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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1267388
審判番号 不服2011-25511  
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-28 
確定日 2012-12-12 
事件の表示 特願2006-534721号「脊椎安定装置」拒絶査定不服審判事件 〔平成17年5月6日国際公開、WO2005/039454、平成19年4月5日国内公表、特表2007-508085号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成16年10月18日(パリ条約による優先権主張 2003年10月17日、ドイツ国 2003年10月17日、アメリカ合衆国 2003年11月21日、アメリカ合衆国 2004年3月3日、アメリカ合衆国 2004年5月4日、ドイツ国)を国際出願日とする出願であって、平成23年7月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成23年11月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

II.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年1月13日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「脊椎安定装置であって、
骨または椎骨に固定される第1の骨固定部材であって、第1の受け部を有する第1の骨固定部材と、
骨または椎骨に固定される第2の骨固定部材であって、第2の受け部を有する第2の骨固定部材と、
前記第1の骨固定部材を前記第2の骨固定部材に接続する接続部材であって、前記第1の受け部および前記第2の受け部に当該接続部材が受け入れられることで前記第1の骨固定部材を前記第2の骨固定部材に接続するよう設計された接続部材と、
を備え、
前記接続部材は、
前記第1の骨固定部材に接続するように設計された第1の管状の本体を含む第1の剛性部分と、
前記第2の骨固定部材に接続するように設計された第2の管状の本体を含む第2の剛性部分と、
可撓性のある管状の本体であって螺旋形状の凹部を有する管状の本体を含む可撓性部分であって、前記可撓性のある管状の本体は、前記第1の剛性部分と前記第2の剛性部分との間に設けられる、可撓性部分と、
を備え、
前記脊椎安定装置は、前記接続部材に隣接する脊椎円盤または椎骨を置き換えるためのスペースホルダであって、螺旋形状の凹部を有する可撓性部分を含む管状の本体を備えるスペースホルダをさらに備える、
ことを特徴とする脊椎安定装置。」

III.引用刊行物の記載事項
(刊行物1)
原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である国際公開第03/047442号(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(ア)「Patentanspruche
1. Dampfungselement (1),
gekennzeichnet durch
A) zwei zu einer Langsachse (3) koaxiale oder parallele Federelemente (2;4) und axial endstandig zwei Verbindungsteile (5;6); wobei
B) das erste Federelement (2) eine Federrate F aufweist;
C) das zweite Federelement (4) eine Federrate f aufweist; und
D) die Federraten F und f voneinander verschieden sind.
2. Dampfungselement (1) nach Anspruch 1, dadurch gekennzeichnet, dass die Verbindungsteile (5;6) mit den Federelementen (2;4) so zusammenfugbar sind, dass mindestens eines der Federelemente (2;4) mit den Verbindungsteilen (5;6) verbunden ist.
・・・
16. Dampfungselement (1) nach einem der Anspruche 1 bis 15, dadurch gekennzeichnet, dass das erste Federelement (2) als Schraubenfeder ausgebildet ist und einen schraubenlinienformigen Schlitz (34) aufweist.
・・・
27. Vorrichtung zur Stabilisierung benachbarter Wirbelkorper mit
A) N Pedikelschrauben (12) oder Pedikelhaken, wobei N = oder > 3 ist und wobei
B) jede Pedikelschraube (12) oder jeder Pedikelhaken Aufnahmemittel (13) umfasst, welche die Aufnahme von longitudinalen Befestigungselementen (7) gestatten, dadurch gekennzeichnet, dass
C) mindestens ein als Feder wirkendes Element (14) zwischen zwei benachbarten Pedikelschrauben (12) oder Pedikelhaken eingesetzt ist.
28. Vorrichtung nach Anspruch 27, dadurch gekennzeichnet, dass das als Feder wirkende Element (14) ein Dampfungselement (1) nach einem der Anspruche 1 bis 24 ist.
・・・
30. Vorrichtung nach einem der Anspruche 27 bis 29, dadurch gekennzeichnet, dass als Befestigungselement (7) ein stabformiges Verbindungsteil (5;6) eines Dampfungselementes (1) in den Aufnahmemitteln (13) losbar blockierbar ist.
・・・
32. Vorrichtung nach einem der Anspruche 27 bis 31, dadurch gekennzeichnet, dass mindestens eine Pedikelschraube oder ein Pedikelhaken (12) Aufnahmemittel (13) umfasst, welche zugleich die Aufnahme von zwei parallelen longitudinalen Befestigungselementen (7) gestattet.
(【請求項1】
A)長手軸線(3)に対し同軸または平行の2つのばね要素(2;4)と、軸方向に末端の2つの連結部(5;6)とを特徴とする減衰要素(1)において、
B)前記第1のばね要素(2)がばね定数Fを有し、
C)前記第2のばね要素(4)がばね定数fを有し、
D)前記ばね定数Fおよびfが互いに異なる減衰要素(1)。
【請求項2】
前記ばね要素(2;4)の少なくとも1つが前記連結部(5;6)と連結されるように、前記連結部(5;6)と前記ばね要素(2;4)とが組み合わせ可能であることを特徴とする、請求項1に記載の減衰要素(1)。
・・・
【請求項16】
前記第1のばね要素(2)がコイルばねとして形成され、かつ螺旋状のスリット(34)を備えることを特徴とする、請求項1?15のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
・・・
【請求項27】
隣接した椎体を安定化するための装置であって、
A)Nの茎ねじ(12)または茎フックを有し、ここでN=3または>3であり、
B)各前記茎ねじ(12)または各前記茎フックが、長手方向の固定要素(7)の収容を可能にする収容手段(13)を含む装置において、
C)ばねとして作用する少なくとも1つの要素(14)が、2つの隣接した前記茎ねじ(12)または前記茎フックの間に挿入されることを特徴とする装置。
【請求項28】
ばねとして作用する前記要素(14)が、請求項1?24のいずれか1項に記載の前記減衰要素(1)であることを特徴とする、請求項27に記載の装置。
・・・
【請求項30】
前記固定要素(7)として、前記収容手段(13)内の前記減衰要素(1)の前記棒状連結部(5;6)を解放可能にブロック可能であることを特徴とする、請求項27?29のいずれか1項に記載の装置。
・・・
【請求項32】
少なくとも1つの前記茎ねじまたは前記茎フック(12)が、2つの平行の長手方向の前記固定要素(7)の収容を同時に可能にする前記収容手段(13)を含むことを特徴とする、請求項27?31のいずれか1項に記載の装置。(公報【特許請求の範囲】))」
(14ページ1行?17ページ最終行、()内は仮訳として、対応する特表2005-511133号公報を援用した。以下同様。)

(イ)「Die Fig. 1 zeigt eine Ausfuhrungsform des erfindungsgemassen Dampfungselementes 1 mit zwei zur Langsachse 3 konzentrisch angeordneten Federelementen 2;4. Das erste Federelement 2 ist als Schraubenfeder mit einem zentralen Hohlraum 15 ausgefuhrt, wahrend das zweite Federelement 4 stabformig ausgestaltet ist und im Hohlraum 15 angeordnet ist. Die endstandigen Verbindungsteile 5;6 sind ebenfalls zur Langsachse 3 koaxial angeordnet und weisen gegen die Federelemente 2;4 gerichtet, je ein zur Langsachse 3 koaxiales Gewindestuck 16;17 mit einem Aussengewinde 18 auf. Das erste Federelement 2 ist an seinen axialen Enden 21 mit im Hohlraum 15 angebrachten Innengewinden 24 versehen, welche zu den Aussengewinden 18 komplementar ausgestaltet sind, so dass die Gewindestucke der Verbindungsteile 5;6 in das erste Federelement 2 einschraubbar sind.
・・・
In Fig. 2 ist eine Ausfuhrungsform der erfindungsgemassen Vorrichtung am Beispiel einer Vorrichtung zur Stabilisierung benachbarter Wirbelkorper (nicht gezeichnet) dargestellt. Mehrere Pedikelschrauben oder -haken 12 sind so an den Pedikeln der zu verbindenden Wirbelkorper befestigt, dass ihre Zentralachsen 28 quer zur Wirbelsaulenlangsachse angeordnet sind. Die Aufnahmemittel 13 an den Pedikelschrauben oder -haken 12 sind zu den Zentralachsen 28 senkrecht angeordnet und als Kanale 26 ausgebildet. In diesen Kanalen 26 sind die stabformigen, ausseren Enden 20 der Verbindungsteile 5;6 (Fig. 1) einfuhrbar, so dass die Dampfungselemente 1 in den Kanalen 26 axial verschiebbar sind, bevor sie mittels Schrauben 27 relativ zu den Pedikelschrauben oder -haken 12 fixiert werden. Die Aufnahmemittel 13 an den Pedikelschrauben oder-haken 12 umfassen je zwei parallele Kanale 26, so dass an einer Pedikelschraube oder -haken 12 neben einem Dampfungselement 1 beispielsweise ein stabformiges Befestigungselement 7 fixierbar ist.
Fig. 3 zeigt eine Ausfuhrungsform des erfindungsgemassen Dampfungselementes 1 mit einem als Schraubenfeder ausgestalteten, ersten Federelement 2, einem stabformig ausgebildeten, zweiten Federelement 4 und zwei zur Langsachse 3 koaxial angeordneten Verbindungsteilen 5;6.
Fig. 4 und 5 zeigen eine Ausfuhrungsform des erfindungsgemassen Dampfungselementes 1 mit einem als Schraubenfeder ausgestalteten ersten Federelement 2 und zwei zur Langsachse 3 koaxial mit dem ersten Federelement 2 verbundenen Verbindungsteilen 5;6.
In Fig. 6 ist eine Ausfuhrungsform des erfindungsgemassen Dampfungselementes 1 dargestellt, welches einen zur Langsachse 3 orthogonalen, kreisformigen Querschnitt aufweist. Andere Querschnittsformen, beispielsweise ovale oder elliptische Querschnitte, welche die Implantation des Dampfungselementes 1 begunstigen sind ebenfalls moglich.
(図1は、長手軸線3に対し同心に配置された2つのばね要素2;4を有する本発明による減衰要素1の実施態様を示している。第1のばね要素2は、中心の中空室15を有するコイルばねとして形成され、一方、第2のばね要素4は棒状に形成され、中空室15内に配置される。末端連結部5;6は、同様に長手軸線3に対し同軸に配置され、ばね要素2;4に対し方向付けられた、長手軸線3に対し同軸のそれぞれ1つのねじ部片16;17を備え、ねじ部片は雄ねじ18を有する。第1のばね要素2は、その軸方向端部21に、中空室15内に取り付けられた雌ねじ24を備え、この雌ねじは雄ねじ18に対し補完的に形成され、この結果、連結部5;6のねじ部片は第1のばね要素2にねじ込み可能である。・・・
図2に、本発明による装置の実施態様が、隣接した椎体(図示せず)を安定化するための装置の例に示されている。複数の茎ねじまたはフック12は、中心軸28が脊柱軸に対して横方向に配置されるように、連結すべき椎体の茎に固定される。茎ねじまたはフック12の収容手段13は、中心軸28に対して垂直に配置され、通路26として形成される。この通路26内に、連結部5;6(図1)の棒状の外側端部20が差し込み可能であり、この結果、減衰要素がねじ27によって茎ねじまたはフック12に対して固定される前に、減衰要素1は通路26内で軸方向に摺動可能である。茎ねじまたはフック12の収容手段13は、含みそれぞれ2つの平行の通路26を含み、この結果、茎ねじまたはフック12に、減衰要素1のほかに、例えば棒状の固定要素7が固定可能である。
図3は、コイルばねとして形成された第1のばね要素2と、棒状に形成された第2のばね要素4と、長手軸線3に対し同軸にされた2つの連結部5;6とを有する本発明による減衰要素1の実施態様を示している。
図4と図5は、コイルばねとして形成された第1のばね要素2と、長手軸線3に対し同軸に第1の減衰要素2と連結された2つの連結部5;6とを有する本発明による減衰要素1の実施態様を示している。
図6に、長手軸線3に対し直角の円形断面を有する本発明による減衰要素1の実施態様が示されている。減衰要素1の移植に有利な他の断面形状、例えば卵形断面または楕円断面が、同様に可能である。(公報段落【0016】?【0018】))」(9ページ19行?11ページ2行)

(ウ)上記記載事項(イ)に関連して、図2には、「第1の収容手段13を有し椎体に固定される第1の茎ねじ12と、第2の収容手段13を有し椎体に固定される第2の茎ねじ12とを備える」点、及び「減衰要素1が第1の茎ねじ12を第2の茎ねじ12に連結する」点が示されている。

(エ)上記記載事項(ア)及び(イ)に関連して、図3ないし6には、「第1のばね要素2が、連結部5をねじ込み可能とする第1の管状の部分と、連結部6をねじ込み可能とする第2の管状の部分と、該第1の管状の部分と該第2の管状の部分との間に設けられる螺旋状のスリットが設けられた部分とを備える」点が示されている。

以上の記載事項及び図示内容から、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「隣接した椎体を安定化するための装置であって、
椎体に固定される第1の茎ねじ12であって、第1の収容手段13を有する第1の茎ねじ12と、
椎体に固定される第2の茎ねじ12であって、第2の収容手段13を有する第2の茎ねじ12と、
前記第1の茎ねじ12を前記第2の茎ねじ12に連結する減衰要素1であって、前記第1の収容手段13および前記第2の収容手段13に当該減衰要素1の連結部5、6が差し込まれることで前記第1の茎ねじ12を前記第2の茎ねじ12に連結するようにされた減衰要素1と、
を備え、
前記減衰要素1は、
前記第1の茎ねじ12に連結するようにされた連結部5及び該連結部5をねじ込み可能とする第1のばね要素2の第1の管状の部分と、
前記第2の茎ねじ12に連結するようにされた連結部6及び該連結部6をねじ込み可能とする第1のばね要素2の第2の管状の部分と、
コイルばねとして形成された第1のばね要素2の螺旋状のスリットが設けられた部分であって、該螺旋状のスリットが設けられた部分は、前記第1の管状の部分と前記第2の管状の部分との間に設けられる、第1のばね要素2の螺旋状のスリットが設けられた部分と、
を備えた、
隣接した椎体を安定化するための装置。」

(刊行物2)
原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である米国特許第6579321号明細書(以下、「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(オ)「1. An implantable intervertebral disc replacement prosthesis, comprising:
a disc member having an upper surface, a lower surface, and a perimeter surface, and having an axis, the disc member having a slit defined in the perimeter surface to provide flexibility to the disc member, the slit having a slit thickness and a first end and a second end, with each end terminating in a perimeter opening larger than the slit thickness,
a cavity along the axis of the disc, and
a support ball housed in the cavity.
(1.植込み型椎間板置換補綴具であって、
上面、下面、及び周囲面を有する円盤状部材であって、軸を有し、円盤状部材に可撓性を提供するために周囲面上に定められたスリットを有し、該スリットはスリットの厚さと第1の端部及び第2の端部を有し、該各端部は該スリットの厚さよりも大きい周囲面上の開口において終結する、円盤状部材と、
円盤状部材の軸に沿った空洞と、
空洞内に収容される支持球と、
を備える植込み型椎間板置換補綴具。)」
([Claim 1]、()内は当審による仮訳である。以下同様。)

(カ)「23. The implantable intervertebral disc replacement of claim 1, wherein the slit is helical to the axis of the disc member.(23.スリットが円盤状部材の軸に対して螺旋状である、請求項1に記載の植込み型椎間板置換補綴具。)」([Claim 23])

(キ)「Finally, FIG. 9 offers a view of an embodiment of the disc prosthesis 10 of the present invention comprising one slit 12 along the perimeter surface 15 that terminates into two perimeter openings 14. In this embodiment, the slit 12 is defined in a helical manner about the perimeter surface 15. That is, the slit 12 is helical to the axis (not shown in this drawing).(最後に、図9に本発明の円盤状補綴具10の実施形態が示されており、周囲面15に沿った1本のスリット12は2つの周囲面上の開口14で終結している。この実施形態では、スリット12は周囲面15上に螺旋状に定められている。すなわち、スリット12は、(この図面には示されていない)軸に対して螺旋状である。)」(5欄47?53行)

(ク)上記記載事項(オ)ないし(キ)に関連して、図9には、「植込み型椎間板置換補綴具が、螺旋状のスリット12を有する可撓性の部分を含む管状の本体を備える」点が示されている。

以上の記載事項及び図示内容から、刊行物2には、次の技術事項が記載されている。

「植込み型椎間板置換補綴具であって、螺旋状のスリット12を有する可撓性の部分を含む管状の本体を備える植込み型椎間板置換補綴具。」

IV.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、その意味、構造又は機能からみて、引用発明の「隣接した椎体を安定化するための装置」は、本願発明の「脊椎安定装置」に相当し、以下同様に、「椎体」は「骨または椎骨」に、「第1の茎ねじ12」は「第1の骨固定部材」に、「第1の収容手段13」は「第1の受け部」に、「第2の茎ねじ12」は「第2の骨固定部材」に、「第2の収容手段13」は「第2の受け部」に、「連結する」は「接続する」に、「減衰要素1」は「接続部材」に、「減衰要素1の連結部5、6が差し込まれる」は「接続部材が受け入れられる」に、「連結するようにされた」は「接続するよう設計された」に、「連結部5及び該連結部5をねじ込み可能とする第1のばね要素2の第1の管状の部分」は「第1の管状の本体を含む第1の剛性部分」に、「連結部6及び該連結部6をねじ込み可能とする第1のばね要素2の第2の管状の部分」は「第2の管状の本体を含む第2の剛性部分」に、「コイルばねとして形成された第1のばね要素2の螺旋状のスリットが設けられた部分」は「可撓性のある管状の本体であって螺旋形状の凹部を有する管状の本体を含む可撓性部分」に、「螺旋状のスリットが設けられた部分は、第1の管状の部分と第2の管状の部分との間に設けられる」は「可撓性のある管状の本体は、第1の剛性部分と第2の剛性部分との間に設けられる」に、それぞれ相当する。

そこで、本願発明の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。
(一致点)
「脊椎安定装置であって、
骨または椎骨に固定される第1の骨固定部材であって、第1の受け部を有する第1の骨固定部材と、
骨または椎骨に固定される第2の骨固定部材であって、第2の受け部を有する第2の骨固定部材と、
前記第1の骨固定部材を前記第2の骨固定部材に接続する接続部材であって、前記第1の受け部および前記第2の受け部に当該接続部材が受け入れられることで前記第1の骨固定部材を前記第2の骨固定部材に接続するよう設計された接続部材と、
を備え、
前記接続部材は、
前記第1の骨固定部材に接続するように設計された第1の管状の本体を含む第1の剛性部分と、
前記第2の骨固定部材に接続するように設計された第2の管状の本体を含む第2の剛性部分と、
可撓性のある管状の本体であって螺旋形状の凹部を有する管状の本体を含む可撓性部分であって、前記可撓性のある管状の本体は、前記第1の剛性部分と前記第2の剛性部分との間に設けられる、可撓性部分と、
を備える、脊椎安定装置。」

そして、両者は次の点で相違する。
(相違点)
本願発明では、「脊椎安定装置は、接続部材に隣接する脊椎円盤または椎骨を置き換えるためのスペースホルダであって、螺旋形状の凹部を有する可撓性部分を含む管状の本体を備えるスペースホルダをさらに備える」のに対して、引用発明では、そのような構成を備えていない点。

V.相違点の判断
上記相違点について検討する。

刊行物2には、植込み型椎間板置換補綴具(「脊椎円盤または椎骨を置き換えるためのスペースホルダ」に相当)であって、螺旋状のスリット(「螺旋形状の凹部」に相当)を有する可撓性の部分(「可撓性部分」に相当)を含む管状の本体を備える植込み型椎間板置換補綴具が記載されている。
引用発明と刊行物2に記載された技術事項とは、隣接した椎体を安定化するための装置という共通の技術分野に属するものであり、また、隣接した椎体を安定化するための装置において、隣接する椎体に各々固定される2つの骨固定部材を接続部材により接続する構成と、スペースホルダにより脊椎円盤を置き換える構成の両者により、隣接する椎体を安定化させることが、周知の技術事項(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特表2003-518409号公報の図15?20、特表2000-513263号公報の図2、国際公開第02/28297号の図2、3、11を参照。)であることを踏まえれば、引用発明において、隣接した椎体をより安定化させるために、刊行物2に記載された技術事項をあわせて用いることとし、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

また、本願発明による効果も、引用発明、刊行物2に記載された技術事項、及び周知の技術事項から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

VI.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、刊行物2に記載された技術事項、及び周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-07-12 
結審通知日 2012-07-17 
審決日 2012-07-30 
出願番号 特願2006-534721(P2006-534721)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 菅家 裕輔  
特許庁審判長 高木 彰
特許庁審判官 蓮井 雅之
高田 元樹
発明の名称 脊椎安定装置  
代理人 石田 純  
代理人 吉田 研二  

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