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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61H
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A61H
管理番号 1259399
審判番号 不服2011-7902  
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-14 
確定日 2012-07-05 
事件の表示 特願2008- 29467号「マッサージ機」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 6月12日出願公開、特開2008-132348号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年1月17日に出願した特願2003-9537号の一部を平成20年2月8日に新たな特許出願としたものであって、平成23年1月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成23年4月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。

2.平成23年4月14日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年4月14日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
本件補正は、補正事項として、特許請求の範囲【請求項1】を、次のように補正することを含むものである。
「座部を有する椅子本体と、
前記座部の前側に設けられているとともに、上下回動動作及び伸縮動作が行える脚載置部と、
前記脚載置部に設けられたマッサージ部と、を備えたマッサージ機において、
前記脚載置部の角度を検出する角度検出センサと、前記脚載置部を上下回動させる上下回動駆動装置と、前記脚載置部を伸縮させる伸縮駆動装置と、前記角度検出センサの検出結果に基づいて前記伸縮駆動装置による前記脚載置部の伸長動作を制御することができると共に、前記上下回動装置による前記脚載置部の上下回動を制御する制御部と、を更に備え、
前記脚載置部は、先端側に、被施療者の伸ばした脚の足裏が当接する足裏当接部を有し、
前記制御部の制御により、上昇状態でかつ伸張状態にある前記脚載置部を前記上下回動駆動装置によって下降限界位置まで下降動作させるために当該下降動作を開始すると、当該下降動作と前記伸縮駆動装置による当該脚載置部の収縮動作とを同時に行い、当該収縮動作を継続的に実行して当該脚載置部が前記下降限界位置へ到達するよりも先に収縮限界に達すると、当該収縮動作を停止させて収縮限界状態で待機させてから、当該脚載置部の下降動作を下降限界位置まで行うことを特徴とするマッサージ機。」(補正箇所を下線で示した。)
しかしながら、上記補正事項における「前記制御部の制御により、上昇状態でかつ伸張状態にある前記脚載置部を前記上下回動駆動装置によって下降限界位置まで下降動作させるために当該下降動作を開始すると、当該下降動作と前記伸縮駆動装置による当該脚載置部の収縮動作とを同時に行い、」という記載について、願書に最初に添付した明細書の段落【0009】には「また、前記マッサージ機は、前記脚載置部の下方回動中に、前記床検出センサが床面に接していることを検出すると、前記脚載置部は収縮しながら下方回動するものであるのが好ましい。この場合、脚載置部が下方回動中に床に当たっても、更なる下方回動を許容するように脚載置部が収縮するため、円滑な下方回動が実現できる。」と記載され、同じく段落【0047】には「下降中の脚載置部5は、脚載置部5が床面に接していない限り収縮しないが(ステップS406,S407)、下降して床面に当接することで床検出センサ55がONになると(ステップS407)、収縮動作が行われる(ステップS408)。すなわち、下降動作と収縮動作が同時に行われ、脚載置部5の先端(車輪54)が床面に沿って縮みながら下降する。・・・」と記載され(【図10】も参照)、願書に最初に添付した特許請求の範囲の【請求項4】には「前記脚載置部の下方回動中に、前記床検出センサが床面に接していることを検出すると、前記脚載置部は収縮しながら下方回動することを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。」と記載されていることから、「脚載置部の下方回動すなわち下降動作中に、当該下降動作と脚載置部の収縮動作とを同時に行う」ことについては記載されているが、「下降動作を開始すると、当該下降動作と前記伸縮駆動装置による当該脚載置部の収縮動作とを同時に行」うことについては、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には記載されておらず、かつこれらから自明な事項でもない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を、「本願発明」という。)は、平成22年7月28日付け手続補正書で補正された明細書の、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「座部を有する椅子本体と、
前記座部の前側に設けられているとともに、上下回動動作及び伸縮動作が行える脚載置部と、
前記脚載置部に設けられたマッサージ部と、を備えたマッサージ機において、
前記脚載置部の角度を検出する角度検出センサと、前記脚載置部を上下回動させる上下回動駆動装置と、前記脚載置部を伸縮させる伸縮駆動装置と、前記角度検出センサの検出結果に基づいて前記伸縮駆動装置による前記脚載置部の伸長動作を制御することができると共に、前記上下回動装置による前記脚載置部の上下回動を制御する制御部と、を更に備え、
前記脚載置部は、先端側に、被施療者の伸ばした脚の足裏が当接する足裏当接部を有し、
前記制御部の制御により、上昇状態でかつ伸張状態にある前記脚載置部を前記上下回動駆動装置によって下降限界位置まで下降動作させる途中で、前記伸縮駆動装置による当該脚載置部の収縮動作を当該下降動作と同時に行い、当該収縮動作を継続的に実行して当該脚載置部の収縮限界に達すると、当該収縮動作を停止させて収縮状態で待機させてから、当該脚載置部の下降動作を下降限界位置で停止させることを特徴とするマッサージ機。」

4.引用文献の記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-60913号公報(以下、単に「引用例1」という。)には、図面とともに、下記の事項が記載されている。
(イ)「【0011】【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施例を図1?図7を参照しながら説明する。図7に示すように、マッサージ装置の本体1は、脚フレーム2に対して、座部3、足載せ部4、背もたれ部5を設けて成る。この実施例では、座部3は脚フレーム2に固定され、その座部3に対し、足載せ部4および背もたれ部5が上下方向に回動可能に連結されている。」(公報第3頁第3欄第8?15行)
(ロ)「【0014】さて、足載せ部4のフレーム(以下、足載せフレーム)7は、図3に示すように、座フレーム6の左右両側に軸17を介して上下方向に回動可能に支持された左右一対の鉄パイプ製の支持パイプ18(一方のみ図示)と、ほぼコ字形に形成されて左右両端部分が左右の支持パイプ18に前後方向(座部3に対して遠近する方向)にスライド可能に嵌合された同じく鉄パイプ製のスライドパイプ19(一方のみ図示)とからなる。
【0015】そして、足載せ部4は、支持パイプ18の上下方向の回動により、水平に対する角度を調節できるようになっている。」(公報第3頁第3欄第38?48行)
(ハ)「【0016】 座フレーム6のスライドパイプ19には、取付台20が設けられている。」(公報第3頁第4欄第8?9行)
(ニ)「【0017】この移動可能な取付台20には、足側施療子としての揺動式マッサージ機構23が設けられており、この揺動式マッサージ機構23は、揺動部材24を備え、その揺動部材24に両足の例えば足首部分を載せた状態で該揺動部材24を駆動装置25によって左右方向に往復移動させ、これにより両足を一緒に左右に揺らして下半身をマッサージする、という構成のものである。」(公報第3頁第4欄第16?23行)
(ホ)「【0024】さて、揺動式マッサージ機構23を配設した足載せフレーム7のスライドパイプ19は、図1?図3に示す連動機構39により足載せ部4の角度調節に伴って前後に動かされるようになっている。」(公報第4頁第5欄第33?36行)
(ヘ)「【0026】このように構成された連動機構39は、座部3が下方に回動されると、第2の滑車42が、ワイヤ40のうち、第1の滑車41と座部3側への固定端との間をほぼ「く」字形に屈曲させるようになり、その屈曲の程度は、座部3の下方への回動角度が大きくなればなる程、大きくなる。従って、スライドパイプ19は、座部3の下方への回動角度が大きくなる程、スライドパイプ19を後方へ引っ張るようになる。逆に、座部3の上方への回動角度が大きくなると、ワイヤ40が緩むようになるため、スライドパイプ19は、圧縮コイルばね44の弾発力によって前方に移動するようになる。
【0027】そして、このようなスライドパイプ19の前後移動により、揺動式マッサージ機構23が前後に移動するようになり、足載せ部4の上方への回動角度によって揺動式マッサージ機構23の位置が異なるようになる。具体的には、足載せ部4が水平姿勢に近付けば近付く程、揺動式マッサージ機構23は、前方に位置するようになる。これは、足載せ部4が水平姿勢に近付けば近付く程、膝が伸びて足首が前方に位置するようになるので、足首の位置と足首の辺りを載せる揺動部材24の位置とが自動的にほぼ一致する傾向となり、使用上便利である。」(公報第4頁第6欄第7?28行)
(ト)「【0029】このように、揺動式マッサージ機構23は、長孔21の範囲内でその前後の位置が調節されるものである。このため、揺動式マッサージ機構23を長孔21の範囲内で最前方に位置させた状態のまま、足載せ部4の不使用時に、該足載せ部4をほぼ垂直傾きの姿勢となる収納位置に回動させることがある。このようなことを考慮して、足載せ部4をほぼ垂直下向きの収納位置に回動させたとき、揺動式マッサージ機構23が最前方に位置されていたとしても、連動機構39が足載せ部4の収納位置への回動に伴ってスライドパイプ19を所定量後方に移動させて揺動式マッサージ機構23(取付台20およびスライドパイプ19を含む)が床に接することのように構成されている。これにより、揺動式マッサージ機構23の位置を一々長孔21に範囲内で最後方となるように移動させなくとも、足載せ部4を支承なく収納位置に回動できるようにしている。
【0030】なお、取付台20がスライドパイプ19に対して固定されているような場合でも、足載せ部4をほぼ垂直下向きの収納位置に回動させたとき、揺動式マッサージ機構23(取付台20およびスライドパイプ19を含む)が床に接することのように構成することはもちろんである。」(公報第4頁第6欄第35行?第5頁第7欄第6行)

上記各記載事項(イ)?(ト)及び図示内容からみて、上記引用例1には、
「座部3を有する本体1と、
前記座部3の前側に設けられているとともに、上下方向への回動可能な足載せ部4及び前後方向へのスライドが可能なスライドパイプ19と、
取付台20に設けられた揺動式マッサージ機構23と、を備えたマッサージ装置において、
前記スライドパイプ19を足載せ部4の角度調節に伴って前後に動かす連動機構39を備え、前記足載せ部4の上方への回動角度によってスライドパイプ19が前後移動し揺動式マッサージ機構23の位置が異なるようになり、
足載せ部4をほぼ垂直向きの収納位置に回動させたとき、連動機構39が足載せ部4の収納位置への回動に伴ってスライドパイプ19を所定量後方に移動させて揺動式マッサージ機構23が床に接することのないように構成されているマッサージ装置。」についての発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(2)原査定において引用された特開平11-290409号公報(以下、単に「引用例2」という。)には、図面とともに、下記の事項が記載されている。
(チ)「図14及び図15は、本発明に係る椅子型マッサージ機1において、フットレスト2の脚載せ部12に脚11の足裏を支持可能なステップ45を設けて、このステップ45の裏底側に機械収納部25を形成させた第5実施形態を示している。
【0040】従って、この第5実施形態では、機械収納部25内に、脚部マッサージ駆動部13の配管機器や配線機器等(図示略)を収納したり、マッサージ駆動部13として、ステップ45に、足裏に対するマッサージ動作を行う第4指圧部46を設けたりすることができるものとなっている。」(公報第5頁第8欄第18?29行)

(3)特開平11-299570号公報(以下、単に「引用例3」という。)には、図面(図1等)とともに、下記の事項が記載されている。
(リ)「又、オットマン本体6の先端に使用者の足先を受ける足先受台部7を突設してオットマン1を形成し、該足先受台部7に圧力検知部3を設けてもいる。」(公報第4頁第5欄第14?17行)

(4)原査定において引用された特開2002-238695公報(以下、単に「引用例4」という。)には、図面とともに、下記の事項が記載されている。
(ヌ)「【0002】【従来の技術】航空機の客室内に設置される従来のフットレスト装置を備えた乗物用シートの一例について、図7および図8を参照して説明する。図7に示すように、シート1は、・・・(中略)・・・前端部にレッグレスト4が回動可能に装着され、さらに、レッグレスト4にフットレスト5が進退動可能に設けられている。
【0003】シートバック3,レッグレスト4およびフットレスト5は、電動モータ等のアクチュエータ(図示せず)によって駆動され、・・・(中略)・・・レッグレスト4を鉛直下向の格納位置(略)と略水平の水平位置(略)との間で自由に角度調整することができ、」(公報第2頁第1欄第29?46行)
(ル)「【0005】ところで、図7に示すシート1では、フットレスト5が伸長位置にある状態からレッグレスト4を格納位置に移動させる際、あるいは、レッグレスト4が格納位置にある状態からフットレスト5を伸長させる際、フットレスト5の先端がフロア6に干渉しないようにする必要がある。
【0006】そこで、従来は、フットレスト5の作動をレッグレスト4の角度位置(または、作動時間等)に連動させて、レッグレスト4を水平位置から格納位置に移動させる場合には、レッグレスト4が下方へ所定の角度まで回動したとき、フットレスト5を自動的に後退させ、また、格納位置にあるレッグレスト4からフットレスト5を伸長させる場合には、レッグレスト4を上方へ所定位置まで回動させた後、フットレスト5を伸長させるようにしている。」(公報第2頁第2欄第4?18行)
(ヲ)「なお、フットレスト14の後退速度がレッグレスト13の回動速度に対して充分速い場合には、レッグレスト13の下方への回動を一時的に停止させることなく、フットレスト14とフロア9との干渉を回避することができる。」(公報第4頁第5欄第13?17行)

(5)原査定において引用された特開2002-240616号公報(以下、単に「引用例5」という。)には、図面とともに、下記の事項が記載されている。
(ワ)「【0002】【従来の技術】航空機の客室内に設置される従来のフットレスト装置を備えた乗物用シートの一例について、図6および図7を参照して説明する。図6に示すように、シート1は、・・・(中略)・・・前端部にレッグレスト4が回動可能に装着され、さらに、レッグレスト4にフットレスト5が進退動可能に設けられている。
【0003】シートバック3,レッグレスト4およびフットレスト5は、電動モータ等のアクチュエータ(図示せず)によって駆動され、・・・(中略)・・・レッグレスト4を鉛直下向の格納位置(略)と略水平の水平位置(略)との間で自由に角度調整することができ、」(公報第2頁第1欄第28?45行)
(カ)「【0005】ところで、図6に示すシート1では、フットレスト5が伸長位置にある状態からレッグレスト4を格納位置に移動させる際、あるいは、レッグレスト4が格納位置にある状態からフットレスト5を伸長させる際、フットレスト5の先端がフロア6に干渉しないようにする必要がある。
【0006】そこで、従来は、フットレスト5の作動をレッグレスト4の角度位置(または、作動時間等)に連動させて、レッグレスト4を水平位置から格納位置に移動させる場合には、レッグレスト4が下方へ所定の角度まで回動したとき、フットレスト5を自動的に後退させ、また、格納位置にあるレッグレスト4からフットレスト5を伸長させる場合には、レッグレスト4を上方へ所定位置まで回動させた後、フットレスト5を伸長させるようにしている。」(公報第2頁第2欄第3?17行)
(ヨ)「【0019】なお、フットレスト14の後退速度がレッグレスト13の回動速度に対して充分速い場合には、レッグレスト13の下方への回動を一時的に停止させることなく、フットレスト14とフロア9との干渉を回避することができる。」(公報第4頁第5欄第8?12行)

5.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、上記引用発明における「本体1」は本願発明の「椅子本体」に相当し、以下、同様に、「前後方向へのスライド」は「伸縮動作」に、「マッサージ装置」は「マッサージ機」に、「収納位置」は「下降限界位置」に、相当する。
また、記載事項(ロ)からみて引用発明の「スライドパイプ19」は「足載せ部4」の一部であるから、「足載せ部4」及び「スライドパイプ19」は共に「脚載置部」に相当する。
そして、引用発明の「取付台20」も「スライドパイプ19」に設けられているから「取付台20に設けられた揺動式マッサージ機構23」は「脚載置部に設けられたマッサージ部」に相当する。
また、引用発明の「連動機構39」はスライドパイプ19を前後に動かすから「脚載置部を伸縮させる伸縮駆動装置」に相当し、また、「足載せ部4の角度調節に伴って前後に動かす」と共に「前記足載せ部4の上方への回動角度によってスライドパイプ19が前後移動」することから「脚載置部の角度」「に基づいて前記伸縮駆動装置による前記脚載置部の伸張動作を制御することができる」「制御部」である点で本願発明と共通する。
そして、引用発明の「足載せ部4をほぼ垂直向きの収納位置に回動させたとき、連動機構39が足載せ部4の収納位置への回動に伴ってスライドパイプ19を所定量後方に移動させて揺動式マッサージ機構23が床に接することのない」構成についてみれば、引用例1の図1に示されるような当初の状態は足載せ部4が「上昇状態でかつ伸張状態」といえるし、また「前記脚載置部を下降限界位置まで下降動作させる途中で、前記伸縮駆動装置による当該脚載置部の収縮動作を当該下降動作と同時に」行うといえ、さらに「当該収縮動作を継続的に実行して当該脚載置部の収縮限界に達すると、当該脚載置部の下降動作を下降限界位置で停止させる」といえる。

したがって、本願発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。
〈一致点〉
「座部を有する椅子本体と、
前記座部の前側に設けられているとともに、上下回動動作及び伸縮動作が行える脚載置部と、
前記脚載置部に設けられたマッサージ部と、を備えたマッサージ機において、
前記脚載置部を伸縮させる伸縮駆動装置と、前記脚載置部の角度に基づいて前記伸縮駆動装置による前記脚載置部の伸長動作を制御することができる制御部と、を更に備え、
前記制御部の制御により、上昇状態でかつ伸張状態にある前記脚載置部を下降限界位置まで下降動作させる途中で、前記伸縮駆動装置による当該脚載置部の収縮動作を当該下降動作と同時に行い、当該収縮動作を継続的に実行して当該脚載置部の収縮限界に達すると、当該脚載置部の下降動作を下降限界位置で停止させるマッサージ機」である点。
〈相違点〉
(A)脚載置部が、本願発明では、先端側に、被施療者の伸ばした脚の足裏が当接する足裏当接部を有しているのに対して、引用発明では、そのような特定事項を備えていない点。
(B)本願発明では、脚載置部の角度を検出する角度検出センサと、脚載置部を上下回動させる上下回動駆動装置とを備え、角度検出センサの検出結果に基づいて制御部による脚載置部の伸長動作の制御および脚載置部の上下回動の制御が行われるのに対し、引用発明では、脚載置部の角度に基づいて制御部による脚載置部の伸張動作の制御が行われるものの、その他の特定事項を備えていない点。
(C)脚載置部の下降動作を下降限界位置で停止させるにあたって、本願発明では、脚載置部の収縮限界に達すると、当該収縮動作を停止させて収縮状態で待機させているのに対して、引用発明では、そのような特定事項を備えていない点。

6.相違点についての判断
(a)相違点(A)について
脚載置部の先端側に、被施療者の伸ばした脚の足裏が当接する足裏当接部を設けることは、例えば、上記引用例2あるいは引用例3に開示されているように、周知の手段である。
したがって、上記周知の手段に倣い、引用発明の脚載置部の先端側に、足裏当接部を設けて、本願発明のように構成する程度のことは、当業者が必要に応じて容易になし得たものと認められる。
(b)相違点(B)について
脚載置部を上下回動させる上下回動駆動装置を備え、脚載置部の角度に基づいて制御部による脚載置部の伸長動作の制御および脚載置部の上下回動の制御が行われるようにすることは、例えば、上記引用例4あるいは引用例5に開示されているように、周知の手段である。
また、角度を求めるにあたり角度検出センサを用いることは慣用されており、当業者が適宜採用し得る事項にすぎない。
したがって、引用発明に上記周知の手段を適用し、脚載置部の角度を検出する角度検出センサと、脚載置部を上下回動させる上下回動駆動装置とを備え、角度検出センサの検出結果に基づいて制御部による脚載置部の伸長動作の制御および脚載置部の上下回動の制御が行われるようにして本願発明のように構成する程度のことは、当業者が必要に応じて容易になし得たものと認められる。
(c)相違点(C)について
引用例4の(ヲ)あるいは引用例5における(ヨ)に記載されている「フットレスト14の後退速度がレッグレスト13の回動速度に対して充分速い場合には、レッグレスト13の下方への回動を一時的に停止させることなく、フットレスト14とフロア9との干渉を回避することができる。」とは、レッグレスト13が下降限界位置で停止する前にフットレスト14が収縮限界に到達し、その後、レッグレスト13が下降限界位置まで下降する間に、フットレスト14の収縮動作は上記収縮限界で停止したまま待機した状態となる作動を意味するものであり、当該技術手段も周知の手段と認められる。
したがって、引用発明における脚載置部の下降動作を下降限界位置で停止させるにあたり、上記引用例4あるいは引用例5に記載された周知の手段に倣い、脚載置部が収縮限界に達すると、当該収縮動作を停止させて収縮状態で待機させるようにして、本願発明のように構成する程度のことは、当業者が必要に応じて容易になし得たものと認められる。

そして、本願発明の構成によってもたらされる明細書に記載の効果も、引用発明および周知の手段から、当業者であれば予測できる範囲のものであって、格別なものとはいえない。

7.むすび
したがって、本願発明は、その出願前に当業者が引用発明および周知の手段に基いて容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-05-02 
結審通知日 2012-05-08 
審決日 2012-05-22 
出願番号 特願2008-29467(P2008-29467)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (A61H)
P 1 8・ 121- Z (A61H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長谷川 一郎  
特許庁審判長 亀丸 広司
特許庁審判官 田合 弘幸
山口 直
発明の名称 マッサージ機  
代理人 特許業務法人サンクレスト国際特許事務所  

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