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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  G01N
管理番号 1263212
審判番号 無効2010-800186  
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-10-14 
確定日 2011-10-25 
事件の表示 上記当事者間の特許第2774884号発明「試料の分離方法及びこの分離方法で得た分離試料の分析方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第2774884号に係る発明についての手続の概要は次のとおりである。
平成 3年 8月22日 特許出願
平成10年 4月24日 特許権の設定登録(請求項の数11)
平成22年10月14日 無効審判請求(請求人)(甲第1?6号証)
平成22年12月28日 答弁書提出(被請求人)(乙第1?3号証)
平成23年 3月28日 審理事項通知書(当審)
平成23年 5月 2日 口頭審理陳述要領書(請求人)(甲第7?9号証)
平成23年 5月 2日 上申書(請求人)
平成23年 5月 6日 口頭審理陳述要領書(被請求人)(乙第4号証)
平成23年 5月20日 上申書(請求人)
平成23年 5月20日 上申書(被請求人)
平成23年 5月20日 口頭審理・審理終結

第2 請求人の主張及び証拠方法
(1)請求人の主張
請求人は、特許第2774884号の請求項1に係る発明を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、無効審判請求、口頭審理(口頭審理陳述要領書及び第1回口頭審理調書を含む)において、下記「(2)証拠方法」において示した甲第1号証?甲第9号証を提出し、次に示す無効理由を主張している。
(無効理由)
特許第2774884号の請求項1係る発明(以下、「本件発明」という。)は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許が受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきである。

(2)証拠方法
甲第1号証 特開平2-294644号公報
甲第2号証 R.J.Young他「GAS-ASSISTED FOCUSED ION BEAM ETCHING FOR MICROFABRICATION AND INSPECTION[微細加工及び検査のためのガスアシスト集束イオンビームエッチング]」(Microelectronic Engineering 11(1990)409-412)
甲第3号証 Tohru Ishitani他「Micromachining and Device Transplantation Using Focused Ion Beam[集束イオンビームを使用するマイクロマシニング及びデバイス移植]」(Japanese Journal of Applied Physics,Vol.29,No.10,October,1990,pp.2283-2287)
甲第4号証 K.Nikawa他「NEW APPLICATIONS OF FOCUSED ION BEAM TECHNIQUE TO FAILURE ANALYSIS AND PROCESS MONITORING OF VLSI[集束イオンビーム技術の故障解析への新用途及びVLSIのプロセスモニタリング]」(1989 International Reliability Physics Symposium,43-52)
甲第5号証 特開平2-15648号公報
甲第6号証 特開平2-152155号公報
甲第7号証 特開平1-187826号公報
甲第8号証 脇田 稔他著「SEM内における顕微解剖(微少解剖法)」(細胞、株式会社ニューサイエンス社、20、(7),1988,(267)31?36(272))
甲第9号証 K.URA and H.FUJIOKA著「ADVANCES IN ELECTRONICS AND ELECTRON PHYSICS,VOL.73」(Academic Press,Inc.、1989、246頁?247頁)

(3)証拠等の記載
(3-1)甲第1号証:特開平2-294644号公報
請求人が提出した本件特許の出願日前に頒布された甲第1号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(甲1-1)「2.特許請求の範囲
1.予め製作しておいた移植デバイスを試料の所望場所に運搬する運搬工程と、集束ビームを利用した試料及びデバイスの観察・加工手段によりデバイスと試料との少なくとも電気的または機械的接続を行う加工工程とを含んでなることを特徴とするデバイス移植方法。
2.上記の加工工程は、上記の集束ビームとして集束イオンビーム(以下FIBと略記する)を用い、該FIBの偏向走査に同期して検出した二次荷電粒子信号により試料及びデバイスの像観察を行い、少なくともFIB照射によるスパッタリング現象を利用したエッチング加工あるいは再付着膜堆積加工、あるいはガス雰囲気中でのFIB照射による堆積現象を利用した加工を行うことからなることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のデバイス移植方法。
・・・
6.上記の運搬工程は、試料を搭載したステージ機構と、予め作製しておいたデバイスを保持して移送するマニピュレーターとを組合せ使用することにより、試料の任意場所にデバイスを運搬することからなることを特徴とする特許請求の範囲第1項から第5項のいずれかに記載のデバイス移植方法。
7.上記の運搬工程は、集束ビームの照射により切断可能な細いアームを介して移植すべきデバイスを上記マニピュレータに保持させた状態で運搬することであることを特徴とする特許請求の範囲第6項記載のデバイス移植方法。」

(甲1-2)「【産業上の利用分野】
本発明は集束ビームを用いてデバイスを移植する方法に関し、とくに大規模集積回路などのマイクロエレクトロニクス製品やマイクロ光学製品やマイクロメカニクス製品等のマイクロデバイス製品全般における構成部品(マイクロデバイス部品)の補修や交換を可能にするデバイス移植方法に関する。」(3頁左上欄8?15行)

(甲1-3)「第2図は本発明の実施例で用いたFIB装置の基本構成図である。液体金属イオン源100から放出したイオンビーム1はコンデンサーレンズ101と対物レンズ106により試料200上に集束する。上記両レンズ間には、アパーチャー102,アライナー・スティグマ103,プラン力ー104,デフレクタ105が配されている。試料200は2軸(X,Y)方向に移動可能なステージ111上に固定されている。ガス源110から発生したガスはガスノズル108によりFIB照射部近傍に導かれる。FIB照射により試料から発生した二次電子は、二次電子検出器107により検出され、この二次電子検出信号をイオンビーム1の偏向制御と同期させて走査されるCRTディスプレイ400の輝度信号として用いることによりCRT画面上にSIM像として表示される。3軸(X,Y,Z)マニピュレータ109はこの装置の最も特徴的な部分であり移植したいデバイス部品を試料の所望場所に運搬する役割を果たす。」(4頁左上欄3行?右上欄2行)

(甲1-4)「移植テバイス5はデバイス・フレームキャリア6に細いアーム21を介して固定されている。このフレーム6は第2図中の3軸マニピュレーター109によって保持されている。従って、マニピュレーター109及びステージ111を駆動することで、移植デバイス5を所望場所(ここでは落とし込み穴4)上に運搬することができる。」(4頁左下欄最下行?右下欄7行)

(甲1-5)「デボ膜7を各電極11,12,13に接続すると共にコンタクトホール2を介して各配線パターン10にコンタクトさせて、移植デバイス5と配線パターン10との電気的接続を行なう。かくして全補修工程を完了した。」(4頁右下欄14?18行)

(甲1-6)「基板上での移植場所及び基板面に対する移植方向を変更したい場合には、フレームキャリア6のアーム21と移植デバイスとを両者間に堆積膜を形成することにより再び機械的に接続し、ついで移植デバイスを基板に密着させている堆積膜7をFIB照射によるスパッタリングにより除去せしめることにより、再びマニピュレーターによる移植デバイスの移動を可能とし、再度基板上の新しい位置での新しい向きでの移植を行うことができる。
上記実施例は、微細なデバイスを試料上の任意の場所に任意の向きに移植できることを示しており、例えば、検出すべき物理量を電気信号に変換して検出するセンサー素子を測定用プローブの先端に移植せしめたり、直接被測定試料上の測定点近傍に移植せしめることが可能となるため、被測定試料上の物理量の測定精度及び検出感度の向上が期待できる。」(6頁右上欄18行?左下欄15行)

(3-2)甲第2号証: R.J.Young他「GAS-ASSISTED FOCUSED ION BEAM ETCHING FOR MICROFABRICATION AND INSPECTION[微細加工及び検査のためのガスアシスト集束イオンビームエッチング]」(Microelectronic Engineering 11(1990)409-412)
請求人が提出した本件特許の出願日前に頒布された甲第2号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(甲2-1)「 At lower currents , smooth etching of features without the use of a patterned resist mask can be performed , to produce , for example , gratings or wires .Fig.2 shows a set of free-standeing wires of triangular cross-section formed by a two-step etching process . Firstly , a series of grooves are etched onto a specimen which has been tilted at 45゜to the ion beam direction using GAE . The etching is then repeated with the specimen rotated by 180゜to leave free-standing wires between the sets of grooves.[当審訳: 低電流の場合では、例えば、格子又はワイヤを作製するために、パターン化されたレジストマスクを使用せずに、構造の滑らかなエッチングを実施することが可能である。図2は,2段階のエッチングプロセスよって形成された三角形の断面の独立したワイヤのセットを示す。まず、GAEを使用して、イオンビームの方向に対して45度で傾けられた試料の上に、溝の列がエッチングされる。次いで、試料を180°回転させてエッチングを繰り返すことにより、溝の間に独立のワイヤが作製される。 ]」(411頁 4.Finely Focused Etching 1?6行)

(3-3)甲第3号証: Tohru Ishitani他「Micromachining and Device Transplantation Using Focused Ion Beam[集束イオンビームを使用するマイクロマシニング及びデバイス移植]」(Japanese Journal of Applied Physics,Vol.29,No.10,October,1990,pp.2283-2287)
請求人が提出した本件特許の出願日前に頒布された甲第3号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(甲3-1)「 The last example is a demonstration of 3-dimensional (3-D) micromachining . Figure 4 shows an SEM image of copper needle having two square pillarlike areas . The FIB was used to fabricate these pillars .Their side planes are 20 and 5μm in width , respectively . Two pairs of side planes facing each other were fabricated by rotating a quarter cycle around the needle's axis .[当審訳:最後の例は、3次元(3D)のマイクロマシニングの実証である。図4は、二つの正方形の柱のような領域を有する銅針のSEM画像を示す。FIBはこれらの柱を制作するために使用された。それら柱の側平面の幅は、それぞれ、20μm及び5μmである。二組の向かい合っている側平面は、針の軸を中心に針を4分の1周回転させることによって製作された。]」(2284頁右欄1?7行)

(甲3-2)「§4 . Specifications of FIB Apparatus
Specifications of FIB apparatus for micromachining and device TP are reviewed as follows . ・・・
(2)Sample rotation is required for 3-D micromachining . An electromotor combined with a speed reducer is a typical rotator .
(3)Device manipulation is needed for device TP . A piezoelectric actuator is one of the useful tools .
(4)An FIB assisted - deposition is required for the mechanical or electrical connection between the TP-device and the substrate.[当審訳:§4、FIB装置の仕様
マイクロマシニング及びデバイスTP用のFIB装置の仕様について次のように検討する。 ....
(2)試料の回転が3Dマイクロマシニングにとって必要である。減速装置と組み合わされた電気モーターが典型的な回転器である。
(3)デバイスTPのためにデバイスの操作が必要である。圧電アクチュエーターは役立つツールの一つである。
(4)TP-デバイスと基板の間の機械的又は電気的接続のためにFIBアシスト堆積が必要である。]」(2285頁右欄下から2行?2286頁左欄13行)

(3-4)甲第4号証: K.Nikawa他「NEW APPLICATIONS OF FOCUSED ION BEAM TECHNIQUE TO FAILURE ANALYSIS AND PROCESS MONITORING OF VLSI[集束イオンビーム技術の故障解析への新用途及びVLSIのプロセスモニタリング]」(1989 International Reliability Physics Symposium,43-52)
請求人が提出した本件特許の出願日前に頒布された甲第4号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(甲4-1)「The apparatus used is the SMI8100 focused ion beam system for IC development , manufactured by Seiko Instruments Inc .[1,2] ... A schematic diagram of the system is shown in Fig.2 . ... The sample stage has five axes - X,Y,Z, tilt and rotation . [当審訳:使用された装置は、セイコーインスツル株式会社製のIC開発用SMI8100集束イオンビームシステムである[1,2]。 ... このシステムの模式図を図2に示す。 ... 試料ステージは、X,Y,Z、傾斜及び回転の5つの軸を有している。](43頁右欄3行?44頁左欄15行)

(3-5)甲第5号証: 特開平2-15648号公報
請求人が提出した本件特許の出願日前に頒布された甲第5号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(甲5-1)「位置決めステージ3は、観察試料4を載置し、垂直面内で傾き角を自由に設定できるチルトステージ3a,チルトステージ3aを載置し、水平面内で自由に回転角を設定可能なθステージ3b,θステージ3bを載置し、垂直上下方向に自由に位置を設定可能なZステージ3c,Zステージ3cを載置し、水平面内で一軸方向に任意に位置決め可能なXステージ3dおよび、Xステージ3dと水平面内で直交する方向に任意に位置決め可能なYステージ3eの5軸から構成されている。」(2頁右下欄16行?3頁左上欄5行)

(甲5-2)「真空室1の一部には、微小加工手段として集束イオンビーム加工ユニット7、加工断面観察手段として走査型電子顕微鏡ユニツト8が取付けられている。」(3頁左上欄18行?右上欄1行)

(3-6)甲第6号証: 特開平2-152155号公報
請求人が提出した本件特許の出願日前に頒布された甲第6号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(甲6-1)「イオンビーム電流値を切換える手段を備えた集束イオンビーム鏡筒と、XY移動機構の他に少なくとも傾斜機構を持つ試料ステージと、・・・とを備えて、・・・三つの機能を持つ集束イオンビーム装置」(2頁右上欄17行?左下欄4行)

(3-7)甲第7号証: 特開平1-187826号公報
請求人が提出した本件特許の出願日前に頒布された甲第7号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(甲7-1)「2.特許請求の範囲
(1)試料に集束イオンビームを照射するイオンビーム照射系と、試料をX-Y-Z方向に駆動する試料台、そして、イオンビーム照射位置に金属有機化合物ガスを吹き付けるガス銃と、二次電子検出器を備えたイオンビーム加工装置において、試料上に配置された単数又は複数の深針を、試料室外から自由にX-Y-Z方向に駆動することができることを特徴としたイオンビーム加工装置。」(1頁左下欄4?12行)

(3-8)甲第8号証: 脇田 稔他著「SEM内における顕微解剖(微少解剖法)」(細胞、株式会社ニューサイエンス社、20、(7),1988,(267)31?36(272))
請求人が提出した本件特許の出願日前に頒布された甲第8号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(甲8-1)「SEMにその外部で加えられた力を内部に伝達する装置,通常はマイクロマニピュレータを設備し,マニピュレータの先に解剖器具に相当する先端器具を取り付け,導電染色を施した標本を用いれば実現できる」((267)31頁右欄1?5行)

(甲8-2)「1)先端器具の作製
先端器具は,鋭く,強く,硬く,また導電性を有していなければならない。市販のマニピューレータには,φ1mmのステンレス針が付属している。」((267)31頁右欄下から4?1行)

(3-9)甲第9号証: K.URA and H.FUJIOKA著「ADVANCES IN ELECTRONICS AND ELECTRON PHYSICS,VOL.73」(Academic Press,Inc.、1989、246頁?247頁)
請求人が提出した本件特許の出願日前に頒布された甲第9号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(甲9-1)「 Drake et al . (1986)tested short /open of a liquid crystal display matrix on an insulator substrate , where a conventional SEM was used to charge and probe the device .[当審訳:ドレーク等(1986年)は、絶縁体基板上の液晶ディスプレイ・マトリックスの短絡/開放の試験をしたが、そこでは,従来のSEMが装置を充電して、調査するのに用いられた。]」(246頁1?3行)

(甲9-2)「 The electron beam is an excellent probe because of its high impedance ; this , however , is a disadvantage in the case of the current feeding . A fine mechanical current feeder which is fundamentally the same as a mechanical probe has low source impedance . It requires high skill to exactly touch the feeder on the aimed electrode . If this is carried out in a SEM observing the voltage contrast , the difficulty can be removed drastically . This technique has been proved very effective in failure analysis(Wolfgang , 1983).[当審訳:電子ビームはそれ自体が高いインピーダンスを有するので優れたプローブであるが、電流を給電する場合には不利益となる。機械式プローブと基本的に同じであるすぐれた機械式電流フィーダーは、低いソース・インピーダンスを有する。目的とする電極にフィーダーを正確に接触させるためには高い技能を有する。もし、これが電圧負荷を観測するSEMで実行されるならば、困難は大幅に取り除かれることができます。この技術は、故障の分析に非常に効果的であるということが証明された(ウルフギャング1983年)。](246頁 3.Mechanical Current Feeder and Votage Contrast 1行?247頁5行)

第4 被請求人の主張及び証拠
(1)被請求人の主張
本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担するとの審決を求め、答弁書、口頭審理(口頭審理陳述要領書及び第1回口頭審理調書を含む)において、下記「(2)証拠方法」に示した証拠を提出して、本件特許発明は、請求人の提出した甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許が受けることができないものではなく、本件特許に無効理由は存在しない。

(2)証拠方法
乙第1号証 :「半導体超格子入門」,p204?207,株式会社培風館 1990年6月30日発行
乙第2号証 :「精密工学会誌 Vol.67,2001年12月号」の「2001年度(第21回)精密工学会技術賞受賞業績の紹介」欄の「10μmレベルの微小片を直接摘出する電子顕微鏡用マイクロサンプリング技術の開発」,社団法人精密工学会 平成13年(2001年)12月5日発行
乙第3号証 :「先端計測技術分野 科学技術・研究開発の国際比較 2008年版」,p88?89,独立行政法人 科学技術振興機構 研究開発戦略センター 平成20年(2000年)2月発行
乙第4号証 :「月刊Semiconductor World 1987.9」掲載の論文『FIBを用いたVLSIの新しい評価/解析技術』,p27?32,株式会社プレスジャーナル 昭和62年8月20日発行

第5 当審の判断
(1)本件発明
本件無効審判請求の対象となった請求項1に係る発明(本件発明)は、その特許請求の範囲からみて、次の技術的事項により特定されるものである。

「【請求項1】 試料の表面に対し、少なくとも2つの異なる角度の方向からイオンビームを照射して前記試料の一部を、前記イオンビームの照射により分離する方法であり、前記試料の一部を分離する前に、前記試料の一部を前記試料を支持するためのプローブで支持することを特徴とする試料の分離方法。」

(2)甲第1号証記載の発明
上記摘記事項(甲1-1)?(甲1-6)の記載を参照すると、甲第1号証には、
「移植デバイスを基板に密着させている堆積膜7に集束イオンビームを照射して、堆積膜7を除去せしめることにより、基板上での移植デバイスを移動可能とする方法であって、
基板上での移植デバイスの移植場所及び基板面に対する移植方向を変更したい場合には、フレームキャリア6のアーム21と移植デバイスとを両者間に堆積膜を形成することにより再び機械的に接続して、基板上での移植デバイスを移動可能とする方法。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

(3)本件発明と引用発明との対比
(i)上記甲第1号証の摘記事項(甲1-6)に「基板上での移植場所及び基板面に対する移植方向を変更したい場合には・・・移植デバイスの移動を可能とし、再度基板上の新しい位置での新しい向きでの移植を行うことができる。上記実施例は、微細なデバイスを試料上の任意の場所に任意の向きに移植できる」と記載されていることから、引用発明の「基板」が「試料」であることは明らかである。
そして、本件発明の「試料の一部」は試料を構成する部品であり、試料に関係する部品であるいえる。また、上記甲第1号証の摘記事項(甲1-2)に「本発明は集束ビームを用いてデバイスを移植する方法に関し、とくに大規模集積回路などのマイクロエレクトロニクス製品やマイクロ光学製品やマイクロメカニクス製品等のマイクロデバイス製品全般における構成部品(マイクロデバイス部品)の補修や交換を可能にするデバイス移植方法に関する。」と記載されていることから、引用発明の「移植デバイス」は、基板上、すなわち、試料上に移植されるデバイスであるから、試料に関係する部品であるといえる。
よって、引用発明の「移植デバイスを基板に密着させている堆積膜7に集束イオンビームを照射して、堆積膜7を除去せしめることにより、基板上での移植デバイスを移動可能とする方法」と本件発明の「試料の表面に対し、少なくとも2つの異なる角度の方向からイオンビームを照射して前記試料の一部を、前記イオンビームの照射により分離する方法」とは、「イオンビームを照射して試料に関係する部品を、前記イオンビームの照射により分離する方法」である点で共通する。

(ii)引用発明の「フレームキャリア6のアーム21」は、基板上での移植デバイスの移植場所及び基板面に対する移植方向を変更したい場合には、移植デバイスと再び機械的に接続されて、基板上での移植デバイスを移動可能とすることから、試料に関係する部品を支持するためのプローブの機能の有することは自明な事項である。
また、本件明細書の特許請求の範囲の請求項11には「試料の表面に対し、少なくとも2つの異なる角度の方向からイオンビームを照射して前記試料の一部を、前記イオンビームの照射により分離して分析する方法であり、前記試料の一部を分離する前に、外部から導入されたプローブを、分離される前記一部に接続し、前記試料の一部を支持し、この支持状態で、更に、二次イオン分析法で分離した前記試料の成分情報を得ることを特徴とする分析方法。」(下線は、当審で付与したものである。以下、同様である。)と記載され、さらに、段落【0016】には「・・・(f) FIB1で残りの部分を切欠き加工し、試料2から分離試料9を切り出す。切り出された分離試料9は、接続されたプローブ31で支持された状態になる。・・・」と記載されていることから、本件発明の「前記試料の一部を前記試料を支持するためのプローブで支持する」ことが、「前記試料の一部を前記試料」「の一部」「を支持するためのプローブで支持する」ことを意味することは明らかである。
よって、引用発明の「基板上での移植デバイスの移植場所及び基板面に対する移植方向を変更したい場合には、フレームキャリア6のアーム21と移植デバイスとを両者間に堆積膜を形成することにより再び機械的に接続」することと、本件発明の「前記試料の一部を分離する前に、前記試料の一部を前記試料を支持するためのプローブで支持する」こととは、「前記試料に関係する部品を分離する前に、前記試料に関係する部品を前記試料に関係する部品を支持するためのプローブで支持する」点で共通する。

(iii)引用発明の「基板上での移植デバイスを移動可能とする方法」と本件発明の「試料の分離方法」とは、「試料に関係する部品の分離方法」である点で共通する。

そうすると、本件発明と引用発明とは
「イオンビームを照射して試料に関係する部品を、前記イオンビームの照射により分離する方法であって、
前記試料に関係する部品を分離する前に、前記試料に関係する部品を前記試料に関係する部品を支持するためのプローブで支持する試料に関係する部品の分離方法。」
である点で一致し、次の相違点(あ)及び相違点(い)で相違する。

・相違点(あ)
本件発明では、試料に関係する部品が「試料の一部」であり、試料に関係する部品の分離方法が「試料の分離方法」であるのに対して、引用発明では試料に関係する部品が「移植デバイス」であり、試料に関係する部品の分離方法が「基板上での移植デバイスを移動可能とする方法」である点。

・相違点(い)
イオンビームを照射して試料に関係する部品を、前記イオンビームの照射により分離することが、本件発明では、「試料の表面に対し、少なくとも2つの異なる角度の方向からイオンビームを照射して前記試料の一部を、前記イオンビームの照射により分離する」ことであるのに対して、引用発明では、移植デバイスを基板に密着させている堆積膜7に集束イオンビームを照射して、堆積膜7を除去せしめることにより、基板上での移植デバイスを移動可能とする点。

(4)相違点の検討・判断
(4-1)相違点(あ)について
上記甲第1号証の摘記事項(甲1-4)には「移植テバイス5はデバイス・フレームキャリア6に細いアーム21を介して固定されている。」と記載され、さらに摘記事項(甲1-6)には、「基板上での移植場所及び基板面に対する移植方向を変更したい場合には、フレームキャリア6のアーム21と移植デバイスとを両者間に堆積膜を形成することにより再び機械的に接続し」と記載されていることから、引用発明の基板上での移植デバイスの移植場所及び基板面に対する移植方向を変更したい場合の移植デバイスは、元々、基板上に配置されていたデバイスではなく、デバイス・フレームキャリア6に細いアーム21を介して固定されていた移植デバイスを新たに基板に移植されたデバイスである。そして、上記甲第1号証には、移植デバイスが基板、すなわち、試料を構成するとは記載も示唆もされていない。
また、広辞苑(第5版)によれば、「試料」とは「試験・検査・分析などに供する物質や生物」と記載されており、さらに、甲第1号証の摘記事項(甲1-6)には「上記実施例は、微細なデバイスを試料上の任意の場所に任意の向きに移植できることを示しており、例えば、検出すべき物理量を電気信号に変換して検出するセンサー素子を測定用プローブの先端に移植せしめたり、直接被測定試料上の測定点近傍に移植せしめることが可能となるため、被測定試料上の物理量の測定精度及び検出感度の向上が期待できる。」と記載されている。そうすると、引用発明の移植テバイスは、被測定試料を試験・検査・分析するときに使用される移植デバイスであり、試験・検査・分析などに供する物質や生物ではないから、本件発明のごとく、移植デバイスは、基板、すなわち試料の一部とはなり得ないものである。
さらに、甲第2号証?甲第9号証のいずれの証拠にも、本件発明のごとく、試料に関係する部品が「前記試料の一部」であり、試料に関係する部品の分離方法が「試料の分離方法」であるように構成することは記載も、示唆もされていない。
よって、引用発明の試料に関係する部品である「移植デバイス」が「試料の一部」とはなり得ないから、引用発明の試料に関係する部品の分離方法である「基板上での移植デバイスを移動可能とする方法」が「試料の分離方法」とはなり得ることはないし、さらに、甲第2号証?甲第9号証のいずれの証拠からも、試料に関係する部品が「前記試料の一部」であり、試料に関係する部品の分離方法が「試料の分離方法」である構成を得ることはできない。

なお、請求人は、口頭審理陳述要領書の4頁8?14行において、「引用発明1の試料200上に固定された移植デバイス5を分離する方法において、分離方法を実施する対象となるのは『移植デバイスが移植(固定)された試料200』であるから、『移植デバイスが移植(固定)された試料200』全体が引用発明1の分離方法における『試料』に相当するのである。そして、引用発明1の分離方法によって『移植デバイスが移植(固定)された試料200』から分離された『移植デバイス』は、『試料の一部』に相当するのである。」と主張している。
しかしながら、上記「(4-1)相違点(あ)について)」において検討したように、甲第1号証には、移植デバイスが、基板、すなわち、試料を構成するとは記載も示唆もされていないし、さらに、引用発明の移植テバイスは、被測定試料を試験・検査・分析するときに使用される移植デバイスであって、試験・検査・分析などに供する物質や生物ではないから、本件発明のごとく、移植デバイスは、基板、すなわち試料の一部とはなり得ないものであり、請求人の主張は採用できないものである。
また、請求人は、口頭審理陳述要領書の9頁12?18行において、「なお、被請求人は、『試料の一部(分析対象を含む微小部分)』と記載して、試料の一部が『分析対象を含む微小部分』に限定されているかのように表現しているが、本件特許の明細書の『図6(a)?(b)は、本発明による分離方法を、トランジスタ素子の移植方法に利用する実施例を説明するための工程図である。』(【0022】)(強調付加)という記載から明らかなとおり、分離対象の『試料の一部』は、『移植用のトランジスタ素子』なども含むものであり、『分析対象を含む微小部分』に限定されないのである。」とも主張している。
しかしながら、本件特許の明細書には、「【0007】本発明の目的は、集積回路チップや半導体ウェハー内の任意の点を分析する際に、チップやウェハーを割らずに当該分析部分のみを取出すことができ、また取出した試料を任意の方向から分析することができ、更に分析のための全所要時間を短くすることができる試料の分離方法、及びこの試料の分離方法を利用した分析方法を提供することにある。
・・・
【0022】図6(a)?(b)は、本発明による分離方法を、トランジスタ素子の移植方法に利用する実施例を説明するための工程図である。移植しようとするトランジスタ素子は、予め本発明による分離方法を利用してチップから分離しておく。・・・
【0023】(a) 移植先の基板部分に角穴61をFIB加工する。(b) 加工角穴61に、分離試料63(例えばトランジスタ等)をマニピュレータを駆動して運搬し、プローブヘッドをFIBにより切断して分離試料63を角穴61内に残す。・・・」(下線は当審が付与したものである。)と記載されていることから、図6の移植するトランジスタ素子は、分析するために集積回路チップから分離した分離試料63であり、分析するための試料の一部であることは明らかである。
他方、引用発明の移植テバイスは、上記「上記「(4-1)相違点(あ)について)」において検討したように、被測定試料を試験・検査・分析するときに使用される移植デバイスであり、甲第1号証の摘記事項(甲1-4)に記載されているように、デバイス・フレームキャリア6に細いアーム21を介して固定されているものであるから、引用発明の移植テバイス5と、本件特許の明細書に記載されている、集積回路チップから試料の一部として分離し、分析するための分離試料となるトランジスタ素子とは異なるデバイスであることは明らかである。よって、請求人の主張は採用できないものである。

(4-2)相違点(い)について
引用発明の試料に関係する部品である「移植デバイス」が「試料の一部」とはなり得ないし、さらに、甲第2号証?甲第9号証のいずれの証拠からも、試料に関係する部品が「前記試料の一部」である構成を得ることはできないことは、上記「(4-1)相違点(あ)について」において検討したとおりである。さらに、引用発明では、移植デバイスを基板に密着させている堆積膜7に集束イオンビームを照射して、堆積膜7を除去せしめることにより、基板上での移植デバイスを移動可能としているから、基板、すなわち試料の表面に集束イオンビームを照射するのではなく、試料とは異なる堆積膜7の表面に集束イオンビームを照射することになる。
したがって、相違点(い)の構成のうち、本件発明のごとく、「試料の表面に対し、イオンビームを照射して前記試料の一部を、前記イオンビームの照射により分離する」構成は得ることができないことは明らかである。
また、甲第2号証の上記摘記事項(甲2-1)には、イオンビームの方向に対して45度で傾けられた試料の上に、溝の列がエッチングされ、次いで、試料を180°回転させてエッチングを繰り返すことにより、溝の間に独立のワイヤが作製されることが記載されているが、同摘記事項(甲2-1)には、「低電流の場合では、例えば、格子又はワイヤを作製するために、パターン化されたレジストマスクを使用せずに、構造の滑らかなエッチングを実施することが可能である。」と記載されていることから、甲第2号証には、「2つの異なる角度の方向からイオンビームを照射して試料上に格子又はワイヤを作製する」発明が記載されているものの、試料上に作製された格子又はワイヤは試料から完全に分離されたものでない。
さらに、甲第3号証?甲第9号証の上記摘記事項を参照すると、甲第3号証?甲第6号証には、イオンビームを照射する装置において、試料に対し異なる方向からイオンビームを照射することが記載されており、甲第7号証には、単数又は複数の探針を試料室外から自由にX-Y-Z方向に駆動することができるイオンビーム加工装置が記載され、甲第8号証及び甲第9号証には、SEMで使用するマイクロマニュピュレータが記載されているものの、甲第3号証?甲第9号証のいずれにも、試料の表面に対し、少なくとも2つの異なる角度の方向からイオンビームを照射して前記試料の一部を、前記イオンビームの照射により分離することが記載されていないことから、仮に、引用発明の移植デバイス及び堆積膜7が試料の一部であったとしても、移植デバイスを基板に密着させている堆積膜7に集束イオンビームを照射して堆積膜7を除去せしめる際に、堆積膜7に少なくとも2つの異なる角度の方向から集束イオンビームを照射し、基板上での移植デバイスを移動可能することにより、本件発明のごとく、「試料の表面に対し、少なくとも2つの異なる角度の方向からイオンビームを照射して前記試料の一部を、前記イオンビームの照射により分離する」構成を得ることはできない。
また、甲第1号証の摘記事項(甲1-3)には、「試料200は2軸(X,Y)方向に移動可能なステージ111上に固定されている。」ことが記載され、さらに、甲第1号証には、集束イオンビームを照射する方向を異ならせて照射することが記載されていないし、又、示唆もされていないことから、引用発明では、移植デバイスを基板に密着させている堆積膜7に集束イオンビームを照射して、堆積膜7を除去せしめることにより、基板上での移植デバイスを移動可能とする際に、集束イオンビームを1つの方向からのみ照射して堆積膜7を除去しているといえる。
そうすると、仮に、少なくとも2つの異なる角度の方向からイオンビームを照射して前記試料の一部を、前記イオンビームの照射により分離することが周知であったとしても、引用発明では、集束イオンビームを1つの方向からのみ照射して堆積膜7を除去しているのであるから、集束イオンビームを1つの方向からのみ照射して堆積膜7を除去する代わりに、少なくとも2つの異なる角度の方向から集束イオンビームを照射して堆積膜7を除去する構成を採用する動機付けは存在しないことになる。
よって、引用発明の試料に関係する部品である「移植デバイス」が「試料の一部」とはなり得ないし、また、仮に、引用発明の移植デバイス及び堆積膜7が試料の一部であったとしても、甲第2号証?甲第9号証のいずれにも、試料の表面に対し、少なくとも2つの異なる角度の方向からイオンビームを照射して前記試料の一部を、前記イオンビームの照射により分離することが記載されていないことから、本件発明のごとく、「試料の表面に対し、少なくとも2つの異なる角度の方向からイオンビームを照射して前記試料の一部を、前記イオンビームの照射により分離する」構成を得ることはできないものである。
さらに、仮に、少なくとも2つの異なる角度の方向からイオンビームを照射して前記試料の一部を、前記イオンビームの照射により分離することが周知であったとしても、引用発明の集束イオンビームを1つの方向からのみ照射して堆積膜7を除去する構成の代わりに、少なくとも2つの異なる角度の方向から集束イオンビームを照射して堆積膜7を除去する構成を採用する動機付けは存在しないものである。

なお、請求人は、口頭審理陳述要領書の7頁9?14行において、「本件特許出願当時、FIBを用いたマイクロマシニングによって作成されたデバイスをデバイス移植の対象とすることが公知であったことからすれば、引用発明2に開示された2段階のFIBエッチングプロセスによって形成された三角形の断面の独立したワイヤのセットを、デバイス移植の対象とし、引用発明1に開示された分離の対象とすることは当業者にとって容易の想到し得る事項に過ぎないのである。」と主張している。
しかしながら、上記「(4-2)相違点(い)について)」において検討したように、甲第2号証には、「2つの異なる角度の方向からイオンビームを照射して試料上に格子又はワイヤを作製する」発明が記載されているものの、甲第3号証?甲第9号証のいずれにも、試料の表面に対し、少なくとも2つの異なる角度の方向からイオンビームを照射して前記試料の一部を、前記イオンビームの照射により分離することが記載されていないことから、甲第2号証の2つの異なる角度の方向からイオンビームを照射して試料上に作製されたワイヤを分離して取り出すことはできないものである。
そうすると甲第2号証に記載された発明のワイヤのセットを、デバイス移植の対象とすることはできないから、請求人の主張は採用できないものである。
また、請求人は口頭審理において、「一方向からビームを照射して材料を除去した際に、飛び散った材料が再付着層を形成するので、再付着層をさらに除去するために、異なった角度からビームを照射して再付着層を除去する技術は、従来から存在する。」と主張(第1回口頭審理調書を参照)しているが、この従来技術は、一方向からビームを照射して材料を除去した際に、飛び散った材料の再付着層を除去するために、異なった角度からビームを照射する技術であって、本件発明のごとく、少なくとも2つの異なる角度の方向からイオンビームを照射して前記試料の一部を、前記イオンビームの照射により分離する技術ではないから、請求人の主張は採用できないものである。

(5)小括
したがって、本件発明は、相違点(あ)及び相違点(い)について、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明及び周知技術(甲第3号証?甲第9号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、請求人の主張する無効理由によっては、本件発明を無効とすることはできない。


第6 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠によっては、本件発明に係る特許を無効とすることができない。また、本発明に係る特許を無効とすべき他の理由を発見しない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2011-06-17 
出願番号 特願平3-210803
審決分類 P 1 123・ 121- Y (G01N)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 後藤 時男
特許庁審判官 岡田 孝博
石川 太郎
登録日 1998-04-24 
登録番号 特許第2774884号(P2774884)
発明の名称 試料の分離方法及びこの分離方法で得た分離試料の分析方法  
代理人 磯田 志郎  
代理人 安國 忠彦  
代理人 鷺 健志  
代理人 永島 孝明  

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