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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) D06F
管理番号 1269233
審判番号 不服2012-10956  
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-06-12 
確定日 2013-01-21 
事件の表示 特願2006-181515号「ドラム式洗濯機」拒絶査定不服審判事件〔平成20年1月17日出願公開、特開2008-6179号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成18年6月30日の出願であって、平成24年3月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月12日に拒絶査定不服審判が請求され、同年8月24日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月30日付けで手続補正がされたものであって、その請求項1に係る発明は、平成24年10月30日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。(以下「本願発明」という。)
「外箱と、
この外箱の内部に弾性支持される水槽と、
この水槽の内部に衣類を収容し回転駆動するドラムと、
このドラムを回転駆動させるベクトル制御で回転駆動するDCブラシレスモータと、
前記水槽に給水する給水手段とを備えると共に、
前記モータのトルクランクを検知するトルク検知手段と、
ドラムに収容された衣類の重量ランクを検知する重量検知手段と、
前記トルク検知手段と、前記重量検知手段との結果に基づいて衣類の布質を判定する布質判定手段とを有し、
この布質判定手段は、前記重量検知手段による洗い行程前の衣類の重量ランクと、前記トルク検知手段による衣類が水を含んでいる状態のモータのトルクランクとに基づいて衣類の布質を判定し、
前記トルク検知手段は、前記DCブラシレスモータが出力したq軸電流を検知することによりトルクランクを検知するとともに、
前記布質判定手段により判定された布質の結果によって、吸水率が低い布質と判定した時は、
すすぎ行程時に、前記給水手段から前記水槽に給水する水量を、減少させることを特徴とするドラム式洗濯機。」

2.平成24年8月24日付けで通知した拒絶の理由の概要
本件出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとし、以下の刊行物1?5が引用された。
刊行物1 特開2006-157999号公報
刊行物2 特開2004-267334号公報
刊行物3 特開平7-227493号公報
刊行物4 特開2004-121354号公報
刊行物5 特開2002-360970号公報

3.引用刊行物
(1)引用刊行物1
上記拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物3には、図1?6とともに以下の事項が記載されている。
ア.「洗濯兼脱水槽へ給水して洗濯を実行する洗濯工程と、この洗濯工程の後、上記洗濯兼脱水槽へ水が洗濯物にしみ込む程度に給水するとともに上記洗濯兼脱水槽を高速回転して脱水するサイクルを実行する脱水すすぎ工程と、洗濯物の質を検知する負荷検知工程と、この負荷検知工程において検知された洗濯物の質に基づいて上記脱水すすぎ工程の設定条件を変化させる条件変化工程とを備えたことを特徴とする洗濯機の運転方法。」(請求項1)
イ.「この脱水すすぎにおいては、給水は水が洗濯物にしみ込む程度に行うだけでよく、使用水量を抑制でき、節水が図られる。
・・・(中略)・・・
例えば、木綿はすすぎにくく、この木綿に合わせて脱水すすぎ中の給水と脱水のサイクルの回数や時間が決められていると、化繊の洗濯物を脱水すすぎする場合は上記サイクルの回数や時間は不必要に多かったり長かったりし、時間や水が無駄遣いされる。
【発明が解決しようとする課題】 本発明は、洗濯物の質に応じて脱水すすぎを制御し、時間や水を無駄遣いすることなく脱水すすぎを行うことができる洗濯機を提供しようとするものである。」(段落【0003】?【0007】)
ウ.「洗濯物の質を検知し、この検知した洗濯物の質に基づいて、脱水すすぎの設定条件、具体的には脱水すすぎ中の給水及び脱水のサイクルの回数等を変化させる。これにより、洗濯物の質が木綿や化繊であると、これに適した脱水すすぎが行われ、所定の脱水すすぎ性能を確保しつつ時間や水の無駄遣いが抑制される。
【実施例】図1は本発明実施例の全自動洗濯機の構造を示す。1は機枠、2はこの機枠1内に4本の吊り棒3により吊り下げ支持された外槽、4は防振スプリング等からなり、各吊り棒3と外槽2との間に介挿された防振装置、5は周囲に多数の脱水孔(図示しない)を有し、上記外槽2内に回転自在に支承された洗濯兼脱水槽である。6はこの洗濯兼脱水槽5の底部に回転自在に配設された回転翼、7は上記洗濯兼脱水槽5及び回転翼6に動力伝達機構8を介して連結された駆動モータで、この駆動モータ7は洗濯及び通常すすぎ時には回転翼6のみを回転させ、脱水時(脱水すすぎに際しての脱水時を含む)には洗濯兼脱水槽5及び回転翼6をともに高速で一方向へ回転させる。9は給水ノズル10の途中に設けられた電磁給水弁、11は排水パイプ12の途中に設けられた電磁排水弁である。13は上記外槽2の底部のエアトラップ14に圧力ホースを介して接続された水位センサで、この水位センサ13により洗濯兼脱水槽5内の水位が検知され、洗濯兼脱水槽5に供給された水の量が分かる。
図2は洗濯機のブロック回路を示す。15は洗濯機の制御を司るマイクロコンピュータからなる制御部である。この制御部15は、キー入力部16からのキー入力信号、上記水位センサ13による検知結果、及び負荷検知回路17の検知結果等に基づいて、上記駆動モータ7、電磁給水弁9及び電磁排水弁11を駆動制御する。
上記負荷検知回路17は洗濯時に駆動モータ7に流れる電流を検出する。そして、上記制御部15は、負荷検知回路17の検出出力を予め定められた基準値と比較し、その大小で洗濯物の量を判定する。更に、負荷検知回路17は洗濯時に駆動モータ7に流れる電流値をいくつかサンプリング検出し、そして制御部15は、このサンプリングされた電流値のバラツキ度合(電流値の最大値と最小値との差)を求めて洗濯物の質を判定する。尚、上記負荷検知回路17は、洗濯中の駆動モータ7の駆動中断時の惰性回転における電流を検出するようにしても良い。
図3は洗濯機の基本的な運転手順を示す。上記制御部15はまず、洗濯工程を実行し、次いで脱水すすぎ工程及び通常すすぎ工程(ためすすぎ)を順次実行し、最後に脱水工程を実行する。
・・・(中略)・・・脱水すすぎ工程においては、まず排水弁11を開放して洗濯時の洗濯水を排出し、洗濯兼脱水槽5を回転翼6とともに高速回転して洗濯物から脱水する(S3ステップ)。これが終了すると、脱水すすぎが実行される(S4ステップ)。」(段落【0010】?【0016】)
エ.「さて、上記洗濯工程におけるS2ステップでは、制御部15は図5に示されるプログラムの流れに沿う制御をも行う。即ち、制御部15は、上記負荷検知回路17により検出された洗濯時の駆動モータ電流値を入力し(A1ステップ)、この電流値を予め定められた基準値と比較し、その大小に基づいて負荷検知を行う。具体的には、洗濯物の量を大・中・小に区別して判定する(A2ステップ)。大の場合は、洗濯物の量は3.5Kg以上である。中の場合は、2.5Kg以上3.5Kg未満である。小の場合は、2.5Kg未満である。
そして、制御部15は、洗濯物量の大・中・小に応じて、上記脱水すすぎの設定条件の1つである、給水及び脱水からなる1サイクルの所要時間を変化させる。具体的には、5分・4分・3分と変化させる(A3、A4、A5ステップ)。尚、上記1サイクルの所要時間に代え、洗濯物量の大・中・小に応じて、1サイクル中の給水に係る所要時間t、或いは脱水に係る所要時間t1を変化させるようにしても良い。
次に、制御部15は、負荷検知回路17により検出された洗濯時の駆動モータ電流値をいくつかサンプリング入力し(A6ステップ)、このサンプリングされた電流値のバラツキ度合(電流値の最大値と最小値との差)を求め、このバラツキ度合を予め定められた基準値と比較し、その大小に基づいて更なる負荷検知、即ち洗濯物の質の検知を行う。具体的には、バラツキ度合が基準値に比べて大であると、洗濯物の質は木綿であると判定し、逆であると、洗濯物の質は化繊であると判定する(A7ステップ)。これは、木綿では上記バラツキ度合が大きく、また化繊では上記バラツキ度合が小さくなると云う特性に基づいたものである。
そして、制御部15は、洗濯物の質即ち木綿か化繊に応じて、上記脱水すすぎの設定条件の1つである、給水及び脱水からなるサイクルの繰り返し回数を変化させる。具体的には、木綿の場合は繰り返し回数を3回に、化繊の場合は繰り返し回数を2回に変化させる(A8、A9ステップ)。尚、サイクルの繰り返し回数に代え、洗濯物の質に応じて、1サイクルの所要時間や1サイクル中の給水に係る所要時間tや1サイクル中の脱水に係る所要時間t1を変化させるようにしても良い。この場合、各所要時間は洗濯物の量及び質の双方に基づいて変化することになる。
而して、このように洗濯物の量及び質に応じて変化された設定条件(1サイクルの所要時間及びサイクル繰り返し回数)の下で、上記S4ステップにおいて脱水すすぎが実行される。従って、洗濯物の量(大・中・小)及び質(木綿か化繊)に適した脱水すすぎが行われ、所定の脱水すすぎ性能を確保しつつ、時間や水の無駄遣いの抑制を図っている。」(段落【0023】?【0027】)
上記ア.?エ.の記載事項及び図1?6の図示内容を総合すると、引用刊行物1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「機枠1と
この機枠1の内部に防振スプリング等からなる防振装置4を介して吊り下げ支持された外槽2と、
この外槽2内に回転自在に支承された洗濯兼脱水槽5及び回転翼6と、
この洗濯兼脱水槽5及び回転翼6を回転させる駆動モータ7と、
前記外槽2内の洗濯兼脱水槽5に給水する給水ノズル10とを備えると共に、
負荷検知回路17が洗濯時に駆動モータ7に流れる電流を検出し、検出出力により洗濯物の量を大・中・小に区別して判定し、また、
負荷検知回路17が洗濯時に駆動モータ7に流れる電流値をいくつかサンプリング検出し、バラツキ度合(電流値の最大値と最小値との差)を求めて洗濯物の質を木綿又は化繊と判定する制御部15とを有し、
洗濯工程終了の次に実行される脱水すすぎ工程において、洗濯物の量を大・中・小に応じて脱水すすぎの設定条件の1つを変化させると共に、洗濯物の質が化繊である時、脱水すすぎの設定条件の1つである、給水及び脱水からなるサイクルの繰り返し回数を3回から2回に変化させたり、1サイクルの所要時間や1サイクル中の給水に係る所要時間tや1サイクル中の脱水に係る所要時間t1を変化させて、各所要時間は洗濯物の量及び質の双方に基づいて変化させることで、所定の脱水すすぎ性能を確保しつつ、時間や水の無駄遣いの抑制を図る、洗濯機。」
(2)引用刊行物2
同じく引用され、本願出願前に頒布された刊行物1には、図1?12とともに以下の事項が記載されている。
ア.「図8は、ドラム式洗濯機の全体構成を示すものである。ドラム式洗濯機の外殻をなす外箱21の前面部には、中央部に扉22が設けられ、・・・(中略)・・・洗濯物出入れ口24を開閉するものである。
外箱21の内部には、円筒状をなす水槽25が配設されている。この水槽25は、その軸方向が前後方向(図8では左右方向)となる横軸状で且つ前上がりの傾斜状に配設され、弾性支持装置26により弾性的に支持されている。水槽25の内部には、円筒状をなすドラム27が水槽25と同軸状に配設されている。このドラム27は、洗濯の他、脱水及び乾燥に共用の槽として機能するもの・・・(中略)・・・。
上記水槽25の背面部には、ドラム27を回転駆動するモータ34が配設されている。モータ34はアウタロータ形のブラシレスDCモータ(永久磁石モータ)であ・・・(中略)・・・る。即ち、モータ34のロータ37が回転すると、ロータ37と一体にドラム27も回転する構成となっている。」(段落【0010】及び【0011】)
イ.「図1は、磁極位置センサを用いてモータ34の駆動を行なうモータ駆動装置60の一構成例を示すものである。モータ34には、ロータ37の磁極位置θを検出するためのセンサ61A,61Bが設けられている。磁極位置センサ61A,61Bには、例えばホールICなどが使用される。磁極位置センサ61A,61Bによって出力される磁極位置信号(回転位置信号)Ha,Hbは速度演算部63及び位置演算部75に与えられており、速度演算部63は、それらの磁極位置信号Ha,Hbと位置信号補正部(位置信号補正手段)62において補正された磁極位置θcとに基づいて回転角速度ωを演算(推定)する。また、位置演算部75は、磁極位置信号Ha,Hbと回転角速度ωとに基づいて磁極位置θを演算する。
図示しない制御用マイクロコンピュータ(マイコン)からは、モータ34の速度指令としてωrefが与えられており、減算器64により速度指令ωrefと推定角速度ωとの偏差Δωが出力される。比例積分器65は、偏差Δωに基づいてPI制御を行うことで電流指令をIrefを生成し、dq分配器66に出力する。dq分配器66は、q軸電流指令値Iqrとd軸電流指令値Idrとを生成して減算器67q,67dに被減算値として夫々出力する。減算器67q,67dは、指令値Iqr,Idrと、ベクトル回転器68より与えられるd軸電流Id,q軸電流Iqとの差を演算して比例積分器69q,69dに出力する。
ここで、Id,Iqは、モータ34の巻線電流のd軸成分(励磁電流成分),q軸成分(トルク電流成分)であり、αβ座標系に対して角度(磁極位置)θで回転しているdq軸座標系で表される電流成分である。d軸は磁束方向に一致しており、q軸はd軸に直交している。
比例積分器69q,69dは,q軸電流,d軸電流夫々の差分量に基づいてPI制御を行い、q軸電圧指令値Vq及びd軸電圧指令値Vdを生成して座標変換器70に出力する。座標変換器70には、位置演算部75によって演算された磁極位置θに基づいて電圧指令値Vd,Vqを電圧指令値Vα,Vβに変換するようになっている。
PWM形成器(電圧印加手段)71は、電圧指令値Vα,Vβを三相電圧指令値Vu,Vv,Vwに変換すると共に、それらに基づきPWM(パルス幅変調)信号を生成してインバータ回路(電圧印加手段)72に出力する。インバータ回路72は、例えばIGBTなどの半導体スイッチング素子を三相ブリッジ接続して構成されており、モータ34の各相コイルに略正弦波状の交流電流を通電するように各スイッチング素子のオンオフが制御される。
電流検出器(電流検出手段)73a,73bは、インバータ回路72の出力端子とモータ34の巻線との間に配置されており、三相のうち何れか二相の電流を検出する。そして、検出された電流は三相/二相変換器74に与えられて残りの一相の電流が推定されると共に、二相電流Iα,Iβに変換される。ベクトル回転器(電流検出手段)67は、二相電流Iα,Iβを磁極位置θによりd軸電流Id,q軸電流Iqに変換する。
また、ベクトル回転器68より出力されるq軸電流Iqは、位置信号補正部62にも与えられている。位置信号補正部62は、q軸電流Iqの大きさによって変化する磁極位置センサ61A,61Bの出力波形の位相を予め把握しておき、モータ駆動時にq軸電流値に応じて補正した磁極位置θcを出力し、速度演算部63に与えている。尚、これらの構成における各機能は、例えばマイクロコンピュータやDSP(Digital Signal Processor)などによりソフトウエア的に実現されている。」(段落【0015】?【0018】)
ウ.「図9及び図10は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第2実施例のモータ駆動装置80は、モータ34を駆動制御する場合に、低速回転領域では、第1実施例と同様に磁極位置センサ61A,61Bが出力する磁極位置信号Ha,Hbに基づいて制御を行い、回転数がある程度上昇して前記低速回転領域を脱した場合はセンサレス駆動方式(センサレスベクトル制御)に切り替えて制御を行うように構成されている。」(段落【0025】)
エ.「ユーザがドラム27内に洗濯物を投入して扉22を閉じた後、洗濯機に電源を投入して運転コースを選択してからスタートボタンをオン操作すると、洗濯機の運転が開始される。
すると、制御用マイコン82は、扉22をロックし(ドアロック,ステップS11)、投入された洗濯物の重量検知を行なう(ステップS12)。ここでの重量検知については様々な方式があるが、例えば、モータ34に一定の電圧を一定時間印加した場合の回転数を検出することで、洗濯物の重量を推定することができる。
そして、洗濯物の重量はモータ34の負荷量に相当するので、当該重量が判ればモータ34を始動するための電流がどれ位必要なのか(ドラム内に注水される水の量も加えて)推定することができる。」(段落【0028】及び【0029】)
(3)引用刊行物3
同じく引用され、本願出願前に頒布された刊行物2には、図1?15とともに以下の事項が記載されている。
ア.「ベクトル制御におけるq軸電流はモータの出力トルクに比例するため、その電流値を参照することでモータが駆動する負荷の状態を適切に推定することができる。従って、q軸電流値に基づいて布量判定を行なえば、判定精度を向上させることが可能となる。
・・・(中略)・・・
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、布量の推定をより高精度に行なうことができるドラム式洗濯機を提供することにある。」(段落【0004】?【0007】)
イ.「ドラム式洗濯機の外殻をなす外箱1の前面部には、中央部に扉2が設けられ、・・・(中略)・・・洗濯物出入れ口4を開閉するものである。
外箱1の内部には、円筒状をなす水槽5が配設されている。この水槽5は、その軸方向が前後方向(図2では左右方向)となる横軸状で且つ前上がりの傾斜状に配設され、弾性支持装置6により弾性的に支持されている。水槽5の内部には、円筒状をなすドラム7が水槽5と同軸状に配設されている。このドラム7は、洗濯の他、脱水及び乾燥に共用の槽として機能するもので、・・・(中略)・・・
上記水槽5の背面部には、ドラム7を回転駆動するモータ14が配設されている。モータ14はアウタロータ形のDCブラシレスモータであり、・・・(中略)・・・モータ14のロータ17が回転すると、ロータ17と一体にドラム7も回転する構成となっている。」(段落【0019】?【0022】)
ウ.「図7は、縦軸にq軸電流の実効値をとり、その値に基づいて判定される布重量を横軸にとって示す。例えば、q軸電流値が3.352である場合、布重量は約3kgと判定される。
以上のように本実施例によれば、制御用マイコン54は、洗濯機のドラム7を回転させるモータ14をインバータ回路45によりベクトル制御方式で駆動し、モータ14の回転数が下側基準速度Nbと上側基準速度Naとの間にある場合にベクトル制御におけるq軸電流値の変動を検出し、その変動レベルが所定値以下になるとモータ14を最大トルクで加速させ、その加速期間におけるベクトル制御のq軸電流値に応じて布量を推定するようにした。」(段落【0047】及び【0048】)
(4)引用刊行物4
同じく引用され、本願出願前に頒布された刊行物4には、図1?4とともに以下の事項が記載されている。
ア.「乾燥行程に入ると、・・・(中略)・・・運転開始時での衣類の重さ判定値に応じて、所定の時間だけ内槽4を回転させながら衣類を乾燥する槽回転乾燥行程・・・(中略)・・・を行った後、回転翼5を瞬間的に正逆の方向に強力に回転させて、衣類を内槽4内で上方に放り上げるようにして撹拌しながら乾燥する撹拌乾燥行程を行う」(段落【0011】)
イ.「このような従来の構成では、運転開始時での衣類の重さ判定値に応じて所定の時間だけ内槽4を回転させながら衣類を乾燥する槽回転乾燥行程を行っていたため、同じ量の衣類でも、化繊が多く脱水後の水分量が少ない場合では、槽回転乾燥行程が長すぎになり、綿が多く脱水後の水分量が多い場合では、槽回転乾燥行程が短すぎになり、衣類の質による適切な乾燥行程が行えずに仕上がりが悪くなるという問題を有していた。
また、循環風の温度設定値が適切でないと、化繊のように乾きやすく、熱に弱い衣類の場合は、循環風の温度が高すぎると仕上がりが悪くなり、綿のように乾きにくい衣類の場合は、循環風の温度が低すぎると乾燥スピードが遅くなるという問題を有していた。
また、乾燥を終了する設定値が適切でないと、化繊のように乾きやすい衣類の場合は、乾燥しすぎると静電気が多く発生し仕上がりが悪くなり、綿のように乾きにくい衣類だと、湿った部分が残って乾きむらが発生するという問題を有していた。
・・・(中略)・・・洗い、すすぎ、脱水、乾燥の一連の行程を逐次制御するよう構成し、制御手段は、回転翼を運転開始時に駆動して衣類の重さを判定する行程と、回転翼を脱水終了時に駆動して衣類の重さを判定する行程とを実行し、この両行程での衣類の重さ判定値の違いに応じて、乾燥行程のシーケンスを決めるようにしたものである。
これにより、乾燥行程にて、衣類の質に応じて適切な乾燥行程が行えずに仕上がりが悪くなるのを防ぐことができ、循環風の温度が高すぎて仕上がりが悪くなったり、低すぎて乾燥スピードが遅くなったりするのを防ぐことができ、静電気が多く発生したり、乾きむらが発生したりするのを防ぐことができる。」(段落【0015】?【0020】)
ウ.「制御装置29は、運転開始時に回転翼5を数回反転駆動し、そのときの負荷(モータ電流値)と惰性回転数から衣類の重さを判定する(特開2000-24374号公報参照)行程と、脱水終了時に回転翼5を数回反転駆動し、同様に、衣類の重さを判定する行程とを実行するようにしている。」(段落【0026】)
エ.「洗濯・すすぎ行程では、内槽4内に衣類を投入し、・・・(中略)・・・回転翼5を数回反転駆動し、そのときの負荷(モータ電流値)と惰性回転数から衣類の重さを判定する。給水弁23により衣類の量に応じた水または湯を給水し、・・・(中略)・・・洗濯・すすぎされる。
脱水行程では、・・・(中略)・・・750r/min程度の回転数で回転させ、衣類に遠心力を与えることにより、水分を衣類から分離し、・・・(中略)・・・排水する。
乾燥行程では、・・・(中略)・・・回転翼5を数回反転させ、そのときの負荷(モータ電流値)と惰性回転数から脱水後の衣類の重さを判定する。」(段落【0028】?【0030】)
オ.「槽回転乾燥行程を所定時間Tだけ行った後、回転翼5を瞬間的に正逆の方向に強力に回転させて、衣類を内槽4内で上方に放り上げるようにして撹拌しながら乾燥する撹拌乾燥行程を行う。ここで、槽回転乾燥行程から、撹拌乾燥行程に移行するタイミングは衣類の乾燥率85%?90%程度が適切であり、それより早く撹拌乾燥行程をはじめると、水分を多く含んだ衣類どうしが絡み合ってしまい、逆に、遅く撹拌乾燥行程をはじめると衣類が撹拌により伸ばされることなく乾燥し、しわが固着してしまい仕上がりが悪くなることを、発明者らは多くの実験により確認している。
このため、槽回転乾燥行程を行う所定時間Tは、運転開始時に判定した衣類の重さと、脱水後に判定した衣類の重さにより決定する。たとえば、乾燥状態で4kgの衣類を洗濯後、7分間脱水した場合の脱水率(乾燥率)は、(表1)に示すようになることを発明者たちは多くの実験により確認している。
これにより、(表2)に示すように、同じ4kgの衣類でも、綿を多く含んだ衣類では槽乾燥行程を長く120分に設定し、化繊を多く含んだ衣類では槽乾燥行程を短く80分に設定することにより、撹拌乾燥行程に移行するタイミングを乾燥率85%?95%程度にすることができる。」(段落【0033】?【0036】)
カ.【表1】には「綿:化繊 比率」、「脱水後の重量」及び「脱水率」がそれぞれ、100:0、6670g、60%;70:30、5880g、68%;30:70、5405g、74%であることが記載されている。
(5)引用刊行物5
同じく引用され、本願出願前に頒布された刊行物5には、図1?11とともに以下の事項が記載されている。
ア.「ベクトル制御に用いられるq軸電流はモータの発生トルクを直接反映した電流であるから、負荷量検出手段がq軸電流に基づいてモータの負荷量(例えば、回転槽内の洗濯物の量など)を検出することで、従来とは異なり、センサレス駆動方式を採用した場合でも確実に検出を行うことができる。また、回転槽を空転させる必要がないので短時間で検出を行える。」(段落【0012】)
イ.「撹拌軸23の下端部は、モータとしてのアウタロータ形のブラシレスモータ24のロータ24aに連結されている。このブラシレスモータ24は、洗い時には、撹拌体16を直接正逆回転駆動するようになっている。
また、ブラシレスモータ24は、脱水時には、図示しないクラッチにより槽軸12と撹拌軸13とが連結された状態で、回転槽15および撹拌体16を一方向に直接回転駆動するようになっている。従って、本実施例では、ブラシレスモータ24の回転速度は、洗い時には撹拌体16のそれと同一になり、脱水時には回転槽15および撹拌体16のそれと同一になる、いわゆる、ダイレクトドライブ方式が採用されている。」(段落【0017】及び【0018】)
ウ.「図8は、洗い工程を開始した場合に、制御用マイコン46がステップS6のベクトル制御を開始した後に行う布量検知の処理内容を示すフローチャートである。・・・(中略)・・・そして、ステップA2でサンプリングしたq軸電流について3秒間の平均値を計算し(ステップA3)、その平均値に基づいて布量判定を行う(ステップA4)。
ここで、図9は、本発明の発明者らが測定したq軸電流と布量との関係を示す図である。布量判定は、以下の表1をROMテーブルとして保持しておき、そのテーブルを参照することで行う。
例えば、平均電流値が2.5Aであれば布量を5kgと判定し、その布量に応じて給水量や洗剤投入量などを設定する。」(段落【0044】及び【0045】)
エ.【表1】には、判定重量が1kg以下、1?2kg、2?3kg、・・・に対し、q軸電流の平均値(A)がそれぞれ0.64以下、0.65?0.72、0.73?1.00、・・・が対応することが記載されている。
オ.「q軸電流に基づいて布量を検知する以外に、以下の検知を行う場合に適用することも考えられる。
・布質検知:洗濯物の布質を検知して洗濯コースを自動設定する。」(段落【0057】)

4.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「機枠1」は、その機能・構成からみて、前者の「外箱」に相当し、以下同様に、後者の「回転させる駆動モータ7」は前者の「回転駆動させる」「モータ」に、後者の「前記外槽2内の洗濯兼脱水槽5に給水する給水ノズル10」は前者の「水槽に給水する給水手段」にそれぞれ相当する。
後者の「外槽2内に回転自在に支承された洗濯兼脱水槽5及び回転翼6」と前者の「水槽の内部に衣類を収容し回転駆動するドラム」とは、その機能からみて、水槽の内部に衣類を収容し回転駆動する洗浄槽という限りで共通する。
後者の「負荷検知回路17が洗濯時に駆動モータ7に流れる電流を検出し、検出出力により洗濯物の量を大・中・小に区別して判定」「する制御部15」と前者の「ドラムに収容された衣類の重量ランクを検知する重量検知手段」とは、洗浄槽に収容された衣類の重量ランクを検知する重量検知手段である点で共通する。
後者の「負荷検知回路17が洗濯時に駆動モータ7に流れる電流値をいくつかサンプリング検出し、バラツキ度合(電流値の最大値と最小値との差)を求めて洗濯物の質を木綿又は化繊と判定する制御部15」はその機能からみて前者の「衣類の布質を判定する布質判定手段」に対応する。
そして、後者の「洗濯物の質を木綿又は化繊と判定する」ことについて、「洗濯物の質が化繊である時」「時間や水の無駄遣いの抑制を図る」ものであって、3.(1)イ.で摘示した「木綿はすすぎにくく、この木綿に合わせて脱水すすぎ中の給水と脱水のサイクルの回数や時間が決められていると、化繊の洗濯物を脱水すすぎする場合は上記サイクルの回数や時間は不必要に多かったり長かったりし、時間や洗濯物にしみ込む程度に行うだけでよい給水の水が無駄遣いされる」ことを防ぐものである。そうすると、木綿に対して化繊の洗濯物にしみ込む程度に行う水の量が少ないこと、つまり吸水率が低いことによる水の無駄遣いを防ぐものである。したがって、後者の「洗濯物の質を」「化繊と判定する」時は、前者の「布質判定手段により判定された布質の結果によって、吸水率が低い布質と判定した時」に対応するといえる。
さらに、後者の「洗濯物の質が化繊である時、脱水すすぎの設定条件の1つである、給水及び脱水からなるサイクルの繰り返し回数を3回から2回に変化させたり、1サイクルの所要時間や1サイクル中の給水に係る所要時間tや1サイクル中の脱水に係る所要時間t1を変化させて、各所要時間は洗濯物の量及び質の双方に基づいて変化させることで、所定の脱水すすぎ性能を確保しつつ、時間や水の無駄遣いの抑制を図」ることは、洗濯物の質が化繊である時、脱水すすぎにおける給水の量を減らすものであるから、前者の「吸水率が低い布質と判定した時は、すすぎ行程時に、前記給水手段から前記水槽に給水する水量を、減少させる」ことに対応している。

したがって、両者は、
「外箱と、
この外箱の内部に弾性支持される水槽と、
この水槽の内部に衣類を収容し回転駆動する洗浄槽と、
この洗浄槽を回転駆動させるモータと、
前記水槽に給水する給水手段とを備えると共に、
洗浄槽に収容された衣類の重量ランクを検知する重量検知手段と、
衣類の布質を判定する布質判定手段とを有し、
前記布質判定手段により判定された布質の結果によって、吸水率が低い布質と判定した時は、
すすぎ行程時に、前記給水手段から前記水槽に給水する水量を、減少させる洗濯機。」である点で一致し、以下の点で相違しているものと認められる。

相違点A:本願発明は、洗浄槽が「水槽の内部に衣類を収容し回転駆動するドラム」であり、モータが「ドラムを回転駆動させるベクトル制御で回転駆動するDCブラシレスモータ」である、「ドラム式洗濯機」であるのに対して、引用発明は、洗浄槽が「外槽2内に回転自在に支承された洗濯兼脱水槽5及び回転翼6」であり、モータがDCブラシレスモータであるか否か不明である、「洗濯機」である点。
相違点B:布質判定手段に関し、本願発明が「モータのトルクランクを検知するトルク検知手段と、ドラムに収容された衣類の重量ランクを検知する重量検知手段と」を有し、その「前記トルク検知手段と、前記重量検知手段との結果に基づいて衣類の布質を判定する」ものであって、
「前記重量検知手段による洗い行程前の衣類の重量ランクと、前記トルク検知手段による衣類が水を含んでいる状態のモータのトルクランクとに基づいて衣類の布質を判定」しており、さらに、
「トルク検知手段は、前記DCブラシレスモータが出力したq軸電流を検知することによりトルクランクを検知する」ものであるのに対して、引用発明はそのようなものではない点。

そこで、上記相違点について検討する。
(1)相違点Aについて
引用刊行物2及び3に、外箱と、この外箱の内部に弾性支持される水槽と、この水槽の内部に衣類を収容し回転駆動するドラムと、このドラムを回転駆動させるベクトル制御で回転駆動するDCブラシレスモータ等を備えるドラム式洗濯機が記載されており、このようなドラム式洗濯機は従来より周知のものである。
そして、このようなドラム式洗濯機であっても、引用発明と同じ洗濯機であって、時間や水の無駄遣いの抑制も同じく求められる課題であるといえる。
そうすると、引用発明の洗濯機を、引用刊行物2及び3に示されるようなドラム式洗濯機とすることは当業者が格別の困難性を要することなくなし得たことといえる。
したがって、相違点Aに係る本願発明の構成となすことは、当業者が容易になし得たことであって、そのことによる格別の効果もない。

(2)相違点Bについて
ア.重量検知手段による洗い行程前の衣類の重量とトルク検知手段による衣類が水を含んでいる状態のモータのトルクとに基づいて衣類の布質を判定することについて
引用刊行物4には、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の一連の行程の運転開始時に衣類の重さを判定し、脱水終了時に衣類の重さを判定し、この両行程での衣類の重さ判定値の違いに応じて、たとえば、運転開始時に乾燥状態で4kgの衣類の場合、7分間脱水した後の重量が6670g、5880g、5405gであると、綿と化繊の比率はそれぞれ100:0、70:30、30:70と表により判定し、その後の乾燥行程において化繊が多いか綿であるか等の衣類の質による適切な乾燥行程が行えるようなすことが示されている。
引用発明の「洗濯物の質を木綿又は化繊と判定する」手段として、引用刊行物4に示されるように、運転開始時の衣類の重さと脱水終了時の衣類の重さから、表により洗濯物の質が化繊であると判定することは、そのことによる格別の効果も認められず、当業者が適宜なし得たことである。そしてそのようになされるとき、脱水終了時の衣類の重さとは乾燥状態での衣類の重さに加えて水を含んだ重さであるから、衣類が水を含んでいる状態の重さを判定しているといえる。
なお、引用発明は脱水すすぎ工程における設定条件を変化させるにあたり、その前の工程である洗濯時に判定するものであって、上記のように脱水終了時の衣類の重さを用いようとするとき、すすぎの前に中間脱水することが周知であり、脱水すすぎの前にも脱水が行われる(3.(1)ウ.参照)ものでもあることから、その脱水終了時の衣類の重さを判定して、脱水すすぎ工程の前に判定することも、当業者であれば適宜なし得た設計的事項といえる。
また、上記(1)で述べたとおりドラム式洗濯機とするとき、引用発明における、その量を判定する洗濯物は、ドラムに収容されたものとなる。

イ.モータのトルクを検知するトルク検知手段がDCブラシレスモータが出力したq軸電流を検知することによりトルクを検知するものであることについて
引用刊行物3(3.(3)ア.やウ.参照)や引用刊行物5(3.(5)ア.?エ.参照)に示されるように、ドラム式洗濯機やドラム式でない洗濯機において、ブラシレスモータをベクトル制御し、出力トルクを表すq軸電流により負荷量である布量を検知することは周知といえる。引用刊行物5にはこれにより布質を検知をすることも示唆される(3.(5)オ.参照)。
そうすると、上記ア.で述べた、脱水終了時の衣類の重さの検知手段として、ブラシレスモータのベクトル制御における、出力トルクを表すq軸電流を用いることは当業者が適宜なし得た事項であるといわざるを得ない。
なお、本願発明も、本願明細書の段落【0021】に「ドラム内の衣類の重量に応じてトルクの上昇態様は異なることが知られており、そしてこの出力トルクは、一般的に知られているようにDCブラシレスモータ15をベクトル制御する場合に得られるq軸電流値(以下単に電流を称す)に略比例したものとなっており」と、同じく段落【0022】「この検知した電流値を、図6のようにDCブラシレスモータ15の出力トルク特性から、出力トルク値のランク付けを行う・・・(中略)・・・。本実施例では、出力トルク値に対応したDCブラシレスモータの電流値によりランク付けを実行し、0(mA/1000)から1000(mA/1000)ずつ区画し、9000(mA/1000)までの9つのランク付けをし、9001(mA/1000)以上を一つのランクとし、合計10通りのランク付けをしている。」と記載されているとおり、トルクランクは単にq軸電流値をランク付けしたものであって、重量に応じるものである。
したがって、上記のように衣類の重さを出力トルクを表すq軸電流を用いて検知することは、本願発明の「q軸電流を検知することによりトルク」「を検知する」ことと同様であり、そのようになすことは当業者が適宜なし得たことである。

ウ.トルク検知手段がトルクランクを検知し、重量検知手段が重量ランクを検知し、重量ランクとトルクランクとに基づいて衣類の布質を判定することについて
本願発明は重量及びトルクをランクとして検知し、判定するものといえるが、引用発明は「洗濯物の量を大・中・小に区別」するようにランクとしており、引用刊行物4には表により判定することが示され、引用刊行物5も3.(5)エ.で摘示したようにランクに分けることが示されていて、検知した重量やq軸電流によるトルクをランクに分けて、簡便に処理するようなすことは、当業者が具体化するにあたり、適宜採用できた設計的事項にすぎない。

エ.まとめ
以上ア.?ウ.で述べたようであるから、相違点Bに係る本願発明の構成となすことは、当業者が容易になし得たことであって、そのことによる格別の効果もない。

また、上記相違点A及びBを合わせ考えても、本願発明の効果が格別であるとはいえない。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用発明、引用刊行物2?5に記載の事項、及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-11-20 
結審通知日 2012-11-30 
審決日 2012-12-11 
出願番号 特願2006-181515(P2006-181515)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (D06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北中 忠遠藤 謙一  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 長浜 義憲
平上 悦司
発明の名称 ドラム式洗濯機  
代理人 藤原 康高  
代理人 藤原 康高  
代理人 藤原 康高  

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