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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F16J
管理番号 1268671
審判番号 不服2012-807  
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-01-16 
確定日 2013-01-10 
事件の表示 特願2006-338190「シールリング」拒絶査定不服審判事件〔平成20年7月3日出願公開、特開2008-151201〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成18年12月15日の出願であって、平成23年10月28日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成24年1月16日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、その請求と同時に手続補正がされたものであり、その後、当審において平成24年8月21日付けで拒絶理由を通知したところ、平成24年10月16日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。


2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、平成23年6月10日付け、平成24年1月16日付け及び平成24年10月16日付けの手続補正によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明は、次のとおりである。
「互いに相対回転自在に組み付けられる2部材のうちの一方の部材に設けられた環状溝に装着され、かつ該環状溝の非密封流体側の側壁面及び他方の部材の周面に対してそれぞれ摺動自在に設けられて、これら2部材間の環状隙間をシールする樹脂材からなるシールリングであって、
前記環状溝の非密封流体側の側壁面に対して摺動し得る領域全体に行き渡るように複数の窪みが設けられており、これら複数の窪みは、その深さによらず、その断面の形状及び大きさが一定であることを特徴とするシールリング。」(以下、「本願発明」という。)


3 引用例
(1)引用例1
これに対して、平成24年8月21日付けの拒絶理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平10-26229号公報(以下、「引用例1」という。)には、「シールリングおよびシール装置」に関し、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】 外周面が相手部材にかつ一方の側面がリング溝の側壁面に対接するシールリングにおいて、該部材が樹脂材からなり、リング溝の側壁面に対接するその側面が充填材入りの樹脂の造粒粉により凹凸が形成されていることを特徴とするシールリング。
【請求項2】 造粒粉の粒径が100?1000μmである請求項1記載のシールリング。
【請求項3】 充填材がカーボン粉である請求項1記載のシールリング。
【請求項4】軸部材(2)及びこれを囲繞するハウジング(3)の相対向する相対回転可能に設置される周面の一方に形成される環状のシールリング溝(11)に、他方の周面に接触するシールリング(12)を装着し、このシールリング(12)が油圧を受けると、シールリング(12)及びシールリング溝(11)の相対向するシール側面(12a、11a)が圧接するようにした油圧シール装置において、シールリング(12)のシール側面(12a)に凹凸部を設け、この凹凸部の深さを5?50μmとしたことを特徴とする、油圧シール装置。」(【特許請求の範囲】)
イ 「【発明の属する技術分野】本発明は、摺接面に造粒粉により凹凸が形成されたシールリングとそのシールリングを用いたシール装置に関する。」(段落【0001】)
ウ 「【発明が解決しようとする課題】本発明は、シール性能の優れた合成樹脂製を基材としたシールリングの、相手部材との摺接により発生する摩擦トルクを極力低減し、シール特性と自動車の燃費改善に寄与することを目的としている。」(段落【0004】)
エ 「摺動部材の中で最小の摩擦係数を示す基材は四フッ化エチレン樹脂(以下、PTFE樹脂と示す。)であることは周知である。このためPTFE樹脂でシールリングを作ることが成されるが、しかし、PTFE樹脂のみではシールリング自身の摩耗が多く実用上好ましくない。本例では、耐摩耗性を向上させるために、カーボン粉等粒径およそ20μmの固体潤滑材を添加し(以下、充填材入りPTFE樹脂という)、粒径100?1000μmの充填材入りPTFE樹脂の造粒粉を得る。
この充填材入りPTFE樹脂の造粒粉をプレス成形し、表面に造粒粉の凹凸部を5?50μmの深さで形成させ、この凹凸形状面をシールリング表面とし、相手シールリング溝と摺接させる。これにより、表面の凹部に油圧が発生しシールリングを溝から離す方向に力が作用し、凸部でシールリングを保持し最小限の油圧バランスで摩擦トルクを維持し低減出来る。また、上記PTFE樹脂以外の溶融する樹脂、たとえばPFA(パーフロロアアルコキシ)、ETFE(エチレン/テトラフルオロエチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPS(ポリフェニレンサルファイト)等が適当であって、射出金型にPTFE樹脂と同様に径100?1000μmの造粒粉で5?50μmの深さを有する面を形成し、これをシールリング本体に転写しても同じ効果が得られる。しかし、相手シールリング溝の面粗さがRmax =3μmを超えると初期の段階でシールリング表面の凸部が摩滅し、凹部に油圧が作用しなくなり摩擦トルクを増加してしまうため、シールリング溝の面粗さをRmax =3μm以下に仕上げる必要がある。」(段落【0008】、【0009】)
オ 「一方、充填材入りPTFE樹脂シールリング12では、内、外周面12i、12oが互いに同心の平坦な円筒面に形成され、また軸方向両側面12a、12bが5?20μmの深さで凹凸部が形成されている。ここで、シールリング12の両側面12a、12bのうち、環状溝5に対し外周側に位置するもの12aをシールリング12のシール側面と呼ぶ。また、シールリング12は、その自由状態では外径がハウジング3の内径よりも僅かに大きい寸法に形成され、シールリング溝11への装着時、シールリング12の外周面12oがハウジング3の内周面に略密着するようになっている。
次に、この実施例の作用について説明する。図1において、軸部材2の油路4からハウジング3の油路6に油圧を供給すれば、その油圧は各シールリング溝11にも伝達して各シールリング12の内周面12i及び内方側面11bに作用するため、シールリング12は、その外周面12oをハウジング3の内周面に、またその外方側面、即ちシール面12aをシールリング溝11のシール側面11aに圧接させる。このような状態でハウジング3が軸部材2に対して回転すれば、各シールリング12の外周面とハウジング3の内周面との間に生じる摩擦トルクは、該リング12及びシールリング溝11の両シール側面12a、11a間に生じる摩擦トルクよりも大であるため、シールリング12はハウジング3に連れ回りして両シール側面11a、12aに相対回転摺動が起こる。このとき、図3に示すように、平坦面のシール側面11aとシール側面12aの凹部14に油圧が発生し、シールリング12はシール側面11aから離れる方向に力が作用し、凸部15で12bに作用する荷重を支え、12bの力の方が僅かに大きい形でバランスする。したがって、シール側面11aと12aに働く荷重が減少し摩擦トルクが減少する。」(段落【0012】、【0013】)
カ 「また、シールリング12のみの材質を充填材入りPFA樹脂に変え、同じテストを実施した結果を図6に示す。上記とほぼ同じ結果で、シール側面12aの凹凸部を金型の転写によって5?50μmの深さを形成することで同じ効果が得られた。」(段落【0015】)
キ 「【発明の効果】以上のように本発明によれば、シールリング溝とシールリングの側面の凹凸部に油圧を発生させ、この油圧にてシールリングを溝から離す方向に力を作用させ摩擦トルクに影響する荷重を低減するとともに、両シール側面の油の存在により潤滑状態が良好となり、両シール側面の耐摩耗性の向上をもたらすことができる。また本発明によれば、シールリング溝の面粗さをRmax 3.0μmに設定することにより、シール側面の摩耗の所定量以上の進行を抑えることが出来、摩擦トルクの安定化とシール性及び耐久性の更なる向上を図ることが出来る。」(段落【0018】)
ク 上記オの「シールリング12は、その自由状態では外径がハウジング3の内径よりも僅かに大きい寸法に形成され、シールリング溝11への装着時、シールリング12の外周面12oがハウジング3の内周面に略密着するようになっている。」との記載、及び「シールリング12はハウジング3に連れ回りし」との記載からみて、シールリング12は、ハウジング3の内周面に対して、完全には固定されておらず、ハウジング3に対して摺動し得るものであると認められる。
ケ 図3から、シール側面12aの凹部14が、シールリング溝11の外部側の側壁面(シール側面11a)に対して摺動し得る領域全体に行き渡るように設けられていることが看取できる。

これら記載事項及び図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに倣って整理すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「互いに相対回転自在に組み付けられる軸部材2とハウジング3のうちの軸部材2に設けられた環状のシールリング溝11に装着され、かつ該シールリング溝11の外部側の側壁面及びハウジング3の内周面に対してそれぞれ摺動自在に設けられて、軸部材2とハウジング3との間の環状隙間をシールする樹脂材からなるシールリング12であって、
前記シールリング溝11の外部側の側壁面に対して摺動し得る領域全体に行き渡るように複数の凹部14が設けられているシールリング。」

(2)引用例2
同じく平成24年8月21日付けの拒絶理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平5-340473号公報(以下、「引用例2」という。)には、「ピストンリングとその加工方法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
サ 「本発明は、内燃機関に用いられるピストンリングおよびその加工方法に関するものである。」(段落【0001】)
シ 「次に図3に加工されたピストンリング摺動面の断面図を示す。凹部の径14はレーザの発散角、集光レンズの焦点距離を変えることにより50μm?1mm程度まで可変でき、また凹部の深さ15はレーザエネルギーにより1mm程度まで加工可能である。このとき凹部の径を100?300μmに限定したのは、油膜の分布を一様に行うため単位面積あたりの凹部の数が多いほうが有利であり、実験では100?300μmが特に有用であった。凹部の深さを100μm以上に限定したのは、これ以下では潤滑油を残留させるのに十分でなく、また摩耗の進行に対して早期に凹部が消滅する恐れがある。凹部の面積率を5?50%にしたのは、これ以下だと潤滑性が十分でなく、以上だとシリンダとの密着性が問題となる。ピッチ16はピストンリング円周方向は回転装置の回転速度とレーザの周波数によって、軸方向は集光レンズの速度により任意に設定できる。従って縦ピッチ、横ピッチが等間隔になるようにピストンリング摺動面全面に規則正しくパターンを形成することにより摺動面全面に均一に潤滑油をいきわたらせることができる。」(段落【0009】)
ス 「本発明のレーザによって加工されたピストンリングおよびその加工方法によればピストンリング摺動面全面に微小の凹部を形成することができるため潤滑性、シール性の両立ができ、しかも摩耗進行に対しても性能を損なわないピストンリングを安定して製造できる。」(段落【0012】)


4 当審の判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「軸部材2」は、環状のシールリング溝11が設けられているから、本願発明の「一方の部材」に相当する。そして、引用発明の「ハウジング3」は、その機能又は作用などからみて、本願発明の「他方の部材」に相当し、以下同様に、「軸部材2」及び「ハウジング3」は「2部材」に、「環状のシールリング溝11」は「環状溝」に、シールリング溝11の「外部側」は「非密封流体側」に、「ハウジング3の内周面」は「他方の部材の周面」に、「凹部14」は「窪み」に、それぞれ相当する。

してみると、両者は、本願発明の用語を用いて表現すると、次の点で一致する。

[一致点]
「互いに相対回転自在に組み付けられる2部材のうちの一方の部材に設けられた環状溝に装着され、かつ該環状溝の非密封流体側の側壁面及び他方の部材の周面に対してそれぞれ摺動自在に設けられて、これら2部材間の環状隙間をシールする樹脂材からなるシールリングであって、
前記環状溝の非密封流体側の側壁面に対して摺動し得る領域全体に行き渡るように複数の窪みが設けられているシールリング。」

そして、両者は、次の点で相違する。

[相違点]
本願発明における複数の窪みは、「その深さによらず、その断面の形状及び大きさが一定である」のに対して、引用発明における複数の凹部14は、そのように構成されていない点。

(2) 判断
上記相違点について検討する。
摩耗が進行しても潤滑性等の性能を損なわないようにするために、窪みを、深さによらず、断面の形状及び大きさが一定となる構造とすることは、例えば、特開2001-59544号公報(特に「滑り支承3にあっては、第1滑り面5aに潤滑剤(シリコンオイル)8を充填した有底孔7…が開口されている」(段落【0028】)、「さらに、第1滑り面5aが、図2に鎖線で示す如く、所定量T摩耗した場合にも、各有底孔7の深さHを摩耗量Tより大きく設定しておけば、各有底孔7の開口面積Aないし開口形状(径Dの円形)及び有底孔相互間距離LないしピッチPが摩耗前の初期状態と同一に維持され、全く変化しない。したがって、第1滑り面5aが摩耗した場合にも、上記した潤滑剤部分5c…ないし潤滑剤付着部分6b…による摩擦係数の低減効果は損なわれず、初期状態と同一の摩擦係数を維持することができる。」(段落【0030】)を参照。)などに示されるように、従来周知の技術手段にすぎず、格別なものではない。
ところで、引用例1には「しかし、相手シールリング溝の面粗さがRmax=3μmを超えると初期の段階でシールリング表面の凸部が摩滅し、凹部に油圧が作用しなくなり摩擦トルクを増加してしまうため、シールリング溝の面粗さをRmax=3μm以下に仕上げる必要がある。」(上記エ参照)と記載されている。この記載からみて、引用発明は、シールリングの摩耗に伴って凹部が存在しなくなると、凹部に油を保持することができなくなって油圧が作用しなくなるという課題を有するものと認められる。また、引用発明において、所期の目的に照らせば、凹部を適宜の方法により形成し得ることは、当業者であれば容易に理解できることである。
他方、引用例2の「凹部の深さを100μm以上に限定したのは、これ以下では潤滑油を残留させるのに十分でなく、また摩耗の進行に対して早期に凹部が消滅する恐れがある。」(上記シ参照)、及び「ピストンリング摺動面全面に微小の凹部を形成することができるため潤滑性、シール性の両立ができ、しかも摩耗進行に対しても性能を損なわないピストンリングを安定して製造できる。」(上記ス参照)との記載からみて、引用例2には、ピストンリングの摩耗進行に伴う凹部の消滅を防止するために、ピストンリング摺動面全面に、潤滑油を残留させる凹部を設け、該凹部を、摩耗進行に対して潤滑性等の性能を損なわないような深い構造のものとする発明が記載又は示唆されていると認められる。
そして、引用発明と引用例2に記載された発明とは、どちらも相対運動をする2部材間の隙間をシールするためのシールリングに関する発明であるから共通の技術分野に属するものであり、引用発明の凹部14と引用例2に記載された発明の凹部とは、どちらもその中に潤滑油を保持してシール面における潤滑状態を良好にするものである点で機能が共通している。しかも、両発明は、摩耗進行に伴う凹部の消滅を課題としている点で共通している。
そうすると、引用発明において凹部の形成方法につき、その他の方法によっても所期の目的を達成し得ることは、当業者が容易に理解できるところ、引用例1及び引用例2に接した当業者であれば、摩耗進行に伴う凹部の消滅を防止するために、引用発明に引用例2に記載された発明を適用し、引用発明の凹部を、摩耗が進行しても潤滑性等の性能を損なわないような深い構造とすることは、格別創意を要することなく容易になし得ることであり、その際に、そのような凹部の具体的構造として、上記周知の技術手段のような、深さによらず、断面の形状及び大きさが一定となる構造を採用することは、当業者であれば設計上適宜なし得ることである。よって、相違点に係る本願発明のように構成することは、当業者が容易に想到できたことである。

そして、本願発明が奏する効果は、引用発明、引用例2に記載された発明及び上記周知の技術手段から当業者が予測し得る範囲内のものであって格別なものとはいえない。

したがって、本願発明は、引用発明、引用例2に記載された発明及び周知の技術手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、審判請求人は、平成24年10月16日付け意見書の中で「刊行物1(審決注:本審決の「引用例1」を指す。以下同様)の請求項4、及び9,14段落には、凹凸部の深さを5?50μmに設定する旨の記載があり、更に、14段落には、『凹凸部の深さ50.0μmを超えると凹部の油漏れの通路となり、油圧が抜け摩擦トルクが大きくなるとともに、油漏れが急増する。』と記載されています。
これらの記載から刊行物1に記載の発明においては、凹凸部の深さを、50.0μmを超えるように設定することを明らかに排除しています。
これに対しまして、刊行物2(審決注:本審決の「引用例2」を指す。以下同様)に記載の発明においては、請求項1、及び7,9段落の記載から明らかなように凹部の深さを100μm以上に設定しています。また、刊行物2には、『凹部の深さを100μm以上に限定したのは、これ以下では潤滑油を残留させるのに十分でなく、また摩耗の進行に対して早期に凹部が消滅する恐れがある。』と記載されており、凹部の深さを100μm未満に設定することを明らかに排除しています。
従いまして、当業者にとって、刊行物1に記載の発明に、刊行物2に記載の発明を適用することに対して、技術的な阻害要因があることは明らかと言えます。」(「(5)」の項参照)と主張する。
しかしながら、引用発明と引用例2に記載された発明とでは、凹部の形成方法が全く違うので、両者の深さだけをもって直ちに阻害要因があるということはできない。即ち、引用例1には「径100?1000μmの造粒粉で5?50μmの深さを有する面を形成し」(摘記事項エ参照)と記載されているように、引用発明の凹部の深さは造粒粉の大きさによって調節することができ、造粒粉の粒径を大きくすると凹部が相互に連通してしまうのに対して、引用例2に記載された発明の凹部は、レーザによって形成されるものであり、「従って縦ピッチ、横ピッチが等間隔になるようにピストンリング摺動面全面に規則正しくパターンを形成することにより摺動面全面に均一に潤滑油をいきわたらせることができる。」(摘記事項シ参照)と記載されているように、独立した凹部を間隔を開けて複数個形成するものであるから、深い凹部を形成しても油洩れの通路が形成されることはない。
引用発明の凹部を、造粒粉の粒径を変えることによって深さ100μm以上とするのであればともかく、既に検討したとおり、その他の形成方法を採用できるものであって、引用発明の凹部に代えて形成方法の違う引用例2に記載された発明の凹部を採用する場合においては、上記の点が阻害要因とならないことは技術的に明らかである。
よって、審判請求人の主張は採用できない。


5 むすび
以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明、引用例2に記載された発明及び周知の技術手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-11-07 
結審通知日 2012-11-13 
審決日 2012-11-27 
出願番号 特願2006-338190(P2006-338190)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F16J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉▲崎▼ 覚森本 康正  
特許庁審判長 川本 真裕
特許庁審判官 窪田 治彦
常盤 務
発明の名称 シールリング  
代理人 世良 和信  
代理人 和久田 純一  
代理人 坂井 浩一郎  

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