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審決分類 審判 査定不服 特123条1項5号 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G10K
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G10K
管理番号 1265548
審判番号 不服2011-16799  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-04 
確定日 2012-10-31 
事件の表示 特願2006-235322「デジタルオーディオビジュアル情報の記録及び再生のための家庭用機器」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月22日出願公開、特開2007- 47802〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、日本国を指定国とする国際出願である平成8年特許願第512988号(優先権主張:平成6年10月12日(仏国))の分割出願として平成18年8月31日に出願されたものであって、平成22年9月2日付け拒絶理由通知に応答して平成23年3月7日付けで手続補正書が提出されたが平成23年3月31日に拒絶査定がされ、これに対して平成23年8月4日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
審判合議体は、平成23年3月7日付け手続補正書による補正により生じた新たな拒絶理由として、平成23年11月7日付けで特許法第17条の2第3項、及び第36条に基づく最後の拒絶理由を通知した。
これに対して平成24年5月8日付けで手続補正書が提出されている。

第2 平成24年5月8日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成24年5月8日付けの補正を却下する。

[理由]

1.当該補正後の特許請求の範囲

当該補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりのものである。
(以下、補正請求項1とする。)

【補正請求項1】
デジタルオーディオビジュアル情報を記録及び再生する家庭用の機器を操作する方法であって、該機器が、マルチタスクオペレーティングシステムを用いる中央処理装置によって管理される一組の電子回路を有しており、
ユーザが選択可能なシステム操作オプションを持つメニューを表示すること、
再生するための所望のオーディオビジュアル情報の選択を可能とすること、
所望のオーディオビジュアル情報の支払を行わせること、
ユーザ個人の識別番号を入力させること、
正しい個人の識別番号が与えられ、支払いが行われた後にのみ、メインサーバから、圧縮されたフォーマットで保存されている所望のオーディオビジュアル情報をダウンロードすること、及び
オーディオビジュアル情報をダウンロードして再生する間に該オーディオビジュアル情報を圧縮解除するため、前記マルチタスクオペレーティングシステムを用いることを備えており、
ダウンロードされて再生される間に圧縮解除される音声データが、特定の第1のバッファに記憶されたものであり、ダウンロードされて再生される間に圧縮解除されるビデオデータが、特定の第2のバッファに記憶されたものである、前記方法。

2. 当該補正前の特許請求の範囲

これに対し、当該補正前の特許請求の範囲の記載は、特許請求の範囲を平成23年3月7日付けで補正したものであって、その請求項1から13は以下の通りである。

【請求項1】
デジタルオーディオビジュアル情報を記録及び再生する家庭用の機器を操作する方法であって、該機器が、マルチタスクオペレーティングシステムを用いる中央処理装置によって管理される一組の電子回路を有しており、
ユーザが選択可能なシステム操作オプションを持つメニューを表示すること、
再生するための所望のオーディオビジュアル情報の選択を可能とすること、
所望のオーディオビジュアル情報の支払を行わせること、
ユーザ個人の識別番号を入力させること、
正しい個人の識別番号が与えられ、支払いが行われた後にのみ、メインサーバから、圧縮されたフォーマットで保存されている所望のオーディオビジュアル情報をダウンロードすること、及び
前記ダウンロードする段階中にオーディオビジュアル情報を圧縮解除して再生するため、前記マルチタスクオペレーティングシステムを用いることを備えており、
前記ダウンロードする段階中に圧縮解除されて再生される音声データが、特定の第1のバッファに記憶されたものであり、前記ダウンロードする段階中に圧縮解除されて再生されるビデオデータが、特定の第2のバッファに記憶されたものである、前記方法。
【請求項2】
前記表示する段階が、少なくとも二つのモード、すなわち、所望のオーディオビジュアル情報がディスプレイ装置及びオーディオ再生構造体の少なくとも一方を用いて再生される第1のモード、並びに、通信インターフェースを介して命令された後、デジタルデータがダウンロードされる第2のモード、の内の一つで、操作を行う情報を表示することを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
選択の操作モードが、サーバからのダウンロードを可能にする通信リンクを制御し、該選択の操作モードは、ユーザが、個人の識別番号を与えることによって、支払いを行い、一つ又は複数の選択の組を確認した時点で、初めて確立される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
メインサーバからの所望のオーディオビジュアル情報のダウンロードが、オーディオビジュアル情報の再生中に行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
メインサーバからの所望のオーディオビジュアル情報のダウンロードが、拡張コネクタ(116)によって拡張制御カード(107)を介して機器の一組の電子回路に接続された追加の記録モジュール(109)において行われ、前記所望のオーディオビジュアル情報は、追加の記録モジュール(109)により、持ち運び可能な記録媒体に記録される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
デジタルオーディオビジュアル情報を記録及び再生する家庭用の機器であって、
中央装置(106)と、
中央装置(106)によって管理され、第1のコネクタ(118)に連結された通信インターフェースと、
複数の制御ボタン、及びリモートコントロール(101)から生じる赤外線又は音声放射のセンサ(13)を管理する入力制御電子回路(105)と、
赤外線又は音声波の放射源(101)と、
第2のコネクタ(116)に接続されている拡張制御電子回路(107)と、
ステレオシステム用のオーディオ出力コネクタ(112)に連結され、かつ、二つのバッファ(1101、1102)に連結されたオーディオ制御電子回路(110)と、
ビデオ周辺機器のコネクタ(114、115)に連結され、かつ、二つのバッファ(1111、1112)に連結されたビデオ制御電子回路(111)とを含んでおり、
一組の電子制御器が、マルチタスクオペレーティングシステムと中央装置(106)の一部である不揮発性記憶装置に保存されたコンピュータ操作プログラムとを使用する中央装置(106)によって管理されており、前記不揮発性記憶装置が、デジタルオーディオビジュアルデータの少なくとも一つの選択を保存し、グラフィック制御回路(120)が液晶ディスプレイ装置(12)を制御し、
制御ボタンが、液晶ディスプレイ装置(12)に表示される情報を介して、機器が、不揮発性記憶装置に保存されたデジタルオーディオビジュアルデータを、オーディオ出力コネクタ(112)及び/又はビデオ周辺機器(114、115)と接続して、再生手段上に再生するか、又は、機器が、不揮発性記憶装置に新たなデジタルオーディオビジュアルデータを保存することを可能にするか、のいずれか一つの動作モードを選ぶことを可能にする、前記機器。
【請求項7】
追加の記録モジュール(109)が、拡張コネクタ(116)により、拡張制御カード(107)を介して、機器の一組の電子制御器に接続されており、記録メニューが、機器の特定のボタンを使って選択され、該記録メニューが、所望のオーディオビジュアル情報を、追加の記録モジュール(109)により、持ち運び可能な記録媒体に記録することを可能にする、請求項6に記載のデジタルオーディオビジュアル情報を記録及び再生する家庭用の機器。
【請求項8】
オーディオビジュアル情報の記録が別の機器での読取りに使用することができるように、追加の記録モジュール(109)が、少なくとも光磁気ミニディスク又は別の持ち運び可能な媒体からなる、請求項7に記載のデジタルオーディオビジュアル情報を記録及び再生する家庭用の機器。
【請求項9】
複数のデジタル化されたオーディオビジュアルデータを保存する記憶モジュール(108)を更に備えている、請求項6から8のいずれか一項に記載のデジタルオーディオビジュアル情報を記録及び再生する家庭用の機器。
【請求項10】
オーディオビジュアル情報が圧縮されたデータフォーマットで機器に保存される、請求項6から9のいずれか一項に記載のデジタルオーディオビジュアル情報を記録及び再生する家庭用の機器。
【請求項11】
オーディオビジュアル情報が、ハイファイ品質及びコンパクトディスク品質のいずれかを有するフォーマットで機器に保存される、請求項6から10のいずれか一項に記載のデジタルオーディオビジュアル情報を記録及び再生する家庭用の機器。
【請求項12】
接続されたビデオ周辺機器がテレビ受像機である、請求項6から11のいずれか一項に記載のデジタルオーディオビジュアル情報を記録及び再生する家庭用の機器。
【請求項13】
所望のオーディオビジュアル情報についての支払手段を更に備える、請求項6から12のいずれか一項に記載のデジタルオーディオビジュアル情報を記録及び再生する家庭用の機器。

3. 本件補正の適否

本件補正は、補正前の
「 前記ダウンロードする段階中にオーディオビジュアル情報を圧縮解除して再生するため、前記マルチタスクオペレーティングシステムを用いることを備えており、
前記ダウンロードする段階中に圧縮解除されて再生される音声データが、特定の第1のバッファに記憶されたものであり、前記ダウンロードする段階中に圧縮解除されて再生されるビデオデータが、特定の第2のバッファに記憶されたものである、前記方法。」
なる記載を、
「 オーディオビジュアル情報をダウンロードして再生する間に該オーディオビジュアル情報を圧縮解除するため、前記マルチタスクオペレーティングシステムを用いることを備えており、
ダウンロードされて再生される間に圧縮解除される音声データが、特定の第1のバッファに記憶されたものであり、ダウンロードされて再生される間に圧縮解除されるビデオデータが、特定の第2のバッファに記憶されたものである、前記方法。」
とするものである。

そこで、当該補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合するものであるかを検討する。

審判請求人は、手続補正書と同日付で提出された意見書において、次の意見を述べている。

「2.特許法第17条の2第3項違反(理由1)について
(1)拒絶の理由1の指摘は、要するに、補正された請求項1における「ダウンロードする段階中に圧縮解除することは願書に最初に添付した明細書又は図面には記載されていない新規事項である」というものである。
(2)本願の出願人は、上記指摘を受け、前回の手続補正書による補正後の請求項1中「前記ダウンロードする段階中にオーディオビジュアル情報を圧縮解除して再生するため、前記マルチタスクオペレーティングシステムを用いることを備えており」との記載、これに続く「前記ダウンロードする段階中に圧縮解除されて再生される音声データが、特定の第1のバッファに記憶されたものであり、前記ダウンロードする段階中に圧縮解除されて再生されるビデオデータが、特定の第2のバッファに記憶されたものである」との記載を、本意見書と同日付けの手続補正書により、「オーディオビジュアル情報をダウンロードして再生する間に該オーディオビジュアル情報を圧縮解除するため、前記マルチタスクオペレーティングシステムを用いることを備えており、ダウンロードされて再生される間に圧縮解除される音声データが、特定の第1のバッファに記憶されたものであり、ダウンロードされて再生される間に圧縮解除されるビデオデータが、特定の第2のバッファに記憶されたものである」のように表現を見直す補正をした。
かかる補正は、例えば、出願当初明細書の段落[0087]第1文及び第2文の「オーディオ及びビデオのデジタル情報は、標準圧縮されたフォーマットによって保存される。それらの情報は、再生時に圧縮が解除される」との記載、更にまた、段落[0009]の「また別の目的は、遠隔ロードされるオーディオデジタル情報またはビジュアルデジタル情報あるいはまたオーディオビジュアルデジタル情報のセレクションを行ない、その一方で、すでに自宅にあるビデオ及びオーディオシステム上でこれらの情報を復元することができる機器を提案することにある」との記載、に基づいたものである。
(3)すなわち、上記段落[0009]の記載から、ダウンロードの段階がオーディオビジュアル情報の再生中に実行されるものであることが、分かるはずである。又、段落[0087]第1文及び第2文の記載からは、デジタルビデオ及びオーディオデータが再生中に圧縮解除されることが、分かる。
そして、このことは、明細書の段落[0035]の「個々に説明されたあらゆるモジュールが連続的に使用できるように見えるとしても、実際には、モジュールの特定のタスクが、『マルチタスク』操作システムを利用する環境中で同時に実行されるという点に留意することが重要である」との記載により、裏付けられ(念押しされ)ている。
これらの結果として、当業者であれば、ダウンロードの段階もまた、ビデオ及びオーディオデータの圧縮解除(解凍)時に実施されることを、容易に理解するはずである。
(4)このように、今回の手続補正書により補正された後の請求項1における補正の内容は、出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に明示された、あるいは、それらの記載から自明な事項であり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。」

当該意見自体は正しい主張である。

しかしながら、請求項1についての当該補正は、補正前の請求項1において、「 前記ダウンロードする段階中にオーディオビジュアル情報を圧縮解除して」
「前記ダウンロードする段階中に圧縮解除されて再生される音声データ」
「前記ダウンロードする段階中に圧縮解除されて再生されるビデオデータ」
とあったものを、
「オーディオビジュアル情報をダウンロードして再生する間に該オーディオビジュアル情報を圧縮解除する」
「ダウンロードされて再生される間に圧縮解除される音声データ」
「ダウンロードされて再生される間に圧縮解除されるビデオデータ」
と夫々補正するものであって、これは、「オーディオビジュアル情報」「音声データ」「ビデオデータ」が、補正前に「ダウンロードする段階中に圧縮解除」されるものであったものを、「再生される間に圧縮解除される」ものであるとする補正である。

この補正は、データが圧縮解除されるタイミングを「ダウンロードする段階中」から「再生する間」に変更するものに他ならない。

そうすると、最後の拒絶理由通知に対する補正は、特許法第17条の2第1項第3号に該当し、その場合は同条第4項に規定する以下の事項を目的とするものに限られるところ、当該補正は、その何れにも該当しないことは明らかである。
一)第36条第5項に規定する請求項の削除
二)特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)
三 )誤記の訂正
四 )明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について

1.本願発明の認定

平成24年5月8日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成23年3月7日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1から請求項13までに記載した事項により特定されるものである。
そのうち、請求項1に係る発明は、下記のとおりである。

【請求項1】
デジタルオーディオビジュアル情報を記録及び再生する家庭用の機器を操作する方法であって、該機器が、マルチタスクオペレーティングシステムを用いる中央処理装置によって管理される一組の電子回路を有しており、
ユーザが選択可能なシステム操作オプションを持つメニューを表示すること、
再生するための所望のオーディオビジュアル情報の選択を可能とすること、
所望のオーディオビジュアル情報の支払を行わせること、
ユーザ個人の識別番号を入力させること、
正しい個人の識別番号が与えられ、支払いが行われた後にのみ、メインサーバから、圧縮されたフォーマットで保存されている所望のオーディオビジュアル情報をダウンロードすること、及び
前記ダウンロードする段階中にオーディオビジュアル情報を圧縮解除して再生するため
、前記マルチタスクオペレーティングシステムを用いることを備えており、
前記ダウンロードする段階中に圧縮解除されて再生される音声データが、特定の第1のバッファに記憶されたものであり、前記ダウンロードする段階中に圧縮解除されて再生されるビデオデータが、特定の第2のバッファに記憶されたものである、前記方法。
(再掲)

2.平成23年11月7日付け拒絶理由

審判合議体が平成23年11月7日付けで通知した拒絶理由は以下のとおりである。

「 <<< 最後理由 >>>
[理由1]
平成23年3月7日付け手続補正書により補正された請求項1の記載事項は、下記の理由により、願書に最初に添付した明細書、又は図面に記載した事項の範囲内のものではないから、特許法第17条の2第3項の規定を満たすものではない。



補正された請求項1には「前記ダウンロードする段階中にオーディオビジュアル情報を圧縮解除して再生するため、前記マルチタスクオペレーティングシステムを用いることを備えており、」とあるが、願書に最初に添付した明細書の段落【0087】には、「オーディオ及びビデオのデジタル情報は、標準圧縮されたフォーマットによって保存される。それらの情報は、再生時に圧縮が解除される。このことは、メモリスペースの使用を最小限にとどめ、サーバーセンターへの転送時間を短縮することを目的としている。」と記載されており、ダウンロードする段階中に圧縮解除することは願書に最初に添付した明細書又は図面には記載されていない新規事項である。
([理由2]以下の掲載を省略) 」

3.判断

平成24年5月8日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、特許請求の範囲の請求項1、4、5に記載されたは本願発明は、依然として、願書に最初に貼付した明細書又は図面に記載された範囲内の事項ではない。

審判請求人は、平成24年5月8日付け提出の意見書において、
「【意見の内容】
1.拒絶理由の内容
本願は、平成23年3月7日付け手続補正書(以下「前回の手続補正書」と略称)により補正された請求項1の記載事項が、記中の理由により、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものではないから、特許法第17条の2第3項の規定を満たすものではなく(理由1)、加えて、明細書及び図面の記載が記中指摘の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない(理由2)、との拒絶理由の通知を受けたものである。
本願の出願人は、上記拒絶理由に鑑み、本意見書と同日付けの手続補正書により特許請求の範囲を補正すると共に、以下に本願はこれを特許すべきであるとする意見を申述する。」
とした上で、手続補正書を提出したものである。
当該意見書の内容は、上記したように「(4)このように、今回の手続補正書により補正された後の請求項1における補正の内容は、出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に明示された、あるいは、それらの記載から自明な事項であり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。」というものであり、平成24年5月8日付けの手続補正に係る内容が新規事項でないことを述べているにとどまり、審判請求人は、平成23年3月7日付け手続補正に係る内容が当初明細書等に記載した事項の範囲内であることを何ら示していない。

したがって、平成23年3月7日付けでした手続補正は、願書の最初に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえないから、本件出願は平成23年11月7日付け拒絶理由により、特許法第49条第1号の規定に基づき拒絶査定すべきものである。

第4. むすび

以上のとおりであるから、原査定を取り消す、本願は特許すべきであるとの審決を求めるとした審判請求は、これを認めることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-06-04 
結審通知日 2012-06-05 
審決日 2012-06-19 
出願番号 特願2006-235322(P2006-235322)
審決分類 P 1 8・ 57- WZ (G10K)
P 1 8・ 54- WZ (G10K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉浦 拓真大野 弘  
特許庁審判長 板橋 通孝
特許庁審判官 吉村 博之
山田 洋一
発明の名称 デジタルオーディオビジュアル情報の記録及び再生のための家庭用機器  
代理人 特許業務法人川口國際特許事務所  

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