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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200680054 審決 特許

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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  A63F
審判 一部無効 1項2号公然実施  A63F
審判 一部無効 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  A63F
管理番号 1267250
審判番号 無効2007-800167  
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-08-18 
確定日 2012-11-16 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3069092号「遊技機」の特許無効審判事件についてされた平成21年12月15日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の決定(平成22年行(ケ)10023号及び平成22年行(ケ)10041号、平成22年6月30日決定)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 特許第3069092号の請求項3、6、7、10及び26ないし28については、平成23年5月11日付けの訂正請求による訂正を認める。 特許第3069092号の請求項9及び25については、平成23年5月11日付けの訂正請求による訂正を認めない。 特許第3069092号の請求項3、6、7及び26ないし28に係る発明についての特許を無効とする。 特許第3069092号の請求項10に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その10分の1を請求人の負担とし、10分の9を被請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
1.本件無効審判請求前の主な経緯
本件特許第3069092号は、特願平9-352171号(以下「P1出願」という。)及び特願平10-243695号(以下「P2出願」といい、P1出願に基づく優先権主張がされている。)に基づく優先権を主張して出願された特願平10-333782号(以下「原出願」といい、P1出願及びP2出願に基づく優先権主張がされている。)の一部を特許法44条1項の規定により新たな出願とした特願平11-160182号(以下「本件出願」といい、P1出願及びP2出願に基づく優先権主張がされている。)の特許であり、P1出願からの主な経緯は次のとおりである。
・平成 9年12月 5日 P1出願
・平成10年 8月28日 P2出願
・平成10年11月25日 原出願
・平成11年 6月 7日 本件出願(特願平11-160182号)
・平成12年 5月19日 設定登録
(特許第3069092号、請求項数24)
・平成13年 1月25日 特許異議申立(異議2001-70271号)
・平成14年 5月 9日 取消理由通知
・平成14年 6月27日 訂正請求
・平成14年 8月 1日 異議決定(訂正を認め、特許維持)

2.本件の主な経緯
・平成19年 8月20日 本件特許無効審判の請求
(対象請求項1?8及び10)
(書面には同月18日の日付が記載されている。)
・平成19年11月 6日 被請求人より答弁書提出
(書面には同月5日の日付が記載されている。)
・平成19年11月28日 無効理由通知
・平成20年 1月 4日 請求人より意見書及び弁駁書提出
(書面には平成19年12月29日の日付が記載されている。)
・平成20年 1月18日 被請求人より意見書及び訂正請求書提出
(書面には同月17日の日付が記載されている。)
・平成20年 2月19日 訂正拒絶理由通知
・平成20年 3月21日 被請求人より証人尋問申立書
及び尋問事項書提出
・平成20年 5月13日 被請求人より上申書提出
・平成20年 5月23日 請求人より上申書提出
(書面には同月21日の日付が記載されている。)
・平成20年 5月30日 請求人より上申書(1)、(2)提出
・平成20年 5月30日 被請求人より口頭審理陳述要領書、
上申書(1)?上申書(6)、
証人尋問申立書及び尋問事項書提出
・平成20年 5月30日 証人尋問及び口頭審理
・平成20年 7月 1日 被請求人より意見書提出
(書面には6月30日の日付が記載されている。)
・平成20年 7月 8日 請求人より意見書提出
(書面には6月30日の日付が記載されている。)
・平成20年10月15日 審決(訂正を認めず、特許無効)
・平成20年11月26日 被請求人による審決取消訴訟の提起
(平成20年(行ケ)10446号)
・平成21年 2月 6日 訂正審判の請求
(訂正2009-390010号)
(平成21年 2月23日付けで訂正拒絶理由が通知されている。)
・平成21年 2月27日 特許法181条2項の規定に基づく決定
(特許庁が無効2007-800167号事件について平成20年10月15日にした審決を取り消す。)
・平成21年 3月 5日 特許法134条の3第2項の規定に基づく
通知書
・平成21年 3月12日 被請求人より上申書提出
・平成21年 3月19日 被請求人より訂正請求書提出
・平成21年 4月30日 請求人より弁駁書提出
(書面には同月27日の日付が記載されている。)
・平成21年 6月18日 被請求人より答弁書提出
(書面には同月17日の日付が記載されている。)
・平成21年 6月26日 被請求人より上申書提出
・平成21年 7月 3日 被請求人より上申書提出
・平成21年 7月 8日 被請求人より上申書提出
・平成21年12月15日 審決(訂正を認め、請求項3、6及び7は請求
不成立、請求項10、26?28は特許無効)
・平成22年 1月23日 請求人による審決取消訴訟の提起
(平成22年(行ケ)10023号)
・平成22年 2月 5日 被請求人による審決取消訴訟の提起
(平成22年(行ケ)10041号)
・平成22年 5月 6日 訂正審判の請求
(訂正2010-390042号)
・平成22年 6月30日 特許法181条2項の規定に基づく決定
(平成21年12月15日付け審決の取消し)
・平成22年 7月26日 被請求人より訂正請求書提出
・平成22年 9月 2日 請求人より弁駁書提出
・平成23年 4月 1日 訂正拒絶理由通知、無効理由通知
・平成23年 5月 5日 請求人より意見書提出
・平成23年 5月11日 被請求人より意見書及び訂正請求書提出
・平成23年 6月17日 請求人より意見書及び上申書提出

3.本件特許に関する別途無効審判事件の主な経緯
<無効2006-80049号審判事件>
・平成18年 3月27日 請求項1の特許に対して無効審判請求
(請求人:サミー株式会社)
・平成18年 6月27日 被請求人より答弁書提出
・平成18年11月27日 請求人より弁駁書提出
・平成19年 9月20日 審決(請求項1の特許は有効)
・平成19年10月22日 請求人による審決取消訴訟の提起
(平成19年(行ケ)10359号)
・平成20年 3月21日 特許法181条2項の規定に基づく決定
(平成19年9月20日付け審決の取消し)
・平成20年 5月 7日 審判合議体より中止通知発送
(その後の訂正請求で請求項1が削除されているため)
・平成23年 7月21日 請求取下

<無効2006-80112号審判事件>
・平成18年 6月13日 請求項1の特許に対して無効審判請求
(請求人:サミー株式会社)
・平成18年 9月 4日 被請求人より答弁書、訂正請求書提出
・平成18年11月27日 請求人より弁駁書提出
・平成19年 4月 9日 口頭審理
・平成19年 9月20日 審決(請求項1の特許を無効とする。)
・平成19年10月22日 被請求人による審決取消訴訟の提起
(平成19年(行ケ)10371号)
・平成20年 3月21日 特許法181条2項の規定に基づく決定
(平成19年9月20日付け審決の取消し)
・平成20年 5月 7日 審判合議体より中止通知発送
(その後の訂正請求で請求項1が削除されているため)
・平成23年 7月21日 請求取下

<無効2006-80116号審判事件>
・平成18年 6月21日 請求項1?24の特許に対して無効審判請求
(請求人:サミー株式会社)
・平成18年 9月11日 被請求人より答弁書、訂正請求書提出
・平成18年11月27日 請求人より弁駁書提出
・平成19年 4月 9日 口頭審理
・平成19年 9月20日 審決(請求項3、4、6、8?10及び14
の特許は有効、それ以外は無効)
・平成19年10月22日 請求人による審決取消訴訟の提起
(平成19年(行ケ)10360号)
・平成19年10月31日 被請求人による審決取消訴訟の提起
(平成19年(行ケ)10372号)
・平成20年 1月17日 訂正審判の請求
(訂正2008-390007号)
・平成20年 3月21日 特許法181条2項の規定に基づく決定
(平成19年9月20日付け審決の取消し)
・平成20年 4月14日 被請求人より訂正請求書・意見書提出
・平成20年 5月29日 請求人より弁駁書提出
・平成20年11月19日 審決(訂正を認め、審判請求不成立)
・平成20年12月11日 請求人による審決取消訴訟の提起
(平成20年(行ケ)10467号)
・平成22年 3月10日 判決言渡(請求項3、6、7、9、18及び
25について審決取消し、請求項10、26
、28及び29について請求棄却)
・平成23年 5月13日 被請求人より訂正請求書・上申書提出
・平成23年 6月21日 請求人より弁駁書提出
・平成23年 7月21日 請求取下


第2.訂正請求について
1.はじめに
まず、この審決においては、平成23年5月11日の訂正請求(以下「本件訂正」という。)に係る明細書及び図面並びに特許請求の範囲の請求項について、それぞれ「訂正後の明細書」並びに「訂正後の請求項」と記載することとする。
また、請求項3、6、7、10及び26?28に関して、平成14年6月27日の訂正請求(以下「異議時訂正」という。)に係る明細書及び図面を「本件特許明細書」と記載し、本件特許明細書に記載の請求項について「訂正前の請求項」と記載し、請求項9、18及び25に関して、平成21年3月19日の訂正請求(以下「一次審決後の訂正」という。)に係る明細書及び図面を「本件特許明細書2」と記載し、本件特許明細書2に記載の請求項について「訂正前の請求項」と記載することとする。
そして、訂正後の請求項に係る発明を、請求項番号に応じて「訂正発明1」などと記載し、これらを総称して「本件訂正発明」といい、訂正前の請求項に係る発明を、請求項番号に応じて「訂正前発明1」などと記載し、これらを総称して「本件訂正前発明」ということとする。
なお、本件の平成21年12月25日付け審決(以下「本件二次審決」という。)により、本件特許明細書の請求項1、2、4、5、8、11?17、19?24の削除が確定するとともに、本件特許明細書2に記載されている請求項9、18及び25の訂正が確定している(本件二次審決については、後述の(参考1)を参照)。
さらに、無効2006-80116号審判事件の審決取消訴訟(平成20年(行ケ)10467号)の判決(平成20年11月19日付け審決中、請求項3、6、7、9、18及び25に係る部分を取り消す。原告(審判請求人)のその余の請求を棄却する。)について、原告(審判請求人)は、上告期間内に上告していないから、当該事件における平成20年4月14日付けの訂正請求(以下「116事件訂正」という。)における請求項10、26、28及び29の訂正が確定している(当該請求項10、26、28及び29に対する審決は、後述の(参考2)を参照)。
そうしてみると、訂正後の請求項10及び26?28は、それぞれ確定した116事件訂正における請求項10、26、28及び29(以下これらを「116事件確定【請求項10】」等という。)を訂正しようとするものである。

2.本件訂正の内容
本件訂正は、以下の訂正事項からなっている。
(a)訂正事項a
特許請求の範囲の【請求項3】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】(平成14年6月27日の訂正請求)
「 前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。」
【訂正後】
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類との組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることが報知され、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることが報知されることを特徴とする遊技機。」

(b)訂正事項b
特許請求の範囲の【請求項6】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】(平成14年6月27日の訂正請求)
「 前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。」
【訂正後】
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類と、前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類との組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることを報知し、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることを報知するとともに当該入賞態様に対応する前記停止表示態様の種類を報知することを特徴とする遊技機。」

(c)訂正事項c
特許請求の範囲の【請求項7】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】(平成14年6月27日の訂正請求)
「 前記連動演出手段は、前記可変表示停止手段によって前記各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出することを特徴とする請求項3または請求項5または請求項6に記載の遊技機。」
【訂正後】
「 前記連動演出手段は、前記可変表示停止手段によって前記各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出することを特徴とする請求項3または請求項6に記載の遊技機。」

(d)訂正事項d
特許請求の範囲の【請求項9】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】(平成21年3月19日の訂正請求)
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知することを特徴とする遊技機。」
【訂正後】
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類との組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることが報知され、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることが報知される報知情報を報知することを特徴とする遊技機。」

(e)訂正事項e
特許請求の範囲の【請求項10】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】(116事件訂正)
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする遊技機。」
【訂正後】
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択するものであり、
前記デモ抽選テーブル選択テーブルは、ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではなく、
前記演出態様組合せは、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合にのみ前記報知態様選択手段によって選択される複数の確定パターンを含み、
前記ボーナスは、少なくとも種類の異なる2つのボーナスがあり、
前記確定パターンは、2つのボーナスのうち、一方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第1の確定パターンと、他方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第2の確定パターンと、2つのボーナスのいずれかの当選フラグが成立している場合に選択される第3の確定パターンとを含み、
前記デモ抽選テーブル選択テーブルにより、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合に選択されるデモ抽選テーブルは、当該デモ抽選テーブルに対応づけされた複数の演出態様組合せの一部が前記確定パターンであり、
前記報知態様選択手段は、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合には、前記第1の確定パターン及び前記第2の確定パターンを選択せず前記第3の確定パターンのみを選択するように構成され、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合には、前記第1の確定パターン乃至前記第3の確定パターンを選択しうるように構成されており、
前記報知態様選択手段により複数の前記確定パターンのいずれかが選択される確率は、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合であっていずれの入賞態様が決定された場合には、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合より高いことを特徴とする遊技機。」

(f)訂正事項f
特許請求の範囲の【請求項25】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】(平成21年3月19日の訂正請求)
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択することを特徴とする遊技機。」
【訂正後】
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類と、前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類との組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることを報知し、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることを報知するとともに当該入賞態様に対応する前記停止表示態様の種類を報知することを特徴とする遊技機。」

(g)訂正事項g
特許請求の範囲の【請求項26】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】(116事件訂正)
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする遊技機。」
【訂正後】
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択するものであり、
前記デモ抽選テーブル選択テーブルは、ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではないことを特徴とする遊技機。」

(h)訂正事項h
116事件確定【請求項28】を【請求項27】に繰り上げた上で、以下のとおり訂正する。
【訂正前】(116事件訂正)
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする遊技機。」
【訂正後】
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択するものであり、
前記デモ抽選テーブル選択テーブルは、ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではないことを特徴とする遊技機。」

(i)訂正事項i
116事件確定【請求項29】を【請求項28】に繰り上げた上で、以下のとおり訂正する。
【訂正前】(116事件訂正)
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択し、
前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させることを特徴とする遊技機。」
【訂正後】
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択し、
前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させるものであり、
前記デモ抽選テーブル選択テーブルは、ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではないことを特徴とする遊技機。」

(j)訂正事項j
本件特許明細書の段落番号【0011】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】
「【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し,入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて可変表示を各列毎に停止させるが,前記当選フラグが成立していても、停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、可変表示開始手段によって可変表示が開始され、可変表示停止手段によって可変表示が停止される1回の遊技の中で、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなることを特徴とする(請求項1)。」
【訂正後】
「【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので,乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,種々の図柄を複数列に可変表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と,この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と,前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において,前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ,前記可変表示停止手段は,遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが,前記当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと,前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え,前記報知情報が,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり,前記報知手段は,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し,各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段と,前記音発生手段によって発生される効果音の種類と,前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類との組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され,前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることが報知され、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることが報知されることを特徴とする(請求項3)。」

(k)訂正事項k
願書に添付した明細書の段落番号【0015】を削除する。

(l)訂正事項l
願書に添付した明細書の段落番号【0018】を削除する。

(m)訂正事項m
願書に添付した明細書の段落番号【0019】を削除する。

(n)訂正事項n
願書に添付した明細書の段落番号【0020】を削除する。

(o)訂正事項o
願書に添付した明細書の段落番号【0021】を削除する。

3.平成23年4月1日付け訂正拒絶理由通知の概略
(1)訂正の目的の適否及び拡張変更の存否
請求項3、6、9及び25について、平成22年7月26日付けの訂正請求によって、「効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることを報知し、その後の各列の連動表示態様の種類の組合せにより1つの入賞態様であることを報知する」点を追加している。
しかし、訂正前の明細書等の【図18】によれば、遊技開始音の種類によって配当のある複数の特定の入賞態様(RBとBB)を含む入賞態様であることが報知されるとはいえるものの、その後の各列の連動表示態様の種類の組合せにより1つの入賞態様であることが報知されるということはできない(例えば、連動表示態様がリールランプ消灯パターン2の場合、2枚チェリーとRBのどちらであるか分からない)。
よって、上記の点を追加する訂正事項は、特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項の規定に適合していない。

(2)請求項9、18及び25の独立特許要件について
本訂正拒絶理由通知書と同日付けの無効理由通知書に示した証拠等を考慮すると、これらの請求項に対する訂正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであったとしても、訂正後の請求項9、18及び25に係る発明は独立特許要件(進歩性)を欠く可能性があるので、今後の訂正請求においては注意が必要である。
特に、請求項18については、請求項9のみならず、請求項3、6、7のいずれか1項をも引用しているため、請求項3、6、7のいずれかに特許請求の範囲の減縮又は誤記の訂正を目的とする訂正が行われた場合、独立特許要件の判断を行わなければならないところ、請求項18記載の「乱数発生手段」、「乱数抽出手段」及び「乱数区分手段」は、ともに遊技機の分野において従来常套の手段であるため、請求項3、6又は7の進歩性が否定されれば、請求項18の進歩性も否定される。
なお、本件二次審決においては、本件特許明細書2の請求項9、18及び25に係る発明を進歩性のあるものと判断したが、本件特許第3069092号に対する別の無効審判事件である無効2006-80116号の審決取消訴訟判決(平成20年(行ケ)第10467号、平成22年3月10日判決言渡、以下「参考判決」という。)に鑑みると、進歩性を欠く可能性がある。

4.本件訂正に関する請求人の主張
平成23年6月17日付け意見書(以下「請求人意見書」という。)における、本件訂正に関する請求人の主張は次のとおりである。
(1)意見の内容(4頁、6.(1))
本件訂正によって訂正された請求項は、いずれも新規事項を追加するものであり、また、請求項10は実質上特許請求の範囲を変更するものであるから、特許法134条の2第5項で準用する同法126条3項及び5項の規定に違反し、訂正が認められる余地はない。

(2)新規事項の追加
(ア)訂正事項a?d及びfについて(4?5頁、6.(2)(ア))
訂正事項a?d及びfは、いずれも「効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることを報知」することを含む訂正であるが、「入賞態様を含む入賞態様」の記載は不明確である。すなわち、「入賞態様」は「ハズレ」も含むものであるため、報知されるべき「入賞態様」が「?を含む入賞態様」であるならば、全ての入賞態様を含むこととなる。よって「報知」すべき入賞態様を絞って報知しているものとは認められず、また、この点については明細書中に記載がない。
したがって、上記訂正は新規事項を追加するものである。

(イ)訂正事項e及びg?iについて(5?7頁、6.(2)(イ))
訂正事項e及びg?iは、それぞれ「前記デモ抽選テーブル選択テーブルは、ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではない」点を追加するものであるが、「ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではない」との文言は不明確である。ここで、その記載が「遊技状態が異なれば、入賞態様とデモ抽選テーブルとの対応が同一のものは1つもない」ことを意味すると解すれば、本件特許明細書の図53はそのような構成となっておらず、その他の記載においてもそのような構成は示されていない。
したがって、上記訂正は新規事項を追加するものである。

(ウ)訂正事項eについて(8頁、6.(2)(ウ))
訂正事項eは、訂正前の請求項10について「前記ボーナスは、少なくとも種類の異なる2つのボーナスがある」点を追加するものであり、3種類以上のボーナスも含まれるが、本件特許明細書に開示されているボーナスはBBとRBの2種類のみであり、3種類以上のボーナスは開示されていない。
したがって、訂正事項eは新規事項を追加するものである。

(3)実質上特許請求の範囲の変更について(8?15頁、6.(3))
訂正前の請求項10は、本件特許明細書の段落【0125】以降に記載の第2の実施形態に対応すると解することができ、その作用効果は同段落【0206】?【0211】に記載されている。
その一方、訂正後の請求項10の特有の作用効果については、本件特許明細書のいずれの箇所にも記載されていないことが判明した。その作用効果については、本件訂正と同日(平成23年5月11日)付けの意見書(21?22頁)に記載されているに過ぎず、そのような効果は本件特許明細書に何ら記載されていない。
以上より、訂正後の請求項10の特有の作用効果は、訂正前の請求項10では奏しない新たな作用効果を付加したものである。
したがって、訂正前後において請求項10の作用効果は異なっており、実質的に同一ではなく、請求項10における訂正事項eにかかる訂正は、実質上特許請求の範囲を変更するものである。

5.本件訂正に関する被請求人の主張
平成23年5月11日付け意見書(以下「被請求人意見書」という。)における、本件訂正についての被請求人の主張は次のとおりである。
訂正拒絶理由に対して(1?4頁、5.I.(1)?(4))
訂正事項aにより、意図が明確に分かるように「前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類との組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることが報知され、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることが報知される」と訂正した。
これにより、訂正拒絶理由は解消したものと思料する。

また、訂正拒絶理由では「報知態様選択手段」にそのような報知機能があるというのは不可解であると説示しているが、本件特許明細書の段落【0117】及び【0119】に、「最後のリールランプ点滅Bの視覚効果により、「2枚チェリー」当選フラグが立っていたことを確認する。」及び「最後のリールランプ点滅Cの視覚効果により、BBフラグが成立していることを確認し、リールランプ点滅Cの点滅パターンを楽しむ。」と記載されているように、「報知態様選択手段」にそのような確認するための報知機能があるのであり、不可解とはいえないものである。

さらに、平成23年5月11日付け訂正請求書における、訂正後の請求項9、18及び25の独立特許要件についての被請求人の主張は次のとおりである。(33?34頁、6(5))
訂正発明9は訂正発明3に対し、「抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択」すること、及び連動表示態様の種類の組合せを「演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて」選択すると限定したものであり、
訂正発明18は訂正発明3、6、7及び9に対し、「前記入賞態様決定手段は、一定範囲の乱数を発生させる乱数発生手段と、この乱数発生手段で発生した乱数の中から任意の乱数を抽出する乱数抽出手段と、この乱数抽出手段で抽出された乱数を各入賞態様に区分けする乱数区分手段とから構成されている」と限定したものであり、
訂正発明25は訂正発明6に対し、「抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択」すること、及び停止表示態様の種類の組合せを「演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて」選択すると限定したものである。
本訂正請求書と同日付けで提出した意見書で陳述したとおり、訂正発明3、6、7及び9はいずれも特許法29条2項の規定に該当するものではないから、訂正発明9、18及び25は独立特許要件を充足する。

6.訂正の適否の判断
(1)訂正事項a(請求項3)について
訂正事項a中に含まれる訂正内容を、個別の訂正事項として列記すると以下のとおりである。
<訂正事項a1>
訂正前の請求項3が引用する請求項1に記載されていた「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」に「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって」という報知時機についての限定を付す。
<訂正事項a2>
訂正前の請求項3が引用する請求項1に記載されていた「前記報知態様とは異なる報知態様による報知」に「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって」という報知時機についての限定を付す。
<訂正事項a3>
訂正前の請求項3に記載された「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」を「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段」として、「少なくとも1列の」を「各列の」と限定するとともに、連動演出手段の演出態様を限定する。
<訂正事項a4>
訂正前の請求項3に記載された「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せ」を「前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類との組合せ」とする。
<訂正事項a5>
訂正前の請求項3に「前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることが報知され、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることが報知される」点を追加する。

まず、訂正事項aが特許法134条の2第1項ただし書の規定に適合するかについて検討する。
訂正事項a1?a3は、いずれも訂正前発明3が備える構成に限定を加え、訂正事項a5は、訂正前発明3に新たな構成を追加するものであるから、同項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。
また、訂正事項a4は、「A、およびBの組合せ」という表現を「Aと、Bとの組合せ」という表現に言い換えるものであって、訂正前後でその意味は変わらないから、同項ただし書3号にいう、明りようでない記載の釈明を目的としたものと認められる。
次に、訂正事項aが特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定に適合するかについて検討する。
本件特許明細書の段落【0016】に「可変表示が開始されるときに音発生手段によって発生される効果音の種類,各列の可変表示が停止されるのに連動して連動演出手段によって順次演出される各列の表示態様の種類、および各列の可変表示の全てが停止したときに停止演出手段によって演出される可変表示装置の表示態様の種類の組合せにより、入賞態様を遊技者に報知させると効果的である」と記載されていることから、訂正事項a1?a3はいずれも、本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正事項a4は、上記のとおり訂正前後でその意味は変わらないから、本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことも明らかである。
さらに、本件特許明細書の【図18】によれば、遊技開始音と連動表示態様の組合せのみによって、対応する報知当選フラグは定まるから、さらに付加される停止表示態様は、報知当選フラグとの対応を示す上では必須でない確認的な報知演出に過ぎないことがわかり、段落【0119】にもBBフラグ成立の際の例のみではあるが、同趣旨の記載がある。
よって、音発生手段によって発生される効果音の種類、連動演出手段によって順次演出される各列の表示態様の種類(連動表示態様の種類)及び停止演出手段によって演出される可変表示装置の表示態様の種類(停止表示態様の種類)の組合せから停止表示態様の種類を省略し、効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることが報知され、その効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることが報知されることは、本件特許明細書から明らかな事項といえる。
したがって、訂正事項a5は本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
以上のとおりであるから、訂正事項aは、特許法134条の2第1項ただし書及び同条5項において準用する同法126条3項及び4項の規定に適合する。

なお、請求人は、請求人意見書(4?5頁、6.(2)(ア))において、「入賞態様」は「ハズレ」も含むものであるため、報知されるべき「入賞態様」が「?を含む入賞態様」であるならば、全ての入賞態様を含むこととなる。よって「報知」すべき入賞態様を絞って報知しているものとは認められず、また、この点については明細書中に記載がない旨主張している。
しかし、「効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることが報知される」というのは、効果音の種類がある種類(A)である時には配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であり、効果音の種類がA以外の種類(B)である時には配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様ではないことが報知されると解するのが適当であるから、上記請求人の主張は当を得ない。

(2)訂正事項b(請求項6)について
訂正事項b中に含まれる訂正内容を、個別の訂正事項として列記すると以下のとおりである。
<訂正事項b1>
訂正前の請求項6が引用する請求項1に記載されていた「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」に「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって」という報知時機についての限定を付す。
<訂正事項b2>
訂正前の請求項6が引用する請求項1に記載された「前記報知態様とは異なる報知態様による報知」を「前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」として、「前記報知態様とは異なる報知態様による報知」に報知時期についての限定を付す。
<訂正事項b3>
訂正前の請求項6に記載された「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」を「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段」として、「少なくとも1列の」を「各列の」と限定するとともに、連動演出手段の演出態様を限定する。
<訂正事項b4>
訂正前の請求項6に記載された「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」を「前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類と、前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類との組合せ」とする。
<訂正事項b5>
訂正前の請求項6に記載された「報知態様選択手段」に関して、「前記効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることを報知し、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることを報知するとともに当該入賞態様に対応する前記停止表示態様の種類を報知する」点を追加する。

まず、訂正事項bが特許法134条の2第1項ただし書の規定に適合するかについて検討する。
訂正事項b1?b3及びb5は、いずれも訂正前発明6が備える構成を限定するものであるから、同項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められ、訂正事項b4は、「A、BおよびCの組合せ」という表現を「Aと、Bと、Cとの組合せ」という表現に言い換えるものであって、訂正前後でその意味は変わらないから、同項ただし書3号にいう、明りようでない記載の釈明を目的としたものと認められる。
次に、訂正事項bが特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定に適合するかについて検討する。
上記(1)において訂正事項a1?a3について述べたと同様、本件特許明細書の段落【0016】の記載から、訂正事項b1?b3はいずれも、本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正事項b4は、上記のとおり訂正前後でその意味は変わらないから、本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことも明らかである。
さらに、訂正事項b5についても、上記(1)において訂正事項a5について述べたと同様、本件特許明細書の段落【0016】の記載に加え、【図18】及び段落【0119】の記載によれば、本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
以上のとおりであるから、訂正事項bは、特許法134条の2第1項ただし書及び同条5項において準用する同法126条3項及び4項の規定に適合する。

(3)訂正事項c(請求項7)について
訂正事項cは、訂正前の請求項7が引用していた請求項3または請求項5または請求項6から請求項5を削除し、請求項3または請求項6を引用するものに訂正するものであるから、実質的に請求項5を引用していた訂正前の請求項7を削除するものである。
そうしてみると、訂正事項cは、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められ、本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことが明らかであるから、同条5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。
さらに、請求項3及び請求項6に関する訂正は、上記(1)及び(2)に述べたとおり適法であるから、請求項3または請求項6を引用する訂正後の請求項7も適法なものということができる。

(4)訂正事項d(請求項9)について
訂正事項d中に含まれる訂正内容を、個別の訂正事項として列記すると以下のとおりである。
<訂正事項d1>
訂正前の請求項9に記載された「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」を「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段」として、「複数の表示態様」について「各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様」と限定する。
<訂正事項d2>
訂正前の請求項9に記載された「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せ」を「前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類との組合せ」とする。
<訂正事項d3>
訂正前の請求項9に記載された「効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報」を「効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることが報知され、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることが報知される報知情報」と限定する。

まず、訂正事項dが特許法134条の2第1項ただし書の規定に適合するかについて検討する。
訂正事項d1及びd3は、いずれも訂正前発明9が備える構成を限定するものであるから、同項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められ、訂正事項d2は、「A、およびBの組合せ」という表現を「Aと、Bとの組合せ」という表現に言い換えるものであって、訂正前後でその意味は変わらないから、同項ただし書3号にいう、明りようでない記載の釈明を目的としたものと認められる。
次に、訂正事項dが特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定に適合するかについて検討する。
上記(1)において訂正事項a1?a3について述べたと同様、本件特許明細書の段落【0016】の記載から、訂正事項d1は本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正事項d2は、上記のとおり訂正前後でその意味は変わらないから、本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことも明らかである。
さらに、訂正事項d3についても、上記(1)において訂正事項a5について述べたと同様、本件特許明細書の段落【0016】の記載に加え、【図18】及び段落【0119】の記載によれば、本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
以上のとおりであるから、訂正事項dは、特許法134条の2第1項ただし書及び同条5項において準用する同法126条3項及び4項の規定に適合する。
なお、請求項9は本件無効審判の請求対象外であって、特許法134条の2第1項ただし書1号に掲げる事項を目的とする訂正を含んでいるので、同条5項において準用する同法126条5項の規定(独立特許要件)を満たす必要があるが、その判断については後述する。
また、請求項18は、本件訂正では変更されていないが、請求項9を引用しているため、訂正発明9とともに上記独立特許要件を満たす必要があるので、その判断についても後述する。

(5)訂正事項e(請求項10)について
訂正事項e中に含まれる訂正内容を、個別の訂正事項として列記すると以下のとおりである。
<訂正事項e1>
116事件確定【請求項10】に、「デモ抽選テーブル選択テーブルは、ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではな」い点を追加する。
<訂正事項e2>
116事件確定【請求項10】に、「演出態様組合せは、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合にのみ前記報知態様選択手段によって選択される複数の確定パターンを含み、
前記ボーナスは、少なくとも種類の異なる2つのボーナスがあり、
前記確定パターンは、2つのボーナスのうち、一方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第1の確定パターンと、他方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第2の確定パターンと、2つのボーナスのいずれかの当選フラグが成立している場合に選択される第3の確定パターンとを含」む点を追加する。
<訂正事項e3>
116事件確定【請求項10】に、「前記デモ抽選テーブル選択テーブルにより、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合に選択されるデモ抽選テーブルは、当該デモ抽選テーブルに対応づけされた複数の演出態様組合せの一部が前記確定パターンであ」る点を追加する。
<訂正事項e4>
116事件確定【請求項10】に、「前記報知態様選択手段は、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合には、前記第1の確定パターン及び前記第2の確定パターンを選択せず前記第3の確定パターンのみを選択するように構成され、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合には、前記第1の確定パターン乃至前記第3の確定パターンを選択しうるように構成されており、
前記報知態様選択手段により複数の前記確定パターンのいずれかが選択される確率は、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合であっていずれの入賞態様が決定された場合には、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合より高い」点を追加する。

まず、訂正事項eが特許法134条の2第1項ただし書の規定に適合するかについて検討する。
訂正事項e1?e4は、いずれも116事件確定【請求項10】に係る発明に新たな構成を追加するものであるから、同項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。

次に、訂正事項eが特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定に適合するかについて検討する。
<訂正事項e1について>
本件特許明細書の段落【0151】?【0153】及び【図53】の記載によれば、一般遊技中、RB内部当たり中及びBB内部当たり中の各遊技状態(訂正事項e1の「ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態」に相当)において、当選フラグ(訂正事項e1の「入賞態様」に相当)毎に異なるデモ抽選テーブルが対応していることが分かる。
また、上記【図53】の記載から、RB内部当たり中及びBB内部当たり中の各遊技状態におけるFLGCTR(訂正事項e1の「入賞態様」に相当)とテーブルNo.(訂正事項e1の「デモ抽選テーブル」に相当)との対応関係は、すべてが同一ではなく一部が異なっているので(具体的には、「2枚チェリー」、「ベル」及び「リプレイ」は同一であり、「はずれ」、「4枚チェリー」及び「スイカ」は異なっている。)、本件特許明細書には、訂正事項e1の「ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではな」い、という構成も記載されているといえる。
したがって、訂正事項e1は本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

請求人は、上記4.(2)(イ)に記載したように、請求人意見書(5?7頁、6.(2)(イ))において、「ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではない」という追加事項について、不明確又は新規事項の追加である旨主張している。
確かに、請求人主張のとおり、上記追加事項の文言だけで判断すると、2つの解釈が可能であるかもしれないが、本件特許明細書全体の記載を参酌すれば、請求人意見書の第7頁に記載されている「遊技状態が異なれば,入賞態様とデモ抽選テーブルとの対応が同一のものは1つもない」という解釈を採用するべきではなく、同じく請求人意見書の第7頁に記載されている「ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては,入賞態様とデモ抽選テーブルとの対応が同一でないものがある」と解釈するのが適当である。

<訂正事項e2について>
本件特許明細書の段落【0158】、【図53】?【図56】及び【図58】の記載によれば、RB内部当たり中またはBB内部当たり中(訂正事項e2の「遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合」に相当)にのみ現れる11種類の確定パターンが演出態様組合せに含まれていることが分かるので、訂正事項e2の「演出態様組合せ」が「遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合にのみ前記報知態様選択手段によって選択される複数の確定パターンを含む」点が記載されているといえる。
また、本件特許明細書の段落【0070】及び【図53】等の記載から、ボーナスフラグとして「RB」当選フラグや「BB」当選フラグがあることが分かり、スロットマシンにおける技術常識や本件特許明細書の段落【0005】の記載に照らして、ボーナスフラグを「RB」と「BB」のみに限るものでないことは明らかであるから、本件特許明細書には、訂正事項e2の「前記ボーナスは、少なくとも種類の異なる2つのボーナスがある」という構成が記載されているといえる。
さらに、本件特許明細書の段落【0151】?【0158】及び【図53】?【図56】の記載から、11種類の確定パターンのうち、確定パターン1はテーブルNo.14(BB内部当たり中において入賞態様がはずれ時のテーブル)の上から2段目の抽選値の場合にのみ選択され、確定パターン2はテーブルNo.8(RB内部当たり中において入賞態様がはずれ時のテーブル)の上から2段目の抽選値の場合にのみ選択され、確定パターン3?7、9及び11はRB内部当たり中若しくはBB内部当たり中に選択されるテーブルにおいて、いずれも内部当たり中のフラグがRB、BBのいずれでも選択される可能性があり、確定パターン8はテーブルNo.6(一般遊技中において入賞態様がRB時のテーブル)の下から3段目の抽選値の場合、テーブルNo.7(一般遊技中において入賞態様がBB時のテーブル)の下から3段目の抽選値の場合又はテーブルNo.12(RB内部当たり中において入賞態様がリプレイ時のテーブル)の最下段の抽選値の場合に選択され、確定パターン10はテーブルNo.6(一般遊技中において入賞態様がRB時のテーブル)の下から2段目の抽選値の場合、テーブルNo.7(一般遊技中において入賞態様がBB時のテーブル)の下から2段目の抽選値の場合又はテーブルNo.16(BB内部当たり中において入賞態様がリプレイ時のテーブル)の最下段の抽選値の場合に選択されることが分かり、確定パターン1が訂正事項e2の「一方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第1の確定パターン」に相当し、確定パターン2が訂正事項e2の「他方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第2の確定パターン」に相当し、確定パターン3?11が訂正事項e2の「2つのボーナスのいずれかの当選フラグが成立している場合に選択される第3の確定パターン」に相当するものといえるので、本件特許明細書には、訂正事項e2の「前記確定パターンは、2つのボーナスのうち、一方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第1の確定パターンと、他方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第2の確定パターンと、2つのボーナスのいずれかの当選フラグが成立している場合に選択される第3の確定パターンとを含」む、という構成が記載されているといえる。
したがって、訂正事項e2は本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

<訂正事項e3について>
本件特許明細書の段落【0151】?【0158】及び【図53】?【図56】の記載から、一般遊技中において入賞態様がRB時のテーブルNo.6、一般遊技中において入賞態様がBB時のテーブルNo.7及びRB内部当たり中又はBB内部当たり中において選択されるテーブルNo.8?16(訂正事項e3の「遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合に選択されるデモ抽選テーブル」に相当)は、いずれも各テーブルに対応づけされた複数の演出態様組合せの一部が確定パターン1?11のいずれかとなっているから、本件特許明細書には、訂正事項e3の「前記デモ抽選テーブル選択テーブルにより、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合に選択されるデモ抽選テーブルは、当該デモ抽選テーブルに対応づけされた複数の演出態様組合せの一部が前記確定パターンであ」る、という構成が記載されているといえる。
したがって、訂正事項e3は本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

<訂正事項e4について>
本件特許明細書の段落【0151】?【0158】及び【図53】?【図56】の記載から、一般遊技中において入賞態様がRB時のテーブルNo.6及び一般遊技中において入賞態様がBB時のテーブルNo.7において選択される可能性のある確定パターンは、確定パターン8及び10のみであり、RB内部当たり中又はBB内部当たり中において選択されるテーブルNo.8?16において選択される可能性のある確定パターンは、確定パターン1?11のすべてであることが分かる。
また、上記テーブルNo.6において確定パターン8又は10が選択される確率は128分の14、上記テーブルNo.7において確定パターン8又は10が選択される確率は128分の12、上記テーブルNo.8において確定パターン2、9又は11が選択される確率は128分の19、上記テーブルNo.9において確定パターン4、6又は9が選択される確率は128分の32、上記テーブルNo.10において確定パターン7が選択される確率は128分の68、上記テーブルNo.11において確定パターン3、9又は11が選択される確率は128分の28、上記テーブルNo.12において確定パターン4又は8が選択される確率は128分の38、上記テーブルNo.13において確定パターン5又は11が選択される確率は128分の26、上記テーブルNo.14において確定パターン1、9又は11が選択される確率は128分の16、上記テーブルNo.15において確定パターン7が選択される確率は128分の48、上記テーブルNo.16において確定パターン4又は10が選択される確率は128分の26となっており、RB内部当たり中又はBB内部当たり中において選択されるテーブルNo.8?16において確定パターンのいずれかが選択される確率は、一般遊技中において入賞態様がRB時のテーブルNo.6及び一般遊技中において入賞態様がBB時のテーブルNo.7において確定パターンのいずれかが選択される確率より高くなっていることが分かる。
そして、上記テーブルNo.6及び7は、訂正事項e4における「遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合」に選択されるデモ抽選テーブル、上記テーブルNo.8?16は、訂正事項e4における「遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合」に選択されるデモ抽選テーブルといえるとともに、上記<訂正事項e2について>の項で述べたとおり、確定パターン8及び10はいずれも訂正事項e2及びe4の「前記第3の確定パターン」に相当し、確定パターン1?11は訂正事項e4の「前記第1の確定パターン乃至前記第3の確定パターン」に相当しているから、本件特許明細書には、訂正事項e4の「前記報知態様選択手段は、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合には、前記第1の確定パターン及び前記第2の確定パターンを選択せず前記第3の確定パターンのみを選択するように構成され、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合には、前記第1の確定パターン乃至前記第3の確定パターンを選択しうるように構成されており、
前記報知態様選択手段により複数の前記確定パターンのいずれかが選択される確率は、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合であっていずれの入賞態様が決定された場合には、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合より高い」という構成が記載されているといえる。
したがって、訂正事項e4は本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

以上のとおりであるから、訂正事項eは、特許法134条の2第1項ただし書及び同条5項において準用する同法126条3項及び4項の規定に適合する。

請求人は、上記4.(3)に記載したように、請求人意見書(8?15頁、6.(3))において、訂正後の請求項10の特有の作用効果は、訂正前の請求項10では奏しない新たな作用効果を付加したものであるから、請求項10における訂正事項eにかかる訂正は、実質上特許請求の範囲を変更するものである旨主張している。
しかし、訂正前後における請求項10に係る発明は、効果音の種類、連動表示態様の種類及び停止表示態様の種類の組合せによって、決定された入賞態様を遊技者に報知する点で共通しており、訂正後の請求項10に係る発明においては、本件特許明細書の段落【0158】の記載等から、確定パターンが選択されたときには、決定された入賞態様が100%の確率でボーナス(RBまたはBB)であることを遊技者に報知できることが分かる。
また、本件特許明細書の段落【0151】?【0158】及び【図53】?【図56】の記載から、確定パターン1のときは決定された入賞態様が100%の確率でBBであること、確定パターン2のときは決定された入賞態様が100%の確率でRBであることを遊技者に報知できることも把握できるのであるから、訂正後の請求項10に係る発明のみが奏する作用効果は、決定された入賞態様を遊技者に報知するという目的で付加された訂正事項eに係る構成に伴って奏される作用効果であるといえる。
そうしてみると、訂正後の請求項10に係る発明は、訂正前の請求項10に係る発明の具体的な目的の範囲を逸脱したものではなく、訂正事項eによって発明の目的が変更されたということはできないので、訂正事項eは実質上特許請求の範囲を変更するものではない。

(6)訂正事項f(請求項25)について
訂正事項f中に含まれる訂正内容を、個別の訂正事項として列記すると以下のとおりである。
<訂正事項f1>
訂正前の請求項25に記載された「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」を「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段」として、「複数の表示態様」について「各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様」と限定する
<訂正事項f2>
訂正前の請求項25に記載された「発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」を「前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類と、前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類との組合せ」とする。
<訂正事項f3>
訂正前の請求項25に記載された「前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」を「前記効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることを報知し、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることを報知するとともに当該入賞態様に対応する前記停止表示態様の種類を報知する」と限定する。

まず、訂正事項fが特許法134条の2第1項ただし書の規定に適合するかについて検討する。
訂正事項f1及びf3は、いずれも訂正前発明25が備える構成を限定するものであるから、同項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められ、訂正事項f2は、「A、BおよびCの組合せ」という表現を「Aと、Bと、Cとの組合せ」という表現に言い換えるものであって、訂正前後でその意味は変わらないから、同項ただし書3号にいう、明りようでない記載の釈明を目的としたものと認められる。
次に、訂正事項fが特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定に適合するかについて検討する。
訂正事項f1は、上記(4)に記載した訂正事項d1と実質的に同じ訂正事項であるから、上記(1)において訂正事項a1?a3について述べたと同様、本件特許明細書の段落【0016】の記載から、訂正事項f1は本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正事項f2は、上記のとおり訂正前後でその意味は変わらないから、本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことも明らかである。
さらに、訂正事項f3についても、上記(1)において訂正事項a5について述べたと同様、本件特許明細書の段落【0016】の記載に加え、【図18】及び段落【0119】の記載によれば、本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
以上のとおりであるから、訂正事項fは、特許法134条の2第1項ただし書及び同条5項において準用する同法126条3項及び4項の規定に適合する。
なお、請求項25は本件無効審判の請求対象外であって、特許法134条の2第1項ただし書1号に掲げる事項を目的とする訂正を含んでいるので、同条5項において準用する同法126条5項の規定(独立特許要件)を満たす必要があるが、その判断については請求項9及び18と同様に後述する。

(7)訂正事項g(請求項26)について
訂正事項gは、116事件確定【請求項26】について、上記訂正事項e1と同じ訂正を加えるものであって、その訂正内容は以下のとおりである。
116事件確定【請求項26】に記載された「デモ抽選テーブル選択テーブル」に関して、「ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではない」点を追加する。

訂正事項gは、116事件確定【請求項26】に新たな構成を追加するものであるから、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。
そして、上記<訂正事項e1について>の項で検討したとおり、本件特許明細書には、段落【0151】?【0153】及び【図53】の記載から、「前記デモ抽選テーブル選択テーブルは、ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではない」という構成が記載されているといえるので、訂正事項gは本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項gは、特許法134条の2第1項ただし書及び同条5項において準用する同法126条3項及び4項の規定に適合する。

(8)訂正事項h(請求項27)について
訂正事項hは、116事件確定【請求項28】を【請求項27】に繰り上げた上で、上記訂正事項e1と同じ訂正を加えるものであって、その訂正内容は以下のとおりである。
繰り上げた【請求項27】に記載された「デモ抽選テーブル選択テーブル」に関して、「ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではない」点を追加する。

まず、116事件確定【請求項28】を【請求項27】に繰り上げる訂正は、特許法134条の2第1項ただし書2号にいう誤記の訂正又は同ただし書3号にいう明りようでない記載の釈明を目的とするものであり、本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正事項hは、上記繰り上げた【請求項27】に新たな構成を追加するものであるから、上記ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。
そして、上記<訂正事項e1について>の項で検討したとおり、本件特許明細書には、段落【0151】?【0153】及び【図53】の記載から、「前記デモ抽選テーブル選択テーブルは、ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではない」という構成が記載されているといえるので、訂正事項hは本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項hは、特許法134条の2第1項ただし書及び同条5項において準用する同法126条3項及び4項の規定に適合する。

(9)訂正事項i(請求項28)について
訂正事項iは、116事件確定【請求項29】を【請求項28】に繰り上げた上で、上記訂正事項e1と同じ訂正を加えるものであって、その訂正内容は以下のとおりである。
繰り上げた【請求項28】に記載された「デモ抽選テーブル選択テーブル」に関して、「ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではない」点を追加する。

まず、116事件確定【請求項29】を【請求項28】に繰り上げる訂正は、特許法134条の2第1項ただし書2号にいう誤記の訂正又は同ただし書3号にいう明りようでない記載の釈明を目的とするものであり、本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正事項iは、上記繰り上げた【請求項28】に新たな構成を追加するものであるから、上記ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。
そして、上記<訂正事項e1について>の項で検討したとおり、本件特許明細書には、段落【0151】?【0153】及び【図53】の記載から、「前記デモ抽選テーブル選択テーブルは、ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではない」という構成が記載されているといえるので、訂正事項iは本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項iは、特許法134条の2第1項ただし書及び同条5項において準用する同法126条3項及び4項の規定に適合する。

(10)訂正事項j?o(発明の詳細な説明)について
訂正事項jは、特許請求の範囲(請求項3)の訂正に伴い、これに対応する発明の詳細な説明の記載を整合させるための訂正であるから、いずれも特許法134条の2第1項ただし書3号にいう、明りようでない記載の釈明を目的としたものと認められるとともに、訂正後の請求項3は、上記(1)で検討したとおり、本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正事項k?oは、いずれも一次審決後の訂正による請求項2、11及び12の削除(確定済み)に伴い、これに対応する発明の詳細な説明の記載を削除する訂正であるから、いずれも特許法134条の2第1項ただし書3号にいう、明りようでない記載の釈明を目的としたものと認められ、いずれも本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことが明らかである。
よって、訂正事項j?oは、特許法134条の2第1項ただし書及び同条5項において準用する同法126条3項及び4項の規定に適合する。

(11)独立特許要件違反について
上記(4)及び(6)で述べたように、訂正発明9、18及び25は本件無効審判の対象外であるので、特許法134条の2第5項において準用する同法126条5項の規定(独立特許要件)を満たす必要がある。
そこで、上記3.(2)に記載したように、平成23年4月1日付け訂正拒絶理由で指摘した参考判決における進歩性欠如の理由を中心に検討する。
なお、この審決においては、「甲第28号証」及び「丙第1号証」を、それぞれ「甲28」及び「丙1」と記載し、「甲第29号証」や「丙第2号証」等についても同様に記載することとする。

(11-1)甲28に記載されている発明
請求人が証拠方法として提出した甲28(特開平8-117390号公報、参考判決における引用例1)には、図面とともに以下の記載がある。
【請求項1】複数の図柄を可変表示する可変表示部と、ゲーム毎にサンプリングされる乱数値を予め設定された入賞確率テーブル中のデータと照合することにより入賞態様を判定し、その判定した入賞態様に対応する図柄の組合せが出現するように前記可変表示部の可変表示動作を停止制御する制御部とを備えた遊技機において、・・・
【請求項4】請求項3の遊技機において、前記可変表示部は外周に複数の図柄を配列した複数の回転リールで構成され、・・・
【0023】【作用】本発明の遊技機においては、制御部は、ゲーム毎に乱数をサンプリングし、その乱数値を予め設定された入賞確率テーブル中のデータと照合することで入賞態様(入賞か否か、そして入賞の場合は、その種類)を判定し、その判定結果により可変表示部の可変表示動作を停止制御する。
【0027】また、「大ヒット」のような特定の入賞図柄に対応する内部的当選役に当っているとき、可変表示が停止した時にその特定の入賞図柄になるかどうかは、可変表示を停止させる遊技者の操作タイミングに応じて決定されるが、可変表示の停止により可変表示部に出現し得る図柄の組合せが特定の入賞図柄でない場合は、前述の「リーチ目」を出現させることにより、遊技者に内部的当選が特定の入賞であることを知らせることができる。
【0032】この実施例では、遊技者がメダル投入口8からメダルを投入した後、正面の左端部に設置されたスタートレバー11を操作することにより、3つのリール2,3,4が一斉に回転する。そして、これらの回転が一定の速さに達した時、各リールに対応して設けられたストップボタン12,13,14の操作が有効化されるので、遊技者はこれらのボタンを押圧操作することで、対応するリールの回転を停止させることができる。・・・
【0038】図3の回路において、乱数発生器26は、一定の数値範囲に属する乱数を発生し、サンプリング回路27は、スタートレバー11が操作された後の適宜のタイミングで1個の乱数をサンプリングする。こうしてサンプリングされた乱数は、ROM22内の記憶部22aに格納されている入賞確率テーブルにおいて、どの入賞グループに属する値になっているかが判定される。このため、概念的に図4に示したようなデータが、入賞確率テーブル記憶部22aに格納されている。
【0039】図4において、B1?B3,M1?M3,S1?S3は予め設定された数値であり、投入メダルの枚数に応じて“B1-M1-S1”,“B2-M2-S2”,“B3-M3-S3”のいずれかが決定される。なお、これらの数値は、サンプリングされた乱数値を大ヒット、中ヒット、小ヒットのいずれかにグループ分けするためのものである。
【0040】乱数発生器26から発生した乱数の値が0?N(所定の数)であるとすると、投入メダル数が1の場合には、大ヒットの確率が“B1/N”、中ヒットの確率が“M1/N”、小ヒットの確率が“S1/N”となる。例えば、B1,M1,S1の値がそれぞれ“100”,“500”,“1000”であったとすると、サンプリングされた乱数の値が100未満であれば大ヒット、100以上500未満であれば中ヒット、500以上1000未満であれば小ヒットとなって、それぞれの種類に対応した入賞リクエスト信号が発生し、さらに1000以上である場合には入賞なし(ハズレ)のリクエスト信号が発生する。
【0048】・・・入賞と判定された場合には、CPU21は、遊技者がストップボタン12,13,14を操作した時にリール停止信号回路36から送られる操作信号に応じて、入賞の種類に対応したシンボル表示位置にリール2,3,4を停止制御する信号をモータ駆動回路31に送ると共に、入賞の種類に対応したメダル払出しデータを表示部駆動回路33に供給して表示部10にメダル払出し数を表示し、且つ、払い出し指令信号をホッパー駆動回路32に供給してホッパー30から所定個数のメダルの払出しを行う。
【0079】(ii)ゲームスタート後、サンプリングされた乱数値が内部的当選役に該当した場合、その内部的当選を遊技者に知らせる報知手段を設けてもよい。
【0080】この報知手段としては、例えば各リール2,3,4の内側に取り付けられているバックライト(照明)を利用することができる。すなわち、遊技がスタートして乱数がサンプリングされ、入賞確率テーブルとの照合により内部的当選に該当する場合は、このバックライトを点滅又は点灯させることによって、遊技者に内部的当選を知らせる。これにより、遊技者は「当たり」への期待感を持つことができる。
【0081】具体的には、図10及び図11に示すように、3つのリール2,3,4の各々について可変表示部の窓に現れるシンボルの裏面側に、3個のランプ(LED、電球などの発光体)41を縦方向に配列した基板42を設置し、これら3列のランプ41を、図3のCPU21により、例えばストップボタン12が押された直後に、図12(A),(B),(C)に示すような種々のパターンで点滅又は点灯するように制御する。なお、図12において、(A)は全てのランプを点灯又は点滅するパターン、(B)は上下及び中心部のランプを点灯又は点滅するパターン、(C)はランプを所定の方向に順次点灯又は点滅する動作を繰り返すパターンを示す。勿論、パターンはこれらのみに限らない。
【0082】また、内部的当選の種類に応じて上述の点灯パターンを変えることにより、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせることもできる。
【0083】更に、上記のようなバックライトの利用に加えて又はバックライトを利用する代わりに、スピーカのような発音装置から適当な音を発生することによっても、内部的当選を遊技者に知らせることができる。
【0084】(iii) 内部的当選の後、リールの回転停止操作によって出現し得る図柄組合せが「大ヒット」のような特定の入賞図柄でない場合には、「リーチ目」を出現させることにより、遊技者に対し内部的当選を知らせるようにしてもよい。これはマイコン20のプログラムで実現できるが、これに代えて、或いはこれと共に、上記(ii)で説明したリールのバックライトや音声を利用する報知手段を用いてもよい。

これらの記載及び図面等からみて、甲28には、
「 乱数をサンプリングし、入賞態様を判定し、その判定結果により可変表示部の可変表示動作を停止制御する制御部と、複数のリール2,3,4で構成され、複数の図柄を可変表示する前記可変表示部と、前記複数のリール2,3,4を一斉に回転させるスタートレバー11と、各リールに対応して設けられ、押圧操作することで対応するリールの回転を停止させることができるストップボタン12,13,14とを備えた遊技機において、
前記制御部は、サンプリングされた乱数が、入賞確率テーブルにおいて、どの入賞態様に属する値になっているかを判定し、それぞれの種類に対応した入賞リクエスト信号を発生し、
入賞と判定された場合には、遊技者が前記ストップボタン12,13,14を操作した時に、入賞の種類に対応したシンボル表示位置に前記複数のリール2,3,4を停止制御するが、可変表示が停止した時にその特定の入賞図柄になるかどうかは、可変表示を停止させる遊技者の操作タイミングに応じて決定され、
ゲーム毎に、前記制御部で判定された入賞態様の種類に応じて、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせる報知手段を設け、
前記報知手段は、前記ストップボタン12が押された直後に、前記複数のリール2,3,4の内側に取り付けられているバックライトの点灯パターンを変え、加えて発音装置から適当な音を発生する遊技機。」
の発明(以下「甲28発明」という。)が開示されていると認められる。

(11-2)訂正発明9と甲28発明の対比
訂正発明9と甲28発明を対比すると、甲28発明の「可変表示部」は、訂正発明9の「可変表示装置」に相当し、以下同様に、
「前記複数のリール2,3,4を一斉に回転させるスタートレバー11」は「この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段」に、
「サンプリングされた乱数」は「抽出された乱数」に、
「入賞確率テーブル」は「確率テーブル」に、
「それぞれの種類に対応した入賞リクエスト信号」は「その属した入賞態様の当選フラグ」に、
「ストップボタン12,13,14」は「遊技者が操作可能な停止ボタン」に、
「前記制御部で判定された入賞態様」は「前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様」に、
「遊技者に知らせる」は「遊技者に報知する」に、
「発音装置」は「音発生手段」に、それぞれ相当する。

また、甲28の記載等から、次のことが言える。
a.甲28発明の「制御部」は、「乱数をサンプリングし、入賞態様を判定し」ており、「乱数をサンプリング」すること、及び「入賞態様を判定」することは、それぞれ訂正発明9の「乱数抽選」を行うこと、及び「遊技の入賞態様を決定する」ことに相当している。
また、甲28発明において、「その判定結果により可変表示部の可変表示動作を停止制御する」ことは、訂正発明9において、「可変表示装置」に「前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する」ことに相当する。
よって、甲28発明の「制御部」及び「可変表示部」は、訂正発明9の「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置」に相当するものといえる。

b.甲28発明は「ストップボタン12,13,14」を押圧操作することで対応するリールの回転を停止させることができるのであるから、訂正発明9の「前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段」に相当する手段を備えているといえる。

c.甲28発明の「入賞確率テーブル」は、甲28の段落【0039】、【0040】及び図4の記載から、入賞態様として大ヒット、中ヒット及び小ヒットの3種類あることが分かるから、甲28発明の「制御部」は、複数の入賞態様からなる入賞確率テーブルを有しているといえる。
また、甲28発明において「入賞リクエスト信号を発生」することは、訂正発明9において「当選フラグを成立させ」ることに相当し、甲28発明及び訂正発明9ともに、入賞リクエスト信号の発生又は当選フラグの成立に際して、同様の処理を行っていることが明らかであるから、甲28発明の「制御部」は、訂正発明9の「複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ」に相当する構成及び機能を備えたものであるといえる。

d.甲28発明において「入賞と判定された場合には、遊技者が前記ストップボタン12,13,14を操作した時に、入賞の種類に対応したシンボル表示位置に前記複数のリール2,3,4を停止制御するが、可変表示が停止した時にその特定の入賞図柄になるかどうかは、可変表示を停止させる遊技者の操作タイミングに応じて決定され」ることと、訂正発明9において「停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない」こととは、表現ぶりが異なるだけで実質的には同様の停止制御ということができる。
そうしてみると、甲28発明は、訂正発明9の「遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行」う「可変表示停止手段」に相当する手段を備えたものであるといえる。

e.甲28発明において「ゲーム毎に」というのは、“遊技者が行う各回のゲームにおいて”ということであり、複数回のゲームにまたがるものではないことを意味している。さらに、甲28発明における「ゲーム」は「スタートレバー11」を操作して開始されるとともに、「ストップボタン12,13,14」を操作し各リールの回転を停止させて行われるものであるから、甲28発明における「ゲーム毎に」は、訂正発明9における「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で」に相当するものといえる。

f.甲28発明において「入賞態様の種類に応じて、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせる」ことは、訂正発明9において「入賞態様に対応した報知情報を」「遊技者に報知する」ことに相当するから、訂正発明9と甲28発明は「前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段」を備える点で一致しているといえる。

g.甲28発明の「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」は報知態様が異なるといえるから、甲28発明と訂正発明9は“報知情報が、一報知態様による報知と、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記一報知態様とは異なる報知態様による報知とからなる”点では共通している。

h.甲28発明において「前記ストップボタン12が押された直後に、前記複数のリール2,3,4の内側に取り付けられているバックライトの点灯パターンを変え」ることは、訂正発明9の「前記可変表示停止手段によって」「前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する」ことに相当するから、甲28発明と訂正発明9の「報知手段」は“音発生手段と、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段で構成される”点で共通している。

よって、訂正発明9と甲28発明は、
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、一報知態様による報知と、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記一報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、音発生手段と、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段で構成される遊技機。」の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]訂正発明9は「報知情報を所定確率で遊技者に報知する」のに対し、甲28発明は「どの種類の入賞役に当たり易い状態であるか(訂正発明9の「報知情報」に相当)」を所定確率で遊技者に知らせるものではない点。

[相違点2]訂正発明9は「報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知」とからなるとともに、「報知手段」が「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段」を有するのに対し、甲28発明は「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」が、可変表示が開始されるときに行われる報知と、その後の、各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知という関係ではない点、及び「適当な音」が、複数の異なる入賞態様に共通したものであるとともに複数の効果音の中の1つの音であるか明らかでない点。

[相違点3]訂正発明9の「報知手段」が「抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類との組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」を有しているのに対し、甲28発明は「バックライトの点灯パターン」及び「適当な音」の組合せを選択する手段を有しているか明らかでない点。

[相違点4]訂正発明9は「効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることが報知され、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることが報知される」のに対し、甲28発明は「適当な音」及び「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」との組合せにより、そのような入賞態様であることが報知されるものではない点。

(11-3)訂正発明9と甲28発明との相違点についての判断
[相違点1について]
甲29(特開平7-68027号公報、参考判決における引用例3)の段落【0020】には「・・・次にS3に進み、ランダム3カウンタのカウント値を読出す処理が行なわれる。このランダム3カウンタは、0からカウントアップしてその上限である2までカウントアップした後再度0からカウントアップし直すものである。そして、読出されたカウント値が0のときにS4に進み、大当り予告1を行なうためのフラグがセットされる。ランダム3カウンタの値が1のときにはS5に進み、リーチ予告を行なうためのフラグがセットされる。・・・ランダム3カウンタの値が2のときにはS6に進み、予告なしの状態となり、直接S11に進む。・・・」と記載されており、大当り予告1を1/3の確率で行うものであることが分かる。
また、甲30(特開平9-700号公報)の段落【0049】には「ここで、大当り予告は、C RND YOKでそれを実行するか否かが決定され、同時にその予告の方法も決定される。・・・」と、段落【0057】には「・・・遊技状態は、大当りが事前決定されていない遊技状態(図中「大当り以外」)、大当りが事前決定されておりかつ始動入賞記憶数が2以上である遊技状態(図中「大当り・始動記憶2以上」)、および大当りが事前決定されておりかつ始動入賞記憶数が1以下の遊技状態(図中「大当り・始動記憶1以下」)の3種類に分類されている。」と、段落【0059】には「遊技状態が「大当り・始動記憶2以上」である場合には、C RND YOKとの抽出値、「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」?「99」の場合には、特別の音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「100」?「199」の場合には、キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「200」?「449」の場合には、音およびキャラクタの両方による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「450」?「899」の場合には、大当り予告の報知をしない。」と、段落【0060】には「遊技状態が「大当り・始動記憶1以下」の場合には、C RND YOKと、「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」?「224」の場合には、特別の音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「225」?「449」の場合には、キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「450」?「899」の場合には、大当り予告の報知をしない。」と記載されており、大当りが事前決定されている遊技状態において、大当り予告の報知を450/900(1/2)の確率で行うものであることが分かる。
これらの記載等からみて、入賞に関する報知情報を所定確率で遊技者に報知することは、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術1」という。)であるといえる。
そして、甲29の段落【0008】及び甲30の段落【0013】に、スロットマシンを対象としても良い旨記載されていることを考え合わせると、甲28発明に周知技術1を適用して、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを所定確率で遊技者に知らせるようにして、相違点1に係る訂正発明9の構成とすることは、P1出願の出願日(以下「P1出願日」という。)当時の遊技機の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に想到し得ることといえる。

[相違点2について]
甲29(特開平7-68027号公報)の段落【0020】に「・・・このS8の処理を行うに際し、前記S4により大当り予告1を行なうためのフラグがセットされている場合には、レール飾りランプ21と飾りLED41とを可変表示装置の可変開始時から点滅させ、スピーカ37から大当り予告音を発生させ、大当り状態が発生することを事前に予告報知し、S5 によるリーチ予告のフラグがセットされている場合は飾りLED41を可変開始時から点滅させるとともにスピーカ37からリーチ予告音を発生する。・・・」と記載され、甲30(特開平9-700号公報)の段落【0101】に「・・・その音作成手段は、表示結果内容事前決定手段により表示結果内容を特定の表示態様に相当するものにする決定が行なわれた場合に、通常の遊技状態において作成する効果音等と異なる特別の音を作成し、その作成した特別の音を、図10等に示されるように音発生手段から発生させる。」と記載されているように、遊技状態に応じて複数の効果音の中の1つの音を発生させることは、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術2」という。)であるといえる。
また、甲32(「必勝パチスロファン」1994年増刊7月号、参考判決における甲22記事)の78?79頁に記載されているフラグ成立を知らせる方法に関する事項(特に、78頁3段目「●音が鳴る」の項及び79頁下段中央「ロイヤルタカシ-RT」の項参照)から、スタートレバーをたたいた時、すなわち、可変表示開始手段によって可変表示が開始される時に、ボーナスフラグ又はシングルボーナスフラグが成立したことを共通の音により報知する技術は、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術3」という。)であるといえる。
さらに、甲32の78?79頁に記載されているフラグ成立を知らせる方法に関する事項(特に、78頁4段目「●リールがスベる」の項及び79頁下段左「スーパーヘビーメタルA」の項参照)や、甲33(特開平8-173592号公報、参考判決における引用例7)の段落【0001】及び【0049】?【0055】に記載されている事項からみて、リールの各列が停止するごとに報知を行う技術は、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術4」という。)であるといえる。
そうすると、甲28発明に周知技術2?4を適用して、スタートレバー11の操作時にBB(ビッグボーナス)又はNB(ノーマルボーナス)が当たっている場合、それらに共通の音であって複数の効果音の中の1つの音により報知するとともに、ストップボタン12,13,14が押圧操作されて、リール2,3,4のうちの少なくとも1つが停止する時に、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせるようにして、相違点2に係る訂正発明9の構成とすることは、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる。

[相違点3について]
当審で提示した丙1(特開平6-114140号公報、参考判決における引用例2)には、次の記載がある。
【0001】【産業上の利用分野】本発明は、スロットマシンに関し、詳しくは、複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し、該可変表示装置の可変停止時の表示結果が予め定められた特定の識別情報になった場合に所定の遊技価値を付与可能となるスロットマシンに関する。
【0041】・・・1ゲームタイマが終了すれば、S65に進み、・・・全リールの回転が開始される。・・・
【0042】次にS66に進み、格納されているランダム値R(図6参照)を用いて所定の演算を行なう処理がなされる。・・・次にS67により、その演算結果を各当選の判定値と比較する処理が行なわれる。この各当選の判定値は、ビッグボーナスゲーム当選の判定値、ボーナスゲーム当選の判定値、小役当選の判定値、再ゲーム当選の判定値の4種類がある。・・・
【0043】次にS68に進み、ボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断が行なわれ、ボーナスゲームフラグがセットされていない場合にはS71に進み、ビッグボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断が行なわれ、ビッグボーナスゲームフラグがセットされていない場合にはS74に進む。S74では、リール回転音をスピーカ28から発生させ、次にS75に進み、ビッグボーナス当選フラグあるいはボーナス当選フラグがセットされているか否かの判断が行なわれ、・・・セットされていない場合にはS76に進む。
【0044】S76では、前記S67による比較結果、ランダム値Rを用いた演算結果がビッグボーナス当選許容値に含まれているか否かの判断がなされ、含まれている場合にはS77に進み、ビッグボーナス当選フラグがセットされてS80に進む。一方、前記S67による比較結果、ランダム値Rを用いた演算結果がビッグボーナス当選許容値ではないがボーナス当選許容値に含まれている場合には、S78によりYESの判断がなされてS79に進み、ボーナス当選フラグがセットされてS80に進む。S80では、遊技効果ランプ24(図1参照)を点灯開始させる処理がなされ、次にS85に進む。S80の処理により、ビッグボーナスあるいはボーナス当選した旨の報知が行なわれる。・・・
【0050】・・・S108に進み、停止しているいずれか2つのリールにより表示されている図柄がリーチ状態の図柄になっているか否かの判断がなされる。リーチ状態とは、複数の可変表示部5L,5C,5Rのうちのいずれか1つがまだ可変表示している段階で、既に停止している可変表示部の表示結果が、「AAA」,「BBB」等の特定の識別情報の組合せとなる条件を満たす所定表示状態となっている場合を意味する。そして、S108により・・・リーチ状態であると判断された場合にはS109に進み、ビッグボーナス当選フラグまたはボーナス当選フラグがセットされているか否かの判断がなされ、・・・いずれかがセットされている場合にはS110に進み、リーチ音をスピーカ28から発生させた後にS87に進む。このリーチ音が発せられることにより、遊技者が現在可変表示している可変表示部の停止時の表示結果次第で前記特定の識別情報の組合せが成立するかもしれないという遊技者の期待感を効果的に盛り上げることができる。なお、・・・ビッグボーナス当選フラグセット時にのみリーチ時の報知を行なうようにしてもよいし、・・・。

上記記載によると、丙1には、入賞態様決定手段で決定されたビッグボーナスゲーム当選、ボーナスゲーム当選その他の入賞態様に応じ、遊技効果ランプの点灯の有無とリーチ音の発生の有無という異なる複数の報知態様の種類の組合せを選択し報知するとの構成(以下「丙1に開示された構成」という。)が開示されているということができる。
なぜなら、丙1の段落【0050】に記載されるように、ビッグボーナスゲーム当選の際にのみリーチ音を発生させるとした場合には、ビッグボーナスゲーム当選のときは、遊技効果ランプが点灯するとともにリーチ音も発生し、ボーナスゲーム当選のときは、遊技効果ランプは点灯するもののリーチ音は発生せず、その他のときは、遊技効果ランプは点灯せずリーチ音も発生しないことになるからである。

また、当審で提示した丙2(特開平8-336642号公報、参考判決における引用例5)の段落【0001】、【0007】、【0046】、【0090】、【0138】及び【図7】、【図14】の記載によれば、丙2記載の遊技機は、表示結果内容事前決定手段により表示結果内容を特定の表示態様に相当するものにする決定が行われた場合に、当該特定の表示態様が表示されることを遊技者に報知することのできる予告報知手段を備え、当該予告報知手段は、図7の「集中リーチ用テーブル」及び図14の「大当り予告テーブル」を備えるものであるところ、「集中リーチ用テーブル」の「C_RND_R2」に係る0から224までの数及び「大当り予告テーブル」の「C_RND_YOK」に係る0から899までの数は、集中リーチ状態を発生させるか否かなどを決定するための乱数であり、これらが抽出乱数であることは明らかである。そして、これらの乱数は、「集中リーチ用テーブル」においては、「集中リーチ実行」又は「通常表示」との報知手段(演出態様)に、「大当り予告テーブル」においては、「音」、「キャラクタ」、「音+キャラクタ」又は「報知しない」との報知手段(演出態様及びその組合せ)にそれぞれ区画されているのであるから、結局、丙2は、「報知手段は、抽出乱数を各報知手段に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、(…効果音の種類、および…連動表示態様の種類の組合せを、)演出態様組合せテーブルを参照して…選択する報知態様選択手段から構成され」との構成を開示するものということができる。
さらに、当審で提示した丙3(特開平7-100249号公報)の段落【0077】?【0079】、【0083】及び【図19】(b)の記載によれば、丙3記載の遊技機は、ランダムカウンタC_RND1の値により大当りを発生させる(表示結果を特定の表示態様にする)ことが決定された場合に、リーチの態様と音声又はランプ等の点灯によって、当該特定の表示態様が表示されることを所定確率で遊技者に報知することのできる報知手段を備え、当該報知手段は図19(b)の「リーチ態様決定データテーブル」を備えるものであるところ、「リーチ態様決定データテーブル」の「C_RND4_0」に係る0から14までの数は、リーチ態様などを決定するための乱数であり、これらが抽出乱数であることは明らかである。そして、これらの乱数は、「リーチ態様決定データテーブル」においては、「通常リーチ」、「特別リーチ1」又は「特別リーチ2」との報知態様にそれぞれ区画されているのであるから、結局、丙3は、「報知手段は、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、(リーチ態様の種類を、)演出態様組合せテーブルを参照して選択する報知態様選択手段から構成され」との構成を開示するものということができる。
よって、報知手段の構成として、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、報知情報を、演出態様組合せテーブルを参照して選択する報知態様選択手段を用いることは、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術5」という。)であるといえる。

そうすると、甲28発明に、丙1に開示された構成(入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じ、異なる複数の報知態様の種類の組合せを選択し報知するとの構成)を適用するとともに周知技術2?5を考慮すれば、報知態様選択手段により選択される報知情報について、「音発生手段によって発生される効果音の種類、および連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、」「入賞態様に応じて選択する」との構成を採用し、また、報知する報知情報について、「報知態様選択手段により選択された効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる」という構成を採用するとともに、報知態様選択手段について、「抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、効果音の種類と連動表示態様の種類との組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して選択する」ものとすること、すなわち、訂正発明9の報知態様選択手段等に係る構成を採用することは、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる。

[相違点4について]
上記[相違点3について]の項で検討したとおり、丙1の段落【0044】の記載によれば、ビッグボーナスあるいはボーナス当選した場合、まず遊技効果ランプ24を点灯開始させる処理がなされることが分かる。
また、同段落【0050】の記載等によれば、ビッグボーナスゲーム当選の際にのみリーチ音を発生させるとした場合には、ビッグボーナスゲーム当選のときは、遊技効果ランプが点灯するとともにリーチ音も発生し、ボーナスゲーム当選のときは、遊技効果ランプは点灯するもののリーチ音は発生せず、その他のときは、遊技効果ランプは点灯せずリーチ音も発生しないことになるのであるから、丙1には、遊技効果ランプ点灯の有無によりビッグボーナスあるいはボーナス当選が報知され、前記遊技効果ランプ点灯の有無とその後のリーチ音発生の有無により、ビッグボーナスゲーム当選か、ボーナスゲーム当選か、その他であるかが報知されるものが記載されているといえる。
そして、甲32(「必勝パチスロファン」1994年増刊7月号)に記載されるように、可変表示開始時や、リール停止時に音を発生したり、表示を変化させたりして入賞に関する報知を行うことは、従来常套の手段であるから、甲28発明に丙1に開示された構成を適用するに際して、遊技効果ランプ点灯の有無を効果音の種類に代え、リーチ音発生の有無をリール停止時における表示態様の種類に代えて、相違点4に係る訂正発明9のような構成とすることは、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる。
なお、被請求人は、被請求人意見書(9頁、5.II.(1)ア(オ)の後段)において、丙1に開示された構成では、「リーチ音が発生するかしないかはリーチ状態によるのであり,リーチ状態になるか否かはあらかじめ決定できないものであるから,「異なる複数の報知態様の種類の組合せを選択し報知する」とはいえない。」と反論しているが、丙1に開示された構成は、ビッグボーナス当選フラグセット時において、少なくともビッグボーナス図柄が有効ライン上に停止する際にはリーチ状態を経るものであり、毎回ではないとしても必ず最低1回は遊技効果ランプが点灯するとともにリーチ音も発生するのであるから、「異なる複数の報知態様の種類の組合せを選択し報知する」ものであるということができる。

[まとめ]
訂正発明9の作用効果も、甲28発明、丙1に開示された構成及び周知技術1?5から、P1出願日当時の当業者が予測できる範囲内のものであるから、訂正発明9は、甲28発明、丙1に開示された構成及び周知技術1?5に基づき、P1出願日当時の当業者が容易に発明をすることができたものである。

(11-4)訂正発明25と甲28発明の対比
訂正発明25は、訂正発明9に対して、概略可変表示の全てが停止したときに停止演出を行う構成を追加したものであって、詳細には以下の点で異なっている。
a.「報知情報」に「前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」を追加。
b.「報知手段」に「前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」を追加。
c.「報知態様選択手段」が選択する組合せを「前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類との組合せ」から「前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類と、前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類との組合せ」へと変更。
そうしてみると、訂正発明9と甲28発明との一致点は、訂正発明9と甲28発明との一致点と同一であり、相違点は次のとおりとなる。
なお、訂正発明9と甲28発明との相違点と実質的に同一なものについては、[相違点1]といった表記をそのまま用い、同様の相違点ではあるが変更のあるものについては[相違点1’]のようにダッシュを付して表記する。

[相違点1]訂正発明25は「報知情報を所定確率で遊技者に報知する」のに対し、甲28発明は「どの種類の入賞役に当たり易い状態であるか(訂正発明25の「報知情報」に相当)」を所定確率で遊技者に知らせるものではない点。

[相違点2’]訂正発明25は「報知情報が、前記可変表示開始手段(当審注:「前記可変表示手段」とあるが誤記と認める。)によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」とからなるとともに、「報知手段」が「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」を有するのに対し、甲28発明は「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」が、可変表示が開始されるときに行われる報知と、その後の、各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知という関係ではない点、「適当な音」が、複数の異なる入賞態様に共通したものであるとともに複数の効果音の中の1つの音であるか明らかでない点及び各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段を有していない点。

[相違点3’]訂正発明25の「報知手段」が「抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類と、前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類との組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」を有しているのに対し、甲28発明は「バックライトの点灯パターン」及び「適当な音」の組合せを選択する手段を有しているか明らかでない点。

[相違点4’]訂正発明25は「効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることを報知し、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることを報知するとともに当該入賞態様に対応する前記停止表示態様の種類を報知する」のに対し、甲28発明は「適当な音」及び「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」との組合せにより、1つの入賞態様であることが報知されるものではない点及び入賞態様に対応する停止表示態様の種類を報知するものではない点。

(11-5)訂正発明25と甲28発明との相違点についての判断
[相違点1について]
訂正発明25と甲28発明との相違点1は、訂正発明9と甲28発明との相違点1と実質的に同じなので、上記(11-3)[相違点1について]の項で述べたと同様の理由により、相違点1に係る訂正発明25の構成は、甲28発明及び周知技術1に基づき、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得る。

[相違点2’について]
相違点2’は、訂正発明9と甲28発明との相違点2に対して、「報知手段」に「各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」が付加されている点で異なる。
そこで、この点について検討すると、甲32(「必勝パチスロファン」1994年増刊7月号)の78頁3段目の「ボーナスフラグが成立して、そのゲームで絵柄をそろえられないと、3本目のリールを止めた瞬間、リールを照らしているライト(バックライトがパッパッパッと走るように見える。」という記載、甲33(特開平8-173592号公報)の段落【0055】?【0057】の記載及び丙4(特開平9-299548号公報)の段落【0014】等の記載からみて、全部のリールが停止したときに、入賞態様に応じたライトや音の演出を行うことは、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術6」という。)であるといえる。
そして、相違点2’のその他の部分については、上記(11-3)[相違点2について]の項で述べたとおり、甲28発明に周知技術2?4を適用して、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることであるから、相違点2’も甲28発明に周知技術2?4及び周知技術6を適用して、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる。

[相違点3’について]
相違点3’は、訂正発明9と甲28発明との相違点3に対して、相違点3では「前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類との組合せ」であったものを「前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類と、前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類との組合せ」としている点で異なる。
そこで、この点について検討すると、上記[相違点2’について]の項で述べたとおり、全部のリールが停止したときに、入賞態様に応じたライトや音の演出を行うことは、遊技機の分野において従来周知の技術(周知技術6)である。
そして、相違点3’のその他の部分については、上記(11-3)[相違点3について]の項で述べたとおり、甲28発明に丙1に開示された構成を適用するとともに周知技術2?5を考慮すれば、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることであるから、相違点3’も甲28発明に丙1に開示された構成を適用するとともに周知技術2?6を考慮すれば、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる。

[相違点4’について]
相違点4’は、訂正発明9と甲28発明との相違点4に対して、「当該入賞態様に対応する前記停止表示態様の種類を報知する」ことが付加されている点で異なる。
そこで、この点について検討すると、上記[相違点2’について]の項で述べたとおり、全部のリールが停止したときに、入賞態様に応じたライトや音の演出を行うことは、遊技機の分野において従来周知の技術(周知技術6)であるといえる。
そして、相違点4’のその他の部分については、上記(11-3)[相違点4について]の項で述べたとおり、甲28発明に丙1に開示された構成を適用して、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることであるから、相違点4’も甲28発明に丙1に開示された構成及び周知技術6を適用して、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる。

[まとめ]
訂正発明25の作用効果も、甲28発明、丙1に開示された構成及び周知技術1?6から、P1出願日当時の当業者が予測できる範囲内のものであるから、訂正発明25は、甲28発明、丙1に開示された構成及び周知技術1?6に基づき、P1出願日当時の当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、訂正発明25は特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(11-6)独立特許要件違反についてのむすび
以上のとおりであるから、訂正発明9及び25は特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、訂正事項d及びfは、特許法134条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合していない。

(12)小括
以上のとおり、上記訂正事項a?oは、いずれも特許請求の範囲の減縮又は明りようでない記載の釈明を目的としており、かつ、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張、変更するものでもないから、特許法134条の2第1項ただし書に適合し、同法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。
しかし、上記(11)で述べたとおり、本件無効審判の対象外である訂正発明9及び25は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないので、訂正事項d及びfは、特許法134条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合していない。
したがって、本件訂正のうち、請求項3、6、7、10及び26?28に関する訂正事項a?c、e及びg?oは訂正を認め、請求項9及び25に関する訂正事項d及びfは訂正を認めない。


第3.当事者の主張及び当審による無効理由通知
1.請求人の主張概要(本件訂正に関するものを除く)
(1)新規性欠如(審判請求書19?33頁)
訂正前発明1?8及び10はP1出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されていないので、同出願に基づく優先権主張は成立せず、新規性を論ずる上での出願日(以下「基準日」という。)は、P2出願の日(平成10年8月24日、以下「P2出願日」という。)以降である。
被請求人は、P2出願日前にスロットマシン「サンダーV」及び「ハナビ」を生産譲渡しており、「サンダーV」及び「ハナビ」のROMは解析可能であるから、ROMの内容を含めてスロットマシン「サンダーV」及び「ハナビ」はP2出願日前に公然実施された。
そして、訂正前発明1?8及び10はスロットマシン「サンダーV」又は「ハナビ」そのものであるから、訂正前の請求項1?8及び10の特許は特許法29条1項2号の規定に違反してされた特許であり、同法123条1項2号に該当し無効とされるべきである。
以下、この無効理由を「無効理由1」という。

(2)進歩性欠如(審判請求書33?118頁)
訂正前発明1?8及び10は、甲28?36に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1?8及び10の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許であり、同法123条1項2号に該当し無効とされるべきである。
以下、この無効理由を「無効理由2」という。

(3)補足(平成23年6月17日付け上申書4?24頁)
平成23年6月17日付け上申書における、本件訂正発明に関する請求人の主張は次のとおりである。
(3-1)訂正発明3,6及び7について(4?13頁)
訂正後の請求項3は、要するに、
(a)連動演出手段によって演出する連動表示態様を、「各列の表示を演出」するものに特定する点。
(b)「選択された効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であること」を報知するとともに、「前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であること」を報知する点
に特定したものである。
しかし、各列の可変表示の停止に連動して行われる連動表示態様による報知は、P1出願日当時、当業者であれば誰もが知っている構成にすぎないものであって、甲28発明に同構成を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである(甲32(「必勝パチスロファン」1994年増刊7月号)の78頁第2段19?27行目、同頁第4段6?10行目及び79頁「ニューパルサー」の説明並びに甲33(特開平8-173592号公報)の段落【0001】、【0049】、【0051】?【0055】の記載を例示)。
訂正後の請求項6は、訂正後の請求項3に対して、「各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」による報知を追加し、入賞態様に対応する停止表示の種類を報知することを限定したものにすぎない。
したがって、訂正後の請求項3と同様に前記各証拠に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
訂正後の請求項7は、訂正後の請求項3及び請求項6に対して、「連動演出手段は、前記可変表示停止手段によって前記各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する」限定したものである。
したがって、訂正後の請求項3及び請求項6と同様に前記各証拠に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3-2)訂正発明10及び26?28について(13?24頁)
訂正後の請求項10は、要するに、BB,RBを告知するための表示であって、所定の確定パターンを表示することにより、遊技者にその旨を表示するものであり、訂正の根拠となるのは、主に【図53】?【図58】である。
しかし、前記構成は、P2出願日前に公然実施された遊技機「サンダーV」に含まれるものである。遊技機「サンダーV」には、甲27(本件特許に係る発明と「サンダーV」及び「ハナビ」との対照表)に示すとおり、【図58】の確定パターンと同様のプログラムが「BB内部当たり中またはRB内部当たり中にしか出現しない演出一覧」として含まれている。
また、【図53】のデモ抽選テーブル選択テーブルに該当するものや【図54】?【図56】のデモ抽選テーブルに該当するテーブルも甲27の32?35頁に示すように、遊技機「サンダーV」に含まれている。
したがって、訂正発明10は、P2出願日前に公然実施された発明と同一のものであるか、または少なくとも公然実施された発明に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものである。
訂正後の請求項26?28は、訂正前の請求項10(多数項引用形式)を独立形式に改めたものであって、前記デモ抽選テーブル選択テーブルを限定するものである。
しかしながら、前記構成は、P2出願日前に公然実施された遊技機「サンダーV」に含まれる「デモ抽選テーブル選択テーブル」(甲27、32頁参照)と同様であり、したがって、訂正発明26は、P2出願日前に公然実施された発明と同一のものであるか、または少なくとも公然実施された発明に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものである。

2.当審が通知した平成23年4月1日付け無効理由通知の概要
(1)平成22年7月26日付けの訂正請求について(1?3頁)
平成22年7月26日付けの訂正請求のうち、請求項3、6及び7についての訂正請求は認められない蓋然性が高く、請求項10及び26?28についての訂正請求は認められる蓋然性が高い。

(2)請求項3、6、7、10及び26?28に係る発明の認定(3?8頁)
上記(1)のとおり、請求項3、6及び7についての訂正請求は認められない蓋然性が高く、請求項10及び26?28についての訂正請求は認められる蓋然性が高いので、請求項3、6及び7に係る発明は本件特許明細書、請求項10及び26?28に係る発明は平成22年7月26日付けの訂正請求に係る明細書に記載されているとおりのものと仮定して無効理由を通知することとする。
以下では、本件特許明細書に記載されている請求項3、6及び7に係る発明を、上記第2.1.で述べたとおり、それぞれ「訂正前発明3、6及び7」といい、平成22年7月26日付けの訂正請求に係る明細書に記載されている請求項10及び26?28に係る発明を、それぞれ「前回訂正発明10及び26?28」ということとする。

(3)基準日の認定(8?10頁)
本件特許の無効を審理するにあたって、その基準日は、訂正前発明3、6及び7についてはP1出願日(平成9年12月5日)であり、前回訂正発明10及び26?28についてはP2出願日(平成10年8月28日)である。

(4)書証(10?11頁)
請求人が提出した書証である甲28?甲34及び当審で追加する書証である丙1?丙11を利用する。なお、各書証の詳細は後記する。
また、丙5の頒布時期は1998年8月中旬以前であると認められるので、丙5はP2出願日前に頒布された刊行物であるといえる。

(5)訂正前発明3、6及び7の進歩性について(14?25頁)
訂正前発明3は、甲28発明、丙1に開示された構成及び周知技術A?Dに基づき、また、訂正前発明6及び7は、甲28発明、丙1に開示された構成及び周知技術A?Eに基づき、P1出願日当時の当業者が容易に発明をすることができたものである。
以下、この無効理由を「無効理由3」という。

(6)前回訂正発明10及び26?28の進歩性について(25?39頁)
前回訂正発明10及び27は、甲28発明、丙5発明及び周知技術F?Hに基づき、P2出願日当時の当業者が容易に発明をすることができたものである。
前回訂正発明26は、甲28発明、丙5発明及び周知技術F?Iに基づき、P2出願日当時の当業者が容易に発明をすることができたものである。
前回訂正発明28は、甲28発明、丙5発明、周知技術F?H及び周知技術Dに基づき、P2出願日当時の当業者が容易に発明をすることができたものである。
以下、この無効理由を「無効理由4」という。

3.被請求人の主張概要(本件訂正に関するものを除く)
(1)主位的主張と予備的主張
被請求人は、本件無効審判請求書は、特許法131条2項に違反する不適法な審判請求書であるから、同法135条の規定により却下されるべきであると主位的に主張し(平成19年11月5日の答弁書11?15頁、(4))、予備的に以下の主張をしている。
なお、同答弁書12頁及び15頁には「特許法第131条第1項第2号」と記載されているが、被請求人の主張の趣旨からみて「特許法第131条第2項」の誤記と認める。

(2)訂正発明3,6及び7の進歩性について(被請求人意見書4?14頁)
(2-1)訂正発明3について(5?10頁)
本件訂正は認められるから、訂正発明3と甲28発明との相違点Bは、以下のとおりのものとすべきである。
訂正発明3は「報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、」「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、各列の表示を演出して、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段」を有するのに対し、甲28発明は「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」が、ゲームスタート時(訂正発明3の「可変表示が開始されるとき」に相当)に行われる報知と、その後の、各列の可変表示が停止されるのに連動して行われる報知という関係ではない点、及び「適当な音」が、複数の異なる入賞態様に共通したものであるとともに複数の効果音の中の1つの音であるかどうか明らかでない点。
そして、周知技術Bとは、遊技状態に応じて複数の効果音の中の1つの音を発生させることであり、周知技術Cとは、可変表示が開始される時に、ボーナスフラグ又はシングルボーナスフラグが成立したことを共通の音により報知する技術であり、周知技術Dとは、リールの各列が停止するごとに報知を行う技術にすぎないから、いずれの周知技術からも、「可変表示が開始されるとき」と「可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止される」ときとに報知を行うとともに、「可変表示が開始されるとき」の報知は「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」とするという一連の具体的な発想に至ることはない。
訂正発明3は、遊技上の興趣を高める格別の作用効果が奏されるということができるから、上記相違点Bに係る訂正発明3の構成を当業者が容易になし得るということはできない。
また、他にそのような一連の具体的な報知を行うことを開示又は示唆する証拠もない。
平成23年4月1日付け無効理由通知(以下単に「無効理由通知」という。)では、相違点Cについて、
「丙1には、入賞態様決定手段で決定されたビッグボーナスゲーム当選、ボーナスゲーム当選その他の入賞態様に応じ、遊技効果ランプの点灯の有無とリーチ音の発生の有無という異なる複数の報知態様の種類の組合せを選択し報知するとの構成が開示されているということができる。
なぜなら、丙1の段落【0050】に記載されるように、ビッグボーナスゲーム当選の際にのみリーチ音を発生させるとした場合には、ビッグボーナスゲーム当選のときは、遊技効果ランプが点灯するとともにリーチ音も発生し、ボーナスゲーム当選のときは、遊技効果ランプは点灯するもののリーチ音は発生せず、その他のときは、遊技効果ランプは点灯せずリーチ音も発生しないことになるからである。
そうすると、甲28発明に、丙1に開示された上記構成(入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じ、異なる複数の報知態様の種類の組合せを選択し報知するとの構成)を適用するとともに周知技術B?Dを考慮すれば、報知態様選択手段により選択される報知情報について、「音発生手段によって発生される効果音の種類、および連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、」「入賞態様に応じて選択する」との構成を採用し、また、報知する報知情報について、「報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる」との構成を採用すること、すなわち、訂正前発明3の報知態様選択手段等に係る構成を採用することは、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる。」
としている。
しかしながら、丙1に開示された上記構成においては、ビッグボーナスゲームかあるいはボーナスゲームに当選すれば遊技効果ランプは点灯するが、ビッグボーナスゲームが当選していても、2つのリールが停止したときにリーチ状態になっていなければリーチ音は発生しないから、リーチ音が発生しない場合にビッグボーナスゲームではなくボーナスゲームに当選していると確定できない。すなわち、ビッグボーナスゲームに当選したかあるいはボーナスゲームに当選したかを明確に報知することはできないものであり、せいぜい、ビッグボーナスゲームかボーナスゲームかを区別できるだけであるから、「異なる複数の報知態様の種類の組合せを選択し報知する」とはいえない。さらに、訂正発明3では、複数の効果音の中から1つの音を選択し、その後の、各列の可変表示が停止されるのに連動して演出される複数の連動表示態様の中から1つ連動表示態様を選択して、その組合せを報知しているのに対し、丙1では、1種類の遊技効果ランプの点灯と、1種類のリーチ音の発生について、両方の報知をするか、一方の報知をするかにより報知しているだけであるから、相違点Cの判断には影響を及ぼさないものである。
訂正発明3は、遊技上の興趣を高める格別の作用効果が奏されるということができるから、上記相違点Cに係る訂正発明3の構成を当業者が容易になし得るということはできない。
ところで、本件の新たな訂正により、以下の相違点Eが生じることになる。
訂正発明3は「報知態様選択手段により選択された効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることが報知され、効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることが報知される」のに対し、甲28発明は「適当な音」は複数の異なる入賞態様に共通したものとはいえず、「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」との組合せにより1つの入賞態様であることが報知されるものではない点。
相違点Eについても、相違点B及び相違点Cと同様、遊技場の興趣を高める格別の作用効果が奏されるということができるから、上記相違点Eに係る訂正発明3の構成を当業者が容易になし得るということはできない。

(2-2)参考判決について(10?14頁)
参考判決は、主文において、「特許庁が無効2006-80116号事件について平成20年11月19日にした審決中,特許第3069092号の請求項3,請求項6,請求項7,請求項9,請求項18及び請求項25に係る部分を取り消す。」と判示しているので、これについて反論する。
無効2006-80116号審決(以下「別件審決」という。)では、引用発明(本件の甲28発明)の認定を誤っており、正しくは、引用発明は、「前記報知手段は、前記ストップボタン12が押された直後に、前記複数のリール2,3,4の内側に取り付けられているバックライトの点灯パターンを変え、加えて発音装置から適当な音を発生する」ものであり、一致点は、「前記報知手段は、音発生手段と、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段で構成される」点であるから、相違点2及び3についても、引用発明は、「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」が、ゲームスタート時に行われる報知と、その後の、各列の可変表示が停止されるのに連動して行われる報知という関係にはない点、及び「適当な音」が、複数の異なる入賞態様に共通したものではなく、また、複数の効果音の中の1つの音であるかどうか明らかでない点。」、及び「「バックライトの点灯パターン」の種類及び「適当な音」の種類の組合せを選択しているものではない点。」と認定すべきである。
別件審決に対する参考判決では、別件審決の上記認定に基づいて、相違点2及び3が判断されたため、誤った判断がなされたのである。
引用発明には、「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」や、「報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段・・・前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類を、それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類からなる報知情報および連動表示態様の種類からなる報知情報をそれぞれ報知する」構成は記載されていないから、判決のような論理付けを行うことができないことは明らかである。
また、本件の新たな訂正により、連動報知態様の意味が明確となり、引用発明に連動報知態様が開示ないし示唆されていないことが明らかとなったことに加え、さらに新たに生じた相違点Eについては、判決が全く審理していない事項であり、可変表示が開始されるときに複数の入賞態様であることが報知され、各列の可変表示が停止されるごとに入賞態様が順次報知され、すべての可変表示が停止した際に1つの入賞態様であることが報知されることにより、遊技上の興趣を高める格別の作用効果が奏されるのであるから、当業者が容易になし得るということはできない。

(2-3)訂正発明6について(14頁)
訂正発明6は、訂正発明3と比較すると、音発生手段と連動演出手段による報知に加え、「各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」による報知を追加し、入賞態様に対応する停止表示態様の種類を報知することを限定したものである。
したがって、訂正発明3と同様に、各証拠に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2-4)訂正発明7について(14頁)
訂正発明7は、訂正発明3及び訂正発明6に対し、「連動演出手段は、前記可変表示停止手段によって前記各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する」と限定したものである。
したがって、訂正発明3及び訂正発明6と同様に、各証拠に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)訂正発明10及び訂正発明26?28について(同14?25頁)
(3-1)訂正発明10について(14?22頁)
無効理由通知では、訂正発明10と甲28発明との相違点は、訂正前発明6と甲28発明との相違点である相違点A,B’,C’に加え、相違点Dであるとしている。
そして、丙5発明を認定し、丙5発明は相違点A,B’,C’に係る訂正発明10の構成を有しており、相違点Dについても、「報知態様選択手段」が、“遊技状態および入賞態様に応じて組合せ選択用テーブルを参照して演出態様組合せを選択する”構成、及び“ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なる組合せ選択用テーブルが対応”している構成は有しているとし、
甲28発明及び丙5発明がともに有していない訂正発明10の構成は、以下のa.及びb.であり、
a.訂正発明10の「報知態様選択手段」が、「デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」点。
b.訂正発明10の「デモ抽選テーブル選択テーブル」が、「ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではない」点。
a.については、複数のテーブルから1つのテーブルを選択するに際して、テーブル選択用の別のテーブルを参照することは、甲34、丙6、丙7、丙8及び丙9に記載されているように周知技術Fであり、さらに、テーブルを参照して抽選乱数に応じて1つの事象を選択することも例を挙げるまでもなく、周知技術Gであるとともに、甲34、丙6及び丙7においても、選択されたテーブルを参照し乱数に応じたリーチモード等を選択しており、
b.については、丙5発明の「選択率表」では、「ボーナスフラグ成立中」の状態における表しか示されていないが、「ボーナス成立プレイ」の状態においては、「REG」(レギュラーボーナス)又は「BIG」(ビッグボーナス)が成立した場合とで振り分け率の規定が変えてあり、丙10や丙11に記載されているように、ビッグボーナス内部当たり中かレギュラーボーナス内部当たり中かによって、出現する報知態様を一部異ならせることは、周知技術Hであり、
甲28発明と丙5発明は、ともに遊技機(スロットマシン)に関する発明であり、かつ、いずれも入賞態様の種類(丙5発明では成立フラグ)を遊技者に知らせる機能を有する点で共通しているから、甲28発明に丙5発明を適用することは、P2出願日当時の当業者にとって容易であり、
甲28発明に丙5発明を適用する際に、周知技術F及びGを考慮して、丙5発明の「選択率表」に含まれる、「状態」及び「成立フラグ」に応じた“組合せ選択用テーブル”をテーブル選択用の別のテーブルを参照して選択し、かつ、そのようにして選択した“組合せ選択用テーブル”を参照して抽選乱数に応じて「前記2種類のスタート音、前記リール消灯及び前記フラッシュのセット」を選択するようにし、さらに、周知技術Hを考慮して、丙5発明の「選択率表」に含まれる「ボーナスフラグ成立中」の状態における表を「レギュラーボーナスフラグ成立中」の状態における表と「ビッグボーナスフラグ成立中」の状態における表に分けて、少なくとも一部の振り分け率が異なるようにして、上記a.及びb.に係る訂正発明10のような構成とすることは、P2出願日当時の当業者が適宜実施し得るとし、
相違点A、B’、C’及びDに係る訂正発明10の構成は、甲28発明、丙5発明及び周知技術F?Hから、P2出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる、
と説示している。

無効理由通知では、丙5の頒布された時期について、(1)丙5の裏表紙に記載されている発行日は1998年9月10日であるが、この種の雑誌は記載された発行日より前に頒布されることが慣行となっていること、(2)販売業者のホームページによると丙5の発行年月は1998年7月となっていること、(3)丙5の98頁右下にある囲み記事にパチスロ必勝本GOLDに関して「ただいま製作中8月下旬発売予定」と記載されていること、から丙5の頒布時期は1998年8月中旬以前であると認定している。
しかしながら、(1)は単なる慣行のことをいうにすぎず、(2)はホームページに掲載された日が本件出願前であることを主張・立証するものではなく、(3)は「ただいま製作中」の「ただいま」は、丙5の発行日ではなく、丙5の製作中である可能性もあり、また、丙5が1998年8月28日より前に発行されたことを証明するものでもない。
以上のとおり、上記事実のみでは丙5は公知刊行物として認定できないものと思料する。

無効理由通知では、甲28発明と丙5発明は、ともに遊技機(スロットマシン)に関する発明であり、かつ、いずれも入賞態様の種類(丙5発明では成立フラグ)を遊技者に知らせる機能を有する点で共通しているから、甲28発明に丙5発明を適用することは、P2出願日当時の当業者にとって容易であると説示している。
しかしながら、甲28発明は、所定の払出率を維持しつつ、従来よりも遊技者の技術を関与させるようにしてゲームの興趣を向上させた遊技機を提供することが主たる課題であり、段落【0079】に「内部的当選を遊技者に知らせる報知手段を設けてもよい。」と記載されているように、報知手段は付随的なものにすぎない。報知手段は、内部的当選を遊技者に知らせれば課題を解決できるものであって、徐々に入賞態様を報知するという課題は存在しないし、確率的に報知するという課題も存在しない。
これに対して、丙5発明は、2種類のスタート音、リール消灯及びフラッシュのセットを成立フラグに対して選択するチャンスパターンの選択率表を備え、選択率表は、成立フラグに応じて複数用意されているセットの何れを選択するかの振り分け表を規定し、各状態において、成立フラグごとに複数用意されているセットの振り分け率を異ならせるなど、極めて多彩な報知手段を備えるものであって、ゲームの進行に伴って、徐々に入賞態様を報知するというものであり、また、確率的に報知するものであるから、丙5発明の報知手段を、甲28発明の報知手段として適用する動機付けは全くないといえる。

無効理由通知では、b.については、丙5発明の「ボーナス成立プレイ」の状態においては、「REG」又は「BIG」が成立した場合とで振り分け率の規定が変えてあり、丙10や丙11に記載されているように、ビッグボーナス内部当たり中かレギュラーボーナス内部当たり中かによって、出現する報知態様を一部異ならせることは、周知技術Hである旨説示している。
まず、丙5発明の「ボーナス成立プレイ」の状態において、「REG」又は「BIG」が成立した場合とで振り分け率の規定が変えてある点は、上記構成要件とは全く関係のない事項である。
また、丙10及び丙11に開示されている事項は、いずれも、全てのリールが停止した後(2つ目のリールが停止した後で確定するものがあるが)に行われる報知であり、「可変表示が開始されるとき」や「可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるとき」などに、入賞態様ごとに異なる報知態様の組合せで行われる報知ではないから、デモ抽選テーブルに関連のあるものとして認定することはできないし、丙5発明の「選択率表」に適用できる周知技術を認定できるものでもない。

本件の新たな訂正請求により、訂正発明10と甲28発明とは、確定パターンの演出についての相違点Fでも相違する。
このような確定パターンを演出することを示す証拠はないから、訂正発明10の相違点Fは、当業者が容易に想到できるものではない。

(3-2)訂正発明26について(22?23頁)
無効理由通知では、訂正発明26と甲28発明との相違点は、訂正発明10と甲28発明との相違点に対して「連動演出手段」を省いたことによる差に過ぎないとし、甲32から、ボーナスフラグ又はシングルボーナスフラグが成立したことを、可変表示が開始される時の音で報知するとともに、リーチ目、すなわちリールが停止した時の表示でも報知する技術は周知技術Iであるから、相違点は容易である旨説示している。
しかしながら、訂正発明10について示した、(イ) 丙5の公知日について、(ウ) 甲28発明に丙5発明を適用する動機付けについて、及び(エ)b.については、訂正発明26でも同様である。
また、周知技術Iはボーナスフラグの成立を2回報知する技術にすぎないから、訂正発明26の進歩性の判断には影響を及ぼすことのないものである。
したがって、訂正発明26は、訂正発明10と同様に、各証拠に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3-3)訂正発明27について(23?24頁)
無効理由通知では、訂正発明27と甲28発明との相違点B及びCについては、いずれも相違点B’及びC’に対して「停止演出手段」を省いたことによる差に過ぎないとし、丙1に記載されるように、全リール回転開始時の遊技効果ランプの点灯の有無と中リール停止時のリーチ音の発生の有無という異なる複数の報知態様の種類の組合せを選択し報知することが知られているから、相違点B及びCに係る訂正発明27の構成は、甲28発明、丙5発明、丙1記載の事項及び周知技術から容易である旨説示している。
しかしながら、訂正発明10について示した、(イ) 丙5の公知日について、(ウ) 甲28発明に丙5発明を適用する動機付けについて、及び(エ)b.については、訂正発明26でも同様である。
また、丙1記載の事項は、ビッグボーナスゲーム当選とボーナスゲーム当選とを区別する報知をすることがあるとしても、両者を明確に区別する報知ではなく、また、リーチ音はリーチ状態になった場合にのみ報知されるものであり、かつ、中リール停止時にのみ報知するものであるから、訂正発明27の連動報知とは異なり、訂正発明27の進歩性の判断には影響を及ぼすことのないものである。
したがって、訂正発明27は、訂正発明10と同様に、各証拠に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3-4)訂正発明28について(24?25頁)
訂正発明28は、訂正発明27に対して、「音発生手段」に、「前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させる」機能を付加するものである。
したがって、 (イ) 丙5の公知日について、(ウ) 甲28発明に丙5発明を適用する動機付けについて、及び(エ)b.については、訂正発明10と同様であり、甲28発明に丙5発明を適用する動機付けがないことに加え、仮に適用したとしても、訂正発明28とはならない。
また、無効理由通知では、「音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させる」点を相違点Eとして、該相違点Eは、甲28発明に周知技術Dを適用して、当業者が容易に想到し得ることであるとしている。
しかしながら、甲32に記載されているのはボーナスフラグ成立を知らせるために各リールをスベらせる技術であるから、連動報知とともに音を発生させるものではなく、また、甲33に記載されているのは、有効化入賞ライン上に停止したシンボルの音を発生させるものであるから、連動報知とともに予め定められた種類または長さの効果音を発生させるものではない。
よって、周知技術Dは、相違点Eの判断とは関係のない技術であり、相違点Eは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
したがって、訂正発明28は、訂正発明10と同様に、各証拠に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。


第4.当事者の提出した書証及び当審が提示した書証
1.はじめに
この審決においては、上記第2.6.(11)に記載したように「甲第28号証」及び「丙第1号証」を、それぞれ「甲28」及び「丙1」と記載し、「甲第29号証」や「丙第2号証」等についても同様に記載するのに加え、「検甲第1号証」及び「乙第1号証」を、それぞれ「検甲1」及び「乙1」と記載し、「検甲第2号証」及び「乙第2号証」等についても同様に記載することとする。

2.請求人が提出した書証
【平成19年8月20日の審判請求書に添付】
甲1 :特許原簿
甲2 :本件特許公報(特許第3069092号公報)
甲3 :異議2001-70271の特許決定公報
甲4 :P1出願時の明細書及び図面
甲5 :P2出願時の明細書及び図面
甲6 :原出願の公開公報(特開2000-135306号公報)
甲7 :基準日時系列表
甲8 :P1、P2、原出願、本件特許対照表
甲9 :請求項対応表
甲10:東京高裁平成14年(行ケ)539号判決要旨
甲11:早期審査に関する事情説明書
甲12:早期審査に関する報告書
甲13:アルゼ株式会社第26期有価証券報告書
甲14:「サンダーV」のマシン語の出力画面
甲15:「サンダーV」の逆アセンブルの出力画面
甲16:「ハナビ」のマシン語の出力画面
甲17:「ハナビ」の逆アセンブルの出力画面
甲18:「サンダーV」のマシン語プログラム
甲19:「ハナビ」のマシン語プログラム
甲20:「サンダーV」のアセンブルリスト
甲21:「ハナビ」のアセンブルリスト
甲22:アセンブルリスト対照表
甲23:遊技機の取扱説明書(サンダーV)
甲24:「実践!スロッター勝利の掟」の表紙、裏表紙及び44?45頁(2003年4月 株式会社宝島社発行)
甲25:「パチスロ攻略マガジン」の表紙、裏表紙及び8?9頁(平成10年5月1日 株式会社双葉社発行)
甲26:「パチスロ攻略マガジン」の表紙、裏表紙及び10?15頁(平成10年10月1日 株式会社双葉社発行)
甲27:本件特許に係る発明と「サンダーV」及び「ハナビ」との対照表
甲28:特開平8-117390号公報
甲29:特開平7-68027号公報
甲30:特開平9-700号公報
甲31:特開平9-262348号公報
甲32:「必勝パチスロファン」1994年増刊7月号、VOL.25(日本文芸社より発行)
甲33:特開平8-173592号公報
甲34:特開平10-201911号公報
甲35:特開平8-211869号公報
甲36:特開平8-99407号公報
甲37:東京高裁平成15年(行ケ)302号判決
甲38:東京高裁平成8年(行ケ)103号判決
【平成20年1月4日の弁駁書に添付】
甲39:「工業所有権法逐条解説 第13版」表紙、125頁及び奥付(1996年1月1日 社団法人発明協会発行)
甲40:「パチンコ・パチスロ白書 1998?99」表紙、210頁及び奥付(1998年3月20日 現代書林発行)
甲41:「月刊 パチスロ必勝ガイド」1998年4月号、表紙、裏表紙及び4?10頁(株式会社白夜書房発行、平成10年2月23日国会図書館東京本館受入)
甲42:「月刊 パチスロ必勝ガイド」1998年11月号、表紙、裏表紙及び6?10頁(株式会社白夜書房発行、平成10年9月24日国会図書館東京本館受入)
甲43:履歴事項全部証明書(有限会社パティオ)
甲44:http://patio.ocnk.net/(有限会社パティオのインターネットホームページ)
甲45:履歴事項全部証明書(株式会社東プロ)
甲46:http://www.topro-am.jp(株式会社東プロのインターネットホームページ)
甲47:「月刊アミューズメント・ジャーナル」2007年11月号、表紙、裏表紙、64?65頁
甲48:「パチスロ攻略マガジン」1998年8月号、表紙、裏表紙及び72頁(株式会社双葉社発行)
【平成20年1月4日の意見書に添付】
甲49:「月刊 パチスロ必勝ガイド」1998年10月号、表紙及び3?5頁(株式会社白夜書房発行、平成10年8月21日国会図書館東京本館受入)
【平成20年5月21日の上申書に添付】
甲50:平成18年(ワ)第28244号において、被告(本件請求人)が乙15として提出した書類
【平成20年5月30日の上申書に添付】
甲51:田中正彦の陳述書
甲52:田中正彦の陳述書
【平成19年8月20日の審判請求書に添付】
甲53:「サンダーV」の筐体の正面写真(検甲1)
甲54:「サンダーV」の前面扉開口状態の正面写真(検甲2)
甲55:「サンダーV」の開口部拡大正面写真(検甲3)
甲56:「サンダーV」の可変表示部と制御基板の拡大正面写真(検甲4)
甲57:「サンダーV」の制御基板の拡大正面写真(検甲5)
甲58:「サンダーV」の制御基板に実装されたROMの拡大写真(検甲6)
甲59:「ハナビ」の筐体の正面写真(検甲7)
甲60:「ハナビ」の前面扉を開口した内部写真(検甲8)
甲61:「ハナビ」の開口部正面写真(検甲9)
甲62:「ハナビ」の可変表示部と制御基板の拡大正面写真(検甲10)
甲63:「ハナビ」の制御基板の拡大正面写真(検甲11)
甲64:「ハナビ」の制御基板に実装されたROMの拡大写真(検甲12)
甲65:「サンダーV」に実装されたROMを解析中の写真(検甲13)
甲66:「ハナビ」に実装されたROMを解析中の写真(検甲14)

3.被請求人が提出した書証
【平成19年11月6日の答弁書に添付】
乙1 :「サンダーV」の遊技機本体内部の写真
乙2 :「ハナビ」の遊技本体内部の写真
乙3 :「ハナビ」の取扱説明書
【平成20年5月30日の上申書に添付】
乙4 :健全化対策実施要綱
乙5 :四訂版 風営適正化法関係法令集に掲載された保証書の書式
乙6 :サンダーVの販売台数に関する資料
乙7 :サンダーVのパンフレット
乙8 :別所直鋼の陳述書(1)
乙9 :磯山裕一の陳述書
乙10:福田貞夫の陳述書(1)
乙11:並木利夫の陳述書
乙12の1?乙12の16:サンダーVの販売台数(出荷台数)について、被請求人から株式会社メーシー販売への通知書
乙13:売買契約書
乙14:約款
乙15:「回胴式遊技機の機能及び構造等(日電協内規)(案)」 日本電動式遊技機工業協同組合
乙16:「遊技機試験運用細目」 保安電子通信技術協会
乙17:「パチスロ攻略マガジン」1998年4月号 平成10年4月1日、株式会社双葉社発行)
乙18:「最新 パチスロ完全攻略ガイド」平成10年7月1日、辰巳出版株式会社発行
乙19:畠山裕明の陳述書
乙20:福田貞夫の陳述書(2)
乙21:別所直鋼の陳述書(2)
【平成21年6月18日の答弁書に添付】
乙22:無効2006-80116の平成20年4月14日付け訂正請求書
乙23:無効2006-80116の平成20年11月19日付け審決
乙24:「広辞苑第4版」145頁(「一意」の部分、1991年11月15日 株式会社岩波書店発行)
乙25:「工業所有権法逐条解説 第13版」表紙、100?111頁及び奥付(1996年1月1日 社団法人発明協会発行)
乙26:「月刊 パチスロ必勝ガイド」1999年2月号、表紙及び66?67頁(平成10年12月25日国立国会図書館受入)
【平成21年6月26日の上申書に添付】
乙27:別所直鋼の陳述書(3)
乙28:平成13年6月5日付け沖縄本部営業社員からの市場調査の報告、FAX送信文書
乙29:平成12年11月21日付け沖縄本部営業社員からの新規機種「大花火-30」についての稼働率の報告、FAX送信文書
乙30:平成14年5月付けパチスロ機「バベル」売買契約書
乙31:平成12年2?9月におけるパチスロ機「大花火-30」「サンダーV-30」「アステカ-30」の注文書
乙32:塚越繁の陳述書(1)
乙33:塚越繁の陳述書(2)
乙34:弁護士長沢幸男の陳述書(1)
【平成21年7月3日の上申書に添付】
乙35:別所直鋼の陳述書(4)
乙36:風営適正化法関係法令集 四訂版、表紙、85、102、138頁及び奥付(平成16年10月5日 東京法令出版株式会社発行)
乙37:風営適正化法関係法令集 四訂版、表紙、244、277頁及び奥付(平成16年10月5日 東京法令出版株式会社発行)
【平成21年7月8日の上申書に添付】
乙38:弁護士長沢幸男の陳述書(2)
乙39:弁護士長沢幸男の陳述書(3)
【平成22年7月26日の訂正請求書に添付】
乙40:知財高裁平成18年(行ケ)10102号判決(同年12月20日)
乙41:特許・実用新案審査基準第II部第2章1.2.4
乙42:知財高裁平成20年(行ケ)10115号判決(平成21年2月24日)
【平成23年5月11日の意見書に添付】
乙43:請求項3に係る発明に関する両審決の認定の対比

4.当審による無効理由通知で提示した書証
甲28:特開平8-117390号公報
甲29:特開平7-68027号公報
甲30:特開平9-700号公報
甲32:「必勝パチスロファン」1994年増刊7月号、VOL.25、表紙、75?79頁及び裏表紙(日本文芸社発行)
甲33:特開平8-173592号公報
甲34:特開平10-201911号公報
丙 1:特開平6-114140号公報<無効2006-80116の甲5>
丙 2:特開平8-336642号公報<無効2006-80116の甲23>
丙 3:特開平7-100249号公報
丙 4:特開平9-299548号公報<無効2006-80116の甲10>
丙 5:「パチスロ必勝本SPECIAL vol.1」、36?65頁、98頁及び裏表紙(株式会社辰巳書房発行)
丙 6:特開平10-113439号公報
丙 7:特開平10-15175号公報
丙 8:特開平10-15156号公報
丙 9:特開平8-131622号公報
丙10:「パチスロ必勝ガイド」1998年8月号、123?125頁及び裏表紙(株式会社白夜書房発行)
丙11:「パチスロ攻略マガジン」1998年1月号、132?133頁及び裏表紙(株式会社双葉社発行)


第5.本件審判請求についての当審の判断
1.被請求人の主位的主張について
当審は、本件審判請求を却下しない。その理由は以下に述べるとおりである。
第一に、特許法135条は「不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもつてこれを却下することができる。」と定めているところ、「被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、」とある以上、「不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないもの」かどうかの判断は審判合議体に委ねられており、「却下することができる」のであって却下しなければならない旨定めているのではないから、仮に「不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないもの」に該当しても、却下しなければならないものではないから、被請求人が単なる意見として述べるのは可能であるものの、主張として述べることは許されない。
第二に、請求人が主張する無効理由は2つあり、被請求人が不適法かつ補正をすることができないと主張するのは、無効理由1に対してのみである。仮に無効理由1が被請求人主張のとおりであるとしても、無効理由2が不適法な理由でない以上、無効理由1については、その理由により本件特許を無効にできない旨判断し、無効理由2により本件特許を無効にすべきかどうかの判断をすべきである。
第三に、無効理由1が「補正をすることができない」ほど不適法であるとも認めない。被請求人は、優先権効果の主張が認められない理由を具体的に特定しておらず、「後の出願の特許請求の範囲に記載された発明の要旨となる技術的事項」及び「先の出願の当初明細書等に記載された技術的事項の範囲」を具体的に特定していないなどと主張し、そのため、反論の対象を特定できないと主張する。無効理由1が、被請求人が主張するように具体性を欠くことは認めるが、無効理由1は、本件訂正前発明の出願日を優先権との関係で問題とし、P1出願の優先権の効果が認められないことを中核とした無効理由であることは明らかであり、P1出願の優先権の効果が認められない理由やその範囲を具体化することは、特許法131条の2の「要旨を変更するもの」には該当しない。

2.本件訂正発明の認定
上記第2.6.に記載したとおり、本件無効審判の対象となっている請求項3、6、7、10及び26?28に関する訂正事項a?c、e及びg?oは、いずれも適法なものであるので、本件審判請求について当審が判断する本件訂正発明は訂正後の明細書の記載からみて、訂正後の請求項3、6、7、10及び26?28に記載された事項により特定されるとおりのものであり、各請求項に記載された事項は次のとおりである。
【請求項3】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類との組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることが報知され、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることが報知されることを特徴とする遊技機。
【請求項6】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類と、前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類との組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることを報知し、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることを報知するとともに当該入賞態様に対応する前記停止表示態様の種類を報知することを特徴とする遊技機。
【請求項7】 前記連動演出手段は、前記可変表示停止手段によって前記各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出することを特徴とする請求項3または請求項6に記載の遊技機。
【請求項10】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択するものであり、
前記デモ抽選テーブル選択テーブルは、ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではなく、
前記演出態様組合せは、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合にのみ前記報知態様選択手段によって選択される複数の確定パターンを含み、
前記ボーナスは、少なくとも種類の異なる2つのボーナスがあり、
前記確定パターンは、2つのボーナスのうち、一方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第1の確定パターンと、他方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第2の確定パターンと、2つのボーナスのいずれかの当選フラグが成立している場合に選択される第3の確定パターンとを含み、
前記デモ抽選テーブル選択テーブルにより、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合に選択されるデモ抽選テーブルは、当該デモ抽選テーブルに対応づけされた複数の演出態様組合せの一部が前記確定パターンであり、
前記報知態様選択手段は、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合には、前記第1の確定パターン及び前記第2の確定パターンを選択せず前記第3の確定パターンのみを選択するように構成され、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合には、前記第1の確定パターン乃至前記第3の確定パターンを選択しうるように構成されており、
前記報知態様選択手段により複数の前記確定パターンのいずれかが選択される確率は、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合であっていずれの入賞態様が決定された場合には、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合より高いことを特徴とする遊技機。
【請求項26】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択するものであり、
前記デモ抽選テーブル選択テーブルは、ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではないことを特徴とする遊技機。
【請求項27】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択するものであり、
前記デモ抽選テーブル選択テーブルは、ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではないことを特徴とする遊技機。
【請求項28】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択し、
前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させるものであり、
前記デモ抽選テーブル選択テーブルは、ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではないことを特徴とする遊技機。

3.基準日の認定
(1)はじめに
請求人の主張している無効理由1は、上記第3.1.(1)に記載したように、訂正前発明1?8及び10は、P2出願日前に公然実施されたスロットマシン「サンダーV」又は「ハナビ」そのものであるから、特許法29条1項2号に規定する要件を満たしていないというものであり、訂正発明3、6、7、10及び26?28を対象としていると認められる。
また、審判合議体が指摘した無効理由4は、上記第3.2.(6)に記載したように、前回訂正発明10及び26?28は、甲28発明、丙5発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項に規定する要件を満たしていないというものであり、訂正発明10及び26?28を対象としていると認められる。
すなわち、無効理由1は、P1出願日とP2出願日との間に発売されたパチスロ機「サンダーV」を主な証拠とし、無効理由4は、P1出願日とP2出願日との間に頒布された刊行物である丙5である「パチスロ必勝本SPECIAL vol.1」(以下「必勝本SPECIAL」という。)を主な証拠としており、本件訂正発明の基準日が問題となるので、無効理由1及び4の判断に先立ち、無効審判請求の対象となる訂正発明3、6、7、10及び26?28の各々について基準日を認定する。

(2)訂正発明3及び7について
訂正後の請求項3に記載されている構成のうち、基準日の検討が必要なものは、「報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから」なる点、「前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類との組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」点、及び「効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることが報知され、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることが報知される」点である。
そこで検討するに、上記第2.6.(1)に記載したように、P1出願時の明細書の段落【0015】(当審注:本件出願時の明細書の段落【0016】とほぼ同じ)に「可変表示が開始されるときに音発生手段によって発生される効果音の種類,各列の可変表示が停止されるのに連動して連動演出手段によって順次演出される各列の表示態様の種類、および各列の可変表示の全てが停止したときに停止演出手段によって演出される可変表示装置の表示態様の種類の組合せにより、入賞態様を遊技者に報知させると効果的である」と記載され、P1出願時の【図18】によれば、遊技開始音と連動表示態様の組合せのみによって、対応する報知当選フラグは定まるから、さらに付加される停止表示態様は、報知当選フラグとの対応を示す上では必須でない確認的な報知演出に過ぎないことがわかり、同じく段落【0114】(当審注:本件出願時の明細書の段落【0119】とほぼ同じ)にもBBフラグ成立の際の例のみではあるが、同趣旨の記載があるので、音発生手段によって発生される効果音の種類、連動演出手段によって順次演出される各列の表示態様の種類(連動表示態様の種類)及び停止演出手段によって演出される可変表示装置の表示態様の種類(停止表示態様の種類)の組合せから停止表示態様の種類を省略することは、P1出願時の明細書等から明らかな事項であるといえる。
そして、訂正発明3においては「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様」が、可変表示が開始されるときに行われる報知であって、音発生手段によって発生される効果音であること、及び「報知態様とは異なる報知態様」が、可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、連動演出手段によって演出される連動表示態様であることも限定されているので、基準日の検討が必要となる訂正発明3の構成は、いずれもP1出願時の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができる。
よって、訂正発明3及び請求項3を引用する訂正発明7の基準日はP1出願日と認められる。

(3)訂正発明6及び7について
訂正後の請求項6に記載されている構成のうち、基準日の検討が必要なものは、「報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とから」なる点、「前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類と、前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類との組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」点、及び「前記効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることを報知し、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることを報知するとともに当該入賞態様に対応する前記停止表示態様の種類を報知する」点である。
そこで検討するに、上記(2)に示したP1出願時の明細書等の【図18】及び段落【0059】?【0064】(当審注:本件出願時の明細書の段落【0064】?【0069】とほぼ同じ)に記載された実施例は、まさにそのような報知情報、報知態様の組合せ選択及び入賞態様報知となっており、同じく段落【0015】及び【0114】の記載も、そのような実施例の報知情報、報知態様の組合せ選択及び入賞態様報知に即した説明になっている。そのため、基準日の検討が必要となる訂正発明6の構成は、いずれもP1出願時の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができる。
よって、訂正発明6及び請求項6を引用する訂正発明7の基準日はP1出願日と認められる。

(4)訂正発明10について
訂正後の請求項10に記載されている構成のうち、基準日の検討が必要なものは、「報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから」なる点、「連動演出手段」が「可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する」ものである点、報知態様が「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」からなる点及び「報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」点等である。
そこで、「報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」点について検討すると、「デモ抽選テーブル選択テーブル」及び「デモ抽選テーブル」を用いて演出態様組合せを選択する点は、P2出願時の明細書等の段落【0124】?【0208】及び【図28】?【図63】に記載された第2の実施形態において、特に段落【0148】?【0155】、【0166】及び【図53】?【図56】に説明されるものであり、当該第2の実施形態は、P1出願時の明細書等には記載されていない。
よって、訂正後の請求項10に記載されている他の構成の基準日を検討するまでもなく、訂正発明10の基準日はP2出願日以降と認められる。

(5)訂正発明26?28について
訂正発明26?28は、いずれも「デモ抽選テーブル選択テーブル」及び「デモ抽選テーブル」を用いて演出態様組合せを選択する点を発明の構成として含んでいるから、上記(4)で検討したと同様に、他の構成の基準日を検討するまでもなく、訂正発明26?28の基準日はP2出願日以降と認められる。

(6)基準日についての結論
以上によれば、訂正発明3、6及び7については、その基準日はP1出願日(平成9年12月5日)であり、訂正発明10及び26?28については、P2出願日(平成10年8月28日)以降である。
なお、訂正発明10及び26?28の基準日がP2出願日であることについては、被請求人も認めている(平成21年6月18日の答弁書20?21頁、う?お)。

4.訂正発明3、6及び7に対する無効理由1?3について
(1)はじめに
訂正発明3、6及び7の基準日は、上記3.で検討したとおりP1出願日(平成9年12月5日)である。
一方、無効理由1の主な証拠であるパチスロ機「サンダーV」は、審判請求書における請求人の主張(特に27?28頁、7.(4)II.(ii))や請求人が提出した各種証拠(特に甲11)を参酌すれば、平成9年12月24日に販売開始されたものと認められる。
そうすると、P1出願日以降に発売されたパチスロ機「サンダーV」は訂正発明3、6及び7の新規性あるいは進歩性を否定する根拠にはなり得ないから、無効理由1で訂正発明3、6及び7の新規性あるいは進歩性が否定されることはあり得ない。
また、無効理由2と3は、どちらもP1出願日前の刊行物を証拠とする無効理由であって、無効理由3は、無効理由2で進歩性を否定できない構成に対して丙1?丙11を追加したものであるから、無効理由3で無効となれば請求人の目的は達成され、無効理由3で無効とならなければ無効理由2でも無効とならない。
よって、無効理由3について検討し、無効理由1及び2は検討しない。

(2)無効理由3における証拠方法
当審による無効理由通知で証拠方法として提示した甲28?30、32?34及び丙1?11は、上記第4.4.に記載したとおりであるので概略のみ記載する。
甲28:特開平8-117390号公報
甲29:特開平7-68027号公報
甲30:特開平9-700号公報
甲32:「必勝パチスロファン」1994年増刊7月号、VOL.25、p75-79
甲33:特開平8-173592号公報
甲34:特開平10-201911号公報
丙 1:特開平6-114140号公報
丙 2:特開平8-336642号公報
丙 3:特開平7-100249号公報
丙 4:特開平9-299548号公報
丙 5:「パチスロ必勝本SPECIAL vol.1」
丙 6:特開平10-113439号公報
丙 7:特開平10-15175号公報
丙 8:特開平10-15156号公報
丙 9:特開平8-131622号公報
丙10:「パチスロ必勝ガイド」1998年8月号
丙11:「パチスロ攻略マガジン」1998年1月号
なお、訂正発明3、6及び7については、上記3.(2)及び(3)で検討したとおり、基準日がP1出願日と認められるので、甲34、丙5?8、丙10及び丙11は、訂正発明3、6及び7の進歩性を判断する際の証拠にはならない。

(3)甲28発明
甲28発明は、上記第2.6.(11)(11-1)において認定したとおり、以下のものである。
「 乱数をサンプリングし、入賞態様を判定し、その判定結果により可変表示部の可変表示動作を停止制御する制御部と、複数のリール2,3,4で構成され、複数の図柄を可変表示する前記可変表示部と、前記複数のリール2,3,4を一斉に回転させるスタートレバー11と、各リールに対応して設けられ、押圧操作することで対応するリールの回転を停止させることができるストップボタン12,13,14とを備えた遊技機において、
前記制御部は、サンプリングされた乱数が、入賞確率テーブルにおいて、どの入賞態様に属する値になっているかを判定し、それぞれの種類に対応した入賞リクエスト信号を発生し、
入賞と判定された場合には、遊技者が前記ストップボタン12,13,14を操作した時に、入賞の種類に対応したシンボル表示位置に前記複数のリール2,3,4を停止制御するが、可変表示が停止した時にその特定の入賞図柄になるかどうかは、可変表示を停止させる遊技者の操作タイミングに応じて決定され、
ゲーム毎に、前記制御部で判定された入賞態様の種類に応じて、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせる報知手段を設け、
前記報知手段は、前記ストップボタン12が押された直後に、前記複数のリール2,3,4の内側に取り付けられているバックライトの点灯パターンを変え、加えて発音装置から適当な音を発生する遊技機。」

(4)訂正発明3、6及び7の進歩性について
(4-1)訂正発明3と甲28発明の対比
訂正発明3と甲28発明を対比すると、甲28発明の「可変表示部」は、訂正発明3の「可変表示装置」に相当し、以下同様に、
「前記複数のリール2,3,4を一斉に回転させるスタートレバー11」は「この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段」に、
「サンプリングされた乱数」は「抽出された乱数」に、
「入賞確率テーブル」は「確率テーブル」に、
「それぞれの種類に対応した入賞リクエスト信号」は「その属した入賞態様の当選フラグ」に、
「ストップボタン12,13,14」は「遊技者が操作可能な停止ボタン」に、
「前記制御部で判定された入賞態様」は「前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様」に、
「遊技者に知らせる」は「遊技者に報知する」に、
「発音装置」は「音発生手段」に、それぞれ相当する。

また、甲28の記載等から、次のことが言える。
a.甲28発明の「制御部」は、「乱数をサンプリングし、入賞態様を判定し」ており、「乱数をサンプリング」すること、及び「入賞態様を判定」することは、それぞれ訂正発明3の「乱数抽選」を行うこと、及び「遊技の入賞態様を決定する」ことに相当している。
また、甲28発明において、「その判定結果により可変表示部の可変表示動作を停止制御する」ことは、訂正発明3において、「可変表示装置」に「前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する」ことに相当する。
よって、甲28発明の「制御部」及び「可変表示部」は、訂正発明3の「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置」に相当するものといえる。

b.甲28発明は「ストップボタン12,13,14」を押圧操作することで対応するリールの回転を停止させることができるのであるから、訂正発明3の「前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段」に相当する手段を備えているといえる。

c.甲28発明の「入賞確率テーブル」は、甲28の段落【0039】、【0040】及び図4の記載から、入賞態様として大ヒット、中ヒット及び小ヒットの3種類あることが分かるから、甲28発明の「制御部」は、複数の入賞態様からなる入賞確率テーブルを有しているといえる。
また、甲28発明において「入賞リクエスト信号を発生」することは、訂正発明9において「当選フラグを成立させ」ることに相当し、甲28発明及び訂正発明3ともに、入賞リクエスト信号の発生又は当選フラグの成立に際して、同様の処理を行っていることが明らかであるから、甲28発明の「制御部」は、訂正発明3の「複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ」に相当する構成及び機能を備えたものであるといえる。

d.甲28発明において「入賞と判定された場合には、遊技者が前記ストップボタン12,13,14を操作した時に、入賞の種類に対応したシンボル表示位置に前記複数のリール2,3,4を停止制御するが、可変表示が停止した時にその特定の入賞図柄になるかどうかは、可変表示を停止させる遊技者の操作タイミングに応じて決定され」ることと、訂正発明3において「停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない」こととは、表現ぶりが異なるだけで実質的には同様の停止制御ということができる。
そうしてみると、甲28発明は、訂正発明3の「遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行」う「可変表示停止手段」に相当する手段を備えたものであるといえる。

e.甲28発明において「ゲーム毎に」というのは、“遊技者が行う各回のゲームにおいて”ということであり、複数回のゲームにまたがるものではないことを意味している。さらに、甲28発明における「ゲーム」は「スタートレバー11」を操作して開始されるとともに、「ストップボタン12,13,14」を操作し各リールの回転を停止させて行われるものであるから、甲28発明における「ゲーム毎に」は、訂正発明3における「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で」に相当するものといえる。

f.甲28発明において「入賞態様の種類に応じて、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせる」ことは、訂正発明3において「入賞態様に対応した報知情報を」「遊技者に報知する」ことに相当するから、訂正発明3と甲28発明は「前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段」を備える点で一致しているといえる。

g.甲28発明の「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」は報知態様が異なるといえるから、甲28発明と訂正発明3は“報知情報が、一報知態様による報知と、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記一報知態様とは異なる報知態様による報知とからなる”点では共通している。

h.甲28発明において「前記ストップボタン12が押された直後に、前記複数のリール2,3,4の内側に取り付けられているバックライトの点灯パターンを変え」ることは、訂正発明3の「前記可変表示停止手段によって」「前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する」ことに相当するから、甲28発明と訂正発明3の「報知手段」は“音発生手段と、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段で構成される”点で共通している。

よって、訂正発明3と甲28発明は、
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、一報知態様による報知と、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記一報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、音発生手段と、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段で構成される遊技機。」の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点A]訂正発明3は「報知情報を所定確率で遊技者に報知する」のに対し、甲28発明は「どの種類の入賞役に当たり易い状態であるか(訂正発明3の「報知情報」に相当)」を所定確率で遊技者に知らせるものではない点。

[相違点B]訂正発明3は「報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知」とからなるとともに、「報知手段」が「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段」を有するのに対し、甲28発明は「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」が、可変表示が開始されるときに行われる報知と、その後の、各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知という関係ではない点、及び「適当な音」が、複数の異なる入賞態様に共通したものであるとともに複数の効果音の中の1つの音であるか明らかでない点。

[相違点C]訂正発明3の「報知手段」は「前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類との組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」を有するのに対し、甲28発明は「バックライトの点灯パターン」及び「適当な音」の組合せを選択しているか明らかでない点。

[相違点D]訂正発明3は「効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることが報知され、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることが報知される」のに対し、甲28発明は「適当な音」及び「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」との組合せにより、そのような入賞態様であることが報知されるものではない点。

(4-2)訂正発明3と甲28発明との相違点についての判断
[相違点Aについて]
甲29(特開平7-68027号公報)の段落【0020】には「・・・次にS3に進み、ランダム3カウンタのカウント値を読出す処理が行なわれる。このランダム3カウンタは、0からカウントアップしてその上限である2までカウントアップした後再度0からカウントアップし直すものである。そして、読出されたカウント値が0のときにS4に進み、大当り予告1を行なうためのフラグがセットされる。ランダム3カウンタの値が1のときにはS5に進み、リーチ予告を行なうためのフラグがセットされる。・・・ランダム3カウンタの値が2のときにはS6に進み、予告なしの状態となり、直接S11に進む。・・・」と記載されており、大当り予告1を1/3の確率で行うものであることが分かる。
また、甲30(特開平9-700号公報)の段落【0049】には「ここで、大当り予告は、C RND YOKでそれを実行するか否かが決定され、同時にその予告の方法も決定される。・・・」と、段落【0057】には「・・・遊技状態は、大当りが事前決定されていない遊技状態(図中「大当り以外」)、大当りが事前決定されておりかつ始動入賞記憶数が2以上である遊技状態(図中「大当り・始動記憶2以上」)、および大当りが事前決定されておりかつ始動入賞記憶数が1以下の遊技状態(図中「大当り・始動記憶1以下」)の3種類に分類されている。」と、段落【0059】には「遊技状態が「大当り・始動記憶2以上」である場合には、C RND YOKとの抽出値、「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」?「99」の場合には、特別の音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「100」?「199」の場合には、キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「200」?「449」の場合には、音およびキャラクタの両方による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「450」?「899」の場合には、大当り予告の報知をしない。」と、段落【0060】には「遊技状態が「大当り・始動記憶1以下」の場合には、C RND YOKと、「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」?「224」の場合には、特別の音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「225」?「449」の場合には、キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「450」?「899」の場合には、大当り予告の報知をしない。」と記載されており、大当りが事前決定されている遊技状態において、大当り予告の報知を450/900(1/2)の確率で行うものであることが分かる。
これらの記載等からみて、入賞に関する報知情報を所定確率で遊技者に報知することは、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術A」という。)であるといえる。
そして、甲29の段落【0008】及び甲30の段落【0013】に、スロットマシンを対象としても良い旨記載されていることを考え合わせると、甲28発明に周知技術Aを適用して、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを所定確率で遊技者に知らせるようにして、相違点Aに係る訂正発明3の構成とすることは、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる。

[相違点Bについて]
甲29(特開平7-68027号公報)の段落【0020】に「・・・このS8の処理を行うに際し、前記S4により大当り予告1を行なうためのフラグがセットされている場合には、レール飾りランプ21と飾りLED41とを可変表示装置の可変開始時から点滅させ、スピーカ37から大当り予告音を発生させ、大当り状態が発生することを事前に予告報知し、S5 によるリーチ予告のフラグがセットされている場合は飾りLED41を可変開始時から点滅させるとともにスピーカ37からリーチ予告音を発生する。・・・」と記載され、甲30(特開平9-700号公報)の段落【0101】に「・・・その音作成手段は、表示結果内容事前決定手段により表示結果内容を特定の表示態様に相当するものにする決定が行なわれた場合に、通常の遊技状態において作成する効果音等と異なる特別の音を作成し、その作成した特別の音を、図10等に示されるように音発生手段から発生させる。」と記載されているように、遊技状態に応じて複数の効果音の中の1つの音を発生させることは、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術B」という。)であるといえる。
また、甲32(「必勝パチスロファン」1994年増刊7月号)の78?79頁に記載されているフラグ成立を知らせる方法に関する事項(特に、78頁3段目「●音が鳴る」の項及び79頁下段中央「ロイヤルタカシ-RT」の項参照)から、スタートレバーをたたいた時、すなわち、可変表示開始手段によって可変表示が開始される時に、ボーナスフラグ又はシングルボーナスフラグが成立したことを共通の音により報知する技術は、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術C」という。)であるといえる。
さらに、甲32の78?79頁に記載されているフラグ成立を知らせる方法に関する事項(特に、78頁4段目「●リールがスベる」の項及び79頁下段左「スーパーヘビーメタルA」の項参照)や、甲33(特開平8-173592号公報)の段落【0001】及び【0049】?【0055】に記載されている事項からみて、リールの各列が停止するごとに報知を行う技術は、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術D」という。)であるといえる。
そうすると、甲28発明に周知技術B?Dを適用して、スタートレバー11の操作時にBB(ビッグボーナス)又はNB(ノーマルボーナス)が当たっている場合、それらに共通の音であって複数の効果音の中の1つの音により報知するとともに、ストップボタン12,13,14が押圧操作されて、リール2,3,4のうちの少なくとも1つが停止する時に、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせるようにして、相違点Bに係る訂正発明3の構成とすることは、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる。

[相違点Cについて]
丙1(特開平6-114140号公報)には、上記第2.6.(11)(11-3)[相違点3について]の項において摘記した記載があり、以下には摘記した段落番号のみを示す。
【0001】、【0041】、【0044】、【0050】。
これらの記載によると、丙1には、入賞態様決定手段で決定されたビッグボーナスゲーム当選、ボーナスゲーム当選その他の入賞態様に応じ、遊技効果ランプの点灯の有無とリーチ音の発生の有無という異なる複数の報知態様の種類の組合せを選択し報知するとの構成(以下「丙1に開示された構成」という。)が開示されているということができる。
なぜなら、丙1の段落【0050】に記載されるように、ビッグボーナスゲーム当選の際にのみリーチ音を発生させるとした場合には、ビッグボーナスゲーム当選のときは、遊技効果ランプが点灯するとともにリーチ音も発生し、ボーナスゲーム当選のときは、遊技効果ランプは点灯するもののリーチ音は発生せず、その他のときは、遊技効果ランプは点灯せずリーチ音も発生しないことになるからである。
そうすると、甲28発明に、丙1に開示された構成(入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じ、異なる複数の報知態様の種類の組合せを選択し報知するとの構成)を適用するとともに周知技術B?Dを考慮すれば、異なる複数の報知態様の種類の組合せを選択し報知するに際して、「発音装置」から発生する音の種類と、「バックライトの点灯パターン」の種類との組合せを、決定された入賞態様に応じて選択するようにして、報知態様選択手段に係る訂正発明3のような構成とすることは、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得たものというべきである。

[相違点Dについて]
上記[相違点Cについて]の項で検討したとおり、丙1の段落【0044】の記載によれば、ビッグボーナスあるいはボーナス当選した場合、まず遊技効果ランプ24を点灯開始させる処理がなされることが分かる。
また、同段落【0050】の記載等によれば、ビッグボーナスゲーム当選の際にのみリーチ音を発生させるとした場合には、ビッグボーナスゲーム当選のときは、遊技効果ランプが点灯するとともにリーチ音も発生し、ボーナスゲーム当選のときは、遊技効果ランプは点灯するもののリーチ音は発生せず、その他のときは、遊技効果ランプは点灯せずリーチ音も発生しないことになるのであるから、丙1には、遊技効果ランプ点灯の有無によりビッグボーナスあるいはボーナス当選が報知され、前記遊技効果ランプ点灯の有無とその後のリーチ音発生の有無により、ビッグボーナスゲーム当選か、ボーナスゲーム当選か、その他であるかが報知されるものが記載されているといえる。
そして、甲32(「必勝パチスロファン」1994年増刊7月号)に記載されるように、可変表示開始時や、リール停止時に音を発生したり、表示を変化させたりして入賞に関する報知を行うことは、従来常套の手段であるから、甲28発明に丙1に開示された構成を適用するに際して、遊技効果ランプ点灯の有無を効果音の種類に代え、リーチ音発生の有無をリール停止時における表示態様の種類に代えて、相違点Dに係る訂正発明3のような構成とすることは、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる。

[まとめ]
訂正発明3の作用効果も、甲28発明、丙1に開示された構成及び周知技術A?Dから、P1出願日当時の当業者が予測できる範囲内のものであるから、訂正発明3は、甲28発明、丙1に開示された構成及び周知技術A?Dに基づき、P1出願日当時の当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4-3)訂正発明6と甲28発明の対比
訂正発明6は、訂正発明3に対して、概略可変表示の全てが停止したときに停止演出を行う構成を追加したものであって、詳細には以下の点で異なっている。
a.「報知手段」に「前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」を追加。
b.「報知態様選択手段」が選択する組合せを「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せ」から「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」へと変更。
そうしてみると、訂正発明6と甲28発明との一致点は、訂正発明3と甲28発明との一致点と同一であり、相違点は次のとおりである。
なお、訂正発明3と甲28発明との相違点と実質的に同一なものについては、[相違点A]といった表記をそのまま用い、同様の相違点ではあるが変更のあるものについては[相違点B’]のようにダッシュを付して表記する。

[相違点A]訂正発明6は「報知情報を所定確率で遊技者に報知する」のに対し、甲28発明は「どの種類の入賞役に当たり易い状態であるか(訂正発明6の「報知情報」に相当)」を所定確率で遊技者に知らせるものではない点。

[相違点B’]訂正発明6は「報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなる」とともに、「報知手段」が「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」を有するのに対し、甲28発明は「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」が、可変表示が開始されるときに行われる報知と、その後の、各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知という関係ではない点、「適当な音」が、複数の異なる入賞態様に共通したものであるとともに複数の効果音の中の1つの音であるか明らかでない点及び各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段を有していない点。

[相違点C’]訂正発明6の「報知手段」は「前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類と、前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類との組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」を有するのに対し、甲28発明は「バックライトの点灯パターン」及び「適当な音」の組合せを選択しているか明らかでない点。

[相違点D’]訂正発明6は「効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることを報知し、前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることを報知するとともに当該入賞態様に対応する前記停止表示態様の種類を報知する」のに対し、甲28発明は「適当な音」及び「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」との組合せにより、1つの入賞態様であることが報知されるものではない点及び入賞態様に対応する停止表示態様の種類を報知するものではない点。

(4-4)訂正発明6と甲28発明との相違点についての判断
[相違点Aについて]
訂正発明6と甲28発明との相違点Aは、訂正発明3と甲28発明との相違点Aと実質的に同じなので、上記(4-2)[相違点Aについて]の項で述べたと同様の理由により、相違点Aに係る訂正発明6の構成は、甲28発明及び周知技術Aに基づき、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得る。

[相違点B’について]
相違点B’は、訂正発明3と甲28発明との相違点Bに対して、「報知手段」に「各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」が付加されている点で異なる。
そこで、この点について検討すると、甲32(「必勝パチスロファン」1994年増刊7月号)の78頁3段目の「ボーナスフラグが成立して、そのゲームで絵柄をそろえられないと、3本目のリールを止めた瞬間、リールを照らしているライト(バックライトがパッパッパッと走るように見える。」という記載、甲33(特開平8-173592号公報)の段落【0055】?【0057】の記載及び丙4(特開平9-299548号公報)の段落【0014】等の記載からみて、全部のリールが停止したときに、入賞態様に応じたライトや音の演出を行うことは、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術E」という。)であるといえる。
そして、相違点B’のその他の部分については、上記(4-2)[相違点Bについて]の項で述べたとおり、甲28発明に周知技術B?Dを適用して、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることであるから、相違点B’も甲28発明に周知技術B?Eを適用して、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる。

[相違点C’について]
相違点C’は、訂正発明3と甲28発明との相違点Cに対して、相違点Cでは「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せ」であったものを「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」としている点で異なる。
そこで、この点について検討すると、上記[相違点B’について]の項で述べたとおり、全部のリールが停止したときに、入賞態様に応じたライトや音の演出を行うことは、遊技機の分野において従来周知の技術(周知技術E)である。
そして、相違点C’のその他の部分については、上記(4-2)[相違点Cについて]の項で述べたとおり、甲28発明に丙1に開示された構成を適用するとともに周知技術B?Dを考慮すれば、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることであるから、相違点C’も甲28発明に丙1に開示された構成を適用するとともに周知技術B?Eを考慮すれば、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる。

[相違点D’について]
相違点D’は、訂正発明3と甲28発明との相違点Dに対して、「当該入賞態様に対応する前記停止表示態様の種類を報知する」点が付加されている点で異なる。
そこで、この点について検討すると、上記[相違点B’について]の項で述べたとおり、全部のリールが停止したときに、入賞態様に応じたライトや音の演出を行うことは、遊技機の分野において従来周知の技術(周知技術E)である。
そして、相違点D’のその他の部分については、上記(4-2)[相違点Dについて]の項で述べたとおり、甲28発明に周知技術B?Dを適用して、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることであるから、相違点D’も甲28発明に周知技術B?Eを適用して、P1出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる。

[まとめ]
訂正発明6の作用効果も、甲28発明、丙1に開示された構成及び周知技術A?Eから、P1出願日当時の当業者が予測できる範囲内のものであるから、訂正発明6は、甲28発明、丙1に開示された構成及び周知技術A?Eに基づき、P1出願日当時の当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、訂正発明6は特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4-5)訂正発明7について
訂正発明7は、訂正発明3又は6と実質的に同一である。
そうすると、訂正発明3は上記(4-2)で検討したとおり、甲28発明、丙1に開示された構成及び周知技術A?Dに基づき、また、訂正発明6は上記(4-4)で検討したとおり、甲28発明、丙1に開示された構成及び周知技術A?Eに基づいて、P1出願日当時の当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正発明7も、甲28発明、丙1に開示された構成及び周知技術A?D、又は甲28発明、丙1に開示された構成及び周知技術A?Eに基づいて、P1出願日当時の当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4-6)訂正発明3、6及び7の進歩性に関する被請求人の反論について
上記第3.3.(2)(2-1)に記載したように、被請求人は、周知技術B?Dのいずれからも、「可変表示が開始されるとき」と「可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止される」ときとに報知を行うとともに、「可変表示が開始されるとき」の報知は「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」とするという一連の具体的な発想に至ることはないと反論している(被請求人意見書6?8頁、5.II.(1)ア(ウ))。
しかし、可変表示が開始されるときの報知と、可変表示停止手段によって可変表示が停止するときの報知を組み合わせて入賞態様に応じた報知を行うという発想は、上記(4-2)[相違点Cについて]の項や、上記第2.6.(11)(11-3)[相違点3について]の項で述べたように、丙1(特開平6-114140号公報)に開示されているから、甲28発明、丙1に開示された構成及び周知技術B?Dを合わせ考えれば、被請求人のいう上記一連の具体的な発想に至ることは当業者にとって容易なことと判断される。
また、同じく上記第3.3.(2)(2-1)に記載したように、被請求人は、丙1に開示された構成では、「リーチ音が発生するかしないかはリーチ状態によるのであり,リーチ状態になるか否かはあらかじめ決定できないものであるから,「異なる複数の報知態様の種類の組合せを選択し報知する」とはいえない。」と反論している(被請求人意見書6?8頁、5.II.(1)ア(オ)の後段)。
しかし、この反論に関しては、上記第2.6.(11)(11-3)[相違点4について]の項で述べたように、丙1に開示された構成は、「異なる複数の報知態様の種類の組合せを選択し報知する」ものであるということができる。

5.訂正発明10及び26?28に対する無効理由4について
(1)はじめに
無効理由1は、パチスロ機「サンダーV」を証拠とする無効理由であり、無効理由4は、無効理由3で主たる引用文献とした甲28及びパチスロ機「サンダーV」に関する記事を掲載した刊行物である丙5を主たる証拠とする無効理由である。
そして、無効理由4で無効となれば請求人の目的は達成されるので、まず、無効理由4から検討し、無効理由4で無効とならない請求項に係る発明についてのみ、無効理由1及び2を検討することとする。

(2)無効理由4おける証拠方法
当審による無効理由通知で証拠方法として提示した甲28?30、32?34及び丙1?11は、上記第4.4.及び上記4.(2)に記載したとおりであるので、概略のみ記載する。
甲28:特開平8-117390号公報
甲29:特開平7-68027号公報
甲30:特開平9-700号公報
甲32:「必勝パチスロファン」1994年増刊7月号
甲33:特開平8-173592号公報
甲34:特開平10-201911号公報
丙 1:特開平6-114140号公報
丙 2:特開平8-336642号公報
丙 3:特開平7-100249号公報
丙 4:特開平9-299548号公報
丙 5:「パチスロ必勝本SPECIAL vol.1」p36-65、p98等
丙 6:特開平10-113439号公報
丙 7:特開平10-15175号公報
丙 8:特開平10-15156号公報
丙 9:特開平8-131622号公報
丙10:「パチスロ必勝ガイド」1998年8月号
丙11:「パチスロ攻略マガジン」1998年1月号

(3)丙5の頒布された時期について
上記書証のうち、丙5(パチスロ必勝本SPECIAL vol.1)については、その裏表紙に記載されている発行日からは、丙5の頒布時期がP2出願日より前か後か特定できないので、頒布時期について検討を行うこととする。
丙5の裏表紙に記載されている発行日は1998年9月10日であるが、(1)この種の雑誌は記載された発行日より前に頒布されることが慣行となっていること、(2)販売業者のホームページによると丙5の発行年月は1998年7月となっていること(ジェイブック株式会社及びヤフー株式会社参照)、並びに(3)丙5の98頁右下にある囲み記事にパチスロ必勝本GOLDに関して「ただいま製作中8月下旬発売予定」と記載されていることを勘案すると、丙5の頒布時期は1998年8月中旬以前であると認められる。
よって、丙5はP2出願前に頒布された刊行物であるといえる。

被請求人は上記第3.3.(3)(3-1)に記載したとおり、(1)は単なる慣行のことをいうにすぎず、(2)はホームページに掲載された日が本件出願前であることを主張・立証するものではなく、(3)は「ただいま製作中」の「ただいま」は、丙5の発行日ではなく、丙5の製作中である可能性もあり、また、丙5が1998年8月28日より前に発行されたことを証明するものでもないから、上記事実のみでは丙5は公知刊行物として認定できないものと思料すると主張している。
しかし、特に(3)に関しては、8月下旬に頒布する雑誌において、同じ出版社で扱っている他の雑誌について「8月下旬発売予定」と紹介することは有り得ないことであり、「ただいま製作中」の「ただいま」が、丙5の発行日ではなく、丙5の製作中である可能性もあるという被請求人の主張は当を得ない。
そして、上記3つの事実を総合すると、丙5の頒布時期が1998年8月下旬以降でないことは明らかである。

(4)甲28発明
甲28発明は、上記第2.6.(11)(11-1)において認定したとおり、以下のものである。
「 乱数をサンプリングし、入賞態様を判定し、その判定結果により可変表示部の可変表示動作を停止制御する制御部と、複数のリール2,3,4で構成され、複数の図柄を可変表示する前記可変表示部と、前記複数のリール2,3,4を一斉に回転させるスタートレバー11と、各リールに対応して設けられ、押圧操作することで対応するリールの回転を停止させることができるストップボタン12,13,14とを備えた遊技機において、
前記制御部は、サンプリングされた乱数が、入賞確率テーブルにおいて、どの入賞態様に属する値になっているかを判定し、それぞれの種類に対応した入賞リクエスト信号を発生し、
入賞と判定された場合には、遊技者が前記ストップボタン12,13,14を操作した時に、入賞の種類に対応したシンボル表示位置に前記複数のリール2,3,4を停止制御するが、可変表示が停止した時にその特定の入賞図柄になるかどうかは、可変表示を停止させる遊技者の操作タイミングに応じて決定され、
ゲーム毎に、前記制御部で判定された入賞態様の種類に応じて、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせる報知手段を設け、
前記報知手段は、前記ストップボタン12が押された直後に、前記複数のリール2,3,4の内側に取り付けられているバックライトの点灯パターンを変え、加えて発音装置から適当な音を発生する遊技機。」

(5)訂正発明10及び26?28の進歩性について
(5-1)訂正発明10と甲28発明の対比
訂正発明10は、訂正発明6に対して、概略「報知態様選択手段」をデモ抽選テーブル及びデモ抽選テーブル選択テーブルで構成した点及び「演出態様組合せ」がボーナス入賞した場合及びボーナス内部当たり中である場合にのみ選択される複数の確定パターンを含む点を追加したものであって、詳細には以下の点で異なっている。
a.訂正発明6では「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」であるのに対し、訂正発明10は単に「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」である点。
b.訂正発明6では「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し、各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段」であるのに対し、訂正発明10は「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」である点。
c.訂正発明6では「前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類と、前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類との組合せ」であるのに対し、訂正発明10は「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」である点。
d.「報知態様選択手段」が「デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択するもの」である点を追加。
e.「デモ抽選テーブル選択テーブル」が「ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではない」ものである点を追加。
f.「演出態様組合せ」が「遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合にのみ前記報知態様選択手段によって選択される複数の確定パターンを含む」点を追加。
g.「ボーナスは、少なくとも種類の異なる2つのボーナスがあり、前記確定パターンは、2つのボーナスのうち、一方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第1の確定パターンと、他方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第2の確定パターンと、2つのボーナスのいずれかの当選フラグが成立している場合に選択される第3の確定パターンとを含む」点を追加。
h.「デモ抽選テーブル選択テーブルにより、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合に選択されるデモ抽選テーブルは、当該デモ抽選テーブルに対応づけされた複数の演出態様組合せの一部が前記確定パターンである」点を追加。
i.「報知態様選択手段」が「遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合には、前記第1の確定パターン及び前記第2の確定パターンを選択せず前記第3の確定パターンのみを選択するように構成され、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合には、前記第1の確定パターン乃至前記第3の確定パターンを選択しうるように構成されている」点を追加。
j.「報知態様選択手段により複数の前記確定パターンのいずれかが選択される確率は、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合であっていずれの入賞態様が決定された場合には、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合より高い」点を追加。
そうしてみると、訂正発明10と甲28発明との一致点は、訂正発明6と甲28発明との一致点と同一であり、相違点は次のとおりである。
なお、上記4.(4)(4-4)に記載した、訂正発明6と甲28発明との相違点A、相違点B’及び相違点C’に類似する相違点を、それぞれ相違点a、相違点b’及び相違点c’と表記し、その他の相違点は相違点e?jと表記する。

[相違点a]訂正発明10は「報知情報を所定確率で遊技者に報知する」のに対し、甲28発明は「どの種類の入賞役に当たり易い状態であるか(訂正発明10の「報知情報」に相当)」を所定確率で遊技者に知らせるものではない点。

[相違点b’]訂正発明10は「報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなる」とともに、「報知手段」が「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」を有するのに対し、甲28発明は「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」が、可変表示が開始されるときに行われる報知と、その後の、可変表示が停止されるのに連動して行われる報知という関係ではない点、及び「適当な音」が、複数の異なる入賞態様に共通したものであるとともに複数の効果音の中の1つの音であるか明らかでない点。

[相違点c’]訂正発明10の「報知手段」は「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」を有するのに対し、甲28発明は「バックライトの点灯パターン」及び「適当な音」の組合せを選択しているか明らかでない点。

[相違点e]訂正発明10は「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択するものであり、前記デモ抽選テーブル選択テーブルは、ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではない」ものであるのに対し、甲28発明は、そのような構成を有していない点。

[相違点f]訂正発明10は「演出態様組合せ」が「遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合にのみ前記報知態様選択手段によって選択される複数の確定パターンを含む」ものであるのに対し、甲28発明は、そのような構成を有していない点。

[相違点g]訂正発明10は「ボーナスは、少なくとも種類の異なる2つのボーナスがあり、前記確定パターンは、2つのボーナスのうち、一方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第1の確定パターンと、他方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第2の確定パターンと、2つのボーナスのいずれかの当選フラグが成立している場合に選択される第3の確定パターンとを含む」ものであるのに対し、甲28発明は、そのような構成を有していない点。

[相違点h]訂正発明10は「デモ抽選テーブル選択テーブルにより、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合に選択されるデモ抽選テーブルは、当該デモ抽選テーブルに対応づけされた複数の演出態様組合せの一部が前記確定パターンである」のに対し、甲28発明は、そのような構成を有していない点。

[相違点i]訂正発明10は「報知態様選択手段」が「遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合には、前記第1の確定パターン及び前記第2の確定パターンを選択せず前記第3の確定パターンのみを選択するように構成され、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合には、前記第1の確定パターン乃至前記第3の確定パターンを選択しうるように構成されている」ものであるのに対し、甲28発明は、そのような構成を有していない点。

[相違点j]訂正発明10は「報知態様選択手段により複数の前記確定パターンのいずれかが選択される確率は、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合であっていずれの入賞態様が決定された場合には、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合より高い」ものであるのに対し、甲28発明は、そのような構成を有していない点。

(5-2)訂正発明10と甲28発明との相違点についての判断
(5-2-1)丙5に開示されている発明
丙5には、パチスロ機サンダーVについて、以下の各記載又は図示がある。
ア.37頁2段目4?11行に「その最大の魅力となっているのが、単なるフラグ告知に留まらないサンダーVならではのチャンスパターンだ。消灯やフラッシュといったバックライトを使った視覚による演出に加え、2種類のスタート音によって聴覚までも刺激。それらが複雑に絡み合い、常に期待感を持ってプレイする事ができるのである。」との記載がある。
イ.38頁2?3段目に「サンダーVが大ヒットしている最大の要因が、リーチ目や告知を超越したとまで言われているチャンスパターンだ。これは、アルゼ系メーカーが2号機の時代から採用しているバックライト(・・・)を使ったリール消灯&フラッシュと、パチスロ史上初の2種類のスタート音によって構成され、それぞれの絡みによってフラグ成立を告知するというもの。 大別すると現在大流行している告知台になるのだが、他とは決定的に違うのがボーナスフラグ不成立時でもチャンスパターンが発生するという事。その組み合わせも膨大で、これによって常に期待を持ってプレイできるようになっているのだ。」との記載がある。
ウ.38頁上部に「ゲームの流れ」と記載され、その左側の囲み欄に「レバーを叩く」、「予告音が鳴った?」、「リールランプが消灯」、「1つ消灯 2つ消灯 3つ消灯」、「フラッシュした」及び「チャンスの数だけ期待度アップ」という記載とともに、「予告音が鳴った?」の下のYESを示す矢印の先、「3つ消灯」の下のYESを示す矢印の先及び「フラッシュした」の下のYESを示す矢印の先に「チャンス」の表記がある。
エ.38頁下部の囲み欄に「レバーを叩いた瞬間…」、「どちらかの音が鳴るぞ!」及び「普通はスタート音(リールが回転を始める時の効果音)は1種類なのだが、サンダーVでは2種類のスタート音が用意されている。そして、普段とは違う派手なスタート音が鳴った場合には(低音で聞きづらいのが難点)単なる効果音ではなく、何らかのフラグが成立している可能性が高い。だからこそ予告音という事になるのだ。」との各記載がある。
オ.39頁上部の囲み欄に「ストップボタンを押すと対応したリールのバックライトが消える。これがリール消灯で、消えれば消えるほど(当たり前だが、最高で3つまで)ボーナスフラグ成立の可能性もアップ。全部消えて何も揃わなければ期待してもイイぞ。」との記載がある。
カ.39頁中段に「各リールの上?下段、計9個のバックライトによって繰り広げられるイリュージョンが、サンダーV最大の魅力であるフラッシュだ。フラッシュは全部で8パターンあり、各々が概ね成立しているフラグ(小役からボーナスまで)に対応。派手なフラッシュほど、ボーナスフラグ成立の可能性が高くなっているぞ。
キ.41頁右上に「リール消灯パーフェクト解説 1消→2消→3消と期待感アップ」と題して、「リールが停止した瞬間、意味有りげにリール照明が消えるというリール消灯。」との記載がある。
ク.42頁の2段目に「左の表から分かるように、通常時とボーナスフラグ成立中を比べると圧倒的にボーナスフラグ成立中の方が予告音の鳴る割合が高くなっている。」と記載され、その右の囲み欄に「ボーナス成立プレイでの予告音」と題して、レギュラーボーナス成立プレイで予告音の鳴る確率が51.5%、ビッグボーナス成立プレイで予告音の鳴る確率が51.5%であることが示されるとともに、「▲ボーナス成立プレイでは約50%の確率で予告音が発生する。これは他の状態よりも格段に高くなっているのだ。」と記載されている。
ケ.43頁上部に「下表は、解析から判明した成立フラグに対するチャンスパターンの選択率表。リール消灯、フラッシュ、予告音はそれぞれバラバラに選択されるのではなくセットになっているのだ。」との記載がある。
コ.43頁下部に「完全網羅!!解析から判明したチャンスパターンの全て!」と題するチャンスパターンの選択率表が掲載され、同表は「ボーナスフラグ成立中」の状態、「ボーナスフラグ不成立時」の状態及び「ボーナス成立プレイ」の状態に分けて、成立フラグに応じて複数用意されている「予告音」(「予告者」と記載されているが誤記と認める。)、「リール消灯」及び「フラッシュパターン」のセットの何れを選択するかの「振り分け率(%)」を規定していることが示され、さらに、上記各状態においては、成立フラグ毎に複数用意されている前記セットの振り分け率が異なっていることも示されている。
サ.45頁中段に「JACゲームでのチャンスパターン」及び「BIG中小役ゲームでのチャンスパターン」と題する表が示されており、43頁の表同様、「予告音」、「リール消灯」及び「フラッシュパターン」が「振り分け率(%)」とともに示されている。

さらに、上記の記載等から以下のことがいえる。
a.上記ウ.に記載した38頁上部左側のゲームの流れに関する囲み欄とともに、上記イ.エ.の記載を合わせ考えると、このパチスロ機は、“レバーを叩くことによってリールが回転を始め、ストップボタンを押すとリールが停止して行われる1回のゲームの中で、バックライトを使ったリール消灯及びフラッシュと、レバーを叩いた瞬間にどちらかが鳴る2種類のスタート音の絡みによってフラグ成立を告知する”ものであると認められ、また、「リール消灯」としてはバックライトが消える場合と消えない場合の2パターンがあり、「フラッシュ」は3つのリールが停止したときに発生するものと認められる。
b.43頁下部の上記チャンスパターンの選択率表から、REGのフラグが成立している場合にのみ選択されるチャンスパターン“♪・1・星屑”及び“♪・2・V字”があること、BIGのフラグが成立している場合にのみ選択されるチャンスパターン“♪・0・稲妻”、“♪・1・V字”及び“♪・2・星屑”があること、REG・BIGいずれかのフラグが成立している場合に選択されるチャンスパターン“-・3・竜巻”、“-・3・星屑”、“♪・0・W反転”、“♪・1・竜巻”、“♪・2・W反転”、“♪・2・竜巻”、“♪・3・星屑”、“♪・3・V字”、“♪・3・直線”、“♪・3・竜巻”及び“♪・3・W字”が含まれていることが分かる。
c.43頁下部の上記チャンスパターンの選択率表から、REG又はBIGのフラグが成立したボーナス成立プレイの状態である場合、及びボーナスフラグ成立中の状態である場合の各成立フラグに対応するチャンスパターンは、その一部がREGのフラグが成立している場合にのみ選択されるチャンスパターン、BIGのフラグが成立している場合にのみ選択されるチャンスパターン又はREG・BIGいずれかのフラグが成立している場合に選択されるチャンスパターンであることが分かる。

上記ア?サの記載及び図示並びに上記a?cの認定事項によると、丙5には、
「パチスロ機であって、
レバーを叩くことによってリールが回転を始め、ストップボタンを押すとリールが停止して行われる1回のゲームの中で、バックライトを使ったリール消灯及びフラッシュと、レバーを叩いた瞬間にどちらかが鳴る2種類のスタート音の絡みによってフラグ成立を告知し、
前記2種類のスタート音のうちの予告音はレギュラーボーナス成立プレイ及びビッグボーナス成立プレイに共通して約50%の確率で発生し、前記バックライトを使ったリール消灯は前記ストップボタンを押すと発生し、前記フラッシュは3つのリールが停止したときに発生するものであって、前記リール消灯は前記バックライトが消える場合と消えない場合の2パターン、前記フラッシュは全部で8パターンがあり、
前記2種類のスタート音、前記リール消灯及び前記フラッシュのセットを成立フラグに対して選択するチャンスパターンの選択率表を備え、
前記選択率表は、ボーナスフラグ成立中の状態、ボーナスフラグ不成立時の状態及びボーナス成立プレイの状態に分けて、成立フラグに応じて複数用意されている前記セットの何れを選択するかの振り分け率を規定し、
前記各状態においては、成立フラグ毎に複数用意されている前記セットの振り分け率が異なっており、
前記チャンスパターンは、前記ボーナス成立プレイの状態である場合、及び前記ボーナスフラグ成立中の状態である場合にのみ選択される複数のチャンスパターンを含み、
前記ボーナスフラグにはREGとBIGがあり、
前記ボーナス成立プレイの状態である場合、及び前記ボーナスフラグ成立中の状態である場合にのみ選択される複数のチャンスパターンは、REGのフラグが成立している場合にのみ選択されるチャンスパターンと、BIGのフラグが成立している場合にのみ選択されるチャンスパターンと、REG・BIGいずれかのフラグが成立している場合に選択されるチャンスパターンとを含み、
前記ボーナス成立プレイの状態である場合、及び前記ボーナスフラグ成立中の状態である場合の各成立フラグに対応するチャンスパターンは、その一部が前記REGのフラグが成立している場合にのみ選択されるチャンスパターン、前記BIGのフラグが成立している場合にのみ選択されるチャンスパターン又は前記REG・BIGいずれかのフラグが成立している場合に選択されるチャンスパターンであるパチスロ機。」
の発明(以下「丙5発明」という。)が開示されていると認められる。

(5-2-2)丙5発明と各相違点に係る訂正発明10の構成との関係
そこで、丙5発明と相違点a、b’、c’及びe?jに係る訂正発明10の構成との関係について検討する。
[相違点aに係る構成との関係]
丙5発明の「レバーを叩くことによってリールが回転を始め、ストップボタンを押すとリールが停止して行われる1回のゲーム」は、訂正発明10の「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技」に相当し、丙5発明の「フラグ」は入賞態様を判別するものであり、「リール消灯」、「フラッシュ」及び「スタート音」は、訂正発明10の「報知情報」に相当するものといえるから、丙5発明において「バックライトを使ったリール消灯及びフラッシュと、レバーを叩いた瞬間にどちらかが鳴る2種類のスタート音の絡みによってフラグ成立を告知」することは、訂正発明10において「決定された入賞態様に対応した報知情報」を遊技者に報知することに相当する。
また、丙5発明がどのフラグを成立させるかを決定する手段(訂正発明10の「入賞態様決定手段」に相当)を備えることは明らかであり、さらに、丙5発明の「チャンスパターンの選択率表」等からみて、フラグ成立の告知が所定確率で行われることも明らかであるから、丙5発明は、訂正発明10の「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段」に相当する手段を備えているといえる。

[相違点b’の「報知情報」 に係る構成との関係]
丙5発明において「2種類のスタート音のうちの予告音はレギュラーボーナス成立プレイ及びビッグボーナス成立プレイに共通して約50%の確率で発生」し、予告音でない方のスタート音も同様の確率で発生するのであるから、2種類のスタート音は訂正発明10の「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」に相当するものといえる。
また、丙5発明において「リール消灯はストップボタンを押すと発生し、フラッシュは3つのリールが停止した後に発生する」ものであって、「リール消灯」及び「フラッシュ」ともに、「2種類のスタート音」とは異なる報知態様であるから、丙5発明は、訂正発明10の「前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり」に相当する構成を有しているということができる。

[相違点b’の「報知手段」 に係る構成との関係]
丙5発明の「2種類のスタート音」は、訂正発明10の「複数の効果音」に相当するとともに、「レバーを叩いた瞬間にどちらかが鳴る」のであるから、丙5発明は訂正発明10の「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段」に相当する手段を有しているといえる。
また、丙5発明において「リール消灯はストップボタンを押すと発生し、フラッシュは3つのリールが停止したときに発生する」から、丙5発明の「リール消灯」及び「フラッシュ」は、それぞれ訂正発明10の「連動表示態様」及び「停止表示態様」に相当し、丙5発明の「リール消灯」及び「フラッシュ」には、それぞれ複数の態様(「リール消灯」についてはバックライトが消える場合と消えない場合の2パターン、「フラッシュ」については8パターン)があるから、丙5発明は訂正発明10の「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」に相当する手段を有しているといえる。

[相違点c’に係る構成との関係]
丙5発明の「前記2種類のスタート音、前記リール消灯及び前記フラッシュのセット」が、2種類のスタート音と2パターンのリール消灯及び8パターンのフラッシュのうちから、それぞれ1つずつ組合せたものを意味することは明らかであるから、該セット及びそれと同義の「チャンスパターン」は訂正発明10の「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」に相当するものといえる。
また、丙5発明においては「2種類のスタート音、前記リール消灯及び前記フラッシュのセット」を、チャンスパターンの選択率表を備えて、成立フラグ(訂正発明10の「入賞態様決定手段で決定された入賞態様」に相当)に対して選択しているから、丙5発明は訂正発明10の「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」に相当する手段をその構成の一部としているものといえる。

[相違点eの「報知態様選択手段」に係る構成との関係]
丙5発明の「ボーナスフラグ成立中の状態」、「ボーナスフラグ不成立時の状態」及び「ボーナス成立プレイの状態」は、訂正発明10の「遊技状態」に相当し、また丙5発明の「前記2種類のスタート音、前記リール消灯及び前記フラッシュのセット」及び「チャンスパターン」は、訂正発明10の「演出態様組合せ」にも相当しているといえる。
そして、丙5発明の「選択率表」は、上記3つの状態に分けて、成立フラグ(訂正発明10の「入賞態様」に相当)に応じて複数用意されている「2種類のスタート音、前記リール消灯及び前記フラッシュのセット」の何れを選択するかの振り分け率を規定しているから、丙5発明は、「前記2種類のスタート音、前記リール消灯及び前記フラッシュのセット」を選択するに際して、選択率表におけるその時の状態と成立フラグが対応する部分のテーブルを参照していることは明らかであり、かつ、該テーブルと訂正発明10の「デモ抽選テーブル」は、いずれも“組合せ選択用テーブル”ということができるから、丙5発明と訂正発明10は“報知態様選択手段は、遊技状態および入賞態様に応じて組合せ選択用テーブルを参照して演出態様組合せを選択する”点で共通しているといえる。

[相違点eの「デモ抽選テーブル選択テーブル」に係る構成との関係]
丙5発明の「選択率表」は、「ボーナスフラグ成立中」の状態、「ボーナスフラグ不成立時」の状態及び「ボーナス成立プレイ」の状態に分けられているところ、丙5には、これら3つの状態以外の状態として、「JACゲーム」及び「BIG中小役ゲーム」が示され(上記サ.を参照)、これらは、訂正発明10における「ボーナス・ゲーム作動中」の遊技状態に相当するから、丙5発明における上記3つの状態は、訂正発明10における「ボーナス・ゲーム作動中を除く遊技状態」に相当する。
そして、丙5発明は、上記3つの状態においては、成立フラグ毎に複数用意されている前記セットの振り分け率が異なっているから、前項で述べた丙5発明の“組合せ選択用テーブル”は、成立フラグ毎に異なっているということができる。
そうしてみると、丙5発明と訂正発明10は“ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なる組合せ選択用テーブルが対応”している点で共通しているといえる。

[相違点fに係る構成との関係]
丙5発明の「ボーナス成立プレイの状態である場合」及び「ボーナスフラグ成立中の状態である場合」は、それぞれ訂正発明10における「遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合」及び「遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合」に相当することが明らかであるから、丙5発明における「前記ボーナス成立プレイの状態である場合、及び前記ボーナスフラグ成立中の状態である場合にのみ選択される複数のチャンスパターン」は、訂正発明10における「遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合にのみ前記報知態様選択手段によって選択される複数の確定パターン」に相当するものといえる。
そして、上記[相違点eの「報知態様選択手段」に係る構成との関係]の項で述べたように、丙5発明の「チャンスパターン」は、訂正発明10の「演出態様組合せ」に相当しているから、丙5発明は、訂正発明10の「前記演出態様組合せは、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合にのみ前記報知態様選択手段によって選択される複数の確定パターンを含み」に相当する構成を有しているということができる。

[相違点gに係る構成との関係]
丙5発明の「ボーナスフラグ」にはREGとBIGがあるから、丙5発明は訂正発明10における「前記ボーナスは少なくとも種類の異なる2つのボーナスがあり」に相当する構成を有するものといえる。
そして、丙5発明の「REGのフラグが成立している場合にのみ選択されるチャンスパターン」、「BIGのフラグが成立している場合にのみ選択されるチャンスパターン」及び「REG・BIGいずれかのフラグが成立している場合に選択されるチャンスパターン」は、それぞれ訂正発明10における「一方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第1の確定パターン」、「他方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第2の確定パターン」及び「2つのボーナスのいずれかの当選フラグが成立している場合に選択される第3の確定パターン」に相当することが明らかであるから、丙5発明は、訂正発明10の「前記確定パターンは、2つのボーナスのうち、一方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第1の確定パターンと、他方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第2の確定パターンと、2つのボーナスのいずれかの当選フラグが成立している場合に選択される第3の確定パターンとを含み」に相当する構成を有しているということができる。

[相違点hに係る構成との関係]
上記[相違点fに係る構成との関係]の項で述べた、丙5発明における構成と訂正発明10における構成との相当関係及び上記[相違点eの「報知態様選択手段」に係る構成との関係]の項で述べた事項とを考え合わせると、丙5発明と訂正発明10は“遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合の組合せ選択用テーブルは、当該組合せ選択用テーブルに対応づけされた複数の演出態様組合せの一部が前記確定パターンである”点で共通しているといえる。

[相違点iに係る構成との関係]
訂正発明10においては、「遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合には、前記第1の確定パターン及び前記第2の確定パターンを選択せず前記第3の確定パターンのみを選択するように構成」され、かつ「遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合には、前記第1の確定パターン乃至前記第3の確定パターンを選択しうるように構成」されている。
これに対して、丙5発明においては、丙5の43頁下部に掲載されているチャンスパターンの選択率表から分かるように、「ボーナスフラグ成立中の状態である場合」は、REGのフラグ成立中とBIGのフラグ成立中に分かれていないため、その場合に「REGのフラグが成立している場合にのみ選択されるチャンスパターン」又は「BIGのフラグが成立している場合にのみ選択されるチャンスパターン」が選択されることは有り得ない。
また、同選択率表から、丙5発明の「ボーナス成立プレイの状態である場合」においては、REGのフラグが成立した場合には、「前記ボーナス成立プレイの状態である場合、及び前記ボーナスフラグ成立中の状態である場合にのみ選択される複数のチャンスパターン」(訂正発明10の「複数の確定パターン」に相当)のうち、“♪・1・星屑”、“♪・2・V字”、“♪・3・星屑”及び“♪・3・V字”が選択される可能性があり、BIGのフラグが成立した場合には、同「複数のチャンスパターン」のうち、“♪・0・稲妻”、“♪・1・V字”、“♪・2・星屑”、“♪・3・星屑”及び“♪・3・V字”が選択される可能性があることが分かるが、このうち“♪・1・星屑”及び“♪・2・V字”は、REGのフラグが成立している場合にのみ選択されるチャンスパターン(訂正発明10の「第1の確定パターン」に相当)であり、“♪・0・稲妻”、“♪・1・V字”及び“♪・2・星屑” は、BIGのフラグが成立している場合にのみ選択されるチャンスパターン(訂正発明10の「第2の確定パターン」に相当)である。
そうしてみると、丙5発明は上記相違点iに係る構成を備えていない。

[相違点jに係る構成との関係]
訂正発明10においては、「前記報知態様選択手段により複数の前記確定パターンのいずれかが選択される確率は、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合であっていずれの入賞態様が決定された場合には、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合より高い」ものとなっている。
これに対して、丙5発明では、丙5の43頁下部に掲載されているチャンスパターンの選択率表から、「ボーナスフラグ成立中の状態である場合」において「前記ボーナス成立プレイの状態である場合、及び前記ボーナスフラグ成立中の状態である場合にのみ選択される複数のチャンスパターン」(訂正発明10の「複数の確定パターン」に相当)が選択される確率は、成立フラグが「ハズレ」の時32/128、「チェリー」の時18/128、「ベル」の時40/128、「スイカ」の時44/128、「リプレイ」の時32/128であり、「ボーナス成立プレイの状態である場合」において同「複数のチャンスパターン」が選択される確率は、REGのフラグが成立した時25/128、BIGのフラグが成立した時29/128となっている。
すなわち、「ボーナスフラグ成立中の状態である場合」において成立フラグが「チェリー」の時に同「複数のチャンスパターン」が選択される確率は、「ボーナス成立プレイの状態である場合」において同「複数のチャンスパターン」が選択される確率より低くなっている。
よって、丙5発明は上記相違点jに係る構成を備えていない。

[まとめ]
以上のとおりであるから、丙5発明は、訂正発明10と甲28発明との相違点のうち、相違点a、b’、c’、f及びgの構成を有し、相違点eについては、「報知態様選択手段」が“遊技状態および入賞態様に応じて組合せ選択用テーブルを参照して演出態様組合せを選択する”構成、及び“ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なる組合せ選択用テーブルが対応”している構成を有している点、相違点hについては、“遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合の組合せ選択用テーブルは、当該組合せ選択用テーブルに対応づけされた複数の演出態様組合せの一部が前記確定パターンである”点では共通しているといえる。

(5-2-3)甲28発明及び丙5発明がともに有していない訂正発明10の構成
上記(5-2-2)で検討した丙5発明と各相違点に係る訂正発明10の構成との関係に基づけば、甲28発明及び丙5発明がともに有していない訂正発明10の構成として、以下の点が挙げられる。

a.訂正発明10の「報知態様選択手段」が、「デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」点。

b.訂正発明10の「デモ抽選テーブル選択テーブル」が、「ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し、かつ、ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては、入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではない」点。

c.訂正発明10の「報知態様選択手段」が、「遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合には、前記第1の確定パターン及び前記第2の確定パターンを選択せず前記第3の確定パターンのみを選択するように構成され、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合には、前記第1の確定パターン乃至前記第3の確定パターンを選択しうるように構成」されている点。

d.訂正発明10の「前記報知態様選択手段により複数の前記確定パターンのいずれかが選択される確率は、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合であっていずれの入賞態様が決定された場合には、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合より高い」点。

(5-2-4)上記a.?d.の点についての検討
[a.の点についての検討]
丙5発明の「選択率表」に含まれる、状態及び成立フラグ(訂正発明10の「遊技状態および入賞態様」に相当)に応じた“組合せ選択用テーブル”は、丙5の43頁下部に記載されている表を見れば分かるように、「振り分け率(%)」は、それぞれ「整数/128」を%表示したものとなっており、割り当てられている振り分け率の総和は100%となっている。
また、複数のテーブルから1つのテーブルを選択するに際して、テーブル選択用の別のテーブルを参照することは、例えば、甲34(特開平10-201911号公報、特に、段落【0107】?【0112】及び【表5】?【表11】)、丙6(特開平10-113439号公報、特に、段落【0055】?【0058】及び【表23】?【表24】)、丙7(特開平10-15175号公報、特に、段落【0087】?【0098】及び【表5】?【表11】)、丙8(特開平10-15156号公報、特に、段落【0045】?【0054】及び【図5】?【図6】)、及び丙9(特開平8-131622号公報、特に、段落【0037】)に記載されているように、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術F」という。)である。
さらに、テーブルを参照して抽選乱数に応じて1つの事象を選択することも例を挙げるまでもなく、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術G」という。)であるとともに、甲34、丙6及び丙7においても、選択されたテーブルを参照し乱数に応じたリーチモード等を選択している。

[b.の点についての検討]
丙5発明の「選択率表」では、「ボーナスフラグ成立中」の状態における表しか示されておらず、「レギュラーボーナスフラグ成立中」の状態における表と「ビッグボーナスフラグ成立中」の状態における表とを分けてはいないが、「ボーナス成立プレイ」の状態においては、「REG」(レギュラーボーナス)又は「BIG」(ビッグボーナス)が成立した場合とで振り分け率の規定が変えてあること、例えば、丙10(「パチスロ必勝ガイド」1998年8月号、123?125頁)や丙11(「パチスロ攻略マガジン」1998年1月号、132?133頁)に記載されているように、ビッグボーナス内部当たり中かレギュラーボーナス内部当たり中かによって、出現する報知態様を一部異ならせることは、スロットマシンの分野において従来周知の技術(以下「周知技術H」という。)である。

[c.及びd.の点についての検討]
訂正発明10は、「報知態様選択手段」が、「遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合には、前記第1の確定パターン及び前記第2の確定パターンを選択せず前記第3の確定パターンのみを選択するように構成され、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合には、前記第1の確定パターン乃至前記第3の確定パターンを選択しうるように構成」されているとともに、「前記報知態様選択手段により複数の前記確定パターンのいずれかが選択される確率は、遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合であっていずれの入賞態様が決定された場合には、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合より高い」点の構成を有しているのに対し、甲28発明及び丙5発明はこれらの構成を有しておらず、また、他にこれらの構成に類する構成を有する証拠を見出すこともできない。
そして、訂正発明10は、遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合よりも、その後の遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合において、確定パターンが現れる確率を高めることにより、ボーナス・ゲームを作動させられない状態で遊技を行った場合の方がボーナスの内部当たり中であることをより確実に報知できるという効果があり、さらに、ボーナスが入賞態様となった場合には入賞したボーナスの種類が不明な第3の確定パターンのみを出現させ、ボーナスの内部当たり中である場合においては入賞したボーナスの種類が分かる第1、第2の確定パターンが出現する場合もあるという効果があるので、ボーナス・ゲームを作動させられない状態で遊技を進めれば進めるほどボーナスの種類が判明し易いという格別な作用効果を奏するものといえる。

(5-2-5)甲28発明、丙5発明及び周知技術を総合しての判断
甲28発明と丙5発明は、ともに遊技機(スロットマシン)に関する発明であり、かつ、いずれも入賞態様の種類(丙5発明では成立フラグ)を遊技者に知らせる機能を有する点で共通しているから、甲28発明に丙5発明を適用することは、P2出願日当時の当業者にとって容易である。
また、上記(5-2-3)及び(5-2-4)における検討を総合すると、甲28発明に丙5発明を適用する際に、周知技術F及びGを考慮して、丙5発明の「選択率表」に含まれる、「状態」及び「成立フラグ」に応じた“組合せ選択用テーブル”をテーブル選択用の別のテーブルを参照して選択し、かつ、そのようにして選択した“組合せ選択用テーブル”を参照して抽選乱数に応じて「前記2種類のスタート音、前記リール消灯及び前記フラッシュのセット」を選択するようにし、さらに、周知技術Hを考慮して、丙5発明の「選択率表」に含まれる「ボーナスフラグ成立中」の状態における表を「レギュラーボーナスフラグ成立中」の状態における表と「ビッグボーナスフラグ成立中」の状態における表に分けて、少なくとも一部の振り分け率が異なるようにして、上記a.及びb.に係る訂正発明10のような構成とすることは、P2出願日当時の当業者が適宜実施し得る。
そして、上記(5-2-2)で検討したとおり、丙5発明は、訂正発明10と甲28発明との相違点a、b’、c’及びe?jのうち、相違点a、b’、c’、f及びgに係る訂正発明10の構成を有しており、相違点eについては、「報知態様選択手段」が“遊技状態および入賞態様に応じて組合せ選択用テーブルを参照して演出態様組合せを選択する”構成、及び“ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては、入賞態様毎に異なる組合せ選択用テーブルが対応”している構成を有している点、相違点hについては、“遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合、及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合の組合せ選択用テーブルは、当該組合せ選択用テーブルに対応づけされた複数の演出態様組合せの一部が前記確定パターンである”点では共通しているといえるから、相違点a、b’、c’及びe?hに係る訂正発明10の構成は、甲28発明、丙5発明及び周知技術F?Hから、P2出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる。
しかし、相違点i及びjに係る構成は、甲28発明、丙5発明、周知技術F?H及びその他の証拠に記載された事項に示されるものではなく、また、訂正発明10は、該相違点i及びjに係る構成によって、上記(5-2-4)[c.及びd.の点についての検討]に記載したとおり、ボーナス・ゲームを作動させられない状態で遊技を進めれば進めるほどボーナスの内部当たり中であることをより確実に報知でき、かつ、ボーナスの種類が判明し易いという格別の作用効果を奏するものということができる。
よって、訂正発明10は、甲28発明、丙5発明、周知技術F?H及びその他の証拠に記載された事項に基づいて、P2出願日当時の当業者が容易に発明できたものとはいえない。
以上のとおりであるので、訂正後の請求項10の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許ということはできない。

(5-3)訂正発明26と甲28発明の対比
訂正発明26は、訂正発明10に対して、「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」を削除するとともに、「報知態様選択手段」を「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」ものから、「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」ものへと変更し、また、上記相違点f?jに係る構成を削除したものである。
そうしてみると、訂正発明26と甲28発明との一致点は、訂正発明10と甲28発明との一致点と同一である。
また、訂正発明26と甲28発明との相違点についてみると、訂正発明26と訂正発明10との上記の関係から、訂正発明10と甲28発明との相違点a、b’、c’及びeと同様の相違点があり、このうち相違点a及びeについては実質的に同一、相違点b’については 「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」を削除したものとなり、相違点c’については 「報知態様選択手段」を「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」ものから、「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」ものへと変更したものとなる。
そこで、相違点b’及び相違点c’に対応する訂正発明26と甲28発明との相違点を、それぞれ相違点b”及び相違点c”と表記することとする。

(5-4)訂正発明26と甲28発明との相違点についての判断
[相違点a及び相違点eについて]
訂正発明26と甲28発明との相違点a及びeは、訂正発明10と甲28発明との相違点a及びeと実質的に同じなので、上記(5-2)(5-2-5)の項で述べたと同様の理由により、相違点a及び相違点eに係る訂正発明26の構成は、甲28発明、丙5発明及び周知技術F?Hから、P2出願日当時の当業者が容易に想到し得る。

[相違点b”及び相違点c”について]
相違点b”及び相違点c”については、いずれも相違点b’及び相違点c’に対して「連動演出手段」を省いたことによる差に過ぎない。
しかも、甲32(「必勝パチスロファン」1994年増刊7月号)の78?79頁に記載されているフラグ成立を知らせる方法に関する事項(特に、78頁3段目「●音が鳴る」の項及び79頁下段中央「ロイヤルタカシ-RT」の項に記載されている事項並びに78頁3段目「●バックライトが走る」の項の「どの機種にも一応リーチ目があるので念のために覚えておこう。」という記載参照)に関する記載からも分かるように、ボーナスフラグ又はシングルボーナスフラグが成立したことを、可変表示が開始される時の音で報知するとともに、リーチ目、すなわちリールが停止した時の表示でも報知する技術は、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術I」という。)であるといえる。
周知技術Iは、可変表示が開始される時の音による報知内容とリールが停止した時の表示による報知内容が異なるものではないが、報知タイミングとして、可変表示が開始される時とリールが停止した時を選択しているから、可変表示が開始されるときと、少なくとも1列の前記可変表示が停止されるときと、前記可変表示の全てが停止したときに演出を行う丙5発明において可変表示が開始されるときと、前記可変表示の全てが停止したときに演出を行うようにすることを想起させる技術として利用可能である。
よって、上記(5-2)(5-2-2)及び(5-2-5)の項で述べた事項を考え合わせると、相違点b”及び相違点c”に係る訂正発明10の構成は、甲28発明、丙5発明及び周知技術F?Iから、P2出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる。

[まとめ]
訂正発明26の作用効果も、甲28発明、丙5発明及び周知技術F?Iから、P2出願日当時の当業者が予測できる範囲内のものであるから、訂正発明26は、甲28発明、丙5発明及び周知技術F?Iに基づき、P2出願日当時の当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5-5)訂正発明27と甲28発明の対比
訂正発明27は、訂正発明10に対して、「前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」を削除するとともに、「報知態様選択手段」を「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」ものから、「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」ものへと変更するものである。
そうしてみると、訂正発明27と甲28発明との一致点は、訂正発明10と甲28発明との一致点と同一である。
また、訂正発明27と甲28発明との相違点についてみると、訂正発明27と訂正発明10との上記の関係から、訂正発明10と甲28発明との相違点a、b’、c’及びeと同様の相違点があり、このうち相違点a及びeについては実質的に同一、相違点b’については 「前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」を削除したものとなり、相違点c’については 「報知態様選択手段」を「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」ものから、「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」ものへと変更したものとなる。
そうすると、相違点b’及び相違点c’に対応する訂正発明27と甲28発明との相違点は、実質的に訂正発明3と甲28発明との相違点B及び相違点C(上記4.(4)(4-1)参照)と同一となるから、訂正発明27と甲28発明との相違点を、それぞれ相違点a、相違点b、相違点c及び相違点eと表記する。

(5-6)訂正発明27と甲28発明との相違点についての判断
[相違点a及び相違点eについて]
訂正発明27と甲28発明との相違点a及びeは、訂正発明10と甲28発明との相違点a及びeと実質的に同じなので、上記(5-2)(5-2-5)の項で述べたと同様の理由により、相違点a及び相違点eに係る訂正発明27の構成は、甲28発明、丙5発明及び周知技術F?Hから、P2出願日当時の当業者が容易に想到し得る。

[相違点b及び相違点cについて]
また、相違点b及び相違点cについては、いずれも相違点b’及び相違点c’に対して「停止演出手段」を省いたことによる差に過ぎない。
しかも、上記4.(4)(4-2)[相違点Cについて]の項で述べたように、丙1(特開平6-114140号公報)に記載されるように、入賞態様決定手段で決定されたビッグボーナスゲーム当選、ボーナスゲーム当選その他の入賞態様に応じ、遊技効果ランプの点灯の有無(点灯時期は、図10及びその説明から、全リール回転開始とほぼ同時である。)とリーチ音の発生の有無(発生時期は、図11及びその説明から、中リールの停止とほぼ同時である。)という異なる複数の報知態様の種類の組合せを選択し報知することが知られている。
よって、上記(5-2)(5-2-2)及び(5-2-5)の項で述べた事項を考え合わせると、相違点b及び相違点cに係る訂正発明27の構成は、甲28発明、丙5発明、丙1記載の事項及び周知技術F?Hから、P2出願日当時の当業者が容易に想到し得ることといえる。

[まとめ]
訂正発明27の作用効果も、甲28発明、丙5発明、丙1記載の事項及び周知技術F?Hから、P2出願日当時の当業者が予測できる範囲内のものであるから、訂正発明27は、甲28発明、丙5発明、丙1記載の事項及び周知技術F?Hに基づき、P2出願日当時の当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5-7)訂正発明28と甲28発明の対比
訂正発明28は、訂正発明27に対して、「音発生手段」に、「前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させる」機能を付加するものである。
そして、甲28発明の「発音装置」(訂正発明28の「音発生手段」に相当)は、「ストップボタン12が押された直後に、前記複数のリール2,3,4の内側に取り付けられているバックライトの点灯パターンを変え」るのに加えて、適当な音を発生するのであり、その発生タイミングがバックライトの点灯パターンを変えているときであることは明らかであるとともに、適当な音が「予め定められた種類または長さの効果音」となることも当然であるから、両者は“連動演出手段によって表示が演出されるときに、予め定められた種類または長さの効果音を発生させる”点でも一致している。
そうしてみると、訂正発明28と甲28発明との一致点は、訂正発明27と甲28発明との一致点及び“連動演出手段によって表示が演出されるときに、予め定められた種類または長さの効果音を発生させる”点である。
また、訂正発明28と甲28発明との相違点についてみると、訂正発明28と訂正前発明3又は6との上記の関係から、訂正発明27と甲28発明との相違点a?c及びeと対応する相違点を有し、さらに次の相違点kがある。
なお、相違点k以外は、実質的に訂正発明27と甲28発明との相違点と同一であるから、それぞれ相違点a?c及びeと表記する。
[相違点k]訂正発明28は「前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させる」ものであるのに対し、甲28発明は、バックライトの点灯パターンを変えるのは、1回のゲームにおいては、「ストップボタン12が押された直後」だけであって、バックライトの点灯パターンを変える毎に、適当な音を発生するものではない点。

(5-8)訂正発明28と甲28発明との相違点についての判断
[相違点a?c及びeについて]
訂正発明28と甲28発明との相違点a?c及びeは、訂正発明27と甲28発明との相違点a?c及びeと同一なので、上記(5-6)の項で述べたと同様の理由により、相違点a?c及びeに係る訂正発明28の構成は、甲28発明、丙5発明、丙1記載の事項及び周知技術F?Hから、P2出願日当時の当業者が容易に想到し得る。

[相違点kについて]
丙1(特開平6-114140号公報)の段落【0051】及び【0059】や丙4(特開平9-299548号公報)の段落【0053】に記載されている事項からみて、他の報知演出を行いつつリールの各列が停止する毎に音を発生させる技術は、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術J」という。)であるといえる。
そうすると、甲28発明に周知技術Jを適用して、ストップボタン12,13,14が押圧操作されて、複数のリール2,3,4が停止する毎に、バックライトの点灯パターンを変え、加えて発音装置から適当な音を発生するようにして、相違点kに係る訂正発明28の構成とすることは、P2出願日当時の当業者が容易に想到し得ることである。

[まとめ]
訂正発明28の作用効果も、甲28発明、丙5発明、丙1に開示された構成、周知技術F?H及び周知技術Jから、P2出願日当時の当業者が予測できる範囲内のものであるから、訂正発明28は、甲28発明、丙5発明、丙1に開示された構成、周知技術F?H及び周知技術Jに基づき、P2出願日当時の当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.訂正発明10に対する無効理由1及び2について
(1)はじめに
上記5.(5)(5-2)に記載したように、無効理由4によっては訂正発明10を無効とすることができないので、訂正発明10について無効理由1及び2を検討することとする。

(2)無効理由1について
無効理由1は、パチスロ機「サンダーV」を証拠とし、請求項10等に係る発明は同パチスロ機と同一のものであるとする無効理由である。
そこで、無効理由4の検討において甲28発明、丙5発明、周知技術F?H及びその他の証拠に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえないとした訂正発明10と甲28発明との相違点i及びjに係る構成(上記5.(5)(5-1)参照)について、請求人の提出した無効理由1における証拠に記載されているか否かについて検討する。
請求人は、上記第3.1.(3)(3-2)に記載したように、所定の確定パターンを表示することにより、遊技者にその旨を表示する構成は、P2出願日前に公然実施された遊技機「サンダーV」に含まれるものであるとし、その根拠として甲27(本件特許に係る発明と「サンダーV」及び「ハナビ」との対照表)に【図58】の確定パターンと同様のプログラムが「BB内部当たり中またはRB内部当たり中にしか出現しない演出一覧」として含まれている旨主張している。
しかし、甲27の記載が正確なものだとしても、32頁右から2欄目に記載されたパチスロ機「サンダーV」のデモ抽選テーブル選択テーブルは、RB内部当り中(4)の各当選フラグに対応するデモ抽選テーブル番号とBB内部当り中(5)の各当選フラグに対応するデモ抽選テーブル番号が同一であって、丙5の43頁下部に掲載されているチャンスパターンの選択率表と同様の構成となっているため、上記5.(5)(5-2)(5-2-2)[相違点iに係る構成との関係]の項で述べたと同様、RB内部当り中又はBB内部当り中に選択されるボーナス内部当り中である場合に、RB内部当り中にしか出現しない演出やBB内部当り中にしか出現しない演出が選択されることは有り得ない。
さらに、RB内部当たり中またはBB内部当たり中にしか出現しない演出の選択確率をみても、RB当選時(33頁右から2欄目の05H)25/128、BB当選時(34頁右から2欄目の06H)29/128、RB又はBB内部当り中のはずれ(34頁右から2欄目の07H)32/128、RB又はBB内部当り中の2枚チェリー及び4枚チェリー(34頁右から2欄目の08H)18/128、RB又はBB内部当り中のベル(34頁右から2欄目の09H)40/128、RB又はBB内部当り中のスイカ(34頁右から2欄目の0AH)20/128、RB又はBB内部当り中のリプレイ(34頁右から2欄目の0BH)32/128となっており、上記5.(5)(5-2)(5-2-2)[相違点jに係る構成との関係]の項で述べたと同様、RB又はBB内部当り中の2枚チェリー及び4枚チェリー及びRB又はBB内部当り中のスイカにおいて、RB当選時やBB当選時よりも選択確率が低くなっている。
よって、甲27には相違点i及びjに係る構成が記載されているとはいえない。
また、請求人が提出した他の証拠にも、パチスロ機「サンダーV」が相違点i及びjに係る構成を備えていることは示されていない。
したがって、パチスロ機「サンダーV」が訂正発明10のその他の構成を全て備えていたとしても、訂正発明10とパチスロ機「サンダーV」が同一のものであるということはできない。
さらに、上記5.(5)(5-2)(5-2-4)[c.及びd.の点についての検討]や同(5-2-5)の項で述べたと同様、訂正発明10が、パチスロ機「サンダーV」に基づいてP2出願日当時の当業者が容易に発明できたものともいえない。
なお、甲27にはパチスロ機「ハナビ」の確定パターン、デモ抽選テーブル選択テーブル及びデモ抽選テーブルについて記載されているが、相違点iの構成は満足するものの、相違点j及び相違点h(BB内部当たり中の4枚チェリーにおいて確定パターンが選択されない)を満足していない。

(3)無効理由2について
無効理由2は、請求項10等に係る発明は、甲28?36に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとする無効理由である。
しかし、少なくとも訂正発明10と甲28発明との相違点i及びjに係る構成を記載又は示唆した証拠は見いだせないので、上記5.(5)(5-2)(5-2-4)[c.及びd.の点についての検討]や同(5-2-5)の項で述べたと同様、甲28?36に記載された発明に基づいてP2出願日当時の当業者が容易に発明できたものともいえない。


第6.むすび
上記第5.4.(4)の(4-2)、(4-4)及び(4-5)で検討したとおり、訂正発明3、6及び7は、P1出願日当時の当業者が容易に発明をすることができたものであり、上記第5.5.(5)の(5-2)、同6.(2)及び(3)で検討したとおり、訂正発明10は、P2出願日当時の当業者が容易に発明をすることができたものではなく、上記第5.5.(5)の(5-4)、(5-6)及び(5-8)に記載したように、訂正発明26?28は、P2出願日当時の当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、訂正後の明細書に記載された請求項3、6及び7の特許及び請求項26?28の特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、同法123条1項2号の規定に該当し無効とすべきものである。
また、訂正後の明細書に記載された請求項10の特許については、請求人の主張及び証拠方法並びに平成23年4月1日付けの無効理由通知書に示された理由によっては無効とすることができない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第64条の規定により、その10分の1を請求人が負担し、10分の9を被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲

(参考1)本件二次審決
審決

無効2007-800167

大阪府吹田市江坂町一丁目16番17号
請求人 株式会社 SNKプレイモア

大阪市北区中之島2丁目2番2号 大阪中之島ビル8階 小松法律特許事務所
代理人弁理士 小松 陽一郎

大阪府大阪市北区中之島2丁目2番2号 大阪中之島ビル8階
代理人弁護士 福田 あやこ

大阪府大阪市北区中之島2丁目2番2号 大阪中之島ビル8階
代理人弁護士 井崎 康孝

大阪府大阪市北区中之島2丁目2番2号 大阪中之島ビル8階
代理人弁護士 辻村 和彦

大阪府大阪市北区中之島2丁目2番2号 大阪中之島ビル8階
代理人弁護士 井口 喜久治

大阪府大阪市北区中之島2丁目2番2号 大阪中之島ビル8階
代理人弁護士 森本 純

大阪府大阪市天王寺区上本町5丁目2番11号 上六新興産ビル8階 辰巳特許事務所
代理人弁理士 辰巳 忠宏

大阪府堺市栄橋町1丁5番2号 YSビル2階 中尾真一特許事務所
代理人弁理士 中尾 真一

大阪市北区中之島2丁目2番2号 大阪中之島ビル8階 小松法律特許事務所
復代理人弁護士 宇田 浩康

大阪市北区中之島2丁目2番2号 大阪中之島ビル8階 小松法律特許事務所
復代理人弁護士 中村 理紗

大阪市北区中之島2丁目2番2号 大阪中之島ビル8階 小松法律特許事務所
復代理人弁護士 山崎 道雄

大阪市北区中之島2丁目2番2号 大阪中之島ビル8階 小松法律特許事務所
復代理人弁護士 辻 淳子

東京都江東区有明三丁目7番26号
被請求人 株式会社 ユニバーサルエンターテインメント

東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 正林 真之

東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビルヂング404区 丸の内法律事務所
代理人弁護士 田中 康久

東京都中央区銀座6丁目5番13号 JDB銀座ビル七階 ふじ合同法律事務所
代理人弁護士 中込 秀樹

東京都中央区銀座6丁目5番13号 JDB銀座ビル七階 ふじ合同法律事務所
代理人弁護士 岩渕 正紀

東京都中央区銀座6丁目5番13号 JDB銀座ビル七階 ふじ合同法律事務所
代理人弁護士 岩渕 正樹

東京都中央区銀座6丁目5番13号 JDB銀座ビル七階 ふじ合同法律事務所
代理人弁護士 松永 暁太

東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 新東京ビル225区 東京丸の内・春木法律事務所
代理人弁護士 長沢 幸男

東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 新東京ビル225区 東京丸の内・春木法律事務所
代理人弁護士 長沢 美智子

東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 新東京ビル225区 東京丸の内・春木法律事務所
代理人弁護士 大西 剛

東京都港区虎ノ門2丁目8番1号 虎ノ門電気ビル3階 多田総合法律事務所
代理人弁護士 今井 博紀

東京都港区虎ノ門1-2-8 虎ノ門琴平タワー 三好内外国特許事務所
代理人弁理士 豊岡 静男

東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 井口 嘉和

東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 青木 和夫

東京都豊島区東池袋1-27-12 明治池袋ビル7F 長沢特許事務所 池袋支所
代理人弁理士 八木澤 史彦

東京都豊島区東池袋一丁目25番8号タカセビル本館 スカイ特許事務所東京
代理人弁理士 小野寺 隆

東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 佐藤 玲太郎

東京都豊島区東池袋一丁目25番8号 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 佐藤 武史

東京都豊島区東池袋一丁目25番8号 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 清水 俊介

東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 進藤 利哉

東京都豊島区東池袋1丁目25番8号 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 小椋 崇吉

上記当事者間の特許第3069092号「遊技機」の特許無効審判事件についてされた平成20年10月15日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の決定(平成20年(行ケ)第10446号平成21年2月27日決定)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。

結 論
訂正を認める。
特許第3069092号の請求項10、26ないし28に係る発明についての特許を無効とする。
特許第3069092号の請求項3、6及び7に係る発明についての審判請求は、成り立たない。
審判費用は、その3分の1を請求人の負担とし、3分の2を被請求人の負担とする。

理 由
第1.手続の経緯
1.本件無効審判請求前の主な経緯
本件特許第3069092号は、特願平9-352171号(以下「P1出願」という。)及び特願平10-243695号(以下「P2出願」といい、P1出願に基づく優先権主張がされている。)に基づく優先権を主張して出願された特願平10-333782号(以下「原出願」といい、P1出願及びP2出願に基づく優先権主張がされている。)の一部を特許法44条1項の規定により新たな出願とした特願平11-160182号(以下「本件出願」といい、P1出願及びP2出願に基づく優先権主張がされている。)の特許であり、P1出願からの主な経緯は次のとおりである。
・平成 9年12月 5日 P1出願
・平成10年 8月28日 P2出願
・平成10年11月25日 原出願
・平成11年 6月 7日 本件出願(特願平11-160182号)
・平成12年 5月19日 設定登録
(特許第3069092号、請求項数24)
・平成13年 1月25日 特許異議申立(異議2001-70271号)
・平成14年 5月 9日 取消理由通知
・平成14年 6月27日 訂正請求
・平成14年 8月 1日 異議決定(訂正を認め、特許維持)

2.本件無効審判の主な経緯
・平成19年 8月20日 本件特許無効審判の請求
(対象請求項1?8及び10)
(書面には同月18日の日付が記載されている。)
・平成19年11月 6日 被請求人より答弁書提出
(書面には同月5日の日付が記載されている。)
・平成19年11月28日 無効理由通知
・平成20年 1月 4日 請求人より意見書及び弁駁書提出
(書面には平成19年12月29日の日付が記載されている。)
・平成20年 1月18日 被請求人より意見書及び訂正請求書提出
(書面には同月17日の日付が記載されている。)
・平成20年 2月19日 訂正拒絶理由通知
・平成20年 3月21日 被請求人より証人尋問申立書
及び尋問事項書提出
・平成20年 5月13日 被請求人より上申書提出
・平成20年 5月23日 請求人より上申書提出
(書面には同月21日の日付が記載されている。)
・平成20年 5月30日 請求人より上申書(1)、(2)提出
・平成20年 5月30日 被請求人より口頭審理陳述要領書、
上申書(1)?上申書(6)、
証人尋問申立書及び尋問事項書提出
・平成20年 5月30日 証人尋問及び口頭審理
・平成20年 7月 1日 被請求人より意見書提出
(書面には6月30日の日付が記載されている。)
・平成20年 7月 8日 請求人より意見書提出
(書面には6月30日の日付が記載されている。)
・平成20年10月15日 審決(訂正を認めず、特許無効)
・平成20年11月26日 被請求人による審決取消訴訟の提起
(平成20年(行ケ)10446号)
・平成21年 2月 6日 訂正審判の請求
(訂正2009-390010号)
(平成21年 2月23日付けで訂正拒絶理由が通知されている。)
・平成21年 2月27日 特許法181条2項の規定に基づく決定
(特許庁が無効2007-800167号事件について平成20年10月15日にした審決を取り消す。)
・平成21年 3月 5日 特許法134条の3第2項の規定に基づく
通知書
・平成21年 3月12日 被請求人より上申書提出
・平成21年 3月19日 被請求人より訂正請求書提出
・平成21年 4月30日 請求人より弁駁書提出
(書面には同月27日の日付が記載されている。)
・平成21年 6月18日 被請求人より答弁書提出
(書面には同月17日の日付が記載されている。)
・平成21年 6月26日 被請求人より上申書提出
・平成21年 7月 3日 被請求人より上申書提出
・平成21年 7月 8日 被請求人より上申書提出

3.本件特許に関する別途無効審判事件の主な経緯
<無効2006-80049号審判事件>
・平成18年 3月27日 請求項1の特許に対して無効審判請求
(請求人:サミー株式会社)
・平成18年 6月27日 被請求人より答弁書提出
・平成18年11月27日 請求人より弁駁書提出
・平成19年 9月20日 審決(請求項1の特許は有効)
・平成19年10月22日 請求人による審決取消訴訟の提起
(平成19年(行ケ)10359号)
・平成20年 3月21日 特許法181条2項の規定に基づく決定
(平成19年9月20日付け審決の取消し)
・平成20年 5月 7日 審判合議体より中止通知発送
(その後の訂正請求で請求項1が削除されているため)

<無効2006-80112号審判事件>
・平成18年 6月13日 請求項1の特許に対して無効審判請求
(請求人:サミー株式会社)
・平成18年 9月 4日 被請求人より答弁書、訂正請求書提出
・平成18年11月27日 請求人より弁駁書提出
・平成19年 4月 9日 口頭審理
・平成19年 9月20日 審決(請求項1の特許を無効とする。)
・平成19年10月22日 被請求人による審決取消訴訟の提起
(平成19年(行ケ)10371号)
・平成20年 3月21日 特許法181条2項の規定に基づく決定
(平成19年9月20日付け審決の取消し)
・平成20年 5月 7日 審判合議体より中止通知発送
(その後の訂正請求で請求項1が削除されているため)

<無効2006-80116号審判事件>
・平成18年 6月21日 請求項1?24の特許に対して無効審判請求
(請求人:サミー株式会社)
・平成18年 9月11日 被請求人より答弁書、訂正請求書提出
・平成18年11月27日 請求人より弁駁書提出
・平成19年 4月 9日 口頭審理
・平成19年 9月20日 審決(請求項3、4、6、8?10及び14
の特許は有効、それ以外は無効)
・平成19年10月22日 請求人による審決取消訴訟の提起
(平成19年(行ケ)10360号)
・平成19年10月31日 被請求人による審決取消訴訟の提起
(平成19年(行ケ)10372号)
・平成20年 1月17日 訂正審判の請求
(訂正2008-390007号)
・平成20年 3月21日 特許法181条2項の規定に基づく決定
(平成19年9月20日付け審決の取消し)
・平成20年 4月14日 被請求人より訂正請求書・意見書提出
・平成20年 5月29日 請求人より弁駁書提出
・平成20年11月19日 審決(訂正を認め、審判請求不成立)
・平成20年12月11日 請求人による審決取消訴訟の提起
(平成20年(行ケ)10467号)

第2.訂正請求について
まず、この審決においては、平成21年3月19日の訂正請求(以下「本件訂正」という。)に係る明細書及び図面並びに特許請求の範囲の請求項について、それぞれ「訂正後の明細書等」並びに「訂正後の請求項」と記載し、平成14年6月27日の訂正請求(以下「異議時訂正」という。)に係る明細書及び図面については「訂正前の明細書等」、異議時訂正に係る特許請求の範囲の請求項については「訂正前の請求項」と記載することとする。
さらに、訂正後の請求項に係る発明を、請求項番号に応じて「訂正発明1」などと記載し、これらを総称して「本件訂正発明」といい、訂正前の請求項に係る発明を、請求項番号に応じて「訂正前発明1」などと記載し、これらを総称して「本件訂正前発明」ということとする。

1.本件訂正の内容
本件訂正は、以下の訂正事項からなっている。
(a)訂正事項a
特許請求の範囲の【請求項1】を削除する。
(b)訂正事項b
特許請求の範囲の【請求項2】を削除する。
(c)訂正事項c
特許請求の範囲の【請求項3】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】
「 前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。」
【訂正後】
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知することを特徴とする遊技機。」
(d)訂正事項d
特許請求の範囲の【請求項4】を削除する。
(e)訂正事項e
特許請求の範囲の【請求項5】を削除する。
(f)訂正事項f
特許請求の範囲の【請求項6】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】
「 前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。」
【訂正後】
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択することを特徴とする遊技機。」
(g)訂正事項g
特許請求の範囲の【請求項7】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】
「 前記連動演出手段は、前記可変表示停止手段によって前記各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出することを特徴とする請求項3または請求項5または請求項6に記載の遊技機。」
【訂正後】
「 前記連動演出手段は、前記可変表示停止手段によって前記各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出することを特徴とする請求項3または請求項6に記載の遊技機。」
(h)訂正事項h
特許請求の範囲の【請求項8】を削除する。
(i)訂正事項i
特許請求の範囲の【請求項9】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】
「 前記報知態様選択手段は、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする請求項3から請求項8のいずれか1項に記載の遊技機。」
【訂正後】
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知からなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知することを特徴とする遊技機。」
(j)訂正事項j
特許請求の範囲の【請求項10】を以下のとおり訂正する。
なお、この【請求項10】は、訂正前の【請求項10】を、訂正前の請求項3を引用する請求項と、訂正前の請求項4を引用する請求項と、訂正前の請求項6を引用する請求項と、訂正前の請求項3を引用した請求項8を引用する請求項との4つに分割したうちの、訂正前の請求項6を引用する請求項である。
【訂正前】
「 前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする請求項3から請求項8のいずれか1項に記載の遊技機。」
【訂正後】
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする遊技機。」
(k)訂正事項k
特許請求の範囲の【請求項11】を削除する。
(l)訂正事項l
特許請求の範囲の【請求項12】を削除する。
(m)訂正事項m
特許請求の範囲の【請求項13】を削除する。
(n)訂正事項n
特許請求の範囲の【請求項14】を削除する。
(o)訂正事項o
特許請求の範囲の【請求項15】を削除する。
(p)訂正事項p
特許請求の範囲の【請求項16】を削除する。
(q)訂正事項q
特許請求の範囲の【請求項17】を削除する。
(r)訂正事項r
特許請求の範囲の【請求項18】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】
「 前記入賞態様決定手段は、一定範囲の乱数を発生させる乱数発生手段と、この乱数発生手段で発生した乱数の中から任意の乱数を抽出する乱数抽出手段と、この乱数抽出手段で抽出された乱数を各入賞態様に区分けする乱数区分手段とから構成されていることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の遊技機。」
【訂正後】
「 前記入賞態様決定手段は、一定範囲の乱数を発生させる乱数発生手段と、この乱数発生手段で発生した乱数の中から任意の乱数を抽出する乱数抽出手段と、この乱数抽出手段で抽出された乱数を各入賞態様に区分けする乱数区分手段とから構成されていることを特徴とする請求項3、6、7、9のいずれか1項に記載の遊技機。」
(s)訂正事項s
特許請求の範囲の【請求項19】を削除する。
(t)訂正事項t
特許請求の範囲の【請求項20】を削除する。
(u)訂正事項u
特許請求の範囲の【請求項21】を削除する。
(v)訂正事項v
特許請求の範囲の【請求項22】を削除する。
(w)訂正事項w
特許請求の範囲の【請求項23】を削除する。
(x)訂正事項x
特許請求の範囲の【請求項24】を削除する。
(y)訂正事項y
特許請求の範囲の【請求項25】を以下のとおり訂正する。
なお、この【請求項25】は、訂正前の【請求項9】を、訂正前の請求項3を引用する請求項と、訂正前の請求項6を引用する請求項との2つに分割したうちの後者の請求項である。
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択することを特徴とする遊技機。」
(z)訂正事項z
特許請求の範囲の【請求項26】を新たに記載する。
なお、この【請求項26】は、訂正前の【請求項10】を上述のように4つに分割したうちの、訂正前の請求項4を引用する請求項である。
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする遊技機。」
(aa)訂正事項aa
特許請求の範囲の【請求項27】を以下のとおりとする。
なお、この【請求項27】は、訂正前の【請求項10】を上述のように4つに分割したうちの、訂正前の請求項3を引用する請求項である。
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする遊技機。」
(ab)訂正事項ab
特許請求の範囲の【請求項28】を以下のとおりとする。
なお、この【請求項28】は、訂正前の【請求項10】を上述のように4つに分割したうちの、訂正前の請求項3を引用した請求項8を引用する請求項である。
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択し、
前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させることを特徴とする遊技機。」
(ac)訂正事項ac
願書に添付した明細書の段落番号【0011】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】
「【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなることを特徴とする(請求項1)。」
【訂正後】
「【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知することを特徴とする(請求項3)。」
(ad)訂正事項ad
願書に添付した明細書の段落番号【0015】を削除する。
(ae)訂正事項ae
願書に添付した明細書の段落番号【0018】を削除する。
(af)訂正事項af
願書に添付した明細書の段落番号【0019】を削除する。
(ag)訂正事項ag
願書に添付した明細書の段落番号【0020】を削除する。
(ah)訂正事項ah
願書に添付した明細書の段落番号【0021】を削除する。

2.本件訂正に関する請求人の主張
平成21年4月30日付け弁駁書における、本件訂正に関する請求人の主張は次のとおりである。
(1)趣旨(4頁、6.(1))
本件訂正は新規事項を追加するものであり、かつ、訂正発明9、18及び25については特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法134条の2第5項で準用する同法126条3項及び5項の規定に違反し、拒絶されるべきものである。
(2)新規事項の追加について(4?9頁、7.(1)(ア))
訂正発明6及び25は、「効果音の種類と連動表示機能の種類との組合せに一意に対応する停止表示態様の種類を、入賞態様に応じて選択する」ものとなったが、その点は訂正前の明細書等には開示されていない。
(3)独立特許要件違反について(9?11頁、7.(1)(イ))
本件無効審判の対象外である、訂正発明9、18及び25は「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」を含んでおり、該事項は異議時訂正によって追加されたものであるので、本件特許の設定登録時の明細書等に記載した事項の範囲内でなければならない。
しかし、該明細書等には、第1実施形態として開示される【図18】よりも遙かに上位概念となる「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」については何ら開示されていない。
また、訂正発明18のうち請求項3に従属する部分には、報知態様が「効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる」旨の限定がなされているが、かかる限定はP1出願時の明細書には開示も示唆もされておらず、この2つの報知態様を選択することは原出願の明細書の段落【0260】等で初めて言及されているので、訂正発明18の新規性・進歩性判断を行う際の出願日(以下「基準日」という。)は、平成10年11月25日以降である。
そして、訂正発明18のうち請求項3に従属する部分については、平成10年11月25日以前に公然実施されたパチスロ機「サンダーV」、その分野の技術水準及び周知技術に基づき、遊技機の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明でき、進歩性を有さない。

3.本件訂正に関する被請求人の主張
平成21年6月18日付け答弁書における、本件訂正についての被請求人の主張は次のとおりである。
(1)はじめに(5?7頁、6(1)ア)
過去の最高裁判決や知財高裁判決に照らせば、無効審判請求がされていない請求項9、11?24(訂正後の請求項9、18及び25)の独立特許要件違反のみを理由として他の請求項について訂正を認めないことは違法である。
(2)新規事項の追加について(7?11頁、6(1)イ)
請求人は、訂正発明6及び25について、「効果音の種類と連動表示機能の種類との組合せに一意に対応する停止表示態様の種類を、入賞態様に応じて選択する」点は訂正前の明細書等に開示されていないと主張するが、訂正前の明細書等の【図18】には、遊技開始音の種類と連動表示態様の種類が定まれば、停止表示態様がただ1通りに定まり、しかもこの報知態様が入賞態様に応じて選択されることが示されている。
訂正前の明細書等には「一意」という文言自体の記載はないが、その語の一般的用法は「ただ1通りに定められること」とされ(広辞苑第4版参照)、訂正後の請求項6及び25における「一意」の意味が「ただ1通りに定められること」であることは、訂正前の明細書等から明らかである。
(3)独立特許要件違反について(11?17頁、6(1)ウ及びエ)
請求人は、異議時訂正は新規事項を追加するものだから、訂正発明9、18及び25は特許法123条1項8号に該当すると主張するが、特許法123条1項8号違反は無効理由の一つではあるものの、独立特許要件ではないので、当該主張は失当である。
ちなみに、訂正発明9、18及び25は、設定登録時の明細書等の段落【0012】、【0064】?【0069】、【0120】、【0171】、【0172】、【0206】?【0209】に記載されており、新規事項追加に該当しないから、その訂正は特許法123条1項8号に違反しない。
また、請求人は、P1出願時の明細書には、「効果音の種類」、「連動表示態様の種類」及び「停止表示態様の種類」の組合せからなる報知態様しか開示されていないと主張するが、P1出願時の明細書の段落【0112】や【0114】に、停止演出は当選フラグ成立の確認にすぎないことが示されており、停止演出を除いてもよいことはP1出願時の明細書の記載から自明である。
したがって、訂正発明18のうち請求項3に従属する部分についての基準日はP1出願の日(以下「P1出願日」という。)であって、P1出願日以降に発売されたパチスロ機「サンダーV」が発明の進歩性を否定する根拠にはなり得ないから、訂正発明18は特許法29条2項に規定する要件を満たす。

4.訂正の適否の判断
(1)訂正事項a、b、d、e、h、k?q及びs?xについて
訂正事項a、b、d、e、h、k?q及びs?xは、特許請求の範囲の請求項1、2、4、5、8、11?17及び19?24を削除するものであるから、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。
また、上記請求項1、2、4、5、8、11?17及び19?24の削除は、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないので、訂正事項a、b、d、e、h、k?q及びs?xは、特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。

(2)訂正事項c(請求項3)について
訂正事項c中に含まれる訂正内容を、個別の訂正事項として列記すると以下のとおりである。
<訂正事項c1>訂正前の請求項3が引用する請求項1に記載された「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」に「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって」という報知時期についての限定を付す。
<訂正事項c2>訂正前の請求項3が引用する請求項1に記載された「前記報知態様とは異なる報知態様による報知」に「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって」という報知時期についての限定を付す。
<訂正事項c3>訂正前の請求項3に記載された「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し」を「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し」として、「少なくとも1列の」を「各列の」と限定する。
<訂正事項c4>訂正前の請求項3に「前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知する」点を追加する。

まず、訂正事項c1?c3は、訂正前発明3が備える構成に限定を加え、訂正事項c4は、訂正前発明3に新たな構成を追加するものであるから、訂正事項cは特許請求の範囲の減縮を行うものであり、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。
また、訂正前の明細書等の段落【0016】に「可変表示が開始されるときに音発生手段によって発生される効果音の種類,各列の可変表示が停止されるのに連動して連動演出手段によって順次演出される各列の表示態様の種類、および各列の可変表示の全てが停止したときに停止演出手段によって演出される可変表示装置の表示態様の種類の組合せにより、入賞態様を遊技者に報知させると効果的である」と記載されていることから、訂正事項c1?c3はいずれも、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
さらに、訂正前の明細書等の【図18】によれば、遊技開始音と連動表示態様の組合せのみによって、対応する報知当選フラグは定まるから、さらに付加される停止表示態様は、報知当選フラグとの対応を示す上では必須でない確認的な報知演出に過ぎないことがわかり、段落【0119】にもBBフラグ成立の際の例のみではあるが、同趣旨の記載がある。
よって、音発生手段によって発生される効果音の種類、連動演出手段によって順次演出される各列の表示態様の種類(連動表示態様の種類)及び停止演出手段によって演出される可変表示装置の表示態様の種類(停止表示態様の種類)の組合せから停止表示態様の種類を省略することは、訂正前の明細書等から明らかな事項であるといえる。
したがって、訂正事項c4は訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
以上のとおりであるから、訂正事項cは、特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。

(3)訂正事項f(請求項6)について
訂正事項f中に含まれる訂正内容を、個別の訂正事項として列記すると以下のとおりである。
<訂正事項f1>訂正前の請求項6が引用する請求項1に記載された「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」に「前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって」という報知時期についての限定を付す。
ここで、「前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに」とあるが、「可変表示手段」は訂正後の請求項6には前記されていないこと、その記載より前に「可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段」という記載があること及び上記(2)の訂正事項c1では「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに」と記載されていることを考慮すれば、「前記可変表示手段」は「前記可変表示開始手段」の誤記と認められる。
<訂正事項f2>訂正前の請求項6が引用する請求項1に記載された「前記報知態様とは異なる報知態様による報知」を「前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」として、「前記報知態様とは異なる報知態様による報知」に報知時期についての限定を付す。
<訂正事項f3>訂正前の請求項6に記載された「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し」を「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し」として、「少なくとも1列の」を「各列の」と限定する。
<訂正事項f4>訂正前の請求項6に記載された「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」を「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」とし、「効果音の種類、」と「前記連動演出手段」との間に「および」を追加する。
<訂正事項f5>訂正前の請求項6に記載された「報知態様選択手段」に関して、「前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」点を追加する。

まず、訂正事項f1?f3及びf5は、いずれも訂正前発明6が備える構成を限定するものであるから、これらの訂正事項は特許請求の範囲の減縮を行うものであり、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。
そして、上記(2)において訂正事項cについて述べたと同様、訂正前の明細書等の段落【0016】の記載から、訂正事項f1?f3はいずれも、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正事項f4は、「A、BおよびC」という記載を「AおよびBおよびC」と訂正したものであるところ、両者の意味はほとんど変わらないが、「AおよびBおよびC」の方がより明りょうともいえるので、特許法134条の2第1項ただし書3号にいう、明りようでない記載の釈明を目的としたものと認められ、その意味はほとんど変わらないことから、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
次に、訂正事項f5については、請求人が、上記2.(2)に記載したように、訂正発明6及び25は、「効果音の種類と連動表示機能の種類との組合せに一意に対応する停止表示態様の種類を、入賞態様に応じて選択する」ものとなったが、その点は訂正前の明細書等には開示されていない旨主張しているので、検討してみると、
a.訂正前の明細書等の段落【0063】?【0069】の記載及び【図18】の記載からみて、「ハズレ」「再遊技」「2枚チェリー」「4枚チェリー」「ベル」「スイカ」「RB」及び「BB」の8種類の中の1入賞態様に応じて、遊技開始音(効果音)の種類、連動表示態様の種類及び停止表示態様の種類を組み合わせて得られる8組合せの中から1つの組合せを選択するものが開示されているということができる。
b.また、訂正前の明細書等の【図18】において、「停止表示態様」としてどのような種類のものが選択されているか見てみると、「遊技開始音」(効果音)と「連動表示態様」との組合せが定まれば、残る「停止表示態様」の種類は一意に定まっていることが分かる。
c.したがって、訂正前の明細書等には、遊技開始音(効果音)の種類と連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する停止表示態様の種類を決定された入賞態様に応じて選択することが記載されているといえる。
よって、訂正事項f5は、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
以上のとおりであるから、訂正事項fは、特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。

(4)訂正事項g(請求項7)について
訂正事項gは、訂正前の請求項7が引用していた請求項3または請求項5または請求項6から請求項5を削除し、請求項3または請求項6を引用するものに訂正するものであるから、実質的に請求項5を引用していた訂正前の請求項7を削除するものである。
そうしてみると、訂正事項gは、上記(1)で述べたと同様に、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められ、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないので、特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。
さらに、請求項3及び請求項6に関する訂正は、上記(2)及び(3)に述べたとおり適法であるから、請求項3または請求項6を引用する訂正後の請求項7も適法なものということができる。

(5)訂正事項i(請求項9)について
訂正事項iは、請求項3から請求項8のいずれか1項を引用する訂正前の請求項9について、請求項1を引用した請求項3を引用する部分のみを独立請求項とするとともに、上記(2)に記載した訂正事項c(請求項3)と同様の訂正を行うものであり、その訂正内容を個別の訂正事項として列記すると以下のとおりである。
<訂正事項i1>訂正前の請求項9が引用する請求項3が引用する請求項1に記載された「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」に「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって」という報知時期についての限定を付す。
<訂正事項i2>訂正前の請求項9が引用する請求項3が引用する請求項1に記載された「前記報知態様とは異なる報知態様による報知」に「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって」という報知時期についての限定を付す。
<訂正事項i3>訂正前の請求項9が引用する請求項3に記載された「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し」を「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し」として、「少なくとも1列の」を「各列の」と限定する。
<訂正事項i4>訂正前の請求項9が引用する請求項3における「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」という記載、及び訂正前の請求項9における「前記報知態様選択手段は、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて演出態様組合せを選択する」という記載を、独立請求項とするのに伴って統合し、「抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」という記載とする。
<訂正事項i5>訂正前の請求項3を引用する請求項9に「前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知する」点を追加する。

まず、請求項3から請求項8のいずれか1項を引用する訂正前の請求項9について、請求項1を引用した請求項3を引用する部分のみを独立請求項とすることは、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められ、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項i1?i3及びi5は、それぞれ上記(2)に列記した訂正事項c1?c3及びc4と実質的に同じ訂正事項であるから、上記(2)で述べたと同様の理由により、いずれも特許請求の範囲の減縮を行うものであり、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められるとともに、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正事項i4については、請求項3を引用する訂正前の請求項9を独立請求項とするに際して、その記載を整えるための訂正であるから、特許法134条の2第1項ただし書3号にいう、明りようでない記載の釈明を目的としたものと認められ、訂正前後においてその実質的な内容は変化していないので、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
以上のとおりであるから、訂正事項iは、特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。
なお、請求項9は本件無効審判の請求対象外であるので、特許法134条の2第5項において準用する同法126条5項の規定(独立特許要件)を満たす必要があるが、その判断については後述する。

(6)訂正事項j(請求項10)について
訂正事項jは、請求項3から請求項8のいずれか1項を引用する訂正前の請求項10について、請求項1を引用した請求項6を引用する部分のみを独立請求項とするものであるから、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められ、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
ここで、訂正前の請求項6における「前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに」という記載が、訂正後の請求項10においては「前記報知手段は、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに」という記載になっている点については、訂正後の請求項10の記載を誤記と認める。
よって、訂正事項jは、特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。

(7)訂正事項r(請求項18)について
訂正事項rは、訂正前の請求項18が請求項1から請求項17のいずれか1項を引用していたところを、請求項3、6、7、9のいずれか1項を引用すると訂正するものであるから、実質的に請求項1、2、4、5、8及び10?17を引用していた訂正前の請求項18を削除するものである。
よって、訂正事項rは、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められ、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないので、特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。
さらに、請求項3、6、7及び9に関する訂正は(2)?(5)に述べたとおり適法であるから、請求項3、6、7、9のいずれか1項を引用する訂正後の請求項18も適法なものということができる。
なお、請求項18は本件無効審判の請求対象外であるので、特許法134条の2第5項において準用する同法126条5項の規定(独立特許要件)を満たす必要があるが、その判断については請求項9と同様に後述する。

(8)訂正事項y(請求項25)について
訂正事項yは、請求項3から請求項8のいずれか1項を引用する訂正前の請求項9について、請求項1を引用した請求項6を引用する部分のみを独立請求項(請求項25)とするとともに、上記(3)に記載した請求項6についての訂正(訂正事項f)と同様の訂正を行うものであり、その訂正内容を個別の訂正事項として列記すると以下のとおりである。
<訂正事項y1>訂正前の請求項9が引用する請求項6が引用する請求項1に記載された「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」に「前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって」という報知時期についての限定を付す。
ここで、「前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに」とあるが、上記(3)<訂正事項f1>の項で述べたと同様、「可変表示手段」は訂正後の請求項25には前記されていないこと、その記載より前に「可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段」という記載があること及び上記(2)の訂正事項c1では「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに」と記載されていることを考慮すれば、「前記可変表示手段」は「前記可変表示開始手段」の誤記と認められる。
<訂正事項y2>訂正前の請求項9が引用する請求項6が引用する請求項1に記載された「前記報知態様とは異なる報知態様による報知」を「前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」として、「前記報知態様とは異なる報知態様による報知」に報知時期についての限定を付す。
<訂正事項y3>訂正前の請求項9が引用する請求項6に記載された「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し」を「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し」として、「少なくとも1列の」を「各列の」と限定する。
<訂正事項y4>訂正前の請求項9が引用する請求項6における「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」という記載、及び訂正前の請求項9における「前記報知態様選択手段は、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて演出態様組合せを選択する」という記載を、独立請求項とするのに伴って統合し、「抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」という記載とする。
<訂正事項y5>訂正前の請求項9が引用する請求項6に記載された「報知態様選択手段」に関して、「前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」点を追加する。

まず、請求項3から請求項8のいずれか1項を引用する訂正前の請求項9について、請求項1を引用した請求項6を引用する部分のみを独立請求項とすることは、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められ、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項y1?y3及びy5は、それぞれ上記(3)に列記した訂正事項f1?f3及びf5と実質的に同じ訂正事項であるから、上記(3)で述べたと同様の理由により、いずれも特許請求の範囲の減縮を行うものであって、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められるとともに、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正事項y4については、請求項6を引用する訂正前の請求項9を独立請求項とするに際して、その記載を整えるための訂正であるから、特許法134条の2第1項ただし書3号にいう、明りようでない記載の釈明を目的としたものと認められ、訂正前後においてその実質的な内容は変化していないので、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
以上のとおりであるから、訂正事項yは、特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。
なお、訂正前の請求項9は本件無効審判の請求対象外であるので、訂正後の請求項25についても特許法134条の2第5項において準用する同法126条5項の規定(独立特許要件)を満たす必要があるが、その判断については請求項9及び18と同様に後述する。

(9)訂正事項z(請求項26)について
訂正事項zは、請求項3から請求項8のいずれか1項を引用する訂正前の請求項10について、請求項1を引用した請求項4を引用する部分のみを独立請求項(請求項26)とするとともに、訂正前の請求項10が引用する請求項4に記載された「報知態様選択手段」について訂正を加えるものであり、その訂正内容を個別の訂正事項として列記すると以下のとおりである。
<訂正事項z1>「報知態様選択手段」が、「抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択するための情報を有する複数種類のデモ抽選テーブルが記憶される手段と、前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを遊技状態および入賞態様に応じて選択するための各デモ抽選テーブルに対応する番号を有するデモ抽選テーブル選択テーブルが記憶される手段」とから構成される点を追加する。
<訂正事項z2>訂正前の請求項10に記載されていた「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」を、上記訂正事項z1の構成追加に伴って、「前記複数のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じて選択し、その選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する手段」という記載とする。

まず、請求項3から請求項8のいずれか1項を引用する訂正前の請求項10について、請求項1を引用した請求項4を引用する部分のみを独立請求項とすることは、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められ、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項z1は、訂正前の請求項10が引用する請求項4に記載された「報知態様選択手段」に限定を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を行うものであり、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。
また、訂正前の明細書等の段落【0148】に「ROM32には、・・・デモ抽選テーブル選択テーブル、デモ抽選テーブル・・・リール停止音選択テーブル等がそれぞれ区分されて格納されている。」と記載され、同じく段落【0150】に「また、デモ抽選テーブル選択テーブルおよびデモ抽選テーブルは、上記の入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて、遊技開始音の種類,連動表示態様の種類および停止表示態様の種類の組合せを選択する報知態様選択手段を構成している。」と記載され、同じく段落【0151】に「図53に示すデモ抽選テーブル選択テーブルは、遊技状態および当選フラグから図54?図56に示すNo.0?No.17のデモ抽選テーブルを選択するためのものである。」と記載され、訂正前の請求項10に「デモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」と記載されていることに加え、【図53】?【図56】に記載されたデモ抽選テーブル選択テーブルおよびデモ抽選テーブルの具体例を参酌すれば、訂正事項z1は、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
さらに、訂正事項z2は、上記訂正事項z1の構成追加に伴って、訂正前の請求項10に記載されていた「報知態様選択手段」についての記載を整えるためになされたものであるから、特許法134条の2第1項ただし書3号にいう、明りようでない記載の釈明を目的としたものと認められ、訂正前後においてその実質的な内容は変化していないので、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項zは、特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。

(10)訂正事項aa(請求項27)について
訂正事項aaは、請求項3から請求項8のいずれか1項を引用する訂正前の請求項10について、請求項1を引用した請求項3を引用する部分のみを独立請求項(請求項27)とするとともに、訂正前の請求項10が引用する請求項3が引用する請求項1に記載された「報知情報」について訂正を加えるものであり、その訂正内容を個別の訂正事項として列記すると以下のとおりである。
<訂正事項aa1>訂正前の請求項10が引用する請求項3が引用する請求項1に記載された「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」に「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって」という報知時期についての限定を付す。
<訂正事項aa2>訂正前の請求項10が引用する請求項3が引用する請求項1に記載された「前記報知態様とは異なる報知態様による報知」に「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって」という報知時期についての限定を付す。

まず、請求項3から請求項8のいずれか1項を引用する訂正前の請求項10について、請求項1を引用した請求項3を引用する部分のみを独立請求項とすることは、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められ、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項aa1及びaa2は、訂正前の請求項10が備える構成に限定を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を行うものであり、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。
また、訂正前の明細書等の段落【0127】に「本実施形態においても、スピーカ39,スピーカ駆動回路43およびマイコン30は、スタートレバー15によって各リール3?5の回転表示が開始されるときに、効果音としての2種類の遊技開始音1,2のうちのいずれか一方の音1または2を発生させる音発生手段を構成している。」と記載され、同じく段落【0128】に「また、ランプ駆動回路48、バックランプ57a?57cおよびマイコン30は、各停止ボタン16?18の操作によって各リール3?5の回転表示が停止されるのに連動し、4種類の表示態様の中の1つの表示態様で各リール3?5の表示を順次演出する連動演出手段を構成している。」と記載され、同じく段落【0263】に「また、上述した各実施形態では、連動演出手段は、停止ボタン16?18の各操作に連動して各リール3?5の各バックランプ57を点滅制御し、選択された連動表示態様を演出した。しかし、いずれか1つの停止ボタン16?18、例えばランダムに選択されたまたは固定した1つの停止ボタン16?18が操作されるのを契機に、残りの他の停止ボタンの操作に関わらず、連動表示態様を順次演出するようにしてもよい。」と記載されていることから、訂正事項aa1及びaa2はいずれも、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項aaは、特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。

(11)訂正事項ab(請求項28)について
訂正事項abは、請求項3から請求項8のいずれか1項を引用する訂正前の請求項10について、請求項1を引用した請求項3を引用した請求項8を引用する部分のみを独立請求項(請求項28)とするとともに、訂正前の請求項10が引用する請求項8が引用する請求項3が引用する請求項1に記載された「報知情報」について、訂正事項aaと同様の訂正を加え、訂正前の請求項10が引用する請求項8が引用する請求項3に記載された「報知態様選択手段」について訂正事項zと同様の訂正を加えるものであり、その訂正内容を個別の訂正事項として列記すると以下のとおりである。
<訂正事項ab1>訂正前の請求項10が引用する請求項8が引用する請求項3が引用する請求項1に記載された「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」に「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって」という報知時期についての限定を付す。
<訂正事項ab2>訂正前の請求項10が引用する請求項8が引用する請求項3が引用する請求項1に記載された「前記報知態様とは異なる報知態様による報知」に「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって」という報知時期についての限定を付す。
<訂正事項ab3>「報知態様選択手段」が、「抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択するための情報を有する複数種類のデモ抽選テーブルが記憶される手段と、前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを遊技状態および入賞態様に応じて選択するための各デモ抽選テーブルに対応する番号を有するデモ抽選テーブル選択テーブルが記憶される手段」とから構成される点を追加する。
<訂正事項ab4>訂正前の請求項10に記載されていた「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」を、上記訂正事項ab3の構成追加に伴って、「前記複数のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じて選択し、その選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する手段」という記載とする。

まず、請求項3から請求項8のいずれか1項を引用する訂正前の請求項10について、請求項1を引用した請求項3を引用した請求項8を引用する部分のみを独立請求項とすることは、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められ、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項ab1及びab2は、それぞれ上記(10)に列記した訂正事項aa1及びaa2と実質的に同じ訂正事項であるから、上記(10)で述べたと同様の理由により、いずれも特許請求の範囲の減縮を行うものであって、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められるとともに、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
さらに、訂正事項ab3及びab4は、それぞれ上記(9)に列記した訂正事項z1及びz2と実質的に同じ訂正事項であるから、上記(9)で述べたと同様の理由により、訂正事項ab3は、特許請求の範囲の減縮を行うものであって、特許法134条の2第1項ただし書1号にいう、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められ、訂正事項ab4は、特許法134条の2第1項ただし書3号にいう、明りようでない記載の釈明を目的としたものと認められるとともに、いずれも訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項abは、特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。

(12)訂正事項ac?ah(発明の詳細な説明)について
訂正事項ac?ahは、いずれも特許請求の範囲の訂正に伴い、これに対応する発明の詳細な説明の記載を整合させるための訂正であるから、いずれも特許法134条の2第1項ただし書3号にいう、明りようでない記載の釈明を目的としたものと認められ、これらの訂正は、上記(1)?(11)で述べたとおり、いずれも訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができ、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項ac?ahは、特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。

(13)独立特許要件違反について
上記(5)、(7)及び(8)で述べたように、訂正発明9、18及び25は本件無効審判の対象外であるので、特許法134条の2第5項において準用する同法126条5項の規定(独立特許要件)を満たす必要がある。
そこで、請求人の独立特許要件についての主張を中心に検討する。
(13-1)設定登録時の明細書等に記載した事項の範囲内か否かについて
まず、訂正発明9、18及び25は「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」を含んでおり、該事項は異議時訂正によって追加されたものであるので、設定登録時の明細書等に記載した事項の範囲内でなければならないが、該明細書等には第1実施形態として開示される【図18】よりも遙かに上位概念となる「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」については何ら開示されていない、という請求人の主張(上記2.(3)、平成21年4月30日付け弁駁書9?10頁、7.(1)(イ))について検討する。
本件特許の設定登録時の明細書等において、「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知」に該当する【図18】の「遊技開始音」としての「音1」「音2」は、いずれも「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出」されており、段落【0070】には「遊技開始音の種類は【図19】(a)に示す考え方で選択される。つまり、音1は、一般遊技の際に高い頻度で出音され、「RB」当選フラグや「BB」当選フラグといったボーナスフラグが立って行われるボーナスフラグ成立ゲームの際には低い頻度で出音される。また、音2は、一般遊技の際に低い頻度で出音され、ボーナスフラグ成立ゲームの際に高い頻度で出音される。遊技者は遊技開始音2を聞く聴覚効果により、内部抽選によってボーナスフラグが立った可能性があることを知ることが出来、ボーナスゲームへの期待感は高まる。」と記載され、段落【0120】には「本実施形態では上記のように遊技が進行して行くのに伴って入賞態様が判明して行く。つまり、スタートレバー15の操作によって各リール3?5の回転が開始し、各停止ボタン16?18の操作によってこの回転が各列毎に順次停止して行き、全てのリール3?5の回転が停止するのに伴い、当選フラグの種類が遊技者に順次報知されて行く。」と記載されている。
そして、上記段落【0070】において「一般遊技」と呼んでいる状態は、「ボーナスフラグが立って行われるボーナスフラグ成立ゲーム」に対する状態として記載されていることからみて、ボーナスフラグ以外のフラグ、すなわち「2枚チェリー」「4枚チェリー」「ベル」「スイカ」「再遊技」及び「ハズレ」当選フラグが立って行われる遊技状態であると認められ、このうち「2枚チェリー」「4枚チェリー」「ベル」「スイカ」については、配当のある複数の異なる入賞態様に相当することが段落【0113】の記載から明らかであるから、段落【0070】に記載される遊技開始音としての音1及び音2ともに、「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」ということができる。
さらに、訂正後の請求項9、18及び25においては、「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる」点も限定されているから、これらの請求項における「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」が、第1実施形態として開示される【図18】よりも遙かに上位概念であるということはできず、本件特許の設定登録時の明細書等に開示されている範囲内のものということができる。
よって、訂正後の請求項9、18及び25に記載された「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」ついては設定登録時の明細書等に何ら開示されておらず、該報知を追加する訂正は新規事項を追加するものであるから、訂正後の請求項9、18及び25は特許法123条1項8号に該当し、同法36条6項1号に規定する要件も満たしていないという請求人の主張は採用できない。
なお、特許法123条1項8号に該当することが独立特許要件であるか否かについて、請求人と被請求人との間で争いがあるが、いずれにしてもこの審決の結論には影響しないので、その点については判断しない。
(13-2)進歩性の有無について
次に、訂正発明18のうち請求項3に従属する部分には、報知態様が「効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる」旨の限定がなされているが、かかる限定はP1出願時の明細書には開示も示唆もされていないので、訂正発明18の基準日は平成10年11月25日以降であり、訂正発明18は公然実施された「サンダーV」、その分野の技術水準及び周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたという請求人の主張(上記2.(3)、平成21年4月30日付け弁駁書10?11頁、7.(1)(イ))について検討する。
請求人の主張はP1出願時の明細書には、「効果音の種類」、「連動表示態様の種類」及び「停止表示態様の種類」の組合せから構成される報知態様しか開示されていないというものであるが、上記(2)で述べたように、訂正前の明細書等の【図18】及び段落【0119】の記載に基づき、音発生手段によって発生される効果音の種類、連動演出手段によって順次演出される各列の表示態様の種類(連動表示態様の種類)及び停止演出手段によって演出される可変表示装置の表示態様の種類(停止表示態様の種類)の組合せから停止表示態様の種類を省略することは、訂正前の明細書等から明らかな事項であるといえる。
そして、上記訂正前の明細書等の【図18】及び段落【0119】の記載と同趣旨の記載はP1出願時の明細書及び図面(以下「P1出願時の明細書等」という。)の【図18】及び段落【0114】にもあるので、P1出願時の明細書等からも音発生手段によって発生される効果音の種類、連動演出手段によって順次演出される各列の表示態様の種類(連動表示態様の種類)及び停止演出手段によって演出される可変表示装置の表示態様の種類(停止表示態様の種類)の組合せから停止表示態様の種類を省略することは、明らかな事項であるということができ、訂正発明18のうち請求項3に従属する部分についての基準日はP1出願日(平成9年12月5日)と認められる。
さらに、訂正発明9、18及び25が、他の理由によりP1出願時の明細書等には記載されていなかったということもできないから、訂正発明9、18及び25についての基準日はP1出願日と認められる。
また、被請求人又はその関連企業が製造販売したパチスロ機「サンダーV」は、審判請求書における請求人の主張(特に27?28頁、7.(4)II.(ii))や請求人が提出した各種証拠(特に甲第11号証)を参酌すれば、平成9年12月24日に販売開始されたものと認められる。
そうすると、P1出願日以降に発売されたパチスロ機「サンダーV」は発明の進歩性を否定する根拠にはなり得ないから、請求人の主張する証拠によっては訂正発明9、18及び25が当業者によって容易に想到し得たということはできず、他に訂正発明9、18及び25の進歩性を否定する証拠を発見することもできないので、これらの発明が特許法29条2項に規定する要件を満たしていないということはできない。
(13-3)まとめ
以上のとおりであるので、本件無効審判の対象外である訂正発明9、18及び25は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、特許法134条の2第5項において準用する同法126条5項の規定を満たしている。

(14)小括
以上のとおり、上記訂正事項a?ahは、いずれも特許請求の範囲の減縮又は明りようでない記載の釈明を目的としており、かつ、訂正前の明細書等に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張、変更するものでもないから、上記訂正事項a?ahは、特許法134条の2第1項ただし書に適合し、同法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。
また、上記(13)で述べたとおり、本件無効審判の対象外である訂正発明9、18及び25は、特許法134条の2第5項において準用する同法126条5項の規定を満たしている。
したがって、本件訂正を全て認める。

第3.当事者の主張(本件訂正に関するものを除く)
1.請求人の主張
(1)新規性欠如(審判請求書19?33頁、(4)II.)
訂正前発明1?8及び10はP1出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されていないので、同出願に基づく優先権主張は成立せず、新規性を論ずる上での出願日はP2出願の日(平成10年8月24日、以下「P2出願日」という。)以降である。
被請求人は、P2出願日前にスロットマシン「サンダーV」及び「ハナビ」を生産譲渡しており、「サンダーV」及び「ハナビ」のROMは解析可能であるから、ROMの内容を含めてスロットマシン「サンダーV」及び「ハナビ」はP2出願日前に公然実施された。
そして、訂正前発明1?8及び10はスロットマシン「サンダーV」又は「ハナビ」そのものであるから、訂正前の請求項1?8及び10の特許は特許法29条1項2号の規定に違反してされた特許であり、同法123条1項2号に該当し無効とされるべきである。
以下、この無効理由を「無効理由1」という。

(2)進歩性欠如(審判請求書33?118頁、(4)III.)
訂正前発明1?8及び10は、甲第28号証?甲第36号証(以下「甲28?36」という。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1?8及び10の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許であり、同法123条1項2号に該当し無効とされるべきである。
以下、この無効理由を「無効理由2」という。

(3)無効審決は維持されるべき(平成21年4月30日の弁駁書11?13頁、(2))
本件訂正が認められたとしても、訂正発明3、6、7、10及び26?28はいずれも、新規事項を追加するものであるとともに、進歩性を有さないので、特許法123条1項8号及び2号に該当し無効とされるべきである。
ただし、請求人も「職権審理の発動を促がすべく念のため申し添えておく。」と記載しているように、この理由は審判請求書に記載された無効理由とは異なるので、請求人主張の無効理由とはしない。

2.審判合議体が通知した無効理由(平成19年11月28日付け)
(1)記載不備(無効理由通知書4?6頁)
訂正前の請求項1?8及び10の特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされた特許であるから、同法123条1項4号の規定に該当し、無効とされるべきである。
以下、この無効理由を「無効理由3」という。

(2)進歩性欠如(無効理由通知書1?4頁及び6?9頁)
訂正前の請求項1?8及び10の一部又は全体については、その基準日はP2出願日以降であり、訂正前発明1?7及び10は、本件訂正前発明が前提とする周知の遊技機及びP2出願日前に公然実施されたパチスロ機「サンダーV」に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正前発明8は、それらに加えて甲28に記載された周知技術及びP2出願日前に公然実施されたパチスロ機「ハナビ」に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これら訂正前の請求項1?8及び10の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許であり、同法123条1項2号に該当し無効とされるべきである。
以下、この無効理由を「無効理由4」という。

(3)新規事項追加(無効理由通知書9?10頁)
異議時訂正は、平成15年法律第47号による改正前の特許法120条の4第3項で準用する同法126条2項の規定に違反しているから、訂正前の請求項1?8及び10の特許は同法123条1項8号の規定に該当し、無効とされるべきである。
以下、この無効理由を「無効理由5」という。

3.被請求人の主張
被請求人は、本件無効審判請求書は、特許法131条2項に違反する不適法な審判請求書であるから、同法135条の規定により却下されるべきであると主位的に主張し(平成19年11月5日の答弁書11?15頁、(4))、予備的に以下の主張をしている。
なお、同答弁書12頁及び15頁には「特許法第131条第1項第2号」と記載されているが、被請求人の主張の趣旨からみて「特許法第131条第2項」の誤記と認める。
(1)無効理由1に対して(同答弁書15?26頁、(5)第1.<(4)とあるが(5)の誤記>)
請求項1?8及び10について、請求人主張の理由によって、P1出願の優先権の効果が認められないことはない。また、「サンダーV」及び「ハナビ」のROMは厳重に秘密管理されており、購入者であってもROM解析をすることはできないから、ROMの内容を含めて、「サンダーV」又は「ハナビ」が公然実施されたわけではない。

(2)無効理由2に対して(同答弁書26?43頁、(5)第2.)
請求人は、本件訂正前発明の「種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置」及び「前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなる」との構成が甲28に記載されていると主張するが誤りである。
請求人は、本件訂正前発明の「報知情報を所定確率で遊技者に報知する」構成が甲29又は甲30に記載されていると主張するが誤りである。
請求人は、本件訂正前発明の「報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知」との構成が甲31に記載されていると主張するが誤りである。
請求人は、訂正前発明3(及びそれを引用する発明)の「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」が甲28に記載されていると主張するが誤りである。
請求人は、訂正前発明4(及びそれを引用する発明)の「複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する」を除く、「前記各列の可変表示の全てが停止したときに」「演出する停止演出手段」が甲32に開示されていると主張するが誤りである。
請求人は、訂正前発明4(及びそれを引用する発明)の構成要件のうち、音と音以外の報知態様との組合せによって内部的当選を報知する構成が甲28に記載されていると主張するが誤りである。
請求人は、訂正前発明5、6(及びそれを引用する発明)の構成要件のうち、複数の異なる報知態様の組合せによって内部的当選を報知する構成が甲28に記載されていると主張するが誤りである。
請求人は、訂正前発明7(及びそれを引用する発明)に関して、各リールの停止に連動して演出を行う構成が甲32に記載されていると主張するが誤りである。
請求人は、訂正前発明8(及びそれを引用する発明)に関して、連動演出手段によって各列の表示が演出される毎に音をも発生させる構成が甲28に開示されていると主張するが誤りである。
請求人は、訂正前発明8(及びそれを引用する発明)に関して、各リール停止時に予め定められた種類又は長さの効果音を発生させる構成が甲33に開示されると主張しており、この主張自体は認めるが、甲33に記載された構成と訂正前発明8(及びそれを引用する発明)の「連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させる」は全く異なる構成である。
甲34記載の「リーチモード選択テーブル」が訂正前発明10の「デモ抽選テーブル」に相当するとの請求人の主張は認めるが、甲34記載の「リーチモード選択確率設定用テーブル」が訂正前発明10の「デモ抽選テーブル選択テーブル」に相当するとの主張は誤りである。甲35及び甲36に、階層化された2つのテーブルを用いて所望のデータを選択する技術が開示されているとの主張は認めるが、これら甲号証に記載された構成と訂正前発明10の「デモ抽選テーブル選択テーブル」は全く異なる構成である。

(3)無効理由3に対して(平成20年1月18日の意見書24?25頁、(5))
平成20年1月18日の訂正により訂正前の明細書等の記載不備は解消した。

(4)無効理由4に対して(平成21年6月18日の答弁書19?31頁、(2)ウ)
訂正発明3、6及び7について基準日はP1出願日、訂正発明10、27及び28について基準日はP2出願日、訂正発明26について基準日は原出願日である(19?21頁、ウ(ア))。
そして、P1出願日以降に発売されたパチスロ機「サンダーV」は、訂正発明3、6及び7の進歩性を否定する根拠にはなり得ない。また、たとえ攻略誌の発行元が「サンダーV」の実機を入手できたとしても、パチスロメーカーはROM解析を効率的に行うための機材を厳重に管理しており、攻略誌の発行元が開発機材を入手することは不可能であるから、パチスロ機「サンダーV」がP2出願前に公然実施されたという判断は事実誤認である、さらに、パチスロ機「サンダーV」が原出願日以前に公然実施されたともいえないので、訂正発明10及び26?28は特許法29条2項の規定に違反するとはいえない(21?31頁ウ(イ))。

(5)無効理由5に対して(平成20年1月18日の意見書36?39頁(7))
異議時訂正は、新規事項追加ではない。

4.書証
この審決においては、「甲第1号証」、「検甲第1号証」及び「乙第1号証」を、それぞれ「甲1」、「検甲1」及び「乙1」と記載し、「甲第2号証」等についても同様に記載することとする。
(1)請求人が提出した書証
【平成19年8月20日の審判請求書に添付】
甲1 :特許原簿
甲2 :本件特許公報(特許第3069092号公報)
甲3 :異議2001-70271の特許決定公報
甲4 :P1出願時の明細書及び図面
甲5 :P2出願時の明細書及び図面
甲6 :原出願の公開公報(特開2000-135306号公報)
甲7 :基準日時系列表
甲8 :P1、P2、原出願、本件特許対照表
甲9 :請求項対応表
甲10:東京高裁平成14年(行ケ)539号判決要旨
甲11:早期審査に関する事情説明書
甲12:早期審査に関する報告書
甲13:アルゼ株式会社第26期有価証券報告書
甲14:「サンダーV」のマシン語の出力画面
甲15:「サンダーV」の逆アセンブルの出力画面
甲16:「ハナビ」のマシン語の出力画面
甲17:「ハナビ」の逆アセンブルの出力画面
甲18:「サンダーV」のマシン語プログラム
甲19:「ハナビ」のマシン語プログラム
甲20:「サンダーV」のアセンブルリスト
甲21:「ハナビ」のアセンブルリスト
甲22:アセンブルリスト対照表
甲23:遊技機の取扱説明書(サンダーV)
甲24:「実践!スロッター勝利の掟」の表紙、裏表紙及び44?45頁(2003年4月 株式会社宝島社発行)
甲25:「パチスロ攻略マガジン」の表紙、裏表紙及び8?9頁(平成10年5月1日 株式会社双葉社発行)
甲26:「パチスロ攻略マガジン」の表紙、裏表紙及び10?15頁(平成10年10月1日 株式会社双葉社発行)
甲27:本件特許に係る発明と「サンダーV」及び「ハナビ」との対照表
甲28:特開平8-117390号公報
甲29:特開平7-68027号公報
甲30:特開平9-700号公報
甲31:特開平9-262348号公報
甲32:「必勝パチスロファン」1994年増刊7月号、VOL.25(日本文芸社より発行)
甲33:特開平8-173592号公報
甲34:特開平10-201911号公報
甲35:特開平8-211869号公報
甲36:特開平8-99407号公報
甲37:東京高裁平成15年(行ケ)302号判決
甲38:東京高裁平成8年(行ケ)103号判決
【平成20年1月4日の弁駁書に添付】
甲39:「工業所有権法逐条解説 第13版」表紙、125頁及び奥付(1996年1月1日 社団法人発明協会発行)
甲40:「パチンコ・パチスロ白書 1998?99」表紙、210頁及び奥付(1998年3月20日 現代書林発行)
甲41:「月刊 パチスロ必勝ガイド」1998年4月号、表紙、裏表紙及び4?10頁(株式会社白夜書房発行、平成10年2月23日国会図書館東京本館受入)
甲42:「月刊 パチスロ必勝ガイド」1998年11月号、表紙、裏表紙及び6?10頁(株式会社白夜書房発行、平成10年9月24日国会図書館東京本館受入)
甲43:履歴事項全部証明書(有限会社パティオ)
甲44:http://patio.ocnk.net/(有限会社パティオのインターネットホームページ)
甲45:履歴事項全部証明書(株式会社東プロ)
甲46:http://www.topro-am.jp(株式会社東プロのインターネットホームページ)
甲47:「月刊アミューズメント・ジャーナル」2007年11月号、表紙、裏表紙、64?65頁
甲48:「パチスロ攻略マガジン」1998年8月号、表紙、裏表紙及び72頁(株式会社双葉社発行)
【平成20年1月4日の意見書に添付】
甲49:「月刊 パチスロ必勝ガイド」1998年10月号、表紙及び3?5頁(株式会社白夜書房発行、平成10年8月21日国会図書館東京本館受入)
【平成20年5月21日の上申書に添付】
甲50:平成18年(ワ)第28244号において、被告(本件請求人)が乙15として提出した書類
【平成20年5月30日の上申書に添付】
甲51:田中正彦の陳述書
甲52:田中正彦の陳述書
【平成19年8月20日の審判請求書に添付】
甲53:「サンダーV」の筐体の正面写真(検甲1)
甲54:「サンダーV」の前面扉開口状態の正面写真(検甲2)
甲55:「サンダーV」の開口部拡大正面写真(検甲3)
甲56:「サンダーV」の可変表示部と制御基板の拡大正面写真(検甲4)
甲57:「サンダーV」の制御基板の拡大正面写真(検甲5)
甲58:「サンダーV」の制御基板に実装されたROMの拡大写真(検甲6)
甲59:「ハナビ」の筐体の正面写真(検甲7)
甲60:「ハナビ」の前面扉を開口した内部写真(検甲8)
甲61:「ハナビ」の開口部正面写真(検甲9)
甲62:「ハナビ」の可変表示部と制御基板の拡大正面写真(検甲10)
甲63:「ハナビ」の制御基板の拡大正面写真(検甲11)
甲64:「ハナビ」の制御基板に実装されたROMの拡大写真(検甲12)
甲65:「サンダーV」に実装されたROMを解析中の写真(検甲13)
甲66:「ハナビ」に実装されたROMを解析中の写真(検甲14)

(2)被請求人が提出した書証
【平成19年11月6日の答弁書に添付】
乙1 :「サンダーV」の遊技機本体内部の写真
乙2 :「ハナビ」の遊技本体内部の写真
乙3 :「ハナビ」の取扱説明書
【平成20年5月30日の上申書に添付】
乙4 :健全化対策実施要綱
乙5 :四訂版 風営適正化法関係法令集に掲載された保証書の書式
乙6 :サンダーVの販売台数に関する資料
乙7 :サンダーVのパンフレット
乙8 :別所直鋼の陳述書(1)
乙9 :磯山裕一の陳述書
乙10:福田貞夫の陳述書(1)
乙11:並木利夫の陳述書
乙12の1?乙12の16:サンダーVの販売台数(出荷台数)について、被請求人から株式会社メーシー販売への通知書
乙13:売買契約書
乙14:約款
乙15:「回胴式遊技機の機能及び構造等(日電協内規)(案)」 日本電動式遊技機工業協同組合
乙16:「遊技機試験運用細目」 保安電子通信技術協会
乙17:「パチスロ攻略マガジン」1998年4月号 平成10年4月1日、株式会社双葉社発行)
乙18:「最新 パチスロ完全攻略ガイド」平成10年7月1日、辰巳出版株式会社発行
乙19:畠山裕明の陳述書
乙20:福田貞夫の陳述書(2)
乙21:別所直鋼の陳述書(2)
【平成21年6月18日の答弁書に添付】
乙22:無効2006-80116号における平成20年4月14日付け訂正請求書
乙23:無効2006-80116号についての平成20年11月19日付け審決
乙24:「広辞苑第4版」145頁(「一意」の部分、1991年11月15日 株式会社岩波書店発行)
乙25:「工業所有権法逐条解説 第13版」表紙、100?111頁及び奥付(1996年1月1日 社団法人発明協会発行)
乙26:「月刊 パチスロ必勝ガイド」1999年2月号、表紙及び66?67頁(平成10年12月25日国立国会図書館受入)
【平成21年6月26日の上申書に添付】
乙27:別所直鋼の陳述書(3)
乙28:平成13年6月5日付け沖縄本部営業社員からの市場調査の報告、FAX送信文書
乙29:平成12年11月21日付け沖縄本部営業社員からの新規機種「大花火-30」についての稼働率の報告、FAX送信文書
乙30:平成14年5月付けパチスロ機「バベル」売買契約書
乙31:平成12年2?9月におけるパチスロ機「大花火-30」「サンダーV-30」「アステカ-30」の注文書
乙32:塚越繁の陳述書(1)
乙33:塚越繁の陳述書(2)
乙34:弁護士長沢幸男の陳述書(1)
【平成21年7月3日の上申書に添付】
乙35:別所直鋼の陳述書(4)
乙36:風営適正化法関係法令集 四訂版、表紙、85、102、138頁及び奥付(平成16年10月5日 東京法令出版株式会社発行)
乙37:風営適正化法関係法令集 四訂版、表紙、244、277頁及び奥付(平成16年10月5日 東京法令出版株式会社発行)
【平成21年7月8日の上申書に添付】
乙38:弁護士長沢幸男の陳述書(2)
乙39:弁護士長沢幸男の陳述書(3)

第4.本件審判請求についての当審の判断
1.被請求人の主位的主張について
当審は、本件審判請求を却下しない。その理由は以下に述べるとおりである。
第一に、特許法135条は「不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもつてこれを却下することができる。」と定めているところ、「被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、」とある以上、「不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないもの」かどうかの判断は審判合議体に委ねられており、「却下することができる」のであって却下しなければならない旨定めているのではないから、仮に「不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないもの」に該当しても、却下しなければならないものではないから、被請求人が単なる意見として述べるのは可能であるものの、主張として述べることは許されない。
第二に、請求人が主張する無効理由は2つあり、被請求人が不適法かつ補正をすることができないと主張するのは、無効理由1に対してのみである。仮に無効理由1が被請求人主張のとおりであるとしても、無効理由2が不適法な理由でない以上、無効理由1については、その理由により本件特許を無効にできない旨判断し、無効理由2により本件特許を無効にすべきかどうかの判断をすべきである。
第三に、無効理由1が「補正をすることができない」ほど不適法であるとも認めない。被請求人は、優先権効果の主張が認められない理由を具体的に特定しておらず、「後の出願の特許請求の範囲に記載された発明の要旨となる技術的事項」及び「先の出願の当初明細書等に記載された技術的事項の範囲」を具体的に特定していないなどと主張し、そのため、反論の対象を特定できないと主張する。無効理由1が、被請求人が主張するように具体性を欠くことは認めるが、無効理由1は、本件訂正前発明の出願日を優先権との関係で問題とし、P1出願の優先権の効果が認められないことを中核とした無効理由であることは明らかであり、P1出願の優先権の効果が認められない理由やその範囲を具体化することは、特許法131条の2の「要旨を変更するもの」には該当しない。

2.本件訂正発明の認定
本件訂正は、上記第2.4.に記載したとおり適法なものであるので、本件訂正発明は訂正後の明細書等の記載からみて、訂正後の請求項3、6、7、9、10、18及び25?28に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち本件無効審判の対象となっている請求項3、6、7、10及び26?28に記載された事項は次のとおりである。
【請求項3】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知することを特徴とする遊技機。
【請求項6】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択することを特徴とする遊技機。
【請求項7】 前記連動演出手段は、前記可変表示停止手段によって前記各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出することを特徴とする請求項3または請求項6に記載の遊技機。
【請求項10】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする遊技機。
【請求項26】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする遊技機。
【請求項27】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする遊技機。
【請求項28】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択し、
前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させることを特徴とする遊技機。

3.基準日の認定
請求人の主張している無効理由1は、上記第3.1.(1)に記載したように、訂正前発明1?8及び10は、P2出願日前に公然実施されたスロットマシン「サンダーV」又は「ハナビ」そのものであるから、特許法29条1項2号に規定する要件を満たしていないというものであり、訂正発明3、6、7、10及び26?28を対象としていると認められる。
また、審判合議体が指摘した無効理由4は、上記第3.2.(2)に記載したように、訂正前発明1?7及び10は、本件訂正前発明が前提とする周知の遊技機及びP2出願日前に公然実施されたパチスロ機「サンダーV」に基づいて、また、訂正前発明8は、それらに加えて甲28に記載された周知技術及びP2出願日前に公然実施されたパチスロ機「ハナビ」に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項に規定する要件を満たしていないというものであり、訂正発明3、6、7、10及び26?28を対象としていると認められる。
すなわち、無効理由1及び4は、P1出願日とP2出願日との間に発売されたパチスロ機「サンダーV」を主な証拠としており、本件訂正発明の基準日が問題となるので、無効理由1及び4の判断に先立ち、無効審判請求の対象となる訂正発明3、6、7、10及び26?28の各々について基準日を認定する。

(1)訂正発明3及び7について
訂正後の請求項3に記載されている構成のうち、基準日の検討が必要なものは、「報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから」なる点と、報知態様が「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せ」からなる点であり、平成19年11月28日付けの無効理由通知で検討するとともに(無効理由通知書1?4頁1.)、請求人も、平成21年4月30日付け弁駁書において同様の主張をしている(同弁駁書9?11頁)。
そこで検討するに、上記第2.4.(2)及び(13-2)に記載したように、P1出願時の明細書の段落【0015】(当審注:本件出願時の明細書の段落【0016】とほぼ同じ)に「可変表示が開始されるときに音発生手段によって発生される効果音の種類,各列の可変表示が停止されるのに連動して連動演出手段によって順次演出される各列の表示態様の種類、および各列の可変表示の全てが停止したときに停止演出手段によって演出される可変表示装置の表示態様の種類の組合せにより、入賞態様を遊技者に報知させると効果的である」と記載され、P1出願時の【図18】によれば、遊技開始音と連動表示態様の組合せのみによって、対応する報知当選フラグは定まるから、さらに付加される停止表示態様は、報知当選フラグとの対応を示す上では必須でない確認的な報知演出に過ぎないことがわかり、同じく段落【0114】(当審注:本件出願時の明細書の段落【0119】とほぼ同じ)にもBBフラグ成立の際の例のみではあるが、同趣旨の記載があるので、音発生手段によって発生される効果音の種類、連動演出手段によって順次演出される各列の表示態様の種類(連動表示態様の種類)及び停止演出手段によって演出される可変表示装置の表示態様の種類(停止表示態様の種類)の組合せから停止表示態様の種類を省略することは、P1出願時の明細書等から明らかな事項であるといえる。
そして、訂正発明3においては「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様」が、可変表示が開始されるときに行われる報知であって、音発生手段によって発生される効果音であること、及び「報知態様とは異なる報知態様」が、可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、連動演出手段によって演出される連動表示態様であることも限定されているので、基準日の検討が必要となる訂正発明3の構成は、いずれもP1出願時の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができる。
よって、訂正発明3及び請求項3を引用する訂正発明7の基準日はP1出願日と認められる。

(2)訂正発明6及び7について
訂正後の請求項6に記載されている構成のうち、基準日の検討が必要なものは、「報知情報が、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とから」なる点、報知態様が「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」からなる点及び「停止表示態様の種類」が「前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する」点である。
そこで検討するに、上記(1)に示したP1出願時の明細書等の【図18】及び段落【0059】?【0064】(当審注:本件出願時の明細書の段落【0064】?【0069】とほぼ同じ)に記載された実施例は、まさにそのような報知情報及び報知態様となっており、同じく段落【0015】及び【0114】の記載も、そのような実施例の報知情報及び報知態様に即した説明になっている。そのため、基準日の検討が必要となる訂正発明6の構成は、いずれもP1出願時の明細書等に記載した事項の範囲内のものであるということができる。
よって、訂正発明6及び請求項6を引用する訂正発明7の基準日はP1出願日と認められる。

(3)訂正発明10について
訂正後の請求項10に記載されている構成のうち、基準日の検討が必要なものは、「報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから」なる点、「連動演出手段」が「可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する」ものである点、報知態様が「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」からなる点及び「報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」点である。
そこで、「報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」点について検討すると、「デモ抽選テーブル選択テーブル」及び「デモ抽選テーブル」を用いて演出態様組合せを選択する点は、P2出願時の明細書等の段落【0124】?【0208】及び【図28】?【図63】に記載された第2の実施形態において、特に段落【0148】?【0155】、【0166】及び【図53】?【図56】に説明されるものであり、当該第2の実施形態は、P1出願時の明細書等には記載されていない。
よって、訂正後の請求項10に記載されている他の構成の基準日を検討するまでもなく、訂正発明10の基準日はP2出願日以降と認められる。

(4)訂正発明26?28について
訂正発明26?28は、いずれも「デモ抽選テーブル選択テーブル」及び「デモ抽選テーブル」を用いて演出態様組合せを選択する点を発明の構成として含んでいるから、上記(3)で検討したと同様に、他の構成の基準日を検討するまでもなく、訂正発明26?28の基準日はP2出願日以降と認められる。

(5)基準日についての結論
以上によれば、訂正発明3、6及び7については、その基準日はP1出願日(平成9年12月5日)であり、訂正発明10及び26?28については、P2出願日(平成10年8月28日)以降である。
なお、訂正発明10及び26?28の基準日がP2出願日以降であることについては、被請求人も認めている(平成21年6月18日の答弁書20?21頁、う?お)。

4.訂正発明3、6及び7に対する無効理由1及び4について
訂正発明3、6及び7の基準日は、上記3.で検討したとおり、P1出願日であって、無効理由1及び4の主な証拠であるパチスロ機「サンダーV」の販売開始日と認められる平成9年12月24日(上記第2.4.(13-2)参照)より前であるから、パチスロ機「サンダーV」は訂正発明3、6及び7の新規性あるいは進歩性を否定する根拠にはなり得ない。
よって、無効理由1又は4で訂正発明3、6及び7の新規性あるいは進歩性が否定されることはあり得ない。

5.訂正発明10及び26?28に対する無効理由1及び4について
無効理由1と4は、どちらもパチスロ機「サンダーV」を証拠とする無効理由であって、無効理由4で無効となれば請求人の目的は達成され、無効理由4で無効とならなければ無効理由1でも通常は無効とならないから、無効理由4から検討する。
(1)周知の遊技機の認定
無効理由で通知した周知の遊技機は、次のとおりである。
「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行う遊技機。」
上記遊技機の周知性については、被請求人も格別争っていないが、念のため周知であることを立証しておく。
甲28には、「複数の図柄を可変表示する可変表示部と、ゲーム毎にサンプリングされる乱数値を予め設定された入賞確率テーブル中のデータと照合することにより入賞態様を判定し、その判定した入賞態様に対応する図柄の組合せが出現するように前記可変表示部の可変表示動作を停止制御する制御部とを備えた遊技機」(【請求項1】)との記載がある。
ここで、「ゲーム毎にサンプリングされる乱数値を予め設定された入賞確率テーブル中のデータと照合することにより入賞態様を判定」することは、「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定」及び「複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属」するかどうかの判定であり、甲28には「属した入賞態様の当選フラグを成立させ」る旨の直接記載はないが、甲28には「当選フラグが立っている状態」(段落【0062】)等の記載もあり、「属した入賞態様の当選フラグを成立させ」ることは明らかといえる。そして、「入賞態様決定手段」は当然備わっているものと認められる。
また、甲28記載の「判定した入賞態様に対応する図柄の組合せが出現するように前記可変表示部の可変表示動作を停止制御」は「前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示」と表現することができる。甲28の上記記載自体は、「前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行う」ことを裏付けるものではないが、甲28には「各リールに対応して設けられたストップボタン12、13、14の操作が有効化されるので、遊技者はこれらのボタンを押圧操作することで、対応するリールの回転を停止させることができる。」(段落【0032】)、「入賞と判定された場合には、CPU21は、遊技者がストップボタン12、13、14を操作した時にリール停止信号回路36から送られる操作信号に応じて、入賞の種類に対応したシンボル表示位置にリール2、3、4を停止制御する信号をモータ駆動回路31に送ると共に、入賞の種類に対応したメダル払出しデータを表示部駆動回路33に供給して表示部10にメダル払出し数を表示し、且つ、払い出し指令信号をホッパー駆動回路32に供給してホッパー30から所定個数のメダルの払出しを行う。」(段落【0048】)及び「BB、NBが内部当選してから入賞する(入賞組合せになる)までの遊技数は、従来のもので平均10回に対し、本実施例では平均19回である。」(段落【0060】)との各記載もあり、これらの記載からみてストップボタン(遊技者が操作可能な停止ボタン)が存在すること、「停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させる」こと、及び「当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行う」ことは明らかといえる。
以上のとおりであるから、無効理由で通知した周知の遊技機が、実際に周知であることは、甲28のみによっても立証される。以下では、上記周知の遊技機を「周知発明」ということにする。

(2)パチスロ機「サンダーV」に係る発明の認定
被請求人又はその関連企業が製造販売したパチスロ機「サンダーV」は、上記第2.4.(13-2)に記載したとおり、P2出願日前である平成9年12月24日に販売開始されたものと認められる。
そして、「パチスロ必勝本SPECIAL vol.1」(辰巳出版株式会社発行。以下「必勝本SPECIAL」という。)には、平成10年9月10日に発行された旨の印刷表示があり、必勝本SPECIALの36?65頁にはパチスロ機サンダーVについての解説記事が掲載されており、以下の各記載又は図示がある。
ア.37頁には、「ビッグボーナス確率」、「レギュラーボーナス確率」、「小役抽選確率(BIG中)」、「小役抽選確率(高確率時)」及び「小役抽選確率(低確率時)」の表が示されており、これら表から、設定1?設定6まであることが読み取れる。同頁には、「ボーナス&小役払い出し構成」と題する表も掲載されている。
イ.38頁下部の囲み欄には「レバーを叩いた瞬間…どちらかの音が鳴るぞ」及び「普通はスタート音(リールが回転を始める時の効果音)は1種類なのだが、サンダーVでは2種類のスタート音が用意されている。」との各記載がある。
ウ.41頁には「リール消灯パーフェクト解説 1消→2消→3消と期待感アップ」と題して、「リールが停止した瞬間、意味有りげにリール照明が消えるというリール消灯。」との記載がある。
エ.43頁下段には、「完全網羅!!解析から判明したチャンスパターンの全て!」と題する表が掲載され、同表には「ボーナスフラグ成立中」及び「ボーナスフラグ不成立時」の遊技状態に分けて、成立フラグ毎の「予告音」(「予告者」と記載されているが誤記と認める。)、「リール消灯」及び「フラッシュパターン」が「振り分け率(%)」とともに示されている。
なお、同表に「ボーナス成立プレイ」とあるのは、ボーナスフラグ不成立時において「REG」(レギュラーボーナス)又は「BIG」(ビッグボーナス)が成立した場合を意味するので、遊技状態の区別には含めていない。
オ.45頁中段には「JACゲームでのチャンスパターン」及び「BIG中小役ゲームでのチャンスパターン」と題する表が示されており、43頁の表同様、「予告音」、「リール消灯」及び「フラッシュパターン」が「振り分け率(%)」とともに示されている。

必勝本SPECIAL36頁には、パチスロ機「サンダーV」の写真が掲載されており、中央部の3つの赤いボタンが、各リール(明らかに3リール存在する。)を個別に停止させるための停止ボタンであること、その左側の青いレバーがスタートレバーであることは明らかである。
記載ア、エ、オの各表によれば、配当のある小役(JACゲームを除く。)は、スイカ、チェリー及びベルの3種類であり、これ以外に、リプレイ、REG及びBIGが当選役として存在する。
記載エ、オの表を併せたものを「予告表」ということにする。要するに、ボーナスフラグ成立中、ボーナスフラグ不成立時、JACゲーム(REG入賞確定後のゲームであることは技術常識に属する。)又はBIG中小役ゲームの何れの状態であるか、及び成立フラグ(ハズレを含む)に応じて、「予告音」、「リール消灯」及び「フラッシュパターン」を「振り分け率(%)」で決定するものである。
必勝本SPECIALには、振り分け率が%で表示されているが、これが「整数/128」を%表示したものであることは明らかである。そのことは、「パチスロ必勝ガイド」1998年4月号(甲41、必勝本SPECIALと同様パチスロ機「サンダーV」についての解説記事が掲載されている。)の「成立フラグや状態に対応して存在する「予告機能テーブル」である。その数は全部で16種類だが、うち4つはビッグ中の小役ゲーム時やボーナスゲーム中に用いられる・・・各テーブルでは、予告音の有無→消灯の有無と消灯リール数→フラッシュの有無とその種類…と言った一連の動作が数パターンずつ事細かに指定されており、128を分母とする振り分け抽選によって、その中のいずれかが選択される仕組み。」(6頁右上部の上段3行?下段1行)との記載及び6?7頁の表において「選択率」(必勝本SPECIAL記載の「振り分け率」に等しい。)が「整数/128」の形態で表記されていること、「パチスロ必勝ガイド8月号増刊サンダーV」(平成10年8月1日株式会社白夜書房より発行。これにもパチスロ機「サンダーV」についての解説記事が掲載されている。)の16?17頁の表(16頁上段には「成立フラグに応じて抽選・選択される「予告機能テーブル」との記載もある。)、並びに「パチスロ攻略マガジン」1998年4月号(乙17、必勝本SPECIALと同様パチスロ機「サンダーV」についての解説記事が掲載されている。)の8頁に「「ボーナスフラグ成立」「ボーナス中」「JACゲーム中」、更に「小役フラグ成立の有無」も加味され、想定し得る全ての状態に関して、個別に、各演出への振り分けテーブルが存在する」との記載及び同頁の表中「出現率」(必勝本SPECIAL記載の「振り分け率」に等しい。)が「整数/128」の形態で表記されていることからも明らかである。
したがって、「サンダーV」は次のようなパチスロ機であると認めることができる。
「3つのリール、各リールを個別に停止させるための3つの停止ボタン及びスタートレバーを備え、スイカ、チェリー及びベルを配当のある小役として有し、それ以外にリプレイ、REG及びBIGを当選役として有し、抽選の上当選役を決定するパチスロ機であって、
ボーナスフラグ成立中、ボーナスフラグ不成立時、JACゲーム又はBIG小役ゲームの何れの状態であるか、及びハズレを含む成立フラグに応じて、予告音、リール消灯及びフラッシュパターンの組合せを、整数/128の確率で規定される振り分け率で決定するパチスロ機。」(以下「サンダーV発明」という。)

(3)サンダーV発明の公然実施性について
被請求人は、「サンダーV」のROMは秘密管理されており、ROMを解析することは不可能であるから、製造販売された事実があるとしても、ROMの内容まで含めて公然実施されていないと主張している。
なるほど、必勝本SPECIAL記載の予告表は、ROMを解析するか、又は製造メーカーが発表しない限り判明しない事項である(製造メーカーが発表した事実を認めることはできない。仮にその事実があれば、問題なく、前項認定の発明は公然実施されたといえる。)から、ROMの解析が不可能であれば、前項で認定した発明が公然実施されたということはできない。
しかし、パチスロ機が販売されれば、攻略本等の雑誌(サンダーVについての解説記事を掲載した必勝本SPECIALや甲41等も、それに該当する。)には、ROM解析結果が報告され、解析結果に基づく攻略法が紹介されているのが通常である。必勝本SPECIALは前示のとおり、印刷された発行日はP2出願後の平成10年9月10日(実際には、P2出願前の平成10年7月に頒布されている)であるが、サンダーVの製造販売からP2出願までは、9ヶ月程度あるところ、平成20年5月30日に被請求人が提出した乙8(別所直鋼の陳述書)の9頁にあるように、解析に半年かかったとしても、平成10年7月には「サンダーV」のROM内容についても第三者が知り得る状態、すなわち特許法29条1項2号にいう公然実施をされた状態になったものと判断できる。
被請求人は、「サンダーV」の販売先はホールのみであり、ホールではROMを解析することが禁じられていること、転売に当たってもメーカの保証書が必要であり、被請求人が保証書を発行したことはない等の主張をしている。被請求人のいうとおり、ホールから別のホールに転売し、転売先のホールがパチスロ機を設置する場合には、被請求人が主張するように保証書が必要であるかもしれないけれども、ホールからホール以外に転売する場合にまで、そのような保証書が必要であると認めることはできないし、平成20年5月30日に被請求人が提出した乙14(約款)からみても、「サンダーV」を購入した者が第三者に譲渡することを禁じているわけではない(特に、第6条4.を参照)。
そして、「サンダーV」の解析を行う可能性の高い者は、他のパチスロメーカーや攻略本の発行元であるが、これらの者はホール以外であるから、これらの者がホール等からサンダーVを入手し、そのROMを解析することは十分可能であるし予想できることである。
よって、「サンダーV」を含むパチスロ機を販売することは、設置されたパチスロ機が転売され、そのROMを解析されることが予想される状況での実施に当たり、特許法29条1項2号の「公然実施」に該当する。
被請求人は、サンダーVがホールからP2出願前に撤去された事実がない旨主張するが、販売したすべてのサンダーVの所在を追跡管理していたことを裏付ける証拠はなく、かえって、「パチスロ攻略マガジン」1998年8月号(1998年8月1日発行。請求人の提出した甲48)の72頁に掲載されたパチスロ専門ショップ「ステップ販売」の広告記事において、「サンダーV」を230、000円で販売し即日発送する旨記載されていることからみて、本件出願までにパチスロ機「サンダーV」がホール以外の者によって取得され、任意の第三者が取得可能な状態にあったことは明らかである。
被請求人はこれについても、現実にサンダーVがステップ販売により販売された事実を示すものではない(口頭審理陳述要領書19?20頁)と主張するが、前示のとおり、P2出願前にROM内容を含めて第三者が知り得る状態になっていたと解すべきである。被請求人は、甲41に「解析では出ない「何か」がプログラム内に隠されているのだろうか!?」(5頁中央部分)と記載されていることを根拠に、本件出願までに完全な解析をすることが不可能である旨主張するが、第三者により解析されれば、解析された範囲内で特許法29条1項1号の「公知」に該当するところ、同条同項2号の公然実施は「公知」とは異なる規定であって、現実に解析が終了しなくとも、解析される状況で実施(第三者が入手できることはこれに該当)すれば公然実施に該当する。そればかりか、プログラムのすべてを解析しなければ、サンダーVがいかなる構成であるのか皆目判明しないわけではなく、解析した範囲内でその構成は判明するのだから、P2出願前に第三者により、前項で認定したサンダーV発明を確定するに必要な限度でのROM解析又はサンダーVの機能調査がされたことは明らかであり、公然実施の時点を販売後ROM解析に要する期間まで遅らせるとしても、サンダーV発明がP2出願前に公然実施されたことに変わりはない。
そして、パチスロ機「サンダーV」が上記(2)に記載したサンダーV発明の構成を有するものであることは、必勝本SPECIALや請求人の提出した証拠等から認定できるので、サンダーV発明はP2出願前に公然実施されたものであると判断される。

(4)訂正発明10に対する無効理由4について
(4-1)訂正発明10と周知発明の一致点及び相違点の認定
訂正発明10と周知発明の一致点及び相違点は次のとおりである。
〈一致点〉
「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行う遊技機。」
〈相違点1〉
訂正発明10が「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり」との構成を有するのに対し、周知発明は同構成を有さない点。
〈相違点2〉
訂正発明10が「前記報知手段は、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され」という構成を有するのに対し、周知発明は同構成を有さない点。
なお、上記第2.4.(6)に記載したとおり、同構成中の「前記可変表示手段」という記載は、「前記可変表示開始手段」の誤記と認める。
〈相違点3〉
訂正発明10が「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」という構成を有するのに対し、周知発明は同構成を有さない点。

(4-2)相違点の判断及び訂正発明10の進歩性についての判断
〈相違点1について〉
サンダーV発明、すなわち「3つのリール、各リールを個別に停止させるための3つの停止ボタン及びスタートレバーを備え、スイカ、チェリー及びベルを配当のある小役として有し、それ以外にリプレイ、REG及びBIGを当選役として有し、抽選の上当選役を決定するパチスロ機であって、
ボーナスフラグ成立中、ボーナスフラグ不成立時、JACゲーム又はBIG小役ゲームの何れの状態であるか、及びハズレを含む成立フラグに応じて、予告音、リール消灯及びフラッシュパターンの組合せを、整数/128の確率で規定される振り分け率で決定するパチスロ機。」がP2出願前に公然実施されたことは、既に認定したとおりである。
そして、サンダーV発明の「予告音」は、上記(2)でも示した、必勝本SPECIAL38頁下部の囲み欄にある「レバーを叩いた瞬間…どちらかの音が鳴るぞ」及び「普通はスタート音(リールが回転を始める時の効果音)は1種類なのだが、サンダーVでは2種類のスタート音が用意されている。」の各記載、同43頁下段の「完全網羅!!解析から判明したチャンスパターンの全て!」と題する表並びに同45頁中段の「BIG中小役ゲームでのチャンスパターン」と題する表からみて、2種類のスタート音はいずれも「チェリー」、「ベル」、「スイカ」「REG」及び「BIG」のフラグが成立している時に鳴る可能性があるから、訂正発明10の「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」に相当し、「リール消灯」及び「フラッシュパターン」は、必勝本SPECIAL38頁左上部の囲み欄にゲームの流れとして「レバーを叩く(スタート)→予告音が鳴った?→リールランプが消灯→フラッシュした」と記載されていること、上記必勝本SPECIAL43頁下段の表及び同45頁中段の表からみて、いずれもレバーを叩いた時に音が鳴った後に報知されるものであり、音とは異なる態様のものであるから、訂正発明10の「その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知」に相当する。
また、サンダーV発明の「ボーナスフラグ成立中、ボーナスフラグ不成立時、JACゲーム又はBIG小役ゲームの何れの状態であるか、及びハズレを含む成立フラグに応じて、予告音、リール消灯及びフラッシュパターンの組合せを、整数/128の確率で規定される振り分け率で決定する」との構成を周知発明に適用することは問題なく容易である。
したがって、相違点1に係る訂正発明10の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。
〈相違点2について〉
サンダーV発明の「予告音」、「リール消灯」及び「フラッシュパターン」は、上記〈相違点1について〉で述べたと同様、必勝本SPECIAL38頁の記載や同43頁及び45頁の表からみて、訂正発明10の「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音」、「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様」及び「前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様」にそれぞれ相当する。
そして、サンダーV発明においては、「予告音」、「リール消灯」及び「フラッシュパターン」の組合せを、ボーナスフラグ成立中、ボーナスフラグ不成立時、JACゲーム又はBIG小役ゲームの何れの状態であるか(遊技状態)、及びハズレを含む成立フラグ(入賞態様)に応じて決定していることが、上記必勝本SPECIAL43頁及び45頁の表から明らかであるから、訂正発明10の「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」に相当する構成はサンダーV発明にも当然備わっている。
そうであれば、周知発明にサンダーV発明を適用した場合には、相違点2に係る訂正発明10の有する構成を自然と備えることになる。
〈相違点3について〉
サンダーV発明においては、ボーナスフラグ成立中、ボーナスフラグ不成立時、JACゲーム又はBIG小役ゲームの何れの状態であるか(遊技状態)とハズレを含む成立フラグ(入賞態様)の各組合せにおいて、予告音、リール消灯及びフラッシュパターンの振り分け率は、いずれも整数/128であるから、遊技状態及び入賞態様の各組合せの下で、乱数抽選によって報知態様を決定していると考えられる。それに加えて、予告音、リール消灯及びフラッシュパターンの組合せを確率的に選択することが定まっている場合、抽出された乱数毎の予告音、リール消灯及びフラッシュパターンの組合せをテーブル(訂正発明10の「デモ抽選テーブル」に相当。)として記憶することは一般的に採用される手法であること、及び甲41(「月刊 パチスロ必勝ガイド」1998年4月号)に「成立フラグや状態に対応して存在する「予告機能テーブル」」と記載されていることを考慮すれば、サンダーV発明は訂正発明10の「抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択するための情報を有する複数種類のデモ抽選テーブルが記憶される手段」に相当する構成を備えると解すべきであり、「1つのデモ抽選テーブルを遊技状態および入賞態様に応じて選択」した上で、「その選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じた演出態様組合せを選択する手段」を備えることも訂正発明10とサンダーV発明との一致点である。
また、デモ抽選テーブルの選択に当たり、サンダーV発明が「デモ抽選テーブル選択テーブルを参照」するかどうかは不明であるものの、複数のテーブルの1つを選択するに際し、どのテーブルを選択すべきかを決定するための別のテーブルを記憶し、その別のテーブルにアクセスする程度のことは別段の創作力を必要とするものではなく、誰もが思いつくことであり、実際甲34(特開平10-201911号公報)に「リーチモード選択確率設定用テーブル(表5、ROMに記憶されている)から、リーチモード選択確率設定及びリーチモード選択テーブルが選択される。」(段落【0107】)と、甲35(特開平8-211869号公報)に「タッチ変換テーブル選択テーブル45は、その内容を図6(a)に示すように、例えば踏み込み量を8段階に分け、各段階に対応して、各音域ごとに採用すべきタッチ変換テーブルの番号を記憶している。そして、キーオン時にはCPU1は踏み込み量情報がどの段階に属するかを判定し、該段階において、それぞれの音域において採用すべきタッチ変換テーブルの番号を読み出す。」(段落【0013】)と、甲36(特開平8-99407号公報)に「関数テーブルを規則選択するための関数テーブル選択テーブルを別個有し、所望のタイミングで前記関数テーブル選択テーブルから次に選択する関数テーブルの情報を得る手段であっても良い。」(段落【0052】)と、及び本件出願の相当以前に頒布された特開平7-101103号公報に「乱数テーブルをランダム選択する為の乱数テーブル選択テーブルを準備しておき、乱数テーブルを変更するタイミングで乱数テーブル選択テーブルから次に選択する乱数テーブルの情報を得るように構成してもよい。」(段落【0075】)と記載されているように、本件出願当時の周知技術(以下「周知技術1」という。)と認めることができる。
よって、上記〈相違点1について〉で検討したように、周知発明にサンダーV発明を適用する際に、遊技状態及び入賞態様の組合せ毎に報知態様を確率的に振り分けるデモ抽選テーブルの選択に当たり、「デモ抽選テーブル選択テーブルを参照」することとして、相違点3に係る構成に至ることには何の困難性もない。
したがって、相違点1?3に係る訂正発明10の構成は、周知発明を出発点として、サンダーV発明及び周知技術1に基づき当業者が容易に想到できたものというべきであり、訂正発明10の作用効果も、周知発明、サンダーV発明及び周知技術1から当業者が予測できる範囲内のものである。
以上のとおりであるので、訂正後の請求項10の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許である。

(5)訂正発明26に対する無効理由4について
(5-1)訂正発明26と周知発明の一致点及び相違点の認定
訂正発明26と周知発明の一致点、相違点についてみると、上記(4-1)に記載した訂正発明10と周知発明の一致点、相違点1及び3は同一であり、相違点2のみが異なっているので、その相違点を相違点2’ということにする。そして、相違点2’は次のとおりである。
〈相違点2’〉
訂正発明26が「前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され」という構成を有するのに対し、周知発明は同構成を有さない点。

(5-2)相違点の判断及び訂正発明26の進歩性についての判断
〈相違点1及び3について〉
相違点1及び3については、上記(4-2)に記載したと同様の理由により、当業者にとって想到容易である。
〈相違点2’について〉
相違点2’と上記相違点2との違いは、訂正発明26の構成が訂正発明10の構成から「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」及び「前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類」を除いたものとなっているため、相違点2からこれらの点が省略されているところである。
しかし、例えば請求人の提出した甲28(特開平8-117390号公報、特に段落【0079】?【0084】を参照)や甲29(特開平7-68027号公報、特に段落【0022】、【0023】及び【0032】を参照)に記載されるように、従来から入賞態様を1段階で報知することが周知の技術(以下「周知技術2」という。)であることを考慮すれば、サンダーV発明における「リール消灯」を省略することが、当業者にとって想到困難であると認めることはできない。
よって、上記(4-2)〈相違点1について〉で検討したように、周知発明にサンダーV発明を適用する際に、サンダーV発明における「リール消灯」を省略して、相違点2’に係る構成に至ることは、当業者にとって格別困難なことではない。
したがって、相違点1、3及び2’に係る訂正発明26の構成は、周知発明を出発点として、サンダーV発明及び周知技術1、2に基づき当業者が容易に想到できたものというべきであり、訂正発明26の作用効果も、周知発明、サンダーV発明及び周知技術1、2から当業者が予測できる範囲内のものである。
以上のとおりであるので、訂正後の請求項26の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許である。

(6)訂正発明27に対する無効理由4について
(6-1)訂正発明27と周知発明の一致点及び相違点の認定
訂正発明27と周知発明の一致点、相違点についてみると、上記(4-1)に記載した訂正発明10と周知発明の一致点、相違点3は同一であり、相違点1及び2が異なっているので、それらの相違点を相違点1”及び2”ということにする。そして、相違点1”及び2”は次のとおりである。
〈相違点1”〉
訂正発明27が「前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり」という構成を有するのに対し、周知発明は同構成を有さない点。
〈相違点2”〉
訂正発明27が「前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され」という構成を有するのに対し、周知発明は同構成を有さない点。

(6-2)相違点の判断及び訂正発明27の進歩性についての判断
〈相違点1”について〉
相違点1”と上記相違点1との違いは、訂正発明27の構成が訂正発明10又は26の「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」について、「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる」点を限定し、「前記報知態様とは異なる報知態様による報知」について、「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる」点を限定したものとなっているため、相違点1にこれらの点が追加されているところである。
しかし、上記(4-2)〈相違点1について〉の項で述べたと同様に、サンダーV発明の「予告音」は、必勝本SPECIAL38頁下部の囲み欄の記載や同43頁下段及び45頁中段の表からみて、訂正発明27の「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」に相当し、「リール消灯」は、必勝本SPECIAL38頁左上部の囲み欄の記載や同43頁下段及び45頁中段の表からみて、訂正発明27の「その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知」に相当するものということができる。
したがって、上記(4-2)〈相違点1について〉の項で述べたと同様の理由により相違点1”に係る訂正発明27の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。
〈相違点2”について〉
相違点2”と上記相違点2との違いは、訂正発明27の構成が訂正発明10の構成から「前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」及び「前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類」を除いたものとなっているため、相違点2からこれらの点が省略されているところである。
しかし、上記(5-2)〈相違点2’について〉の項で述べたように、周知技術2(入賞態様を1段階で報知すること)を考慮すれば、サンダーV発明における「フラッシュパターン」を省略することが、当業者にとって想到困難であると認めることはできない。
よって、上記〈相違点1について〉で検討したように、周知発明にサンダーV発明を適用する際に、サンダーV発明における「リール消灯」を省略して、相違点2”に係る構成に至ることは、当業者にとって格別困難なことではない。
〈相違点3について〉
相違点3については、上記(4-2)に記載したと同様の理由により、当業者にとって想到容易である。
したがって、相違点1”、2”及び3に係る訂正発明27の構成は、周知発明を出発点として、サンダーV発明及び周知技術1、2に基づき当業者が容易に想到できたものというべきであり、訂正発明27の作用効果も、周知発明、サンダーV発明及び周知技術1、2から当業者が予測できる範囲内のものである。
以上のとおりであるので、訂正後の請求項27の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許である。

(7)訂正発明28に対する無効理由4について
(7-1)訂正発明28と周知発明の一致点及び相違点の認定
訂正発明28と周知発明の一致点、相違点についてみると、訂正発明28は訂正発明27の「音発生手段」に限定を加えるものであるから、上記(6-1)に記載した訂正発明27と周知発明の一致点、相違点1”、2”及び3は同一であり、これに加えて次の相違点4の点でも異なっている。
〈相違点4〉
訂正発明28が「前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させる」という構成を有するのに対し、周知発明は同構成を有さない点。

(7-2)相違点の判断及び訂正発明28の進歩性についての判断
〈相違点1”、2”及び3について〉
相違点1”、2”及び3については、上記(6-2)及び(4-2)に記載したと同様の理由により、当業者にとって想到容易である。
〈相違点4について〉
サンダーV発明の「リール消灯」は、「少なくとも1列」の可変表示が停止されるのに連動しているだけでなく、「各列」の可変表示が停止されるのに連動して行われる表示演出である。そして、報知に当たり光と音を併用することは、例えば請求人の提出した甲28(特開平8-117390号公報)の段落【0083】に「バックライトの利用に加えて又はバックライトを利用する代わりに、スピーカのような発音装置から適当な音を発生することによっても、内部的当選を遊技者に知らせることができる。」と記載され、同じく甲29(特開平7-68027号公報)の段落【0028】に「LCD表示装置5の表示動作による事前報知に加えて、音による報知やランプ、LEDによる報知を行なうようにしてもよい。」と記載され、同じく甲26(「パチスロ攻略マガジン」の表紙、裏表紙及び10?15頁(平成10年10月1日 株式会社双葉社発行))の11頁左下部に、パチスロ機「ハナビ」について「ボタンを押す際の効果音が3種類ある/消灯と共にボタンストップ時の効果音が通常時のそれとは異なる。・・・/第一ボタン(ジリジリ) 第二ボタン(ヒュ?ン) 第三ボタン(ドン!!)」(当審注:「/」は表示形態が変わっていることを示す。)と記載されるように、従来周知の技術(以下「周知技術3」という。)である。
ここで、上記甲26はP2出願前に頒布された刊行物ではないけれども、パチスロ機「ハナビ」がP2出願前に販売されていたことは明らかであり、ボタンを押す際の効果音は遊技を行うことにより直ちに判明するものであるから、上記の技術はP2出願前に一般遊技者に広く知られていたものと推認できる。
よって、上記(4-2)〈相違点1について〉で検討したように、周知発明にサンダーV発明を適用する際に、サンダーV発明における「リール消灯」とともに音を併用して、相違点4に係る構成に至ることは、当業者にとって格別困難なことではない。
したがって、相違点1”、2”、3及び4に係る訂正発明28の構成は、周知発明を出発点として、サンダーV発明及び周知技術1?3に基づき当業者が容易に想到できたものというべきであり、訂正発明28の作用効果も、周知発明、サンダーV発明及び周知技術1?3から当業者が予測できる範囲内のものである。
以上のとおりであるので、訂正後の請求項28の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許である。

(8)小括
上記(4)?(7)で判断したとおり、訂正後の請求項10及び26?28の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許である。
また、訂正発明10及び26?28は、無効理由4により無効とされるべきものであるので、無効理由1については検討しない。

6.本件訂正発明に対する無効理由2について
無効理由2は、上記第3.1.(2)に記載したように、訂正前発明1?8及び10は、甲28?36に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたというものであり、訂正発明3、6、7、10及び26?28を対象としていると認められる。ここで、訂正発明10及び26?28については、上記5.で検討したとおり、周知発明及びサンダーV発明等に基いて当業者が容易に想到できたものと判断されるから、同様の進歩性欠如に関する無効理由2については判断しない。
以下においては、訂正発明3、6及び7が無効理由2によって無効とされるべきか否かについて検討する。

(1)無効理由2における証拠方法
請求人が証拠方法として提出した甲28?36は、上記第3.4.(1)に記載したとおりであるが再掲する。
甲28:特開平8-117390号公報
甲29:特開平7-68027号公報
甲30:特開平9-700号公報
甲31:特開平9-262348号公報
甲32:「必勝パチスロファン」1994年増刊7月号、VOL.25(日本文芸社より発行)
甲33:特開平8-173592号公報
甲34:特開平10-201911号公報
甲35:特開平8-211869号公報
甲36:特開平8-99407号公報
ここで、訂正発明3、6及び7については、上記3.(1)及び(2)で検討したとおり、基準日がP1出願日と認められるので、甲34は、訂正発明3、6及び7の進歩性を判断する際の証拠にはならない。

(2)甲28に記載されている発明
甲28には、図面とともに以下の記載がある。
【請求項1】複数の図柄を可変表示する可変表示部と、ゲーム毎にサンプリングされる乱数値を予め設定された入賞確率テーブル中のデータと照合することにより入賞態様を判定し、その判定した入賞態様に対応する図柄の組合せが出現するように前記可変表示部の可変表示動作を停止制御する制御部とを備えた遊技機において、・・・
【請求項4】請求項3の遊技機において、前記可変表示部は外周に複数の図柄を配列した複数の回転リールで構成され、・・・
【0023】【作用】本発明の遊技機においては、制御部は、ゲーム毎に乱数をサンプリングし、その乱数値を予め設定された入賞確率テーブル中のデータと照合することで入賞態様(入賞か否か、そして入賞の場合は、その種類)を判定し、その判定結果により可変表示部の可変表示動作を停止制御する。
【0027】また、「大ヒット」のような特定の入賞図柄に対応する内部的当選役に当っているとき、可変表示が停止した時にその特定の入賞図柄になるかどうかは、可変表示を停止させる遊技者の操作タイミングに応じて決定されるが、可変表示の停止により可変表示部に出現し得る図柄の組合せが特定の入賞図柄でない場合は、前述の「リーチ目」を出現させることにより、遊技者に内部的当選が特定の入賞であることを知らせることができる。
【0032】この実施例では、遊技者がメダル投入口8からメダルを投入した後、正面の左端部に設置されたスタートレバー11を操作することにより、3つのリール2,3,4が一斉に回転する。そして、これらの回転が一定の速さに達した時、各リールに対応して設けられたストップボタン12,13,14の操作が有効化されるので、遊技者はこれらのボタンを押圧操作することで、対応するリールの回転を停止させることができる。・・・
【0038】図3の回路において、乱数発生器26は、一定の数値範囲に属する乱数を発生し、サンプリング回路27は、スタートレバー11が操作された後の適宜のタイミングで1個の乱数をサンプリングする。こうしてサンプリングされた乱数は、ROM22内の記憶部22aに格納されている入賞確率テーブルにおいて、どの入賞グループに属する値になっているかが判定される。このため、概念的に図4に示したようなデータが、入賞確率テーブル記憶部22aに格納されている。
【0040】乱数発生器26から発生した乱数の値が0?N(所定の数)であるとすると、投入メダル数が1の場合には、大ヒットの確率が“B1/N”、中ヒットの確率が“M1/N”、小ヒットの確率が“S1/N”となる。例えば、B1,M1,S1の値がそれぞれ“100”,“500”,“1000”であったとすると、サンプリングされた乱数の値が100未満であれば大ヒット、100以上500未満であれば中ヒット、500以上1000未満であれば小ヒットとなって、それぞれの種類に対応した入賞リクエスト信号が発生し、さらに1000以上である場合には入賞なし(ハズレ)のリクエスト信号が発生する。
【0048】・・・入賞と判定された場合には、CPU21は、遊技者がストップボタン12,13,14を操作した時にリール停止信号回路36から送られる操作信号に応じて、入賞の種類に対応したシンボル表示位置にリール2,3,4を停止制御する信号をモータ駆動回路31に送ると共に、入賞の種類に対応したメダル払出しデータを表示部駆動回路33に供給して表示部10にメダル払出し数を表示し、且つ、払い出し指令信号をホッパー駆動回路32に供給してホッパー30から所定個数のメダルの払出しを行う。
【0079】(ii)ゲームスタート後、サンプリングされた乱数値が内部的当選役に該当した場合、その内部的当選を遊技者に知らせる報知手段を設けてもよい。
【0080】この報知手段としては、例えば各リール2,3,4の内側に取り付けられているバックライト(照明)を利用することができる。すなわち、遊技がスタートして乱数がサンプリングされ、入賞確率テーブルとの照合により内部的当選に該当する場合は、このバックライトを点滅又は点灯させることによって、遊技者に内部的当選を知らせる。これにより、遊技者は「当たり」への期待感を持つことができる。
【0081】具体的には、図10及び図11に示すように、3つのリール2,3,4の各々について可変表示部の窓に現れるシンボルの裏面側に、3個のランプ(LED、電球などの発光体)41を縦方向に配列した基板42を設置し、これら3列のランプ41を、図3のCPU21により、例えばストップボタン12が押された直後に、図12(A),(B),(C)に示すような種々のパターンで点滅又は点灯するように制御する。なお、図12において、(A)は全てのランプを点灯又は点滅するパターン、(B)は上下及び中心部のランプを点灯又は点滅するパターン、(C)はランプを所定の方向に順次点灯又は点滅する動作を繰り返すパターンを示す。勿論、パターンはこれらのみに限らない。
【0082】また、内部的当選の種類に応じて上述の点灯パターンを変えることにより、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせることもできる。
【0083】更に、上記のようなバックライトの利用に加えて又はバックライトを利用する代わりに、スピーカのような発音装置から適当な音を発生することによっても、内部的当選を遊技者に知らせることができる。
【0084】(iii) 内部的当選の後、リールの回転停止操作によって出現し得る図柄組合せが「大ヒット」のような特定の入賞図柄でない場合には、「リーチ目」を出現させることにより、遊技者に対し内部的当選を知らせるようにしてもよい。これはマイコン20のプログラムで実現できるが、これに代えて、或いはこれと共に、上記(ii)で説明したリールのバックライトや音声を利用する報知手段を用いてもよい。

これらの記載及び図面等からみて、甲28には、
「 乱数をサンプリングし、入賞態様を判定し、その判定結果により可変表示部の可変表示動作を停止制御する制御部と、複数のリール2,3,4で構成され、複数の図柄を可変表示する前記可変表示部と、前記複数のリール2,3,4を一斉に回転させるスタートレバー11と、各リールに対応して設けられ、押圧操作することで対応するリールの回転を停止させることができるストップボタン12,13,14とを備えた遊技機において、
前記制御部は、サンプリングされた乱数が、入賞確率テーブルにおいて、どの入賞態様に属する値になっているかを判定し、それぞれの種類に対応した入賞リクエスト信号を発生し、
入賞と判定された場合には、遊技者が前記ストップボタン12,13,14を操作した時に、入賞の種類に対応したシンボル表示位置に前記複数のリール2,3,4を停止制御するが、可変表示が停止した時にその特定の入賞図柄になるかどうかは、可変表示を停止させる遊技者の操作タイミングに応じて決定され、
ゲーム毎に、前記制御部で判定された入賞態様の種類に応じて、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせる報知手段を設け、
前記報知手段は、前記ストップボタン12が押された直後に、前記複数のリール2,3,4の内側に取り付けられているバックライトの点灯パターンを変え、加えて発音装置から適当な音を発生する遊技機。」
の発明(以下「甲28発明」という。)が開示されていると認められる。

(3)訂正発明3と甲28発明の対比
甲28発明の「可変表示部」は、訂正発明3の「可変表示装置」に相当し、以下同様に、
「前記複数のリール2,3,4を一斉に回転させるスタートレバー11」は「この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段」に、
「各リールに対応して設けられ、押圧操作することで対応するリールの回転を停止させることができるストップボタン12,13,14」は「前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段」に、
「サンプリングされた乱数」は「抽出された乱数」に、
「入賞確率テーブル」は「確率テーブル」に、
「それぞれの種類に対応した入賞リクエスト信号」は「その属した入賞態様の当選フラグ」に、
「前記制御部で判定された入賞態様の種類に応じて」は「前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した」に、
「遊技者に知らせる」は「遊技者に報知する」に、
「発音装置」は「音発生手段」に、それぞれ相当する。

また、甲28の記載等から、次のことが言える。
a.甲28発明の「制御部」は、「乱数をサンプリングし、入賞態様を判定し」ており、「乱数をサンプリング」すること、及び「入賞態様を判定」することは、それぞれ訂正発明3の「乱数抽選」を行うこと、及び「遊技の入賞態様を決定する」ことに相当するから、甲28発明の「制御部」は、訂正発明3の「入賞態様決定手段」と同様の機能を達成する手段ということができる。
また、甲28発明において、「その判定結果により可変表示部の可変表示動作を停止制御する」ことは、訂正発明3において、「可変表示装置」に「前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する」ことに相当する。
以上のことから、甲28発明は、訂正発明3の「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置」に相当する構成を備えたものであるといえる。

b.甲28発明において「入賞リクエスト信号を発生」することは、訂正発明3において「当選フラグを成立させ」ることに相当し、甲28発明及び訂正発明3ともに、入賞リクエスト信号の発生又は当選フラグの成立に際して、同様の処理を行っていることが明らかであるから、甲28発明の「制御部」は、訂正発明3の「複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ」に相当する構成及び機能を備えたものであるといえる。

c.甲28発明の「ストップボタン12,13,14」は、当然遊技者が操作可能なものであり、甲28発明における「入賞と判定された場合には、遊技者が前記ストップボタン12,13,14を操作した時に、入賞の種類に対応したシンボル表示位置に前記複数のリール2,3,4を停止制御するが、可変表示が停止した時にその特定の入賞図柄になるかどうかは、可変表示を停止させる遊技者の操作タイミングに応じて決定され」ることと、訂正発明3における「停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない」こととは、表現ぶりが異なるだけで実質的には同様の停止制御ということができる。
そうしてみると、甲28発明の「ストップボタン12,13,14」は、訂正発明3の「遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い」に相当する構成及び機能を備えたものであるといえる。

d.甲28発明において「ゲーム毎に」というのは、“遊技者が行う各回のゲームにおいて”ということであり、このことは複数回のゲームにまたがるものではないことを意味している。さらに、甲28発明における「ゲーム」は「スタートレバー11」を操作して開始されるとともに、「ストップボタン12,13,14」を操作し各リールの回転を停止させて行われるものであるから、甲28発明の「ゲーム毎に」は、訂正発明3の「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で」に相当するものといえる。
また、甲28発明において「入賞態様の種類に応じて、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせる」ことは、訂正発明3において「入賞態様に対応した報知情報を」「遊技者に報知する」ことに相当するから、甲28発明と訂正発明3は「前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段」を備える点で一致しているといえる。

e.甲28発明において「前記ストップボタン12が押された直後に、前記複数のリール2,3,4の内側に取り付けられているバックライトの点灯パターンを変え」ることは、訂正発明3の「前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する」ことに相当するから、甲28発明と訂正発明3の「報知手段」は「音発生手段と、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」で構成される点では一致しているということができる。

よって、甲28発明と訂正発明3は、
「 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知手段は、音発生手段と、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段で構成される遊技機。」の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点A] 訂正発明3は「報知情報を所定確率で遊技者に報知する」のに対し、甲28発明は「どの種類の入賞役に当たり易い状態であるか(訂正発明3の「報知情報」に相当)」を所定確率で遊技者に知らせるものではない点。

[相違点B] 訂正発明3は「報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、」「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」を有するのに対し、甲28発明は「適当な音」とストップボタン12が押された直後に(訂正発明3の「可変表示が停止されるのに連動して」に相当)変わる「バックライトの点灯パターン」という2つの異なる報知態様による報知を行い、そのための発音装置(訂正発明3の「音発生手段」に相当)と、バックライトの点灯パターンを変える手段を有するとはいえるものの、「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」が、ゲームスタート時(訂正発明3の「可変表示が開始されるとき」に相当)に行われる報知と、その後の、各列の可変表示が停止されるのに連動して行われる報知という関係であるかどうか明らかでない点、及び「適当な音」が、複数の異なる入賞態様に共通したものであるとともに複数の効果音の中の1つの音であるかどうか明らかでない点。

[相違点C] 訂正発明3の「報知手段」は「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」を有するとともに、「前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知する」のに対し、甲28発明は「バックライトの点灯パターン」の種類及び「適当な音」の種類の組合せを選択しているかどうか明らかでない点。

(4)訂正発明3と甲28発明の相違点についての判断
[相違点Aについて]
甲29(特開平7-68027号公報)の段落【0020】には「・・・次にS3に進み、ランダム3カウンタのカウント値を読出す処理が行なわれる。このランダム3カウンタは、0からカウントアップしてその上限である2までカウントアップした後再度0からカウントアップし直すものである。そして、読出されたカウント値が0のときにS4に進み、大当り予告1を行なうためのフラグがセットされる。ランダム3カウンタの値が1のときにはS5に進み、リーチ予告を行なうためのフラグがセットされる。・・・ランダム3カウンタの値が2のときにはS6に進み、予告なしの状態となり、直接S11に進む。・・・」と記載されており、大当り予告1を1/3の確率で行うものであることが分かる。
また、甲30(特開平9-700号公報)の段落【0049】には「ここで、大当り予告は、C RND YOKでそれを実行するか否かが決定され、同時にその予告の方法も決定される。・・・」と、段落【0057】には「・・・遊技状態は、大当りが事前決定されていない遊技状態(図中「大当り以外」)、大当りが事前決定されておりかつ始動入賞記憶数が2以上である遊技状態(図中「大当り・始動記憶2以上」)、および大当りが事前決定されておりかつ始動入賞記憶数が1以下の遊技状態(図中「大当り・始動記憶1以下」)の3種類に分類されている。」と、段落【0059】には「遊技状態が「大当り・始動記憶2以上」である場合には、C RND YOKとの抽出値、「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」?「99」の場合には、特別の音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「100」?「199」の場合には、キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「200」?「449」の場合には、音およびキャラクタの両方による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「450」?「899」の場合には、大当り予告の報知をしない。」と、段落【0060】には「遊技状態が「大当り・始動記憶1以下」の場合には、C RND YOKと、「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」?「224」の場合には、特別の音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「225」?「449」の場合には、キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「450」?「899」の場合には、大当り予告の報知をしない。」と記載されており、大当りが事前決定されている遊技状態において、大当り予告の報知を450/900(1/2)の確率で行うものであることが分かる。
また、甲29及び甲30のいずれにも、スロットマシンを対象としても良い旨記載されているから(特に、甲29の段落【0008】、甲30の段落【0013】を参照)、入賞に関する報知情報を所定確率で遊技者に報知することは、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術A」という。)であるといえる。
よって、甲28発明に周知技術Aを適用して、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを所定確率で遊技者に知らせるようにして、上記相違点Aに係る訂正発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

[相違点Bについて]
甲29(特開平7-68027号公報)の段落【0020】に「・・・大当り予告1を行なうためのフラグがセットされている場合には、レール飾りランプ21と飾りLED41とを可変表示装置の可変開始時から点滅させ、スピーカ37から大当り予告音を発生させ、大当り状態が発生することを事前に予告報知し、S5 によるリーチ予告のフラグがセットされている場合は飾りLED41を可変開始時から点滅させるとともにスピーカ37からリーチ予告音を発生する。・・・」と記載され、甲30(特開平9-700号公報)の段落【0101】に「・・・音作成手段は、表示結果内容事前決定手段により表示結果内容を特定の表示態様に相当するものにする決定が行なわれた場合に、通常の遊技状態において作成する効果音等と異なる特別の音を作成し、その作成した特別の音を、図10等に示されるように音発生手段から発生させる。」と記載されているように、遊技状態に応じて複数の効果音の中の1つの音を発生させることは、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術B」という。)であるといえる。
甲31(特開平9-262348号公報)には、段落【0004】に「・・・リーチ判別手段により表示結果が所定のリーチ状態を含むと判別すると、一旦仮リーチ表示を行った後に該仮リーチ表示に比べて特定表示結果となり得る表示上の確率を高く設定してリーチ表示を行うので、・・・」と、段落【0005】に「・・・リーチ判別手段により表示結果が特別リーチ状態を含むと判別すると、一旦特別リーチ以外の通常のリーチ表示を行った後に特別リーチ表示を行うので、・・・」と記載されていることからみて、弾球遊技機において所定のリーチ状態又は特別リーチ状態となることが決定されている場合に2種類のリーチ表示を、時をずらして行う技術(以下「甲31に記載の技術」という。)が記載されていると認められる。
甲32(「必勝パチスロファン」1994年増刊7月号)には、78頁3段目にボーナスフラグ成立を知らせる方法として、
「●バックライトが走る
ボーナスフラグが成立して、そのゲームで絵柄をそろえられないと、3本目のリールを止めた瞬間、リールを照らしているライト(バックライトがパッパッパッと走るように見える。」
「●音が鳴る
スタートレバーを叩いた瞬間、まるでホールの客全員に教えてあげるというような大きな音が鳴る。それがボーナスフラグ成立の合図なのだ。」
「●リールがスべる
リールがスべるというのは、ストップボタンを押すと、リールが通常時より遅れて止まる。」と記載されていることからみて、遊技機において、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて適当なタイミングで音を発生させ、又は表示演出を行うことは、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術C」という。)であるといえる。
よって、甲28発明の「適当な音」を、入賞態様の種類に応じた複数の効果音の中の1つの音とすることは、当業者が容易に想到し得ることといえる。
しかしながら、甲31に記載の技術は弾球遊技機を前提としたものであるから、通常可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるものではなく、また、最後の可変表示のみがされているときにおいて、リーチ表示を2段階で行うものである。それだけでなく、甲31の2段階のリーチは、【図10】や【図18】によれば、リーチの図柄を変更して、2段階目では当たりとなり得る図柄の種類を増加するというものである。
そのため、甲28発明と甲31に記載の技術の両方に照らしてみても、「可変表示が開始されるとき」と「可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止される」ときとに報知を行うとともに、「可変表示が開始されるとき」の報知は「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」とするという一連の具体的な発想には至らない。
また、他にそのような一連の具体的な報知を行うことを開示又は示唆する証拠を発見することもできない。
請求人は、審判請求書77頁において「異なる報知態様が組み合わされた場合、それぞれの報知態様による報知のタイミングは、技術常識上当然のことながら、同時か時をずらすかの2通りしかあり得ない。よって、複数の報知態様(たとえば音とバックライト)を上記構成要件1Hのように時をずらせて報知する構成は、異なる報知態様を組み合わせる報知技術において自明な事項にすぎない。」と主張しているが、遊技機において1回の遊技の中で、異なる報知態様による報知を時をずらして行うとともに、最初の報知には複数の異なる入賞態様に共通な遊技開始音を用いるということが、従来知られていたといった事情があるわけでもないのに、「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」の報知タイミングの関係が明らかでない甲28発明において、訂正発明3のような一連の時をずらした報知を行うことが自明ということはできない。
すなわち、訂正発明3は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して発生される複数の効果音の中の1つの音による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して演出される複数の表示態様の中の1つの表示態様による報知が行われることによって、P1出願時の明細書の段落【0115】(当審注:本件出願時の明細書の段落【0120】の一部)に記載された「遊技が進行して行くのに伴って入賞態様が判明して行く。つまり、スタートレバー15の操作によって各リール3?5の回転が開始し、各停止ボタン16?18の操作によってこの回転が各列毎に順次停止して行き、全てのリール3?5の回転が停止するのに伴い、当選フラグの種類が遊技者に順次報知されて行く。この結果、スタートレバー15の操作や、各停止ボタン16?18の操作は面白味を増すようになる。」という遊技上の興趣を高める格別の作用効果が奏されるということができる。
したがって、上記相違点Bに係る訂正発明3の構成を当業者が容易になし得るということはできない。

[相違点Cについて]
甲28発明は、「どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせる」ために、「バックライトの点灯パターン」を変えるのに加えて「適当な音」を発生している。
そして、「遊技者に知らせる」ための「点灯パターン」と「音」であるからには、上記[相違点Bについて]で述べた周知技術Bを考慮すれば、入賞役の種類に応じて「バックライトの点灯パターン」を複数のパターンの中から1つ選択するとともに、「適当な音」を複数の効果音の中から1つ選択することは、当業者が普通に行う事項であると判断される。
そうすると、入賞役の種類に応じて「バックライトの点灯パターン」と「適当な音」の組合せも当然に選択されることとなるから、相違点Cに係る報知選択手段は、甲28発明及び周知技術Bに基いて、当業者が容易に想到し得るものである。

[まとめ]
以上のとおり、相違点Bについては、甲28発明、甲31に記載の技術、周知技術B及びC並びにその他の証拠に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得るものではなく、訂正発明3は、上記[相違点Bについて]に記載したとおり、遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏しているということができる。
よって、訂正発明3は、甲28発明、甲31に記載の技術、周知技術A?C及びその他の証拠に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明できたものということはできない。
以上のとおりであるので、訂正後の請求項3の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許ということはできない。

(5)訂正発明6と甲28発明の対比
訂正発明6は、訂正発明3に対して、概略可変表示の全てが停止したときに停止演出を行う構成を追加したものであって、詳細には以下の点で異なっている。
a.「報知情報」に「前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」を追加。
b.「報知手段」に「前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」を追加。
c.「報知態様選択手段」が選択する組合せを「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せ」から「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」へと変更するとともに、「報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」点を追加。
d.「前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知する」点を省略。
まず、d.について検討すると、その点を省略しても訂正発明6は「1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段」という構成を備えているので、報知手段の構成要素である報知態様選択手段が選択した組合せからなる報知情報を報知することは明らかであるから、この点において、訂正発明6と訂正発明3に実質的な差異はない。
また、第2.4.(3)<訂正事項f1>の項に記載したとおり、訂正事項f1の「前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって」という、限定付加の記載における「前記可変表示手段」は「前記可変表示開始手段」の誤記と認められるので、この点についても実質的な差異はない。
そうしてみると、甲28発明と訂正発明6との一致点は、甲28発明と訂正発明3との一致点と同一であり、相違点は次のとおりである。
なお、甲28発明と訂正発明3との相違点と実質的に同一なものについては、[相違点A]といった表記をそのまま用い、同様の相違点ではあるが変更のあるものについては[相違点B’]のようにダッシュを付して表記する。
[相違点A] 訂正発明6は「報知情報を所定確率で遊技者に報知する」のに対し、甲28発明は「どの種類の入賞役に当たり易い状態であるか(訂正発明6の「報知情報」に相当)」を所定確率で遊技者に知らせるものではない点。

[相違点B’] 訂正発明6は「報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と」を含み、「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」を有するのに対し、甲28発明は「適当な音」とストップボタン12が押された直後に(訂正発明6の「可変表示が停止されるのに連動して」に相当)変わる「バックライトの点灯パターン」という2つの異なる報知態様による報知を行い、そのための発音装置(訂正発明6の「音発生手段」に相当)と、バックライトの点灯パターンを変える手段を有するとはいえるものの、「適当な音」と「バックライトの点灯パターン」が、ゲームスタート時(訂正発明6の「可変表示が開始されるとき」に相当)に行われる報知と、その後の、各列の可変表示が停止されるのに連動して行われる報知という関係であるかどうか明らかでない点、及び「適当な音」が、複数の異なる入賞態様に共通したものであるとともに複数の効果音の中の1つの音であるかどうか明らかでない点。

[相違点C’] 訂正発明6の「報知手段」は「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」を有するとともに、「前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」のに対し、甲28発明は「バックライトの点灯パターン」の種類及び「適当な音」の種類の組合せを選択しているかどうか明らかでない点。

[相違点D] 訂正発明6は、「報知情報」に「前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」が含まれ、「報知手段」が「各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」を有するのに対し、甲28発明は、そのような報知を行うものではなく、「停止演出手段」に相当する手段がない点。

(6)訂正発明6と甲28発明の相違点についての判断
まず、相違点Aについては、訂正発明3と甲28発明の相違点Aと実質的に同じなので、上記(4)で述べたと同様の理由により、相違点Aについては、甲28発明及び周知技術Aに基づき、当業者が容易に想到し得ることである。
そこで、相違点B’、C’及びDについて検討を加える。

[相違点B’及びDについて]
相違点B’及びDは、密接に関連しているので合わせて判断する。
相違点B’と上記(3)に記載した相違点Bとを比較すると、訂正発明3と訂正発明6の違いに対応して、相違点Bでは「報知情報が、・・・その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知」となっていたところ、相違点B’では「報知情報が、・・・その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知」となっただけであって、実質的には何ら変わらないものである。
そして、相違点Dは、そのような相違点B’による一連の報知に後続して、さらに追加的な報知を加えることによるものである。
そうしてみると、上記(4)の[相違点Bについて]の項で述べたと同様の理由により、相違点B’及びDについても、甲28発明、甲31に記載の技術、周知技術B及びC並びにその他の証拠に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得るものではない。

[相違点C’について]
甲28(特開平8-117390号公報)の段落【0084】には「 (iii) 内部的当選の後、リールの回転停止操作によって出現し得る図柄組合せが「大ヒット」のような特定の入賞図柄でない場合には、「リーチ目」を出現させることにより、遊技者に対し内部的当選を知らせるようにしてもよい。」と記載され、甲32(「必勝パチスロファン」1994年増刊7月号、VOL.25)の第78頁3段目「バックライトが走る」の項には「ボーナスフラグが成立して、そのゲームで絵柄をそろえられないと、3本目のリールを止めた瞬間、リールを照らしているライト(バックライトがパッパッパッと走るように見える。」と記載されており、内部的当選又はボーナスフラグが成立している時に遊技者がその当選図柄やボーナス図柄を止められなかったときに報知を行うことは従来周知の技術(以下「周知技術D」という。)であると認められる。
しかるに、訂正発明6においては、「停止表示態様の種類」は「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択」され、実際に停止表示された図柄組み合わせには関係なく「各列の可変表示の全てが停止したときに」「停止演出手段」により報知が行われる。
さらに、訂正発明6において選択される「停止表示態様の種類」は、「前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する」ものであって、その報知は遊技者にとって確認的な意味しか持たない。このことは、P1出願時の明細書の段落【0112】(当審注:本件出願時の明細書の段落【0117】とほぼ同じ)の「このような遊技の一連の流れにおいて、遊技者は遊技開始音Aによる聴覚効果によって、図27(a)に示すように、ハズレか小当たり当選が高い確率で生じ、RB,BBフラグ成立の確率は低いことを把握する。そして、各リール3,4,5が消灯,消灯,点灯する次の視覚効果により、「2枚チェリー」の小当たり当選フラグが立っていることを知る。そして、最後のリールランプ点滅Bの視覚効果により、「2枚チェリー」当選フラグが立っていたことを確認する。」という記載及び同段落【0114】(当審注:本件出願時の明細書の段落【0119】とほぼ同じ、摘記は省略)の記載からも明らかである。
そして、このような確認的な報知を「各列の可変表示の全てが停止したときに」行うことは、甲28及び甲32には記載されておらず、他にそのような技術を開示した証拠を発見することもできない。
そうである以上、「停止表示態様の種類」として、「前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する」ものが選択されることを含む相違点C’は、当業者が容易に想到し得たということはできない。
よって、上記相違点C’に係る訂正発明6の構成は、甲28発明、周知技術D及びその他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

[まとめ]
以上のとおり、相違点B’、C’及びDについては、甲28発明、甲31に記載の技術、周知技術B?D及びその他の証拠に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得るものではなく、訂正発明6は、上記(4)[相違点Bについて]の項に記載したと同様、遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏しているということができる。
よって、訂正発明6は、甲28発明、甲31に記載の技術、周知技術A?D及びその他の証拠に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明できたものということはできない。
以上のとおりであるので、訂正後の請求項6の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許ということはできない。

(7)訂正発明7について
訂正発明7は、訂正発明3又は6に対して「前記連動演出手段は、前記可変表示停止手段によって前記各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出すること」を追加したものであるが、訂正発明3及び6は、ともに「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」をその構成として有しているから、訂正発明7は実質的には、訂正発明3又は6と同一の発明ということができる。
そうしてみると、訂正発明7も訂正発明3又は6と同様、上記(4)又は(6)で述べたように、甲28発明、甲31に記載の技術、周知技術A?C及びその他の証拠に記載された事項又は甲28発明、甲31に記載の技術、周知技術A?D及びその他の証拠に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明できたものということはできない。
よって、訂正後の請求項7の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許ということはできない。

(8)小括
上記(4)、(6)及び(7)で判断したとおり、訂正後の請求項3、6及び7の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許ということはできない。

7.訂正後の請求項に対する無効理由3について
審判合議体が指摘した無効理由3(平成19年11月28日付けの無効理由通知書4?6頁)は、上記第3.2.(1)に記載したように、訂正前の請求項1?8及び10は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていないというものであり、訂正後の請求項3、6、7、10及び26?28を対象としている。

(1)無効理由通知書における指摘事項の概略
(1-1)訂正前の請求項1、2及びこれらを引用する請求項に対して
訂正前の請求項1に「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報」と、これを引用する訂正前の請求項2に「前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様と異なる入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する」とそれぞれ記載されている。
そして、【図18】及び【図20】の実施形態においては、ある入賞態様に対しての複数の報知態様のうち最も高確率の報知態様は入賞態様に対応した報知情報であることが理解できるが、【図53】?【図56】の実施形態においては、RB作動中及びBB作動中は、報知態様と入賞態様の関係は一切なく、RB作動中及びBB作動中以外に選択されるデモ抽選テーブルNo.0,1,3,7で最も高確率で報知される「1 なし なし」の報知態様がどの入賞態様に対応した報知情報であるのか特定できない。
訂正前の請求項1及び2の上記記載について、個々の報知情報が入賞態様に対応した報知情報との趣旨であるならば、発明の詳細な説明と整合せず、かかる趣旨でないのならば、現実に報知される情報が、現実の入賞態様に対応した情報なのか他の入賞態様に対応した情報なのかが定まらないことになる。いずれにしても、上記記載は著しく不明確であり、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。訂正前の請求項1又は2を引用する訂正前の請求項3?8及び10においても、上記記載を明確にする旨の記載はない。

(1-2)訂正前の請求項3?6及びこれらを引用する請求項に対して
訂正前の請求項3?6には、連動表示態様の種類又は停止表示態様の種類につき、「前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」と記載されている。
ところが、訂正前の請求項3?6(及びこれらを引用する請求項7、8)を引用する訂正前の請求項9には、「前記報知態様選択手段は、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて演出態様組合せを選択する」とあり、抽出乱数から直接的に報知する入賞態様を選択しており、これは訂正前の請求項3?6と整合しない。
訂正前の請求項3?6の記載が誤りなのか、請求項9において請求項3?8を引用することが誤りなのか、どちらともいえないので、請求項3?8の記載は著しく不明確であり、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。

(2)訂正後の請求項3、6及び7についての判断
上記3.(1)「訂正発明3及び7について」の項、及び同(2)「訂正発明6及び7について」の項において、訂正発明3、6及び7の基準日を認定したが、その際に述べたように、訂正発明3、6及び7はP1出願時の【図18】、段落【0015】、【0059】?【0064】及び【0114】(当審注:本件出願時の明細書の段落【0016】、【0064】?【0069】及び【0119】とほぼ同じ)の記載等に裏付けられた発明と認められる。
そして、本件訂正により、請求項3、6又は7を引用しつつ「デモ抽選テーブル」を構成要件とする従属請求項(訂正前の請求項10?12、18?22)はなくなったので(訂正前の請求項10は独立請求項となり、訂正前の請求項11、12、19?22は削除され、訂正前の請求項18は「デモ抽選テーブル」を構成要件として含まない従属請求項となった)、訂正発明3、6及び7は、上記(1-1)に記載した【図18】及び【図20】の実施形態に対応したものであることが明りょうとなった。
また、訂正前の請求項3?24が共通して引用していた訂正前の請求項1及び2は削除され、訂正後の請求項3及び6は独立請求項となったので、上記(1-1)に記載した報知情報がどのような趣旨のものかについても明確となった。
よって、訂正前の請求項3?8に関係する無効理由3のうち、上記(1-1)に概略を示した点は、本件訂正によって解消されたものと判断される。
さらに、本件訂正によって、訂正後の請求項3、6及び7は訂正後の請求項9に引用される請求項ではなくなった。すなわち、訂正前の請求項3?8とこれらを引用する訂正前の請求項9との不整合の問題も解消されているので、訂正前の請求項3?8に関係する無効理由3のうち、上記(1-2)に概略を示した点も、本件訂正によって解消されたものと判断される。
したがって、訂正後の請求項3、6及び7の特許は特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされた特許ということはできない。

(3)訂正後の請求項10及び26?28についての判断
上記3.(3)「訂正発明10について」の項、及び同(4)「訂正発明26?28について」の項において、訂正発明10及び26?28の基準日を認定したが、その際に述べたように、訂正発明10及び26?28は、少なくともその主要部については、P2出願時の明細書等の段落【0124】?【0208】及び【図28】?【図63】に記載された第2の実施形態に対応するものと認められる。
そして、本件訂正によって、訂正前の請求項3?24が共通して引用していた訂正前の請求項1及び2は削除され、訂正後の請求項10及び26?28は独立請求項にされるとともに、すべての請求項において「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する」という記載に統一されたので、訂正発明10及び26?28は、その報知態様の各々が、その時の入賞態様に対応したものか別の入賞態様に対応したものかを厳密に区別できるものでなくても、入賞態様に対応して確率的に選択された報知態様で報知されるものであれば足りると解することができる。
さらに、無効理由通知で指摘した【図53】?【図56】の実施形態も、例えば一般遊技中において「FLGCTR」(当選フラグ)が「2枚チェリー」であれば、「1 なし なし」が93/128、「1 2 なし」が26/128、「1 3 6」が4/128、「2 なし なし」が5/128の確率で選択され報知されるので(特に【図54】のテーブルNo.1を参照)、「1 なし なし」が高確率で報知されるとはいえ、少なくとも一般遊技中、RB内部当たり中、BB内部当たり中においては、当選フラグ、すなわち入賞態様に対応して報知態様を確率的に選択して報知するものといえる。
よって、訂正前の請求項10に関係する無効理由3のうち、上記(1-1)に概略を示した点は、本件訂正によって解消されたものと判断される。
さらに、本件訂正によって、訂正後の請求項10及び26?28は、訂正前の請求項3?8に対応する訂正後の請求項3、6及び7を引用する請求項ではなくなったので、訂正前の請求項3?8を引用する訂正前の請求項10に関係する無効理由3のうち、上記(1-2)に概略を示した点も、本件訂正によって解消されたものと判断される。
したがって、訂正後の請求項10及び26?28の特許は特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされた特許ということはできない。

(4)小括
上記(2)及び(3)で判断したとおり、訂正後の請求項3、6、7、10及び26?28の特許は特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされた特許ということはできない。

8.本件訂正発明に対する無効理由5について
(1)無効理由通知書における指摘事項の概略
審判合議体が指摘した無効理由5は、上記第3.2.(3)に記載したように、訂正前の請求項1?8及び10は、平成15年法律第47号による改正前の特許法120条の4第3項で準用する同法126条2項の規定に違反しているというものである。
さらに詳しくいうと、訂正前の請求項1の異議時訂正により追加された部分である「前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなる」点について、本件特許の設定登録時の明細書等に記載した事項の範囲内でないというものである(平成19年11月28日付けの無効理由通知書9?10頁参照)。

(2)訂正発明3、6及び7についての判断
本件訂正によって、訂正前の請求項1、2、4、5及び8は削除され、訂正前の請求項3及び6における「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であることが特定され、同じく「その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知」は、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知である点が特定された。
そして、上記2点の特定により、訂正発明3及び6における「前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」は、上記第2.4.(13-1)に記載したと同様の理由により、P1出願時の【図18】(設定登録時も同じ)の実施形態における「遊技開始音」に該当し、同じく「その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知」は、設定登録時の明細書の段落【0064】?【0069】等を参酌すれば、【図18】の実施形態における「連動表示態様」に該当するといえるので、訂正発明3、6及び7は、本件特許の設定登録時の明細書等に記載した事項の範囲内のものということができる。
よって、訂正前の請求項1?8についての無効理由5は本件訂正によって解消されたと判断される。

(3)訂正発明10及び26?28についての判断
本件訂正によって、訂正前の請求項1、2、4、5及び8は削除され、訂正前の請求項10は独立請求項とされるとともに、新たに訂正後の請求項26?28が追加された。
そして、上記7.(3)に記載したように、本件訂正により、訂正発明10及び26?28は、少なくともその主要部については、P2出願時の明細書等の段落【0124】?【0208】及び【図28】?【図63】(設定登録時も同じ)に記載された第2の実施形態に対応するものと認められるとともに、入賞態様と報知態様の関係が不明確という点も解消されたと判断される。
そこで、訂正発明10及び26における「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知」について検討すると、設定登録時の明細書の段落【0151】?【0155】、【図53】?【図56】、段落【0165】?【0208】等を参酌すれば、「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」は【図54】に記載されている「遊技開始音」に該当し、「その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知」は同じく「リールランプ消灯」又は「リールランプ点滅」に該当するということができ、「遊技開始音」、「リールランプ消灯」及び「リールランプ点滅」による報知については、設定登録時の明細書の段落【0207】に記載され、「遊技開始音」及び「リールランプ点滅」による報知についても、設定登録時の明細書の段落【0261】の記載から明らかであるから、訂正発明10及び26は、本件特許の設定登録時の明細書等に記載した事項の範囲内のものということができる。
さらに、訂正発明27及び28における「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知」について検討すると、設定登録時の明細書の段落【0151】?【0155】、【図53】?【図56】、段落【0165】?【0208】等を参酌すれば、「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」は【図54】に記載されている「遊技開始音」に該当し、「その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知」は同じく「リールランプ消灯」に該当するということができ、「遊技開始音」及び「リールランプ消灯」による報知については、設定登録時の明細書の段落【0261】の記載から明らかであるから、訂正発明27及び28は、本件特許の設定登録時の明細書等に記載した事項の範囲内のものということができる。
よって、訂正前の請求項10についての無効理由5は本件訂正によって解消されたと判断される。

(4)小括
上記(2)及び(3)で判断したとおり、訂正前の請求項1?8及び10の特許は、平成15年改正前特許法120条の4第3項で準用する同法126条2項の規定に違反し、同法124条1項8号の規定に該当し、無効とされるべきであるという無効理由5は、本件訂正によって解消されたと判断される。

第5.むすび
第4.5.(8)に記載したように、訂正後の請求項10及び26?28の特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、同法123条1項2号の規定に該当し無効とされるべきである。
また、第4.4、第4.6.(8)、第4.7.(2)及び第4.8.(2)に記載したように、訂正後の請求項3、6及び7の特許については、請求人の主張及び証拠方法並びに平成19年11月28日付けの無効理由通知書に示された理由によって無効とすることができない。
審判に関する費用については、特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法64条の規定により、その3分の1を請求人が負担し、3分の2を被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。

第6.付録(本審決の目次)
第1.手続の経緯
1.本件無効審判請求前の主な経緯・・・・・・・・・・・・・・p04
2.本件無効審判の主な経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・p04
3.本件特許に関する別途無効審判事件の主な経緯・・・・・・・p06
第2.訂正請求について
1.本件訂正の内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p07
2.本件訂正に関する請求人の主張・・・・・・・・・・・・・・p19
3.本件訂正に関する被請求人の主張・・・・・・・・・・・・・p20
4.訂正の適否の判断・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p21
第3.当事者の主張(本件訂正に関するものを除く)
1.請求人の主張・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p37
2.審判合議体が通知した無効理由・・・・・・・・・・・・・・p38
3.被請求人の主張・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p38
4.書証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p41
第4.本件審判請求についての当審の判断
1.被請求人の主位的主張について・・・・・・・・・・・・・・p45
2.本件訂正発明の認定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p45
3.基準日の認定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p51
4.訂正発明3、6及び7に対する無効理由1及び4について・・p54
5.訂正発明10及び26?28に対する無効理由1及び4について
(1)周知の遊技機の認定・・・・・・・・・・・・・・・・・・p55
(2)パチスロ機「サンダーV」に係る発明の認定・・・・・・・p56
(3)サンダーV発明の公然実施性について・・・・・・・・・・p58
(4)訂正発明10に対する無効理由4について・・・・・・・・p60
(5)訂正発明26に対する無効理由4について・・・・・・・・p64
(6)訂正発明27に対する無効理由4について・・・・・・・・p65
(7)訂正発明28に対する無効理由4について・・・・・・・・p67
(8)小括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p68
6.本件訂正発明に対する無効理由2について
(1)無効理由2における証拠方法・・・・・・・・・・・・・・p69
(2)甲28に記載されている発明・・・・・・・・・・・・・・p69
(3)訂正発明3と甲28発明の対比・・・・・・・・・・・・・p72
(4)訂正発明3と甲28発明の相違点についての判断・・・・・p76
(5)訂正発明6と甲28発明の対比・・・・・・・・・・・・・p80
(6)訂正発明6と甲28発明の相違点についての判断・・・・・p82
(7)訂正発明7について・・・・・・・・・・・・・・・・・・p83
(8)小括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p84
7.訂正後の請求項に対する無効理由3について・・・・・・・・p84
8.本件訂正発明に対する無効理由5について・・・・・・・・・p87
第5.むすび・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p89

平成21年12月15日

審判長 特許庁審判官 小原 博生
特許庁審判官 有家 秀郎
特許庁審判官 伊藤 陽


(参考2)無効2006-80116号審判事件の二次審決
審決

無効2006- 80116

東京都豊島区東池袋3?1?1 サンシャイン60
請求人 サミー 株式会社

東京都千代田区九段南3丁目3番6号 麹町ビル7階 みらい国際特許事務所
代理人弁理士 黒田 博道

東京都千代田区九段南3丁目3番6号 麹町ビル6階
代理人弁護士 飯田 秀郷

東京都千代田区九段南3丁目3番6号 麹町ビル6階
代理人弁護士 栗宇 一樹

東京都千代田区九段南3丁目3番6号 麹町ビル6階
代理人弁護士 早稲本 和徳

東京都千代田区九段南3丁目3番6号 麹町ビル6階
代理人弁護士 和氣 満美子

東京都千代田区九段南3丁目3番6号 麹町ビル6階
代理人弁護士 大友 良浩

東京都千代田区九段南3丁目3番6号 麹町ビル6階
代理人弁護士 隈部 泰正

東京都千代田区九段南3丁目3番6号 麹町ビル6階
代理人弁護士 戸谷 由布子

東京都千代田区九段南3丁目3番6号 麹町ビル6階
代理人弁護士 辻本 恵太

東京都江東区有明3丁目1番地25
被請求人 アルゼ 株式会社

東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 正林 真之

東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビルヂング404区 丸の内法律事務所
代理人弁護士 田中 康久

東京都中央区銀座6丁目5番13号 JDB銀座ビル七階 ふじ合同法律事務所
代理人弁護士 中込 秀樹

東京都中央区銀座6丁目5番13号 JDB銀座ビル七階 ふじ合同法律事務所
代理人弁護士 岩渕 正紀

東京都中央区銀座6丁目5番13号 JDB銀座ビル七階 ふじ合同法律事務所
代理人弁護士 岩渕 正樹

東京都中央区銀座6丁目5番13号 JDB銀座ビル七階 ふじ合同法律事務所
代理人弁護士 松永 暁太

東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 新東京ビル225区 東京丸の内・春木法律事務所
代理人弁護士 長沢 幸男

東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 新東京ビル225区 東京丸の内・春木法律事務所
代理人弁護士 長沢 美智子

東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 新東京ビル225区 東京丸の内・春木法律事務所
代理人弁護士 大西 剛

東京都港区虎ノ門2丁目8番1号 虎ノ門電気ビル3階 多田総合法律事務所
代理人弁護士 今井 博紀

東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 井口 嘉和

東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 小野寺 隆

東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 佐藤 玲太郎

東京都豊島区東池袋一丁目25番8号 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 佐藤 武史

東京都豊島区東池袋一丁目25番8号 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 清水 俊介

東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 進藤 利哉

東京都豊島区東池袋1丁目25番8号 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 小椋 崇吉

東京都豊島区東池袋1-25-8タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
復代理人弁理士 八木沢 史彦

東京都新宿区四谷2-12-5 第6冨澤ビル5階 津山総合法律事務所
復代理人弁護士 菊地 将人

東京都中央区銀座2-2-17 龍保険ビル6階 土居総合法律事務所
復代理人弁護士 土居 範行

東京都新宿区四谷2-12-5 第6冨澤ビル5階 津山総合法律事務所
復代理人弁護士 池上 慶

東京都新宿区四谷2-12-5 第6冨澤ビル5階 津山総合法律事務所
代理人弁護士 津山 齊

上記当事者間の特許第3069092号「遊技機」の特許無効審判事件についてされた平成19年 9月20日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の決定(平成19年(行ケ)第10372号平成20年3月21日決定)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。

結 論
訂正を認める。
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理 由
第一 手続の経緯
本件特許第3069092号に係る手続の経緯は以下のとおりである。
・平成11年 6月 7日 出願(優先日:平成9年12月5日の特願平9-352171号、および優先日:平成10年8月28日の特願平10-243695号の優先権主張を伴う平成10年11月25日に出願した特願平10-333782号の一部を新たな特許出願としたもの)
・平成12年 5月19日 設定登録
・平成13年 1月24日 特許異議申立(異議2001-70271)
・平成13年 6月 8日 取消理由通知
・平成13年 8月20日 意見・訂正請求
・平成14年 5月 9日 取消理由通知
・平成14年 6月27日 意見・訂正請求
・平成14年 8月 1日 異議決定(特許維持)
・平成18年 6月21日 無効の審判請求
・平成19年 9月20日 審決(特許3069092号の請求項1、請求項2、請求項5、請求項7、請求項11?請求項13、請求項15?請求項24に係る発明について特許を無効とする。特許3069092号の請求項3、請求項4、請求項6、請求項8?請求項10、請求項14に係る発明についての審判請求は成り立たない。)
・平成19年10月22日 審決取消の提起(無効審判請求人)(平成19年行(ケ)10360号)
・平成19年10月31日 審決取消の提起(無効審判被請求人)(平成19年行(ケ)10372号)
・平成20年1月17日 訂正の審判請求(訂正2008-390007)
・平成20年3月21日 特許法第181条第2項の規定に基づく決定
(特許庁が無効2006-80049号事件、無効2006-80112号事件および無効2006-80116号事件について平成19年9月20日にした各審決をいずれも取り消す。)
・平成20年4月14日 特許法第134条の3第2項の規定に基づく訂正請求・意見
・平成20年5月28日 弁駁

第二 訂正請求について
1.訂正請求の内容
平成20年4月14日付の訂正請求は、次の事項を訂正内容とするものである。
(a)訂正事項a
特許請求の範囲の【請求項1】を削除する。
(b)訂正事項b
特許請求の範囲の【請求項2】を削除する。
(c)訂正事項c
特許請求の範囲の【請求項3】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】
「【請求項3】 前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。」
【訂正後】
「【請求項3】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知することを特徴とする遊技機。」
(d)訂正事項d
特許請求の範囲の【請求項4】を削除する。
(e)訂正事項e
特許請求の範囲の【請求項5】を削除する。
(f)訂正事項f
特許請求の範囲の【請求項6】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】
「【請求項6】 前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。」
【訂正後】
「【請求項6】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択することを特徴とする遊技機。」
(g)訂正事項g
特許請求の範囲の【請求項7】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】
「【請求項7】 前記連動演出手段は、前記可変表示停止手段によって前記各列の可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出することを特徴とする請求項3または請求項5または請求項6に記載の遊技機。」
【訂正後】
「【請求項7】 前記連動演出手段は、前記可変表示停止手段によって前記各列の可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出することを特徴とする請求項3または請求項6に記載の遊技機。」
(h)訂正事項h
特許請求の範囲の【請求項8】を削除する。
(i)訂正事項i
特許請求の範囲の【請求項9】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】
「【請求項9】 前記報知態様選択手段は、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする請求項3から請求項8のいずれか1項に記載の遊技機。」
【訂正後】
「【請求項9】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知からなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類との組合せからなる報知情報を報知することを特徴とする遊技機。」
(j)訂正事項j
特許請求の範囲の【請求項10】を以下のとおり訂正する。
なお、この【請求項10】は、訂正前の【請求項10】を、訂正前の請求項3を引用する請求項と、訂正前の請求項4を引用する請求項と、訂正前の請求項6を引用する請求項と、訂正前の請求項3を引用した請求項8を引用する請求項との4つに分割したうちの、訂正前の請求項6を引用する請求項である。
【訂正前】
「【請求項10】 前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする請求項3から請求項8のいずれか1項に記載の遊技機。」
【訂正後】
「【請求項10】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知からなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする遊技機。」
(k)訂正事項k
特許請求の範囲の【請求項11】を削除する。
(l)訂正事項l
特許請求の範囲の【請求項12】を削除する。
(m)訂正事項m
特許請求の範囲の【請求項13】を削除する。
(n)訂正事項n
特許請求の範囲の【請求項14】を削除する。
(o)訂正事項o
特許請求の範囲の【請求項15】を削除する。
(p)訂正事項p
特許請求の範囲の【請求項16】を削除する。
(q)訂正事項q
特許請求の範囲の【請求項17】を削除する。
(r)訂正事項r
特許請求の範囲の【請求項18】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】
「【請求項18】 前記入賞態様決定手段は、一定範囲の乱数を発生させる乱数発生手段と、この乱数発生手段で発生した乱数の中から任意の乱数を抽出する乱数抽出手段と、この乱数抽出手段で抽出された乱数を各入賞態様に区分けする乱数区分手段とから構成されていることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の遊技機。」
【訂正後】
「【請求項18】 前記入賞態様決定手段は、一定範囲の乱数を発生させる乱数発生手段と、この乱数発生手段で発生した乱数の中から任意の乱数を抽出する乱数抽出手段と、この乱数抽出手段で抽出された乱数を各入賞態様に区分けする乱数区分手段とから構成されていることを特徴とする請求項3、6、7、9のいずれか1項に記載の遊技機。」
(s)訂正事項s
特許請求の範囲の【請求項19】を削除する。
(t)訂正事項t
特許請求の範囲の【請求項20】を削除する。
(u)訂正事項u
特許請求の範囲の【請求項21】を削除する。
(v)訂正事項v
特許請求の範囲の【請求項22】を削除する。
(w)訂正事項w
特許請求の範囲の【請求項23】を削除する。
(x)訂正事項x
特許請求の範囲の【請求項24】を削除する。
(y)訂正事項y
特許請求の範囲の【請求項25】を以下のとおり訂正する。
なお、この【請求項25】は、訂正前の【請求項9】を、訂正前の請求項3を引用する請求項と、訂正前の請求項6を引用する請求項との2つに分割したうちの後者の請求項である。
「【請求項25】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択することを特徴とする遊技機。」
(z)訂正事項z
特許請求の範囲の【請求項26】を新たに記載する。
なお、この【請求項26】は、訂正前の【請求項10】を、上述のように4つに分割したうちの、訂正前の請求項4を引用する請求項である。
「【請求項26】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記各列の可変表示が全て停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする遊技機。」
(ab)訂正事項ab
特許請求の範囲の【請求項28】を以下のとおりとする。
なお、この【請求項28】は、訂正前の【請求項10】を、上述のように4つに分割したうちの、訂正前の請求項3を引用する請求項である。
「【請求項28】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする遊技機。」
(ac)訂正事項ac
特許請求の範囲の【請求項29】を新たに記載する。
なお、この【請求項29】は、訂正前の【請求項10】を、上述のように4つに分割したうちの、訂正前の請求項3を引用した請求項8を引用する請求項である。
訂正前【請求項8】「前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させることを特徴とする請求項3または請求項4または請求項6に記載の遊技機。」
訂正後「【請求項29】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択し、
前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させることを特徴とする遊技機。」
(ad)訂正事項ad
願書に添付した明細書の段落番号【0011】を以下のとおり訂正する。
【訂正前】
「【0011】【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、 前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなることを特徴とする(請求項1)。」
【訂正後】
「【0011】【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知することを特徴とする(請求項3)。」
(ae)訂正事項ae
願書に添付した明細書の段落番号【0015】を削除する。
(af)訂正事項af
願書に添付した明細書の段落番号【0018】を削除する。
(ag)訂正事項ag
願書に添付した明細書の段落番号【0019】を削除する。
(ah)訂正事項ah
願書に添付した明細書の段落番号【0020】を削除する。
(ai)訂正事項ai
願書に添付した明細書の段落番号【0021】を削除する。

2.訂正の適否について
(1)訂正事項a?b、d?e、h、k?qおよびs?xについて
訂正事項a?b、d?e、h、k?qおよびs?xは、それぞれの請求項を削除するものであるが、請求項の削除は特許請求の範囲を実質的に減縮するものに相当するから、訂正事項a?b、d?e、h、k?qおよびs?x、すなわち、特許請求の範囲の請求項1?2、4?5、8、11?17および19?24を削除することは、特許請求の範囲を実質的に減縮するものであるから、特許法第134条の2第1項第1号の規定に適合している。
そして、上記請求項1?2、4?5、8、11?17および19?24の削除は、新規事項の追加に該当せず、かつ、特許請求の範囲を拡張、変更するものでもない。
(2)訂正事項cについて
願書に添付した明細書の「【0260】また、上述した各実施形態では、報知手段は、・・・複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、・・・複数の表示態様の中の1つの表示態様で各列の可変表示を演出する連動演出手段と、・・・複数の表示態様の中の1つの表示態様で可変表示装置(リール3?5)の表示を演出する停止演出手段とから構成された。
【0261】しかし、この報知手段は、上記の音発生手段と連動演出手段とだけによって構成するようにしてもよい。また、この報知手段は、上記の音発生手段と停止演出手段とだけによって構成するようにしてもよい。また、この報知手段は、上記の連動演出手段と停止演出手段とだけによって構成するようにしてもよい。
【0262】報知手段がこのようないずれの構成によって構成されても、必要とされる報知情報の種類を満たす数だけ、各構成手段の演出の組合せを用意することにより、上述した各実施形態と同様な作用・効果が奏される。」なる記載に基づけば、本件発明の各実施形態において、報知手段は、音発生手段と連動演出手段と停止演出手段とから基本的に構成することができるものであるものの、必要に応じて、音発生手段と連動演出手段の組合せ、音発生手段と停止演出手段の組合せおよび連動演出手段と停止演出手段の組合せとすることができ、かつ、これらの組合せのいずれの組合せによっても、報知手段の基本的な組合せと同様の作用・効果を奏することができる旨の記載があることから、報知情報についても、同様に、必要に応じて、遊技開始音の態様による報知と連動表示態様による報知と停止表示態様による報知、遊技開始音の態様による報知と連動表示態様による報知、遊技開始音の態様による報知と停止表示態様による報知、および連動表示態様による報知と停止表示態様による報知の中から、いずれか1つの組合せの報知を選択し得ることとなることおよびそのような報知態様の選択をなし得る手段を備えていることは自明である。よって、報知手段は、音発生手段と連動演出手段と報知態様選択手段に加えて停止演出手段とから構成することができ、かつ、報知情報は、効果音の種類、連動表示態様の種類、および停止表示態様の種類をそれぞれ組合せて構成することができ、さらに、そのように組合せにされた報知情報を報知することができることは明らかである。
また、訂正前の請求項3に「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、」なる構成を付加する訂正は、報知情報が配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知を行う時期を、明確化したものである。
さらに、訂正前の請求項3に「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、」なる構成を付加する訂正は、報知情報が、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知を行う時期を明確化したものである。
したがって、訂正前の請求項1または訂正前の請求項2を引用した訂正前の請求項3の「前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり」を、訂正後の請求項3において、「前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、」とする訂正は、特許請求の範囲の記載を下位概念化するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的としたものに相当する。
次いで、訂正後の請求項3において、「前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知する」なる構成を付加する訂正は、前記報知態様選択手段により選択された報知情報が効果音の種類および連動表示態様の種類の組合せであり、かつ、そのような組合せの報知情報を報知することが明らかであって、これらを「前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知する」なる構成として付加する訂正は、報知する報知情報を言い換えたものであり、特許請求の範囲の記載を下位概念化するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的としたものに相当する。
そして、上記各構成の付加事項は、願書に添付した明細書または図面に記載した範囲内で行うものであり、新規事項の追加に該当せず、かつ、特許請求の範囲を拡張、変更するものではない。
(3)訂正事項fについて
訂正後の請求項6とする訂正事項fは、訂正前の請求項1または訂正前の請求項2を引用する訂正前の請求項6において、報知情報について「前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、」と「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、」なる構成を付加する訂正と、「前記報知情報が、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、」とする訂正とともに、「報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」なる構成を付加する訂正である。
そして、訂正前の請求項6に「前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、」なる構成を付加する訂正は、報知情報が配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知を行う時期を、明確化したものである。
また、訂正前の請求項6に「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、」なる構成を付加する訂正は、報知情報が、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知を行う時期を明確化したものである。
したがって、訂正前の請求項1、2を引用した訂正前の請求項3の「前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり」を、訂正後の請求項6において、「前記報知情報が、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、」と付加する訂正は、特許請求の範囲の記載を下位概念化するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的としたものに相当する。
さらに、訂正後の請求項6において、「報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」なる構成は、前記報知態様選択手段により選択された報知情報が効果音の種類および連動表示態様の種類からなる組合せであり、かつ、そのような効果音の種類および連動表示態様の種類からなる組合せにより遊技者に全ての可変表示手段が停止するまでに報知情報として報知されるものである以上、その報知情報と停止表示態様が一意に対応することは明らかであるから、「報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」とする訂正は、特許請求の範囲の記載を下位概念化するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的としたものに相当する。
そして、上記各構成の付加事項は、願書に添付した明細書または図面に記載した範囲内で行うものであり、新規事項の追加に該当せず、かつ、特許請求の範囲を拡張、変更するものではない。
(4)訂正事項g、rについて
訂正事項g、rは、訂正前の請求項の削除に伴い、削除の対象とならない訂正前の従属項を残すものであるから、新規事項の追加に該当せず、かつ、誤記の訂正でもなく、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(5)訂正事項iについて
訂正後の請求項9とする訂正事項iは、訂正前の請求項1を引用した請求項3?8を引用する訂正前の請求項9を、独立した請求項とする訂正である。
そして、訂正前の請求項3?8を引用する訂正前の請求項9の「前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり」を、訂正後の請求項9において、「前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、」とする訂正は、訂正事項cにおいて示した理由と同じ理由により、特許請求の範囲の減縮を目的としたものに相当する。
また、訂正前の請求項3には、「報知手段が・・・音発生手段と・・・連動演出手段と・・・報知態様選択手段で構成される」点が記載されており、かつ、その訂正前の請求項3を引用する訂正前の請求項9には、「前記報知態様選択手段は、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて演出態様組合せを選択する」点が記載されているのであるから、訂正後の請求項9において、「報知手段が・・・音発生手段と・・・連動演出手段と・・・報知態様選択手段で構成される」点と「前記報知態様選択手段は、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて演出態様組合せを選択する」とする訂正は、特許請求の範囲の記載を下位概念化するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的としたものに相当する。
そして、上記各構成の付加事項は、願書に添付した明細書または図面に記載した範囲内で行うものであり、新規事項の追加に該当せず、かつ、特許請求の範囲を拡張、変更するものではない。
(6)訂正事項jについて
訂正後の請求項10とする訂正事項jは、訂正前の請求項10を、訂正前の請求項3を引用する請求項と、訂正前の請求項4を引用する請求項と、訂正前の請求項6を引用する請求項と、訂正前の請求項3を引用した請求項8を引用する請求項との4つに分割したうちの、訂正前の請求項6を引用する請求項とし、独立した請求項とする訂正である。
そして、訂正前の請求項3には、「報知手段が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成される」点が記載されており、かつ、その訂正前の請求項3を引用する訂正前の請求項10には、「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」点が記載されている。
そして、上記訂正事項cにおいて示したように、報知手段は、音発生手段と連動演出手段と報知態様選択手段に加えて停止演出手段とから構成することができ、かつ、報知情報は、効果音の種類、連動表示態様の種類、および停止表示態様の種類をそれぞれ組合せて構成することができ、さらに、そのように組合せにされた報知情報を報知することができる。
また、訂正前の請求項3の報知手段の連動演出手段の「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、」の「各列の」は、「少なくとも1列の」を含むことができることは明らかである。
したがって、訂正後の請求項10において、「前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成される」点と「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」点を付加する訂正は、特許請求の範囲の記載を下位概念化するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的としたものに相当する。
そして、上記各構成の付加事項は、願書に添付した明細書または図面に記載した範囲内で行うものであり、新規事項の追加に該当せず、かつ、特許請求の範囲を拡張、変更するものではない。
(7)訂正事項yについて
請求項25とする訂正事項yは、訂正前の請求項3?8を引用する訂正前の請求項9を、訂正前の請求項3を引用する請求項と、訂正前の請求項6を引用する請求項との2つに分割したうちの後者の請求項であり、独立した請求項とした訂正である。
また、訂正前の請求項6には、「報知手段が・・・音発生手段と・・・連動演出手段と・・・停止演出手段と・・・報知態様選択手段で構成される請求項1または請求項2」点が記載されており、かつ、その訂正前の請求項6を引用する訂正前の請求項9には、「前記報知態様選択手段は、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて演出態様組合せを選択する」点が記載されている。
そして、その請求項25において、「前記報知情報が、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、」とする訂正は、訂正事項cにおいて示したように、報知手段は、音発生手段と連動演出手段と報知態様選択手段に加えて停止演出手段とから構成することができ、かつ、報知情報は、効果音の種類、連動表示態様の種類、および停止表示態様の種類をそれぞれ組合せて構成することができ、さらに、そのように組合せにされた報知情報を報知することができ、次いで、停止演出手段は、各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知の際に行われる演出であることは明らかであるから、訂正事項cにおいて示した理由と同じ理由により、特許請求の範囲の記載を下位概念化するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的としたものに相当する。
また、訂正後の請求項25において、「報知手段が・・・音発生手段と・・・連動演出手段と・・・報知態様選択手段で構成される」点と「前記報知態様選択手段は、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて演出態様組合せを選択する」点を付加する訂正は、特許請求の範囲の記載を下位概念化するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的としたものに相当する。
そして、上記各構成の付加事項は、願書に添付した明細書または図面に記載した範囲内で行うものであり、新規事項の追加に該当せず、かつ、特許請求の範囲を拡張、変更するものではない。
(8)訂正事項zについて
新たに請求項26を設ける訂正事項zは、訂正前の【請求項10】を、訂正前の請求項3を引用する請求項と、訂正前の請求項4を引用する請求項と、訂正前の請求項6を引用する請求項と、訂正前の請求項3を引用した請求項8を引用する請求項との4つに分割したうちの、訂正前の請求項4を引用する請求項であり、独立した請求項とする訂正である。
そして、訂正前の請求項4には、「報知手段が・・・音発生手段と・・・停止演出手段と・・・報知態様選択手段で構成される請求項1または請求項2」点が記載されており、また、その訂正前の請求項4を引用する訂正前の請求項10には、「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」点が記載されているのであるから、訂正後の請求項26において、「報知手段が・・・音発生手段と・・・停止演出手段と・・・報知態様選択手段で構成される」点と「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」点を付加する訂正は、特許請求の範囲の記載を下位概念化するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的としたものに相当する。
また、上記各構成の付加事項は、願書に添付した明細書または図面に記載した範囲内で行うものであり、新規事項の追加に該当せず、かつ、特許請求の範囲を拡張、変更するものでもない。
(9)訂正事項abについて
請求項28を新たに設ける訂正事項abは、訂正前の請求項10を、訂正前の請求項3を引用する請求項と、訂正前の請求項4を引用する請求項と、訂正前の請求項6を引用する請求項と、訂正前の請求項3を引用した請求項8を引用する請求項との4つに分割したうちの、訂正前の請求項3を引用する請求項である。
ところで、訂正前の請求項3には、「報知手段が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成される」点が記載されており、かつ、その訂正前の請求項3を引用する訂正前の請求項28には、「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」点が記載されている。
また、上記訂正事項cにおいて示したように、報知手段は、音発生手段と連動演出手段と報知態様選択手段に加えて停止演出手段とから構成することができ、かつ、報知情報は、効果音の種類、連動表示態様の種類、および停止表示態様の種類をそれぞれ組合せて構成することができ、さらに、そのように組合せにされた報知情報を報知することができる。
そして、訂正前の請求項3の報知手段の連動演出手段の「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、」の「各列の」は、「少なくとも1列の」を含むことは明らかである。
したがって、新たに設ける請求項28において、「前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、」とする訂正は、特許請求の範囲の記載を下位概念化するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的としたものに相当する。
そして、上記各構成の付加事項は、願書に添付した明細書または図面に記載した範囲内で行うものであり、新規事項の追加に該当せず、かつ、特許請求の範囲を拡張、変更するものでもない。
(10)訂正事項acについて
請求項29を新たに設ける訂正事項acは、訂正前の請求項10を、訂正前の請求項3を引用する請求項と、訂正前の請求項4を引用する請求項と、訂正前の請求項6を引用する請求項と、訂正前の請求項3を引用した請求項8を引用する請求項との4つに分割したうちの、訂正前の請求項3を引用した請求項8を引用する請求項であり、訂正前の請求項8は「前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させることを特徴とする請求項3または請求項4または請求項6に記載の遊技機。」である。
そして、訂正前の請求項8には、上記したように、「前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させる」点が記載されている。
したがって、新たに設ける請求項29において、「報知手段が・・・音発生手段と・・・連動演出手段と・・・報知態様選択手段で構成される」点と「前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させる」点を付加する訂正は、特許請求の範囲の記載を下位概念化するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的としたものに相当する。
また、上記各構成の付加事項は、願書に添付した明細書または図面に記載した範囲内で行うものであり、新規事項の追加に該当せず、かつ、特許請求の範囲を拡張、変更するものでもない。
(11)訂正事項adについて
願書に添付した明細書の段落番号【0011】を訂正する訂正事項adは、訂正前の請求項1、2の削除と訂正後の請求項3と願書に添付した明細書の記載との整合を図るためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的としている。
そして、上記訂正前の請求項1、2の削除と訂正後の請求項3に対応して、願書に添付した明細書の記載を整理するものであるから、願書に添付した明細書または図面に記載した範囲内で行うものであり、新規事項の追加に該当せず、かつ、特許請求の範囲を拡張、変更するものでもない。
(12)訂正事項ae、af、ag、ahおよびaiについて
訂正事項ae、af、ag、ahおよびaiは、訂正前の請求項1、2、4?5、8、11?17および19?24の削除に伴って、それら削除される訂正前の請求項に対応する明細書の発明の詳細な説明の段落を削除して、特許請求の範囲と願書に添付した明細書の記載との整合を図るためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的としている。
そして、上記訂正前の請求項1、2、4?5、8、11?17および19?24の削除に関連する願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落の削除による整理は、新規事項の追加に該当せず、かつ、特許請求の範囲を拡張、変更するものではない。

以上の(1)?(12)に示したとおり、上記訂正事項a?訂正事項aiは、いずれも平成18年改正前特許法第134条の2第1項ただし書きおよび同条第5項の規定により準用する同法第126条第3項、第4項の規定に適合するので、平成20年4月14日付の訂正請求を認める。

第三 特許法第134条の2第1項に基づく訂正請求に対する弁駁
三-1 弁駁の概要
三-1-1 訂正要件違反
ア 特許法第134条の2第1項違反
理由:請求項の削除を目的とする訂正請求はできない。
イ 特許法第126条第3項違反
理由:訂正後の請求項26、28、29は、新規事項を追加するものである。

三-1-2 訂正後の請求項の無効理由
ア 特許法第36条第6項第1号並びに同項第2号違反
☆理由1:訂正後の特許請求の範囲において、請求項1、2、4、5、8、11?17、19?24、27を削除するとしながら、請求項を繰り上げることをしていないから、各請求項は存在するものとして訂正されているものであり、その各請求項には何も記載されていない。よって、請求項1、2、4、5、8、11?17、19?24、27については、特許請求の範囲に何らの発明の内容の記載がない請求項となっているから、特許法第36条第6項第1号に適合せず、特許法第123条第1項第4号の規定により、無効とされるべきものである。
☆理由2:また、「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞状態に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じた演出態様組合せを選択する手段とから構成されること」を選定とする場合に、停止演出をしないことおよび連続演出しないことは発明の詳細な説明に記載されていないから、訂正後の請求項26、28、29は、特許法第36条第6項第1号に適合せず、特許法第123条第1項第4号の規定により、無効とされるべきものである。
☆理由3:訂正後の請求項6、7、10、18、25、26の「前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」(停止態様による報知)は、遊技者への「報知情報」たり得ず、かかる記載を特許請求の範囲に有する訂正後の請求項6、7、10、18、25、26は、発明の構成を理解することができず、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないので、特許法第123条第1項第4号の規定により、無効とされるべきものである。
☆理由4:訂正後の請求項29における「音発生手段」は、「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つを発生させる」ものであって、可変表示が開始されるときに、音を発生するものである。そうすると、「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つを発生させる音発生手段」と「前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させる」との関係が不明瞭である。したがって、訂正後の請求項29発明は、明細書に記載された発明ではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないので、特許法第123条第1項第4号の規定により、無効とされるべきものである。
イ 特許法第29条第2項違反
理由:訂正後の請求項3に記載の発明については、甲第11号証、周知技術A、甲第5号証、甲第14号証に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、進歩性がない。
訂正後の請求項6に記載の発明については、甲第11号証、周知技術A、甲第5号証、甲第14号証に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、進歩性がない。
訂正後の請求項7に記載の発明については、甲第11号証、周知技術A、甲第5号証、甲第14号証に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、進歩性がない。
訂正後の請求項9に記載の発明については、甲第11号証、周知技術A、甲第34号証に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、進歩性がない。
訂正後の請求項10に記載の発明については、甲第11号証、周知技術A、甲第34号証および甲第23号証に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、進歩性がない。
訂正後の請求項18に記載の発明については、甲第11号証、周知技術A、甲第5号証、甲第14号証、および甲第34号証に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、進歩性がない。
訂正後の請求項25に記載の発明については、甲第11号証、周知技術Aおよび甲第34号証に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、進歩性がない。
訂正後の請求項26に記載の発明については、甲第11号証、周知技術A、甲第10号証、および甲第34号証および甲第23号証に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、進歩性がない。
訂正後の請求項28に記載の発明については、甲第11号証、周知技術A、甲第34号証および甲第23号証に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、進歩性がない。
訂正後の請求項29に記載の発明については、甲第11号証、周知技術A、甲第34号証、甲第23号証および甲第33号証に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、進歩性がない。
したがって、訂正後の請求項3、6、9、10、18、25、26、28および29は、特許法第29条第2項の規定に反しているので、特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とされるべきである。

*甲号証リスト
甲第 1号証:特開昭59-186580号公報
甲第 2号証:実願昭60-74971号の(実開昭61-191081
号)のマイクロフイルム
甲第 3号証:特開平5- 74391号公報
甲第 4号証:特開平2-232084号公報
甲第 5号証:特開平6-114140号公報
甲第 6号証:特開平6-114142号公報
甲第 7号証:特開平6-114143号公報
甲第 8号証:特開平6-114144号公報
甲第 9号証:特開平8-112401号公報
甲第10号証:特開平9-299548号公報
甲第11号証:特開平8-117390号公報
甲第12号証:特開平6-238035号公報
甲第13号証:特開平6-304313号公報
甲第14号証:特開平7- 68027号公報
甲第15号証:特開平6-170048号公報
甲第16号証:特開平9- 28883号公報
甲第17号証:特開平6-312053号公報
甲第18号証:特開平7-136313号公報
甲第19号証:パチスロ完全攻略事典 週刊漫画ゴラク12月8日増刊
平成6年11月25日 国会図書館受入抜粋 86頁
甲第20号証:パチスロ攻略マガジン 平成6年1月10日 国会図書館
受入抜粋 112頁
甲第21号証:特開昭62-127086号公報
甲第22号証:必勝パチスロファン 1994年増刊7月号 VOL25
日本文芸社 78頁
甲第23号証:特開平8-336642号公報
甲第24号証:特開平9-164246号公報
甲第25号証:特開昭64-32885号公報
甲第26号証:特開平6-190108号公報
甲第27号証:特開平8-252367号公報
甲第28号証:特開平7-194846号公報
甲第29号証:特開平8-252356号公報
甲第30号証:特開平9- 99137号公報
甲第31号証:特公平5- 80235号公報
甲第32号証:特開平9-103556号公報
甲第33号証:特開平8-173592号公報
甲第34号証:特開平8-280872号公報
甲第35号証:平成8年(行ケ)第103号判決
甲第36号証:平成13年(行ケ)第346号判決
甲第37号証:特開平7-288062号公報

第三-1-3 訂正前の請求項の無効理由
ア 特許法第36条第6項違反
理由:記載不備
イ 特許法第29条第2項違反
理由:進歩性がない。訂正前の請求項1?24は、甲第11号証に記載された発明、甲第23号証に記載された発明、甲第28号証に記載された発明、甲第29号証に記載された発明、甲第30号証に記載された発明、甲第31号証に記載された発明、甲第32号証に記載された発明、甲第33号証に記載された発明、甲第34号証に記載された発明および周知技術並びに常套手段に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。

さらに、本件特許発明の明細書には、下記の記載がある。
「【0265】また、遊技機の中には、可変表示を停止操作するボタンを待たずに、それぞれの可変表示部が各可変表示列毎に順次自動的に停止するものも存在する。このような場合でも、それぞれの可変表示列が自動停止するタイミングで、上述した入賞態様報知手段を動作させれば、上記実施形態と同様の効果が得られる。」
そして、上記「遊技機の中には、可変表示を停止操作するボタンを持たずに、それぞれの可変表示部が各可変表示列毎に順次自動的に停止するものも存在する。」なる記載は、パチンコ遊技機での可変表示の停止を指していることは明らかである。このようなパチンコ遊技機についても、「それぞれの可変表示列が自動停止するタイミングで、上述した入賞態様報知手段を動作させれば、上記実施形態と同様の効果が得られる。」と記載され、本件特許発明を適用することができる旨の記載がある。
これらの記載から、遊技機の業界では、少なくとも「報知」あるいは「演出」と呼ばれる技術については、スロットマシン遊技機にもパチンコ遊技機にも適用されることが、周知技術として浸透しており、かつ被請求人も少なくとも「報知」あるいは「演出」と呼ばれる技術については、スロットマシン遊技機にもパチンコ遊技機にも適用できることを自認していたと考えられる。 従って、一般論としてスロットマシン遊技機にパチンコ遊技機の技術を取り入れることの困難さはさておき、少なくとも「報知」あるいは「演出」と呼ばれる技術については、スロットマシン遊技機にパチンコ遊技機の技術を取り入れることは、極めて容易であり、通常行われている単なる転用であると考えられる。

第三-1-4 特許法第131条の2第2項第1号の規定に基づく許可の決定
訂正後の特許請求の範囲の記載にかかる無効理由については、特許法第131条の2第2項第1号の規定により、無効審判請求書の請求理由を補正するものであるので、その旨の許可の決定を合わせて求める。

第四 当審の判断
第四-1 訂正要件違反について
ア 特許法第134条の2第1項違反について
請求人は、「請求項の削除を目的とする訂正請求はできないので、請求項を削除する訂正事項は、特許法第134条の2第1項違反である」と主張している。
しかしながら、上記第二-2.訂正の適否について(1)訂正事項a?b、d?e、h、k?qおよびs?xについてにおいて示したように、請求項の削除は特許請求の範囲を実質的に減縮するものに相当するから、訂正事項a?b、d?e、h、k?qおよびs?x、すなわち、特許請求の範囲の請求項1?2、4?5、8、11?17および19?24を削除する訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許法第134条の2第1項第1号の規定に適合している。
したがって、請求人の「請求項の削除を目的とする訂正請求はできないので、請求項を削除する訂正事項は、特許法第134条の2第1項第1号違反である」との主張は採用することができない。

イ 特許法第126条第3項違反について
☆請求項26について
新たに請求項26を設ける訂正事項zは、訂正前の【請求項10】を、訂正前の請求項3を引用する請求項と、訂正前の請求項4を引用する請求項と、訂正前の請求項6を引用する請求項と、訂正前の請求項3を引用した請求項8を引用する請求項との4つに分割したうちの、訂正前の請求項4を引用する請求項を、独立した請求項とする訂正であって、訂正前の請求項4には、「報知手段が・・・音発生手段と・・・停止演出手段と・・・報知態様選択手段で構成される請求項1または請求項2」と記載されており、かつ、その訂正前の請求項4を引用する訂正前の請求項10には、「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」と記載されている。
そして、本請求項26はこれら記載を基に独立した請求項としたものであって、新たな技術事項が加わっていない。
また、上記各構成とする訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した範囲内で行うものであり、特許請求の範囲を拡張、変更するものでもない。
したがって、請求人の「訂正後の請求項26は、新規事項を追加するものであるから、新たに請求項26を設ける訂正事項zは、特許法第126条第3項に違反する。」との主張は、採用できない。
☆請求項28について
請求項28を新たに設ける訂正事項abは、訂正前の請求項10を、訂正前の請求項3を引用する請求項と、訂正前の請求項4を引用する請求項と、訂正前の請求項6を引用する請求項と、訂正前の請求項3を引用した請求項8を引用する請求項との4つに分割したうちの、訂正前の請求項3を引用する請求項を独立した請求項とする訂正であって、訂正前の請求項3には、「報知手段が・・・音発生手段と・・・連動演出手段と・・・報知態様選択手段で構成される請求項1または請求項2」点が記載されている。
そして、本請求項28はこの記載を基に独立した請求項としたものであって、新たな技術事項が加わっていない。
また、上記各構成とする訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した範囲内で行うものであり、特許請求の範囲を拡張、変更するものでもない。
したがって、請求人の「訂正後の請求項28は、新規事項を追加するものであるから、新たに請求項28を設ける訂正事項abは、特許法第126条第3項に違反する。」との主張は、採用できない。
☆請求項29について
請求項29を新たに設ける訂正事項acは、訂正前の請求項10を、訂正前の請求項3を引用する請求項と、訂正前の請求項4を引用する請求項と、訂正前の請求項6を引用する請求項と、訂正前の請求項3を引用した請求項8を引用する請求項との4つに分割したうちの、訂正前の請求項3を引用した請求項8を引用する請求項を独立した請求項とする訂正であって、訂正前の請求項8は「前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させることを特徴とする請求項3または請求項4または請求項6に記載の遊技機。」と記載されている。
そして、本請求項29はこの記載を基に独立した請求項としたものであって、新たな技術事項が加わっていない。
また、上記各構成とする訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した範囲内で行うものであり、特許請求の範囲を拡張、変更するものでもない。
そうすると、請求人の「訂正後の請求項29は、新規事項を追加するものであるから、新たに請求項29を設ける訂正事項acは、特許法第126条第3項に違反する。」との主張は、採用できない。
ウ まとめ
以上のとおり、上記訂正はいずれも特許法第134条の2第1項に違反しているものではなく、同条第5項で準用する特許法第126条第3項違反でもないから、平成20年4月14日付の訂正を認める。

第四-2 訂正後の請求項の無効理由について
ア 特許法第36条第6項第1号並びに第2号違反
弁駁における特許法第36条第6項第1号並びに第2号違反に係る無効理由は、当初の審判請求(平成18年6月21日)に記載していた無効理由(特許法第29条第2項)と異なる根拠法に基づく無効理由を追加するものであり、審理を不当に遅延させるおそれがあるから、弁駁における特許法第36条第6項第1号並びに第2号違反に関する無効理由の補正を認めることはできない。
なお、仮に補正を認めたとしても、以下の理由により、請求人の主張は採用できない。

(1)理由1について:
特許請求の範囲の請求項1、2、4、5、8、11?17、19?24を削除することは、明確に示されている。また、訂正後の特許請求の範囲には【請求項27】なる記載はあるが、内容は何も記載されていないから、請求項を削除するものと解されるが、そもそも訂正前の特許請求の範囲には請求項1?請求項24までしか存していないので、訂正後の特許請求の範囲において示された【請求項27】なる記載は単なる誤記であることと解される。
以上のように、訂正後の請求項1、2、4、5、8、11?17、19?24、27は、発明を記載したものでないことは明らかであって、請求項の項数の繰り上げを行わず、請求項数の表示が残存することをもってのみで発明が不明確になっているということはできない。
よって、「請求項1、2、4、5、8、11?17、19?24、27については、特許請求の範囲に何らの発明の内容の記載がない請求項となっているから、特許法第36条第6項第2号に適合せず、特許法第123条第1項第4号の規定により、無効とされるべきものである」という請求人の主張は採用できない。
(2)理由2について:
明細書には、「【0148】図29示すROM32には、第1の実施形態と同様に、このスロットマシン1で実行されるゲーム処理の手順がシーケンスプログラムとして記憶されている他、入賞確率テーブル,シンボルテーブル、入賞シンボル組合せテーブル、デモ抽選テーブル選択テーブル、デモ抽選テーブル、および図30や図38に示した上述したリール停止音選択テーブル等がそれぞれ区分されて格納されている。」なる記載があるとともに、「【0151】図53に示すデモ抽選テーブル選択テーブルは、遊技状態および当選フラグから図54?図56に示すNo.0?No.17のデモ抽選テーブルを選択するためのものである。遊技状態は図57(a)に示す遊技状態ステータス(GMLVSTS)格納領域を参照することによって判明する。このGMLVSTS格納領域はRAM33中に1バイトのデータとして記憶されている。ビット0?4には遊技状態が記憶されており、データが1にセットされてオンになっている遊技状態がその時の遊技状態である。遊技状態の種類にはGMLVSTSに示されるように「RB作動中」,「BB作動中」,「一般遊技中」,「RB内部当たり中」および「BB内部当たり中」の5種類がある。
【0152】当選フラグは図57(b)に示すフラグカウンタ(FLGCTR)格納領域を参照することによって判明する。このFLGCTR格納領域もRAM33中に1バイトのデータとして記憶されている。16進数の00?07の1バイトデータにより、その時の当選フラグが示されている。
【0153】例えば、GMLVSTSのビット2のデータが1(04H)にセットされ、FLGCTRのデータが07Hであれば、遊技状態は一般遊技中で当選フラグはBBになる。従って、その時のデモ抽選テーブルは、デモ抽選テーブル選択テーブルからNo.7のデモ抽選テーブルになる。このNo.7のデモ抽選テーブルは図55に示され、同テーブルに示される抽選値を使った後述する抽選により、遊技開始音の種類,リールランプ消灯パターンの種類およびリールランプ点滅パターンの種類の組合せが選択される。」なる記載があるから、訂正前明細書には、「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」点が記載されている。
また、明細書には、「【0260】また、上述した各実施形態では、報知手段は、可変表示開始手段(スタートレバー15)によって各リール3?5の可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段(停止ボタン16?18)によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で各列の可変表示を演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で可変表示装置(リール3?5)の表示を演出する停止演出手段とから構成された。
【0261】しかし、この報知手段は、上記の音発生手段と連動演出手段とだけによって構成するようにしてもよい。また、この報知手段は、上記の音発生手段と停止演出手段とだけによって構成するようにしてもよい。また、この報知手段は、上記の連動演出手段と停止演出手段とだけによって構成するようにしてもよい。
【0262】報知手段がこのようないずれの構成によって構成されても、必要とされる報知情報の種類を満たす数だけ、各構成手段の演出の組合せを用意することにより、上述した各実施形態と同様な作用・効果が奏される。」なる記載があるから、明細書には、「・・・音発生手段と、・・・連動演出手段と、・・・停止演出手段とから構成される報知手段において、停止演出をしないこともしくは連続演出しないこと」が記載されている。
そして、上記明細書の【0151】?【0155】の記載に基づけば、報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択するものが記載されている。
また、上記明細書の【0261】?【0262】の記載に基づけば、本件発明の報知手段は、音発生手段と連動演出手段と停止演出手段とから基本的に構成することができるものであるものの、必要に応じて、音発生手段と連動演出手段の組合せ、音発生手段と停止演出手段の組合せおよび連動演出手段と停止演出手段の組合せとすることができ、かつ、これらの組合せのいずれの組合せによっても、報知手段の基本的な組合せと同様の作用・効果を奏することができることが記載されている。
したがって、明細書には、「報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞状態に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じた演出態様組合せを選択する手段とから構成されることを選定とする場合に、停止演出をしないことおよび連続演出しないこと」が記載されていると認められる。
そうすると、「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞状態に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じた演出態様組合せを選択する手段とから構成されることを選定する場合に、停止演出をしないことおよび連動演出しないことは明細書に記載されていないから、訂正後の請求項26、28、29は、特許法第36条第6項第1号に適合せず、特許法第123条第1項第4号の規定により、無効とされるべきものである」という請求人の主張は、採用できない。
(3)理由3について:
上記理由2についてで示したように、報知手段は、音発生手段と連動演出手段と報知態様選択手段に加えて停止演出手段とから構成することができるものであるものの、必要に応じて、音発生手段と連動演出手段の組合せ、音発生手段と停止演出手段の組合せおよび連動演出手段と停止演出手段の組合せとすることができ、かつ、これらの組合せのいずれの組合せによっても、報知手段は同様の作用・効果を奏することができるものであり、かつ、2.訂正の適否について(3)訂正事項fについてにおいて示したように、訂正前の請求項6に「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、」なる構成を付加する訂正は、報知情報が、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知を行う時期を、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止される場合と、各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とに区分して明確化したものである。
ところで、請求人は、停止時の報知は、既に図柄がとまっているので、入賞の報知たりえないと主張しているが、上記のように、報知手段は、停止時においても遊技者に報知することができ、その停止時の報知は意味を有していることが明らかであるから、訂正後の請求項7、10、18、25、26の前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知(停止態様による報知)は、各請求項の中でなんら矛盾するものでもない。
そうすると、「訂正後の請求項7、10、18、25、26の前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知(停止態様による報知)は、遊技者への報知情報たり得ないので、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないので、特許法第123条第1項第4号の規定により、無効とされるべきものであるということはできない。」という請求人の主張は、採用できない。
(4)理由4について:
上記理由2についてで示したように、「報知手段は、音発生手段と連動演出手段と停止演出手段とから基本的に構成することができるものであるものの、必要に応じて、音発生手段と連動演出手段の組合せ、音発生手段と停止演出手段の組合せおよび連動演出手段と停止演出手段の組合せとすることができ、かつ、これらの組合せのいずれの組合せによっても、報知手段の基本的な組合せと同様の作用・効果を奏することができるものである」から、音発生手段と連動演出手段の間の関係は明りょうである。
そうすると、「訂正後の請求項29における音発生手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つを発生させるものであって、可変表示が開始されるときに、音を発生するものである。そうすると、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つを発生させる音発生手段と、前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させるとの関係が不明瞭である。したがって、訂正後の請求項29発明は、明細書に開示された発明ではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないので、特許法第123条第1項第4号の規定により、無効とされるべきものである」という請求人の主張は、採用できない。
イ 特許法第29条第2項違反
(1)訂正後の請求項3の無効理由について
1)訂正後の請求項3の記載
訂正後の請求項3は、「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知することを特徴とする遊技機。」である(以下、「訂正後の請求項3に記載の発明」という)。

2)甲号証について
2)-1 甲第11号証(特開平8-117390号公報)について
甲第11号証には、以下の記載事項が記載されている。
・記載事項1
「【0036】また、マイコン20が制御信号を生成するために必要な入力信号を発生する主な入力信号発生手段としては、メダル投入口8から投入されたメダルを検出する投入メダルセンサ8Sと、前記スタートレバー11の操作を検出するスタートスイッチ11Sと、前述のように各リール2,3,4が一回転する毎にパルスを発生するリール回転センサ(図3では、各リール2,3,4に含まれている)と、前述のストップボタン12,13,14と、ホッパー30から払い出されるメダルの数を計数するメダル検出部34とがあり、リール回転センサ、ストップボタン12,13,14及びメダル検出部34は、それぞれインタフェース回路35,36,37を介してCPU21の入力部に接続されている。」
・記載事項2
「【0040】乱数発生器26から発生した乱数の値が0?N(所定の数)であるとすると、投入メダル数が1の場合には、大ヒットの確率が“B1/N”、中ヒットの確率が“M1/N”、小ヒットの確率が“S1/N”となる。例えば、B1,M1,S1の値がそれぞれ“100”,“500”,“1000”であったとすると、サンプリングされた乱数の値が100未満であれば大ヒット、100以上500未満であれば中ヒット、500以上1000未満であれば小ヒットとなって、それぞれの種類に対応した入賞リクエスト信号が発生し、さらに1000以上である場合には入賞なし(ハズレ)のリクエスト信号が発生する。」
・記載事項3
「【0054】まず、図8に示すように、サンプリングされた乱数値をBBの当選幅(入賞組合せ“7-7-7”に対する内部的当選役の数値の範囲)と比較し(ST1)、BBに該当するか否かを判定する(ST2)。その結果、該当する場合には、内部的当選が達成され、例えば8ビット構成のRAM23においてBBに対応するビット(7)にフラグを立て(ST3)、抽選処理を終了する。」
・記載事項4
「【0079】(ii)ゲームスタート後、サンプリングされた乱数値が内部的当選役に該当した場合、その内部的当選を遊技者に知らせる報知手段を設けてもよい。」
・記載事項5
「【0080】この報知手段としては、例えば各リール2,3,4の内側に取り付けられているバックライト(照明)を利用することができる。すなわち、遊技がスタートして乱数がサンプリングされ、入賞確率テーブルとの照合により内部的当選に該当する場合は、このバックライトを点滅又は点灯させることによって、遊技者に内部的当選を知らせる。これにより、遊技者は「当たり」への期待感を持つことができる。」
・記載事項6
「【0081】具体的には、図10及び図11に示すように、3つのリール2,3,4の各々について可変表示部の窓に現れるシンボルの裏面側に、3個のランプ(LED、電球などの発光体)41を縦方向に配列した基板42を設置し、これら3列のランプ41を、図3のCPU21により、例えばストップボタン12が押された直後に、図12(A),(B),(C)に示すような種々のパターンで点滅又は点灯するように制御する。なお、図12において、(A)は全てのランプを点灯又は点滅するパターン、(B)は上下及び中心部のランプを点灯又は点滅するパターン、(C)はランプを所定の方向に順次点灯又は点滅する動作を繰り返すパターンを示す。勿論、パターンはこれらのみに限らない。」
・記載事項7
「【0082】また、内部的当選の種類に応じて上述の点灯パターンを変えることにより、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせることもできる。」
・記載事項8
「【0083】更に、上記のようなバックライトの利用に加えて又はバックライトを利用する代わりに、スピーカのような発音装置から適当な音を発生することによっても、内部的当選を遊技者に知らせることができる。」
・記載事項9
「【0084】(iii) 内部的当選の後、リールの回転停止操作によって出現し得る図柄組合せが「大ヒット」のような特定の入賞図柄でない場合には、「リーチ目」を出現させることにより、遊技者に対し内部的当選を知らせるようにしてもよい。これはマイコン20のプログラムで実現できるが、これに代えて、或いはこれと共に、上記(ii)で説明したリールのバックライトや音声を利用する報知手段を用いてもよい。」

以上の記載事項1?9および図1?12を参酌すれば、甲第11号証には以下の技術事項が記載されていると認められる(以下、「甲第11号証に記載の技術事項」という。)。

「サンプリングされる数値を入賞確率テーブル中のデータと照合することにより入賞態様を判定し、複数の図柄を可変表示し、判定された入賞態様に応じた図柄の組合せを各列に停止表示する可変表示部と、この可変表示部の可変表示を開始させるスタートレバー11と、可変表示を各列毎に停止させるストップボタン12、13、14とを備えて構成されるスロットマシンである遊技機において、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、サンプリングされた乱数値が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様のフラグを成立させ、ストップボタン12、13、14は、遊技者により操作可能であり、このストップボタンの操作タイミングに応じて可変表示を各列毎に停止させるが、入賞態様のフラグが成立していても、停止ボタンが入賞態様のフラグに対応した図柄を入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、入賞ライン上に大ヒット、中ヒット、小ヒットの図柄の組合せを停止表示させない制御を行い、スタートレバー11によって可変表示が開始され、ストップボタン12、13、14によって可変表示が停止され、乱数値が内部的当選のいずれかに該当するときその内部当選役を遊技者に報知する報知手段を備えた遊技機。」

そして、甲第11号証に記載の技術事項の「サンプリングされる数値を入賞確率テーブル中のデータと照合することにより入賞態様を判定し」は訂正後の請求項3に記載の発明の「乱数抽選によって入賞確率テーブル中のデータと照合することにより入賞態様を判定し」、以下同様に、「複数の図柄を可変表示し」は「種々の図柄を複数列に可変表示し」に、「判定された」は「決定された」に、「図柄の組合せ」は「図柄組み合わせ」に、「可変表示部」は「可変表示装置」に、「スタートレバー11」は「可変表示開始手段」、「ストップボタン12、13、14」は「可変表示停止手段」に、「サンプリングされた乱数値」は「抽出された乱数」に、「入賞態様のフラグ」は「当選フラグ」に、「入賞ライン」は「有効化入賞ライン」に、「大ヒット、中ヒット、小ヒットの図柄の組合せ」は「入賞が発生する図柄組み合わせ」に、それぞれ相当している。

さらに、甲第11号証に記載の技術事項については以下のことがいえる。

i) 甲第11号証に記載の技術事項は、サンプリング手段により一つの乱数が特定され、その特定された乱数によって、確率テーブル中のいかなる群に属するかを比較照合する判定して、その判定結果を得ているのであるから、乱数抽選によって入賞態様を決定しており、かつ、決定機能を実現し得る手段を有することは当然のことである。したがって、甲第11号証の「乱数抽選によって入賞確率テーブル中のデータと照合することにより入賞態様を判定し」は、「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段」と言い換えることができる。
ii) 甲第11号証に記載の技術事項の報知手段は、今回遊技の中で報知するものであって、次回の遊技の中で報知するものではないから、甲第11号証に記載の技術事項の報知手段は、「可変表示開始手段によって可変表示が開始され、可変表示停止手段によって可変表示が停止される1回遊技の中で、遊技者に内部的当選を報知している」ものであることは明らかである。
また、甲第11号証に記載の技術事項は、上記i)のとおり、甲第11号証の「サンプリングされる数値を入賞確率テーブル中のデータと照合することにより入賞態様を判定し」は、「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段」と言い換えることができ、かつ、可変表示開始手段によって可変表示が開始され、可変表示停止手段によって可変表示が停止される1回遊技の中で、遊技者に内部的当選を報知しているのであるから、甲第11号証に記載の技術事項は、「可変表示開始手段によって可変表示が開始され、可変表示停止手段によって可変表示が停止される1回の遊技の中で、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段」を実質的に具備しているということができる。
iii) 甲第11号証の記載事項5の「【0080】この報知手段としては、・・・バックライト(照明)を利用することができる。・・・内部的当選に該当する場合は、このバックライトを点滅又は点灯させることによって、遊技者に内部的当選を知らせる。・・・」、および同記載事項8の「【0083】更に、上記のようなバックライトの利用に加えて又はバックライトを利用する代わりにスピーカのような発音装置から適当な音を発生することによっても、内部的当選を遊技者に知らせることができる。」なる記載に基づけば、内部的当選をバックライトの点滅又は点灯により知らせることができ、かつ、内部的当選の種類に応じて点灯パターンを変えることができるのであるから、「内部的当選をバックライトの点滅又は点灯により知らせることができ」は、「内部的当選の種類にかかわらず点灯パターンを変えないで遊技者に内部的当選を報知する」ことができると解される。よって、甲第11号証に記載の技術事項において、「報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」を行っているということができる。
また、同記載事項4?7に基づけば、バックライトは複数あるストップボタン12、13、14の内ストップボタン12が押されたときにいずれかのパターンで点灯することが例示されているのであるから、甲第11号証に記載の技術事項における報知が、可変表示停止手段によっていずれかの可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成されていることは明らかである。
以上から、甲第11号証に記載の技術事項は、「報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、可変表示停止手段によっていずれかの可変表示が連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成され」なる構成を実質的に具備しているということができる。
iv) 上記iii)の甲第11号証に記載の技術事項は、「報知情報は、音の発生の報知態様による内部的当選の報知と、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成される」こと、および同記載事項8の「【0083】更に、上記のようなバックライトの利用に加えて又はバックライトを利用する代わりに、スピーカのような発音装置から適当な音を発生することによっても、内部的当選を遊技者に知らせることができる。」なる記載に基づけば、ランプの点滅や点灯に加えて音を利用して内部的当選を遊技者に報知する場合には、「適当な音」を発生するという以上、「適当な音」と「適当でない音」の集合の中から「適当な音」を選択して発生するものと解されるから、適当な音は複数の効果音の中から選択された1つの音であると解され、効果音の種類を選択できると言い換えできるから、甲第11号証に記載の技術事項が、「音発生手段を備えていること」および「効果音の種類を選択できる」ことは明らかである。
そうすると、甲第11号証に記載の技術事項においては、「複数の効果音の中の1つの音を発生させている音発生手段は、効果音の種類を選択できる」ということができる。
v) 上記iii)に示した報知を行うために、甲第11号証の記載の技術事項は、「可変表示停止手段によっていずれかの可変表示が停止されるのに連動して、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」を実質的に備えている。
また、同記載事項6の「【0081】・・・これら3列のランプ41を、図3のCPU21により、例えばストップボタン12が押された直後に、図12(A),(B),(C)に示すような種々のパターンで点滅又は点灯するように制御する。なお、図12において、(A)は全てのランプを点灯又は点滅するパターン、(B)は上下及び中心部のランプを点灯又は点滅するパターン、(C)はランプを所定の方向に順次点灯又は点滅する動作を繰り返すパターンを示す。・・・」なる記載に基づけば、バックライトは種々の点灯又は点滅パターンを有している。
したがって、甲第11号証に記載の技術は、「複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」を実質的に備えているということができる。そして、「連動演出手段は、連動演出の種類を選択できる」ということができる。
vi) 上記iv)に示したように、甲第11号証に記載の技術事項において、複数の効果音の中の1つの音を発生させている音発生手段は、効果音の種類を選択でき、当然に効果音の種類を有しており、その複数の効果音の中で1つを実行するのであるから、複数の効果音の中の実行される効果音の種類を選択する手段を有していることは自明である。したがって、音発生手段によって発生される効果音の種類を選択する報知態様選択手段を備えているということができ、同様に、連動演出手段は連動演出の種類を選択できるのであるから、甲第11号証に記載の技術事項は、「連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類を選択する報知態様選択手段を備えている」ということができる。
そうすると、甲第11号証に記載の技術事項は、「報知手段は、音発生手段によって発生される効果音の種類、および連動演出手段によって演出される表示態様の種類を、それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類からなる報知情報および連動表示態様の種類からなる報知情報をそれぞれ報知する」構成を実質的に備えているということができる。

以上を勘案すると、甲第11号証には、以下の発明が記載されていると認められる。

「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて可変表示を各列毎に停止させるが、入賞態様の当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記入賞態様の当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成され、
前記報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出されるランプによる連動表示態様の種類を、それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段により選択された効果音の態様の種類からなる報知情報および連動表示態様の種類からなる報知情報をそれぞれ報知する遊技機。」(以下、「甲第11号証に記載の発明」という。)

2)-2 甲第5号証(特開平6-114140号公報)について
甲第5号証には、以下の記載事項が記載されている。
「【0013】・・・また、図中28はスピーカであり、入賞時やビッグボーナスゲーム時、ボーナスゲーム時における効果音の発生や異常時における警報音の発生等が行なわれる。また、スロットマシン1の前面側における表示窓71の上方には、遊技効果ランプ24が複数設けられており、ビックボーナスゲームやボーナスゲームの発生時に点灯または点滅表示される。・・・」
「【0042】・・・この各当選の判定値は、ビッグボーナスゲーム当選の判定値、ボーナスゲーム当選の判定値、小役当選の判定値、再ゲーム当選の判定値の4種類がある。なお、この各当選の判定値は、テーブルの形でROM47に記憶され、賭数が多いほどその当選判定値の範囲(領域)が広くなって当選しやすいように構成されている。・・・」
「【0044】・・・なお、S80による遊技効果ランプ24の点灯に代えて、専用の表示器を設けてビッグボーナス当選あるいはボーナス当選が生じた旨を報知するようにしてもよく、また、スピーカ28から所定の音を発生させて報知するようにしてもよい。・・・」
2)-3 甲第13号証(特開平6-304313号公報)について
甲第13号証には、以下の記載事項が記載されている。
「【0084】・・・その結果、大当りを発生させることが事前決定された場合において、リセット回数が1,3,5,7,9,11,13,15の場合に事前報知されるため1/2の確率で大当りが事前報知され、リセット回数が0,2,4,6の場合にリーチが事前報知されるため1/4の確率でリーチが事前報知されることになる。その結果、事前報知がない場合には必ずはずれが確定しているとは限らず、事前報知がなくても大当りすることがある(リセット回数が8,10,12,14であった場合)ので遊技者の遊技意欲の低下が防止できる。なお、大当りを発生させることが事前決定された場合にすべてについて事前報知をするようにしてもよい。また、確率変動図柄の場合とその他の場合とで事前報知の内容を異ならせて遊技者が識別できるようにしてもよい。」
2)-4 甲第14号証(特開平7-68027号公報)について
甲第14号証には、以下の記載事項が記載されている。
「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、パチンコ遊技機やコイン遊技機あるいはスロットマシン等で代表される遊技機に関する。・・・ 」
「【0020】・・・次にS3に進み、ランダム3カウンタのカウント値を読出す処理が行なわれる。このランダム3カウンタは、0からカウントアップしてその上限である2までカウントアップした後再度0からカウントアップし直すものである。そして、読出されたカウント値が0のときにS4に進み、大当り予告1を行なうためのフラグがセットされる。ランダム3カウンタの値が1のときにはS5に進み、リーチ予告を行なうためのフラグがセットされる。リーチとは、複数の可変表示部が時期を異ならせて停止される場合に、一部の可変表示部が未だ可変表示している段階で既に停止している可変表示部の表示結果が大当りとなる特定の表示態様の条件を満たしている状態である。ランダム3カウンタの値が2のときにはS6に進み、予告なしの状態となり、直接S11に進む。・・・そしてその読出されたカウント値が0のときにはS8に進み、音,ランプ,LEDを制御する処理が行なわれる。このS8の処理を行なうに際し、前記S4により大当り予告1を行なうためのフラグがセットされている場合には、レール飾りランプ21と飾りLED41とを可変表示装置の可変開始時から点滅させ、スピーカ37から大当り予告音を発生させ、大当り状態が発生することを事前に予告報知し、S5 によるリーチ予告のフラグがセットされている場合は飾りLED41を可変開始時から点滅させるとともにスピーカ37からリーチ予告音を発生する。一方、ランダム4カウンタの値が1のときには、S9に進み、可変表示装置4のLCD表示装置5の表示動作制御を行ない、LCD表示装置5により大当り状態やリーチが発生することを事前に予告表示させる。・・・」
「【0028】前述した大当りの事前報知やリーチの事前報知は、ランプ,LEDによる報知のみ、あるいは音による報知のみで行なってもよい。また、LCD表示装置5の表示動作による事前報知に加えて、音による報知やランプ,LEDによる報知を行なうようにしてもよい。」
2)-5 甲第16号証(特開平9-28883号公報)について
甲第16号証には以下の技術事項が記載されている。
「【0026】・・・S2でWCRND1の値が大当り値の場合は、次に前記S1で抽出したWCRND ACTの値が4の倍数であるか否かを判別し(S3)、WCRND ACTの値が4の倍数でないときは、スベリ変動フラグをセットすると共に(S4)、該スベリ変動用の音声・表示報知フラグをセットして(S5)、S6に移行する。一方、S3でWCRND ACTの値が4の倍数のときは、直接S6に移行する。そして、S6で前述した条件及びWCRND ACTの値に応じたリーチフラグをセットし、その後前記S1で抽出したWCRND Lの値に応じた大当り表示位置で図柄を停止表示するように図柄変動を実行する(S7)。」
さらに、「【0029】・・・即ち、図20の一覧表図から分かるように、スベリの有無に関わらずトータルとして見た場合のリーチなし及びリーチ有りの各変動割合は14:1(図20に記載のリーチなしの93回とリーチ有りの7回とは、小数点以下四捨五入の計算のため比率が若干異なる)に設定されており、その内訳としては、スベリなしの場合でのリーチなし及びリーチ有りの各変動割合は44:1に設定される一方、スベリ有りの場合でのリーチなし及びリーチ有りの各変動割合は6:5に設定されている。」なる記載および図20に基づけば、甲第16号証の可変表示装置は「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定の確率で事前に報知する報知手段」を有しているということができる。

3)対比および相違点
上記甲第11号証に記載の発明と訂正後の請求項3に記載の発明を対比すると、訂正後の請求項3に記載の発明と甲第11号証に記載の発明は、

「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて可変表示を各列毎に停止させるが、当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類を、選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類からなる報知情報および連動表示態様の種類からなる報知情報を報知する遊技機。」の点で一致するとともに、下記の相違点1?3の点で相違していると認められる。

<相違点1>
入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段が、訂正後の請求項3に記載の発明においては、所定確率で報知するものであるのに対して、甲第11号証に記載の発明においては、所定確率で報知するものであるか否か明瞭でない点。
<相違点2>
訂正後の請求項3に記載の発明においては、「報知情報が、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成される」のに対して、甲第11号証に記載の発明においては、「報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成される」点。
<相違点3>
訂正後の請求項3に記載の発明においては、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知する」ものであるのに対して、甲第11号証に記載の発明においては、「報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類を、それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類からなる報知情報および連動表示態様の種類からなる報知情報をそれぞれ報知する」ものである点。

4)相違点についての検討
そこで、上記相違点1?3について検討する。
<相違点1について>
i) 甲第13号証の「【0084】・・・その結果、大当りを発生させることが事前決定された場合において、リセット回数が1,3,5,7,9,11,13,15の場合に事前報知されるため1/2の確率で大当りが事前報知され、リセット回数が0,2,4,6の場合にリーチが事前報知されるため1/4の確率でリーチが事前報知されることになる。その結果、事前報知がない場合には必ずはずれが確定しているとは限らず、事前報知がなくても大当りすることがある(リセット回数が8,10,12,14であった場合)ので遊技者の遊技意欲の低下が防止できる。なお、大当りを発生させることが事前決定された場合にすべてについて事前報知をするようにしてもよい。また、確率変動図柄の場合とその他の場合とで事前報知の内容を異ならせて遊技者が識別できるようにしてもよい。」なる記載に基づけば、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応して大当たりとなることを遊技者に事前に報知する報知情報として、1/2もしくは1/4の所定の確率で可変表示装置において報知していることは明らかであるから、甲第13号証の可変表示装置は、「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で事前に報知する報知手段を有している」ということができる。
ii) 甲第14号証の「【0020】・・・次にS3に進み、ランダム3カウンタのカウント値を読出す処理が行なわれる。このランダム3カウンタは、0からカウントアップしてその上限である2までカウントアップした後再度0からカウントアップし直すものである。そして、読出されたカウント値が0のときにS4に進み、大当り予告1を行なうためのフラグがセットされる。ランダム3カウンタの値が1のときにはS5に進み、リーチ予告を行なうためのフラグがセットされる。リーチとは、複数の可変表示部が時期を異ならせて停止される場合に、一部の可変表示部が未だ可変表示している段階で既に停止している可変表示部の表示結果が大当りとなる特定の表示態様の条件を満たしている状態である。ランダム3カウンタの値が2のときにはS6に進み、予告なしの状態となり、直接S11に進む。・・・」なる記載に基づけば、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した大当たりの報知情報を1/3の確率で事前に報知する報知手段を有しているのであるから、甲第14号証の表示装置は、「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で事前に報知する報知手段を有している」ということができる。
iii) 甲第16号証の「【0026】・・・S2でWCRND1の値が大当り値の場合は、次に前記S1で抽出したWCRND ACTの値が4の倍数であるか否かを判別し(S3)、WCRND ACTの値が4の倍数でないときは、スベリ変動フラグをセットすると共に(S4)、該スベリ変動用の音声・表示報知フラグをセットして(S5)、S6に移行する。一方、S3でWCRND ACTの値が4の倍数のときは、直接S6に移行する。そして、S6で前述した条件及びWCRND ACTの値に応じたリーチフラグをセットし、その後前記S1で抽出したWCRND Lの値に応じた大当り表示位置で図柄を停止表示するように図柄変動を実行する(S7)。」、「【0029】・・・即ち、図20の一覧表図から分かるように、スベリの有無に関わらずトータルとして見た場合のリーチなし及びリーチ有りの各変動割合は14:1(図20に記載のリーチなしの93回とリーチ有りの7回とは、小数点以下四捨五入の計算のため比率が若干異なる)に設定されており、その内訳としては、スベリなしの場合でのリーチなし及びリーチ有りの各変動割合は44:1に設定される一方、スベリ有りの場合でのリーチなし及びリーチ有りの各変動割合は6:5に設定されている。」なる記載および図19、図20に基づけば、甲第16号証の可変表示装置は「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で事前に報知する報知手段」を有しているということができる。
iv) 以上の甲第13号証、甲第14号証、および甲第16号証等に示されているように、「可変表示装置において、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で報知手段により事前報知する」点は、遊技機技術分野において周知技術であると解される(以下、「周知技術A」という。)。
v) また、甲第11号証、甲第13号証、甲第14号証および甲第23号証(特開平8-336642号公報)の【0001】に記載されているように、スロットマシン技術分野とパチンコ遊技機技術分野の間においてそれぞれの技術が相互に利用できることは、よく知られている周知な技術に過ぎない(以下、「周知技術B」という。)。
なお、平成9年6月24日付の東京高裁判決の平成8年(行ケ)第103号において、「パチンコゲーム機の技術をスロットマシンの技術に転用することは容易に着想できる」との判決が請求人から参考資料として提出されている。
vi) そうすると、遊技機において、周知技術Bを参酌しつつ、上記甲第11号証に記載の発明の遊技者に対する内部的当選を報知情報として知らせる報知手段に、上記周知技術Aを適用して、報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備えるようにすること、すなわち訂正後の請求項3に記載の発明の上記相違点1に係る構成となすことは、当業者が容易になし得た程度のことということができる。
<相違点2について>
i) 甲第5号証の「【0013】・・・また、図中28はスピーカであり、入賞時やビッグボーナスゲーム時、ボーナスゲーム時における効果音の発生や異常時における警報音の発生等が行なわれる。また、スロットマシン1の前面側における表示窓71の上方には、遊技効果ランプ24が複数設けられており、ビックボーナスゲームやボーナスゲームの発生時に点灯または点滅表示される。・・・」なる記載および「【0044】・・・なお、S80による遊技効果ランプ24の点灯に代えて、専用の表示器を設けてビッグボーナス当選あるいはボーナス当選が生じた旨を報知するようにしてもよく、また、スピーカ28から所定の音を発生させて報知するようにしてもよい。・・・」なる記載および図1に基づけば、甲第5号証は、効果音もしくは効果ランプで配当のある複数の異なる入賞態様であるビックボーナス当選やボーナス当選を報知できるものであり、効果音による報知または効果ランプによる報知、もしくはその両方の報知を用いた形態でビックボーナス当選やボーナス当選を報知するものであるものの、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに音を発生する点について記載はない。
したがって、甲第5号証に記載の技術事項は、3つの形態の何れの場合においても、音の発生もしくは効果ランプの表示又はその両方を用いた形態で、配当のある複数の異なる入賞態様を遊技者に報知するに留まるものと解される一方で、効果音による報知が可変表示が開始されるときに行われたり、効果音とは異なる報知態様である効果ランプによる報知が各列の可変表示が停止されるのに連動して行われたりするものであると解することはできない。
そうすると、甲第5号証は、「報知情報が、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成される」なる構成を備えているということができない。
ii) 甲第14号証の「【0020】・・・そしてその読出されたカウント値が0のときにはS8に進み、音,ランプ,LEDを制御する処理が行なわれる。このS8の処理を行なうに際し、前記S4により大当り予告1を行なうためのフラグがセットされている場合には、レール飾りランプ21と飾りLED41とを可変表示装置の可変開始時から点滅させ、スピーカ37から大当り予告音を発生させ、大当り状態が発生することを事前に予告報知し、S5 によるリーチ予告のフラグがセットされている場合は飾りLED41を可変開始時から点滅させるとともにスピーカ37からリーチ予告音を発生する。一方、ランダム4カウンタの値が1のときには、S9に進み、可変表示装置4のLCD表示装置5の表示動作制御を行ない、LCD表示装置5により大当り状態やリーチが発生することを事前に予告表示させる。・・・」なる記載および「【0028】前述した大当りの事前報知やリーチの事前報知は、ランプ,LEDによる報知のみ、あるいは音による報知のみで行なってもよい。また、LCD表示装置5の表示動作による事前報知に加えて、音による報知やランプ,LEDによる報知を行なうようにしてもよい。」なる記載に基づけば、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときから、レール飾りランプ21と飾りLED41を点滅させて報知するとともに音を発することによる報知、または音のみによる報知、もしくはランプとLEDのみによる報知、の3つの形態で報知を行うことにより、配当のある複数の異なる入賞態様である内部的当選を遊技者に報知するものであるから、3つの形態の何れの場合においても、音の発生もしくはランプ表示又はその両方を用いて、配当のある複数の異なる入賞態様を遊技者に報知するに留まるものと解される。
そして、そもそも、甲第14号証では、遊技機はパチンコ遊技機の例であるので可変表示停止手段を備えていないが、仮に遊技機が可変表示停止手段を備えることができるとしても、ランプ、LEDによる報知を、各列の可変表示が停止されるのに連動して行わせることが示されていると解することができない。
したがって、甲第14号証は、「報知情報が、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成される」記載を有しているということができないことは明らかである。
iii) その他の甲号証(甲第11号証を除く)にも、「報知情報が、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成される」ことおよびそれを示唆する記載を見出すことはできない。
iv) そうすると、甲第5号証、甲第14号およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)並びに周知技術A、Bに基づいて、甲第11号証に記載の発明において、「報知情報が、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成される」ようにすること、すなわち訂正後の請求項3に記載の発明の上記相違点2に係る構成とすることを容易になし得るということはできない。
<相違点3について>
i) 上記<相違点2について>で示したように、甲第5号証および甲第14号証並びにその他の甲号証(甲第11号証を除く)は、「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる音の報知」を行わないので、「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段」を有していると解することができない。
また、甲第5号証および甲第14号証並びにその他の甲号証(甲第11号証を除く)は、「可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動して行われる報知」を行わないのであるから、「可変表示停止手段によって各列の可変表示を停止させるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」を有していると解することができないことは明らかなことである。
さらには、甲第5号証に記載の技術は、3つの形態の何れの場合においても、音の発生もしくは効果ランプの表示又はその両方を用いた形態で、配当のある複数の異なる入賞態様を遊技者に報知するに留まるものと解される。
よって、「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」を有していると解することはできない。
したがって、甲第5号証および甲第14号証並びにその他の甲号証(甲第11号証を除く)において、「報知手段は、可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成される」なる構成並びに「報知態様選択手段により選択された効果音の種類および連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知する」なる構成またそれらを示唆する記載がなされているということはできない。
ii) 一方、訂正後の請求項3に記載の発明においては、「報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知する」ようにすることにより、「遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたかが徐々に報知されることとなり、操作を進めれば進めるほど判明してゆく入賞態様に起因して遊技者は熱くなる」という遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏しているということができる。
iii) したがって、甲第11号証に記載の発明において、甲第5号証、甲第14号およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段の各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知する」ようにすること、すなわち、訂正後の請求項3に記載の発明の上記相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得る程度のことということはできない。

5)訂正後の請求項3についてのまとめ
以上のとおり、訂正後の請求項3に記載の発明の相違点2および相違点3に係る構成により、遊技者に遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏するのであるから、訂正後の請求項3に記載の発明は、甲第11号証に記載の発明、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、当業者が容易に発明できたものということはできない。

(2)訂正後の請求項6の無効理由について
1)訂正後の請求項6の記載
訂正後の請求項6は、
「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択することを特徴とする遊技機。」(以下、「訂正後の請求項6に記載の発明」という。)
なお、上記「前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、」の「前記可変表示手段」は、前後の文意から見て誤記であって、「前記可変表示開始手段」と解されるので、以下、そのように解する。

2)甲号証について
2)-1 甲第11号証(特開平8-117390号公報)について
甲第11号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-1 甲第11号証について、で示した記載事項1?9、甲第11号証に記載の技術事項および該技術事項についての認定事項に加え、以下の付加事項および削除事項がある。
i) 付加事項
甲第11号証の記載事項9の「【0084】(iii) 内部的当選の後、リールの回転停止操作によって出現し得る図柄組合せが「大ヒット」のような特定の入賞図柄でない場合には、「リーチ目」を出現させることにより、遊技者に対し内部的当選を知らせるようにしてもよい。これはマイコン20のプログラムで実現できるが、これに代えて、或いはこれと共に、上記(ii)で説明したリールのバックライトや音声を利用する報知手段を用いてもよい。」なる記載と、「リーチ目」は、各列の可変表示の全てが停止したときに表示されて報知されるものであることに基づけば、甲第11号証に記載の技術事項では、「前記各列の可変表示の全てが停止したときに報知」が行われているということができる。
そうすると、甲第11号証は、内部的当選の種類を、各列の可変表示の全てが停止したときに、複数の表示態様の中の1つである「リーチ目」で演出を行う停止演出手段を有しているということができるから、甲第11号証に記載の発明は、「可変表示停止手段によって各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」を実質的に備えているということができる。
さらに、「リーチ目」は、内部的当選役とリールの回転停止操作に基づいて選択される特定の図柄組合せであるから、報知態様選択手段によって「リーチ目」が選択されているといえる。
ii) 削除事項
訂正後の請求項6に記載の発明と甲第11号証に記載の発明を対比する上で、「前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類からなる報知情報および表示態様の種類からなる報知情報をそれぞれ報知する」なる構成は必要ないので、その部分を甲第11号証に記載の発明から削除する。
そうすると、訂正後の請求項6に記載の発明を検討するに当たって、甲第11号証には、以下のとおりの発明が記載されていると言い換えできる。

「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記入賞態様の当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記入賞態様の当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とから構成され、
前記報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記可変表示停止手段によって各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類を、それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成される遊技機。」(以下、「訂正後の請求項6に対する甲第11号証に記載の発明」という。)

2)-2 甲第5号証(特開平6-114140号公報)について
甲第5号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-2 甲第5号証について、で示した技術事項と同様の技術事項が記載されている。
2)-3 甲第14号証(特開平7-68027号公報)について
甲第14号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-4 甲第14号証について、で示した技術事項と同様の技術事項が記載されている。

3)対比および相違点
上記訂正後の請求項6に対する甲第11号証に記載の発明と訂正後の請求項6に記載の発明を対比すると、訂正後の請求項6に記載の発明と訂正後の請求項6に対する甲第11号証に記載の発明は、

「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、
前記報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類を、選択する報知態様選択手段とから構成される遊技機。」
の点で一致するとともに、下記の相違点1?3の点で相違していると認められる。

<相違点1>
入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段が、訂正後の請求項6に記載の発明においては、「所定確率で遊技者に報知するものである」のに対して、訂正後の請求項6に対する甲第11号証に記載の発明においては、「所定確率で遊技者に報知するものであるか否か明瞭でない」点。
<相違点2>
訂正後の請求項6に記載の発明においては、「報知情報が、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなる」のに対して、訂正後の請求項6に対する甲第11号証に記載の発明においては、「報知情報が、配当のある異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなる」点。
<相違点3>
訂正後の請求項6に記載の発明においては、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、効果音の種類と連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する停止表示態様の種類を、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択するもの」であるのに対して、訂正後の請求項6に対する甲第11号証に記載の発明においては、「報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記可変表示停止手段によって各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類を、それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成される」ものである点。

4)相違点についての検討
そこで、上記相違点1?3について検討する。
<相違点1について>
相違点1については、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点1について>で示したように、遊技機において、周知技術Bを参酌しつつ、上記訂正後の請求項6に対する甲第11号証に記載の発明の遊技者に対する内部的当選を報知情報として知らせる報知手段に、上記周知技術Aを適用して、報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備えるようにすること、すなわち訂正後の請求項6に記載の発明の上記相違点1に係る構成となすことは、当業者が容易になし得た程度のことということができる。
<相違点2について>
i) 甲第5号証については、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点2について>で示したように、甲第5号証は、効果音もしくは効果ランプで配当のある複数の異なる入賞態様であるビックボーナス当選やボーナス当選を報知できるものであり、効果音による報知または効果ランプによる報知、もしくはその両方の報知を用いた形態でビックボーナス当選やボーナス当選を報知するものであるものの、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに音を発生する点について記載はないから、3つの形態の何れの場合においても、音の発生又は効果ランプの表示もしくはその両方を用いて、配当のある複数の異なる入賞態様を遊技者に報知するに留まるものと解される一方で、効果音による報知が可変表示が開始されるときに行われたり、効果音とは異なる報知態様である効果ランプによる報知が各列の可変表示が停止されるのに連動して行われたりするものであると解することはできない。したがって、甲第5号証は、「報知情報が、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成される」なる構成が記載されているということができないものである。
さらに、上記構成に「可変表示停止手段によって各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」を付加した構成である「報知情報が、配当のある異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」とからなす構成は、甲第5号証に記載されていないということができることも明らかである。
そうすると、甲第5号証は、「報知情報が、配当のある異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」とからなすことについての記載を見出すことができないということができる。
ii) 甲第14号証については、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点2について>ii)で示したように、そもそも、甲第14号証では、遊技機がパチンコ遊技機の例を示しているので、可変表示停止手段を備えておらず、さらに、仮に遊技機が可変表示停止手段を備えることができるとしても、効果音による報知が可変表示が開始されるときに行われたり、効果音とは異なる報知態様である効果ランプによる報知が各列の可変表示が停止されるのに連動して行われたりするものであると解することはできないので、甲第14号証においては、「報知情報が、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成される」点を備えていると解することができない。
さらに、上記構成に「可変表示停止手段によって各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」を付加した構成である「報知情報が、配当のある異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」とからなす構成は、記載されていないということができることも明らかである。
そうすると、甲第14号証からは、「報知情報が、配当のある異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」とからなる点についての記載を見出すことができないということができる。
iii) その他の甲号証(甲第11号証を除く)についても、「報知情報が、配当のある異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」とからなることおよびそれを示唆する記載を見出すことはできない。
iv) 一方、訂正後の請求項6に記載の発明においては、「報知情報を、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」とからなすことにより、「遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたかが徐々に報知されることとなり、操作を進めれば進めるほど判明してゆく入賞態様に起因して遊技者は熱くなる」という遊技者に遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏しているということができる。
v) そうすると、甲第5号証、甲第14号およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)並びに周知技術A、Bに基づいて、訂正後の請求項6に対する甲第11号証に記載の発明の報知手段が報知する報知情報を、「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止したときに行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」とからなすこと、すなわち訂正後の請求項6に記載の発明の上記相違点2に係る構成となすことは、容易になし得るということはできない。
<相違点3について>
i) 訂正後の請求項6は、訂正後の請求項3の「報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され」に「各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」を付加するとともに、訂正後の請求項3の「前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知する」に代えて「前記報知態様選択手段は、効果音の種類と連動表示態様の種類の組合せに一意に対応する停止表示態様の種類を、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」と、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、効果音の種類と連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する停止表示態様の種類を、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」としたものである。
ところで、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点3について>で示したように、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)は、「報知手段は、可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類を、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」とから構成されること、および「報知態様選択手段により選択された効果音の種類および連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報が報知する」なる構成もしくはそれを示唆する記載を備えているということはできない。
そうすると、訂正後の請求項3の相違点3の「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成される」点を、訂正後の請求項6に記載の発明は構成要件として含んでいるが、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)はこれらの構成を開示していない。
さらに、訂正後の請求項3の相違点3の「報知態様選択手段」を「報知態様選択手段は、効果音の種類と連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する停止表示態様の種類を、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」としているが、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)はこの点についても開示していない。
したがって、訂正後の請求項6に対する甲第11号証において、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、効果音の種類と連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する停止表示態様の種類を、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」ようにすること、すなわち、訂正後の請求項6の相違点3の構成となすことは、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、当業者が容易に想到し得ないということができる。
ii) 一方、訂正後の請求項6に記載の発明においては、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」ことにより、「遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたかが徐々に報知されることとなり、操作を進めれば進めるほど判明してゆく入賞態様に起因して遊技者は熱くなる」という遊技者に遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏しているということができる。

5)訂正後の請求項6についてのまとめ
以上のとおり、訂正後の請求項6に記載の発明の相違点2および相違点3に係る構成により、遊技者に遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏するのであるから、訂正後の請求項6に記載の発明は、訂正後の請求項6に対する甲第11号証に記載の発明、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、当業者が容易に発明できたものということはできない。

(3)訂正後の請求項7の無効理由について
訂正後の請求項7は、訂正後の請求項3または6の従属項であって、「前記連動演出手段は、前記可変表示停止手段によって前記各列の可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する」を付加するものであり、訂正後の請求項7は、遊技者に遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏するのであるから、訂正後の請求項3または6の無効理由についてに示した理由と同じ理由により、訂正後の請求項7に記載の発明は、甲第11号証に記載の発明、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、当業者が容易に発明できたものということはできない。

(4)訂正後の請求項9の無効理由について
1)訂正後の請求項9の記載
訂正後の請求項9は、
「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類との組合せからなる報知情報を報知することを特徴とする遊技機。」(以下、「訂正後の請求項9に記載の発明」という。)

2)甲号証について
2)-1 甲第11号証(特開平8-117390号公報)について
甲第11号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-1 甲第11号証について、で示した甲第11号証に記載の発明には、以下のとおりの発明が記載されていると認められる(甲第11号証に記載の発明を再掲)。

「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて可変表示を各列毎に停止させるが、入賞態様の当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記入賞態様の当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成され、
前記報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出されるランプによる連動表示態様の種類を、それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段により選択された効果音の態様の種類からなる報知情報および連動表示態様の種類からなる報知情報をそれぞれ報知する遊技機。」

2)-2 甲第5号証(特開平6-114140号公報)について
甲第5号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-2 甲第5号証について、で示した技術事項と同様の技術事項が記載されている。
2)-3 甲第14号証(特開平7-68027号公報)について
甲第14号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-4 甲第14号証について、で示した技術事項と同様の技術事項が記載されている。

3)対比および相違点
上記甲第11号証に記載の発明と訂正後の請求項9に記載の発明を対比すると、訂正後の請求項9に記載の発明と甲第11号証に記載の発明は、

「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて可変表示を各列毎に停止させるが、当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成され、
前記報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類を、選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類からなる報知情報および連動表示態様の種類からなる報知情報を報知する遊技機。」
の点で一致するとともに、下記の相違点1?3の点で相違していると認められる。

<相違点1>
入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段が、訂正後の請求項9に記載の発明においては、「所定確率で遊技者に報知するものである」のに対して、甲第11号証に記載の発明においては、「所定確率で遊技者に報知するものであるか否か明瞭でない」点。
<相違点2>
訂正後の請求項9に記載の発明においては、「報知情報が、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成される」ものであるのに対して、甲第11号証に記載の発明においては、「報知情報が、配当のある異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成される」点。
<相違点3>
訂正後の請求項9に記載の発明においては、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類および連動表示態様の種類との組合せからなる報知情報を報知する」ものであるのに対して、甲第11号証に記載の発明においては、「報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によっていずれかの可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出されるランプによる連動表示態様の種類を、それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類からなる報知情報および連動表示態様の種類からなる報知情報をそれぞれ報知する」点。

4)相違点についての検討
そこで、上記相違点1?3について検討する。
<相違点1について>
第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点1について>において示した理由と同じ理由により、遊技機において、周知技術Bを参酌しつつ、上記甲第11号証に記載の発明の遊技者に対する内部的当選を報知情報として知らせる報知手段に、上記周知技術Aを適用して、報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備えるようにすること、すなわち訂正後の請求項9に記載の発明の上記相違点1に係る構成となすことは、当業者が容易になし得た程度のことということができる。
<相違点2について>
第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点2について>において示したように、甲第5号証、甲第14号およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)並びに周知技術A、Bに基づいて、甲第11号証に記載の発明において、「報知情報が、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成される」ようにすること、すなわち訂正後の請求項3に記載の発明の上記相違点2に係る構成とすることを容易になし得るということはできない。
そうすると、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点2について>において示した理由と同じ理由により、甲第5号証、甲第14号およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)並びに周知技術A、Bに基づいて、甲第11号証に記載の発明において、「報知情報が、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成される」ようにすること、すなわち訂正後の請求項9に記載の発明の上記相違点2に係る構成とすることを容易になし得るということはできないということができる。
<相違点3について>
i) 訂正後の請求項9は、訂正後の請求項3の「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」に「抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、」を付加して、訂正後の請求項9において「抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」としたものである。
ii) ところで、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点3について>で示したように、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)には、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類を、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択し、報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知する」構成もしくはそれを示唆する記載がなされているということはできない。
そして、訂正後の請求項3の相違点3は、甲第11号証に記載の発明、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証および周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得ないものであって、訂正後の請求項9の相違点3は、訂正後の請求項3の相違点3を減縮したものであるから、訂正後の請求項9の相違点3も、訂正後の請求項3の相違点3に示した理由と同じ理由により、訂正後の請求項9の相違点3に係る「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類および連動表示態様の種類との組合せからなる報知情報を報知する」なる構成となすことは、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)並びに周知技術A、Bに基づいて、当業者が容易に想到し得ないということができる。
iii) 一方、訂正後の請求項9に記載の発明においては、「報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類との組合せからなる報知情報を報知する」ことにより、「遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたかが徐々に報知されることとなり、操作を進めれば進めるほど判明してゆく入賞態様に起因して遊技者は熱くなる」という遊技者に遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏しているということができる。
iv) したがって、甲第11号証に記載の発明の報知手段を、甲第5号証、甲第14号、およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、「報知手段は、前記可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段により選択された、効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知するようにする」こと、すなわち、訂正後の請求項9に記載の発明の上記相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得る程度のことということはできない。

5)訂正後の請求項9についてのまとめ
以上のとおり、訂正後の請求項9に記載の発明に係る相違点2および相違点3に係る構成により、遊技者に遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏するのであるから、訂正後の請求項9に記載の発明は、甲第11号証に記載の発明、甲第5号証、甲第14号およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、当業者が容易に発明できたものということはできない。

(5)訂正後の請求項10の無効理由について
1)訂正後の請求項10の記載
訂正後の請求項10は、
「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知からなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする遊技機。」(以下、「訂正後の請求項10に記載の発明」という。)

2)甲号証について
2)-1 甲第11号証(特開平8-117390号公報)について
甲第11号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-1 甲第11号証について、で示した記載事項1?9、甲第11号証に記載の技術事項および該技術事項についての認定事項に加え、以下のi)削除事項、ii)付加事項およびiii)言い換え事項がある。
i)削除事項
訂正後の請求項10に記載の発明と訂正後の請求項3に記載の発明を対比すると、両者の相違は、訂正後の請求項10に記載の発明の報知情報が、「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知」であるのに対して、訂正後の請求項3に記載の発明の報知情報が、「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知」とからなるものであるので、訂正後の請求項10に記載の発明は、訂正後の請求項3に記載の発明の報知情報において上記下線部である「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、」と「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、」を削除したものとなる。したがって、それらに対応する部分を甲第11号証に記載の発明から削除する。
また、訂正後の請求項10に記載の発明と甲第11号証に記載の発明を対比する上で、「前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類からなる報知情報および表示態様の種類からなる報知情報をそれぞれ報知する」なる構成は必要ないので、その部分を甲第11号証に記載の発明から削除する。
ii)付加事項
甲第11号証の記載事項9の 「【0084】(iii) 内部的当選の後、リールの回転停止操作によって出現し得る図柄組合せが「大ヒット」のような特定の入賞図柄でない場合には、「リーチ目」を出現させることにより、遊技者に対し内部的当選を知らせるようにしてもよい。これはマイコン20のプログラムで実現できるが、これに代えて、或いはこれと共に、上記(ii)で説明したリールのバックライトや音声を利用する報知手段を用いてもよい。」なる記載と、「リーチ目」は、各列の可変表示の全てが停止したときに表示されることにより報知されることに基づけば、音と異なる報知態様として報知されるものであるから、甲第11号証に記載の技術事項では、「その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記各列の可変表示の全てが停止したときに報知が行われている」ということができる。
さらに、「リーチ目」は、内部的当選役とリールの回転停止操作とに基づいて選択される特定の図柄組合せであるから、報知態様選択手段によって「リーチ目」が選択されるといえる。
そうすると、甲第11号証は、内部的当選の種類を、各列の可変表示の全てが停止したときに、複数の表示態様の中の1つである「リーチ目」で演出を行う停止演出手段を有しているということができるから、甲第11号証に記載の発明は、「可変表示停止手段によって各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」を実質的に備えているということができる。
iii)言い換え事項
甲第11号証の記載事項5の「【0081】・・・例えばストップボタン12が押された直後に、図12(A),(B),(C)に示すような種々のパターンで点滅又は点灯するように制御する。なお、図12において、(A)は全てのランプを点灯又は点滅するパターン、(B)は上下及び中心部のランプを点灯又は点滅するパターン、(C)はランプを所定の方向に順次点灯又は点滅する動作を繰り返すパターンを示す。勿論、パターンはこれらのみに限らない。」なる記載および図1、図12に基づけば、3つある可変表示停止手段12、13、14の内の1つのストップボタン12を押すことにより、ランプの点灯又は点滅による報知を行うものであり、残りのストップボタン13、14も利用可能であるから、甲第11号証に記載の発明の「いずれかの前記可変表示が停止される場合に行われる報知であって」は、「少なくとも1列の可変表示が停止される場合に行われる報知」と実質的に言い換えできることは明らかである。

したがって、訂正後の請求項10に記載の発明を検討するに当たって、甲第11号証に記載の発明は以下のような発明が記載されていると言い換えできる。

「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて可変表示を各列毎に停止させるが、入賞態様の当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記入賞態様の当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成され、
前記報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記可変表示停止手段によって各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類を、それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成される遊技機。」(以下、「訂正後の請求項10に対する甲第11号証に記載の発明」という。)

2)-2 甲第5号証(特開平6-114140号公報)について
甲第5号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-2 甲第5号証について、で示した技術事項と同様の技術事項が記載されている。
2)-3 甲第14号証(特開平7-68027号公報)について
甲第14号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-4 甲第14号証について、で示した技術事項と同様の技術事項が記載されている。
2)-4 甲第23号証(特開平8-336642号公報)について
甲第23号証には、以下の事項が記載されている。
「【0092】打玉が始動口9に入賞して始動玉検出器21により検出されれば、その時点におけるC RND1の値を抽出し、その抽出値が通常時においては「3」のとき、前述した高確率状態時においては「3」,「5」,「7」,「11」,「13」のうちのいずれかであるときには、大当りを発生させることが事前決定される。そして、大当りを発生させることが事前決定された場合には、C RND ZU1の抽出値により、大当りとなる図柄が決定され、さらに、C RND YOKの抽出値により大当り予告を実行するか否かの決定および大当り予告の種類の決定が行なわれる。この決定は、後述する大当り予告テーブルを用いて行なわれる。
【0093】一方、C RND1の抽出値が「3」以外のときあるいは高確率時「3」,「5」,「7」,「11」,「13」以外のときには、外れが事前決定される。その場合には、図5に示した大当り以外の場合の処理と同じ処理が行なわれる。したがって、ここではその説明を省略する。
【0094】・・・
【0095】図14は、大当り予告テーブルの内容を示す説明図である。この図14に示される大当り予告テーブルにおいては、各種の遊技状態ごとにC RND YOKの抽出値と、大当り予告の報知方法との関係が予め定められている。」
2)-5 甲第34号証(特開平8-280872号公報)について
甲第34号証には、以下の事項が記載されている。
「【0045】一方、「S・Bゲーム」の発生時には、まず入賞の発生を報知するために、下記の表2に示すように、図9(A)?図10(E)の入賞図柄が並んだラインを示すリールランプ(W1?W9)によるデモンストレーションが行われ、その後、下記の表3に示すように、後述のCPU31(図5)内に設定されるR-レジスタの乱数値(これは、後述する図18?図20の入賞判定のための乱数サンプリングとは別で、この例では0?3のいずれか)に応じて、図11(A)?図12(D)に示すリールランプ(W1?W9)による「S・Bゲーム」入賞発生用のデモンストレーション及び音の発生が実行される。
【0046】詳細には、入賞ライン上に各入賞図柄が並んだ時、下記の表2及び図9(A)?図10(E)に示すように、リールランプ(W1?W9)により、入賞図柄が並んだ入賞ラインに対応したデモンストレーションが行われ(図16のステップ9)、その後、入賞図柄が並んだ3つのリールランプ(例えばW1-W2-W3)のみが、点灯と消灯を所定時間(例えば、120 msec)間隔で繰り返す。」

3)対比および相違点
上記訂正後の請求項10に対する甲第11号証に記載の発明と訂正後の請求項10に記載の発明を対比すると、訂正後の請求項10に記載の発明と訂正後の請求項10に対する甲第11号証に記載の発明は、

「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて可変表示を各列毎に停止させるが、当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成され、
前記報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類を、選択する報知態様選択手段とから構成される遊技機。」の点で一致するとともに、下記の相違点1?2の点で相違していると認められる。

<相違点1>
入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段が、訂正後の請求項10に記載の発明においては、「所定確率で遊技者に報知するものである」のに対して、訂正後の請求項10に対する甲第11号証に記載の発明においては、「所定確率で遊技者に報知するものであるか否か明瞭でない」点。
<相違点2>
訂正後の請求項10に記載の発明においては、「報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択するもの」であるのに対して、訂正後の請求項10に対する甲第11号証に記載の発明においては、「報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類を、それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成されるもの」である点。

4)相違点についての検討
そこで、上記相違点1?2について検討する。
<相違点1について>
相違点1については、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点1について>において示した理由と同じ理由により、遊技機において、周知技術Bを参酌しつつ、上記訂正後の請求項10に対する甲第11号証に記載の発明の遊技者に対する内部的当選を報知情報として知らせる報知手段に、上記周知技術Aを適用して、報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備えるようにすること、すなわち訂正後の請求項10に記載の発明の上記相違点1に係る構成となすことは、当業者が容易になし得た程度のことということができる。
<相違点2について>
i) 第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<請求項3について>において示したように、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)は、「報知手段は、可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成される」なる構成もしくはそれを示唆する記載がなされているということはできない。
さらに、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)には、「前記報知態様選択手段は、演出態様組合せを遊技状態に応じて選択すること」に関する記載およびそれを示唆する記載はない。
一方、訂正後の請求項10に記載の発明の報知手段は、上記した訂正後の請求項3に記載の発明における報知手段に、「各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」と「および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類」を新たに構成要件として付加するとともに、「可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」の「各列の」を「少なくとも1列の」としたものであり、かつ、さらに、「報知態様選択手段」を「デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」としたものである。
また、訂正後の請求項10における「少なくとも1列の」は、2.訂正の適否について、(6)訂正事項jについて、で示したとおり、「各列の」に含まれることは、明らかである。
そうすると、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)は、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」を備えていると解することはできない。
ii) 甲第23号証の【0095】、図14に基づけば、甲第23号証には、当たりか否かを報知するために、音とキャラクタの2者の選択に基づく、音のみ、音とキャラクタおよびキャラクタのみの3態様が示されているが、甲第23号証に記載された技術は、音もキャラクタも1つの態様しか有せず、3態様のいずれかを選択することで音とキャラクタによる演出を行うか否かを選択するものであって、音の種類と連動表示態様の種類の組合せを選択することによって、複数の入賞態様のうちのどれに入賞したかを報知するものではない。これに対して、訂正後の請求項10に記載の発明においては、音、ランプによる連動演出およびランプによる停止演出は、それぞれ複数の表示態様を有し、報知態様選択手段は、複数ある音の表示態様のいずれか1つと、複数ある連動演出表示態様のいずれか1つと、複数ある停止表示態様のいずれか1つとからなる演出態様組合せを選択して演出を行うことによって、複数の入賞態様のうちのどれに入賞したかを報知する点で相違している。
したがって、甲第23号証に記載のものは、「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」を選択していないことは明らかである。
さらに、甲第23号証に記載のものは、「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを選択する報知態様選択手段」および「前記報知態様選択手段は、演出態様組合せを遊技状態に応じて選択すること」に関する記載およびそれを示唆する記載を備えていないことも明らかである。
また、甲第23号証には、報知態様選択手段をより具体化する「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成並びにそれらに関連する記載がないことも明らかなことである。
加えて、甲第23号証では、音による報知が、可変表示が開始されるときに音を発生させるか否かが明らかでない。その上、甲第23号証の遊技機に可変表示停止手段を備えることができるとしても、キャラクタによる報知を可変表示停止手段によって可変表示が停止されるのに連動して行ったり、可変表示の全てが停止したときに行ったりすることは記載されていない。
そうすると、甲第23号証に記載のものは、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成を備えていると解することはできない。
iii) 甲第34号証の【0045】、【0046】、【0048】、【0049】および表3、表4、図13?15に基づけば、甲第34号証の報知手段は、入賞図柄が赤7、赤7、赤7であるときには、入賞音が赤7用であって、ランプの点滅・点灯によるデモンストレーションを行い、入賞図柄が白7、白7、白7のときには、入賞音が白7用であって、ランプの点滅・点灯による図示省略されたデモンストレーションを行い、入賞図柄が青7、青7、青7のときには、入賞音が青7用であって、ランプの点滅・点灯による図示省略されたデモンストレーションを行い、および入賞図柄が赤7、白7、青7のときには、入賞音が赤白青7用であって、ランプの点滅・点灯による図示省略されたデモンストレーションを行っていることから、入賞図柄の組合せ毎に入賞音およびリールランプによるデモンストレーションが異なっており、入賞図柄が並んだとき、すなわち、可変表示停止手段により各列の可変表示の全てが停止したときに、音の報知とランプの点滅・点滅の報知を同時に行うものということができるものの、「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段」と「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される音による報知態様と、その後の、音による報知態様と異なるランプの報知態様」と「音発生手段によって発生される効果音の種類、および連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを選択する報知態様選択手段」を備えていないと解される。
したがって、甲第34号証の報知手段は、上記「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる前記音発生手段」と「可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」と「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」を構成に含む「前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類、および停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」を備えていないことも明らかである。
また、甲第34号証に記載のものは、「前記報知態様選択手段は、演出態様組合せを遊技状態に応じて選択すること」に関する記載およびそれを示唆する記載を備えていないのであるから、甲第34号証には、上記報知態様選択手段をより具体化する「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成またはそれを示唆する記載がないことも明らかなことである。
そうすると、甲第34号証の報知手段は、「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成を備えていると解することはできない。
iv) したがって、甲第23号証、甲第34号証、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)において、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成もしくはそれを示唆する記載を備えているということはできない。
v) 一方、訂正後の請求項10に記載の発明においては、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、かつ、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成とすることにより、「遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたかが徐々に報知されることとなり、操作を進めれば進めるほど判明してゆく入賞態様に起因して遊技者は熱くなる」という遊技者に遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏しているということができる。
vi) したがって、訂正後の請求項10に対する甲第11号証に記載の発明において、甲第23号証、甲第34号証、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、「報知手段は、変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」ようにすること、すなわち、訂正後の請求項10に記載の発明の上記相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得る程度のことということはできない。

5)訂正後の請求項10についてのまとめ
以上のとおり、訂正後の請求項10に記載の発明の相違点2に係る構成により、遊技者に遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏するのであるから、訂正後の請求項10に記載の発明は、訂正後の請求項10に対する甲第11号証に記載の発明、甲第23号証、甲第34号証、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、当業者が容易に発明できたものということはできない。

(6)訂正後の請求項18の無効理由について
訂正後の請求項18は、訂正後の請求項3、6、7および9の従属項であって、「前記入賞態様決定手段は、一定範囲の乱数を発生させる乱数発生手段と、この乱数発生手段で発生した乱数の中から任意の乱数を抽出する乱数抽出手段と、この乱数抽出手段で抽出された乱数を各入賞態様に区分けする乱数区分手段とから構成されている」を付加するものあるから、訂正後の請求項3、6、7および9の無効理由についてと同じ理由により、訂正後の請求項3、6、7および9に記載の発明と同様に、訂正後の請求項18に記載の発明は、訂正後の請求項3、6、7および9に対する甲第11号証に記載の発明、甲第5号証、甲第14号証、甲第34号証、甲第23号証およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、当業者が容易に発明できたものということはできない。

(7)訂正後の請求項25の無効理由について
1)訂正後の請求項25の記載
訂正後の請求項25は、
「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択することを特徴とする遊技機。」(以下、「訂正後の請求項25に記載の発明」という。)
なお、上記「前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、」の「前記可変表示手段」は、前後の文意から見て誤記であって、「前記可変表示開始手段」と解されるので、以下、そのように解する。

2)甲号証について
2)-1 甲第11号証(特開平8-117390号公報)について
甲第11号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-1 甲第11号証について、で示した記載事項1?9、甲第11号証に記載の技術事項および該技術事項についての認定事項に加えて、以下の付加事項と削除事項がある。
i)付加事項
甲第11号証の記載事項9の「【0084】(iii) 内部的当選の後、リールの回転停止操作によって出現し得る図柄組合せが「大ヒット」のような特定の入賞図柄でない場合には、「リーチ目」を出現させることにより、遊技者に対し内部的当選を知らせるようにしてもよい。これはマイコン20のプログラムで実現できるが、これに代えて、或いはこれと共に、上記(ii)で説明したリールのバックライトや音声を利用する報知手段を用いてもよい。」なる記載に基づけば、「リーチ目」は、各列の可変表示の全てが停止したときに表示される報知であって、音と異なる報知態様として報知されるものであるから、甲第11号証に記載の技術事項では、「前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記各列の可変表示の全てが停止したときに報知が行われている」ということができる。
そうすると、甲第11号証は、内部的当選の種類を、各列の可変表示の全てが停止したときに、複数の表示態様の中の1つである「リーチ目」で演出を行う停止演出手段を有しているということができるから、甲第11号証に記載の発明は、「可変表示停止手段によって各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段」を実質的に備えているということができる。
さらに、「リーチ目」は、内部的当選役とリールの回転停止操作に基づいて選択される特定の図柄組合せであるから、報知態様選択手段によって「リーチ目」が選択されているといえる。
ii)削除事項
訂正後の請求項25に記載の発明と甲第11号証に記載の発明を対比する上で、「前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類からなる報知情報および表示態様の種類からなる報知情報をそれぞれ報知する」構成は必要ないので、その部分を訂正後の請求項3に対する甲第11号証に記載の発明から削除する。

したがって、訂正後の請求項25に記載の発明を検討するに当たって、甲第11号証には以下のような発明が記載されていると認められる。

「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて可変表示を各列毎に停止させるが、入賞態様の当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記入賞態様の当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、
前記報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動して、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類を、それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成される遊技機。」(以下、「訂正後の請求項25に対する甲第11号証に記載の発明」という。)

2)-2 甲第5号証(特開平6-114140号公報)について
甲第5号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-2 甲第5号証について、で示した技術事項と同様の技術事項が記載されている。
2)-3 甲第14号証(特開平7-68027号公報)について
甲第14号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-4 甲第14号証について、で示した技術事項と同様の技術事項が記載されている。

3)対比および相違点
上記訂正後の請求項25に対する甲第11号証に記載の発明と訂正後の請求項25に記載の発明を対比すると、訂正後の請求項25に記載の発明と訂正後の請求項25に対する甲第11号証に記載の発明は、

「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて可変表示を各列毎に停止させるが、当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり、
前記報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動して、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類を、選択する報知態様選択手段とから構成される遊技機。」
の点で一致するとともに、下記の相違点1?3の点で相違していると認められる。
<相違点1>
入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段が、訂正後の請求項25に記載の発明においては、「所定確率で遊技者に報知するものである」のに対して、訂正後の請求項25に対する甲第11号証に記載の発明においては、「所定確率で遊技者に報知するものであるか否か明瞭でない」点。
<相違点2>
報知情報が、訂正後の請求項25に記載の発明においては、「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」とからなるものであるのに対して、訂正後の請求項25に対する甲第11号証に記載の発明においては、「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、可変表示停止手段によっていずれかの前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなる」点。
<相違点3>
訂正後の請求項25に記載の発明においては、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」ものであるのに対して、訂正後の請求項25に対する甲第11号証に記載の発明においては、「報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段のいずれかの可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類を、それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成される」ものである点。

4)相違点についての検討
そこで、上記相違点1?3について検討する。
<相違点1について>
相違点1については、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点1について>において示した理由と同じ理由により、遊技機において、周知技術Bを参酌しつつ、上記訂正後の請求項25に対する甲第11号証に記載の発明の遊技者に対する内部的当選を報知情報として知らせる報知手段に、上記周知技術Aを適用して、報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備えるようにすること、すなわち訂正後の請求項25に記載の発明の上記相違点1に係る構成となすことは、当業者が容易になし得た程度のことということができる。
<相違点2について>
相違点2については、訂正後の請求項6における相違点2と同じなので、第四-2-イ (2)訂正後の請求項6の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点2について>において示した理由と同じ理由により、甲第5号証、甲第14号およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)並びに周知技術A、Bに基づいて、上記訂正後の請求項25に対する甲第11号証に記載の発明において、「報知情報が、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、可変表示停止手段によって各別の可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知」とからなすこと、すなわち訂正後の請求項25に記載の発明の上記相違点2に係る構成となすことは容易になし得るということはできないということができる。
<相違点3について>
i) 第四-2-イ (5)訂正後の請求項10の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点2について>において示した理由と同じ理由により、甲第23号証には、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成される」点が記載されていると解することはできない。
さらに、甲第23号証には、「前記報知態様選択手段が、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」構成並びにそれらに関連する記載がないことも明らかなことである。
したがって、甲第23号証に記載のものは、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段が、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」構成並びにそれらに関連する記載を備えていないことは明らかである。
ii) 第四-2-イ (5)訂正後の請求項10の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点2について>において示した理由と同じ理由により、甲第34号証には、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成される」点が記載されていると解することはできない。
さらに、甲第34号証には、「前記報知態様選択手段が、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」構成並びにそれらに関連する記載がないことも明らかなことである。
したがって、甲第34号証に記載のものは、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段が、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」構成並びにそれらに関連する記載を備えていないことは明らかである
iii) 第四-2-イ (5)訂正後の請求項10の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点2について>iv)において示した理由と同じ理由により、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)が、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成される」構成を備えていないこと、および「報知態様選択手段が、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択するものではない」ことは自明なことである。
さらに、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)には、上記報知態様選択手段をより具体化する「前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」構成並びにそれらに関連する記載がないことも明らかなことである。
したがって、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)は、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、その報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」ことについても関連する記載がないことは明らかである。
iv) 一方、訂正後の請求項25に記載の発明においては、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」構成となすことにより、「遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたかが徐々に報知されることとなり、操作を進めれば進めるほど判明してゆく入賞態様に起因して遊技者は熱くなる」という遊技者に遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏しているということができる。
v) したがって、甲第11号証に記載の発明の報知手段について、甲第5号証、甲第14号証、甲第23号証、甲第34号証およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、前記効果音の種類と前記連動表示態様の種類との組合せに一意に対応する前記停止表示態様の種類を、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する」ようにすること、すなわち、訂正後の請求項25に記載の発明の上記相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得る程度のことということはできない。

5)訂正後の請求項25についてのまとめ
以上のとおり、訂正後の請求項25に記載の発明の相違点2および相違点3に係る構成とすることにより、遊技者に遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏するのであるから、訂正後の請求項25に記載の発明は、訂正後の請求項25に対する甲第11号証に記載の発明、甲第5号証、甲第14号証、甲第23号証、甲第34号証およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、当業者が容易に発明できたものということはできない。

(8)訂正後の請求項26の無効理由について
1)訂正後の請求項26の記載
訂正後の請求項26は、
「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする遊技機。」(以下、「訂正後の請求項26に記載の発明」という。)

2)甲号証について
2)-1 甲第11号証(特開平8-117390号公報)について
甲第11号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-1 甲第11号証について、で示した記載事項1?9、甲第11号証に記載の技術事項および該技術事項についての認定事項に加え、以下の付加事項と削除事項がある。
i)付加事項
甲第11号証の記載事項9の 「【0084】(iii) 内部的当選の後、リールの回転停止操作によって出現し得る図柄組合せが「大ヒット」のような特定の入賞図柄でない場合には、「リーチ目」を出現させることにより、遊技者に対し内部的当選を知らせるようにしてもよい。これはマイコン20のプログラムで実現できるが、これに代えて、或いはこれと共に、上記(ii)で説明したリールのバックライトや音声を利用する報知手段を用いてもよい。」なる記載と、「リーチ目」は、各列の可変表示の全てが停止したときに表示されることにより報知されることに基づけば、音と異なる報知態様として報知されるものであるから、甲第11号証に記載の技術事項では、「その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって、前記各列の可変表示の全てが停止したときに報知が行われている」ということができる。
さらに、「リーチ目」は、内部的当選役とリールの回転停止操作に基づいて選択される特定の図柄組合せであるから、報知態様選択手段によって「リーチ目」が選択されているといえる。
ii)削除事項
訂正後の請求項26に記載の発明と甲第11号証に記載の発明を対比する上で、「可変表示停止手段によって可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と」は必要ないので、その部分を甲第11号証に記載の発明から削除する。

そうすると、訂正後の請求項26に記載の発明について検討するに当たって、甲第11号証に記載の発明には、以下のような発明が記載されていると認められる。

「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて可変表示を各列毎に停止させるが、入賞態様の当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記入賞態様の当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成され、
前記報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される表示態様の種類を、それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成される遊技機。」(以下、「訂正後の請求項26に対する甲第11号証に記載の発明」という。)

2)-2 甲第5号証(特開平6-114140号公報)について
甲第5号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-2 甲第5号証について、で示した技術事項と同様の技術事項が記載されている。
2)-3 甲第14号証(特開平7-68027号公報)について
甲第14号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-4 甲第14号証について、で示した技術事項と同様の技術事項が記載されている。

3)対比および相違点
上記訂正後の請求項26に対する甲第11号証に記載の発明と訂正後の請求項26に記載の発明を対比すると、訂正後の請求項26に記載の発明と訂正後の請求項26に対する甲第11号証に記載の発明は、

「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて可変表示を各列毎に停止させるが、当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される表示態様の種類を、選択する報知態様選択手段とから構成される遊技機。」
の点で一致するとともに、下記の相違点1?2の点で相違していると認められる。

<相違点1>
入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段が、訂正後の請求項26に記載の発明においては、「所定確率で遊技者に報知するものである」のに対して、訂正後の請求項26に対する甲第11号証に記載の発明においては、「所定確率で遊技者に報知するものであるか否か明瞭でない」点。
<相違点2>
訂正後の請求項26に記載の発明においては、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」であるのに対して、訂正後の請求項26に対する甲第11号証に記載の発明においては、「報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」ものであるか否か不明である点。

4)相違点についての検討
そこで、上記相違点1?2について検討する。
<相違点1について>
相違点1については、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点1について>において示した理由と同じ理由により、遊技機において、周知技術Bを参酌しつつ、上記訂正後の請求項26に対する甲第11号証に記載の発明の遊技者に対する内部的当選を報知情報として知らせる報知手段に、上記周知技術Aを適用して、報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備えるようにすること、すなわち訂正後の請求項26に記載の発明の上記相違点1に係る構成となすことは、当業者が容易になし得た程度のことということができる。
<相違点2について>
i) 甲第23号証の【0095】、図14に基づけば、甲第23号証には、大当たりか否かを報知するために、音とキャラクタの2者の選択に基づく、音のみ、音とキャラクタおよびキャラクタのみの3態様が示されているが、甲第23号証に記載された技術は、音もキャラクタも1つの態様しか有せず、3態様のいずれかを選択することで音とキャラクタによる演出を行うか否かを選択するものであって、音の種類と連動表示態様の種類の組合せを選択することによって、複数の入賞態様のうちのどれに入賞したかを報知するものではない。これに対して、訂正後の請求項26に記載の発明においては、音、ランプによる連動演出およびランプによる停止演出は、それぞれ複数の表示態様を有し、報知態様選択手段は、複数ある音の表示態様のいずれか1つと、複数ある連動演出表示態様のいずれか1つと、複数ある停止表示態様のいずれか1つとからなる演出態様組合せを選択して演出を行うことによって、複数の入賞態様のうちのどれに入賞したかを報知する点で相違している。
したがって、甲第23号証に記載のものは、「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」を選択していないことということができる。
さらに、甲第23号証に記載のものは、「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される音の報知態様による報知と、その後の、前記報知態様とは異なるランプの報知態様による報知の組合せ」を選択する報知態様選択手段を備えておらず、また、「前記報知態様選択手段は、遊技状態に応じて演出態様組合せを選択すること」に関する記載を備えていないのであるから、前記報知態様選択手段をより具体化する「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成並びにそれらに関連する記載を備えていないことも明らかなことである。
加えて、甲第23号証には、音による報知が、可変表示が開始されるときに音を発生させるか否かが明らかでない。その上、甲第23号証の遊技機に可変表示停止手段を備えることができるとしても、キャラクタによる報知を可変表示の全てが停止したときに行うことは記載されていない。
そうすると、甲第23号証に記載のものは、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成を備えていると解することはできない。
ii) 甲第34号証の【0045】、【0046】、【0048】、【0049】および表3、表4、図13?15に基づけば、甲第34号証の報知手段は、入賞図柄が赤7、赤7、赤7のときには、入賞音が赤7用であって、ランプの点滅・点灯によるデモンストレーションを行い、入賞図柄が白7、白7、白7であるときには、入賞音が白7用であって、ランプの点滅・点灯による図示省略されたデモンストレーションを行い、入賞図柄が青7、青7、青7であるときには、入賞音が青7用であって、ランプの点滅・点灯による図示省略されたデモンストレーションを行い、および入賞図柄が赤7、白7、青7であるときには、入賞音が赤白青7用であって、ランプの点滅・点灯による図示省略されたデモンストレーションを行っていることから、入賞図柄の組合せ毎に入賞音およびリールランプによるデモンストレーションが異なっており、入賞図柄が並んだとき、すなわち、可変表示停止手段により各列の可変表示の全てが停止したときに、音の報知とランプの点滅・点滅の報知を同時に行うものということができるものの、「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段」と「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される音による報知態様と、その後の、音による報知態様と異なるランプの報知態様」と「音発生手段によって発生される効果音の種類、および停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」を備えていないと解される。
したがって、甲第34号証の報知手段は、上記「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる前記音発生手段」と「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せ」を構成に含む「前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、および停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」を備えていないことも明らかである。
さらに、甲第34号証に記載のものは、「前記報知態様選択手段は、遊技状態に応じて演出態様組合せを選択すること」に関する記載およびそれを示唆する記載を備えていないのであるから、甲第34号証には、上記報知態様選択手段をより具体化する「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成並びにそれらに関連する記載がないことも明らかなことである。
そうすると、甲第34号証の報知手段は、「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成を備えていると解することはできない。
iii) また、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点3について>で示したように、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)においては、「報知態様選択手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに音発生手段によって発生される効果音の種類、および停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択すること」および「前記報知態様選択手段は、演出態様組合せを遊技状態に応じて選択すること」並びにそれを示唆する記載を見出すことはできないのであるから、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)は、「報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、かつ、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成およびそれを示唆する記載を有していないことは明らかである。
iv) 一方、訂正後の請求項26に記載の発明においては、「報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」ようにすることにより、「遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたかが徐々に報知されることとなり、操作を進めれば進めるほど判明してゆく入賞態様に起因して遊技者は熱くなる」という遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏しているということができる。
vi) したがって、訂正後の請求項26に対する甲第11号証に記載の発明において、甲第23号証、甲第34号証、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、「報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」ようにすること、すなわち、訂正後の請求項26に記載の発明の上記相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得る程度のことということはできない。

5)訂正後の請求項26についてのまとめ
以上のとおり、訂正後の請求項26に記載の発明の相違点2に係る構成により、遊技者に遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏するのであるから、訂正後の請求項26に記載の発明は、訂正後の請求項26に対する甲第11号証に記載の発明、甲第23号証、甲第34号証、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、当業者が容易に発明できたものということはできない。

(9)訂正後の請求項28の無効理由について
1)訂正後の請求項28の記載
訂正後の請求項28は、
「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする遊技機。」(以下、「訂正後の請求項28に記載の発明」という。)

2)甲号証について
2)-1 甲第11号証(特開平8-117390号公報)について
甲第11号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-1 甲第11号証について、で示した記載事項1?9、甲第11号証に記載の技術事項および該技術事項についての認定事項に加え、以下の削除事項と言い換え事項がある。
i)削除事項
訂正後の請求項28に記載の発明と甲第11号証に記載の発明を対比する上で、「前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類からなる報知情報および表示態様の種類からなる報知情報をそれぞれ報知する」構成は必要ないので、その部分を甲第11号証に記載の発明から削除する。
ii)言い換え事項
甲第11号証の記載事項6の「【0081】・・・例えばストップボタン12が押された直後に、図12(A),(B),(C)に示すような種々のパターンで点滅又は点灯するように制御する。なお、図12において、(A)は全てのランプを点灯又は点滅するパターン、(B)は上下及び中心部のランプを点灯又は点滅するパターン、(C)はランプを所定の方向に順次点灯又は点滅する動作を繰り返すパターンを示す。勿論、パターンはこれらのみに限らない。」なる記載および図1、図12に基づけば、3つある可変表示停止手段12、13、14の内の1つのストップボタン12を押すことにより、ランプの点灯又は点滅による報知を行うものであり、残りのストップボタン13、14も利用可能であるから、甲第11号証に記載の発明の「いずれかの前記可変表示が停止される場合に行われる報知であって」は、「少なくとも1列の可変表示が停止される場合に行われる報知」と実質的に言い換えできることは明らかである。

そうすると、甲第11号証に記載の発明には、以下のような発明が記載されていると認められる。

「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて可変表示を各列毎に停止させるが、入賞態様の当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記入賞態様の当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成され、
前記報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類を、それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成される遊技機。」(以下、「訂正後の請求項28に対する甲第11号証に記載の発明」という。)

2)-2 甲第5号証(特開平6-114140号公報)について
甲第5号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-2 甲第5号証について、で示した技術事項と同様の技術事項が記載されている。

2)-3 甲第14号証(特開平7-68027号公報)について
甲第14号証には、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、2)-4 甲第14号証について、で示した技術事項と同様の技術事項が記載されている。

3)対比および相違点
上記訂正後の請求項28に対する甲第11号証に記載の発明と訂正後の請求項28に記載の発明を対比すると、訂正後の請求項28に記載の発明と訂正後の請求項28に対する甲第11号証に記載の発明は、

「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて可変表示を各列毎に停止させるが、当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される表示態様の種類を、選択する報知態様選択手段とから構成される遊技機。」
の点で一致するとともに、下記の相違点1?3の点で相違していると認められる。

<相違点1>
入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段が、訂正後の請求項28に記載の発明においては、「所定確率で遊技者に報知するものである」のに対して、訂正後の請求項28に対する甲第11号証に記載の発明においては、「所定確率で遊技者に報知するものであるか否か明瞭でない」点。
<相違点2>
報知情報が、訂正後の請求項28に記載の発明においては、「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成される」ものであるのに対して、訂正後の請求項28に対する甲第11号証に記載の発明においては、「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成される」点。
<相違点3>
訂正後の請求項28に記載の発明においては、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」ものであるのに対して、訂正後の請求項28に対する甲第11号証に記載の発明においては、「報知手段は、複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段の少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類を、それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成される」点。

4)相違点についての検討
そこで、上記相違点1?3について検討する。
<相違点1について>
相違点1については、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点1について>において示した理由と同じ理由により、遊技機において、周知技術Bを参酌しつつ、上記訂正後の請求項28に対する甲第11号証に記載の発明の遊技者に対する内部的当選を報知情報として知らせる報知手段に、上記周知技術Aを適用することにより、報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備えるようにすること、すなわち訂正後の請求項28に記載の発明の上記相違点1に係る構成となすことは、当業者が容易になし得た程度のことということができる。
<相違点2について>
相違点2については、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点2について>において示したように、甲第5号証、甲第14号およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)並びに周知技術A、Bに基づいて、甲第11号証に記載の発明において、「報知情報が、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成される」ようになすことは容易になし得るということができない上、訂正後の請求項3の「可変表示停止手段によって各列の可変表示が停止されるのに連動して行われる報知」の「各列の」は、「少なくとも1列の」を含むことは、2.訂正の適否について、(6)訂正事項jについて、で示したとおりである。
そして、訂正後の請求項28に記載の発明においては、「報知情報を、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成する」ことにより、「遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたかが徐々に報知されることとなり、操作を進めれば進めるほど判明してゆく入賞態様に起因して遊技者は熱くなる」という遊技者に遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏している。
したがって、第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点2について>において示した理由と同じ理由により、訂正後の請求項28に対する甲第11号証に記載の発明の報知手段が報知する報知情報を、甲第5号証および甲第14号証およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成する」こと、すなわち訂正後の請求項28に記載の発明の上記相違点2に係る構成となすことは容易になし得るということはできない。
<相違点3について>
i) 甲第23号証の【0095】、図14に基づけば、甲第23号証には、大当たりか否かを報知するために、音とキャラクタの2者の選択に基づく、音のみ、音とキャラクタおよびキャラクタのみの3態様が示されているが、甲第23号証に記載された技術は、音もキャラクタも1つの態様しか有せず、3態様のいずれかを選択することで音とキャラクタによる演出を行うか否かを選択するものであって、音の種類と連動表示態様の種類の組合せを選択することによって、複数の入賞態様のうちのどれに入賞したかを報知するものではない。これに対して、訂正後の請求項28に記載の発明においては、音、ランプによる連動演出およびランプによる停止演出は、それぞれ複数の表示態様を有し、報知態様選択手段は、複数ある音の表示態様のいずれか1つと、複数ある連動演出表示態様のいずれか1つと、複数ある停止表示態様のいずれか1つとからなる演出態様組合せを選択して演出を行うことによって、複数の入賞態様のうちのどれに入賞したかを報知する点で相違している。
また、甲第23号証に記載のものは、「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを選択する報知態様選択手段」を備えておらず、また、「前記報知態様選択手段は、演出態様組合せを遊技状態に応じて選択すること」に関する記載およびそれを示唆する記載を備えていないから、甲第23号証に記載のものは、前記報知態様選択手段をより具体化する「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成並びにそれらに関連する記載を備えていないことも明らかなことである。
加えて、甲第23号証には、音による報知が、可変表示が開始されるときに音を発生させるか否かが明らかでない。その上、甲第23号証の遊技機に可変表示停止手段を備えることができるとしても、キャラクタによる報知を可変表示停止手段によって可変表示が停止されるのに連動して行ったり、可変表示の全てが停止したときに行ったりすることは記載されていない。
そうすると、甲第23号証に記載のものは、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成を備えていると解することはできない。
ii) 甲第34号証の【0045】、【0046】、【0048】、【0049】および表3、表4、図13?15に基づけば、甲第34号証の報知手段は、入賞図柄が赤7、赤7、赤7であるときに、入賞音が赤7用であって、ランプの点滅・点灯によるデモンストレーションを行い、入賞図柄が白7、白7、白7であるときに、入賞音が白7用であって、ランプの点滅・点灯による図示省略されたデモンストレーションを行い、入賞図柄が青7、青7、青7であるときに入賞音が青7用であって、ランプの点滅・点灯による図示省略されたデモンストレーションを行い、および入賞図柄が赤7、白7、青7であるときに、入賞音が赤白青7用であって、ランプの点滅・点灯による図示省略されたデモンストレーションを行っていることから、入賞図柄の組合せ毎に入賞音およびリールランプによるデモンストレーションが異なっていることから、入賞図柄が並んだとき、言すなわち、可変表示停止手段により各列の可変表示の全てが停止したときに、音の報知とランプの点滅・点滅の報知を同時に行うものということができるものの、「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段」を備えていないと解される。
また、甲第34号証の報知手段では、「配当のある複数の異なる入賞態様毎に異なる音の報知態様による報知と前記報知態様とは異なるランプの報知態様による報知は同時に行われている」ということができるものの、「報知情報を、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される音の報知と、その後の、音の報知と異なるランプの報知態様の組合せとからなすこと」と「音発生手段によって発生される効果音の種類、および連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せ」を選択する構成を有していないことは明らかである。
したがって、甲第34号証の報知手段は、上記「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる前記音発生手段」と「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せ」を選択する構成を構成に含む「前記音発生手段によって発生される効果音の種類と、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類、および停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」を備えていないことも明らかである。
さらに、甲第34号証に記載のものは、「前記報知態様選択手段は、演出態様組合せを遊技状態に応じて選択すること」に関する記載およびそれを示唆する記載を備えていないのであるから、甲第34号証には、上記報知態様選択手段をより具体化する「前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成並びにそれらに関連する記載がないことも明らかなことである。
そうすると、甲第34号証の報知手段は、「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成を備えていると解することはできない。
iii) 第四-2-イ (1)訂正後の請求項3の無効理由について、4)相違点についての検討、<相違点3について>で示した理由と同じ理由により、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)は、「報知情報を、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される音の報知と、その後の、音の報知と異なるランプの報知態様の組合せとからなすこと」と「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる前記音発生手段」と「音発生手段によって発生される効果音の種類、および連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せ」とを開示していない。
そうすると、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)は、上記「報知情報を、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される音の報知と、その後の、音の報知と異なるランプの報知態様の組合せとからなすこと」と「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる前記音発生手段」と「音発生手段によって発生される効果音の種類、および連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せ」を構成として含む「前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」を備えていないことは明らかである。 さらに、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)に記載のものは、「前記報知態様選択手段は、演出態様組合せを遊技状態に応じて選択すること」に関する記載およびそれを示唆する記載を備えていないのであるから、上記報知態様選択手段を、「デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」とする具体的な構成についても格段の関連する記載がないことは明らかである。
したがって、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証(甲第11号証を除く)において、「報知手段は、変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成もしくはそれを示唆する記載がなされているということはできない。
iv) 一方、訂正後の請求項28に記載の発明においては、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知するに当たって、報知情報を、複数の異なる入賞態様に共通して演出される音による報知と、その後の、ランプによる複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様の演出による報知の組合せとから構成して、「報知手段は、可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成とすることにより、「遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたかが徐々に報知されることとなり、操作を進めれば進めるほど判明してゆく入賞態様に起因して遊技者は熱くなる」という遊技者に遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏しているということができる。
v) したがって、訂正後の請求項28に対する甲第11号証に記載の発明において、甲第23号証、甲第34号証、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、「報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」ようにすること、すなわち、訂正後の請求項28に記載の発明の上記相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得る程度のことということはできない。

5)訂正後の請求項28についてのまとめ
以上のとおり、訂正後の請求項28に記載の発明の相違点2および相違点3に係る構成とすることにより、遊技者に遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏するのであるから、訂正後の請求項28に記載の発明は、訂正後の請求項28に対する甲第11号証に記載の発明、甲第23号証、甲第34号証、甲第5号証、甲第14号証およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、当業者が容易に発明できたものということはできない。

(10)訂正後の請求項29の無効理由について
1)訂正後の請求項29の記載
訂正後の請求項29は、
「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させ、
前記可変表示停止手段は、遊技者が操作可能な停止ボタンからなり、この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが、前記当選フラグが成立していても、前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと、前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い、
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され、前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え、
前記報知情報が、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって、配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と、その後の、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって、前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり、
前記報知手段は、前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と、前記音発生手段によって発生される効果音の種類、および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され、
前記報知態様選択手段は、デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択し、
前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させることを特徴とする遊技機。」(以下、「訂正後の請求項29に記載の発明」という。)
なお、訂正後の請求項29に記載の発明は、訂正後の請求項28に記載の発明に、「前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させること」なる構成を付加したものである。
2)訂正後の請求項29に記載の発明のまとめ
上記(9)訂正後の請求項28の無効理由についてで示したように、訂正後の請求項28に記載の発明は、訂正後の請求項28に対する甲第11号証に記載の発明、甲第5号証、甲第14号証、甲第23号証、甲第34号証およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、当業者が容易に発明できたものということはできないのであるから、その訂正後の請求項28に記載の発明に「前記音発生手段は、前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させること」なる構成を付加した訂正後の請求項29に記載の発明は、訂正後の請求項28に記載の発明と同様に、訂正後の請求項28に対する甲第11号証に記載の発明、甲第5号証、甲第14号証、甲第23号証、甲第34号証およびその他の甲号証並びに周知技術A、Bに基づいて、当業者が容易に発明できたものということはできない。

第四-3 訂正前の請求項の無効理由
訂正前の請求項の無効理由については、第四-1 訂正要件違反について
において示したように、平成20年4月14日付の訂正を認めるものであるから、訂正前の請求項の無効理由を検討する必要がない。

第四-4 まとめ
以上のとおりであるから、請求人の主張および証拠によっては、本件特許の請求項3、6、9、10、18、25、26、28および29に係る発明の特許を無効とすることはできない。

第四-5 特許法第131条の2第2項第1号の規定に基づく審判請求書の補正の許可の決定の必要性について
「第四-2 訂正後の請求項の無効理由について、 ア 特許法第36条第6項第1号並びに第2号違反」で示したように、平成20年5月28日付の弁駁における特許法第36条第6項第1号並びに第2号違反についての無効理由は、その補正を認めることができない。
したがって、請求人による特許法第131条の2第2項第1号の規定に基づく審判請求書の補正の許可の決定の必要を認めることはできず、被請求人に答弁書を提出する機会を与える必要はない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。

平成20年11月19日

審判長 特許庁審判官 三原 裕三
特許庁審判官 小原 博生
特許庁審判官 伊藤 陽


付録(本審決の目次)
第1.手続の経緯
1.本件無効審判請求前の主な経緯・・・・・・・・・・・・・p.003
2.本件の主な経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.003
3.本件特許に関する別途無効審判事件の主な経緯・・・・・・p.005
第2.訂正請求について
1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.006
2.本件訂正の内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.007
3.平成23年4月1日付け訂正拒絶理由通知の概略・・・・・p.025
4.本件訂正に関する請求人の主張・・・・・・・・・・・・・p.026
5.本件訂正に関する被請求人の主張・・・・・・・・・・・・p.027
6.訂正の適否の判断・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.028
第3.当事者の主張
1.請求人の主張概要(本件訂正に関するものを除く)・・・・p.061
2.当審が通知した無効理由・・・・・・・・・・・・・・・・p.063
3.被請求人の主張概要(本件訂正に関するものを除く)・・・p.065
第4.当事者の提出した書証及び当審が提示した書証
1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.073
2.請求人が提出した書証・・・・・・・・・・・・・・・・・p.073
3.被請求人が提出した書証・・・・・・・・・・・・・・・・p.076
4.当審による無効理由通知で提示した書証・・・・・・・・・p.077
第5.本件審判請求についての当審の判断
1.被請求人の主位的主張について・・・・・・・・・・・・・p.078
2.本件訂正発明の認定・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.079
3.基準日の認定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.085
4.訂正発明3、6及び7に対する無効理由1?3について
(1)はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.089
(2)無効理由3における証拠方法・・・・・・・・・・・・・p.089
(3)甲28発明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.090
(4)訂正発明3、6及び7の進歩性について・・・・・・・・p.090
5.訂正発明10及び26?28に対する無効理由4について
(1)はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.102
(2)無効理由4における証拠方法・・・・・・・・・・・・・p.103
(3)丙5の頒布された時期について・・・・・・・・・・・・p.103
(4)甲28発明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.104
(5)訂正発明10及び26?28の進歩性について・・・・・p.105
6.訂正発明10に対する無効理由1及び2について・・・・・p.125
第6.むすび・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.127
(参考1)本件二次審決・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.128
(参考2)無効2006-80116号審判事件の二次審決・・p.218
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【請求項2】
【請求項3】
乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,種々の図柄を複数列に可変表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と,この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と,前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において,
前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ,
前記可変表示停止手段は,遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが,前記当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと,前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い,
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え,前記報知情報が,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり,
前記報知手段は,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し,各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段と,前記音発生手段によって発生される効果音の種類と,前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類との組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され,
前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることが報知され,前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることが報知されることを特徴とする遊技機。
【請求項4】
【請求項5】
【請求項6】
乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,種々の図柄を複数列に可変表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と,この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と,前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において,
前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ,
前記可変表示停止手段は,遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが,前記当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと,前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い,
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え,前記報知情報が,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって,前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と,前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり,
前記報知手段は,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し,各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段と,前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と,前記音発生手段によって発生される効果音の種類と,前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類と,前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類との組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され,
前記報知態様選択手段は,前記効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることを報知し,前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることを報知するとともに当該入賞態様に対応する前記停止表示態様の種類を報知することを特徴とする遊技機。
【請求項7】
前記連動演出手段は、前記可変表示停止手段によって前記各列の可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出することを特徴とする請求項3または請求項6に記載の遊技機。
【請求項8】
【請求項9】
乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,種々の図柄を複数列に可変表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と,この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と,前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において,
前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ,
前記可変表示停止手段は,遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが,前記当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと,前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い,
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え,前記報知情報が,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり,
前記報知手段は,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し,各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段と,抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し,前記音発生手段によって発生される効果音の種類と,前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類との組合せを,演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され,
前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることが報知され,前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることが報知される報知情報を報知することを特徴とする遊技機。
【請求項10】
乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,種々の図柄を複数列に可変表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と,この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と,前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において,
前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ,
前記可変表示停止手段は,遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが,前記当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと,前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い,
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え,前記報知情報が,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり,
前記報知手段は,前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と,前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と,前記音発生手段によって発生される効果音の種類,前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され,
前記報知態様選択手段は,デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択するものであり,
前記デモ抽選テーブル選択テーブルは,ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては,入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し,かつ,ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては,入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではなく,
前記演出態様組合せは,遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合,及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合にのみ前記報知態様選択手段によって選択される複数の確定パターンを含み,
前記ボーナスは,少なくとも種類の異なる2つのボーナスがあり,
前記確定パターンは,2つのボーナスのうち,一方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第1の確定パターンと,他方のボーナスの当選フラグが成立している場合にのみ選択される第2の確定パターンと,2つのボーナスのいずれかの当選フラグが成立している場合に選択される第3の確定パターンとを含み,
前記デモ抽選テーブル選択テーブルにより,遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合,及び遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合に選択されるデモ抽選テーブルは,当該デモ抽選テーブルに対応づけされた複数の演出態様組合せの一部が前記確定パターンであり,
前記報知態様選択手段は,遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合には,前記第1の確定パターン及び前記第2の確定パターンを選択せず前記第3の確定パターンのみを選択するように構成され,遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合には,前記第1の確定パターン乃至前記第3の確定パターンを選択しうるように構成されており,
前記報知態様選択手段により複数の前記確定パターンのいずれかが選択される確率は,遊技状態がボーナスの内部当たり中である場合であっていずれの入賞態様が決定された場合には,遊技状態が一般遊技中においてボーナスが入賞態様となった場合より高いことを特徴とする遊技機。
【請求項11】
【請求項12】
【請求項13】
【請求項14】
【請求項15】
【請求項16】
【請求項17】
【請求項18】
前記入賞態様決定手段は、一定範囲の乱数を発生させる乱数発生手段と、この乱数発生手段で発生した乱数の中から任意の乱数を抽出する乱数抽出手段と、この乱数抽出手段で抽出された乱数を各入賞態様に区分けする乱数区分手段とから構成されていることを特徴とする請求項3、6、7、9のいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項19】
【請求項20】
【請求項21】
【請求項22】
【請求項23】
【請求項24】
【請求項25】
乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,種々の図柄を複数列に可変表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と,この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と,前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において,
前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ,
前記可変表示停止手段は,遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが,前記当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと,前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い,
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え,前記報知情報が,前記可変表示手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知であって,前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知と,前記各列の可変表示の全てが停止したときに行われる報知とからなり,
前記報知手段は,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し,各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段と,前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と,抽出乱数を各報知態様に区画するデータからなる報知選択抽選確率テーブルを参照して報知する入賞態様を選択し,前記音発生手段によって発生される効果音の種類と,前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類と,前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類との組合せを,演出態様組合せテーブルを参照して報知する入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され,
前記報知態様選択手段は,前記効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることを報知し,前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることを報知するとともに当該入賞態様に対応する前記停止表示態様の種類を報知することを特徴とする遊技機。
【請求項26】
乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,種々の図柄を複数列に可変表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と,この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と,前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において,
前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ,
前記可変表示停止手段は,遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが,前記当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと,前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い,
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え,前記報知情報が,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり,
前記報知手段は,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する停止演出手段と,前記音発生手段によって発生される効果音の種類,および前記停止演出手段によって演出される停止表示態様の種類の組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され,
前記報知態様選択手段は,デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択するものであり,
前記デモ抽選テーブル選択テーブルは,ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては,入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し,かつ,ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては,入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではないことを特徴とする遊技機。
【請求項27】
乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,種々の図柄を複数列に可変表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と,この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と,前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において,
前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ,
前記可変表示停止手段は,遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが,前記当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと,前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い,
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え,前記報知情報が,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり,
前記報知手段は,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と,前記音発生手段によって発生される効果音の種類,および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され,
前記報知態様選択手段は,デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択するものであり,
前記デモ抽選テーブル選択テーブルは,ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては,入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し,かつ,ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては,入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではないことを特徴とする遊技機。
【請求項28】
乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,種々の図柄を複数列に可変表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と,この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と,前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において,
前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ,
前記可変表示停止手段は,遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが,前記当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと,前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い,
前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え,前記報知情報が,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり,
前記報知手段は,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と,前記音発生手段によって発生される効果音の種類,および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され,
前記報知態様選択手段は,デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択し,
前記音発生手段は,前記連動演出手段によって前記各列の表示が演出される毎に,予め定められた種類または長さの効果音を発生させるものであり,
前記デモ抽選テーブル選択テーブルは,ボーナス・ゲーム作動中を除く各遊技状態においては,入賞態様毎に異なるデモ抽選テーブルが対応し,かつ,ボーナスの内部当たり中であってボーナスの種類により異なる遊技状態においては,入賞態様とデモ抽選テーブルとのすべての対応が同一ではないことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乱数抽選によって決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知して演出を行う機能を備えた遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の遊技機としては例えばスロットマシンがある。一般的なスロットマシンでは、図102(a)に示すように、前面パネル2の背後に3個のリール3,4,5が3列に並設されている。各リール3?5の外周には種々の図柄が描かれており、これら図柄は、各リール毎に設けられた図示しない内蔵光源(バックライト)によって背後から照明され、前面パネル2に形成された各窓6,7,8を介して観察される。この窓には5本の入賞ラインが記されており、スロットマシン遊技は、いずれかのこの入賞ライン上に所定の図柄の組み合わせが揃うか否かによって行われる。
【0003】
遊技は遊技者によって投入口にメダルが投入されることによって開始され、投入口にメダルが投入されると、同図(a)に示すようにバックライトが全部点灯する。このバックライトは遊技終了後一定期間、遊技者のメダル投入操作等がなかった場合には、同図(b)に示すように全部消灯している。各リール3?5は遊技者によるスタートレバーの操作に応じて回転し、各窓6?8には図柄が列方向に回転移動表示される。各リール3?5が一定速度に達すると各リール3?5に対応して設けられた各ストップボタンの操作は有効となる。
【0004】
遊技者は移動する図柄を観察しながら各ストップボタンを操作し、各リール3?5の回転を停止させ、所望の図柄をいずれかの入賞ライン上に停止表示させようとする。各リール3?5は各ストップボタンの操作タイミングに応じてその回転が停止する。この停止時にいずれかの入賞ライン上に所定の図柄組み合わせが表示されると、その図柄組み合わせに応じた入賞が得られる。
【0005】
入賞態様には大当たり入賞や中当たり入賞,小当たり入賞等があり、大当たり入賞や中当たり入賞は図柄「7」や所定のキャラクタ図柄が入賞ライン上に3個揃うと発生する。大当たり入賞ではビッグ・ボーナス・ゲーム(BBゲーム)、中当たり入賞ではレギュラー・ボーナス・ゲーム(RBゲーム)といった特別遊技が行え、大量のコインを獲得することが出来る。また、小当たり入賞は「チェリー」や「ベル」といった図柄が入賞ライン上に所定個揃うと発生し、この小当たり入賞では数枚のメダルを獲得することが出来る。同図(c)は図柄「ベル」が中央の入賞ラインに3個揃った場合を示しており、この場合にはバックライトは点滅する。
【0006】
このような入賞態様は、スタートレバーが操作された直後に行われる乱数抽選によって決定され、各リールが遊技者によって停止操作される前には既に定まっている。この乱数抽選は遊技機内部に構成された入賞態様決定手段で実施される。この乱数抽選によって大当たり入賞が決定されると、機器前面パネルに設けられた告知ランプといった表示器が点灯し、機械の内部抽選によって大当たり入賞が発生したことが遊技者に報知される。その後、遊技者の停止ボタン操作に応じて各リールの回転が停止制御され、乱数抽選によって決定された入賞の図柄組合せが入賞ライン上に停止表示されると、入賞を実際に体験できる。ただし、リール停止制御は全て機械によって行われるのではなく、遊技者による各停止ボタンの操作タイミングも問われているため、内部抽選の結果入賞当選フラグが立っていても、停止ボタンが所定タイミングに操作されないと、有効化入賞ライン上に入賞シンボル組合せは揃わず、入賞は発生しない。引込制御は4コマ分が限度であるため、その4コマの中に入賞シンボルが存在しない場合は、結局予定した入賞シンボルの組合せは得られないためである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の遊技機では、内部抽選によって大当たり入賞が発生したことは遊技者に報知されるが、大当たり自体の発生頻度がもともと少なく、発生した場合の報知は告知ランプが単に点灯することだけによってなされるため、告知ランプの点灯の後、大当たり入賞を勝ち取る前に遊技を止めてしまう遊技者はおよそいないとしても、何ら遊技上の面白味はない。
【0008】
また、上記従来の遊技機では、遊技者による停止ボタンの操作タイミングが悪く、引込制御によっても大当たり入賞のシンボル組合せが実際に得られなかったとしても、「リーチ目」と呼ばれる所定の図柄組合せが各リールの回転停止時に表示されることにより、内部抽選によって大当たり入賞が発生する状況にあることが遊技者に報知され、次のゲームに期待することが出来る。しかし、リール停止時の図柄組合せが、大当たり成立の報知方法の1つである「リーチ目」であることを読めるのは遊技に慣れた熟練者であり、遊技の初心者はこの「リーチ目」をリールの出目から読むことは難しかった。
【0009】
また、上記従来の遊技機では、内部抽選によって大当たり入賞が発生すると上述したように直ちに告知ランプが点灯し、遊技者にその内部抽選結果が報知される。従って、従来の遊技機では大当たり入賞発生の内部抽選結果はそのまま機械的に遊技者に知らされ、遊技者は例えばリーチ目を探すようにその内部抽選結果を探す喜びを持つことが出来なかった。
【0010】
また、報知されるのは大当たり入賞が内部抽選によって生じた場合だけであり、遊技者に伝えられる情報は限られていた。このため、機械内部の乱数抽選で決定された内部抽選の結果は、大当たり入賞以外の入賞態様については、各窓に図柄が実際に停止表示されるまで分からなかった。従って、遊技者は、この内部抽選結果を予め把握できないため、リールの回転を最初に停止操作する際、どのような図柄を入賞ライン上に揃えれば良いかを知ることは全く出来なかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので,乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,種々の図柄を複数列に可変表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と,この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と,前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において,前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ,前記可変表示停止手段は,遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが,前記当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと,前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え,前記報知情報が,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり,前記報知手段は,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して各列の表示を演出し,各列の表示で構成される複数の連動表示態様の中の1つの連動表示態様で演出する連動演出手段と,前記音発生手段によって発生される効果音の種類と,前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類との組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され,前記報知態様選択手段により選択された効果音の種類により配当のある複数の特定の入賞態様を含む入賞態様であることが報知され,前記効果音の種類とその後の連動表示態様の種類との組合せにより1つの入賞態様であることが報知されることを特徴とする(請求項3)。
【0012】
本構成によれば、内部抽選によって決定された入賞態様が遊技の一連の流れの中で、その入賞態様に対応した報知情報によって遊技者に報知される。従って、遊技者は、遊技の進行に伴い報知される報知態様により、入賞態様を予測できる。すなわち、遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたかが判明して行き、この判明した入賞態様に起因して遊技者は熱くなる。
【0013】
また、この報知は、全ての内部抽選結果に対して行われるのではなく、所定確率で行われる。従って、入賞態様は遊技者に報知される場合もあり、報知されない場合もある。このため、遊技者によって入賞態様の報知が期待されるようになり、報知があった場合にはその喜びも増して次のゲームに期待することが出来るし、「リーチ目」をリールの出目から読む困難さに比べて簡単でありながら、「リーチ目」を探すようにその内部抽選結果を探す喜びを持つことが出来る。
【0014】
また、報知は大当たり入賞態様だけではなくて各入賞態様に対して行われ、遊技者は大当たり入賞以外の内部抽選結果も知ることが出来る。このため、例えば、停止ボタンの操作等が容易に行えるようになる。
【0015】
【0016】
また、上記報知は、遊技の一連の流れを通じて特徴的な場面で、その出力態様をユニークに変化させるのがより効果的である。すなわち、可変表示が開始されるときに音発生手段によって発生される効果音の種類,各列の可変表示が停止されるのに連動して連動演出手段によって順次演出される各列の表示態様の種類、および各列の可変表示の全てが停止したときに停止演出手段によって演出される可変表示装置の表示態様の種類の組合せにより、入賞態様を遊技者に報知させると効果的である(請求項6)。
【0017】
この構成により、可変表示開始手段によって可変表示装置の可変表示が開始し、可変表示停止手段によって可変表示が停止して行き、全ての可変表示が停止するのに伴い、内部抽選によって決定された入賞態様が遊技者に順次報知されて行く。この結果、可変表示開始手段による可変表示の開始や、可変表示停止手段による各列の可変表示の停止は面白味を増すようになる。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による遊技機をスロットマシンに適用した第1の実施形態について説明する。
【0023】
図1は本実施形態によるスロットマシン1の正面図である。
【0024】
スロットマシン1の前面パネル2の背後には可変表示装置を構成する3個のリール3,4,5が回転自在に設けられている。各リール3,4,5の外周面には複数種類の図柄(以下、シンボルという)から成るシンボル列が描かれている。これらシンボルはスロットマシン1の正面の表示窓6,7,8を通してそれぞれ3個ずつ観察される。また、表示窓6,7,8の下方右側には、遊技者がメダルを入れるための投入口9が設けられている。
【0025】
各リール3?5は図2に示す回転リールユニットとして構成されており、フレーム51にブラケット52を介して取り付けられている。各リール3?5はリールドラム53の外周にリール帯54が貼られて構成されている。リール帯54の外周面には上記のシンボル列が描かれている。また、各ブラケット52にはステッピングモータ55が設けられており、各リール3?5はこれらモータ55が駆動されて回転する。
【0026】
各リール3?5の構造は図3(a)に示される。なお、同図において図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。リール帯54の背後のリールドラム53内部にはランプケース56が設けられており、このランプケース56の3個の各部屋にはそれぞれバックランプ57a,57b,57cが取り付けられている。これらバックランプ57a?57cは図3(b)に示すように基板58に実装されており、この基板58がランプケース56の背後に取り付けられている。また、ブラケット52にはホトセンサ59が取り付けられている。このホトセンサ59は、リールドラム53に設けられた遮蔽板60がリールドラム53の回転に伴ってホトセンサ59を通過するのを検出する。
【0027】
各バックランプ57a?57cは後述するランプ駆動回路48によって個別に点灯制御される。各バックランプ57a?57cの点灯により、リール帯54に描かれたシンボルの内、各バックランプ57の前部に位置する3個のシンボルが背後から個別に照らし出され、各表示窓6?8にそれぞれ3個ずつのシンボルが映し出される。
【0028】
また、図1に示す表示窓6?8には、横3本(中央L1および上下L2A,L2B)および斜め2本(斜め右下がりL3A,斜め右上がりL3B)の入賞ラインが記されている。ゲーム開始に先立ち、遊技者がメダル投入口9に1枚のメダルを投入したときは、各リール3?5上にある中央の入賞ラインL1だけが図4(a)に示すように有効化される。また、2枚のメダルを投入口9に投入したときはこれに上下の入賞ラインL2A,L2Bが加わり、横3本の入賞ラインL1,L2AおよびL2Bが同図(b)に示すように有効化される。また、3枚のメダルを投入口9に投入したときは全ての入賞ラインL1,L2A,L2B,L3AおよびL3Bが同図(c)に示すように有効化される。
【0029】
なお、同図における丸印は各リール3?5上に描かれたシンボルを表している。このような入賞ラインの有効化は、各入賞ラインの端部に配置された有効化ライン表示ランプ23(図1参照)が点灯することにより、遊技者に表示される。
【0030】
また、表示窓6?8の下方左側には、1BETスイッチ10,2BETスイッチ11およびマックスBETスイッチ12が設けられている。クレジット数表示部13にメダルがクレジットされている場合には、メダル投入口9へのメダル投入に代え、これら1BETスイッチ10,2BETスイッチ11およびマックスBETスイッチ12の各押ボタン操作により、1回のゲームにそれぞれ1枚,2枚および3枚のメダルが賭けられる。クレジット数表示部13は、表示する数値の桁数に応じた個数の7セグメントLEDで構成されており、現在クレジットされているメダル数を表示する。
【0031】
これらBETスイッチ10?12の下方にはクレジット/精算切換スイッチ(C/Pスイッチ)14およびスタートレバー15が設けられており、スタートレバー15の右方の機器中央部には停止ボタン16,17,18が設けられている。C/Pスイッチ14の押しボタン操作により、メダルのクレジット/払い出し(PLAY CREDIT/PAY OUT)を切り換えることが出来る。
【0032】
スタートレバー15は各リール3?5の回転表示を開始させる可変表示開始手段を構成しており、スタートレバー15のレバー操作により、リール3,4,5の回転が一斉に開始する。停止ボタン16,17,18は、各リール3,4,5の回転表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段を構成しており、各リール3,4,5に対応して配置されている。各リール3?5の回転速度が一定速度に達したときに各停止ボタン16?18の操作が有効化され、各停止ボタン16?18は遊技者の押しボタン操作に応じて各リール3?5の回転を停止させる。
【0033】
また、スロットマシン1の正面下部には透音孔19およびメダル受皿20が設けられている。透音孔19は、機器内部に収納されたスピーカから発生した音を外部へ出すものである。メダル受皿20はメダル払出口21から払い出されるメダルを貯めるものである。また、スロットマシン1の正面上部には、各入賞に対してどれだけのメダルが払い出されるかが示されている配当表示部22が設けられている。
【0034】
また、各リール3,4,5の右方の前面パネル2には液晶表示部24が設けられている。この液晶表示部24は各リール3,4,5の回転表示をしたり、遊技履歴を表示したり、ボーナスゲーム中に演出を行ったりするディスプレイ装置である。
【0035】
図5は、本実施形態のスロットマシン1における遊技処理動作を制御する制御部と、これに電気的に接続された周辺装置(アクチュエータ)とを含む回路構成を示している。
【0036】
制御部はマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)30を主な構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン30は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU31と、記憶手段であるROM32およびRAM33を含んで構成されている。CPU31には、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路34および分周器35と、一定範囲の乱数を発生させる乱数発生手段である乱数発生器36および発生した乱数の中から任意の乱数を抽出する乱数抽出手段である乱数サンプリング回路37が接続されている。
【0037】
マイコン30からの制御信号により動作が制御される主要なアクチュエータとしては、リール3,4,5を回転駆動する各ステッピングモータ55、メダルを収納するホッパ38、液晶表示部24、スピーカ39およびバックランプ57a?57cがある。これらはそれぞれモータ駆動回路40、ホッパ駆動回路41、表示駆動回路42、スピーカ駆動回路43およびランプ駆動回路48によって駆動される。これら駆動回路40?43,48は、マイコン30のI/Oポートを介してCPU31に接続されている。各ステッピングモータ55はモータ駆動回路40によって1-2相励磁されており、400パルスの駆動信号が供給されるとそれぞれ1回転する。
【0038】
また、マイコン30が制御信号を生成するために必要な入力信号を発生する主な入力信号発生手段としては、スタートレバー15の操作を検出するスタートスイッチ15Sと、メダル投入口9から投入されたメダルを検出する投入メダルセンサ9Sと、前述したC/Pスイッチ14とがある。また、ホトセンサ59、およびこのホトセンサ59からの出力パルス信号を受けて各リール3,4,5の回転位置を検出するリール位置検出回路44もある。
【0039】
ホトセンサ59は各リール3,4,5が一回転する毎に遮蔽板60を検出してリセットパルスを発生する。このリセットパルスはリール位置検出回路44を介してCPU31に与えられる。RAM33内には、各リール3?5について、一回転の範囲内における回転位置に対応した計数値が格納されており、CPU31はリセットパルスを受け取ると、RAM33内に形成されたこの計数値を“0”にクリアする。このクリア処理により、各シンボルの移動表示と各ステッピングモータ55の回転との間に生じるずれが、一回転毎に解消されている。
【0040】
さらに、上記の入力信号発生手段として、リール停止信号回路45と、払出し完了信号発生回路46とがある。リール停止信号回路45は、停止ボタン16,17,18が押された時に、対応するリール3,4,5を停止させる信号を発生する。また、メダル検出部47はホッパ38から払い出されるメダル数を計数し、払出し完了信号発生回路46は、このメダル検出部47から入力した実際に払い出しのあったメダル計数値が所定の配当枚数データに達した時に、メダル払い出しの完了を知らせる信号をCPU31へ出力する。
【0041】
スピーカ39,スピーカ駆動回路43およびマイコン30は、スタートレバー15によって各リール3?5の回転表示が開始されるときに、効果音としての2種類の遊技開始音1,2のうちのいずれか一方の音1または2を発生させる音発生手段を構成している。この音発生手段によって発生させられる遊技開始音の種類は、入賞態様の種類に応じて後述するように選択される。
【0042】
各遊技開始音1,2が発生するタイミングは図6(a)に示され、同図(e)に示す入賞態様抽選タイミング直後から時間t1の間出力される。スタートレバー15は時間t2例えば4.1秒の時間間隔をおいて操作する必要があり、同図(d)に示すように前回のスタートレバー操作から時間t2以内に次のレバー操作をすると、リール回転不可音が同図(b)に示すタイミングでスピーカ39から出力される。同図(c)は前回の遊技において最後に停止するリールの回転状態を示しており、このリールは前回遊技の回転開始時から時間t2経過後に回転し出す。このような場合には、次の遊技の遊技開始音も同図(a)に示すように時間t2経過後から出力される。
【0043】
また、ランプ駆動回路48、バックランプ57a?57cおよびマイコン30は、各停止ボタン16?18の操作によって各リール3?5の回転表示が停止されるのに連動し、4種類の表示態様の中の1つの表示態様で各リール3?5の表示を順次演出する連動演出手段を構成している。この連動演出手段によって演出される表示態様は、入賞態様の種類に応じて後述するように選択される。
【0044】
図7,図8,図9および図10は連動演出手段が演出する第1,第2,第3および第4の連動表示態様を示している。なお、これら各図において図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0045】
図7に示す第1の連動表示態様は「リールランプ消灯なし」の表示態様であり、各リール3?5の回転中、連動演出手段は同図(a)に示すように全バックランプ57a?57cを点灯させている。そして、第1の停止ボタン16が操作されて第1のリール3の回転が停止された場合、同図(b)に示すように、第1のリール3の各バックランプ57a?57cを点灯したままの状態にする。同様に、第2の停止ボタン17,第3の停止ボタン18が操作されて第2のリール4,第3のリール5の回転が順次停止された場合にも、同図(c),(d)に示すように、第2のリール4,第3のリール5の各バックランプ57a?57cをそれぞれ点灯したままの状態にする。
【0046】
図8に示す第2の連動表示態様は「リールランプ消灯パターン1」の表示態様であり、各リール3?5の回転中、連動演出手段は同図(a)に示すように全バックランプ57a?57cを点灯させているが、第1の停止ボタン16が操作されて第1のリール3の回転が停止された場合、同図(b)に示すように、第1のリール3の各バックランプ57a?57cを消灯させる。また、第2の停止ボタン17,第3の停止ボタン18が操作されて第2のリール4,第3のリール5の回転が順次停止された場合には、同図(c),(d)に示すように、第2のリール4,第3のリール5の各バックランプ57a?57cをそれぞれ点灯したままの状態にする。
【0047】
図9に示す第3の連動表示態様は「リールランプ消灯パターン2」の表示態様であり、各リール3?5の回転中、連動演出手段は同図(a)に示すように全バックランプ57a?57cを点灯させているが、第1の停止ボタン16が操作されて第1のリール3の回転が停止された場合、同図(b)に示すように、第1のリール3の各バックランプ57a?57cを消灯させる。第2の停止ボタン17が操作されて第2のリール4の回転が停止された場合にも、同図(c)に示すように、第2のリール4の各バックランプ57a?57cを消灯させる。そして、第3の停止ボタン18が操作されて第3のリール5の回転が停止された場合には、同図(d)に示すように、第3のリール5の各バックランプ57a?57cを点灯したままの状態にする。
【0048】
図10に示す第4の連動表示態様は「リールランプ消灯パターン3」の表示態様であり、各リール3?5の回転中、連動演出手段は同図(a)に示すように全バックランプ57a?57cを点灯させているが、第1の停止ボタン16が操作されて第1のリール3の回転が停止された場合、同図(b)に示すように、第1のリール3の各バックランプ57a?57cを消灯させる。そして、第2の停止ボタン17,第3の停止ボタン18が操作されて第2のリール4,第3のリール5の回転が停止された場合にも、同図(c),(d)に示すように、第2のリール4,第3のリール5の各バックランプ57a?57cをそれぞれ消灯させる。
【0049】
図11に示すタイミングチャートは、この第4の連動表示態様によって各バックランプ57a?57cが点灯制御される際の各部のタイミングを示している。同図(j)に示すタイミングでスタートレバー15が操作されると、後述する入賞態様判定抽選処理が同図(k)に示すタイミングで行われ、引き続いて各リール3,4,5が同図(a),(b),(c)に示すように一斉に回転し出す。続いて、第1リール停止ボタン16,第2リール停止ボタン17,第3リール停止ボタン18が同図(d),(e),(f)に示すようにこの順番に操作されると、第1リール3,第2リール4,第3リール5が同図(a),(b),(c)に示す各タイミングで停止すると共に、第1リール3,第2リール4,第3リール5の各バックランプ57a?57cが同図(g),(h),(i)に示すタイミングで消灯する。この結果、上述した図10に示す第4の連動表示態様で、各リール3?5の表示が各停止ボタン操作に連動して演出される。
【0050】
なお、本実施形態で説明するリール停止制御においては、便宜上、第1リール停止ボタン16,第2リール停止ボタン17,第3リール停止ボタン18が同図(d),(e),(f)に示すようにこの順番に操作され、各リール3?5が同図(a),(b),(c)に示すように第1リール3,第2リール4,第3リール5の順番で停止する場合について説明している。しかし、各リール3?5の停止順序はこれに限定されるものではなく、例えば、第1リール停止ボタン16,第3リール停止ボタン18,第2リール停止ボタン17のように、ランダムな操作順序により停止するようにしてもよい。
【0051】
また、ランプ駆動回路48、バックランプ57a?57cおよびマイコン30は、各リール3?5の回転表示の全てが停止したときに、4種類の表示態様の中の1つの表示態様で各リール3?5の表示を演出する停止演出手段をも構成している。この停止演出手段によって演出される表示態様は、入賞態様の種類に応じて後述するように選択される。
【0052】
図12,図13,図14および図15は停止演出手段が演出する第1,第2,第3および第4の停止表示態様を示している。なお、これら各図において図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0053】
図12に示す第1の停止表示態様は「リールランプ点滅なし」の表示態様であり、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時に、各リール3?5の全てのバックランプ57a?57cを点灯したままの状態とし、点滅制御はしない。
【0054】
図13に示す第2の停止表示態様は「リールランプ点滅A」の表示態様であり、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時に、まず、同図(a)に示すように各リール3?5の上段の各バックランプ57aだけを点灯させ、続いて同図(b)に示すように各リール3?5の中段の各バックランプ57bだけを点灯させる。最後に、同図(c)に示すように各リール3?5の下段の各バックランプ57cだけを点灯させる。同図(a)?同図(c)に示す一連の点灯制御によって各バックランプ57a?57cは停止表示態様Aで点滅する。
【0055】
図14に示す第3の停止表示態様は「リールランプ点滅B」の表示態様であり、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時に、まず、同図(a)に示すように各リール3?5の全バックランプ57a?57cを点灯したままの状態にし、引き続き、同図(b)に示すように第1リール3の中段のバックランプ57bだけを消灯させる。続いて同図(c)に示すように第2リール4の中段のバックランプ57bだけを消灯させ、その後、同図(d)に示すように第3リール5の中段のバックランプ57bだけを消灯させる。最後に、同図(e)に示すように各リール3?5の全バックランプ57cを点灯させる。同図(a)?同図(e)に示す一連の点灯制御によって各バックランプ57a?57cは停止表示態様Bで点滅する。
【0056】
図15に示す第4の停止表示態様は「リールランプ点滅C」の表示態様であり、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時に、まず、同図(a)に示すように第2リール4の上段のバックランプ57aだけを点灯させ、引き続き、同図(b)に示すように同じ第2リール4の中段のバックランプ57bだけを点灯させる。次に、同図(c)に示すように第2リール4の下段のバックランプ57cだけを点灯させ、その後、同図(d)に示すように第1リール3および第3リール5の各下段のバックランプ57cを点灯させる。次に、同図(e)に示すように第1リール3および第3リール5の各中段のバックランプ57bを点灯させ、最後に、同図(f)に示すように、第1リール3および第3リール5の各上段のバックランプ57aを点灯させる。同図(a)?同図(f)に示す一連の点灯制御によって各バックランプ57a?57cは停止表示態様Cで点滅する。
【0057】
図5に示すROM32には、このスロットマシン1で実行されるゲーム処理の手順がシーケンスプログラムとして記憶されている他、入賞確率テーブル,シンボルテーブル、入賞シンボル組合せテーブルおよび入賞態様報知選択抽選確率テーブル等がそれぞれ区分されて格納されている。
【0058】
入賞確率テーブルは、サンプリング回路37で抽出された乱数を各入賞態様に区分けする乱数区分手段を構成しており、乱数発生器36で発生する一定範囲の乱数を各入賞態様に区画するデータを記憶している。このような入賞確率テーブルは例えば図16に示すように構成される。同図におけるa1?a3,b1?b3,c1?c3,d1?d3,e1?e3,f1?f3,g1?g3は予め設定された数値データであり、サンプリング回路37で抽出された乱数を各入賞態様に区画する際に用いられる。このデータは、投入メダル枚数が1枚の場合には「a1?g1」、2枚の場合には「a2?g2」、3枚の場合には「a3?g3」の各数値の組合せが用いられる。
【0059】
これら数値は通常「a<b<c<d<e<f<g」の大小関係に設定され、抽出された乱数値がa未満であれば大当たり入賞(大ヒット)となって「BB」当選フラグが立つ。また、抽出された乱数値がa以上b未満であれば中当たり入賞(中ヒット)となって「RB」当選フラグが立つ。また、抽出された乱数値がb以上f未満であれば小当たり入賞(小ヒット)となり、この場合、b以上c未満の場合には「スイカ」当選フラグが立ち、c以上d未満の場合には「ベル」当選フラグ、d以上e未満の場合には「4枚チェリー」当選フラグ、e以上f未満の場合には「2枚チェリー」当選フラグが立つ。また、抽出された乱数値がf以上g未満であれば「再遊技」当選フラグが立ち、g以上であれば入賞なしの「ハズレ」当選フラグが立つ。
【0060】
つまり、入賞態様は、サンプリングされた1つの乱数値がこのどの数値範囲に属するかによって決定され、「ハズレ」および「再遊技」を含めて合計8種類の当選フラグによって表される。ここで、乱数発生器36,サンプリング回路37,入賞確率テーブルおよびマイコン30は入賞態様決定手段を構成している。各種のヒットはこのような入賞確率テーブルのデータ設定に応じた確率の下で発生するため、遊技者の技量に極端に左右されることなく、例えば1日の営業時間内でのトータル的なメダル支払い率がほぼ一定に維持されている。
【0061】
また、シンボルテーブルは図17に概念的に示される。このシンボルテーブルは各リール3?5の回転位置とシンボルとを対応づけるものであり、シンボル列を記号で表したものである。このシンボルテーブルにはコードナンバに対応したシンボルコードが各リール3?5毎に記憶されている。コードナンバは、前述したリセットパルスが発生する回転位置を基準として各リール3?5の一定の回転ピッチ毎に順次付与されている。シンボルコードはそれぞれのコードナンバ毎に対応して設けられたシンボルを示している。
【0062】
また、入賞シンボル組合せテーブルには、配当表示部22に示される各入賞シンボル組合せのシンボルコードや、特定ゲーム発生のフラグが成立していることを遊技者に示唆する「リーチ目」を構成するシンボル組合せのシンボルコード、各入賞を表す入賞判定コード、入賞メダル配当枚数等が記憶されている。この入賞シンボル組合せテーブルは、第1リール3,第2リール4、第3リール5の停止制御時、および全リール停止後の入賞確認を行うときに参照される。
【0063】
また、入賞態様報知選択抽選確率テーブルは、上記の入賞態様決定手段で決定された8入賞態様の中の1入賞態様に応じて、遊技開始音の種類,連動表示態様の種類および停止表示態様の種類を組み合わせて得られる8組合せの中から1つの組合せを選択する報知態様選択手段を構成している。また、この報知態様選択手段,音発生手段,連動演出手段および停止演出手段は、スロットマシン遊技の一連の流れを通じて入賞態様を所定確率で遊技者に報知する報知手段を構成している。
【0064】
本実施形態では図18に示すように8種類の各演出態様の組合せが8種類の各入賞態様に割り当てられている。
【0065】
組合せ▲1▼は、遊技開始時に遊技開始音1が鳴り、各リール3?5の停止最中に「リールランプ消灯なし」の連動表示態様が現れ、各リール3?5の停止後に「リールランプ点滅なし」の停止表示態様が現れる組合せである。報知手段によるこの組合せ▲1▼の演出により、機械内部の抽選によって「ハズレ」当選フラグが立っていることが遊技者に報知される。
【0066】
組合せ▲2▼は、遊技開始時に遊技開始音1が鳴り、各リール3?5の停止最中に「リールランプ消灯パターン1」の連動表示態様が現れ、各リール3?5の停止後に「リールランプ点滅A」の停止表示態様が現れる組合せである。報知手段によるこの組合せ▲2▼の演出により、内部抽選によって「再遊技」当選フラグが立っていることが遊技者に報知される。
【0067】
組合せ▲3▼は、遊技開始時に遊技開始音1が鳴り、各リール3?5の停止最中に「リールランプ消灯パターン2」の連動表示態様が現れ、各リール3?5の停止後に「リールランプ点滅B」の停止表示態様が現れる組合せである。報知手段によるこの組合せ▲3▼の演出により、内部抽選によって「2枚チェリー」当選フラグが立っていることが遊技者に報知される。
【0068】
組合せ▲4▼は、遊技開始時に遊技開始音1が鳴り、各リール3?5の停止最中に「リールランプ消灯パターン3」の連動表示態様が現れ、各リール3?5の停止後に「リールランプ点滅C」の停止表示態様が現れる組合せである。報知手段によるこの組合せ▲4▼の演出により、内部抽選によって「4枚チェリー」当選フラグが立っていることが遊技者に報知される。
【0069】
以下同様にして組合せ▲5▼?組合せ▲8▼の各演出により、内部抽選によって各当選フラグが立っていることが遊技者に報知される。同図に示す各演出態様の組合せは次の考えに基づいて作成されている。
【0070】
遊技開始音の種類は図19(a)に示す考え方で選択される。つまり、音1は、一般遊技の際に高い頻度で出音され、「RB」当選フラグや「BB」当選フラグといったボーナスフラグが立って行われるボーナスフラグ成立ゲームの際には低い頻度で出音される。また、音2は、一般遊技の際に低い頻度で出音され、ボーナスフラグ成立ゲームの際に高い頻度で出音される。遊技者は遊技開始音2を聞く聴覚効果により、内部抽選によってボーナスフラグが立った可能性があることを知ることが出来、ボーナスゲームへの期待感は高まる。
【0071】
また、連動表示態様の種類は同図(b)に示す考え方で選択される。つまり、消灯リールが少ない連動表示態様は一般遊技の際に高い頻度で出現し、逆に消灯リールが多い連動表示態様はボーナスフラグ成立ゲームの際に高い頻度で出現する。遊技者は、リールバックランプ57a?57cの消灯が第何リールまで起こるかという事象を視覚的に把握することにより、ボーナスフラグが立った可能性が高いかどうかということを知ることが出来る。「リールランプ消灯なし」、「リールランプ消灯パターン1(第1停止リール消灯)」、「リールランプ消灯パターン2(第1,第2停止リール消灯)」、「リールランプ消灯パターン3(全停止リール消灯)」という順番で、ボーナスゲームへの期待感はリール停止毎に高まる。
【0072】
また、停止表示態様の種類は同図(c)に示す考え方で選択される。つまり、リールランプ点滅時間が短く、消灯ランプが少ない停止表示態様は一般遊技の際に高い頻度で出現し、逆にリールランプ点滅時間が長く、消灯リールが多い停止表示態様はボーナスフラグ成立ゲームの際に高い頻度で出現する。遊技者は、全リール停止後に各リール3?5の各バックランプ57a?57cの点滅状態を視覚的に把握することにより、ボーナスフラグが立った可能性が高いかどうかということを知ることが出来、ボーナスゲームへの期待感が高いか低いかを感じる。
【0073】
各演出態様の組合せ▲1▼?▲8▼によって当選フラグの種類が遊技者に報知される確率は、当選フラグの種類,遊技状態およびメダル投入枚数によって予め定められている。例えば、3枚賭けで一般遊技をしている際には、図20に示す入賞態様報知選択抽選確率テーブルが用いられて報知確率が抽選される。この報知選択抽選確率テーブルは決定された入賞態様を所定確率で遊技者に報知する際に参照され、報知選択抽選処理は図6(e)や図11(k)に示す入賞態様確率抽選タイミングに続くタイミングで行われる。
【0074】
図20に示す報知選択抽選確率テーブルは、図16に示す入賞確率テーブルにおける3枚賭けの確率テーブルに対応して示されている。つまり、報知選択抽選確率テーブルの上段には、図16に示す3枚賭け時のヒット区画データである数値データa3?g3の各値が示されている。また、下段には3枚賭け一般遊技時の報知区画データの各値が示されている。ここで、乱数発生器36は0?65535(=2^(16))の範囲の乱数を発生するものとしている。
【0075】
同テーブルによれば、入賞判定時に0?200の範囲にある乱数がサンプリング回路37によって抽出されれば、内部抽選結果は大当たり入賞となって「BB」当選フラグが立ち、201?380の範囲にある乱数がサンプリング回路37によって抽出されれば、内部抽選結果は中当たり入賞となって「RB」当選フラグが立つ。同様に、381?10000の範囲にある乱数が抽出されれば、各役の小当たり入賞当選フラグが立ち、10001?18000の範囲にある乱数が抽出されれば、「再遊技」当選フラグが立ち、18001?65535の範囲にある乱数が抽出されれば、「ハズレ」当選フラグが立つ。
【0076】
また、入賞判定時にサンプリング回路37によって0?150または20000?20200の範囲にある乱数が抽出されていれば、「BB」当選フラグの演出態様組合せ▲8▼(図18参照)に従って音発生手段,連動演出手段および停止演出手段がそれぞれ制御され、「BB」当選フラグの入賞態様報知が行われる。つまり、0?150の範囲にある乱数が抽出されて「BB」当選フラグが立った場合には、「BB」当選フラグの入賞態様報知が行われる。また、20000?20200の範囲にある乱数が抽出されて「ハズレ」当選フラグが立っている場合にも、この「BB」当選フラグの入賞態様報知が行われる。一方、151?200の範囲にある乱数が抽出されて「BB」当選フラグが立っていても、この範囲の乱数は「BB」当選フラグ報知区画データの範囲外であるため、「BB」当選フラグの入賞態様報知は行われない。
【0077】
すなわち、「BB」当選フラグの入賞態様報知が行われても、必ずしも内部抽選によって「BB」当選フラグが立っているとは限らず、また、「BB」当選フラグの入賞態様報知が行われていなくても、内部抽選によって「BB」当選フラグが立っていないとは限らない。「BB」当選フラグの入賞態様報知は所定の信頼度の下で行われており、図20に示すテーブルの場合には、「BB」当選フラグが立っている場合にこの入賞態様報知が行われる確率は151/352{(0?150の151)/(0?150の151と20000?20200の201との和)}で約43%になっている。また、「BB」当選フラグが立っていない場合にこの入賞態様報知が行われる確率は201/352で約57%になっている。この結果、入賞態様報知は約57%の確率ではずれることになる。
【0078】
このような入賞態様報知は中当たり入賞の[RB」当選フラグや小当たり入賞の各当選フラグ、「再遊技」当選フラグについても同様に行われる。ただし、入賞態様報知の信頼度は全ての役において一率である必要はなく、メダル投入枚数や遊技状態によって異ならせてもよい。例えば、図20に示すテーブルでは、「スイカ」当選フラグの報知が当たっている確率は390/810で約48%であり、この報知がはずれている確率は420/810で約52%で、「BB」当選フラグの信頼度と異なっている。
【0079】
図21の出現確率テーブルは、上記の入賞態様報知選択抽選が行われた結果、遊技の一連の流れを通じて報知手段によって各当選フラグが報知される確率を表している。この出現確率は当選フラグの種類および遊技状態によって異なり、例えば、ハズレ入賞態様報知パターンが出現する確率は、遊技状態によってP11?P15と変化する。
【0080】
ここで、遊技状態の種類には「RB作動中」,「BB作動中の一般遊技」,「一般遊技」,「RB内部当たり中の一般遊技」および「BB内部当たり中の一般遊技」の5種類がある。
【0081】
RBは前述したレギュラー・ボーナス・ゲームを意味しており、このRBゲームでは複数回の高配当ゲームが一組となったボーナスゲームが1回行える。「RB作動中」はこのRBゲーム中の遊技状態を表しており、ハズレまたはJAC当選のいずれかが生じる。また、BBは前述したビッグ・ボーナス・ゲームを意味しており、このBBゲームでは一般遊技および上記のボーナスゲームのセットを複数回行うことが出来る。「BB作動中の一般遊技」はBBゲーム中のこの一般遊技のことを意味しており、この一般遊技では小当たり入賞が高確率で発生する。また、「一般遊技」はいずれの入賞も生じていない遊技状態である。「RB内部当たり中の一般遊技」,「BB内部当たり中の一般遊技」は、RB当選フラグ,BB当選フラグは立っているが、各リール3?5に所定の入賞シンボル組合せが停止表示されず、未だRBゲーム,BBゲームに突入していない一般遊技状態のことを表している。
【0082】
次に、本実施形態においてマイコン30で制御される遊技機の動作について説明する。
【0083】
図22および図23はこの遊技処理の概略を示すフローチャートである。
【0084】
まず、CPU31により、メダルBETがなされたかどうかが判別される(図22,ステップ101参照)。この判別は、メダル投入口9にメダルが投入され、メダルセンサ9Sからの検出信号入力があった場合、あるいはBETスイッチ10,11,12からの信号入力があった場合に“YES”となる。その場合、第1リール3,第2リール4および第3リール5に内蔵された各バックランプ57a?57cは、CPU31によるランプ駆動回路48の制御によって全て点灯する。次に、スタートレバー15の操作によりスタートスイッチ15Sからのスタート信号入力があったか否かが判別される(ステップ102)。
【0085】
この判別が“YES”の場合、入賞態様決定手段によって入賞判定(確率抽選処理)が行われる(ステップ103)。前述したように入賞判定は、乱数発生器36で発生し、サンプリング回路37によって特定された1つの乱数値が、入賞確率テーブル(図16参照)においてどの入賞グループに属する値になっているか判断されることによって行われる。この入賞態様決定手段で決定された入賞態様は当選フラグの種類によって表され、「ハズレ」,「再遊技」,「2枚チェリー」,「4枚チェリー」,「ベル」,「スイカ」,「RB」および「BB」の8種類の中のいずれか1つの当選フラグがRAM33の所定領域にセットされる。
【0086】
この入賞判定処理に引き続き、入賞態様の報知選択抽選処理が行われる(ステップ104)。前述したように入賞態様の報知選択抽選処理は、図20に例示する報知選択抽選確率テーブルを用いて行われ、入賞判定時にサンプリング回路37によって特定された1つの乱数値が、この確率テーブルの報知区画データのどの区画に属する値になっているか判断されることによって行われる。この報知選択抽選結果もRAM33の所定領域に書き込まれ、入賞態様が予兆として報知される場合にはステップ104で報知フラグがセットされる。セットされるこの報知フラグは、報知する入賞態様の種類をも表すものとする。
【0087】
次に、遊技開始音出音処理が行われる(ステップ105)。この処理は報知フラグがセットされている場合に行われ、報知フラグがセットされていない場合には行われない。報知フラグがセットされている場合には、報知フラグの種類に応じてスピーカ駆動回路43がCPU31によって制御され、遊技開始音1または2のいずれか一方の遊技開始音がスピーカ39から出力される。この遊技開始音1,2は機器前面下方に設けられた透音孔19から出音され、遊技者の聴覚にとらえられる。
【0088】
例えば、「2枚チェリー」当選フラグを報知する種類の報知フラグが立っている場合には図18に示す演出態様組合せ▲3▼に従って遊技開始音1が出音され、また、「BB」当選フラグを報知する種類の報知フラグが立っている場合には演出態様組合せ▲8▼に従って遊技開始音2が出音される。
【0089】
次に、第1リール3,第2リール4,第3リール5の回転処理が行われ(ステップ106)、これら各リール3,4,5は一斉に回転し出す。このリール回転処理に引き続き、各リール3,4,5の停止制御が行われる(ステップ107)。このリール停止制御処理の概要は図24のフローチャートに示される。
【0090】
遊技者による各停止ボタン16?18の操作は、前述したように、リール停止信号回路45を介してCPU31によって検出されており、第1リール停止ボタン16のON操作が図24のステップ121で検出された場合には、第1リール3の停止制御処理が行われる(ステップ122)。つまり、第1リール停止ボタン16が遊技者によって操作された時点で、第1リール3のステッピングモータ55に供給された駆動パルスの数がRAM33から読み出され、第1リール3の回転位置と対応づけられる。第1リール3の回転位置が分かると、シンボルテーブル(図17参照)との対照により、観察窓6に現れている3個のシンボルがシンボルコードとして把握される。
【0091】
この場合、大ヒットの当選フラグが立っているときには、観察窓6の有効化入賞ライン上に大ヒットを構成するシンボルがあるか否かがチェックされる。同様に、中ヒット,小ヒットの当選フラグが立っているときには、観察窓6の有効化入賞ライン上に中ヒット,小ヒットを構成するシンボルがあるか否かがチェックされる。有効化入賞ライン上に当選フラグに対応したシンボルがあるときは、CPU31は即座に第1リール3を停止させる。なお、第1リール3を瞬間的に停止させ得ないことを考慮し、リール回転位置の何ステップ分か前にこの処理を行うようにしてもよい。
【0092】
上記のチェック処理により、当選フラグに対応したシンボルが観察窓6の有効化入賞ライン上に現れていない場合には、さらに第1リール3をシンボル4コマ分回転させたときにどのようなシンボルが現れてくるかをチェックする。もし、この中に当選フラグに対応するシンボルが有ったときには、そのコマ位置まで第1リール3を回転させてそこで停止させる。この引き込み制御処理は後述する第2リール4および第3リール5の各停止制御処理時にも行われる。
【0093】
次に、第1リール・バックランプ制御処理が行われる(ステップ123)。この制御処理は、上述したステップ104の報知選択抽選処理で報知フラグがセットされている場合に実行される。この報知フラグがセットされている場合には、第1リール3に内蔵されたバックランプ57a?57cが、報知フラグの種類に応じた演出態様組合せ▲1▼?▲8▼に従って点灯制御される。
【0094】
例えば、「2枚チェリー」当選フラグを報知する種類の報知フラグが立っている場合には、演出態様組合せ▲3▼の連動表示態様に従い、第1リール3のバックランプ57a?57cは図9(b)に示すように消灯制御される。また、「BB」当選フラグを報知する種類の報知フラグが立っている場合には、演出態様組合せ▲8▼の連動表示態様に従い、第1リール3のバックランプ57a?57cは図10(b)に示すように消灯制御される。この際、第2リール4および第3リール5は回転中であり、これら各リール4,5の各バックランプ57a?57cは点灯している。
【0095】
次に、第2リール4の停止ボタン17がON操作されたか否かが検出され(ステップ124)、この停止ボタン17のON操作が検出された場合には、第2リール4の停止制御処理が行われる(ステップ125)。この停止制御処理では、第2リール4が回転している状態で、まず、観察窓7の中央の入賞ラインL1にコードナンバ0?20の21通りのシンボルが停止することを想定し、有効化入賞ライン上に既に停止している第1リール3のシンボルとの組合せが読み込まれる。また、第3リール5については回転中であることを表す回転コードが読み込まれる。なお、第2リール4も回転中であるが、上記処理によって停止されることを仮定しているため、回転コードとしては読み込まれない。
【0096】
このようにしてシンボルコードの組合せが読み込まれると、前述した入賞シンボル組合せテーブルが参照され、第1リール3の停止により決定されたシンボルに対し、第2リール4が21通りの回転位置で停止したとき、有効化入賞ライン上にどのような入賞が生じる可能性があるかが順次判断されていく。例えば、図25(a)に示すように第1リール3が停止していたとすれば、第2リール4の停止位置を21通り想定してそのときのシンボル組合せパターンがチェックされる。例えば、同図(b)に示すように、第2リール4が観察窓7の中央でコードナンバ「5」で停止したとすると、各入賞ラインL1,L2A,L2B,L3A,L3B上でのシンボル組合せは同図(c)に示すようになる。
【0097】
第3リール5の矢印は回転中であることを示す回転コードであるが、第3リールの停止位置によっては、入賞ラインL1に「A-A-A」の大ヒット入賞、入賞ラインL2Bに「E-E-E」の小ヒット入賞が生じる可能性がある。従って、第2リール4のコードナンバ「5」に対しては、図26に示すように大ヒットの予想フラグと小ヒットの予想フラグとがセットされる。このような予想フラグの有無が第2リール4の全てのコードナンバについてチェックされ、これらデータはRAM33に書き込まれる。
【0098】
このようにしてRAM33に書き込まれた予想フラグデータは、第2リール4の停止制御時に参照される。つまり、第2リール4の停止ボタン17が操作されたとき、第2リール4のコードナンバに対応する予想フラグが参照され、大ヒットの予想が発生している場合には、有効化入賞ライン上に大ヒットのシンボルが停止するように第2リール4の停止制御が実行される。
【0099】
ステップ125における上記のリール停止制御処理が終わると、次に、第2リール・バックランプ制御処理が行われる(ステップ126)。この制御処理も、上述したステップ104の報知選択抽選処理で報知フラグがセットされている場合に実行される。この報知フラグがセットされている場合には、第2リール4に内蔵されたバックランプ57a?57cが、報知フラグの種類に応じた演出態様組合せ▲1▼?▲8▼に従って点灯制御される。
【0100】
例えば、「2枚チェリー」当選フラグを報知する種類の報知フラグが立っている場合には、演出態様組合せ▲3▼の連動表示態様に従い、第2リール4のバックランプ57a?57cは図9(c)に示すように消灯制御される。従って、第1リール3および第2リール4の各バックランプ57a?57cが続けて消灯制御されることになる。また、「BB」当選フラグを報知する種類の報知フラグが立っている場合には、演出態様組合せ▲8▼の連動表示態様に従い、第2リール4のバックランプ57a?57cは図10(c)に示すように消灯制御される。従って、この場合にも、第1リール3および第2リール4の各バックランプ57a?57cが続けて消灯制御されることになる。この際、第3リール5は回転中であり、第3リール5のバックランプ57a?57cは点灯している。
【0101】
次に、第3リール5の停止ボタン18がON操作されたか否かが検出され(ステップ127)、この停止ボタン18のON操作が検出された場合には、第3リール5の停止制御処理が行われる(ステップ128)。この停止制御処理では、既に第1リール3および第2リール4が停止してそのシンボルの組合せが特定されているので、これらのシンボルの組合せに対し、第3リール5の各々のコードナンバ毎に入賞の可能性が判定され、図26に示すテーブルと同様にして入賞予想フラグが立てられる。
【0102】
この予想フラグデータも第3リール5の停止ボタン18が操作されたときに参照され、大ヒットの予想が立っているときには、有効化入賞ライン上に大ヒットのシンボルが停止するように第3リール5の停止制御が実行される。この第3リール5の停止制御処理時には、既に停止している第1リール3,第2リール4のシンボルとの組合せによって当選フラグ通りの入賞が得られるだけでなく、当選フラグと異なる入賞が得られないようにリール停止位置が制御される。
【0103】
上述したステップ122の第1リール停止制御処理,ステップ125の第2リール停止制御処理およびステップ128の第3リール停止制御処理により、当選フラグが「ハズレ」の場合には、いずれの有効化入賞ライン上にも入賞シンボル組合せが揃わないように各リール3?5が停止制御される。
【0104】
また、当選フラグが「2枚チェリー」の場合には、いずれかの有効化入賞ライン上にシンボル「チェリー」の組合せが揃うように各リール3?5が停止制御される。また、当選フラグが「4枚チェリー」の場合には、2本の有効化入賞ライン上にシンボル「チェリー」の組合せがそれぞれ揃うように各リール3?5が停止制御される。また、当選フラグが「ベル」,「スイカ」の場合には、いずれかの有効化入賞ライン上にシンボル「ベル」,「スイカ」の組合せが揃うように各リール3?5が停止制御される。
【0105】
また、当選フラグが「RB」,「BB」の場合には、いずれかの有効化入賞ライン上にシンボル「7」または所定のキャラクタ・シンボルの組合せが揃うように各リール3?5が停止制御される。
【0106】
次に、このリール停止制御処理が終了すると、第3リール・バックランプ制御処理が行われる(ステップ129)。この制御処理も、上述したステップ104の報知選択抽選処理で報知フラグがセットされている場合に実行される。この報知フラグがセットされている場合には、第3リール5に内蔵されたバックランプ57a?57cが、報知フラグの種類に応じた演出態様組合せ▲1▼?▲8▼に従って点灯制御される。
【0107】
例えば、「2枚チェリー」当選フラグを報知する種類の報知フラグが立っている場合には、演出態様組合せ▲3▼の連動表示態様に従い、第3リール5のバックランプ57a?57cは図9(d)に示すように点灯したままの状態にされる。従って、第1リール3,第2リール4および第3リール5の各バックランプ57a?57cは、各停止ボタン16,17,18の操作に連動して「消灯,消灯,点灯」したことになる。また、「BB」当選フラグを報知する種類の報知フラグが立っている場合には、演出態様組合せ▲8▼の連動表示態様に従い、第3リール5のバックランプ57a?57cは図10(d)に示すように消灯制御される。従って、第1リール3,第2リール4および第3リール5の各バックランプ57a?57cは、各停止ボタン16,17,18の操作に連動して「消灯,消灯,消灯」したことになる。
【0108】
このようにして図22のステップ107のリール停止制御処理が終了すると、次に、リールランプ点滅制御が行われる(図22,ステップ108)。このリールランプ点滅制御処理もステップ104の報知選択抽選処理で報知フラグがセットされている場合に実行される。報知フラグがセットされている場合には、第1リール3,第2リール4および第3リール5に内蔵された各バックランプ57a?57cが、報知フラグの種類に応じたいずれかの演出態様組合せ▲1▼?▲8▼に従って点灯制御される。
【0109】
例えば、「2枚チェリー」当選フラグを報知する種類の報知フラグが立っている場合には、演出態様組合せ▲3▼の停止表示態様に従い、各リール3?5の各バックランプ57a?57cは「リールランプ点滅B」の停止表示態様で点灯制御される。つまり、前述したように、各リール3?5の全停止後に、各リール3?5の全バックランプ57aが図14(a)に示すように全点灯する。引き続いて同図(b),(c),(d)に示すように、第1リール3,第2リール4,第3リール5の中段の各バックランプ57bが左から右へ順次消灯し、最後に同図(e)に示すように全バックランプ57a?57cが全点灯する。
【0110】
また、「BB」当選フラグを報知する種類の報知フラグが立っている場合には、演出態様組合せ▲8▼の停止表示態様に従い、各リール3?5の各バックランプ57a?57cは「リールランプ点滅C」の停止表示態様で点灯制御される。つまり、前述したように、この停止表示態様では、図15(a),(b),(c)に示すように真ん中の第2リール4のバックランプ57a?57cが1個ずつ上段から下段へ移って点灯して行く。次に、同図(d),(e),(f)に示すように、両側部の第1リールおよび第3リール5の各バックランプ57a?57cが2個ずつ下段から上段へ移って点灯して行く。
【0111】
次に、全リール停止時の表示が所定の入賞シンボル組合せであるか否かが、入賞シンボル組合せテーブルを参照して判断される(図22,ステップ109)。つまり、リール停止制御は全て機械によって行われるのではなく、遊技者による各停止ボタン16?18の操作タイミングも問われているため、内部抽選の結果入賞当選フラグが立っていても、停止ボタン16?18が所定タイミングに操作されないと、有効化入賞ライン上に入賞シンボル組合せは揃わず、入賞は発生しない。上述した通り、引き込み制御は4コマ分が限度であるため、その4コマの中に入賞シンボルが存在しない場合は、結局、予定した入賞シンボルの組合せは得られないためである。
【0112】
入賞が得られなかったときにはステップ109の判定は“NO”となり、処理は初めのステップ101に戻る。また、入賞判定の結果リプレイゲーム(再遊技)であるときは、処理はステップ102のスタートレバー15の操作待ち処理に戻る(ステップ110)。リプレイゲームでない入賞のときには、CPU31によってホッパ駆動回路41が制御され、所定枚数のメダルがホッパ38によってコイン受け皿20へ払い出される(図23,ステップ111)。
【0113】
例えば、「2枚チェリー」の小当たり入賞の場合には2枚のメダルが払い出され、「4枚チェリー」の小当たり入賞の場合には4枚のメダルが払い出される。また、「ベル」の小当たり入賞の場合には6枚のメダル、「スイカ」の小当たり入賞の場合には8枚のメダルが払い出される。また、「BB」,「RB」の大当たり入賞の場合にはそれぞれ15枚のメダルが払い出される。
【0114】
次に、BBゲームが発生したか否かが判断され(ステップ112)、BBゲームが発生している場合にはBBゲームが実行される(ステップ113)。また、BBゲームが発生していない場合には、次にRBゲームが発生したか否かが判断され(ステップ114)、RBゲームが発生している場合にはRBゲームが実行される(ステップ115)。その後、上述した処理が繰り返されてスロットマシン遊技が行われる。
【0115】
このような本実施形態によれば、内部抽選によって決定された入賞態様がスロットマシン遊技の一連の流れを通じて遊技者に報知される。すなわち、各リール3?5の回転が開始されるときに音発生手段によって発生される遊技開始音の種類,各リール3?5が停止されるのに連動して連動演出手段によって順次演出される各バックランプ57a?57cの表示態様の種類、および各リール3?5の全てが停止したときに停止演出手段によって演出される各バックランプ57a?57cの表示態様の種類の組合せにより、入賞態様が遊技者に報知される。
【0116】
例えば、上述した演出表示態様▲3▼では、遊技者は、スタートレバー15の操作時に遊技開始音1を聞き、第1リール3,第2リール4,第3リール5を各停止操作する最中に各バックランプ57a?57cが消灯,消灯,点灯するのを視覚でとらえ、全リール3?5が停止した後に各バックランプ57aがリールランプ点滅Bの態様で停止表示するのを視覚でとらえる。
【0117】
このような遊技の一連の流れにおいて、遊技者は遊技開始音1による聴覚効果によって、図27(a)に示すように、ハズレか小当たり当選が高い確率で生じ、RB,BBフラグ成立の確率は低いことを把握する。そして、各リール3,4,5が消灯,消灯,点灯する次の視覚効果により、「2枚チェリー」の小当たり当選フラグが立っていることを知る。そして、最後のリールランプ点滅Bの視覚効果により、「2枚チェリー」当選フラグが立っていたことを確認する。
【0118】
また、上述した演出表示態様▲8▼では、遊技者は、スタートレバー15の操作時に遊技開始音2を聞き、第1リール3,第2リール4,第3リール5を各停止操作する最中に各バックランプ57a?57cが消灯,消灯,消灯するのを視覚でとらえ、全リール3?5が停止した後に各バックランプ57aがリールランプ点滅Cの態様で停止表示するのを視覚でとらえる。
【0119】
このような遊技の一連の流れにおいて、遊技者は遊技開始音2による聴覚効果によって、図27(b)に示すように、入賞態様がハズレか小当たりである確率は低く、RB,BBフラグ成立の確率が高いことを把握する。そして、RB,BBフラグ成立への期待感を高める。次に第1リール3の停止時にバックランプ57a?57cが消灯する視覚効果により、BBフラグ成立への期待感をさらに高め、次に第2リール4の停止時にバックランプ57a?57cが消灯する視覚効果により、BBフラグ成立への期待感を最大限に高める。最後に第3リール5が消灯する視覚効果により、内部抽選によってBBフラグが成立していることを知る。そして、最後のリールランプ点滅Cの視覚効果により、BBフラグが成立していることを確認し、リールランプ点滅Cの点滅パターンを楽しむ。
【0120】
本実施形態では上記のように遊技が進行して行くのに伴って入賞態様が判明して行く。つまり、スタートレバー15の操作によって各リール3?5の回転が開始し、各停止ボタン16?18の操作によってこの回転が各列毎に順次停止して行き、全てのリール3?5の回転が停止するのに伴い、当選フラグの種類が遊技者に順次報知されて行く。従って、遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたが徐々に報知されることになり、内部抽選結果を単に報知するのとは異なり、操作を進めれば進めるほど判明して行く入賞態様に起因して遊技者は熱くなる。この結果、スタートレバー15の操作や、各停止ボタン16?18の操作は面白味を増すようになる。
【0121】
また、リーチ目の出目によってBB当選フラグやRB当選フラグが立っていることを判断できない遊技の初心者であっても、上記の聴覚効果および視覚効果によってある程度の判断が可能となり、リール式遊技機のゲーム性を難解に感じて敬遠している者の抵抗感を和らげることも出来る。
【0122】
また、入賞態様の報知は、全ての内部抽選結果に対して行われるのではなく、報知選択抽選確率テーブル(図20参照)に示すような所定確率で行われる。また、入賞態様決定手段で決定された入賞態様と異なる入賞態様が所定確率で報知される場合もある。つまり、入賞態様決定手段でハズレ入賞態様が決定され、ハズレ当選フラグが立っている場合に、BB当選フラグの入賞態様報知が行われる場合がある。従って、入賞態様は遊技者に報知される場合もあり、報知されない場合もある。よって、遊技者によって入賞態様の報知が期待されるようになり、報知があった場合にはその喜びも増し、停止ボタン操作の面白味は一層増すようになる。
【0123】
また、報知は大当たり入賞態様だけではなくて各入賞態様に対して行われ、遊技者は大当たり入賞以外の内部抽選結果も知ることが出来るようになる。このため、停止ボタンの操作は容易に行えるようになる。
【0124】
次に、本発明による遊技機をスロットマシンに適用した第2の実施形態について説明する。
【0125】
図28はこの第2の実施形態によるスロットマシン1の正面図である。なお、同図において図1と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。この第2の実施形態によるスロットマシンでは、各リール3,4,5の直下の前面パネル2に告知ランプ25が設けられている。この告知ランプ25は、BBまたはRBゲームの内部当選フラグが立って後述する所定条件が成立すると点灯し、これらのボーナスゲームが機械内部の抽選で当選したことを遊技者に告知する。
【0126】
図29は、第2の実施形態のスロットマシン1における遊技処理動作を制御する制御部と、これに電気的に接続された周辺装置(アクチュエータ)とを含む回路構成を示している。なお、同図において図5と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。この第2の実施形態によるスロットマシンでは、ランプ駆動回路48に告知ランプ25が接続されており、告知ランプ25はランプ駆動回路48によって駆動される。
【0127】
本実施形態においても、スピーカ39,スピーカ駆動回路43およびマイコン30は、スタートレバー15によって各リール3?5の回転表示が開始されるときに、効果音としての2種類の遊技開始音1,2のうちのいずれか一方の音1または2を発生させる音発生手段を構成している。各遊技開始音1,2が発生するタイミングは前述した図6に示される。この音発生手段によって発生させられる遊技開始音の種類は、入賞態様の種類に応じて後述するように選択される。
【0128】
また、ランプ駆動回路48、バックランプ57a?57cおよびマイコン30は、各停止ボタン16?18の操作によって各リール3?5の回転表示が停止されるのに連動し、4種類の表示態様の中の1つの表示態様で各リール3?5の表示を順次演出する連動演出手段を構成している。この連動演出手段によって演出される表示態様は、入賞態様の種類に応じて後述するように選択される。
【0129】
本実施形態においても、連動演出手段が演出する第1,第2,第3および第4の連動表示態様は、前述した図7,図8,図9および図10に示される。また、上記の音発生手段は、連動演出手段によって各列のリール3?5の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さの効果音を発生させる。例えば、音発生手段は、図30に示すリール停止音選択テーブルに従い、4種類の長さのリール停止音1?4を出音する。
【0130】
つまり、第1停止ボタンの操作検出時に、停止要求の有ったリールのバックランプ57が点灯要求されている場合はリール停止音1が選択され、消灯要求されている場合はリール停止音2が選択される。また、第2停止ボタンの操作検出時に、停止要求の有ったリールのバックランプ57が点灯要求されている場合はリール停止音1が選択され、消灯要求されている場合はリール停止音3が選択される。また、第3停止ボタンの操作検出時に、停止要求の有ったリールのバックランプ57が点灯要求されている場合はリール停止音1が選択され、消灯要求されている場合はリール停止音4が選択される。
【0131】
リール停止音1の出音タイミングチャートは図31に示される。リール停止音1は、同図(b)に示すように長さ327.60[ms]の単発音である。その出音タイミングは、同図(c)に示すいずれかの停止ボタン16?18の操作検出タイミングにおいて、停止要求の有ったいずれかのリール3?5についてのリールバックランプ57の消灯要求が同図(a)に示すように無い時である。また、リール停止音1の消音タイミングは、出音タイミングから327.60[ms]の時間が経過した時、またはこの時間の経過前に次の停止ボタンの操作が検出された時である。
【0132】
例えば、図32(d)に示すように、第1停止ボタンの操作検出時から327.60[ms]の時間が経過する前に第2停止ボタンの操作が検出されると、同図(b)に示すリール停止音1は消音する。同図(c)は次に選択されたリール停止音を表し、その長さは選択されたリール停止音1?4の種類によって327.60?589.68[ms]の間で変化する。なお、同図(a)は第1停止ボタンの操作によって停止要求の有ったリールバックランプ57の点灯状態である。
【0133】
リール停止音2の出音タイミングチャートは図33に示される。リール停止音2は、同図(b)に示すように長さ393.12[ms]の単発音である。その出音タイミングは、同図(c)に示す停止ボタンの操作検出タイミングにおいて、第1停止要求の有ったいずれかのリール3?5についてのリールバックランプ57の消灯要求が同図(a)に示すように有る時である。また、リール停止音2の消音タイミングは、出音タイミングから393.12[ms]の時間が経過した時、またはこの時間の経過前に次の停止ボタンの操作が検出された時である。
【0134】
例えば、図34(d)に示すように、第1停止ボタンの操作検出時から393.12[ms]の時間が経過する前に第2停止ボタンの操作が検出されると、同図(b)に示すリール停止音2は消音する。同図(c)は次に選択されたリール停止音を表し、その長さは選択されたリール停止音1?4の種類によって327.60?589.68[ms]の間で変化する。なお、同図(a)は第1停止ボタンの操作によって停止要求の有った第1停止リールのバックランプ57の点灯状態である。
【0135】
リール停止音3の出音タイミングチャートは図35に示される。リール停止音3は、同図(b)に示すように長さ499.59[ms]の単発音である。その出音タイミングは、同図(c)に示す停止ボタンの操作検出タイミングにおいて、第2停止要求の有ったいずれかのリール3?5についてのリールバックランプ57の消灯要求が同図(a)に示すように有る時である。また、リール停止音3の消音タイミングは、出音タイミングから499.59[ms]の時間が経過した時、またはこの時間の経過前に次の停止ボタンの操作が検出された時である。
【0136】
例えば、図36(d)に示すように、第2停止ボタンの操作検出時から499.59[ms]の時間が経過する前に第3停止ボタンの操作が検出されると、同図(b)に示すリール停止音3は消音する。同図(c)は次に選択されたリール停止音を表し、その長さは選択されたリール停止音1?4の種類によって327.60?589.68[ms]の間で変化する。なお、同図(a)は第2停止ボタンの操作によって停止要求の有った第2停止リールのバックランプ57の点灯状態である。
【0137】
リール停止音4の出音タイミングチャートは図37に示される。リール停止音4は、同図(b)に示すように長さ589.68[ms]の単発音である。その出音タイミングは、同図(c)に示す停止ボタンの操作検出タイミングにおいて、第3停止要求の有ったいずれかのリール3?5についてのリールバックランプ57の消灯要求が同図(a)に示すように有る時である。また、リール停止音3の消音タイミングは、出音タイミングから589.68[ms]の時間が経過した時である。
【0138】
また、音発生手段は、図38に示すリール停止音選択テーブルに従い、連動演出手段によって各列のリール3?5の表示が演出される毎に、4種類のリール停止音1?4のいずれかを出音するようにしてもよい。
【0139】
つまリ、第1停止ボタンの操作検出時に、停止要求の有ったリールのバックランプ57が点灯要求されている場合はリール停止音1として音階「ド」が選択され、消灯要求されている場合はリール停止音2として音階「レ」が選択される。また、第2停止ボタンの操作検出時に、停止要求の有ったリールのバックランプ57が点灯要求されている場合はリール停止音1の音階「ド」が選択され、消灯要求されている場合はリール停止音3として音階「ミ」が選択される。また、第3停止ボタンの操作検出時に、停止要求の有ったリールのバックランプ57が点灯要求されている場合はリール停止音1の音階「ド」が選択され、消灯要求されている場合はリール停止音4として音階「ファ」が選択される。
【0140】
また、ランプ駆動回路48、バックランプ57a?57cおよびマイコン30は、各リール3?5の回転表示の全てが停止したときに、10種類の表示態様の中の1つの表示態様で各リール3?5の表示を演出する停止演出手段をも構成している。この停止演出手段によって演出される表示態様は、入賞態様の種類に応じて後述するように選択される。
【0141】
図39?図52はこの第2の実施形態による停止演出手段が演出する10種類の停止表示態様の一例を示している。なお、これら各図の「点滅パターン」欄における(1),(2),(3)はリール3,4,5の各バックランプ57aをそれぞれ示しており、(4),(5),(6)はリール3,4,5の各バックランプ57b、(7),(8),(9)はリール3,4,5の各バックランプ57cをそれぞれ示している。また、これらのうちの斜線が付された部分はランプ点灯状態を示しており、斜線が付されていない部分はランプ消灯状態を示している。また、これら各図の「段階」欄は時間の経過段階を示しており、各バックランプ57a?57cはこれら各段階毎に図示するように点灯または消灯する。
【0142】
第1の停止表示態様である「リールランプ点滅なし」の表示態様は図示されておらず、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時に、各リール3?5の全てのバックランプ57a?57cを点灯したままの状態とし、点滅制御はしない。
【0143】
図39に示す第2の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン1」の表示態様であり、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時に、まず、同図の段階1に示すように各リール3?5の全バックランプ57aを消灯させる。続いて段階2に示すように第1リール3の各バックランプ57a?57cを点灯させ、次に段階3に示すようにさらに第2リール4の各バックランプ57a?57cを点灯させる。その後さらに段階4に示すように第3リール5の各バックランプ57a?57cを点灯させ、各リール3?5の全てのバックランプ57a?57cを点灯させる。
【0144】
図40に示す第3の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン2」の表示態様であり、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時に、まず、同図の段階1に示すように各リール3?5の全バックランプ57aを消灯させる。続いて段階2に示すように第1リール3および第3リール5の各バックランプ57bを点灯させ、次に段階3に示すように第1リール3のバックランプ57aおよび第3リール5のバックランプ57cを点灯させる。その後段階4に示すように第2リール4の各バックランプ57a,57cを点灯させ、次に段階5に示すように第1リール3のバックランプ57cおよび第3リール5のバックランプ57aを点灯させる。最後に段階6に示すように第1リール3のバックランプ57bおよび第3リール5のバックランプ57bを点灯させる。
【0145】
図41に示す第4の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン3」の表示態様であり、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時に、まず、同図の段階1に示すように各リール3?5の全バックランプ57aを消灯させる。続いて段階2に示すように第1リール3のバックランプ57bを点灯させ、次に段階3に示すように第2リール4のバックランプ57aを点灯させる。その後段階4に示すように第2リール4のバックランプ57cを点灯させ、次に段階5に示すように第3リール3のバックランプ57bを点灯させる。最後に段階6に示すように各リール3?5の全バックランプ57a?57cを消灯させる。
【0146】
図42および図43に示す段階1?段階13の第5の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン4」の表示態様であり、図44に示す段階1?段階11の第6の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン5」の表示態様である。また、図45に示す段階1?段階6の第7の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン6」の表示態様であり、図46,図47および図48に示す段階1?段階21の第8の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン7」の表示態様である。さらに、図49に示す段階1?段階12の第9の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン8」の表示態様であり、図50,図51および図52に示す段階1?段階28の第10の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン9」の表示態様である。
【0147】
図42?図52のこれら各図のリールランプ点滅パターンも、図39?図41の各図のリールランプ点滅パターンと同様な図の読み方に従い、各リール3?5の各バックランプ57a?57cが停止演出手段によって点滅制御される。
【0148】
図29示すROM32には、第1の実施形態と同様に、このスロットマシン1で実行されるゲーム処理の手順がシーケンスプログラムとして記憶されている他、入賞確率テーブル,シンボルテーブル、入賞シンボル組合せテーブル、デモ抽選テーブル選択テーブル、デモ抽選テーブル、および図30や図38に示した上述したリール停止音選択テーブル等がそれぞれ区分されて格納されている。
【0149】
入賞確率テーブルは、第1の実施形態と同様に、サンプリング回路37で抽出された乱数を各入賞態様に区分けする乱数区分手段を構成しており、例えば前述した図16に示すように構成される。ここでも、乱数発生器36,サンプリング回路37,入賞確率テーブルおよびマイコン30は入賞態様決定手段を構成している。また、シンボルテーブルも第1の実施形態と同様に図17に概念的に示される。また、入賞シンボル組合せテーブルも第1の実施形態と同様に構成されている。
【0150】
また、デモ抽選テーブル選択テーブルおよびデモ抽選テーブルは、上記の入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて、遊技開始音の種類,連動表示態様の種類および停止表示態様の種類の組合せを選択する報知態様選択手段を構成している。また、この報知態様選択手段,音発生手段,連動演出手段および停止演出手段は、スロットマシン遊技の一連の流れを通じて入賞態様を所定確率で遊技者に報知する報知手段を構成している。この報知態様選択手段による報知態様の選択抽選処理も、図6(e)や図11(k)に示す入賞態様確率抽選タイミングに続くタイミングで行われる。
【0151】
図53に示すデモ抽選テーブル選択テーブルは、遊技状態および当選フラグから図54?図56に示すNo.0?No.17のデモ抽選テーブルを選択するためのものである。遊技状態は図57(a)に示す遊技状態ステータス(GMLVSTS)格納領域を参照することによって判明する。このGMLVSTS格納領域はRAM33中に1バイトのデータとして記憶されている。ビット0?4には遊技状態が記憶されており、データが1にセットされてオンになっている遊技状態がその時の遊技状態である。遊技状態の種類にはGMLVSTSに示されるように「RB作動中」,「BB作動中」,「一般遊技中」,「RB内部当たり中」および「BB内部当たり中」の5種類がある。
【0152】
当選フラグは図57(b)に示すフラグカウンタ(FLGCTR)格納領域を参照することによって判明する。このFLGCTR格納領域もRAM33中に1バイトのデータとして記憶されている。16進数の00?07の1バイトデータにより、その時の当選フラグが示されている。
【0153】
例えば、GMLVSTSのビット2のデータが1(04H)にセットされ、FLGCTRのデータが07Hであれば、遊技状態は一般遊技中で当選フラグはBBになる。従って、その時のデモ抽選テーブルは、デモ抽選テーブル選択テーブルからNo.7のデモ抽選テーブルになる。このNo.7のデモ抽選テーブルは図55に示され、同テーブルに示される抽選値を使った後述する抽選により、遊技開始音の種類,リールランプ消灯パターンの種類およびリールランプ点滅パターンの種類の組合せが選択される。
【0154】
リールランプ消灯パターンの種類は連動表示態様の種類に相当し、リールランプ点滅パターンの種類は停止表示態様の種類に相当する。例えば、No.7のデモ抽選テーブルで抽選値18の欄の組合せが選択されると、遊技開始音は2、リールランプ消灯パターンはパターン3、リールランプ点滅パターンはパターン9になる。これら各演出態様の組合せにより、一般遊技中にBBフラグが当選したことが予兆として遊技者に報知される。
【0155】
また、遊技状態ステータスが一般遊技中でフラグカウンタがBB内部当たり中の上記の場合において、No.7のデモ抽選テーブルで抽選値55の欄の組合せが選択されると、遊技開始音は1、リールランプ消灯パターンは消灯なし、リールランプ点滅パターンは点滅なしになる。また、GMLVSTSのビット2のデータが1にセットされ、FLGCTRのデータが00Hであれば、遊技状態は一般遊技中で当選フラグはハズレになる。この時のデモ抽選テーブルは、デモ抽選テーブル選択テーブルからNo.0のデモ抽選テーブルになる。
【0156】
このNo.0のデモ抽選テーブルは図54に示され、同テーブルから抽選値100の欄が抽選によって選択されると、この時の演出態様組合せも、遊技開始音は1、リールランプ消灯パターンは消灯なし、リールランプ点滅パターンは点滅なしになる。つまり、異なる当選フラグが成立するゲームにおいても、予兆報知パターン決定用乱数の値によっては、同一の予兆報知パターンが出現する可能性がある。
【0157】
このようにして当選フラグの種類は、その時の遊技状態によって定まる演出態様の組合せによって遊技者に報知されるが、その信頼度は一様ではない。例えば、一般遊技中におけるBBフラグ当選の予兆報知が上記のように行われたとしても、その時に必ずしもBBフラグが当選しているとは限らない。つまり、一般遊技中にBBフラグが当選している際にその予兆報知が行われる確率はX(=0?100)%であり、また、一般遊技中にBBフラグが当選していないのにその予兆報知が行われる確率は(100-X)%である。
【0158】
また、RB内部当たり中またはBB内部当たり中にRBまたはBBフラグ当選の予兆報知が行われる確率も、同様に予め0?100%のいずれかの所定値に定められている。図58は、この中でRB内部当たり中またはBB内部当たり中にRBまたはBBフラグ当選の予兆報知が100%の確率で行われる11種類の確定パターンを示している。つまり、RB内部当たり中またはBB内部当たり中に同図に示す遊技開始音,リールランプ消灯パターンおよびリールランプ点滅パターンの各演出態様組合せの予兆報知が現れるのは、RBまたはBBフラグが当選している場合だけであり、RBまたはBBフラグが当選していない場合はない。
【0159】
RBまたはBBゲームが確定する図58に示す演出態様組合せパターンのテーブルも、ROM32の所定領域に予め記憶されている。
【0160】
また、マイコン30,ランプ駆動回路48および告知ランプ25は、入賞態様決定手段で決定された特定の入賞態様(本実施形態ではRBまたはBBの内部当たり)に対応した報知情報を報知手段によって100%の確率で遊技者に報知する際,その報知情報を表示器(本実施形態では告知ランプ25)の表示によって遊技者に告知する告知手段を構成している。
【0161】
次に、本実施形態においてマイコン30で制御される遊技機の動作について説明する。
【0162】
図59はこの遊技処理の前半の概略を示すフローチャートであり、この処理に引き続き前述した図23に示す後半の遊技処理が行われる。この第2の実施形態による遊技処理は、報知選択抽選処理(ステップ104’)、リール停止制御処理(ステップ107’)、リールランプ点滅制御処理(ステップ108’)が第1の実施形態と異なり、また、このリールランプ点滅制御処理の後に告知ランプ制御処理(ステップ120)が追加して行われる点が第1の実施形態と異なる。
【0163】
遊技処理は、まず、CPU31により、メダルBETがなされたかどうかが判別され(図59,ステップ101参照)、メダル投入またはBETが有った場合には、次に、スタートレバー15の操作によってスタートスイッチ15Sからのスタート信号入力があったか否かが判別される(ステップ102)。
【0164】
この判別が“YES”の場合、入賞態様決定手段によって確率抽選処理が行われる(ステップ103)。入賞態様決定手段で決定された入賞態様は前述したFLGCTR(図57(b)参照)に、「ハズレ」,「2枚チェリー」,「4枚チェリー」,「ベル」,「スイカ」,「再遊技」,「RB」および「BB」の8種類の中のいずれか1つのデータが書き込まれて一時記憶される。
【0165】
この入賞判定処理に引き続き、入賞態様の報知選択抽選処理が行われる(ステップ104’)。入賞態様の報知選択抽選処理は、図60に示すフローチャートに従って行われる。
【0166】
まず、RAM33に格納されたGMLVSTS領域(図57(a)参照)が参照され、その時の遊技状態が把握される(図60、ステップ201)。次に、FLGCTR領域に格納されたデータが参照され、当選フラグの種類が把握される(ステップ202)。次に、その時の遊技状態および当選したフラグの種類から、デモ抽選テーブル選択テーブル(図53参照)を参照してNo.0?No.17のうちのいずれか1つのデモ抽選テーブルが選択される(ステップ203)。次に、RAM33を一定時間間隔でリフレッシュするためのカウンタから任意のタイミングでカウント値Cが抽出される(ステップ204)。
【0167】
このカウント値Cは0?127の範囲で変化しており、抽出されたこのカウント値Cを用いて報知態様選択のための乱数抽選が行われる。つまり、このカウント値Cから、ステップ203で選択されたデモ抽選テーブルにおける最上段の抽選値Rが減算され、減算結果A(=C-R)の正負が判断される(ステップ205)。減算結果Aが負にならない場合には、次にテーブルの次段の抽選値が抽選値Rにセットされ(ステップ206)、その後A-Rの減算が行われてその結果A(=A-R)の正負が判断される(ステップ207)。この演算は減算結果Aが負になるまで行われ、負になった場合にはその抽選値Rの欄の演出態様組合せが予兆報知される演出態様組合せに選択される(ステップ208)。
【0168】
例えば、一般遊技中にBBフラグが当選した場合には前述したようにNo.7のデモ抽選テーブルが選択されるが、この際の演出態様組合せの選択抽選処理は次のように行われる。まず、ステップ204でリフレッシュ・カウンタ値Cとして50が抽出されたとすると、ステップ205のC-Rの減算は、抽選値Rに最上段の抽選値55がまずセットされ、減算結果A=50-55=-5になる。この減算結果Aは負であるため、抽選値55の欄の演出態様組合せ、つまり、遊技開始音1,リールランプ消灯なし,リールランプ点滅なしの演出態様組合せが予兆報知態様に選択される。
【0169】
また、BB内部当たり中にスイカが当選した場合にはNo.16のデモ抽選テーブルが選択されるが(図53参照)、この際の演出態様組合せの選択抽選処理は次のように行われる。まず、リフレッシュ・カウント値Cとして61が抽出されたとすると、C-Rの減算は、抽選値Rに最上段の抽選値30がまずセットされ、減算結果A=61-30=31になる。この減算結果Aは正であるため、次にテーブルの次段の抽選値32が抽選値Rにセットされ、減算結果A=31-32=-1の正負が判断される。
【0170】
この減算結果Aは負であるため、抽選値32の欄の演出態様組合せ、つまり、遊技開始音1,リールランプ消灯パターン3,リールランプ点滅パターン3の演出態様組合せが予兆報知態様に選択される。
【0171】
次に、遊技開始音出音処理が行われる(図59、ステップ105)。この処理は上記の報知選択抽選処理で選択された演出態様組合せに従って行われ、遊技開始音の種類に応じてスピーカ駆動回路43がCPU31によって制御され、遊技開始音1または2のいずれか一方の遊技開始音がスピーカ39から出力される。遊技開始音1,2は機器前面下方に設けられた透音孔19から出音され、遊技者の聴覚にとらえられる。
【0172】
例えば、一般遊技中にBBフラグが当選し、デモ抽選テーブルNo.7の抽選値55の欄の演出態様組合せが上記のように選択された場合には、遊技開始音1が出音される。また、BB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せが上記のように選択された場合にも、遊技開始音1が出音される。
【0173】
次に、第1リール3,第2リール4,第3リール5の回転処理が行われ(ステップ106)、これら各リール3,4,5は一斉に回転し出す。このリール回転処理に引き続き、各リール3,4,5の停止制御が行われる(ステップ107’)。このリール停止制御処理の概要は図61のフローチャートに示される。
【0174】
なお、ここで説明するリール停止制御においては、便宜上、第1リール停止ボタン16,第2リール停止ボタン17,第3リール停止ボタン18がこの順番に操作され、各リール3?5が第1リール3,第2リール4,第3リール5の順番で停止する場合について説明する。しかし、各リール3?5の停止順序はこれに限定されるものではなく、例えば、第1リール停止ボタン16,第3リール停止ボタン18,第2リール停止ボタン17のように、ランダムな操作順序により停止するようにしてもよい。
【0175】
遊技者による各停止ボタン16?18の操作は、前述したように、リール停止信号回路45を介してCPU31によって検出されており、第1リール停止ボタン16のON操作が図61のステップ121で検出された場合には、第1リール3の停止制御処理が前述したように行われる(ステップ122)。
【0176】
次に、第1リール・バックランプ制御処理が行われる(ステップ123)。この制御処理は、上述したステップ104’の報知選択抽選処理で選択されたデモ抽選テーブルの演出態様組合せに従って実行され、第1リール3に内蔵されたバックランプ57a?57cが、選択された演出態様組合せのリールランプ消灯パターンに従って点灯制御される。
【0177】
例えば、一般遊技中にBBフラグが当選し、デモ抽選テーブルNo.7の抽選値55の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯なしとして選択された上記の場合には、第1リール3の各バックランプ57a?57cは図7(b)に示すように消灯されない。また、BB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯パターン3として選択された上記の場合には、第1リール3の各バックランプ57a?57cは図10(b)に示すように消灯される。
【0178】
次に、リール停止音出音処理(ステップ131)が行われる。音発生手段によって発生されるこのリール停止音の種類は、前述したようにリール停止音選択テーブルに従って選択される。
【0179】
例えば、一般遊技中にBBフラグが当選し、デモ抽選テーブルNo.7の抽選値55の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯なしとして選択された上記の場合には、第1停止リール3の各バックランプ57a?57cは上記のように消灯されず、点灯した状態にされる。従って、リール停止音選択テーブルとして図30に示すテーブルが用いられる場合には、長さ327.60[ms]のリール停止音1が選択され、第1停止ボタン16の操作タイミング検出時に図31に示すように出音される。また、リール停止音選択テーブルとして図38に示すテーブルが用いられる場合には、音階「ド」のリール停止音1が選択され、同様のタイミングで出音される。
【0180】
また、BB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯パターン3として選択された上記の場合には、第1停止リール3の各バックランプ57a?57cは上記のように消灯される。従って、リール停止音選択テーブルとして図30に示すテーブルが用いられる場合には、長さ393.12[ms]のリール停止音2が選択され、第1停止ボタン16の操作タイミング検出時に図33に示すように出音される。また、リール停止音選択テーブルとして図38に示すテーブルが用いられる場合には、音階「レ」のリール停止音2が選択され、同様のタイミングで出音される。
【0181】
次に、第2リール4の停止ボタン17がON操作されたか否かが検出され(ステップ124)、この停止ボタン17のON操作が検出された場合には、第2リール4の停止制御処理が前述したように行われる(ステップ125)。次に、第2リール・バックランプ制御処理が行われる(ステップ126)。この制御処理も、上述したステップ104’の報知選択抽選処理で選択された演出態様組合せのリールランプ消灯パターンに従い、第2リール4に内蔵されたバックランプ57a?57cが点灯制御される。
【0182】
例えば、一般遊技中にBBフラグが当選し、デモ抽選テーブルNo.7の抽選値55の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯なしとして選択された上記の場合には、第2リール4の各バックランプ57a?57cは図7(c)に示すように消灯されない。また、BB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯パターン3として選択された上記の場合には、第2リール4の各バックランプ57a?57cは図10(c)に示すように消灯される。
【0183】
次に、リール停止音出音処理(ステップ132)が行われる。このリール停止音の種類も、前述したようにリール停止音選択テーブルに従って選択される。
【0184】
例えば、一般遊技中にBBフラグが当選し、デモ抽選テーブルNo.7の抽選値55の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯なしとして選択された上記の場合には、第2停止リール4の各バックランプ57a?57cは上記のように消灯されず、点灯した状態にされる。従って、リール停止音選択テーブルとして図30に示すテーブルが用いられる場合には、長さ327.60[ms]のリール停止音1が選択され、第2停止ボタン17の操作タイミング検出時に図31に示すように出音される。また、リール停止音選択テーブルとして図38に示すテーブルが用いられる場合には、音階「ド」のリール停止音1が選択され、同様のタイミングで出音される。
【0185】
また、BB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯パターン3として選択された上記の場合には、第2停止リール4の各バックランプ57a?57cは上記のように消灯される。従って、リール停止音選択テーブルとして図30に示すテーブルが用いられる場合には、長さ499.59[ms]のリール停止音3が選択され、第2停止ボタン17の操作タイミング検出時に図35に示すように出音される。また、リール停止音選択テーブルとして図38に示すテーブルが用いられる場合には、音階「ミ」のリール停止音3が選択され、同様のタイミングで出音される。
【0186】
次に、第3リール5の停止ボタン18がON操作されたか否かが検出され(ステップ127)、この停止ボタン18のON操作が検出された場合には、第3リール5の停止制御処理が前述したように行われる(ステップ128)。このリール停止制御処理が終了すると、第3リール・バックランプ制御処理が行われる(ステップ129)。この制御処理も、上述したステップ104’の報知選択抽選処理で選択された演出態様組合せのリールランプ消灯パターンに従い、第3リール5に内蔵されたバックランプ57a?57cが点灯制御される。
【0187】
例えば、一般遊技中にBBフラグが当選し、デモ抽選テーブルNo.7の抽選値55の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯なしとして選択された上記の場合には、第3リール5の各バックランプ57a?57cは図7(d)に示すように消灯されない。従って、第1リール3,第2リール4および第3リール5の各バックランプ57a?57cは、各停止ボタン16,17,18の操作に連動していずれも消灯せず、「点灯,点灯,点灯」したままの状態になる。
【0188】
また、BB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯パターン3として選択された上記の場合には、第1リール3の各バックランプ57a?57cは図10(d)に示すように消灯される。従って、第1リール3,第2リール4および第3リール5の各バックランプ57a?57cは、各停止ボタン16,17,18の操作に連動して「消灯,消灯,消灯」する。
【0189】
次に、リール停止音出音処理(ステップ133)が行われる。このリール停止音の種類も、前述したようにリール停止音選択テーブルに従って選択される。
【0190】
例えば、一般遊技中にBBフラグが当選し、デモ抽選テーブルNo.7の抽選値55の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯なしとして選択された上記の場合には、第3停止リール5の各バックランプ57a?57cは上記のように消灯されず、点灯した状態にされる。
【0191】
従って、リール停止音選択テーブルとして図30に示すテーブルが用いられる場合には、長さ327.60[ms]のリール停止音1が選択され、第3停止ボタン18の操作タイミング検出時に図31に示すように出音される。この結果、各停止ボタン16,17,18の操作に連動し、上記のように第1,第2,第3リール3,4,5の各バックランプ57a?57cが「点灯,点灯,点灯」されると共に、同じ長さの音が例えば「ブー,ブー,ブー」と3回出音される。
【0192】
また、リール停止音選択テーブルとして図38に示すテーブルが用いられる場合には、音階「ド」のリール停止音1が選択され、出音される。この結果、各停止ボタン16,17,18の操作に連動し、上記のように第1,第2,第3リール3,4,5の各バックランプ57a?57cが「点灯,点灯,点灯」されると共に、同じ音階の音が「ド,ド,ド」と3回出音される。
【0193】
また、BB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯パターン3として選択された上記の場合には、第3停止リール5の各バックランプ57a?57cは上記のように消灯される。
【0194】
従って、リール停止音選択テーブルとして図30に示すテーブルが用いられる場合には、長さ589.68[ms]のリール停止音4が選択され、第3停止ボタン18の操作タイミング検出時に図37に示すように出音される。この結果、各停止ボタン16,17,18の操作に連動し、上記のように第1,第2,第3リール3,4,5の各バックランプ57a?57cが「消灯,消灯,消灯」されると共に、長さがだんだん長くなる音が例えば「ブ,ブー,ブーー」と3回出音される。
【0195】
また、リール停止音選択テーブルとして図38に示すテーブルが用いられる場合には、音階「ファ」のリール停止音4が選択され、出音される。この結果、各停止ボタン16,17,18の操作に連動し、上記のように第1,第2,第3リール3,4,5の各バックランプ57a?57cが「消灯,消灯,消灯」されると共に、音階がだんだん高くなる音が「レ,ミ,ファ」と3回出音される。
【0196】
このようにして図59のステップ107’のリール停止制御処理が終了すると、次に、リールランプ点滅制御が行われる(図59,ステップ108’)。このリールランプ点滅制御処理もステップ104’の報知選択抽選処理で選択された演出態様組合せのリールランプ点滅パターンに従い、第1リール3,第2リール4および第3リール5に内蔵された各バックランプ57a?57cが点滅制御される。
【0197】
例えば、一般遊技中にBBフラグが当選し、デモ抽選テーブルNo.7の抽選値55の欄の演出態様組合せがリールランプ点滅なしとして選択された上記の場合には、第1リール3,第2リール4および第3リール5の各バックランプ57a?57cは点滅制御されず、点灯したままの状態にされる。また、BB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せがリールランプ点滅パターン3として選択された上記の場合には、図41に示すように各リール3?5の各バックランプ57a?57cが点滅制御される。
【0198】
次に、告知ランプ25の点灯制御が行われる(図59、ステップ120)。この告知ランプ制御は図62に示すフローチャートに従って行われる。
【0199】
まず、図58に示す11種類の確定パターンが参照され(ステップ301)、今回の遊技の一連の流れにおける遊技開始音,リールランプ消灯パターンおよびリールランプ点滅パターンの演出態様組合せパターンが、このいずれかの確定パターンに一致するか否かが判断される(ステップ302)。一致しない場合には処理は終了する。一致する場合には次に告知ランプ25が現在点灯中か否かが判断され(ステップ303)、点灯中でない場合には告知ランプ25がランプ駆動回路48によって点灯制御される(ステップ304)。点灯中である場合には処理は終了する。
【0200】
例えば、BB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せが選択され、遊技開始音1,リールランプ消灯パターン3およびリールランプ点滅パターン3が遊技の一連の流れの中で演出された上記の場合は、確定パターン4に一致する。従って、この場合にはマイコン30の制御によってランプ駆動回路48が駆動され、告知ランプ25が点灯する。
【0201】
この際、マイコン30,ランプ駆動回路48および告知ランプ25は、入賞態様決定手段で決定されたRBまたはBBの内部当たりを上記の演出によって100%の確率で遊技者に報知する際、その報知情報を告知ランプ25の点灯表示によって遊技者に告知する告知手段を構成している。
【0202】
図63は告知ランプ25の点灯タイミングチャート図である。告知ランプ25は、BBまたはRBが確定する確定パターンが同図(b)に示すタイミングで表示し終わった時に、同図(a)に示すタイミングで点灯する。また、この告知ランプ25は、BBまたはRBの内部当たりフラグが同図(c)に示すようにONし、各リール3?5の停止時にBBまたはRBのシンボル組合せが停止表示されてBBまたはRB入賞が同図(d)に示すタイミングで発生し、その入賞によるメダル払い出しが終了する同図(e)に示すタイミングで消灯する。
【0203】
このように確定パターンが表示されたことを条件に告知ランプ25が点灯されることにより、今表示された予兆報知が、BBまたはRBの内部当たりが100%の確率で起きている予兆報知であることを、遊技者は認識することが出来る。
【0204】
上記の告知ランプ制御が終了すると遊技処理は、次に、全リール停止時の表示が所定の入賞シンボル組合せであるか否かが、入賞シンボル組合せテーブルを参照して判断される(図59,ステップ109)。入賞が得られなかったときにはステップ109の判定は“NO”となり、処理は初めのステップ101に戻る。また、入賞判定の結果リプレイゲーム(再遊技)であるときは、処理はステップ102のスタートレバー15の操作待ち処理に戻る(ステップ110)。
【0205】
リプレイゲームでない入賞のときには、所定枚数のメダルがホッパ38によってコイン受け皿20へ払い出される(図23,ステップ111)。次に、BBゲームが発生したか否かが判断され(ステップ112)、BBゲームが発生している場合にはBBゲームが実行される(ステップ113)。また、BBゲームが発生していない場合には、次にRBゲームが発生したか否かが判断され(ステップ114)、RBゲームが発生している場合にはRBゲームが実行される(ステップ115)。その後、上述した処理が繰り返されてスロットマシン遊技が行われる。
【0206】
このような本実施形態によっても、内部抽選によって決定された入賞態様がスロットマシン遊技の一連の流れを通じて遊技者に報知される。すなわち、各リール3?5の回転が開始されるときに音発生手段によって発生される遊技開始音の種類,各リール3?5が停止されるのに連動して連動演出手段によって順次演出される各バックランプ57a?57cの表示態様(リールランプ消灯パターン)の種類、および各リール3?5の全てが停止したときに停止演出手段によって演出される各バックランプ57a?57cの表示態様(リールランプ点滅パターン)の種類の組合せにより、入賞態様が遊技者に報知される。
【0207】
例えば、上述したBB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せが選択された場合には、遊技者は、スタートレバー15の操作時に遊技開始音1を聞き、第1リール3,第2リール4,第3リール5を各停止操作する最中に各バックランプ57a?57cが消灯,消灯,消灯するのを視覚でとらえる共に、例えば長さがだんだん長くなる音「ブ,ブー,ブーー」を聴覚でとらえ、全リール3?5が停止した後に各バックランプ57a?57cがリールランプ点滅パターン3の態様で停止表示するのを視覚でとらえる。
【0208】
本実施形態でも上記のように遊技が進行して行くのに伴って入賞態様が判明して行く。つまり、スタートレバー15の操作によって各リール3?5の回転が開始し、各停止ボタン16?18の操作によってこの回転が各列毎に順次停止して行き、全てのリール3?5の回転が停止するのに伴い、内部抽選によって決定された当選フラグの種類が遊技者に順次報知されて行く。従って、従来、機械内部の乱数抽選で決定された内部抽選の結果は、大当たり入賞以外の入賞態様については、各窓に図柄が実際に停止表示されるまで全く分からなかったが、本実施形態によれば、遊技者は入賞態様をある程度予測できるようになる。
【0209】
また、遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたが徐々に報知されることになり、内部抽選結果を単に報知するのとは異なり、操作を進めれば進めるほど判明して行く入賞態様に起因して遊技者は熱くなる。
【0210】
また、本実施形態においては、BBまたはRBの内部当たりが100%の確率で報知される場合に、告知ランプ25の点灯表示により、BBまたはRBの内部当たりが起きていることが遊技者に告知される。BBまたはRBの内部当たりが100%より小さい確率で報知される場合、つまり、BBまたはRBの内部当たりが内部抽選によって発生していても必ずその報知がなされるとは限らない場合には、告知ランプ25の点灯表示によってその内部抽選結果は告知されない。従って、遊技者は、告知ランプ25にBBまたはRBの内部当たり発生の内部抽選結果が表示されていない場合にも、遊技の一連の流れを通じて報知される演出態様組合せパターンによってBBまたはRBの内部当たり発生の内部抽選結果を知ることが出来る。
【0211】
このため、大当たり入賞発生の内部抽選結果がそのまま機械的に遊技者に知らされる従来の遊技機と異なり、本実施形態による遊技機によれば、遊技者は例えばリーチ目を探すようにその内部抽選結果を探す喜びを持つことが出来るようになる。
【0212】
なお、上記実施形態の説明においては、音発生手段が、連動演出手段によって各リール3?5の表示が演出される毎に、予め定められた種類または長さのリール停止音を発生させるようにした。しかし、各停止ボタン16?18の構造をソレノイド等を用いて操作時に震動する体感式ボタン構造とし、上記の音発生手段に代わり、または上記の音発生手段と共に、この各停止ボタン16?18が、連動演出手段によって各リール3?5の表示が演出される毎に、予め定められた態様で震動するようにしてもよい。
【0213】
また、上記実施形態の説明においては告知手段である告知ランプ25を機器前面パネルに告知専用に設けた場合について説明したが、既存の表示装置を使って特定入賞態様のフラグ成立を告知するようにしてもよい。例えば、スピーカ39から特殊な音を放出して特定フラグの成立を告知してもよい。また、各リール3?5を震えさせて特定フラグの成立を告知してもよい。
【0214】
また、各入賞態様のフラグ成立を予兆報知する報知手段により、告知手段を実現するようにしてもよい。例えば、各リール停止時に行われる停止演出手段によるリールランプ点滅表示の終了後に、各リール3?5の各バックランプ57a?57cの点滅態様を特定の報知態様で表示して特定フラグ成立を告知するようにしてもよい。
【0215】
また、液晶表示部24を各入賞態様のフラグ成立を予兆報知する報知手段として使用し、しかも、この液晶表示部24を告知手段としても使用するようにしてもよい。つまり、リールバックランプ等の表示態様の演出組合せによって予兆報知を行う代わりに、液晶表示部24にキャラクタ等を登場させ、このキャラクタ表示の変化の組合せによって予兆報知を行ったり、その背景画像表示の変化の組合せによって予兆報知を行ってもよい。そして、この液晶表示部24の表示を予兆報知と異なる特定の態様で表示させて告知手段の告知をするようにしてもよい。
【0216】
例えば、上記の第2の実施形態および前述した第1の実施形態では、各停止ボタン16?18の操作に連動して連動演出手段が各リールバックランプ57を図7,図8,図9,図10に示すリールランプ消灯なし,消灯パターン1,消灯パターン2,消灯パターン3の4種類の連動表示態様を演出して予兆報知した。しかし、これらの各消灯パターンに代え、図64?図67に示す、液晶表示部24に登場させたキャラクタの4種類の動作パターン1?4によって4種類の連動表示態様を演出して予兆報知するようにしてもよい。
【0217】
図64は、前述したリールランプ消灯なし(図7参照)に対応する、第1の連動表示態様を演出する動作パターン1である。液晶表示部24には女の子のキャラクタ「くみちゃん」の3体が常に表示されており、各停止ボタン16?18が操作されていない時には左,中央および右に位置する3体の全ては同図(a)に示す基本姿勢にある。
【0218】
第1実施形態では、入賞態様報知選択抽選確率テーブル(図18参照)を用いた報知選択抽選処理(図22、ステップ104参照)で演出態様組合せ▲1▼または▲5▼が選択され、第1リール停止ボタン16が操作されると、第2実施形態では、デモ抽選テーブル(図54?図56参照)を用いた報知選択抽選処理(図59、ステップ104’参照)でリールランプ消灯パターンが「消灯なし」として選択され、第1リール停止ボタン16が操作されると、液晶表示部24のキャラクタの姿勢は同図(b)に示すものになり、3体の各基本姿勢に変化が生じない。次に、第2リール停止ボタン17が操作されるとキャラクタの姿勢は同図(c)に示すものになり、同様に3体の各基本姿勢に変化が生じず、さらに、第3リール停止ボタン18が操作されるとキャラクタの姿勢は同図(d)に示すものになり、やはり3体の各基本姿勢に変化が生じない。
【0219】
図65は、前述したリールランプ消灯パターン1(図8参照)に対応する、第2の連動表示態様を演出する動作パターン2である。本パターンでも、各停止ボタン16?18が操作されていない時には液晶表示部24に表示される3体の全ては同図(a)に示す基本姿勢にある。
【0220】
第1実施形態では、入賞態様報知選択抽選確率テーブルを用いた報知選択抽選処理で演出態様組合せ▲2▼または▲6▼が選択され、第1リール停止ボタン16が操作されると、第2実施形態では、デモ抽選テーブルを用いた報知選択抽選処理でリールランプ消灯パターンが「消灯パターン1」として選択され、第1リール停止ボタン16が操作されると、液晶表示部24のキャラクタの姿勢は同図(b)に示すものになり、3体の各基本姿勢に変化が生じない。次に、第2リール停止ボタン17が操作されるとキャラクタの姿勢は同図(c)に示すものになり、同様に3体の各基本姿勢に変化が生じず、さらに、第3リール停止ボタン18が操作されるとキャラクタの姿勢は同図(d)に示すものになり、右に位置するキャラクタの右足が少し後ろへ上がる。
【0221】
図66は、前述したリールランプ消灯パターン2(図9参照)に対応する、第3の連動表示態様を演出する動作パターン3である。本パターンでも、各停止ボタン16?18が操作されていない時には液晶表示部24に表示される3体の全ては同図(a)に示す基本姿勢にある。
【0222】
第1実施形態では、入賞態様報知選択抽選確率テーブルを用いた報知選択抽選処理で演出態様組合せ▲3▼またはまたは▲7▼が選択され、第1リール停止ボタン16が操作されると、第2実施形態では、デモ抽選テーブルを用いた報知選択抽選処理でリールランプ消灯パターンが「消灯パターン2」として選択され、第1リール停止ボタン16が操作されると、液晶表示部24のキャラクタの姿勢は同図(b)に示すものになり、3体の各基本姿勢に変化が生じない。次に、第2リール停止ボタン17が操作されるとキャラクタの姿勢は同図(c)に示すものになり、中央に位置するキャラクタの右足が少し後ろへ上がる。さらに、第3リール停止ボタン18が操作されるとキャラクタの姿勢は同図(d)に示すものになり、各姿勢に変化が生じない。
【0223】
図67は、前述したリールランプ消灯パターン3(図10参照)に対応する、第4の連動表示態様を演出する動作パターン4である。本パターンでも、各停止ボタン16?18が操作されていない時には液晶表示部24に表示される3体の全ては同図(a)に示す基本姿勢にある。
【0224】
第1実施形態では、入賞態様報知選択抽選確率テーブルを用いた報知選択抽選処理で演出態様組合せ▲4▼または▲8▼が選択され、第1リール停止ボタン16が操作されると、第2実施形態では、デモ抽選テーブルを用いた報知選択抽選処理でリールランプ消灯パターンが「消灯パターン3」として選択され、第1リール停止ボタン16が操作されると、液晶表示部24のキャラクタの姿勢は同図(b)に示すものになり、3体の各基本姿勢に変化が生じない。次に、第2リール停止ボタン17が操作されるとキャラクタの姿勢は同図(c)に示すものになり、同様に各基本姿勢に変化が生じない。さらに、第3リール停止ボタン18が操作されるとキャラクタの姿勢は同図(d)に示すものになり、右に位置するキャラクタの右足が大きく後ろへ上がる。
【0225】
また、図7,図8,図9,図10に示す4種類の各消灯パターンに代え、図68?図71に示す、液晶表示部24に登場させたキャラクタの4種類の動作パターン1?4により、4種類の連動表示態様を演出して予兆報知するようにしてもよい。
【0226】
図68は、前述したリールランプ消灯なし(図7参照)に対応する、第1の連動表示態様を演出する動作パターン1である。各停止ボタン16?18が操作されていない時には液晶表示部24には同図(a)に示すように何も表示されていない。
【0227】
第1実施形態では、入賞態様報知選択抽選確率テーブルを用いた報知選択抽選処理で演出態様組合せ▲1▼または▲5▼が選択され、第1リール停止ボタン16が操作されると、第2実施形態では、デモ抽選テーブルを用いた報知選択抽選処理でリールランプ消灯パターンが「消灯なし」として選択され、第1リール停止ボタン16が操作されると、液晶表示部24には女の子のキャラクタ「くみちゃん」の基本姿勢が1体表示される。次に、第2リール停止ボタン17が操作されるとキャラクタの姿勢は同図(c)に示すものになり、姿勢に変化が生じず、さらに、第3リール停止ボタン18が操作されるとキャラクタの姿勢は同図(d)に示すものになり、やはり姿勢に変化が生じない。
【0228】
図69は、前述したリールランプ消灯パターン1(図8参照)に対応する、第2の連動表示態様を演出する動作パターン2である。本パターンでも、各停止ボタン16?18が操作されていない時には液晶表示部24には同図(a)に示すように何も表示されていない。
【0229】
第1実施形態では、入賞態様報知選択抽選確率テーブルを用いた報知選択抽選処理で演出態様組合せ▲2▼または▲6▼が選択され、第1リール停止ボタン16が操作されると、第2実施形態では、デモ抽選テーブルを用いた報知選択抽選処理でリールランプ消灯パターンが「消灯パターン1」として選択され、第1リール停止ボタン16が操作されると、液晶表示部24には同図(b)に示すキャラクタの基本姿勢が表示される。次に、第2リール停止ボタン17が操作されるとキャラクタの姿勢は同図(c)に示すものになり、姿勢に変化が生じず、さらに、第3リール停止ボタン18が操作されるとキャラクタの姿勢は同図(d)に示すものになり、キャラクタの右足が少し後ろへ上がる。
【0230】
図70は、前述したリールランプ消灯パターン2(図9参照)に対応する、第3の連動表示態様を演出する動作パターン3である。本パターンでも、各停止ボタン16?18が操作されていない時には液晶表示部24には同図(a)に示すように何も表示されていない。
【0231】
第1実施形態では、入賞態様報知選択抽選確率テーブルを用いた報知選択抽選処理で演出態様組合せ▲3▼または▲7▼が選択され、第1リール停止ボタン16が操作されると、第2実施形態では、デモ抽選テーブルを用いた報知選択抽選処理でリールランプ消灯パターンが「消灯パターン2」として選択され、第1リール停止ボタン16が操作されると、液晶表示部24には同図(b)に示すキャラクタの基本姿勢が表示される。次に、第2リール停止ボタン17が操作されるとキャラクタの姿勢は同図(c)に示すものになり、キャラクタの右足が少し後ろへ上がる。さらに、第3リール停止ボタン18が操作されるとキャラクタの姿勢は同図(d)に示すものになり、基本姿勢に戻る。
【0232】
図71は、前述したリールランプ消灯パターン3(図10参照)に対応する、第4の連動表示態様を演出する動作パターン4である。本パターンでも、各停止ボタン16?18が操作されていない時には液晶表示部24には同図(a)に示すように何も表示されていない。
【0233】
第1実施形態では、入賞態様報知選択抽選確率テーブルを用いた報知選択抽選処理で演出態様組合せ▲4▼または▲8▼が選択され、第1リール停止ボタン16が操作されると、第2実施形態では、デモ抽選テーブルを用いた報知選択抽選処理でリールランプ消灯パターンが「消灯パターン3」として選択され、第1リール停止ボタン16が操作されると、液晶表示部24には同図(b)に示すキャラクタの基本姿勢が表示される。次に、第2リール停止ボタン17が操作されるとキャラクタの姿勢は同図(c)に示すものになり、姿勢に変化が生じない。さらに、第3リール停止ボタン18が操作されるとキャラクタの姿勢は同図(d)に示すものになり、キャラクタの右足が大きく後ろへ上がる。
【0234】
また、上記の第2の実施形態では、各リール3?5の全停止時に、図39?図52に示すリールランプ点滅パターン1?リールランプ点滅パターン9および図示しないリールランプ点滅なしの10種類の停止表示態様を各リールバックランプ57が演出して予兆報知した。しかし、これらの各リールランプ点滅パターンに代え、図72?図81に示す、液晶表示部24に登場させたキャラクタの10種類の動作パターン1?10によって10種類の停止表示態様を演出して予兆報知するようにしてもよい。
【0235】
図72は、前述したリールランプ点滅なしに対応する、第1の停止表示態様を演出する動作パターン1である。
【0236】
上記の第2の実施形態において、デモ抽選テーブル(図54?図56参照)を用いた報知選択抽選処理(図59、ステップ104’参照)でリールランプ点滅パターンが「点滅なし」として選択された場合、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時には、同図(a)に示すように液晶表示部24に何も表示しない。続いて、同図(b)に示すように液晶表示部24の左に、一人目のキャラクタ「あみちゃん」が右足を少し上げて右足の裏を見せた基本姿勢を表示する。次に、同図(c)に示すように液晶表示部24の中央にキャラクタ「あみちゃん」の同じ基本姿勢を表示し、最後に同図(d)に示すように液晶表示部24の右にキャラクタ「あみちゃん」の同じ基本姿勢を表示する。
【0237】
図73は、前述したリールランプ点滅パターン1に対応する、第2の停止表示態様を演出する動作パターン2である。
【0238】
デモ抽選テーブルを用いた報知選択抽選処理でリールランプ点滅パターンが「点滅パターン1」として選択された場合、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時には、同図(a)に示すように液晶表示部24に何も表示しない。続いて、同図(b)に示すように液晶表示部24の左にキャラクタ「あみちゃん」の基本姿勢を表示し、次に、同図(c)に示すように液晶表示部24の中央にキャラクタ「あみちゃん」の右手が挙がった姿勢を表示し、最後に同図(d)に示すように液晶表示部24の右にキャラクタ「あみちゃん」の基本姿勢を表示する。
【0239】
図74は、前述したリールランプ点滅パターン2に対応する、第3の停止表示態様を演出する動作パターン3である。
【0240】
デモ抽選テーブルを用いた報知選択抽選処理でリールランプ点滅パターンが「点滅パターン2」として選択された場合、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時には、同図(a)に示すように液晶表示部24に何も表示しない。続いて、同図(b)に示すように液晶表示部24の左にキャラクタ「あみちゃん」の基本姿勢を表示し、次に、同図(c)に示すように液晶表示部24の中央にキャラクタ「あみちゃん」が右手を挙げてジャンプした姿勢を表示する。最後に同図(d)に示すように液晶表示部24の右に、キャラクタ「あみちゃん」が右手を元に戻して左手を前に突き出した姿勢を表示する。
【0241】
図75は、前述したリールランプ点滅パターン3に対応する、第4の停止表示態様を演出する動作パターン4である。
【0242】
デモ抽選テーブルを用いた報知選択抽選処理でリールランプ点滅パターンが「点滅パターン3」として選択された場合、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時には、同図(a)に示すように液晶表示部24に何も表示しない。続いて、同図(b)に示すように液晶表示部24の左にキャラクタ「あみちゃん」が右手を挙げた姿勢を表示し、次に、同図(c)に示すように液晶表示部24の中央にキャラクタ「あみちゃん」が右手を挙げてジャンプした姿勢を表示する。最後に同図(d)に示すように液晶表示部24の右に、キャラクタ「あみちゃん」が右手を元に戻して左手を前に突き出した姿勢を表示する。
【0243】
図76は、前述したリールランプ点滅パターン4に対応する、第5の停止表示態様を演出する動作パターン5である。
【0244】
デモ抽選テーブルを用いた報知選択抽選処理でリールランプ点滅パターンが「点滅パターン4」として選択された場合、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時には、同図(a)に示すように液晶表示部24に何も表示しない。続いて、同図(b)に示すように液晶表示部24の左にキャラクタ「あみちゃん」の基本姿勢を表示し、次に、同図(c)に示すように液晶表示部24の中央に、キャラクタ「あみちゃん」が左手を挙げて上半身をひねって小躍りした姿勢を表示する。最後に同図(d)に示すように液晶表示部24の右に、キャラクタ「あみちゃん」が握った両手を顔に近づけながら右足のかかとが着地した姿勢を表示する。
【0245】
図77は、前述したリールランプ点滅パターン5に対応する、第6の停止表示態様を演出する動作パターン6である。
【0246】
デモ抽選テーブルを用いた報知選択抽選処理でリールランプ点滅パターンが「点滅パターン5」として選択された場合、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時には、同図(a)に示すように液晶表示部24に何も表示しない。続いて、同図(b)に示すように液晶表示部24の左にキャラクタ「あみちゃん」の基本姿勢を表示し、次に、同図(c)に示すように液晶表示部24の中央に、キャラクタ「あみちゃん」が右足を大きく上げて少し宙に浮いた姿勢を表示する。最後に同図(d)に示すように液晶表示部24の右に、キャラクタ「あみちゃん」が右足を斜め後ろに少し上げながら左足を着地した姿勢を表示する。
【0247】
図78は、前述したリールランプ点滅パターン6に対応する、第7の停止表示態様を演出する動作パターン7である。
【0248】
デモ抽選テーブルを用いた報知選択抽選処理でリールランプ点滅パターンが「点滅パターン6」として選択された場合、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時には、同図(a)に示すように液晶表示部24に何も表示しない。続いて、同図(b)に示すように液晶表示部24の左にキャラクタ「あみちゃん」が右足を斜め後ろに少し上げながら左足を着地した姿勢を表示し、次に、同図(c)に示すように液晶表示部24の中央に、キャラクタ「あみちゃん」が右足を大きく上げて少し宙に浮いた姿勢を表示する。最後に同図(d)に示すように液晶表示部24の右に、キャラクタ「あみちゃん」が右足を斜め後ろに少し上げながら左足を着地した姿勢を表示する。
【0249】
図79は、前述したリールランプ点滅パターン7に対応する、第8の停止表示態様を演出する動作パターン8である。
【0250】
デモ抽選テーブルを用いた報知選択抽選処理でリールランプ点滅パターンが「点滅パターン7」として選択された場合、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時には、同図(a)に示すように液晶表示部24に何も表示しない。続いて、同図(b)に示すように液晶表示部24の左に、リュックを背負っていない二人目のキャラクタ「ゆみちゃん」が右足を少し上げながら両手の手のひらを天に向けた姿勢を表示する。次に、同図(c)に示すように液晶表示部24の中央に、キャラクタ「ゆみちゃん」が左足を少し上げながら右手を大きく挙げて左手を下に降ろした姿勢を表示する。最後に同図(d)に示すように液晶表示部24の右に、キャラクタ「ゆみちゃん」が右足を少し上げながら両手の手のひらを天に向けた姿勢を表示する。
【0251】
図80は、前述したリールランプ点滅パターン8に対応する、第9の停止表示態様を演出する動作パターン9である。
【0252】
デモ抽選テーブルを用いた報知選択抽選処理でリールランプ点滅パターンが「点滅パターン8」として選択された場合、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時には、同図(a)に示すように液晶表示部24に何も表示しない。続いて、同図(b)に示すように液晶表示部24の左に、髪をおさげに結った三人目のキャラクタ「くみちゃん」が右足を少し曲げながら左手に鞄を持った姿勢を表示する。次に、同図(c)に示すように液晶表示部24の左寄り中央に、キャラクタ「くみちゃん」が右足を後ろに大きく上げながら右手を前に大きく挙げた姿勢を表示する。次に、同図(d)に示すように液晶表示部24の右寄り中央に、キャラクタ「くみちゃん」が両足を抱えてジャンプした姿勢を表示する。最後に同図(e)に示すように液晶表示部24の右に、キャラクタ「くみちゃん」が向こうを向きながら鞄を右脇に抱えた姿勢を表示する。
【0253】
図81は、前述したリールランプ点滅パターン9に対応する、第10の停止表示態様を演出する動作パターン10である。
【0254】
デモ抽選テーブルを用いた報知選択抽選処理でリールランプ点滅パターンが「点滅パターン9」として選択された場合、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時には、同図(a)に示すように液晶表示部24に何も表示しない。続いて、同図(b)に示すように液晶表示部24の左に、二人目のキャラクタ「ゆみちゃん」が右足を少し上げながら両手の手のひらを天に向けた姿勢を表示する。次に、同図(c)に示すように液晶表示部24の左寄り中央に、キャラクタ「ゆみちゃん」が左足を少し上げながら右手を大きく挙げて左手を下に降ろした姿勢を表示する。次に、同図(d)に示すように液晶表示部24の右寄り中央に、キャラクタ「ゆみちゃん」が右足を少し上げながら両手の手のひらを天に向けた姿勢を表示する。最後に同図(e)に示すように液晶表示部24の右に、キャラクタ「ゆみちゃん」が左足を少し上げながら右手を大きく挙げて左手を下に降ろした姿勢を表示する。
【0255】
また、上記の第2の実施形態における10種類の各リールランプ点滅パターン(図39?図52参照)に代え、図82?図91に示す、液晶表示部24に登場させたキャラクタの10種類の動作パターン1?10によって10種類の停止表示態様を演出して予兆報知するようにしてもよい。
【0256】
図82?図91は、それぞれ図72?図81に対応しており、第2の実施形態におけるリールランプ点滅なし?リールランプ点滅パターン9にそれぞれ対応している。各リール3?5の全停止後、上述した図72?図81に示す動作パターン1?10では、液晶表示部24に一時に1体だけのキャラクタを表示したが、図82?図91に示す動作パターン1?10では、液晶表示部24に表示するキャラクタが時間を追って1体,2体,3体と増えて行く。
【0257】
さらに、上記の第2の実施形態における10種類の各リールランプ点滅パターン(図39?図52参照)に代え、図92?図101に示す、液晶表示部24に登場させたキャラクタの10種類の動作パターン1?10によって10種類の停止表示態様を演出して予兆報知するようにしてもよい。
【0258】
図92?図101も、それぞれ図72?図81に対応しており、第2の実施形態におけるリールランプ点滅なし?リールランプ点滅パターン9にそれぞれ対応している。各リール3?5の全停止後、上述した図72?図81に示す動作パターン1?10では、液晶表示部24の左,中央,および右の各位置に順に1体のキャラクタを移動表示したが、図92?図101に示す動作パターン1?10では、各姿勢の1体のキャラクタを液晶表示部24の同じ中央位置に表示する。
【0259】
図72?図101に示すこのような3通りの10種類の各停止表示態様を各リール3?5の全停止後に液晶表示部24に演出表示しても、第2の実施形態と同様な作用・効果が得られる。
【0260】
また、上述した各実施形態では、報知手段は、可変表示開始手段(スタートレバー15)によって各リール3?5の可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と、可変表示停止手段(停止ボタン16?18)によって各列の可変表示が停止されるのに連動し、複数の表示態様の中の1つの表示態様で各列の可変表示を演出する連動演出手段と、各列の可変表示の全てが停止したときに複数の表示態様の中の1つの表示態様で可変表示装置(リール3?5)の表示を演出する停止演出手段とから構成された。
【0261】
しかし、この報知手段は、上記の音発生手段と連動演出手段とだけによって構成するようにしてもよい。また、この報知手段は、上記の音発生手段と停止演出手段とだけによって構成するようにしてもよい。また、この報知手段は、上記の連動演出手段と停止演出手段とだけによって構成するようにしてもよい。
【0262】
報知手段がこのようないずれの構成によって構成されても、必要とされる報知情報の種類を満たす数だけ、各構成手段の演出の組合せを用意することにより、上述した各実施形態と同様な作用・効果が奏される。
【0263】
また、上述した各実施形態では、連動演出手段は、停止ボタン16?18の各操作に連動して各リール3?5の各バックランプ57を点滅制御し、選択された連動表示態様を演出した。しかし、いずれか1つの停止ボタン16?18、例えばランダムに選択されたまたは固定した1つの停止ボタン16?18が操作されるのを契機に、残りの他の停止ボタンの操作に関わらず、連動表示態様を順次演出するようにしてもよい。例えば、第1停止ボタン16が操作されるのを契機に、第2停止ボタン17および第3停止ボタン18の操作に関わらず、各停止リール3?5の各バックランプ57a?57cを点滅制御して例えば図8(a)?(d)に示す第2の連動表示態様を順次演出するようにしてもよい。
【0264】
また、これと同様に、ランダムに選択されたまたは固定したいずれか2つの停止ボタン操作に連動し、連動表示態様を演出するようにしてもよい。例えば、連動表示態様として図10に示す第4の連動表示態様が選択された場合、第1停止ボタン16が操作されると、同図(a)に示すように回転中点灯していた各リール3?5の各バックランプ57は、同図(b)に示すように第1リール3のバックランプ57が消灯する。そして、第2停止ボタン17が操作されると、第3停止ボタン18の操作に関わらず、同図(c)、(d)に示すように、第2リール4および第3リール5の各バックランプ57a?57cが順次消灯する。
【0265】
また、遊技機の中には、可変表示を停止操作するボタンを持たずに、それぞれの可変表示部が各可変表示列毎に順次自動的に停止するものも存在する。このような場合でも、それぞれの可変表示列が自動停止するタイミングで、上述した入賞態様報知手段を動作させれば、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0266】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、内部抽選によって決定された入賞態様が遊技の一連の流れの中で遊技者に報知される。従って、演技の面白味が増し、また、リーチ目の出目を判断できない遊技の初心者であっても、遊技の一連の流れの中でこの報知によってある程度入賞態様の予測をすることが可能となる。また、この報知は所定確率で行われるため、報知があった場合にはその喜びも増し、一層面白味を増すことが出来、また、報知は各入賞態様に対して行われるため、例えば、停止ボタンの操作等が容易に行えるようになる。
【0267】
また、遊技者は、特定入賞態様発生の内部抽選結果が告知手段によって告知されていない場合にも、報知手段の報知情報によって特定入賞態様発生の内部抽選結果を知ることが出来る。このため、報知手段の報知情報から特定入賞態様の発生を探す喜びが遊技に生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1の実施形態によるスロットマシンの外観を示す正面図である。
【図2】
図1に示すスロットマシンの回転リールユニットを示す斜視図である。
【図3】
図2に示す回転リールユニットを構成する回転リールの構造を示す斜視図である。
【図4】
図1に示すスロットマシンの表示窓に記された入賞ラインが順次有効化される状態を示す図である。
【図5】
図1に示すスロットマシンの主要な制御回路構成を示すブロック図である。
【図6】
第1,第2の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理において遊技開始音が出力されるタイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】
第1,第2の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理において連動演出手段によって遊技者に報知される第1の連動表示態様を示す図である。
【図8】
第1,第2の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理において連動演出手段によって遊技者に報知される第2の連動表示態様を示す図である。
【図9】
第1,第2の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理において連動演出手段によって遊技者に報知される第3の連動表示態様を示す図である。
【図10】
第1,第2の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理において連動演出手段によって遊技者に報知される第4の連動表示態様を示す図である。
【図11】
図10に示す第4の連動表示態様が行われる際の回路各部のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図12】
第1の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第1の停止表示態様を示す図である。
【図13】
第1の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第2の停止表示態様を示す図である。
【図14】
第1の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第3の停止表示態様を示す図である。
【図15】
第1の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第4の停止表示態様を示す図である。
【図16】
第1,第2の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる入賞確率テーブルを示す図である。
【図17】
第1,第2の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられるシンボルテーブルを示す図である。
【図18】
第1の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において報知手段によって遊技者に報知される演出表示態様の組合せを示す図である。
【図19】
(a)は第1の実施形態において遊技開始音の種類と各入賞態様が現れる頻度との関係、(b)は第1の実施形態において連動表示態様の種類と各入賞態様が現れる頻度との関係、(c)は第1の実施形態において停止表示態様の種類と各入賞態様が現れる頻度との関係を示す図である。
【図20】
第1の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる入賞態様報知選択抽選確率テーブルを示す図である。
【図21】
図20に示す報知選択抽選確率テーブルを用いた結果各予兆報知パターンが出現する確率を示す出現確率テーブルである。
【図22】
第1の実施形態によるスロットマシンの遊技処理を示す第1のフローチャートである。
【図23】
第1,第2の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理を示す第2のフローチャートである。
【図24】
図22に示すリール停止制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図25】
第1,第2の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理で各回転リールに割り当てて読み込まれるシンボルコードの関係を示す図である。
【図26】
第1,第2の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられるヒット予想フラグテーブルを示す図である。
【図27】
(a)は図18に示す演出態様組合せ▲3▼における各入賞態様の出現頻度、(b)は図18に示す演出態様組合せ▲8▼における各入賞態様の出現頻度を示す図である。
【図28】
本発明の第2の実施形態によるスロットマシンの外観を示す正面図である。
【図29】
図28に示すスロットマシンの主要な制御回路構成を示すブロック図である。
【図30】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第1のリール停止音選択テーブルを示す図である。
【図31】
図30に示すリール停止音1のタイミングチャートである。
【図32】
リール停止音1の消音前に次の停止ボタンが押された際のリール停止音1のタイミングチャートである。
【図33】
図30に示すリール停止音2のタイミングチャートである。
【図34】
リール停止音2の消音前に次の停止ボタンが押された際のリール停止音2のタイミングチャートである。
【図35】
図30に示すリール停止音3のタイミングチャートである。
【図36】
リール停止音3の消音前に次の停止ボタンが押された際のリール停止音3のタイミングチャートである。
【図37】
図30に示すリール停止音4のタイミングチャートである。
【図38】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第2のリール停止音選択テーブルを示す図である。
【図39】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第2の停止表示態様(リールランプ点滅パターン1)を示す図である。
【図40】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第3の停止表示態様(リールランプ点滅パターン2)を示す図である。
【図41】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第4の停止表示態様(リールランプ点滅パターン3)を示す図である。
【図42】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第5の停止表示態様(リールランプ点滅パターン4)の前半を示す図である。
【図43】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第5の停止表示態様(リールランプ点滅パターン4)の後半を示す図である。
【図44】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第6の停止表示態様(リールランプ点滅パターン5)を示す図である。
【図45】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第7の停止表示態様(リールランプ点滅パターン6)を示す図である。
【図46】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第8の停止表示態様(リールランプ点滅パターン7)の前半を示す図である。
【図47】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第8の停止表示態様(リールランプ点滅パターン7)の中半を示す図である。
【図48】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第8の停止表示態様(リールランプ点滅パターン7)の後半を示す図である。
【図49】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第9の停止表示態様(リールランプ点滅パターン8)を示す図である。
【図50】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第10の停止表示態様(リールランプ点滅パターン9)の前半を示す図である。
【図51】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第10の停止表示態様(リールランプ点滅パターン9)の中半を示す図である。
【図52】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第10の停止表示態様(リールランプ点滅パターン9)の後半を示す図である。
【図53】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられるデモ抽選テーブル選択テーブルを示す図である。
【図54】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第1のデモ抽選テーブルを示す図である。
【図55】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第2のデモ抽選テーブルを示す図である。
【図56】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第3のデモ抽選テーブルを示す図である。
【図57】
(a)は第2の実施形態によるスロットマシンのRAMに記憶された遊技状態ステータス(GMLVSTS)格納領域の内容、(b)は同RAMに記憶されたフラグカウンタ(FLGCTR)格納領域の内容を示す図である。
【図58】
第2の実施形態において特定入賞態様発生の予兆報知が100%の確率で行われる確定パターンを示す図である。
【図59】
第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理を示す第1のフローチャートである。
【図60】
図59に示す報知選択抽選処理の内容を示すフローチャートである。
【図61】
図59に示すリール停止制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図62】
図59に示す告知ランプ制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図63】
第2の実施形態における告知ランプの点灯タイミングチャートを示す図である。
【図64】
第1,第2の各実施形態の第1の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において連動演出手段によって遊技者に報知される第1の連動表示態様を示す図である。
【図65】
第1,第2の各実施形態の第1の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において連動演出手段によって遊技者に報知される第2の連動表示態様を示す図である。
【図66】
第1,第2の各実施形態の第1の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において連動演出手段によって遊技者に報知される第3の連動表示態様を示す図である。
【図67】
第1,第2の各実施形態の第1の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において連動演出手段によって遊技者に報知される第4の連動表示態様を示す図である。
【図68】
第1,第2の各実施形態の第2の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において連動演出手段によって遊技者に報知される第1の連動表示態様を示す図である。
【図69】
第1,第2の各実施形態の第2の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において連動演出手段によって遊技者に報知される第2の連動表示態様を示す図である。
【図70】
第1,第2の各実施形態の第2の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において連動演出手段によって遊技者に報知される第3の連動表示態様を示す図である。
【図71】
第1,第2の各実施形態の第2の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において連動演出手段によって遊技者に報知される第4の連動表示態様を示す図である。
【図72】
第2の実施形態の第1の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第1の停止表示態様を示す図である。
【図73】
第2の実施形態の第1の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第2の停止表示態様を示す図である。
【図74】
第2の実施形態の第1の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第3の停止表示態様を示す図である。
【図75】
第2の実施形態の第1の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第4の停止表示態様を示す図である。
【図76】
第2の実施形態の第1の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第5の停止表示態様を示す図である。
【図77】
第2の実施形態の第1の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第6の停止表示態様を示す図である。
【図78】
第2の実施形態の第1の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第7の停止表示態様を示す図である。
【図79】
第2の実施形態の第1の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第8の停止表示態様を示す図である。
【図80】
第2の実施形態の第1の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第9の停止表示態様を示す図である。
【図81】
第2の実施形態の第1の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第10の停止表示態様を示す図である。
【図82】
第2の実施形態の第2の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第1の停止表示態様を示す図である。
【図83】
第2の実施形態の第2の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第2の停止表示態様を示す図である。
【図84】
第2の実施形態の第2の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第3の停止表示態様を示す図である。
【図85】
第2の実施形態の第2の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第4の停止表示態様を示す図である。
【図86】
第2の実施形態の第2の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第5の停止表示態様を示す図である。
【図87】
第2の実施形態の第2の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第6の停止表示態様を示す図である。
【図88】
第2の実施形態の第2の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第7の停止表示態様を示す図である。
【図89】
第2の実施形態の第2の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第8の停止表示態様を示す図である。
【図90】
第2の実施形態の第2の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第9の停止表示態様を示す図である。
【図91】
第2の実施形態の第2の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第10の停止表示態様を示す図である。
【図92】
第2の実施形態の第3の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第1の停止表示態様を示す図である。
【図93】
第2の実施形態の第3の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第2の停止表示態様を示す図である。
【図94】
第2の実施形態の第3の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第3の停止表示態様を示す図である。
【図95】
第2の実施形態の第3の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第4の停止表示態様を示す図である。
【図96】
第2の実施形態の第3の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第5の停止表示態様を示す図である。
【図97】
第2の実施形態の第3の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第6の停止表示態様を示す図である。
【図98】
第2の実施形態の第3の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第7の停止表示態様を示す図である。
【図99】
第2の実施形態の第3の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第8の停止表示態様を示す図である。
【図100】
第2の実施形態の第3の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第9の停止表示態様を示す図である。
【図101】
第2の実施形態の第3の変形態様によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第10の停止表示態様を示す図である。
【図102】
従来のスロットマシンにおける各リールバックランプの点灯状態を示す図である。
【符号の説明】
1…スロットマシン
2…前面パネル
3,4,5…第1,第2,第3リール
6,7,8…窓
9…メダル投入口
10,11,12…BETスイッチ
13…クレジット数表示部
14…クレジット/精算切換スイッチ
15…スタートレバー
16,17,18…停止ボタン
19…透音孔
20…メダル受皿
21…メダル払出口
22…配当表示部
23…有効化ライン表示ランプ
24…液晶表示部
L1,L2A,L2B,L3A,L3B…入賞ライン
57a,57b,57c…バックランプ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2012-03-05 
結審通知日 2012-03-07 
審決日 2012-03-27 
出願番号 特願平11-160182
審決分類 P 1 123・ 841- ZD (A63F)
P 1 123・ 121- ZD (A63F)
P 1 123・ 112- ZD (A63F)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 神 悦彦池谷 香次郎  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 伊藤 陽
澤田 真治
登録日 2000-05-19 
登録番号 特許第3069092号(P3069092)
発明の名称 遊技機  
代理人 豊岡 静男  
代理人 福田 あやこ  
代理人 今井 博紀  
代理人 辰巳 忠宏  
代理人 長沢 幸男  
代理人 長沢 幸男  
代理人 田中 康久  
代理人 長沢 美智子  
代理人 中尾 真一  
代理人 大西 剛  
代理人 大西 剛  
代理人 井崎 康孝  
復代理人 山崎 道雄  
代理人 田中 康久  
代理人 森本 純  
代理人 井口 喜久治  
復代理人 辻 淳子  
代理人 小松 陽一郎  
代理人 長沢 美智子  
代理人 辻村 和彦  
代理人 今井 博紀  
代理人 豊岡 静男  

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