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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G10K
管理番号 1257190
審判番号 不服2010-9923  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-05-10 
確定日 2012-05-17 
事件の表示 特願2007- 35108「管理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 8月28日出願公開、特開2008-197558〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成19年2月15日の出願であって、平成22年2月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月10日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、手続補正がなされたものであり、平成23年7月6日付けで当審により、平成22年5月10日付けの手続補正が却下されるとともに、拒絶理由が通知され、これに対し、平成23年9月12日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年9月12日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「オーディオデータを複数記憶するオーディオデータ記憶手段と、
それぞれにアドレスが割り当てられた複数のスピーカ装置との間で電力を供給する給電レールを介して通信を行う通信手段と、
前記アドレス、時刻及び前記オーディオデータの対応関係を示すリクエストデータを取得するリクエストデータ取得手段と、
前記リクエストデータ取得手段により取得されたリクエストデータに基づいて、時刻に対応するオーディオデータを前記オーディオデータ記憶手段から順次読み出し、読み出したオーディオデータを、該リクエストデータの示すアドレスへ、前記通信手段を介してストリーミング配信するストリーミング配信手段と、
前記ストリーミング配信手段によってストリーミング配信されるオーディオデータを特定する管理情報を前記アドレス毎に記憶する管理情報記憶手段と
前記管理情報記憶手段に記憶された管理情報を出力する管理情報出力手段と
を具備することを特徴とする管理装置。」

3.引用例
当審の拒絶理由に引用された特開2003-78563号公報(以下、
「引用例」という。)には、図面とともに以下の記載がなされている。

(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 配信すべきコンテンツを格納した配給装置と、通信網を介して前記配給装置に接続されると共に通信網を介して複数の視聴者端末装置に接続され、前記配給装置から配送されてきたコンテンツを蓄積すると共に受信したコンテンツを視聴者端末装置にストリーム配信する複数の配信ノードと、前記配給装置から視聴者端末装置へのコンテンツの配信を制御するコンテンツ配信制御装置とを具え、
前記コンテンツ配信制御装置は各配信ノードと当該配信ノードが収容する複数の視聴者端末装置との関係を保持し、
視聴者から配信要求されたコンテンツを前記配給装置から対応する配信ノードへ配送し、
視聴者の指定したスケジュールに基づいて、前記配信ノードから各視聴者端末装置へストリーム配信することを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】 視聴者からコンテンツの配信要求がされた際、前記コンテンツ配信制御装置は、当該視聴者の識別子と配信要求されたこコンテンツの識別子との関係を表した番組表を作成し、作成した番組表に基づいて前記配給装置から配信ノードへコンテンツを配送し、当該配信ノードから視聴者の端末装置へコンテンツをストリーム配信することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信システム。」

(2)「【0002】
【従来の技術】近年、インターネットに代表されるIPネットワークの発展は著しく、音声、映像等の大容量ストリームデータの配送サービス提供にむけて検討が進められている。」

(3)「【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明によるコンテンツ配信システムの一例の構成を示す線図である。コンシューマが視聴を希望する多数のコンテンツを配給装置1に格納する。配給装置1には、通信網を介して配信側の端末装置2が接続され、当該配信側の端末装置2から配給装置1にコンテンツがアップロードされ、配給装置に格納される。配信側の端末装置は例えばテレビジョン番組の作成会社や映画会社の端末装置とすることができ、図面上1個の配信側端末装置だけを図示したが、勿論複数の配信側端末装置を接続することができる。従って、配給装置1には、ニュース番組、テレビ番組或いは各種の映画番組が格納される。配給装置1に格納されているコンテンツは、コンテンツ配信制御装置3の制御のもとで所定のスケジュールに基づいて各視聴者端末装置4a?4nにそれぞれ配信する。コンテンツ配信制御装置3には、コンシューマすなわちコンテンツ視聴者の端末装置4a,4b,4c,4d....4nを接続する。配給装置1には、通信回線網を介して複数の配信ノード5a?5nを接続する。これらの配信ノードは、配給装置1から配送されてきたコンテンツを一時的に蓄積すると共に、コンテンツ配信制御装置2の制御のもとで所定のスケジュールにしたがって各視聴者の端末装置にコンテンツをスト
リーム配信する。尚、各配信ノードは複数の視聴者端末装置を収容し、配信ノードと視聴者端末装置との関係は予め表としてコンテンツ配信制御装置3に記憶しておき、コンテンツを各視聴者端末に配信する際、上記表を参照して対応する各配信ノードに配送し、配信ノードから視聴者端末装置にそれぞれストリーム配信される。
【0011】配給装置1から各配信ノードへのコンテンツの配送はコンテンツ配信制御装置3の制御のもとで実行され、ユニキャスト方式で対応する配信ノードにコンテンツを個別に配送することができると共に、マルチキャストアドレスを用いてマルチキャスト方式で全ての配信ノードに対してコンテンツを一斉に配送することもできる。」

(4)「【0016】実施例1-3
本例では、視聴者が希望するコンテンツを時間スケジュールに従って配信する実施例について説明する。図7を参照するに、視聴者は、端末装置を介して配信制御装置3の希望番組作成手段14に対して配信を希望するコンテンツを指定すると共に配信時刻も指定して希望番組の作成を要求する。この番組作成要求に対応して、希望番組作成手段14は当該要求をDBに登録す
る。図4は希望番組表の一例を示す。図4に示すように、端末装置の識別子と、セッション識別子と、登録コンテンツ情報とを表にした番組表を作成する。登録コンテンツ情報は、コンテンツの識別子と、各コンテンツの配信時刻である開始時間と、各コンテンツの配信時間とを組として有する。従っ
て、希望番組表には配信されるコンテンツと共に配信時刻も指定される。本例では配信希望されたコンテンツを当該視聴者端末装置を収容する配信ノードに前もって配送し、当該配信ノードに蓄積しておく。そして、配信希望時刻になった際、DBはストリーム指示手段15に対してトリガし、ストリーム指示手段15からストリーム開始信号を配信ノードに送信する。当該配信ノードは、ストリーム開始信号を受信し、蓄積しているコンテンツを対応する視聴者端末装置にストリーム配信する。このように、ストリームキャッ
シュ方式を積極的に利用することにより、ネットワークトラフィックに悪影響を与えることなく安定した品質のコンテンツ配信を行うことができる。」

したがって、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「配信すべきコンテンツを格納した配給装置と、通信網を介して前記配給装置に接続されると共に通信網を介して複数の視聴者端末装置に接続され、前記配給装置から配送されてきたコンテンツを蓄積すると共に受信したコンテンツを視聴者端末装置にストリーム配信する複数の配信ノードと、視聴者端末装置に接続され、前記配給装置から視聴者端末装置へのコンテンツの配信を制御するコンテンツ配信制御装置とを具え、
視聴者からコンテンツの配信要求がされた際、前記コンテンツ配信制御装置は、当該視聴者の端末装置の識別子と配信要求されたコンテンツの識別子との関係を表した、各コンテンツの配信時刻である開始時間を有する番組表を作成し、
配信希望時刻になった際、ストリーム開始信号を配信ノードに送信し、当該配信ノードは、ストリーム開始信号を受信し、蓄積しているコンテンツを対応する視聴者端末装置にストリーム配信する
コンテンツ配信システム。」

4.対比
引用発明の「コンテンツ」にオーディオデータが含まれることは、上記
(2)等の記載から明らかであり、それを格納した「配給装置」は、本願発明の「オーディオデータ記憶手段」に対応する。
本願発明の「スピーカ装置」は、「管理装置」からみれば、オーディオ
データが配信される端末装置といえ、割り当てられたアドレスは、それを識別するものであるから、本願発明と引用発明とは、それぞれに識別子が割り当てられた複数の端末装置との間で通信を行う点で共通する。
引用発明は、上記のような「番組表」を作成するので、本願発明と、端末装置の識別子、時刻及びオーディオデータの対応関係を示すリクエストデータを取得する点で共通する。
引用発明は、「配信ノード」を介しているが、視聴者からコンテンツの配信要求であるリクエストデータに基づいて、該リクエストデータの示す識別子の端末装置へ、時刻に対応するオーディオデータをストリーミング配信する点で、本願発明と共通する。
引用発明は、視聴者端末装置へのコンテンツの配信を制御するものであるから、管理装置といえる。
したがって、本願発明と引用発明とを対比すると、次の点で一致する。

「オーディオデータを複数記憶するオーディオデータ記憶手段と、
それぞれに識別子が割り当てられた複数の端末装置との間で通信を行う通信手段と、
前記識別子、時刻及び前記オーディオデータの対応関係を示すリクエストデータを取得するリクエストデータ取得手段と、
前記リクエストデータ取得手段により取得されたリクエストデータに基づいて、時刻に対応するオーディオデータを、該リクエストデータの示す識別子の端末装置へ、ストリーミング配信するストリーミング配信手段と、
を具備することを特徴とする管理装置。」

また次の点で相違する。

相違点1
本願発明は、それぞれに識別子が割り当てられた複数の端末装置が、「それぞれにアドレスが割り当てられた複数のスピーカ装置」であるのに対し
て、引用発明ではそのような特定のない点。

相違点2
本願発明は、通信手段が「電力を供給する給電レールを介して通信を行
う」のに対して、引用発明ではそのような特定のない点。

相違点3
本願発明は、ストリーミング配信手段が「時刻に対応するオーディオデータを前記オーディオデータ記憶手段から順次読み出し、読み出したオーディオデータを、該リクエストデータの示すアドレスへ、前記通信手段を介してストリーミング配信する」とあるように、「管理装置」から直接ストリーミング配信されるのに対して、引用発明では「配信ノード」を介してストリーミング配信される点。

相違点4
本願発明は、「管理情報記憶手段」と「管理情報出力手段」とを具備するのに対して、引用発明ではそれらの手段が明らかでない点。

5.相違点に対する判断
相違点1について
コンテンツが配信される端末装置に、コンテンツの再生機能を持たせることは普通のことであるから、引用発明の端末装置をオーディオデータの再生ができるようにして、スピーカ装置の機能を有するものとすることに困難な点はない。
なお、端末装置をアドレスにより識別することは、普通に行われることにすぎないから、識別子を、それぞれに割り当てられたアドレスとすることに格別の点はない。

相違点2について
当審の拒絶理由に引用された特開平7-38982号公報に示されているように、「電力を供給する給電レールを介して通信を行う」ことに格別の点はない。

相違点3について
「配信ノード」を介することなく、コンテンツを端末装置にストリーミング配信することは、普通に行われていることであるから、引用発明におい
て、相違点3を本願発明のようにすることに、困難な点はない。

相違点4について
引用発明の「番組表」は、具体的には引用例の図4のように端末識別子毎に登録コンテンツ情報が示されているから、明示的な記載はないが、スト
リーミング配信されるオーディオデータを特定する管理情報を端末識別子毎に記憶しているといえ、記憶した情報を読み出して出力する機能を有することは当然であるから、相違点4に実質的な相違はない。

したがって、引用発明において、各相違点を本願発明のようにすることに困難な点はない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-13 
結審通知日 2012-03-21 
審決日 2012-04-04 
出願番号 特願2007-35108(P2007-35108)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G10K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨澤 直樹  
特許庁審判長 加藤 恵一
特許庁審判官 古川 哲也
吉村 博之
発明の名称 管理装置  
代理人 川▲崎▼ 研二  

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