出したとき、触覚Aを起動し、その後、押下判定閾値Fthを下回る入力検出情報D2を検出したとき、触覚Bを起動するようにアクチュエータ駆動回路37を制御することで、操作者の指30a等の”加圧力”に合わせた異なる振動パターンを発生させることができ、表示手段上の入力検出面における操作体の押下操作に対応した確実な触覚を取得できるようになる電子機器の一例である携帯電話機100。」 (2)原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-71233号公(以下、「引用例2」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。 a.「【0010】 更に、制御手段が、接触入力検知部で入力操作面における入力位置が検出された際に、操作メニューを構成する複数の操作項目のうち検出された入力位置と対応する位置に表示された操作項目を選択決定状態とし、入力操作面における入力位置での所定値を超える圧力の印加状態が所定時間継続したら入力位置と対応する位置に表示された操作項目を選択確定状態とするものであると、接触入力検知部に対する指等の位置を動かさない入力操作であっても、2種類の入力操作を実現することができるので、更に入力操作が楽になる。」 b.「【0019】 一方、接触入力検知部3としてタッチパネルを用いた場合の検知方法は、以下のようになる。なお、タッチパネルは押圧(若しくは接触)した点を検出できる装置であり、例えば抵抗膜式、赤外線式、静電容量式及びピエゾ圧電式などがある。ここでは、抵抗膜式のタッチパネルを用いた接触入力検知部3の詳細を説明する。図4は、抵抗膜式のタッチパネルである接触入力検知部の概略構成を示す分解斜視図である。」 c.「【0035】 そして、制御部5は、ステップS12でのサブ操作項目の選択の最中に、接触入力検知部3の入力操作面3a上の指16の接触位置が所定時間移動していない(即ち、同一位置での接触入力検知部3への所定値を超える圧力の印加状態が所定時間継続している)かを判断し(ステップS13)、移動している場合はサブ操作項目の選択状態が継続される。一方、指16の接触位置が所定時間移動していない場合は、その指16の接触位置に対応する位置に表示されているサブ操作項目が確定される。(ステップS14)。図11(a)は、サブ操作項目20eが確定された状態を表わしており、同図(c)に示すように、太枠表示の切り換えはサブ操作項目20eでストップする。 【0036】 こうしてサブ操作項目が確定された場合、制御部5は、振動部7に対して振動発生命令を出力し(ステップS15)、それを受けた振動部7は、例えば図11(b)に示すように、表示部4の下部に配設された振動モータ13を動作させて振動を発生させる。これにより、例えば操作者は、接触入力検知部3の入力操作面3aに接触している指16から伝わるこの振動を感知して触感でサブ操作項目が確定されたことを確認することができる。」 4.対比 補正発明と引用発明との比較 引用発明の「入力手段24」にはタッチパネルが使用されており、タッチパネルは操作者の指の接触、すなわちタッチにより入力を受け付けるものであるから、引用発明の「入力手段24」は、補正発明の「入力を受け付けるタッチセンサ」に相当する。 引用発明の「加圧力F」は、指などの操作体によって入力手段の入力検出面が受ける力であって、補正発明のタッチ面に対する「押圧荷重」相当する。 引用発明の「力検出手段55a?55dは」は、入力手段24の下方に積層された表示手段の周囲に設けられて、入力手段24の入力検出面における操作体の押下位置の加圧力Fを検出しているから、引用発明の「力検出手段55a?55dは」は、補正発明の「タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部」に相当する。 引用発明の「アクチュエータ25a?25d」は、入力手段24の入力検出面を振動させて操作者の指に触覚を与えているから、引用発明の「アクチュエータ25a?25d」は、補正発明の「タッチ面を振動させる触感呈示部」に相当する。 引用発明の「CPU32」は、入力検出情報D2(加圧力)を入力し、入力検出情報D2が押下判定閾値Fthを越えるときに、触覚Aを起動してアクチュエータ25a?25dにより入力検出面を振動させ触覚を操作者の指に与えており、CPU32は、加圧力(押圧荷重)を検出し、その後に押下判定閾値Fthを越えることを判定しているから、引用発明の「CPU」は、補正発明の「制御部」と、荷重検出部が押圧荷重を検出した後、所定の荷重基準を満たした際にタッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部を制御する点で共通している。 引用発明の電子機器の一例である携帯電話機100の「触覚機能付きの入力装置」は、補正発明の「入力装置」に相当する。 したがって、補正発明と引用発明の一致点・相違点は以下のとおりである。 [一致点] 入力を受け付けるタッチセンサと、 前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、 前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、 前記荷重検出部により押圧荷重を検出した後、該検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する制御部と、 を備える入力装置。 [相違点] 補正発明では、制御部が触感を呈示するのが、押圧荷重を検出した後、検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たしてから所定期間経過した際であるのに対し、引用発明では、押圧荷重を検出した後、検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たした際であって、荷重基準を満たしてから所定期間経過した際である記載がない点で相違している。 5.相違点の検討 入力装置の技術分野において、一定期間押圧を続けることにより操作が確定する「長押し」、および、操作を受け付けると触覚で認知させる「触覚フィードバック」はいずれも周知技術である。(上記引用例2には、タッチパネルにおいて、所定値を超える押圧荷重を検出し、所定期間経過した際に入力操作が確定すること、および、入力操作が確定すると入力操作面に振動を与えて操作項目が確定したことを伝えることが記載されている。また、特開2008-249648号公報にも段落0020、0025及び0027を参照すれば、タッチ操作の検出から所定時間経過した際に操作を受け付けること、および、操作が受け付けられると触感を与えることが記載されている。) したがって、引用発明の入力装置において、上記長押しおよび触覚フィードバックの周知技術を制御部に適用して、押圧荷重を検出した後、検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たしてから所定期間経過した際に触感を呈示する制御を行う構成とすることは当業者が容易に想到することができるものである。 また、補正発明によってもたらされる効果は、引用発明及び周知技術から、当業者が予測し得る程度のものである。 したがって、補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。 6.まとめ したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 平成22年10月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年8月27日出願時の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。 2.引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記「第2.3.」に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、前記第2.で検討した補正発明から限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の限定を付加したものに相当する補正発明が、前記第2.5.に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-11-16 |
結審通知日 | 2011-11-22 |
審決日 | 2011-12-06 |
出願番号 | 特願2009-197070(P2009-197070) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 豊田 朝子 |
特許庁審判長 |
大野 克人 |
特許庁審判官 |
安久 司郎 鈴木 重幸 |
発明の名称 | 入力装置 |
代理人 | 大倉 昭人 |
代理人 | 杉村 憲司 |