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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  H01L
管理番号 1250997
審判番号 無効2008-800220  
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-10-27 
確定日 2012-02-07 
事件の表示 上記当事者間の特許第3973006号発明「ダブルアーム型ロボット」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3973006号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
平成12年 3月23日 本件出願
平成19年 6月22日 設定登録(特許第3973006号)
平成20年10月27日 無効審判請求
平成21年 1月26日 答弁書
平成21年 2月27日 弁駁書
平成21年 4月 7日 両者・口頭審理陳述要領書
平成21年 4月21日 被請求人・口頭審理陳述要領書(その2)
平成21年 4月21日 口頭審理
平成21年 5月13日 請求人・上申書
平成21年 5月14日 被請求人・上申書
平成21年 5月28日 被請求人・上申書(その2)

第2.本件発明
本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)は、以下のとおりである。

【請求項1】 ハンド部と、前腕と、上腕と、前記ハンド部と前記前腕を連結するハンド関節部と、前記前腕と前記上腕を連結する肘関節部と、前記上腕の前記肘関節部とは反対側に設けたアームの基端の関節部と、前記各関節部を連結駆動して回動させる回転駆動源とを有するとともに、前記ハンド部が一方向を向いて、前記上腕と前記前腕とを伸ばしきった伸長位置と前記上腕と前記前腕とを折り畳み前記ハンドを引き込んだ縮み位置との間を移動するアームを二組備えたダブルアーム型ロボットにおいて、前記二組のアームがそれぞれ取り付けられる第1及び第2の支持部材と、前記第1及び第2の支持部材を上下方向に移動可能に保持するコラムとを含む移動機構を備え、前記アームは前記アームの基端の関節部が互いに上下に異なる高さで配置された前記第1及び第2の支持部材にそれぞれ取り付けられると共に、前記アームの基端の関節部はともに前記第1及び第2の支持部材の間に配置され、前記アームを前記縮み位置に移動させたときに、当該アームに取り付けられたそれぞれのハンド部が前記アームの基端の関節部の間に位置し、かつ、二組の前記肘関節部を二組ともに前記ハンド部の移動方向に関して同方向でかつ水平方向側方に突出させ、前記ハンド部の移動方向に関して前記肘関節部が突出する方向と反対側に前記移動機構を配置し、前記ハンド部はワークを載置して前記伸長位置と前記縮み位置の間を移動するものであって、前記縮み位置に移動したときに前記ワークを前記二組のアームの前記基端の関節部の間に位置させるものであるダブルアーム型ロボット。

第3.請求人の主張
請求人は、以下の甲第1ないし6号証をもとに、本件発明1は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許され、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とするとの審決を求めている。
なお、審判請求時に主張していた、本件発明2ないし11についての無効審判請求は口頭審理において取り下げられ、また、特許法第29条の2に基づく理由、甲第7号証は、口頭審理において、撤回された(調書の「請求人 2」)。

甲第1号証:特開平4-87785号公報
甲第2号証:特開平11-208818号公報
甲第3号証:特開平4-85812号公報
甲第4号証:特開平6-126663号公報
甲第5号証:特開昭55-90290号公報
甲第6号証:特開平6-320464号公報

請求人の主張の概要は、以下のとおりである。なお、原文の丸囲み数字は「丸1」のように置き換えた。

ア.請求書第14ページ第8?26行
「丸7 以上のように、甲第1号証に開示されている発明は、(a)移動機構が、第1及び第2の支持部材を上下方向に移動可能に保持するコラムを含んでいる点(構成要件(ii)後段)、および(b)ハンド部の移動方向に関して肘関節部が突出する方向と反対側に移動機構を配置した点(構成要件(vii))の2点でのみ、本件請求項1の発明と相違している。
丸8 一方、多関節ロボットアームの基端を支持する支持部材を、上下方向に延びる柱状部材であるコラムに上下動(昇降)可能に取付け、ロボットアームを上下動可能とした構成は、半導体ウエハ、液晶基板等を扱うロボット業界において周知技術である(例えば、甲第2号証ないし甲第6号証)。特に、甲第3号証及び甲第4号証は、ダブルアーム型ロボットにおいて、2つのアームを上下方向異なる位置でコラムに上下方向移動可能に支持することが本件特許出願当時に周知であったことを示している。
したがって、このような周知技術に基づいて、甲第1号証の発明のロボットアームを支持する部位をコラムに上下動可能に取付けることは、当業者が容易に為し得たことである。
その際、甲第2号証(図2(b))に示されているように、アームの肘関節の突出方向と反対側に、カラム等を含む移動機構を配置することは設計事項に過ぎない(または、甲第2号証に基づいて容易に採用できた事項である)。」

イ.弁駁書第3ページ第19?25行
「(3)甲第1号証の第1図には、ハンド34の先端に設けられた載置部70に載置される基板K_(0)(K_(1))が、アームを待機位置から中途まで伸長させた位置で示されている。載置部70に載置される基板は第1図に示されるサイズに限られるものではなく、これより大きいものも小さいものもある。いずれにしても、甲第1号証の第1図に示されるサイズの基板であっても、ハンド34が待機位置Rに引っ込まれたときには、少なくとも後端部分が「基端の連結中心A」の間に位置することになる。」

ウ.弁駁書第4ページ第27行?第5ページ第10行
「甲第1号証において、搬送装置13の動作は、第5頁右下欄11行以降に記載されている。この記載において、第5頁右下欄13行には「まず、ロボット32あるいは33において、」という記載があり、それ以降のアームの動作についての説明がロボット32とロボット33のいずれにも妥当することが明確に述べられている。また、駆動部30は、上下のロボット32、33について同一の符号が付されており、駆動部30の構造とアームの駆動についての説明も、上下のロボット32、33に関し、全く区別されていない。そして、第5頁右下欄下から2行目ないし第6頁左上欄下から3行目までのアームの回転方向の説明も、上下のロボット32、33に関し全く区別することなくなされている。
甲第1号証における以上の記載を、忠実に、かつ客観的に理解すれば、上下のロボット32、33のいずれにおいても、アームは同一の方向に回転駆動され、したがって、肘関節の折れ曲がりと、突出方向が同一であると解することができる。」

エ.口頭審理陳述要領書第2ページ第23行?第3ページ第4行
「(iii)甲第1号証において、仮に、「二組の前記肘関節部を二組ともに前記ハンド部の移動方向に関して同方向」に突出させることが不明であったとしても、甲第2号証の図2に記載されている、「上下動移動機構が、一つのハンド部の移動方向に関して肘関節が突出する方向と反対側に設けられる」構成は、突出する肘関節と上下移動機構との干渉を防止するために必然的に選択された構成である。したがって、甲第2号証の図2に記載されている構成にアームを追加する場合には、追加されたアームの肘関節の突出方向も最初のアームの肘関節の突出方向と同方向になる、即ち、二組のアームの肘関節の突出方向が同一にならざるを得ない。
したがって、二組の肘関節部を二組ともハンド部の移動方向に関して同方向に突出させることが容易であることは、この点からも明らかである。」

オ.口頭審理陳述要領書第3ページ第19?25行
「当業者が甲第1号証第1図を見たとき、縮み位置に移動したときのワークの位置がどのようになると理解するかが問題である。そして、この図から判断する限り、縮み位置においてワークは二組のアームの基端の関節部の間に位置すると理解すべきである。
従って、甲第1号証の第1図は、「縮み位置に移動したときに前記ワークを前記二組のアームの前記基端の関節部の間に位置させる」構成を開示しているといえる。」

カ.調書の請求人 4
「甲第1号証で、縮み位置におけるワーク位置が「明らかでない」としても、本日提出の以下の参考資料1?6に見られるごとく、基端関節部の位置とすることは周知である。
資料1:特開平11-333768号公報
資料2:特開平9-162257号公報
資料3:特開平10-279050号公報
資料4:特開平10-12699号公報
資料5:特開平9-314485号公報
資料6:特開平10-92917号公報」

キ.上申書第2ページ第18?24行
「以上のように、本件特許に係る特許出願の明細書を参照すると、本件発明においては、アームを上下移動させるために、コラムタイプの昇降機構の代替として、テレスコピックタイプの昇降機構を適用し得ることが明確に記載されている。この記載は、アームが上下移動するロボットにおいて、コラムタイプの昇降機構と、テレスコピックタイプの昇降機構との間に技術の転用可能性があり、かつ、両者間で技術の転用をすることは、当業者が通常、行い得る程度のことであることを明確に示すものである。」

ク.上申書第3ページ第15?17行
「甲第1号証の教示は、駆動部とアーム部とからなるロボットを一対、上下に配置することであって、これら一対のロボットを搬送チャンバ内に配置することは、一つの推奨される実施形態に過ぎない。」

ケ.上申書第3ページ末行?第4ページ第4行
「上下に配置された2組のアームを備えたロボットにおいて、各アームの肘関節の突出方向が同一とした構成は、甲第1号証に十分に示唆されていると請求人は確信するが、仮に、この構成が明示的に示されていないとしても、この構成は、参考資料2ないし5(当審注、以下参照)に示されているように、本件特許出願当時、当業者間で周知であった。」
参考資料2:特開平9-102526号公報
参考資料3:特開平7-297255号公報
参考資料4:特開平10-163294号公報
参考資料5:特開平11-188670号公報

第4.被請求人の主張
これに対し、被請求人は、本件審判請求は成り立たないとの審決を求めている。
その主張の概要は、以下のとおりである。

ア.答弁書第14ページ第2行?第15ページ第3行
「甲第1号証には、待機姿勢Rをとったときのアーム部31の基板載置部70(本特許発明におけるハンド部に相当する部位:甲第2号証(当審注、甲第1号証の誤記と認める。)の第605頁左下欄の15行から右下欄3行目を参照)とそれに載置される基板K0とは図示されておりません。また、明細書のどこにも、「ハンド34に載置されている基板が、2本の第1のアーム50の基端側関節の間に配置される」ことについての記述は見あたりません。
さらに、甲第1号証の第1図には、1つのアーム部(ロボット33)が記載されているにすぎず、他方のアーム部(ロボット32)は記載されていません。同図から、2つのアーム部(ロボット33と32)の肘関節が突出する方向が同一かどうかは全く不明であります。むしろ、肘関節は互いに逆方向に突出すると理解する方が自然であります。
したがって、甲第1号証には、審判請求人が本件請求項1の発明と相違していると認められている発明特定要素(i-2)および発明特定要素(i-7)の2点のみならず、「2本のアーム部31が待機姿勢Rをとったとき、ハンド34は、2本の第1のアーム50の基端側関節の間に配置され、このハンド34に載置されている基板も、2本の第1のアーム50の基端側関節の間に配置される」こと(発明特定要素(i-5),(i-8))、並びに「2本のアーム部31が待機姿勢Rをとったとき、第1のアーム50と第2のアーム51を連結する肘関節が突出する方向が、上下のアーム部31で同一となる。」こと(発明特定要素(i-6))の3点についても全く記載されていないことは上述したとおりであります。
つまり、甲第1号証と本件請求項1の発明とは、発明特定要素の(i-2),(i-5),(i-6),(i-7),(i-8)の5点について相違しています。
(iii)しかも、「2本のアーム部31が待機姿勢Rをとったとき、ハンド34は、2本の第1のアーム50の基端側関節の間に配置され、このハンド34に載置されている基板も、2本の第1のアーム50の基端側関節の間に配置される」こと(発明特定要素(i-5),(i-8))、並びに「2本のアーム部31が待機姿勢Rをとったとき、第1のアーム50と第2のアーム51を連結する肘関節が突出する方向が、上下のアーム部31で同一となる。」こと(発明特定要素(i-6))については、甲第2号証ないし甲第6号証のいずれにも全く記載されておりません。
(iv)依って、甲第1号証及び甲第2号証ないし甲第6号証に記載されているような周知技術に基づいても容易に発明することはできません。」

イ.口頭審理陳述要領書第4ページ第15?25行
「(e)さらに、甲第1号証では、搬送チャンバーは周囲に搬入搬出チャンバー12、処理チャンバー11等が固定されており、搬送チャンバー自体が上下移動するものではありませんし、その必要もありません。甲第1号証の8頁左下欄の下から8行目からの「アーム部及びハンド全体が昇降する機能を有する構成とされ」の記載意味は、あくまでも搬送チャンバー内で、搬送チャンバーの床または天井に対してアーム部が上下に移動するようにしても良いことを示すのみで、搬送チャンバー自体を上下に移動させることを示唆するものではありません。したがって、事前連絡メモの分節に沿って甲1号の搬送チャンバーの天井や床を第1第2(上下)の支持部材と特定するならば、甲第1号証のチャンバー自体を(上下)移動可能にコラムに取り付けるような構成とを組み合わせる必然性は有りません。」

ウ.口頭審理陳述要領書(その2)第2ページ第6?18行
「甲第1号証では、二組の肘関節部の突出する方向を同じにする必然性はなく、むしろ、取付面に対して同じ構造のアームを水平面を中心とする面対称に配置するのであれば(天地対称)、同じようにアームを伸縮させる場合には乙参考資料4に示すように、互いに逆方向に突出すると理解することの方が普通であります。
上述したごとく、同じ構造で同じ動きをする2台のロボットを上限に面対称に配置すれば、肘関節部の突出する方向は互いに逆になりますが、同じロボットで同じ方向に肘関節部を突出させようとすれば、モータの制御を変更したり、原点位置の調整をしたり、暴走防止のストッパー位置を変更したりする調整が必要となります。甲1号証のように周囲に障害物が無く、肘関節を同じ方向に突出させる必要が無い装置において、わざわざそのような調整を行なうことは通常考えられません。逆に言えば、本件特許では、わざわざそのような調整が必要な構成とすることで、省スペース化と言う効果を得ているものであり、甲1号証から容易に想到できるものではありません。」

エ.口頭審理陳述要領書(その2)第6ページ第1?26行
「上述のとおり、甲第1号証のロボットは、本特許発明が従来技術で取り上げたテレスコピック型昇降機構の上に旋回アームを搭載して360°旋回可能とするロボットアームと本質的に同じであります。しかも、搬送対象とするワークはハンドにすっぽり収まるウェハーであるため、ハンドの先端が搬送チャンバー10内に引き込まれれば、それだけで搬送チャンバー10内で旋回可能となるロボットアームであります。各チャンバー内からハンドを引き抜けばあるいはワークを取り出せば、既にその状況においてそのままアームを旋回させても何ら問題ないものであります。
したがって、ロボットアームの旋回や引き込み動作において、その旋回において回転中心付近に何ら障害となる存在がないものであり、昇降機構との干渉を考慮する必要性がないものでありますから、アームの肩関節中心の間にワークを引き込まなければならない必然性はありません。」

オ.上申書第2ページ第4行?第3ページ第9行
「(2)縮み位置におけるワーク位置を基端関節に位置させることの周知性について
(略)
(ii)しかしながら、以下に説明するように、資料1?6は、いずれも「基台」の上に基端の関節部により接続配置されたアームを有するテレスコピック型またはそれに準じる構成のシングルアームロボット(テレスコピック型シングルアームロボット)であります。つまり、駆動部を備えかつ昇降機能を有する基台の上・頂部にアーム部が支持されることによって、アームが伸び縮みしかつ360°旋回する上で、何ら干渉するものが存在しないタイプのロボットであります。したがって、アーム部の旋回動作時におけるアーム並びにハンドの位置は全く制限を受けず、アーム基端の関節部の上にも配置できるものであります。つまり、資料1?6に記載の搬送用ロボットは、基本的には、甲第1号証のものと同じタイプの構造であり、本件特許の「コラム型のダブルアームロボット」とは全く異なる構造のものであります。
(iii)そして、アームの旋回や引き込み動作において、その旋回において回転中心付近に何ら障害となる存在がないものであり、昇降機構との干渉を考慮する必要性がないものでありますから、アームの肩関節中心の間にワークを引き込まなければならない必然性はありません。単に、作図上の偶然であり、省スペース化のためにコラムなどの障害物を避けてワークを基端の関節部の間に引き込むと言う技術的思想は、いずれの資料にも示唆ないし暗示する記載もありません。
(iv)仮に、縮み位置におけるワークの位置を基端関節の位置とすることが図示などから周知技術であるとしても、「縮み位置におけるワークの位置を基端関節の位置とする」タイプのロボットは、甲第1号証のロボットと同種の360゜旋回可能であることを必要とするタイプのものであって、上下昇降ストロークの拡大が可能なコラム型ロボットは全く含まれておりません。このことは、コラム型ロボットでは「縮み位置におけるワーク位置を基端関節に位置させること」については周知技術でも公知技術でもないことを意味しているものであります。しかも、いずれの資料も一対のアームを上下に配置したダブルアームロボットではありません。
(iv)つまり、テレスコピック型シングルアームロボットにおいて縮み位置におけるワークの位置を基端関節の位置とすることは周知であるとしても、本件特許の構成要件「コラム型のダブルアームロボットでワークをアームの縮み位置において上下の基端関節の間に位置させること」自体は周知技術ではありません。」

カ.上申書第3ページ下から2行?第8ページ第19行
「(2)異なるタイプのロボット間における転用の容易性について
(略)
(viii)以上の説明より明らかなように、もともと、甲第1号証は、第4頁左欄第10行から第18行に「本発明のロボットは…駆動部の一側面に沿うハンドの動作については全く干渉あるいは死角などが発生せず同様な効果が発揮される。」と記載されているように、アーム部の旋回あるいは直線移動に関して、周囲に干渉物が一切存在しないことを前提とするものであります。この甲第1号証のロボットを、完全に障害物となって干渉する存在であるコラムを前提とするコラム型ロボットに転用しようと考えること自体があり得ないものであります。」

キ.上申書(その2)第2ページ第12?25行
「(1-2) まず、昇降機構の頂部にロボットアームを備えることによって360゜旋回可能とすることがテレスコピック型ロボットの特質であって、ロボットアームの旋回領域を貫通するコラムによって360°旋回特性を犠牲にしても昇降ストローク量を稼ぐようにしたコラム型ロボットとはもともと相容れない性質のものであります。しかも、無効審判請求人が口頭審理にて提示した資料1乃至6は、いずれも「テレスコピック型シングルアームロボットにおいて縮み位置におけるワークの位置が基端関節の位置に重なっていること、即ちテレスコピック型ロボットでは一般的な構造」を示しているに過ぎないものであります。加えて、コラムタイプの昇降機構を資料1乃至6に適用することやその可能性について、全く記載も示唆もありません。無効審判請求人の無効理由の基礎となる甲第1号証と甲第2号証にも、コラムタイプの昇降機構を、「上下にアームを重ねたダブルアームロボットの上下移動機構」として採用するために必要な請求項1に記載された構成要件の開示はありませんから、資料1乃至6の構成が自明であっても、それをコラムタイプの昇降機構を備えたロボットに転用することが容易であるとは言えません。」

ク.上申書(その2)第4ページ第5?15行
「(3)2つのアームの肘関節が同一方向に突出する構成が周知であること
(3-1) 審判請求人は、新たな参考資料をもって、2つのアームの肘関節が同一方向に突出する構成は周知であると主張されていますが、以下で説明するとおり、いずれも単に偶然、図面上また部分的に複数のアームの肘関節が同一方向に突出している状況が示されているに過ぎず、本件特許のように、ダブルアームとコラムを省スペースで配置するために、2つのアームの肘関節を同一方向に突出させる構成ではありません。
(3-2) 審判請求人は、本件特許構成の一部パーツを抜き取り、偶然その部分に似た公報図面などを取り上げて、本件特許が容易であると主張されていますが、いずれの資料も、また、その組み合わせも、本件特許を容易に構成できるものではありません。」

第5.当審の判断
1.本件発明
本件発明1は、上記第2.のとおりと認められる。

2.刊行物記載の発明
(1)甲第1号証
甲第1号証には、以下の記載がある。

ア.第2ページ右下欄第10?16行
「本発明の基板搬送装置は、駆動部と該駆動部の一側面に沿って動作するアーム部とよりなるロボットを備え、前記アーム部の先端に設けられたハンドに基板を載せて移動させる基板搬送装置であって、前記一側面が相対向するようにして上下に前記ロボットが配設されていることを特徴としている。」

イ.第4ページ左上欄第2行?右上欄第17行
「搬送装置13は、第1図、第2図に示すように、駆動部30とこの駆動部30の一側面30aに沿って動作するアーム部31とを備えたロボット32、33より構成されるもので、これらロボット32、33は前記一側面30aを相対向させるように上下に配置されている。そして、各アーム部31の旋回中心すなわち駆動部30の軸中心は搬送チャンバ10の中心に一致させられ、アーム部31が搬送チャンバ10内に位置し、駆動部30が搬送チャンバ10から上下に張り出すように搬送チャンバ10に取り付けられて、各アーム部31の先端に設けられたハンド34に基板を載せて移動させるものである。
以下、この搬送装置13(すなわち、ロボット32、33)の各部の構成を説明する。
まず、駆動部30は、第3図に示すように、フランジ部40aを有するケース40と、このケース40内のフランジ部40aの中心線上に配設された第2モータ42と、ケース40内に第2モータ42と並んで配設された第1モータ41と、フランジ部40aの中心線上に基端か第2モータの上方に位置し先端がフランジ部40aから突出した状態に配設された第1駆動軸43と、基端が第2モータ42の出力軸に固定され先端が第1駆動軸43内を貫通して伸ひるように設けられた第2駆動軸44と、第1駆動軸43とフランジ部40aとの間に設けられた磁気シール45とより主構成をなすものである。
そして、ケース40内の第2モータ42の上方位置には、軸受46aによって回転自在に支持され第1駆動軸43の基端外周に固定されたプーリ47が設けられ、このプーリ47と第1モータ41の出力軸に固定されたプーリ48とに巻回された歯付きベルト49を介して、第1駆動軸43は第1モータ41によって駆動されるようになっている。」

ウ.第4ページ右下欄第4行?第5ページ左上欄第3行
「つぎに、アーム部31は、前記第1駆動軸43の先端に固定されて前記一側面30aに沿って伸びる箱状の第1アーム50と、この第1アーム50の先端部上面に回転自在に連結されて第1アーム50と同方向に伸びる箱状の第2アーム51とを備えるものである。
第1アーム50にはその基端部下面に位置してボス部50aが形成されており、このボス部50aが第1駆動軸43の先端部外周に嵌合固定させられることによって、第1アーム50は第1駆動軸に固定されて第1駆動軸の回転によって前記一側面30aに沿って回転するようになっている。
また、第2アーム51にもその基端部下面から伸びるボス部51aが形成されており、このボス部51aが第1アーム50の先端部内に伸びてこの先端部底面に立設固定された軸52の外周に軸受53、54を介して取り付けられることによって、第2アーム51は第1アーム50に連結されてやはり前記一側面30aに沿って回転できるようになっている。」

エ.第5ページ右上欄第16行?右下欄第14行
「つぎに、ハンド34は、第4図に示すように、先端に基板載置部(この場合半導体ウェハ用)70が形成されたもので、その基端が前記軸部61aの上面に固定されることによって、やはり前記一側面30aに沿って回転するようになっている。
このハンド34の基板載置部70は、周囲にガイド71a、71b、71cが形成されたコ字状の載置面70aを有するものであり、これらガイド部間に基板が載せられると、基板はその中央部下面がこのハンド34の裏側に望んだ状態で支持されるようになっている。
なお、このハンド34は、上側のロボット32においては前記載置面70aが駆動部30側に向くような向きで取り付けられ、また下側のロボット33においては前記載置面70aが駆動部30と反対側に向くような向きで取り付けられており、どちらも載置面70aが上方に向くようになっている。」

オ.第5ページ右下欄第11?18行
「つぎに、以上のように構成された基板処理装置における搬送装置13の動作を説明する。
まず、ロボット32あるいは33において、第1モータ41(すなわち第1駆動軸43)のみを作動させると、第1アーム50と第2アーム51とはパンタグラフのように伸縮して、ハンド34が第1図において符号Xで示すように水平に進退する。」

カ.第6ページ左上欄第12?18行
「また、同様に、この時ハンド34はプーリ60、61の作用によって第2アーム50に対して第1図において反時計方向に30度回転するので、ハンド50の方向も変化せず常に前記線分の方向に向いていることになり、ハンド34は前記中心A、Bを結ぶ一直線上をその先端方向(載置部70の開いている方向)に前進することになる。」

キ.第5ページ右上欄第5?18行
「つまり、以上の説明から明らかなように、ロボット32、33のそれぞれのハンド34は、モータ41、42の動作によって前記一側面30a(すなわち、水平面)に沿って旋回及び進退させて二次元的に動かすことができ、予め動作プログラムを作成しておけば、この動作プログラムのンーケンスに従ってハンド34は各チャンバ内のあらゆる位置に任意の方向に向けて順次移動させることができる。
そして、本実施例の搬送装置13は、上記のようなロボット32、33が上下に相対向させて配設されているため、従来よりも格段に短い時間で各チャンバ間の基板の搬送が行える。」

ク.第8ページ左下欄第10?15行
「また、本発明のロボットはハンドが二次元的にしか動作できないものに限られず、例えば、ハンドがアーム部に対して昇降する機能を有していたり、アーム部及びハンド全体が昇降する機能を有する構成とされ、さらに多自白度なハンドの動きが可能なロボットでもよい。」

ケ.第1図、第2図
二組の第1アーム50が、互いに上下に異なる高さで、搬送チャンバ10の上板部材、下板部材に、それぞれ取り付けられること、
第1アーム50の基端のボス部50a、第1駆動軸43は、ともに搬送チャンバ10の上板部材、下板部材の間に配置されること、
アームが、伸長位置と縮み位置との間を移動する際、ハンド34が一方向を向くこと、
アームを縮み位置に移動させたときに、アームに取り付けられたそれぞれのハンド34が第1アーム50の基端のボス部50a、第1駆動軸43の間に位置し、かつ、二組の前記軸52、ボス部51aを水平方向側方に突出させるものであること、
が看取できる。

これら記載事項を、技術常識を勘案しつつ、本件発明1に照らして整理すると、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。

「ハンド34と、第2アーム51と、第1アーム50と、前記ハンド34と前記第2アーム51を連結する軸部61a、軸受63と、前記第2アーム51と前記第1アーム50を連結する軸52、ボス部51aと、前記第1アーム50の前記軸52とは反対側に設けた第1アーム50の基端のボス部50a、第1駆動軸43と、前記第1駆動軸43、ボス部51a、軸部61aを連結駆動して回動させる第1モータ41,第2モータ42とを有するとともに、前記ハンド34が一方向を向いて、前記第1アーム50と前記第2アーム51とを伸ばしきった伸長位置と前記第1アーム50と前記第2アーム51とを折り畳み前記ハンド34を引き込んだ縮み位置との間を移動するアームを二組備えた搬送装置において、前記二組のアームがそれぞれ取り付けられる搬送チャンバ10の上板部材、下板部材と、前記二組のアームの昇降手段を備え、前記アームは前記第1アーム50の基端のボス部50a、第1駆動軸43が互いに上下に異なる高さで搬送チャンバ10の上板部材、下板部材にそれぞれ取り付けられると共に、前記第1アーム50の基端のボス部50a、第1駆動軸43はともに前記搬送チャンバ10の上板部材、下板部材の間に配置され、前記アームを前記縮み位置に移動させたときに、当該アームに取り付けられたそれぞれのハンド34が前記第1アーム50の基端のボス部50a、第1駆動軸43の間に位置し、かつ、二組の前記軸52、ボス部51aを水平方向側方に突出させ、前記ハンド34は基板を載置して前記伸長位置と前記縮み位置の間を移動するものである搬送装置。」

なお、請求人は、甲第1号証に、縮み位置において、(ア)二組のアームの肘関節がともに同方向に突出する点、(イ)基板が二組のアームの基端のボス部50a、第1駆動軸43の間に位置する点、が記載されていると主張する(上記第3.ウ、オ)。
しかし、甲第1号証には、(ア)、(イ)の点が明記されているものではなく、甲第1号証に記載されているかは、不明確であるので、上記のとおり、甲1発明を認定した。

(2)甲第2号証
甲第2号証には、以下の記載がある。

ア.段落0008?0009
「【0008】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は、この発明の実施の形態1による保管庫を示す正面図である。図において、1は複数のガラス基板用カセットをそれぞれ保管する複数の保管棚、2は保管棚1から搬出口である出庫口(図示せず)又は、出庫口と別に設けられた搬入口である入庫口(図示せず)から保管棚1の間を移動し、ガラス基板用カセットを出庫又は入庫するための移載機、3a、3bは移載機2上に設けられたカセット用アーム部で、移載機2によって上下動され、ガラス基板用カセットを保持して保管棚1に対して、ガラス基板用カセットの移載、入庫口からのカセット取り出し、出庫口へのカセット降しを行うものである。
【0009】図2は、この発明の実施の形態1による移載機を説明するための図であり、図2(a)は、移載機の詳細を示す図で、カセット用アーム部3bの図示を省略している。図2(b)は、図2(a)のカセット用アーム部を上方Aより見た図である。図において、4はカセット用アーム部3aを駆動するアーム駆動部、5はカセット用アーム部3aのハンド、6はハンド5上に載置されたカセットである。このような保管庫においては、移載機2上に二つのカセット用アーム部3a、3bを備えて、それぞれガラス基板用カセットを保持して、保管棚1と入庫口または出庫口の間を搬送して、ガラス基板用カセットの保管棚1への入庫または保管棚1からの出庫を行う。・・・。」

イ.図2、図5
ハンド5の移動方向に関して、ハンド5のアーム部3aの肘関節部が突出する方向と反対側に、アーム部3aを上下動させる移載機2が配置されていることが看取できる。

これら記載事項を、技術常識を勘案しつつ整理すると、甲第2号証には、以下の事項(以下「甲2事項」という。)が記載されていると認める。
「ハンド5の移動方向に関して、ハンド5のアーム部3aの肘関節部が突出する方向と反対側に、アーム部3aを上下動させる移載機2を配置したもの。」

3.対比
本件発明1と、甲1発明とを対比する。
甲1発明の「ハンド34」は本件発明1の「ハンド部」に相当し、同様に、「第2アーム51」は「前腕」に、「第1アーム50」は「上腕」に、「軸部61a、軸受63」は「ハンド関節部」に、「軸52、ボス部51a」は「肘関節部」に、「ボス部50a、第1駆動軸43」は「関節部」に、「第1モータ41,第2モータ42」は「回転駆動源」に、「搬送装置」は「ダブルアーム型ロボット」に、「基板」は「ワーク」に、相当する。よって、甲1発明の「第1駆動軸43、ボス部51a、軸部61a」は「各関節部」に相当する。
甲1発明の「搬送チャンバ10の上板部材、下板部材」は、「第1及び第2の被取付部材」である限りにおいて、本件発明1の「第1及び第2の支持部材」と一致する。
甲1発明の「二組のアームの昇降手段」は、「二組のアームの上下移動機構」である限りにおいて、本件発明1の「第1及び第2の支持部材を上下方向に移動可能に保持するコラムとを含む移動機構」と一致する。

したがって、両者は、以下の点で一致する。
「ハンド部と、前腕と、上腕と、前記ハンド部と前記前腕を連結するハンド関節部と、前記前腕と前記上腕を連結する肘関節部と、前記上腕の前記肘関節部とは反対側に設けたアームの基端の関節部と、前記各関節部を連結駆動して回動させる回転駆動源とを有するとともに、前記ハンド部が一方向を向いて、前記上腕と前記前腕とを伸ばしきった伸長位置と前記上腕と前記前腕とを折り畳み前記ハンドを引き込んだ縮み位置との間を移動するアームを二組備えたダブルアーム型ロボットにおいて、前記二組のアームがそれぞれ取り付けられる第1及び第2の被取付部材と、前記二組のアームの上下移動機構を備え、前記アームは前記アームの基端の関節部が互いに上下に異なる高さで配置された前記第1及び第2の被取付部材にそれぞれ取り付けられると共に、前記アームの基端の関節部はともに前記第1及び第2の被取付部材の間に配置され、前記アームを前記縮み位置に移動させたときに、当該アームに取り付けられたそれぞれのハンド部が前記アームの基端の関節部の間に位置し、かつ、二組の前記肘関節部を水平方向側方に突出させ、前記ハンド部はワークを載置して前記伸長位置と前記縮み位置の間を移動するものであるダブルアーム型ロボット。」

そして、以下の点で、相違する。
相違点1:本件発明1は、二組のアームは「第1及び第2の支持部材」に取り付けられ、「二組の前記肘関節部を二組ともに前記ハンド部の移動方向に関して同方向に突出させ」るものであり、「第1及び第2の支持部材を上下方向に移動可能に保持するコラムとを含む移動機構」が、「ハンド部の移動方向に関して前記肘関節部が突出する方向と反対側に」設けられているが、甲1発明は、二組のアームは「搬送チャンバ10の上板部材、下板部材」に取り付けられ、二組の肘関節部が同方向に突出させるか不明であり、上下移動機構の詳細は明らかでない点。

相違点2:請求項1発明は、「縮み位置に移動したときに前記ワークを前記二組のアームの前記基端の関節部の間に位置させる」が、甲1発明は、明らかでない点。

4.判断
相違点1について検討する。
二組のアームの「被取付部材」が、「第1及び第2の支持部材」であり、「第1及び第2の支持部材」の移動機構が、「上下方向に移動可能に保持するコラム」である点について検討する。
甲1発明のアームを利用した搬送機構は、「搬送機構」という一の技術思想として理解しうるものであり、その機構、動作からみて、「搬送チャンバ」内でのみ利用可能なものとは認められない。
アームの「被取付部材」である「支持部材」が、コラムに、上下方向に移動可能に保持される移動機構は、甲第2号証の図2、甲第4号証の図1、甲第5号証の第1図、甲第6号証の図7にみられるごとく周知である。
移動機構が、一つのハンド部の移動方向に関して肘関節部が突出する方向と反対側に設けられる点は、肘関節部突出方向に移動機構を配置した場合、干渉のおそれがあることから、干渉しないように配置することは、当然であって、設計的事項である。
しかも、甲2事項は、「ハンド5の移動方向に関して、ハンド5のアーム部3aの肘関節部が突出する方向と反対側に、アーム部3aを上下動させる移載機2を配置したもの」であり、甲1発明に照らすと、「ハンド部の移動方向に関して前記肘関節部が突出する方向と反対側にコラムを含む移動機構を配置したもの」となり、かかる配置が格別なものでもない。
二組の肘関節部が同方向に突出する点については、前記のとおり、「二組」を、いずれも上下移動機構と干渉しないように配置することにより、ともに同方向となる。
さらに、「二組」である以上、同方向か逆方向かの、二者択一にすぎないから、同方向、逆方向ともに試み、適切なほうを選択することに格別の困難性は認められない。
しかも、請求人が提出した参考資料2の図1、図4、図7には、二組の肘関節部が同方向に突出するものが記載されており、同方向に突出するものが、格別珍しいとも、認められない。
よって、相違点1は、格別なものではない。

被請求人は、甲1発明のアームを利用した搬送機構は、360°旋回可能なものであり、コラムの存在により360°旋回が不可能になるコラム型ロボットに転用することはありえないと主張する(第4.カ、キ)。
しかし、(ア)ロボットの用途は様々であって、360°旋回可能という仕様が、常に必要とされるものではないこと、(イ)アームを利用した「搬送機構」は、上記参考資料2の図13のコラム型、図14のテレスコピック型にみられるごとく、いずれにも適用可能であること、から、被請求人の主張は採用できない。

相違点2について検討する。
ワークの大きさは様々であるが、大きいワークを回転させる場合、モーメント、回転負荷、回転半径の関係から、ワークを回転中心に近づけることが望ましいことは明らかである。
しかも、請求人が提出した資料1ないし6にみられるごとく、「ワークを二組のアームの基端の関節部の間に位置させる」ことは、テレスコピック型においては周知である。
してみると、ワークを回転中心に近づけること、すなわち、縮み位置において「ワークを二組のアームの基端の関節部の間に位置させる」ことは、必要に応じてなしうる設計的事項にすぎない。

被請求人は、コラムによる上下移動機構を有する甲1発明は、コラムが障害となるから「ワークを二組のアームの基端の関節部の間に位置させる」ことはできない、と主張する(第4.オ、カ)。
しかし、コラムが障害となるか否かは、ワークの大きさ、ワークのハンド部への載置位置、支持部材の長さ等の条件により、定まるものであり、常にできないというものではないから、被請求人の主張は根拠を欠くものである。

また、これら相違点を総合勘案しても、格別の技術的意義があるとは認められない。

第6.むすび
以上、本件発明1は、甲1発明、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明1についての特許は、特許法第123条第1項第2号に該当するので、無効とすべきものである。
審判費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-05-29 
結審通知日 2009-06-03 
審決日 2009-06-26 
出願番号 特願2000-82983(P2000-82983)
審決分類 P 1 113・ 121- ZC (H01L)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 二階堂 恭弘岡澤 洋  
特許庁審判長 千葉 成就
特許庁審判官 佐々木 一浩
豊原 邦雄
登録日 2007-06-22 
登録番号 特許第3973006号(P3973006)
発明の名称 ダブルアーム型ロボット  
代理人 竹内 英人  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 松尾 和子  
代理人 大塚 文昭  
代理人 田巻 文孝  
代理人 佐竹 勝一  
代理人 村瀬 一美  

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