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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1262652
審判番号 不服2010-24242  
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-10-27 
確定日 2012-09-06 
事件の表示 特願2009-197444「入力装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 3月10日出願公開、特開2011- 48701〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明

本願は、平成21年8月27日の出願であって、平成22年7月20日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年10月27日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同時に手続補正がなされ、平成23年12月16日付けで当審で拒絶理由が通知され、平成24年2月20日付けで手続補正がなされたものである。 そして、その請求項1に係る発明は,平成24年2月20日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下,「本願発明」という。)

「タッチ入力を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が触感を呈示する基準を満たした際に、前記タッチ面を前記触感を呈示する基準を満たす押圧荷重により押圧している押圧対象に対して押圧位置に依存せず同一の触感を呈示するために一定振幅の振動による触感を呈示するように、前記触感呈示部の駆動を前記押圧位置に応じて制御する制御部と、
を備えることを特徴とする入力装置。」

2.引用例
当審の拒絶理由で引用した本願の出願日前に公開された特開2005-258666号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

a.「コンピュータを介して、複数のアクチュエータに感触フィードバックが成される入力装置であって、
上記コンピュータに少なくとも位置情報を供給する入力操作手段と、
上記入力操作手段内の所定位置に配設した複数のアクチュエータと、
上記複数のアクチュエータに供給する複数の駆動信号を発生するための駆動信号発生手段と、
上記コンピュータの指令データに基づいて上記複数のアクチュエータに上記駆動信号を出力し、上記入力操作手段を振動させる振動制御手段と、
上記振動制御手段内に配設され、上記複数のアクチュエータを駆動する複数のアクチュエータ駆動手段と、
を具備し、
上記振動制御手段内の複数のアクチュエータ駆動手段を介して、上記入力操作手段の複数に分割した夫々の操作領域内で振動量を制御することでユーザの触感を同一にする様にしたことを特徴とする入力装置。」(【請求項1】の記載。)

b.「前記複数のアクチュエータに対して前記振動制御手段から前記複数のアクチュエータ駆動手段を介して、駆動信号を並列的に供給して、前記入力操作手段の複数に分割した夫々の操作領域内で前記振動量を均一化させるために該複数のアクチュエータの対抗する対のアクチュエータに対し位相の異なる該駆動信号を供給することを特徴とする請求項1記載の入力装置。」(【請求項2】の記載。なお、上記「アクチュエータの対抗する」の記載は、「アクチュエータの対向する」の誤記と認められるので、以下、「対向」と修正して記載する。下線は、当審で付与、以下同様。)

記載bによれば、記載a中の「ユーザの触感を同一にする」ためには、「振動量を均一化」することによって達成される。
してみると、引用例1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)は、以下のとおりのものである。

〈引用発明〉
コンピュータを介して、複数のアクチュエータに感触フィードバックが成される入力装置であって、上記コンピュータに少なくとも位置情報を供給する入力操作手段と、上記入力操作手段内の所定位置に配設した複数のアクチュエータと、上記複数のアクチュエータに供給する複数の駆動信号を発生するための駆動信号発生手段と、上記コンピュータの指令データに基づいて上記複数のアクチュエータに上記駆動信号を出力し、上記入力操作手段を振動させる振動制御手段と、上記振動制御手段内に配設され、上記複数のアクチュエータを駆動する複数のアクチュエータ駆動手段と、を具備し、上記振動制御手段内の複数のアクチュエータ駆動手段を介して、上記入力操作手段の複数に分割した夫々の操作領域内で振動量を均一化する制御をすることでユーザの触感を同一にする様にした入力装置。

当審の拒絶理由で引用した本願の出願日前に公開された特開平10-293644号公報(以下「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。

c.「タッチパネル4が所定の押圧力以上で押圧操作されたことを検出して押圧検出信号SSを出力する押圧検出スイッチ20と、この押圧検出信号SSに応答して駆動信号DSを発生する駆動信号発生回路18と、この駆動信号DSに基づいてタッチパネル4を機械的に駆動して操作者に触感応答を与える駆動部10と、一致検出回路14から一致検出信号CSおよび押圧検出スイッチ20から押圧検出信号SSが共に与えられたときにアンド信号ASを出力する論理積回路22と、常時は操作位置検出回路12から与えられる操作位置信号PSの通過を阻止しており、論理積回路22からアンド信号ASが与えられたときに当該阻止を解除して操作位置信号PSを通過させて出力するゲート回路24とを設けた。」(【要約】の【解決手段】の記載。)

してみると、引用例2に記載された技術(以下、「公知技術」という。)は、以下のとおりのものである。

〈公知技術〉
操作位置検出回路を備え、
タッチパネルが所定の押圧力以上で押圧操作されたことを検出して押圧検出信号を出力する押圧検出スイッチと、この押圧検出信号に応答して駆動信号を発生する駆動信号発生回路と、この駆動信号に基づいてタッチパネルを機械的に駆動して操作者に触感応答を与える駆動部とからなるタッチパネル付表示装置。

3.対比

本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「位置情報を供給する入力操作手段」についての引用例1の記載(「【0034】・・・ユーザがアイコン9Bを選択すると、タッチパネル4の座標検出機能(あるいはCPU13の機能)により、ユーザの指21がタッチパネル4上のエリア4Bにあることがわかる。」、「【0039】上述の構成で、例えば、ユーザがタッチパネル4のエリアEを触れたとすると、その座標値から・・」等)から、引用発明の「位置情報を供給する入力操作手段」は、本願発明の「タッチ入力を検出するタッチセンサ」を備えていることは明らかである。
(2)引用発明の「複数のアクチュエータ」は、「駆動信号」により「入力操作手段」を振動させるものであるので、本願発明の「触感呈示部」に相当する。
(3)引用発明の「振動制御手段」は、「振動制御手段内の複数のアクチュエータ駆動手段を介して、上記入力操作手段の複数に分割した夫々の操作領域内で振動量を均一化する制御」し、「ユーザの触感を同一」とするものであるので、本願発明の「制御部」と、「対象に対して押圧位置に依存せず同一の触感を呈示するために一定振幅の振動による触感を呈示するように、前記触感呈示部の駆動を前記押圧位置に応じて制御する」点で、一致している。

したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。

<一致点>
「タッチ入力を検出するタッチセンサと、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
対象に対して押圧位置に依存せず同一の触感を呈示するために一定振幅の振動による触感を呈示するように、前記触感呈示部の駆動を前記押圧位置に応じて制御する制御部と、
を備えることを特徴とする入力装置。」

<相違点>
本願発明においては「タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部」を備え、「前記荷重検出部により検出される押圧荷重が触感を呈示する基準を満たした際に、前記タッチ面を前記触感を呈示する基準を満たす押圧荷重により押圧している押圧対象」に対して触感を呈示するように制御するとの構成を備えるのに対し、引用発明では「荷重検出部」に係る構成を備えない点。

4.当審の判断

<相違点について>
上記引用例2に記載されているように、「操作位置検出回路を備え、
タッチパネルが所定の押圧力以上で押圧操作されたことを検出して押圧検出信号を出力する押圧検出スイッチと、この押圧検出信号に応答して駆動信号を発生する駆動信号発生回路と、この駆動信号に基づいてタッチパネルを機械的に駆動して操作者に触感応答を与える駆動部とからなるタッチパネル付表示装置。 」は公知の技術であり、この技術は、操作位置検出回路(本願発明の「タッチセンサ」に相当)を有する入力装置において、押圧検出スイッチ(「荷重検出回路」に相当)および駆動部(「触感呈示部」に相当)を備え、所定の押圧力以上(「触感を呈示する基準」に相当)で押圧操作されたことを検出したときに、操作者に触感応答を与える(「押圧している押圧対象」に、「触感」を与えることに相当。)ものである。
そして、引用発明と、当該公知技術は、両者ともタッチパネルの入力装置に関するものであり、また、操作者の指等で入力操作した際に、操作者に触感応答を与える技術である点でも、共通しているので、引用発明を、当該公知技術の、駆動部を制御する制御手段に適用し、荷重検出部を備え、検出される押圧荷重が触感を呈示する基準を満たした際に、タッチ面を触感を呈示する基準を満たす押圧荷重により押圧している押圧対象に対して押圧位置に依存せず同一の触感を呈示するために一定の振幅の振動による触感を呈示するように、触感呈示部の駆動を押圧位置に応じて制御するようにして、相違点に係る構成とすることは、当業者が容易になし得るものである。

そして、本願発明が奏する作用、効果についてみても、引用発明及び公知の技術から当業者が予想できる程度のものである。

5.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び公知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-07-05 
結審通知日 2012-07-10 
審決日 2012-07-23 
出願番号 特願2009-197444(P2009-197444)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊田 朝子  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 衣川 裕史
山田 正文
発明の名称 入力装置  
代理人 大倉 昭人  
代理人 杉村 憲司  

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