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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1271371
審判番号 不服2008-31784  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-12-16 
確定日 2013-03-14 
事件の表示 特願2004-554862「コンテンツ管理システム用のテンプレート完成」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 6月10日国際公開、WO2004/049220、平成18年 3月 9日国内公表、特表2006-508450〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2003年11月26日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理2002年11月27日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成20年9月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月16日に拒絶査定不服審判が請求され、平成21年1月14日に手続補正がなされ、当審において、平成23年12月21日付けで拒絶理由通知がなされ、平成24年7月6日に手続補正がなされたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成24年7月6日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

<本願発明>
「コンテンツ管理システムにおいて、コンテンツ・アイテムに対してテンプレートを使用する方法であって、前記コンテンツ管理システムがセンタ・コンピュータに構築され、該センタ・コンピュータがネットワークを介してユーザ・コンピュータに接続されている方法において、
前記センタ・コンピュータのテンプレート提供手段が、複数のコンテンツ・オーサリング・テンプレートをユーザに提供する段階と、
前記ユーザ・コンピュータの入力手段が、前記コンテンツ・アイテムをコンテンツ・タイプとして類別し、入力する段階と、
前記センタ・コンピュータの選択手段が、前記コンテンツ・タイプに基づいて、自動的に、前記複数のコンテンツ・オーサリング・テンプレートの中から必要とされるテンプレートの適切な集合を選択する段階と、
前記センタ・コンピュータの提示手段が、自動的に、前記コンテンツ・アイテムについてユーザに記述させるために前記テンプレートの適切な集合をユーザに提示する段階と、
前記コンテンツ管理システムの確保手段が、前記コンテンツ・アイテムを発行する際の完成度を確保する段階とから成り、
前記完成度を確保する段階は、
前記確保手段の第1の受取り手段が、ユーザから、前記テンプレートの適切な集合における各テンプレートに対するコンテンツを受け取ることと、
前記確保手段の決定手段が、その受け取ったコンテンツの全ての各構成要素が承認されたか否かを決定することと、
前記確保手段の禁止手段が、前記コンテンツの全ての各構成要素が承認されるまで前記コンテンツ管理システムにおける発行を禁止することと、
前記確保手段の第2の受取り手段が、前記コンテンツの全ての各構成要素が承認された後に発行者から発行要求を受け取ることと、
前記確保手段の発行手段が、前記コンテンツの全ての各構成要素及び対応する前記テンプレートの適切な集合から得られた情報を、前記発行者による更なる干渉なしに、自動的に発行することとを含む方法。」

第3 引用例

1.特開2002-244964号公報

平成23年12月21日付け拒絶理由通知において引用された特開2002-244964号公報(公開日:平成14年8月30日。以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。

(1)「【0018】情報供給システム1は、所在地を有する店舗や駅、または場所を指定して行われる催し物など(以下「情報源」)の情報や関連する情報(以下「情報源データ」)を、発信しようとする者(以下「発信者」)に登録させ、これを顧客や利用者、参加者など(以下「受給者」)に供給するというサービスをインターネットを介して行うために、1台以上のコンピュータから構成されるコンピュータシステムである。
【0019】情報供給システム1(適宜「システム」という)は、制御部101、テンプレートデータベース102、発信者データベース103、受給者データベース104、情報源データベース105を備える。」

(2)「【0021】テンプレートデータベース102には、Webブラウザ(ブラウザと略記する)での情報源データの配置などを決める出力画面テンプレートや、情報源データをシステムに登録する際の入力ページを構成するための入力画面テンプレートとが蓄積される。なお、利便性を向上すべく、予めいくつかの入力画面テンプレートおよび出力画面テンプレートからなるテンプレートセットとそのID(セットID)が情報源の種類(例えば業種)などに応じて定義されている。
【0022】情報供給システム1は、予め登録された発信者が指定した入力画面テンプレートにより、発信者が使用する発信者のブラウザ2に情報源データの入力ページを表示させて必要十分な情報入力を行わせ、入力された情報源データと発信者が予め指定した出力画面テンプレートとにより情報源のページ(以下「情報源ページ」)を構成して、予め登録された受給者が使用する受給者のブラウザ3に出力する。」

(3)「【0050】次に、情報供給システム1の制御部101は、全てのあるいはいくつかのテンプレートセット名を選択肢として含んだテンプレートセットの選択ぺージを送信して表示させ、それぞれの要否を設定させる(S29)。テンプレートセットの選択結果が発信者のブラウザ2から情報供給システム1へ送信されると(S31)、制御部101は、必要と設定されたセットIDや現在の日付および時間等を、対応する発信者レコードに格納し(S33)、発信者のブラウザ2に対し登録完了を通知する。
【0051】かかるテンプレートセットの選択処理は、情報供給システム1の運転中はいつでも行える。従って、発信者は、現在発信しようとする情報源や、将来発信しようとする情報源の種類に応じて、希望のテンプレートセットを適宜予約しておくことができる。【0052】次に、図5を参照して、情報源データの登録処理を説明する。情報供給システム1は、アクセスしてきた発信者を予め登録された発信者と認証した後、予約済みのテンプレートセット、すなわち、この発信者の発信者レコードにIDが登録されているテンプレートセットを検索し、これに含まれる各入力画面テンプレートの名前等を選択肢とした入力画面テンプレートの選択ページを、発信者のブラウザ2に送信して表示させ、いずれかの入力画面テンプレートを選択するように促す(S41)。
【0053】発信者のブラウザ2から選択結果が情報供給システム1に送信される(S43)と、制御部101は、選択された入力画面テンプレートをテンプレートデータベース102から選択し(S45)、このテンプレートで構成した情報源データの入力ページを発信者のブラウザ2に供給し(S47)、情報源データを入力させる。」

(4)「【0055】入力された情報源データやサービスの選択結果が情報供給システム1に送信されると(S49)、制御部101は、情報源データの中の住所を座標変換部121に与え、座標変換部121がこれを座標に変換して制御部101に出力する(S51)。制御部101は、情報源データ、変換された座標、および必要と設定されたサービスのサービスIDや他の設定を、対応する情報源レコードに格納する(S53)。」

(5)「【0064】次に、図7および図8を参照して、受給者への情報供給に関する処理を説明する。予め情報供給システム1に登録した受給者のブラウザ3が、いずれかの情報源ページの表示要求を行うと、情報供給システム1は、以下の処理を行う。・・・(中略)・・・
【0065】制御部101は、要求された情報源ページに対応する情報源レコードに格納されたセットIDを読み出し、このセットIDに対応するテンプレートセットを選択し、このテンプレートセットの出力画面テンプレートによって、当該情報源レコードに格納された情報源データを配置し、要求された情報源ページを構成する。
・・・(中略)・・・
【0069】そして、制御部101は、出力画面テンプレートにより構成した情報源ページに、このサービス呼び出し手続きを設定して受給者のブラウザ3に送信し表示させる(S71)。受給者のブラウザ3は、情報源データを、出力画面テンプレートによる配置通りに表示させ、さらに手続きを解釈して、情報源ページに「経路案内」へのリンクボタンを表示する。」

前記(1)?(5)、及び、関連する図面の記載によれば、引用例1には、次の事項が記載されているといえる(下線は、当審において付与した。)。

・前記(1)の「【0018】情報供給システム1は、所在地を有する店舗や駅、または場所を指定して行われる催し物など(以下「情報源」)の情報や関連する情報(以下「情報源データ」)を、発信しようとする者(以下「発信者」)に登録させ、これを顧客や利用者、参加者など(以下「受給者」)に供給するというサービスをインターネットを介して行うために、1台以上のコンピュータから構成されるコンピュータシステムである。」の記載、
前記(2)の「【0022】情報供給システム1は、予め登録された発信者が指定した入力画面テンプレートにより、発信者が使用する発信者のブラウザ2に情報源データの入力ページを表示させて必要十分な情報入力を行わせ、入力された情報源データと発信者が予め指定した出力画面テンプレートとにより情報源のページ(以下「情報源ページ」)を構成して、予め登録された受給者が使用する受給者のブラウザ3に出力する。」の記載によれば、
引用例1には、「コンピュータから構成された情報供給システム1において、発信者が指定した入力画面テンプレートにより、発信者のブラウザ2に情報源データの入力ページを表示させて必要十分な情報入力を行わせ、当該情報源データを受給者に供給するサービスをインターネットを介して行う方法」が記載されているといえる。

・前記(1)の「【0019】情報供給システム1(適宜「システム」という)は、制御部101、テンプレートデータベース102、発信者データベース103、受給者データベース104、情報源データベース105を備える。」の記載、
前記(2)の「【0021】テンプレートデータベース102には、Webブラウザ(ブラウザと略記する)での情報源データの配置などを決める出力画面テンプレートや、情報源データをシステムに登録する際の入力ページを構成するための入力画面テンプレートとが蓄積される。なお、利便性を向上すべく、予めいくつかの入力画面テンプレートおよび出力画面テンプレートからなるテンプレートセットとそのID(セットID)が情報源の種類(例えば業種)などに応じて定義されている。」の記載によれば、
情報供給システム1は、「テンプレートデータベース102に、情報源データの配置などを決める出力画面テンプレートと、情報源データをシステムに登録する際の入力ページを構成するための入力画面テンプレートとを蓄積し、予めいくつかの入力画面テンプレートおよび出力画面テンプレートからなるテンプレートセットとセットIDとを情報源の種類(例えば業種)などに応じて定義」するといえる。

・上記(3)の「【0050】次に、情報供給システム1の制御部101は、全てのあるいはいくつかのテンプレートセット名を選択肢として含んだテンプレートセットの選択ぺージを送信して表示させ、それぞれの要否を設定させる(S29)。テンプレートセットの選択結果が発信者のブラウザ2から情報供給システム1へ送信されると(S31)、」の記載によれば、
発信者のブラウザ2は、「いくつかのテンプレートセット名を選択肢として含んだテンプレートセットの選択ぺージを表示し、その選択結果を情報供給システム1へ送信する」といえる。

・前記(3)の「【0050】・・・(中略)・・・テンプレートセットの選択結果が発信者のブラウザ2から情報供給システム1へ送信されると(S31)、制御部101は、必要と設定されたセットIDや現在の日付および時間等を、対応する発信者レコードに格納し(S33)、」の記載、
前記(3)の「【0052】・・・(中略)・・・情報供給システム1は、アクセスしてきた発信者を予め登録された発信者と認証した後、予約済みのテンプレートセット、すなわち、この発信者の発信者レコードにIDが登録されているテンプレートセットを検索し、これに含まれる各入力画面テンプレートの名前等を選択肢とした入力画面テンプレートの選択ページを、発信者のブラウザ2に送信して表示させ、いずれかの入力画面テンプレートを選択するように促す(S41)。
【0053】発信者のブラウザ2から選択結果が情報供給システム1に送信される(S43)と、制御部101は、選択された入力画面テンプレートをテンプレートデータベース102から選択し(S45)」の記載、
図5における、
「入力画面テンプレートを選択してください
○商店紹介入力 ○商店紹介変更 ○商店情報追加 ○キャンペーン情報追加」の記載によれば、
「情報供給システム1」は、「発信者によって選択されたテンプレートセットを検索し、これに含まれる各入力画面テンプレートの名前等を選択肢とした入力画面テンプレートの選択ページを、発信者のブラウザ2に送信して表示させ、その選択肢は、例えば、商店紹介入力、商店紹介変更、商店情報追加、キャンペーン情報追加である」といえる。

・上記(3)の「【0053】発信者のブラウザ2から選択結果が情報供給システム1に送信される(S43)と、制御部101は、選択された入力画面テンプレートをテンプレートデータベース102から選択し(S45)、このテンプレートで構成した情報源データの入力ページを発信者のブラウザ2に供給し(S47)、情報源データを入力させる。」の記載によれば、
情報供給システム1は、「発信者のブラウザ2から選択結果を受信すると、選択された入力画面テンプレートをテンプレートデータベース102から選択し、当該入力画面テンプレートで構成した入力ページを発信者のブラウザ2に供給し、情報源データを入力させ」るといえる。

・上記(4)の「【0055】入力された情報源データやサービスの選択結果が情報供給システム1に送信されると(S49)、制御部101は、情報源データの中の住所を座標変換部121に与え、座標変換部121がこれを座標に変換して制御部101に出力する(S51)。制御部101は、情報源データ、変換された座標、および必要と設定されたサービスのサービスIDや他の設定を、対応する情報源レコードに格納する(S53)。」の記載、
上記(5)の「【0064】次に、図7および図8を参照して、受給者への情報供給に関する処理を説明する。予め情報供給システム1に登録した受給者のブラウザ3が、いずれかの情報源ページの表示要求を行うと、情報供給システム1は、以下の処理を行う。・・・(中略)・・・
【0065】制御部101は、要求された情報源ページに対応する情報源レコードに格納されたセットIDを読み出し、このセットIDに対応するテンプレートセットを選択し、このテンプレートセットの出力画面テンプレートによって、当該情報源レコードに格納された情報源データを配置し、要求された情報源ページを構成する。
・・・(中略)・・・
【0069】そして、制御部101は、出力画面テンプレートにより構成した情報源ページに、このサービス呼び出し手続きを設定して受給者のブラウザ3に送信し表示させる(S71)。受給者のブラウザ3は、情報源データを、出力画面テンプレートによる配置通りに表示させ、」の記載によれば、
情報供給システム1は、「受信した情報源データを情報源レコードに格納し、受給者のブラウザから情報源ページの表示要求を受信すると、選択されたテンプレートセットの出力画面テンプレートにより当該情報源データを配置した情報源ページを受給者のブラウザ3に表示させる」といえる。

したがって、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているといえる。

<引用発明1>
「コンピュータから構成された情報供給システム1において、発信者が指定した入力画面テンプレートにより、発信者のブラウザ2に情報源データの入力ページを表示させて必要十分な情報入力を行わせ、当該情報源データを受給者に供給するサービスをインターネットを介して行う方法において、
情報供給システム1は、テンプレートデータベース102に、情報源データの配置などを決める出力画面テンプレートと、情報源データをシステムに登録する際の入力ページを構成するための入力画面テンプレートとを蓄積し、予めいくつかの入力画面テンプレートおよび出力画面テンプレートからなるテンプレートセットとセットIDとを情報源の種類(例えば業種)などに応じて定義し、
発信者のブラウザ2は、いくつかのテンプレートセット名を選択肢として含んだテンプレートセットの選択ぺージを表示し、その選択結果を情報供給システム1へ送信し、
情報供給システム1は、発信者によって選択されたテンプレートセットを検索し、これに含まれる各入力画面テンプレートの名前等を選択肢とした入力画面テンプレートの選択ページを、発信者のブラウザ2に送信して表示させ、その選択肢は、例えば、商店紹介入力、商店紹介変更、商店情報追加、キャンペーン情報追加であり、
情報供給システム1は、発信者のブラウザ2から選択結果を受信すると、選択された入力画面テンプレートをテンプレートデータベース102から選択し、当該入力画面テンプレートで構成した入力ページを発信者のブラウザ2に供給し、情報源データを入力させ、
情報供給システム1は、受信した情報源データを情報源レコードに格納し、受給者のブラウザから情報源ページの表示要求を受信すると、選択されたテンプレートセットの出力画面テンプレートにより当該情報源データを配置した情報源ページを受給者のブラウザ3に表示させることを含む方法。」

2.特開2002-324063号公報

平成23年12月21日付け拒絶理由通知において引用された特開2002-324063号公報(公開日:平成14年11月8日。以下、「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。

(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ネットワークを介して複数の文書作成者が共同で文書を作成する場合に、その文書の管理および作成状況の管理を行う文書作成管理システム、文書作成管理方法および文書作成管理プログラムに関する。」

(2)「【0018】図1に示す文書作成管理システムは、文書作成端末20、文書作成端末21、作成管理端末30、文書作成管理サーバ40および文書公開サーバ80を備えている。文書作成端末20、文書作成端末21、作成管理端末30、文書作成管理サーバ40および文書公開サーバ80は、ネットワーク10に接続されている。ネットワーク10は、インターネット等のネットワークで実現される。
【0019】文書作成端末20および文書作成端末21は、文書作成者によって使用され、作成管理端末30は、管理者によって使用される。文書作成端末20および文書作成端末21には、文書を作成するためのワードプロセッサ等の文書作成ツールが組み込まれている。管理者は、各文書作成者が作成した文書の内容確認、調整、承認等を行う者である。」

(3)「【0035】文書作成管理サーバ40は、文書作成端末20および文書作成端末21から受信した文書を文書ファイル70aおよび文書ファイル70bとして磁気ディスク装置に格納する。また、文書作成管理サーバ40は、作成状況データベース60における作成状況を「作成完了」に設定する(ステップS7)。即ち、文書作成者Aおよび文書作成者Bが担当する文書の作成状況を「作成完了」に設定する。
【0036】そして、文書作成管理サーバ40は、作成状況データベース60内の作成状況を「作成完了」に設定した時点で、全ての文書の作成状況が「作成完了」に設定されている否かを判断する(ステップS8)。即ち、文書作成管理サーバ40は、各文書作成者が担当する何れかの文書の作成状況を「作成完了」に設定した時点で、全ての文書の作成状況が「作成完了」に設定されている否かを自動的に判断する。また、文書作成管理サーバ40は、何れかの文書作成端末から文書を受信した時点で、全ての文書の作成状況が「作成完了」に設定されている否かを自動的に判断してもよい。
【0037】その結果、全ての文書の作成状況が「作成完了」になっている場合には、文書作成管理サーバ40は、全ての文書が作成完了となったことを示す作成完了通知を作成管理端末30に対して電子メールで送信する(ステップS9)。
【0038】管理者は、文書作成管理サーバ40からの作成完了通知を作成管理端末30で受信すると、文書作成管理サーバ40に対して文書構造ファイル50および文書ファイル70a、70bを用いて1つの文書に統合するように指示を送信する(ステップS10)。
【0039】文書作成管理サーバ40は、管理者からの指示に従って、文書構造ファイル50を用いて、文書ファイル70aおよび70b内の文書を1つの文書に統合する(ステップS11)。具体的には、文書作成管理サーバ40は、文書構造ファイル50に文書ファイル70aおよび文書ファイル70bの内容を埋め込むことによって、1つの文書に統合する。そして、文書作成管理サーバ40は、統合した文書を作成管理端末30に対して送信する(ステップS11)。
【0040】作成管理端末30は、統合された文書を文書作成管理サーバ40から受信し、その文書を表示する(ステップS12)。管理者は、作成管理端末30に表示された文書を読み、文書の修正の要否について判断する。」

(4)「【0045】管理者は、ステップS12での判断の結果、文書の修正を要しないと判断した場合には、ステップS24に移行する。
【0046】管理者は、作成管理端末30から、文書作成管理サーバ40に対して文書の更新を不可にするように指示する(ステップS21)。文書作成管理サーバ40は、文書ファイル70aおよび70bの属性を変更することによって文書の更新を不可にする(ステップS22)。例えば、属性を「読み取り専用」に設定する。
【0047】管理者は、作成管理端末30から文書作成管理サーバ40に対して統合した文書を文書公開サーバ80に対して送信するように指示する(ステップS23)。文書作成管理サーバ40は、統合した文書を文書公開サーバ80に対して送信する(ステップS24)。文書公開サーバ80は、文書作成管理サーバ40から受信した文書を文書作成の関係者に公開する(ステップS25)。」

(5)「【0049】・・・(中略)・・・また、作成が完了した文書については、インターネットを通じて、直ちに一般の読者にも公開することができる。」

前記(1)?(5)によれば、引用例2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているといえる。

<引用発明2>
「ネットワークを介して複数の文書作成者が共同で文書を作成する場合に、その文書の管理および作成状況の管理を行う文書作成管理システムによる文書作成管理方法において、
文書作成管理システムは、ネットワーク10に接続された、文書作成者の文書作成端末20、21、当該文書の内容確認、調整、承認等を行う管理者の作成管理端末30、文書作成管理サーバ40、及び、文書公開サーバ80を備え、
文書作成管理サーバ40は、文書作成者の文書作成端末20、21から文書を受信し、当該文書の作成状況を作成完了に設定し、すべての文書の作成状況が作成完了に設定されている場合に、当該文書の内容確認、調整、承認等を行う管理者の作成管理端末に作成完了通知を送信し、
管理者は、作成完了通知を作成管理端末30で受信すると、文書作成管理サーバ40に対して1つの文書に統合する指示を送信し、
文書作成管理サーバ40は、管理者からの指示に従って、文書を1つに統合して、統合された文書を作成管理端末30に送信し、
作成管理端末30は、統合された文書を表示し、管理者は、作成管理端末30に表示された文書を読み、文書の修正の要否について判断し、
管理者は、文書の修正を要しないと判断した場合に、作成管理端末30から、文書作成管理サーバ40に対して文書の更新を不可にするように指示し、統合した文書を文書公開サーバ80に対して送信するように指示し、
文書作成管理サーバ40は、管理者からの指示に従って、統合した文書を文書公開サーバ80に対して送信し、
文書公開サーバ80は、文書作成管理サーバ40から受信した文書を公開する文書作成管理方法。」

第4 対比

次に、本願発明と引用発明1とを対比する。
・引用発明1の「情報供給システム」、「コンピュータ」は、本願発明の「コンテンツ管理システム」、「センタ・コンピュータ」に相当する。
また、引用発明1の「情報源データ」、「入力画面テンプレート」は、本願発明の「コンテンツ・アイテム」、「テンプレート」に相当する。
また、引用発明1の「発信者のブラウザ」と、本願発明の「ユーザ・コンピュータ」は、共に「ユーザ・機器」の点で共通する。
したがって、引用発明1の「コンピュータから構成された情報供給システム1において、発信者が指定した入力画面テンプレートにより、発信者のブラウザ2に情報源データの入力ページを表示させて必要十分な情報入力を行わせ、当該情報源データを受給者に供給するサービスをインターネットを介して行う方法において」と、
本願発明の「コンテンツ管理システムにおいて、コンテンツ・アイテムに対してテンプレートを使用する方法であって、前記コンテンツ管理システムがセンタ・コンピュータに構築され、該センタ・コンピュータがネットワークを介してユーザ・コンピュータに接続されている方法において」は、
「コンテンツ管理システムにおいて、コンテンツ・アイテムに対してテンプレートを使用する方法であって、前記コンテンツ管理システムがセンタ・コンピュータに構築され、該センタ・コンピュータがネットワークを介してユーザ・機器に接続されている方法において」の点で共通する。

・引用発明1の情報供給システム1は、「テンプレートデータベース102に、情報源データの配置などを決める出力画面テンプレートと、情報源データをシステムに登録する際の入力ページを構成するための入力画面テンプレートとを蓄積し、予めいくつかの入力画面テンプレートおよび出力画面テンプレートからなるテンプレートセットとセットIDとを情報源の種類(例えば業種)などに応じて定義」する。
また、引用発明1の情報供給システム1は、「発信者によって選択されたテンプレートセットを検索し、これに含まれる各入力画面テンプレートの名前等を選択肢とした入力画面テンプレートの選択ページを、発信者のブラウザ2に送信して表示させ」、「選択された入力画面テンプレートをテンプレートデータベース102から選択し、当該入力画面テンプレートで構成した入力ページを発信者のブラウザ2に供給」する。
したがって、引用発明1の情報供給システム1は、テンプレートデータベース102に、複数の入力画面テンプレートを蓄積しており、その入力画面テンプレートを発信者に提供する段階を有するといえる。
したがって、引用発明1の上記段階は、本願発明の「前記センタ・コンピュータのテンプレート提供手段が、複数のコンテンツ・オーサリング・テンプレートをユーザに提供する段階」に相当する。

・引用発明1は、テンプレートセットを「情報源の種類(例えば業種)などに応じて定義」する。上記「情報源の種類」は、本願発明の「コンテンツ・タイプ」に相当する。
したがって、引用発明1の「発信者のブラウザ2は、いくつかのテンプレートセット名を選択肢として含んだテンプレートセットの選択ぺージを表示し、その選択結果を情報供給システム1へ送信し」と、
本願発明の「前記ユーザ・コンピュータの入力手段が、前記コンテンツ・アイテムをコンテンツ・タイプとして類別し、入力する段階」は、
「前記ユーザ・機器の入力手段が、前記コンテンツ・アイテムをコンテンツ・タイプとして類別し、入力する段階」の点で共通する。

・引用発明1の「情報供給システム1は、発信者によって選択されたテンプレートセットを検索し、これに含まれる各入力画面テンプレートの名前等を選択肢とした入力画面テンプレートの選択ページを、発信者のブラウザ2に送信して表示させ」は、
本願発明の「前記センタ・コンピュータの選択手段が、前記コンテンツ・タイプに基づいて、自動的に、前記複数のコンテンツ・オーサリング・テンプレートの中から必要とされるテンプレートの適切な集合を選択する段階」に相当する。

・引用発明1の「情報供給システム1は、発信者のブラウザ2から選択結果を受信すると、選択された入力画面テンプレートをテンプレートデータベース102から選択し、当該入力画面テンプレートで構成した入力ページを発信者のブラウザ2に供給し、情報源データを入力させ」は、
本願発明の「前記センタ・コンピュータの提示手段が、自動的に、前記コンテンツ・アイテムについてユーザに記述させるために前記テンプレートの適切な集合をユーザに提示する段階」に相当する。

・引用発明1の情報供給システム1は、発信者のブラウザから情報源データを受信し、その情報源データを受給者のブラウザに表示させるから、情報供給システムの処理手段が、発信者のブラウザから受信した情報源データを、受給者のブラウザに表示させる段階を有するといえる。
したがって、引用発明の上記段階と、本願発明の「前記コンテンツ管理システムの確保手段が、前記コンテンツ・アイテムを発行する際の完成度を確保する段階」は、
「前記コンテンツ管理システムの処理手段が、前記コンテンツ・アイテムを発行する段階」の点で共通する。

したがって、本願発明と引用発明1とは、次の点で一致する。

<一致点>
「コンテンツ管理システムにおいて、コンテンツ・アイテムに対してテンプレートを使用する方法であって、前記コンテンツ管理システムがセンタ・コンピュータに構築され、該センタ・コンピュータがネットワークを介してユーザ・機器に接続されている方法において、
前記センタ・コンピュータのテンプレート提供手段が、複数のコンテンツ・オーサリング・テンプレートをユーザに提供する段階と、
前記ユーザ・機器の入力手段が、前記コンテンツ・アイテムをコンテンツ・タイプとして類別し、入力する段階と、
前記センタ・コンピュータの選択手段が、前記コンテンツ・タイプに基づいて、自動的に、前記複数のコンテンツ・オーサリング・テンプレートの中から必要とされるテンプレートの適切な集合を選択する段階と、
前記センタ・コンピュータの提示手段が、自動的に、前記コンテンツ・アイテムについてユーザに記述させるために前記テンプレートの適切な集合をユーザに提示する段階と、
前記コンテンツ管理システムの処理手段が、前記コンテンツ・アイテムを発行する段階とから成る方法。」

そして、本願発明と引用発明1とは、次の点で相違する。

<相違点1>
「ユーザ・機器」が、本願発明では「ユーザ・コンピュータ」であるのに対し、引用発明1では、コンピュータであるかどうか不明である点。

<相違点2>
「前記コンテンツ管理システムの処理手段が、前記コンテンツ・アイテムを発行する段階」が、
本願発明では、「前記コンテンツ管理システムの確保手段が、前記コンテンツ・アイテムを発行する際の完成度を確保する段階」であり、
「前記完成度を確保する段階は、
前記確保手段の第1の受取り手段が、ユーザから、前記テンプレートの適切な集合における各テンプレートに対するコンテンツを受け取ることと、
前記確保手段の決定手段が、その受け取ったコンテンツの全ての各構成要素が承認されたか否かを決定することと、
前記確保手段の禁止手段が、前記コンテンツの全ての各構成要素が承認されるまで前記コンテンツ管理システムにおける発行を禁止することと、
前記確保手段の第2の受取り手段が、前記コンテンツの全ての各構成要素が承認された後に発行者から発行要求を受け取ることと、
前記確保手段の発行手段が、前記コンテンツの全ての各構成要素及び対応する前記テンプレートの適切な集合から得られた情報を、前記発行者による更なる干渉なしに、自動的に発行することとを含む」のに対し、
引用発明1では、情報供給システム1が、発信者のブラウザから情報源データを受信し、その情報源データを受給者のブラウザに表示させる段階であり、「確保手段」が「完成度を確保する段階」ではない点。

第5 判断

<相違点1>について

ブラウザの機能を有した機器として、コンピュータは周知である。
したがって、引用発明1の「発信者のブラウザ」を、「ユーザ・コンピュータ」とすることは容易に想到し得ることである。

<相違点2>について

引用発明2は、文書作成管理システムが文書を公開する際に、管理者が、文書について修正の要否を判断し、修正を要しないと判断した場合に、文書作成管理システムに対して公開を指示するから、コンテンツ管理システムの確保手段が、コンテンツ・アイテムを発行する際の完成度を確保する段階を有するといえる。
引用発明2において、管理者が文書の修正を要しないと判断した場合に、文書作成管理サーバに文書の更新を不可にするよう指示することは、管理者が文書を承認し、承認済み文書の更新を不可にすることと解される。また、管理者が文書の修正の要否を判断する際に、文書のすべての各構成要素を対象としてその要否を判断することは明らかである。したがって、文書作成管理サーバが、管理者から上記指示の受信することは、「受け取ったコンテンツのすべての各構成要素が承認されたか否かを決定すること」といえる。
また、管理者が文書の修正を要しないと判断して、文書の更新を不可にするよう指示し、さらに、文書を文書公開サーバに対して送信するように指示した場合に、文書公開サーバは文書を公開する。したがって、管理者が文書を承認するまで、文書が公開されないことは明らかである。このことは、「前記コンテンツの全ての各構成要素が承認されるまで前記コンテンツ管理システムにおける発行を禁止すること」といえる。
また、文書が文書公開サーバに送信されると、文書公開サーバはその文書を公開するから、管理者が、文書作成管理サーバに対して、文書を文書公開サーバに送信するように指示することは、発行者からの発行要求といえる。したがって、文書作成管理サーバが上記指示を受信することは、「前記コンテンツの全ての各構成要素が承認された後に発行者から発行要求を受け取ること」といえる。
引用発明1と引用発明2は、いずれも、コンテンツ管理システムが、ユーザから入力されたコンテンツ・アイテムを発行する方法である点で共通し、また、引用発明1においても、完成度の低い情報源データを受給者に発行すれば、種々の問題が生じることは当然であるから、引用発明2を適用して、情報供給システム1が情報源データを発行する際に、情報源データの完成度を確保することは格別困難ではない。
さらに、テンプレートを用いてコンテンツを作成する際に、テンプレートに入力されたコンテンツの各構成要素と、テンプレートから得られた情報とを用いて作成することは周知である。したがって、引用発明1において、入力画面テンプレートに入力された情報源データだけでなく、入力画面テンプレートから得られた情報をも用いて情報源ページを作成し、受給者に供給することも格別困難ではない。

してみると、引用発明1において、受給者に供給される情報源データの完成度を確保するために、引用発明2を適用して、
引用発明1の情報供給システムが、情報源データを受給者のブラウザに表示させる段階を、「前記コンテンツ管理システムの確保手段が、前記コンテンツ・アイテムを発行する際の完成度を確保する段階」とし、
情報供給システムが、発信者から、入力画面テンプレートに入力された情報源データを受信することを、「前記確保手段の第1の受取り手段が、ユーザから、前記テンプレートの適切な集合における各テンプレートに対するコンテンツを受け取ること」とし、
管理者が、情報供給システムに入力された情報源データの修正の要否を判断し、修正を要しない場合に、情報供給システムが、管理者から情報源データの更新を不可にする指示を受信して、これを「前記確保手段の決定手段が、その受け取ったコンテンツの全ての各構成要素が承認されたか否かを決定すること」とし、
情報供給システムが、上記指示を受信するまで、情報源データを受給者のブラウザに表示させないようにして、これを「前記確保手段の禁止手段が、前記コンテンツの全ての各構成要素が承認されるまで前記コンテンツ管理システムにおける発行を禁止すること」とし、
情報供給システムが、情報源データの修正を要しないと判断された場合に、管理者から発行要求を受け取ることを、「前記確保手段の第2の受取り手段が、前記コンテンツの全ての各構成要素が承認された後に発行者から発行要求を受け取ること」とし、
情報供給システムが、受給者のブラウザから情報源ページの表示要求を受信した場合に、発信者により入力されたすべての情報源データと、入力画面テンプレートから得られた情報とを情報源ページに配置して、受給者のブラウザに表示させることを、「前記確保手段の発行手段が、前記コンテンツの全ての各構成要素及び対応する前記テンプレートの適切な集合から得られた情報を、前記発行者による更なる干渉なしに、自動的に発行すること」として、
引用発明1が、上記相違点2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは容易に想到し得ることである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明1、引用発明2、及び、周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明1、引用発明2、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-10-04 
結審通知日 2012-10-09 
審決日 2012-10-25 
出願番号 特願2004-554862(P2004-554862)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 篠原 功一  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 西山 昇
松尾 俊介
発明の名称 コンテンツ管理システム用のテンプレート完成  
代理人 大橋 邦彦  

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