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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47F
管理番号 1260102
審判番号 不服2011-13430  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-23 
確定日 2012-07-12 
事件の表示 特願2005-374376号「オープンショーケース」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 7月12日出願公開、特開2007-175130号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.出願の経緯
本願は、平成17年12月27日の出願であって、平成23年3月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成23年6月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、その審判請求と同時に手続補正がなされたものである。

第2.本願発明について
1.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし6に係る発明は、平成23年6月23日付けで手続補正された請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は次のとおりのものである。

「【請求項1】
前面に開口する陳列室内を冷却、又は、加熱すると共に、前記陳列室の開口にはエアーカーテンを構成して成るオープンショーケースにおいて、
前記陳列室の開口を塞ぐかたちで前記エアーカーテンの外側に沿って設けられた陳列室カバーを備え、
該陳列室カバーは、それぞれ上下方向に延在し、左右に並設された複数の硬質カバー部材から構成され、各硬質カバー部材は、前記陳列室内に陳列された商品を取出可能な商品取出口をそれぞれ有し、各商品取出口以外の部分は前記陳列室内を透視可能な硬質壁とされていることを特徴とするオープンショーケース。」

2.引用刊行物とその記載事項
・刊行物1:実願昭53-25329号(実開昭54-128963号)のマイクロフィルム
・刊行物2:実願昭53-90139号(実開昭55-6775号)のマイクロフィルム

(1)刊行物1
原査定の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物1には、「開放型冷凍,冷蔵ショーケース」に関して、以下の記載がある。

ア.「2.実用新案登録請求の範囲
1.開放型冷凍,冷蔵ショーケースの前面の開放部の上端を決定するケース本体部分に上端が固定された多数の透明な短冊形可撓性シートで上部開放部の横方向を隙間なく被ったことを特徴とする開放型冷凍,冷蔵ショーケース。」(明細書第1ページ第4?9行)(下線部は、当審にて付与。以下同様。)

イ.「第1図および第2図に示した本考案の一実施例による開放型冷凍,冷蔵ショーケースは,従来同様に,ケース本体1内に棚2,3を設けて複数の物品陳列段を形成し,かつケース本体1の壁部に沿って形成した風路4から該風路4の途中に配置した冷却器5および送風手段6により冷却空気を吹出して前面の大きな開放部7にエアーカーテンC_(1)を形成し、それによりケース本体1の内外を仕切るとともに各陳列段の物品を冷却し続けるようになされている。なお冷却器5としては冷媒の凝縮,蒸発を繰り返させる装置の蒸発器部分を用いている。さて,この実施例の特徴は開放型冷凍,冷蔵ショーケースの前面の大きな開放部の上端を決定するケース本体前面上部1aに上端が固定され下端が開放部7の下端に当たらないような長さをもつ多数の透明な短冊形可撓性シート8?12で開放部7の横方向を隙間なく被うようにしたことである。すなわち,第2図に示したように多数の短冊形可撓性シート8?12をケース本体前面上部1aと押え板13との間にはさんだ状態でねじ14により押え板13をケース本体前面上部1aに締め付けることにより多数の短冊形可撓性シート8?12をケース本体前面上部1aに固定する。短冊形可撓性シート8?12はそれぞれ横方向において湾曲したものが用いられ,隣り合う可撓性シートは互いに湾曲内面の一部が対向するように配置され,短冊形可撓性シート同志の密着性を良くしてある。」(明細書第2ページ第20行?第4ページ第8行)

ウ.第1図,第2図には、透明な短冊形可撓性シート8?12が、冷蔵ショーケースのケース本体1における前面に設けられた開放部7を塞ぐようにエアーカーテンC_(1)の外側に設けられていること、及び透明な短冊形可撓性シート8?12が上下方向に延在するとともに、左右に並設されることが図示されている。

以上のア.、イ.の記載、ウ.の第1,2図に図示されている事項、及びその他の図面における記載を総合すると、刊行物1には以下の発明(以下「引用発明」という)が記載されている。

「前面に開放部7を設けた複数の物品陳列段を形成したケース本体1内を冷却すると共に、その前面に設けられた開放部7にエアーカーテンC_(1)を形成した開放型冷凍,冷蔵ショーケースにおいて、
ケース本体1の開放部7を塞ぐようにエアーカーテンC_(1)の外側に設けられた多数の透明な短冊形可撓性シート8?12を備え、
該多数の透明な短冊形可撓性シート8?12は、上下方向に延在するとともに、左右に並設されるものである開放型冷凍,冷蔵ショーケース。」

(2)刊行物2
原査定の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物2には、「平形ショーケース」に関して、以下の記載がある。

エ.「実用新案登録請求の範囲
上方開口部に置き蓋を配設してある平形ショーケースにおいて、置き蓋は透明又は半透明の材質からなり、複数個の商品取出孔を有していることを特徴とする平形ショーケース。」(明細書第1ページ第3?7行)

オ.「第1図は本考案による平形ショーケース10の斜視図である。符号11は上方開口部を有する外箱であり、この外箱11の上方開口部周縁には開口段部12が設けられている。符号13はこの開口段部12に対し上方から載置される置き蓋であり、透明又は半透明の材質、例えばプラスチックにより作られている。この置き蓋13には適宜な間隔で複数個の商品取出用孔14が穿設されている。この商品取出用孔14は人間の手が入るように約10?30cmの直径であけられることが望ましい。符号15は冷却器兼用内箱16内に設けられた内部仕切り冷却器であり、内箱16の容積が大きい場合その内部の冷却能力を補うため設けられている。」(明細書第2ページ第10行?第3ページ第2行)

カ.「置き蓋13には商品取出用孔14が穿設されているので、商品をケース内に収納した後は、置き蓋をいちいち持ち上げることなく、蓋はそのままにしておいてケース内に手を入れ容易に商品を取り出すことができる。」(明細書第4ページ第6?10行)

以上のエ.、オ.、カ.及び図面の記載を総合すると、刊行物2には以下の発明(以下「刊行物2の発明」という)が記載されている。

「平形ショーケースの上方開口部に配設されるものであって、透明又は半透明の材質、例えばプラスチックにより作られているものであり、適宜な間隔で複数個の商品取出用孔14が穿設されているものである置き蓋13。」

3.対比・判断
本願発明と、引用発明とを対比すると、引用発明の「前面に開放部7を設け」ることは、本願発明の「前面に開口する」ことに相当し、以下同様に、「複数の物品陳列段を形成したケース本体1」は、本願発明の「陳列室」に、「開放部7」は、「開口」に、「エアーカーテンC_(1)」は、「エアーカーテン」に、「開放型冷凍,冷蔵ショーケース」は、「オープンショーケース」に、「多数の透明な短冊形可撓性シート8?12」は、「陳列室カバー」に、それぞれ相当し、引用発明の「透明な短冊形可撓性シート8?12」 と、本願発明の「硬質カバー部材」とは、「カバー部材」であることにおいて共通する。

よって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
前面に開口する陳列室内を冷却すると共に、前記陳列室の開口にはエアーカーテンを構成して成るオープンショーケースにおいて、
前記陳列室の開口を塞ぐかたちで前記エアーカーテンの外側に沿って設けられた陳列室カバーを備え、
該陳列室カバーは、それぞれ上下方向に延在し、左右に並設された複数のカバー部材から構成されるオープンショーケース。

[相違点]
本願発明においては、カバー部材について、硬質カバー部材から構成されるものであって、各硬質カバー部材は、前記陳列室内に陳列された商品を取出可能な商品取出口をそれぞれ有し、各商品取出口以外の部分は前記陳列室内を透視可能な硬質壁とされているのに対し、引用発明においては、カバー部材について、透明な短冊形可撓性シートから構成される点。

4.当審の判断
そこで、上記相違点について検討する。

[相違点について]
刊行物2の発明における「平形ショーケース」は、「オープンショーケース」に相当し、刊行物2の発明における「上方開口部」は、「陳列室の開口」に相当し、刊行物2の発明における「商品取出用孔14が穿設されている」ことは、平形ショーケース内に陳列された商品を取出すためであることに他ならないから、「陳列室に陳列された商品を取出可能な商品取出口を有する」ことにそれぞれ相当する。さらに、刊行物2の発明における「置き蓋13」は、透明又は半透明の材質、例えばプラスチックにより作られているものであり、刊行物2の第1図,第2図からみると、置き蓋13は少なくとも保形性を備えるものであるから、「硬質カバー部材」に相当し、さらに透明あるいは半透明な材質からなることにより、「商品取出口以外の部分は陳列室内を透視可能」となることは明らかである。
よって、刊行物2の発明は、「オープンショーケースの陳列室の開口に配設され、陳列室内に陳列された商品を取出可能な商品取出口をそれぞれ有し、各商品取出口以外の部分は前記陳列室内を透視可能な硬質壁とされている硬質カバー部材」ということができる。
そうすると、引用発明の開放型冷凍,冷蔵ショーケースにおいて、商品の出し入れの利便性等を考慮して、透明な短冊形可撓性シートに代えて上記刊行物2の発明における、陳列室内に陳列された商品を取出可能な商品取出口をそれぞれ有し、各商品取出口以外の部分は前記陳列室内を透視可能な硬質壁とされている硬質カバー部材を採用することにより、上記相違点に係る発明特定事項とすることは、当業者であれば容易になし得たものである。
さらに、オープンショーケースの開口部に硬質カバー部材を設ける際、上下方向に延在し、左右に並設することは周知の技術的事項(特開昭56-133568号公報、第2,3図/実願昭47-12307号(実開昭48-86795号)のマイクロフィルム、第1?3図参照)であるから、引用発明に刊行物2の発明における硬質カバー部材を採用する際においても、引用発明の多数の透明な短冊形可撓性シート8?12と同様に、それらを上下方向に延在するとともに、左右に並設することに格別な困難性はない。

そして、本願発明によって得られる効果も、引用発明、刊行物2の発明、周知の技術的事項から、当業者であれば予測できる程度のものであって、格別なものとはいえない。

したがって、本願発明は、引用発明、刊行物2の発明、周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.結び
以上のとおり、本願発明は、引用発明、刊行物2の発明、周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-05-09 
結審通知日 2012-05-15 
審決日 2012-05-28 
出願番号 特願2005-374376(P2005-374376)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A47F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大谷 光司  
特許庁審判長 亀丸 広司
特許庁審判官 高田 元樹
松下 聡
発明の名称 オープンショーケース  
代理人 大橋 雅昭  

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