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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D |
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管理番号 | 1271395 |
審判番号 | 不服2011-28041 |
総通号数 | 161 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-12-27 |
確定日 | 2013-03-14 |
事件の表示 | 特願2005-162015「合掌部付き袋体の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年12月14日出願公開、特開2006-335420〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成17年6月1日の出願であって、平成23年9月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成23年12月27日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同時に手続補正がなされたものである。 そして、当審において平成24年8月10日付けで拒絶理由を通知し、これに対し、平成24年10月18日付けで手続補正がなされたものである。 2.本願発明 本願の請求項1に係る発明は、平成24年10月18日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1により特定される次のとおりのものと認める(以下、「本願発明」という)。 「表側構成要素と、裏側構成要素と、袋両側部において表側構成要素と裏側構成要素との間に介在される左右一対のガゼット片とを備えたものであり、しかも、そのうちの左右一対のガゼット片が、袋折り畳み状態において谷折り状態となって袋内方へ折り込まれる二つ折りの折り込み形状を有するものであること、および、 左右一対のガゼット片を介在された表側構成要素と裏側構成要素との袋両側部においては表側構成要素と一対のガゼット片との対接した縁部分や裏側構成要素と一対のガゼット片との対接した縁部分がそれぞれ互いに接着されているとともに、当該ガゼット片の介在されていない表側構成要素と裏側構成要素との対接した縁部分においては表側構成要素と裏側構成要素とが直接接着されており、このそれぞれの接着により表側構成要素と裏側構成要素と一対のガゼット片とが袋状に一体化されたものであること、および、 表側構成要素がその外面側に開口部となる合掌部を有するとともにその合掌部が表側構成要素の一側端から他側端にわたるものであること、および、 袋両側部において表側構成要素と裏側構成要素との間に介在されたそれぞれのガゼット片が合掌部と交差する向きに配設されていること を構成要件として具備している合掌部付き袋体の製造方法において、 一側端から他側端にわたる合掌部を外面側に有するものであって表側構成要素となる帯状フィルムと、合掌部のないものであって裏側構成要素となる偏平な帯状フィルムとを、合掌部のある帯状フィルムが上側かつ合掌部のない帯状フィルムが下側となるようにして水平状態で対面並行させること、および、 並行状態の上下両帯状フィルム間であって合掌部の長手方向一端側と対応する部位や合掌部の長手方向他端側と対応する部位にそれぞれ介在させるための一対のガゼット片については、袋内方へ折り込むことのできる屈伸自在な二つ折りの折り込み形状を有していてその二つ折りの折り込み形状が長方形をなすという条件と、その介在後のガゼット片が合掌部と交差する向きになるという条件とを満足させて、当該一対のガゼット片を並行状態の上下両帯状フィルム間に介在させること、および、 上下両帯状フィルムとその間にある各ガゼット片とを互いに接着することについて、ガゼット片介在部側からみて合掌部よりも左側の領域を左側部とするとともにガゼット片介在部側からみて合掌部よりも右側の領域を右側部とした場合、その左側部においては一方のガゼット片と上下両帯状フィルムとの対接した縁部分をそれぞれ互いに接着するとともにその右側部においては他方のガゼット片と上下両帯状フィルムとの対接した縁部分をそれぞれ互いに接着し、かつ、上下両帯状フィルム間のうちのガゼット片の介在されていない部分であって当該上下両帯状フィルムの互いに対接している縁部分については、その対接した縁部分を直接接着すること、および、 ガゼット片のある袋両側部間の寸法を袋一単位分の幅とした場合、ガゼット片介在後の上下両帯状フィルムを袋一単位分の幅ごとに接着切断すること を特徴とする合掌部付き袋体の製造方法。」 3.引用例及び引用発明 当審の拒絶理由に引用された特開平11-292158号公報(以下「引用文献」という。)には図面と共に下記の事項が記載されている。 (a)「本発明は開封後の内容物を包装袋のままで電子レンジなどで加熱する、冷凍食品、レトルト食品、あるいはクッキングバッグなどのために用いる比較的軟質のプラスチックフィルム製袋体の新規な形状に関する…近年、女性の職場などへの進出、核家族化などが原因になり、冷凍食品、チルド食品あるいは常温流通食品の形で市販される調理済食品が大量に市場に供給されるようになってきた。これらの多くは平袋、縦または横にマチの入ったガゼット袋、起立状態を保つスタンドパウチ(図9)、枕状のピロー包装袋あるいは円筒の一部をつぶした形のチューブ包装袋などがある。そしてそれらの多くは簡易な取扱の必要性から市販された包装形態のままで直接電子レンジなどで加熱できることが要望されている。」(段落【0001】?【0002】参照) (b)「本発明は、[1] 縦方向(長辺)と横方向(短辺)の長さの比が4を越えない範囲の基部を有する袋体で、該袋体の横方向(短辺)の長さの0.4倍を越えない高さの開口部を、袋体の基部の上面に縦方向(長辺)と平行に設けたことを特徴とするプラスチック袋体」(段落【0006】参照) (c)「本発明のプラスチック袋体は、図1及び図2(内容物を充填したプラスチック袋体のA-A’の切断状態を示す。)に示すように、袋状基部1(a、b、c、dで囲まれた部分)及び該基部の上面に自立する開口部2からなっている。袋状基部1は1枚のフィルムから構成され、基部横方向(短辺)端部[a-b、c-d]はヒートシールまたは接着剤により接合、通常はヒートシールされている。もし2?3枚のフィルムから構成される時は基部縦方向(長辺)端部[a-d、b-c]の方も接合してあってもよい。そして基部1の上面には自立する開口部2が設けられている。なお基部横方向(短辺)端部[a-b、c-d]は、ヒートシールまたは接着剤により接合せず、図7に示すようにガゼット状に内側に折り込んでもよいし、または図8に示すように外側ガゼット状にはみ出させておいてもよい。このタイプのものは全体の形状が同じであっても内容積を大きくすることができる。」(段落【0011】参照) (d)「開口部2は、基部1のフィルムの延長した部分であることが好ましい」(段落【0012】参照) (e)図7から、開口部2が袋状基部の上面の一側端から他側端にわたってのびていることがみてとれる。 上記(c)の「もし2?3枚のフィルムから構成される時は基部縦方向(長辺)端部[a-d、b-c]の方も接合してあってもよい…なお基部横方向(短辺)端部[a-b、c-d]は、ヒートシールまたは接着剤により接合せず、図7に示すようにガゼット状に内側に折り込んでもよい」の記載からみて、上面に開口部を有する袋体を複数のフィルムで構成する際は、基部縦方向両端部([a-b]、さらには[b-c])で各フィルムを接合することが示唆されているものと認められ、この場合の袋体は、袋状基部の上面を開口部の左右の2枚のフィルムから形成するとともに、下面を1枚のフィルムから形成したものとなる。そして、図7に示すように基部横方向(短辺)端部をガゼット状に内側に折り込む場合についても、同様に、袋状基部の上面を開口部2の左右の2枚のフィルムから形成するとともに、下面を1枚のフィルムから形成したものが開示されているといえる。 また、図1及び図2、上記(d)より、開口部2は上面を形成する2枚のフィルムの合掌部として袋状基部1の外面側に形成されるものと認められる。 よって、以上の記載から、引用文献には次の発明(以下「引用発明」という)が記載されていると認められる。 「上面と下面と、横方向両端部において内側に折り込まれるガゼット状部分を有し、 前記上下面の縦方向端部を接合するともに横方向端部を内側に折り込んでガゼット状部分を形成して袋状基部を形成し、外面側に開口部となる合掌部を上面の一側端から他側端にわたり有し、前記袋状基部の横方向両端部においてガゼット状部分が配設されているプラスチック袋体の製造方法において、 前記袋状基部の上面を開口部の左右の2枚のフィルムから形成するとともに、下面を1枚のフィルムから形成し、前記袋状基部の縦方向端部を接合するともに横方向端部に内側に折り込んだガゼット状部分を形成して袋体となすプラスチック袋体の製造方法。」 4.対比 本願発明と引用発明を対比すると、引用発明の「上面」、「下面」、「横方向両端部」、「プラスチック袋体」は本願発明の「表側構成要素」、「裏側構成要素」、「袋両側部」、「合掌部付き袋体」に相当する。 引用発明の「横方向両端部において内側に折り込まれるガゼット状部分を有」することと本願発明の「袋両側部において表側構成要素と裏側構成要素との間に介在される左右一対のガゼット片とを備えたものであり、しかも、そのうちの左右一対のガゼット片が、袋折り畳み状態において谷折り状態となって袋内方へ折り込まれる二つ折りの折り込み形状を有するものであること」とは、「袋両側部において表側構成要素と裏側構成要素との間に介在される左右一対のガゼット状部分とを備えたものであり、しかも、そのうちの左右一対のガゼット状部分が、袋折り畳み状態において谷折り状態となって袋内方へ折り込まれる折り込み形状を有するものである」限りにおいて一致し、引用発明の「上下面の縦方向端部を接合するともに横方向端部を内側に折り込んでガゼット状部分を形成して袋状基部を形成」することと本願発明の「左右一対のガゼット片を介在された表側構成要素と裏側構成要素との袋両側部においては表側構成要素と一対のガゼット片との対接した縁部分や裏側構成要素と一対のガゼット片との対接した縁部分がそれぞれ互いに接着されているとともに、当該ガゼット片の介在されていない表側構成要素と裏側構成要素との対接した縁部分においては表側構成要素と裏側構成要素とが直接接着されており、このそれぞれの接着により表側構成要素と裏側構成要素と一対のガゼット片とが袋状に一体化され」ることとは、「ガゼット状部分の介在されていない表側構成要素と裏側構成要素との対接した縁部分における表側構成要素と裏側構成要素との直接接着と、左右一対のガゼット状部分の形成により、表側構成要素と裏側構成要素と一対のガゼット状部分とが袋状に一体化され」る限りにおいて一致する。 また、引用発明の「袋状基部の上面を開口部の左右の2枚のフィルムから形成するとともに、下面を1枚のフィルムから形成し、前記袋状基部の縦方向端部を接合するともに横方向端部に内側に折り込んだガゼット状部分を形成して袋体となす」ことと、本願発明の「一側端から他側端にわたる合掌部を外面側に有するものであって表側構成要素となる帯状フィルムと、合掌部のないものであって裏側構成要素となる偏平な帯状フィルムとを、合掌部のある帯状フィルムが上側かつ合掌部のない帯状フィルムが下側となるようにして水平状態で対面並行させること、および、 並行状態の上下両帯状フィルム間であって合掌部の長手方向一端側と対応する部位や合掌部の長手方向他端側と対応する部位にそれぞれ介在させるための一対のガゼット片については、袋内方へ折り込むことのできる屈伸自在な二つ折りの折り込み形状を有していてその二つ折りの折り込み形状が長方形をなすという条件と、その介在後のガゼット片が合掌部と交差する向きになるという条件とを満足させて、当該一対のガゼット片を並行状態の上下両帯状フィルム間に介在させること、および、 上下両帯状フィルムとその間にある各ガゼット片とを互いに接着することについて、ガゼット片介在部側からみて合掌部よりも左側の領域を左側部とするとともにガゼット片介在部側からみて合掌部よりも右側の領域を右側部とした場合、その左側部においては一方のガゼット片と上下両帯状フィルムとの対接した縁部分をそれぞれ互いに接着するとともにその右側部においては他方のガゼット片と上下両帯状フィルムとの対接した縁部分をそれぞれ互いに接着し、かつ、上下両帯状フィルム間のうちのガゼット片の介在されていない部分であって当該上下両帯状フィルムの互いに対接している縁部分については、その対接した縁部分を直接接着すること」とは、「一側端から他側端にわたる合掌部を外面側に有するものであって表側構成要素となるフィルムと、合掌部のないものであって裏側構成要素となる偏平なフィルムとを、合掌部のあるフィルムが上側かつ合掌部のないフィルムが下側となるようにして、袋両側部においてガゼット状部分を形成し、上下フィルム間のうちの当該上下両帯状フィルムの互いに対接している縁部分については、その対接した縁部分を直接接着すること」である限りにおいて一致する。 したがって、本願発明と引用発明は、 「表側構成要素と、裏側構成要素と、袋両側部において表側構成要素と裏側構成要素との間に介在される左右一対のガゼット状部分とを備えたものであり、しかも、そのうちの左右一対のガゼット状部分が、袋折り畳み状態において谷折り状態となって袋内方へ折り込まれる折り込み形状を有するものであること、および、 ガゼット状部分の介在されていない表側構成要素と裏側構成要素との対接した縁部分における表側構成要素と裏側構成要素との直接接着と、左右一対のガゼット状部分の形成により、表側構成要素と裏側構成要素と一対のガゼット状部分とが袋状に一体化されたものであること、および、 表側構成要素がその外面側に開口部となる合掌部を有するとともにその合掌部が表側構成要素の一側端から他側端にわたるものであること、 を構成要件として具備している合掌部付き袋体の製造方法において、 一側端から他側端にわたる合掌部を外面側に有するものであって表側構成要素となるフィルムと、合掌部のないものであって裏側構成要素となる偏平なフィルムとを、合掌部のあるフィルムが上側かつ合掌部のないフィルムが下側となるようにして、袋両側部においてガゼット状部分を形成し、上下フィルム間のうちの当該上下両帯状フィルムの互いに対接している縁部分については、その対接した縁部分を直接接着する合掌部付き袋体の製造方法。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本願発明では、ガゼット状部分が「二つ折り」の折り込み形状を有する「ガゼット片」から形成され、「左右一対のガゼット片を介在された表側構成要素と裏側構成要素との袋両側部においては表側構成要素と一対のガゼット片との対接した縁部分や裏側構成要素と一対のガゼット片との対接した縁部分がそれぞれ互いに接着され」、「袋両側部において表側構成要素と裏側構成要素との間に介在されたそれぞれのガゼット片が合掌部と交差する向きに配設されている」のに対して、引用発明では、ガゼット状部分の構造に関してこのように規定されていない点。 〔相違点2〕 本願発明では、「一側端から他側端にわたる合掌部を外面側に有するものであって表側構成要素となる帯状フィルムと、合掌部のないものであって裏側構成要素となる偏平な帯状フィルムとを、合掌部のある帯状フィルムが上側かつ合掌部のない帯状フィルムが下側となるようにして水平状態で対面並行させること、および、 並行状態の上下両帯状フィルム間であって合掌部の長手方向一端側と対応する部位や合掌部の長手方向他端側と対応する部位にそれぞれ介在させるための一対のガゼット片については、袋内方へ折り込むことのできる屈伸自在な二つ折りの折り込み形状を有していてその二つ折りの折り込み形状が長方形をなすという条件と、その介在後のガゼット片が合掌部と交差する向きになるという条件とを満足させて、当該一対のガゼット片を並行状態の上下両帯状フィルム間に介在させること、および、 上下両帯状フィルム間のうちのガゼット片の介在されていない部分であって当該上下両帯状フィルムの互いに対接している縁部分については、その対接した縁部分を直接接着すること、および、 ガゼット片のある袋両側部間の寸法を袋一単位分の幅とした場合、ガゼット片介在後の上下両帯状フィルムを袋一単位分の幅ごとに接着切断すること」を規定しているのに対して、引用発明ではこのように規定されていない点。 〔相違点3〕 本願発明では、「上下両帯状フィルムとその間にある各ガゼット片とを互いに接着することについて、ガゼット片介在部側からみて合掌部よりも左側の領域を左側部とするとともにガゼット片介在部側からみて合掌部よりも右側の領域を右側部とした場合、その左側部においては一方のガゼット片と上下両帯状フィルムとの対接した縁部分をそれぞれ互いに接着するとともにその右側部においては他方のガゼット片と上下両帯状フィルムとの対接した縁部分をそれぞれ互いに接着」するのに対して、引用発明ではガゼット状部分の形成に関してこのように規定されていない点。 5.判断 そこで、上記相違点1について検討すると、プラスチックフィルム等の軟質材から形成され、液状の食料品等の内容物を包装する袋体(パウチ)において、ガゼット状部分を二つ折りの折り込み形状を有するガゼット片により形成することは周知技術であり(例えば、当審の拒絶理由に引用した実願昭55-186703号(実開昭57-110040号)のマイクロフィルム、特開2001-247135号公報参照。以下、「周知技術1」という。)、該周知技術1を引用発明の袋体のガゼット状部分に適用することが格別困難であるとする理由も認められない。 また、本願発明がガゼット状部分を二つ折りの折り込み形状を有するガゼット片により形成したことの技術的意義は本願明細書の段落【0022】の「本発明に係る合掌部付き袋体で上述したものは、一例として特公平06-028921号公報に開示された発明の製造方法や製造装置を応用して製造することができる。」記載、また、平成24年10月18日提出の意見書の「引用文献1「図7」に例示されたプラスチック袋体の場合、袋貼りに従事する作業員(職人)の技能に依存して手作りすることはできるかも知れませんが、これを2?3枚のフィルムで機械的に量産することはできないのであります。」(<39>の欄参照)の記載からみて、本願発明の合掌部付き袋体を既知の技術で機械的に量産する点にあると認められるが、ガゼット状部分を二つ折りの折り込み形状を有するガゼット片により形成する袋体が機械的に量産可能であることは周知であり(例えば、特公平6-28921号公報、特開平10-166477号公報、当審の拒絶理由に引用した特開2003-267402号公報参照)、引用発明が大量に消費されるプラスチック袋体の製造に適用される製造方法である(上記3.(a)参照)ことを考慮すれば、ガゼット状部分の構造として上記周知技術1を採用して、機械的に(連続して正確に)量産可能なものとすることは当業者が容易になし得たものである。 その際、一対のガゼット片を介在された表側構成要素と裏側構成要素との袋両側部において表側構成要素と一対のガゼット片との対接した縁部分や裏側構成要素と一対のガゼット片との対接した縁部分をそれぞれ互いに接着して袋体を形成し、さらに、合掌部と交差する向きにガゼット片を配置することは当業者が適宜なす事項にすぎない。 したがって、相違点1に係る本願発明の構成は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 次に、上記相違点2について検討すると、プラスチックフィルム等の軟質材から形成され、ガゼット状部分を有する袋体を、上下面を形成するように上下2枚の長尺フイルム(帯状フィルム)を水平状態で対面並行させ、並行状態の上下両長尺フィルム間の一対のガゼット片については、その二つ折りの折り込み形状が略長方形をなすように、当該一対のガゼット片を並行状態の上下両長尺フィルム間に介在させ、上下両長尺フィルムとその間にある各ガゼット片とを互いに接着し、ガゼット片のある袋両側部間の寸法を袋一単位分の幅とした場合、ガゼット片介在後の上下両帯状フィルムを袋一単位分の幅ごとに接着切断するライン上で製造することは周知技術にすぎず(前記特開2003-267402号公報、特公平6-28921号公報、特開平10-166477号公報参照。以下、「周知技術2」という。)、引用発明に上記周知技術2を適用することにより、相違点2に係る本願発明の構成となすことは、当業者が容易になし得たことである。 次に、上記相違点3について検討すると、本願発明は、左側部において他方のガゼット片と上下両帯状フィルムとの対接した縁部分をそれぞれ互いに接着すること、右側部においては一方のガゼット片と上下両帯状フィルムとの対接した縁部分をそれぞれ互いに接着することを規定していないが、本願明細書の【発明の詳細な説明】の欄を参照すると、段落【0018】には、「袋体11の上下両側部(図1の上側部と下側部)について、ガゼット片14・14が介在されていない部分では表側構成要素12と裏側構成要素13とが直接接着され、ガゼット片14・14が介在されている部分については、表側構成要素12・裏側構成要素13とガゼット片14・14との対接部分が接着される。」と記載され、また、同段落の右側部と左側部での接着を規定した「左右両側のガゼット片14・14が介在された部分のうちで、そのうちの左側部(図1の左側部)は当該左側部の表側構成要素12・裏側構成要素13とガゼット片14との対接部分が接着され、右側部(図1の右側部)は当該右側部の表側構成要素12・裏側構成要素13とガゼット片14との対接部分が接着される。」の記載においても2つのガゼット片14は区別されておらず、図1及び図3を参照しても、左側部において他方のガゼット片と上下両帯状フィルムとの対接した縁部分を接着しない理由及び、右側部において一方のガゼット片と上下両帯状フィルムとの対接した縁部分を接着しない理由は認められないので、本願発明は、さらに左側部において他方のガゼット片と上下両帯状フィルムとの対接した縁部分をそれぞれ互いに接着し、右側部においては一方のガゼット片と上下両帯状フィルムとの対接した縁部分をそれぞれ互いに接着する態様をも含むものと解される。 とすると、本願発明は2つのガゼット片の上下両帯状フィルムとの対接した縁部分を(左側部と右側部において)それぞれ互いに接着するものを含み、この点は前記周知技術2のとおり当業者が適宜行う事項にすぎない。 したがって、相違点3に係る本願発明の構成は、引用発明及び周知技術2に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 また、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものと認められない。 したがって、本願発明は引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 6.むすび 以上より、本願は、当審で通知した上記拒絶の理由によって拒絶をすべきものであり、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-12-26 |
結審通知日 | 2013-01-08 |
審決日 | 2013-01-21 |
出願番号 | 特願2005-162015(P2005-162015) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(B65D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 戸田 耕太郎、佐々木 正章 |
特許庁審判長 |
河原 英雄 |
特許庁審判官 |
熊倉 強 紀本 孝 |
発明の名称 | 合掌部付き袋体の製造方法 |
代理人 | 菊池 新一 |
代理人 | 菊池 徹 |