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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03B |
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管理番号 | 1272834 |
審判番号 | 不服2011-22390 |
総通号数 | 162 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-10-17 |
確定日 | 2013-04-10 |
事件の表示 | 特願2006-530434「複数のカラーセグメントのサブセットを有するカラーホイールが設けられたイメージャをもつ画像投影システム、及び対応する投影機器」拒絶査定不服審判事件〔平成16年11月25日国際公開、WO2004/102245、平成19年 3月 1日国内公表、特表2007-504514〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2004年5月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2003年5月9日、フランス国)を国際出願日とする出願であって、平成22年6月18日付けで拒絶理由が通知され、その後、同年12月21日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされ、平成23年6月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月17日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。 その後、平成24年6月15日付けで、審判請求人に前置報告の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ、同年9月19日付けで回答書が提出された。 第2 平成23年10月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成23年10月17日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正後の請求項に記載された発明 平成23年10月17日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、本願の特許請求の範囲の請求項1は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下単に「特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的として補正された。 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。 「イメージャを連続して照明するシステムであって、 少なくとも赤、緑及び青を含む波長のレンジであって、約440ナノメートルでの第一の放射ピーク、約550ナノメートルでの第二の放射ピーク及び約580ナノメートルでの第三の放射ピークを有する放出スペクトルをもつ波長のレンジで多色光のビームを前記イメージャに向けて放出するソースと、 前記イメージャの動作領域にわたり前記ソースからの光を一様に分散する光学的手段と、 同一平面にある透過型のセグメントからなる少なくとも2つのサブセットを有し、これら透過型のセグメントのうちの少なくとも1つが前記ビームと交わるように位置され、前記セグメントが前記ビームと交わる領域を次々に通過するように回転手段に設けられるカラーホイールとを備えており、 同一平面にあるセグメントからなるサブセットのそれぞれは、前記ビームと交わる領域を次々に通過したときに白色を生成するように調整される異なる色、色合い、飽和、透過率及びサイズからなる同一平面にある3つのセグメントを有し、 前記カラーホイールは、赤に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント、緑に対応する波長のレンジで光を透過し、前記第二の放射ピークで光を透過するセグメント、及び青に対応する波長のレンジで光を透過し、前記第一の放射ピークで光を透過するセグメントを含む原色のセグメントからなる少なくとも1つのサブセットを有しており、 前記カラーホイールは、赤に対応する波長のレンジ及び緑に対応する波長のレンジの両者で光を透過すると共に、黄色の色合いに等価な波長のレンジで光を透過し、具体的には前記第二の放射ピーク及び前記第三の放射ピークで光を透過する第一のセグメント、緑に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過し、具体的には前記第一の放射ピーク及び前記第二の放射ピークで光を透過する第二のセグメント、及び赤に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過し、具体的には前記第一の放射ピークで光を透過する第三のセグメントを含むコンポジットカラーからなる同一平面にあるセグメントの少なくとも1つのサブセットを備える、 ことを特徴とするシステム。」 そこで、上記本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるもであるか否か(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するか否か)について、以下に検討する。 2.引用刊行物 原査定の拒絶の理由で周知例として引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開平11-264953号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。) (a)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、カラー投影装置に関するものであり、更に詳しくは、2次元画像変調素子(例えば液晶パネル)の画像をスクリーン上に投影するカラー投影装置(例えば液晶プロジェクター)に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来よりカラー投影装置に採用されている方式には、主として単板式と3板式がある。単板式の例としては、時分割による混色を利用したフィールド順次方式が挙げられる。3板式の例としては、色分解した各色光をそれぞれ対応する液晶パネルで変調し、色合成して同時に投影する方式が挙げられる。また、単板式と3板式との中間的な方式(2板式)を採用したカラー投影装置も従来より知られている(特開平2-123344号公報)。この2板式のカラー投影装置では2枚の液晶パネルが用いられ、一方の液晶パネルで緑(G)の色光の変調が行われ、他方の液晶パネルで赤(R),青(B)の各色光の変調が時分割で交互に行われる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記各方式には、以下のような問題がある。例えば単板式では、照明光の光量の2/3を捨てることになるため、光利用効率が悪いという問題がある。また、速い変調速度が要求されるため、液晶パネル等の変調素子には適さないという問題もある。3板式では、色合成のために投影光学系のレンズバックを長くしなければならず、投影光学系の大型化及びコストアップを招いてしまう。また、クロスダイクロプリズムを使用する必要が生じて、コストが高くなるといった問題もある。2板式では、時分割されない色成分(G)の比重が大きくなって、色バランスが崩れるといった問題がある。また、時分割される色成分(R,B)の一方の光量が捨てられるため、光利用効率が悪いという問題もある。 【0004】本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、色バランスが良く、しかも小型で低コストなカラー投影装置を提供することを目的とし、更に光利用効率が良いカラー投影装置を提供することを目的とする。」 (b)「【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明を実施したカラー投影装置を、図面を参照しつつ説明する。なお、実施の形態相互で同一の部分や相当する部分には同一の符号を付して重複説明を適宜省略する。 【0014】《第1の実施の形態(図1,図4)》図1は、第1の実施の形態の全体構成を示す光学構成図である。第1の実施の形態は、照明系(OP1)と、カラーホイール(CW)と、反射ミラー(R1,R2)と、透過型液晶パネル(P1,P2)と、投影光学系(OP2)と、を備えている。照明系(OP1)は、光源(1)と、リフレクター(2)と、第1レンズアレイ(3a)と、偏光ビームスプリッタ(3b)と、1/2波長板(3c)と、第2レンズアレイ(3d)と、で構成されており、光源(1)から発生した白色光の偏光を揃えて(例えばS偏光に揃える。)、第2レンズアレイ(3d)位置に複数の光源像を形成する。 【0015】照明系(OP1)から発せられた白色光は、まず位置αでカラーホイール(CW)に入射する。このカラーホイール(CW)は、白色光を異なる波長成分の2つの色光に分離する色分離手段である。カラーホイール(CW)で反射された色光は、反射ミラー(R1)で反射された後、透過型液晶パネル(P1)を照明する。一方、カラーホイール(CW)を透過した色光は、反射ミラー(R2)で反射された後、透過型液晶パネル(P2)を照明する。これらの透過型液晶パネル(P1,P2)は、カラーホイール(CW)で2つに分離された色光をそれぞれ変調する2次元画像変調素子である。 【0016】各透過型液晶パネル(P1,P2)に入射した照明光は、変調を受けることにより各画素の表示に応じて選択的に透過した後、位置βでカラーホイール(CW)に再入射する。そして、カラーホイール(CW)で2つの色光が合成されて投影光となる。つまり、カラーホイール(CW)は、上記色分離手段であると共に、各透過型液晶パネル(P1,P2)で変調された2つの色光の画像を合成する色合成手段としても機能するのである。カラーホイール(CW)で合成されたカラー画像は、投影光学系(OP2)によってスクリーン(SC)上に投影される。」 (c)「【0041】《第6の実施の形態(図7)》第6の実施の形態の一つの特徴は、図7に示すカラーホイール(CW)を用いた点にある。本実施の形態の全体構成は第1の実施の形態(図1)と同様であるが、図7から分かるように、カラーホイール(CW)のフィルター構成は第1の実施の形態(図4)とは異なっている。各フィルター{1(○付き数字)?6(○付き数字),(a)?(f)}で反射・透過される色光の波長成分{R(赤),G(緑),B(青);C(シアン),M(マゼンタ),Y(黄)}を表7に示し、図7中には各フィルター{1(○付き数字)?6(○付き数字),(a)?(f)}での反射光の符号(R,G,B;C,M,Y)を付して示す。 【0042】 【表7】 【0043】第6の実施の形態においても、カラーホイール(CW)は回転によって各色光の波長成分(R,G,B;C,M,Y)を時間的に変化させるように構成されている。各透過型液晶パネル(P1,P2)は、照明する各色光の波長成分(R,G,B;C,M,Y)の時間的な変化に対応した変調を行う。つまり、2枚の透過型液晶パネル(P1,P2)が共に時分割で変調を行うことになる。表8に、α,βに位置するフィルター{1(○付き数字)?6(○付き数字),(a)?(f)}と、各透過型液晶パネル(P1,P2)に入射する照明光(R,G,B;C,M,Y)と、各透過型液晶パネル(P1,P2)が行う変調に対応する波長成分(R,G,B)と、の関係を示す。 【0044】 【表8】 【0045】第6の実施の形態では、カラーホイール(CW)が、一方の色光の波長成分をRYGCBMの順でサイクリックに変化させるとともにその補色の順で他方の色光の波長成分をサイクリックに変化させ、各液晶パネル(P1,P2)が、CMYのいずれかの波長成分の色光を変調するとき、時間的に先行及び後続する波長成分RGBのいずれかと同一の変調状態をとる。したがって、変調時間を長くすることができるため、第5の実施の形態と同様、変調速度を前述した単板式の場合の半分にすることができる。なお、図7に示すカラーホイール(CW)を第2の実施の形態(図2)に適用した場合、図7に示すカラーホイール(CW)と同じ機能を有する回折光学素子(DP)を第3の実施の形態(図3)に適用した場合も、本実施の形態と同様の効果が得られる。」 (d) (e) 図1及び7の記載から、「カラーホイール(CW)」において、各「フィルタ」は同一平面上に配置された構成を読み取ることができる。 また、図7の記載からは、「カラーホイール(CW))」が、C、M、Y;R、G、Bをそれぞれ反射する、すなわち、R,G,B;C、M、Yをそれぞれ透過する6枚のフィルタからなる組を2つ(1(○付き数字)?6(○付き数字)の組と(a)?(f)の組)備えた構成を読み取ることができる。 また、上記各記載事項から、照明系(OP1)から発せられた白色光はカラーホイール(CW)に入射し、カラーホイール(CW)を透過した色光は、反射ミラー(R2)で反射された後、透過型液晶パネル(P2)を照明するのであるから、照明系(OP1)、カラーホイール(CW)及び反射ミラー(R2)は、透過型液晶パネル(P2)を照明するシステムを構成するということができる。 したがって、上記引用文献1の記載事項から、引用文献1には、以下の発明が記載されている。 「透過型液晶パネル(P2)を照明するシステムであって、 白色光を発生する光源(1)と、リフレクター(2)と、第1レンズアレイ(3a)と、偏光ビームスプリッタ(3b)と、1/2波長板(3c)と、第2レンズアレイ(3d)と、で構成された照明系(OP1)と、 照明系(OP1)から発せられた白色光が入射するカラーホイール(CW)とを備え、 カラーホイール(CW)を透過した色光は、反射ミラー(R2)で反射された後、透過型液晶パネル(P2)を照明し、 カラーホイール(CW)は、波長成分R、G、B;C、M、Yをそれぞれ透過する6枚のフィルタからなる組を2つ有し、各フィルタは同一平面上に配置されて、回転によって各色光の波長成分R、G、B;C、M、Yを時間的に変化させるよう構成されている、 透過型液晶パネル(P2)を照明するシステム。」(以下「引用発明1」という。) 3.対比 (1)本願補正発明と引用発明1との対比 本願補正発明と引用発明1とを対比する。 (a)引用発明1の「透過型液晶パネル(P2)を照明するシステム」は、「透過型液晶パネル(P2)」を途切れることなく照明するものであることは明かであるから、引用発明1の「透過型液晶パネル(P2)を照明するシステム」は、本願補正発明の「イメージャを連続して照明するシステム」に相当する。 (b)白色光が少なくとも赤、緑及び青を含む波長の光を含む多色光の光線であることは技術常識であり、「光源(1)」から発せられた「白色光」は「透過型液晶パネル(P2)」を照射するために放出されることは明らかであるから、引用発明1の「白色光を発生する光源(1)」は、本願補正発明の「少なくとも赤、緑及び青を含む波長のレンジで」「多色光のビームを前記イメージャに向けて放出するソース」に相当する。 (c)引用発明1の「リフレクター(2)と、第1レンズアレイ(3a)と、偏光ビームスプリッタ(3b)と、1/2波長板(3c)と、第2レンズアレイ(3d)」が「光源(1)」から発せられた「白色光」を「透過型液晶パネル(P2)」に一様に分散して照明する機能も有することは当業者には明らかであるから、引用発明1の「リフレクター(2)と、第1レンズアレイ(3a)と、偏光ビームスプリッタ(3b)と、1/2波長板(3c)と、第2レンズアレイ(3d)」及び「カラーホイール(CW)を透過した色光」が「透過型液晶パネル(P2)を照明」するように「反射され」る「反射ミラー(R2)」は、本願補正発明の「前記イメージャの動作領域にわたり前記ソースからの光を一様に分散する光学的手段」に相当する。 (d)カラーホイールについて (i)カラー画像を扱う技術分野において、Rは赤に対応する波長のレンジ(波長600?700nm程度)、Gは緑に対応する波長のレンジ(波長500?600nm程度)、Bは青に対応する波長のレンジ(400?500nm程度)を意味し、Cは緑と青に対応する波長のレンジ(波長400?600nm程度)、Mは赤と青に対応する波長のレンジ(波長400?500nm程度、600?700nm程度)、Yは赤と緑に対応する波長のレンジ(波長500?700nm程度)を意味することは技術常識である。 すると、引用発明1の「波長成分R、G、B;C、M、Yをそれぞれ透過する6枚のフィルタ」は、それぞれ、本願補正発明の「赤に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント」、「緑に対応する波長のレンジで光を透過」「するセグメント」、「青に対応する波長のレンジで光を透過」「するセグメント」、「緑に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過」「する第二のセグメント」、「赤に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過」「する第三のセグメント」、「赤に対応する波長のレンジ及び緑に対応する波長のレンジの両者で光を透過すると共に、黄色の色合いに等価な波長のレンジで光を透過」「する第一のセグメント」に相当する。 (ii)カラー画像を扱う技術分野において、R、G、Bを3原色と呼ぶことは技術常識であるから、引用発明1の「波長成分R、G、Bをそれぞれ透過する」「フィルタ」の組が、本願補正発明の「原色のセグメントからなる」「サブセット」に相当し、C、M、Yが、それぞれ、GとB、RとB、GとRの混色(コンポジットカラー)であることも、同様に、技術常識であるから、引用発明1の「波長成分」「C、M、Yをそれぞれ透過する」「フィルタ」の組が、本願補正発明の「コンポジットカラーからなる同一平面にあるセグメントの」「サブセット」に相当する。 すると、引用発明1における、「波長成分R、G、B;C、M、Yをそれぞれ透過する6枚のフィルタからなる組を2つ有」する構成は、「原色のセグメントからなる」「サブセット」を2つ、及び、「コンポジットカラーからなる同一平面にあるセグメントの」「サブセット」を2つ有する構成であるといえる。 (iii)カラー画像を投影する技術において、R、G、Bの3色、C、M、Yの3色で、カラー画像を構成する際、R、G、Bの画像を全て足し合わせたもの、C、M、Yの画像を全て足し合わせたものが、白色(無彩色)となるように、各カラーフィルタを構成することは技術常識であるから、引用発明1の 「波長成分R、G、Bをそれぞれ透過する」「フィルタ」の組、「波長成分」「C、M、Yをそれぞれ透過する」「フィルタ」の組が、本願補正発明の「前記ビームと交わる領域を次々に通過したときに白色を生成するように調整される異なる色、色合い、飽和、透過率及びサイズからなる」構成と同様に、構成されていることは、当業者には明らかである。 (iv)引用発明1では、「照明系(OP1)から発せられた白色光が入射するカラーホイール(CW)とを備え、カラーホイール(CW)を透過した色光は、反射ミラー(R2)で反射された後、透過型液晶パネル(P2)を照明し、カラーホイール(CW)は、」「各フィルタは同一平面上に配置されて、回転によって各色光の波長成分R、G、B;C、M、Yを時間的に変化させるよう構成されている」のであるから、フィルタのうちの少なくとも1つが白色光と交わるように配置され、フィルタは白色光と交わる領域を次々と通過するように回転手段に設けられていることは明らかである。 以上、(i)?(iv)の指摘事項から、引用発明1の 「照明系(OP1)から発せられた白色光が入射するカラーホイール(CW)とを備え、」「カラーホイール(CW)は、波長成分R、G、B;C、M、Yをそれぞれ透過する6枚のフィルタからなる組を2つ有し、各フィルタは同一平面上に配置されて、回転によって各色光の波長成分R、G、B;C、M、Yを時間的に変化させるよう構成されている」構成と、 本願補正発明の 「同一平面にある透過型のセグメントからなる少なくとも2つのサブセットを有し、これら透過型のセグメントのうちの少なくとも1つが前記ビームと交わるように位置され、前記セグメントが前記ビームと交わる領域を次々に通過するように回転手段に設けられるカラーホイールとを備えており、 同一平面にあるセグメントからなるサブセットのそれぞれは、前記ビームと交わる領域を次々に通過したときに白色を生成するように調整される異なる色、色合い、飽和、透過率及びサイズからなる同一平面にある3つのセグメントを有し、 前記カラーホイールは、赤に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント、緑に対応する波長のレンジで光を透過し、前記第二の放射ピークで光を透過するセグメント、及び青に対応する波長のレンジで光を透過し、前記第一の放射ピークで光を透過するセグメントを含む原色のセグメントからなる少なくとも1つのサブセットを有しており、 前記カラーホイールは、赤に対応する波長のレンジ及び緑に対応する波長のレンジの両者で光を透過すると共に、黄色の色合いに等価な波長のレンジで光を透過し、具体的には前記第二の放射ピーク及び前記第三の放射ピークで光を透過する第一のセグメント、緑に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過し、具体的には前記第一の放射ピーク及び前記第二の放射ピークで光を透過する第二のセグメント、及び赤に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過し、具体的には前記第一の放射ピークで光を透過する第三のセグメントを含むコンポジットカラーからなる同一平面にあるセグメントの少なくとも1つのサブセットを備える」構成とは、 「同一平面にある透過型のセグメントからなる少なくとも2つのサブセットを有し、これら透過型のセグメントのうちの少なくとも1つが前記ビームと交わるように位置され、前記セグメントが前記ビームと交わる領域を次々に通過するように回転手段に設けられるカラーホイールとを備えており、 同一平面にあるセグメントからなるサブセットのそれぞれは、前記ビームと交わる領域を次々に通過したときに白色を生成するように調整される異なる色、色合い、飽和、透過率及びサイズからなる同一平面にある3つのセグメントを有し、 前記カラーホイールは、赤に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント、緑に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント、及び青に対応する波長のレンジで光を透過するセグメントを含む原色のセグメントからなる少なくとも1つのサブセットを有しており、 前記カラーホイールは、赤に対応する波長のレンジ及び緑に対応する波長のレンジの両者で光を透過すると共に、黄色の色合いに等価な波長のレンジで光を透過する第一のセグメント、緑に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過する第二のセグメント、及び赤に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過する第三のセグメントを含むコンポジットカラーからなる同一平面にあるセグメントの少なくとも1つのサブセットを備える」構成で一致する。 (2)一致点 してみると、両者は、 「イメージャを連続して照明するシステムであって、 少なくとも赤、緑及び青を含む波長のレンジで多色光のビームを前記イメージャに向けて放出するソースと、 前記イメージャの動作領域にわたり前記ソースからの光を一様に分散する光学的手段と、 同一平面にある透過型のセグメントからなる少なくとも2つのサブセットを有し、これら透過型のセグメントのうちの少なくとも1つが前記ビームと交わるように位置され、前記セグメントが前記ビームと交わる領域を次々に通過するように回転手段に設けられるカラーホイールとを備えており、 同一平面にあるセグメントからなるサブセットのそれぞれは、前記ビームと交わる領域を次々に通過したときに白色を生成するように調整される異なる色、色合い、飽和、透過率及びサイズからなる同一平面にある3つのセグメントを有し、 前記カラーホイールは、赤に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント、緑に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント、及び青に対応する波長のレンジで光を透過するセグメントを含む原色のセグメントからなる少なくとも1つのサブセットを有しており、 前記カラーホイールは、赤に対応する波長のレンジ及び緑に対応する波長のレンジの両者で光を透過すると共に、黄色の色合いに等価な波長のレンジで光を透過する第一のセグメント、緑に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過する第二のセグメント、及び赤に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過する第三のセグメントを含むコンポジットカラーからなる同一平面にあるセグメントの少なくとも1つのサブセットを備える、 システム。」で一致し、次の点で相違する。 (3)相違点 本願補正発明では、「ソース」が「約440ナノメートルでの第一の放射ピーク、約550ナノメートルでの第二の放射ピーク及び約580ナノメートルでの第三の放射ピークを有する放出スペクトルをもつ」構成であり、また、「緑に対応する波長のレンジで光を透過」「するセグメント」が「前記第二の放射ピークで光を透過する」構成であり、「青に対応する波長のレンジで光を透過」「するセグメント」が「前記第一の放射ピークで光を透過する」構成であり、「赤に対応する波長のレンジ及び緑に対応する波長のレンジの両者で光を透過すると共に、黄色の色合いに等価な波長のレンジで光を透過」「する第一のセグメント」が「前記第二の放射ピーク及び前記第三の放射ピークで光を透過する」構成であり、「緑に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過」「する第二のセグメント」が「前記第一の放射ピーク及び前記第二の放射ピークで光を透過する」構成であり、「赤に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過」「する第三のセグメント」が「前記第一の放射ピークで光を透過する」構成であるのに対して、引用発明1では「光源(1)」の放射ピークについての限定がなく、該放射ピークが各「フィルタ」を透過するか否かについての限定がない点で相違する。(以下「相違点イ」という。) 4.判断 上記相違点イについて検討する。 イメージャに照明するシステムのソースとして、約440nm、約550nm、約580nmに放射ピークを有する光源である超高圧水銀ランプを使用することは、特開2000-131761号公報(特に、段落【0022】、【0032】、図4参照)、特開2003-121927号公報(特に、段落【0025】、【0044】、図6参照)に示されるように周知であるから、引用発明の「光源(1)」として、周知の超高圧水銀ランプを使用することは当業者が適宜選択し得ることにすぎない。 そして、「光源(1)」として、周知の超高圧水銀ランプを使用する際には、上述したように、カラー画像を扱う技術分野における技術常識である、Rは赤に対応する波長のレンジ(波長600?700nm程度)、Gは緑に対応する波長のレンジ(波長500?600nm程度)、Bは青に対応する波長のレンジ(400?500nm程度)を意味し、Cは緑と青に対応する波長のレンジ(波長400?600nm程度)、Mは赤と青に対応する波長のレンジ(波長400?500nm程度、600?700nm程度)、Yは赤と緑に対応する波長のレンジ(波長500?700nm程度)を意味することを考慮すれば、引用発明の「波長成分」「G」を「透過する」「フィルタ」、「波長成分」「B」を「透過する」「フィルタ」、「波長成分」「C」を「透過する」「フィルタ」、「波長成分」「M」を「透過する」「フィルタ」及び「波長成分」「Y」を「透過する」「フィルタ」が、それぞれ、約550nmの放射ピーク、約440nmの放射ピーク、約440nm及び約550nmの放射ピーク、約440nmの放射ピーク並びに約550nm及び580nmの放射ピークの光を透過するよう構成することは、当業者が容易になし得ることである。 また、本願補正発明が奏し得る効果は、引用発明1、周知技術及び技術常識から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものではない。 したがって、本願補正発明は、引用発明1、周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 なお、請求人は,平成24年9月19日付け回答書で、特許請求の範囲の請求項1を 「イメージャを連続して照明するシステムであって、 少なくとも赤、緑及び青を含む波長のレンジであって、約440ナノメートルでの第一の放射ピーク、約550ナノメートルでの第二の放射ピーク及び約580ナノメートルでの第三の放射ピークを有する放出スペクトルをもつ波長のレンジで多色光のビームを前記イメージャに向けて放出するソースと、 前記イメージャの動作領域にわたり前記ソースからの光を一様に分散する光学的手段と、 同一平面にある透過型のセグメントからなる少なくとも2つのサブセットを有し、これら透過型のセグメントのうちの少なくとも1つが前記ビームと交わるように位置され、前記セグメントが前記ビームと交わる領域を次々に通過するように回転手段に設けられるカラーホイールとを備えており、前記イメージャは、前記カラーホイールとの間に色分離手段を有することなしに前記カラーホイールにより照射され、 同一平面にあるセグメントからなるサブセットのそれぞれは、前記ビームと交わる領域を次々に通過したときに白色を生成するように調整される異なる色、色合い、飽和、透過率及びサイズからなる同一平面にある3つのセグメントを有し、 前記カラーホイールは、赤に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント、緑に対応する波長のレンジで光を透過し、前記第二の放射ピークで光を透過するセグメント、及び青に対応する波長のレンジで光を透過し、前記第一の放射ピークで光を透過するセグメントを含む原色のセグメントからなる少なくとも1つのサブセットを有しており、 前記カラーホイールは、赤に対応する波長のレンジ及び緑に対応する波長のレンジの両者で光を透過すると共に、黄色の色合いに等価な波長のレンジで光を透過し、具体的には前記第二の放射ピーク及び前記第三の放射ピークで光を透過する第一のセグメント、緑に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過し、具体的には前記第一の放射ピーク及び前記第二の放射ピークで光を透過する第二のセグメント、及び赤に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過し、具体的には前記第一の放射ピークで光を透過する第三のセグメントを含むコンポジットカラーからなる同一平面にあるセグメントの少なくとも1つのサブセットを備える、 ことを特徴とするシステム。」 と補正する用意があるとしているが、引用発明1においても、「カラーホイール(CW)」と「透過型液晶パネル(P2)」との間には色分離手段は配置されていないから、上記「前記イメージャは、前記カラーホイールとの間に色分離手段を有することなしに前記カラーホイールにより照射され」と記載される構成によっても、引用発明1との差異は認められないことを付記しておく。 5.小括 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成23年10月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成22年12月21日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「イメージャを連続して照明するシステムであって、 少なくとも赤、緑及び青を含む波長のレンジで多色光のビームを前記イメージャに向けて放出するソースと、 前記イメージャの動作領域にわたり前記ソースからの光を一様に分散する光学的手段と、 同一平面にあるセグメントからなる少なくとも2つのサブセットを有し、これらセグメントのうちの少なくとも1つが前記ビームと交わるように位置され、前記セグメントが前記ビームと交わる領域を次々に通過するように回転手段に設けられるカラーホイールとを備えており、 同一平面にあるセグメントからなるサブセットのそれぞれは、前記ビームと交わる領域を次々に通過したときに白色を生成するように調整される異なる色、色合い、飽和、透過率及びサイズからなる同一平面にある3つのセグメントを有し、 前記カラーホイールは、赤に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント、緑に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント、及び青に対応する波長のレンジで光を透過するセグメントを含む原色のセグメントからなる少なくとも1つのサブセットを有しており、 前記カラーホイールは、赤に対応する波長のレンジ及び緑に対応する波長のレンジの両者で光を透過する第一のセグメント、緑に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過する第二のセグメント、及び赤に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過する第三のセグメントを含むコンポジットカラーからなる同一平面にあるセグメントの少なくとも1つのサブセットを備える、 ことを特徴とするシステム。」 1.引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2001-264685号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。) (a)「【0022】 【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1は、本発明の第1実施形態であるヘッドマウントディスプレイ(画像表示装置)の構成を示している。 【0023】1はRGBの光を発する光源、2は光源からの光を集光するためのレンズ(集光素子)、3は第1の偏光板、4は照明プリズム(導光素子)である。この照明プリズム4は、光学ガラスなど内部が屈折率が1より大きな媒質で満たされたプリズム形状の光学素子である。また、5は反射型液晶ディスプレイパネル(反射型画像表示素子)、6は第2の偏光板、7はプリズムレンズ(投写光学素子)、8は観察者の眼である。 【0024】次に、図1および図2を用いて光学的作用を説明する。光源1から発せられた発散光はレンズ2によりぼ平行な光となり、第1の偏光板3を透過し、第1の偏光方向の偏光光に変換され、照明プリズム4の第1の面(入射面)41を透過して、第2の面(反射透過面)42で反射し、さらに第3の面(透過面)43を透過してディスプレイパネル5の画像光射出側からパネル5内に入射し、このパネル5を照明する。 【0025】ここで、照明プリズム4の第2の面42の一部に全反射条件を満たすよう反射膜を形成してもよい。具体的には、第2の面42のうち、反射膜が形成されていない領域の反射率をRとするとき、反射率がR<1となる領域に上記反射膜を形成する。これにより、照明光のうち一部が第2の面42のうち反射膜が形成されていない領域により全反射し、他の一部が反射膜で反射してディスプレイパネル5を照明することとなる。」 (b)「【0036】(第2実施形態)図3には、本発明の第2実施形態であるヘッドマウントディスプレイ(画像表示装置)を示している。なお、本実施形態のヘッドマウントディスプレイの基本構成は第1実施形態のものと同じであり、共通する構成要素には第1実施形態と同符号を付している。 【0037】本実施形態では、光源1を白色光源とし、光源1と照明プリズム4との間に、図4に示すようなRGBの各色成分光を選択的に透過させる回転カラーフィルター(色切替手段)91を設け、このフィルター91を軸Oを中心に回転させて、照明プリズム4を介してディスプレイパネル5に入射する照明光の色を時間順次で切り替えるようにしている。さらに、この照明光の切り替えに同期して、照明光の色に対応する色画像をディスプレイパネル5に時間順次で切り替え表示させるように制御(フィールドシーケンシャル制御)することにより、フルカラーの画像を表示することができる構成としている。 【0038】このように、ディスプレイパネル5に入射する照明光の色およびパネル5に表示される色画像をフィールドシーケンシャルに切替制御するので、ディスプレイパネル5の画素を全て1つの色に使用でき、色による画素ずれのない高精細な画像が得られる。 【0039】なお、使用する回転カラーフィルター91としては、図4に示すようなRBGの原色のみに対応するものでなくてもよい。例えば、図5(a)に示すようにRBGの原色に白色(W、フィルターなし)を組み入れたものや、図5(b)に示すようにイエロー、シアン、マゼンダ(Y,C,M)を組み入れたものや、図5(c)に示すように黒(Bl、遮光)を組み入れたものを使用してもよい。そして、この場合、ディスプレイパネル5にも各回転フィルター91の切替可能色に対応する色画像をフィールドシーケンシャルに切替表示させる。 【0040】また、本実施形態のように色画像をフィールドシケンシャルに表示切替えする場合には、ディスプレイパネル5として、シリコン基盤にTN液晶を封入した液晶ディスプレイパネルや、強誘電液晶を用いた液晶パネルや、微小なミラーアレイを駆動するミラーパネルといった高速で駆動できるものを用いるのが好ましい。ミラーパネルを用いる場合は偏光板3,6は不要である。」 (c) (d) 図3及び5(b)の記載から、「回転カラーフィルター91」において、各「フィルタ」は同一平面上に配置された構成及び「回転カラーフィルター91」が、R、B、G、Y、C、Mをそれぞれ透過する6枚のフィルタからなる構成を読み取ることができる。 また、上記各記載事項から、光源1から発せられた白色光は回転カラーフィルター91に入射し、回転カラーフィルター91を透過した色光は、レンズ2,照明プリズム4を介して、ディスプレイパネル5を照明するのであるから、光源1、回転カラーフィルター91、レンズ2及び照明プリズム4は、ディスプレイパネル5を照明するシステムを構成するということができる。 したがって、上記引用文献2の記載事項から、引用文献2には、以下の発明が記載されている。 「ディスプレイパネル5を照明するシステムであって、 白色光源である光源1と、光源1からの光を集光するためのレンズ2、照明プリズム4と、 光源1と照明プリズム4との間に、ディスプレイパネル5に入射する照明光の色を時間順次で切り換える回転カラーフィルター91とを備え、 回転カラーフィルター91は各フィルタが同一平面上に配置され、R、B、G、Y、C、Mをそれぞれ透過する6枚のフィルタからなる ディスプレイパネル5を照明するシステム。」(以下「引用発明2」という。) 3.対比 (1)本願発明と引用発明2との対比 本願発明と引用発明2とを対比する。 (a)引用発明2の「ディスプレイパネル5を照明するシステム」は、「ディスプレイパネル5」を途切れることなく照明するものであることは明らかであるから、引用発明2の「ディスプレイパネル5を照明するシステム」は、本願発明の「イメージャを連続して照明するシステム」に相当する。 (b)白色光が少なくとも赤、緑及び青を含む波長の光を含む多色光の光線であることは技術常識であり、「光源1」から発せられた「白色」光は「ディスプレイパネル5」を照射するために放出されることは明らかであるから、引用発明2の「白色光源である光源1」は、本願発明の「少なくとも赤、緑及び青を含む波長のレンジで」「多色光のビームを前記イメージャに向けて放出するソース」に相当する。 (c)引用発明2の「回転カラーフィルター91」は、本願発明の「カラーホイール」に相当する。 (d)カラーホイールの構成について (i)カラー画像を扱う技術分野において、Rは赤に対応する波長のレンジ(波長600?700nm程度)、Gは緑に対応する波長のレンジ(波長500?600nm程度)、Bは青に対応する波長のレンジ(400?500nm程度)を意味し、Cは緑と青に対応する波長のレンジ(波長400?600nm程度)、Mは赤と青に対応する波長のレンジ(波長400?500nm程度、600?700nm程度)、Yは赤と緑に対応する波長のレンジ(波長500?700nm程度)を意味することは技術常識である。 すると、引用発明2の「R、B、G、Y、C、Mをそれぞれ透過する6枚のフィルタ」は、それぞれ、本願発明の「赤に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント」、「青に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント」、「緑に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント」、「赤に対応する波長のレンジ及び緑に対応する波長のレンジの両者で光を透過する第一のセグメント」、「緑に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過する第二のセグメント」、「赤に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過する第三のセグメント」に相当する。 (ii)カラー画像を扱う技術分野において、R、G、Bを3原色と呼ぶことは技術常識であるから、引用発明2の「R、B、G」「をそれぞれ透過する」「フィルタ」の組が、本願発明の「原色のセグメントからなる」「サブセット」に相当し、C、M、Yが、それぞれ、GとB、RとB、GとRの混色(コンポジットカラー)であることも、同様に、技術常識であるから、引用発明2の「Y、C、Mをそれぞれ透過する」「フィルタ」の組が、本願発明の「コンポジットカラーからなる同一平面にあるセグメントの」「サブセット」に相当する。 すると、引用発明2における、「R、B、G、Y、C、Mをそれぞれ透過する6枚のフィルタ」からなる構成は、「原色のセグメントからなる」「サブセット」を1つ、及び、「コンポジットカラーからなる同一平面にあるセグメントの」「サブセット」を1つ有する構成であるといえる。 (iii)カラー画像を投影する技術において、R、G、Bの3色、C、M、Yの3色で、カラー画像を構成する際、R、G、Bの画像を全て足し合わせたもの、C、M、Yの画像を全て足し合わせたものが、白色(無彩色)となるように、各カラーフィルタを構成することは技術常識であるから、引用発明2の 「R、B、G」「をそれぞれ透過する」「フィルタ」のセット、「Y、C、Mをそれぞれ透過する」「フィルタ」のセットが、本願発明の「前記ビームと交わる領域を次々に通過したときに白色を生成するように調整される異なる色、色合い、飽和、透過率及びサイズからなる」構成と同様に、構成されていることは、当業者には明らかである。 (iv)引用発明2の「ディスプレイパネル5に入射する照明光の色を時間順次で切り換える回転カラーフィルター91」が、本願発明の「これらセグメントのうちの少なくとも1つが前記ビームと交わるように位置され、前記セグメントが前記ビームと交わる領域を次々に通過するように回転手段に設けられるカラーホイール」に相当することは、当業者には明らかである。 以上、(i)?(iv)の指摘事項から、引用発明2の 「光源1と照明プリズム4との間に、ディスプレイパネル5に入射する照明光の色を時間順次で切り換える回転カラーフィルター91とを備え、 回転カラーフィルター91は各フィルタが同一平面上に配置され、R、B、G、Y、C、Mをそれぞれ透過する6枚のフィルタからなる」構成は、 本願発明の 「同一平面にあるセグメントからなる少なくとも2つのサブセットを有し、これらセグメントのうちの少なくとも1つが前記ビームと交わるように位置され、前記セグメントが前記ビームと交わる領域を次々に通過するように回転手段に設けられるカラーホイールとを備えており、 同一平面にあるセグメントからなるサブセットのそれぞれは、前記ビームと交わる領域を次々に通過したときに白色を生成するように調整される異なる色、色合い、飽和、透過率及びサイズからなる同一平面にある3つのセグメントを有し、 前記カラーホイールは、赤に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント、緑に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント、及び青に対応する波長のレンジで光を透過するセグメントを含む原色のセグメントからなる少なくとも1つのサブセットを有しており、 前記カラーホイールは、赤に対応する波長のレンジ及び緑に対応する波長のレンジの両者で光を透過する第一のセグメント、緑に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過する第二のセグメント、及び赤に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過する第三のセグメントを含むコンポジットカラーからなる同一平面にあるセグメントの少なくとも1つのサブセットを備える」構成に相当する。 (2)一致点 してみると、両者は、 「イメージャを連続して照明するシステムであって、 少なくとも赤、緑及び青を含む波長のレンジで多色光のビームを前記イメージャに向けて放出するソースと、 同一平面にあるセグメントからなる少なくとも2つのサブセットを有し、これらセグメントのうちの少なくとも1つが前記ビームと交わるように位置され、前記セグメントが前記ビームと交わる領域を次々に通過するように回転手段に設けられるカラーホイールとを備えており、 同一平面にあるセグメントからなるサブセットのそれぞれは、前記ビームと交わる領域を次々に通過したときに白色を生成するように調整される異なる色、色合い、飽和、透過率及びサイズからなる同一平面にある3つのセグメントを有し、 前記カラーホイールは、赤に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント、緑に対応する波長のレンジで光を透過するセグメント、及び青に対応する波長のレンジで光を透過するセグメントを含む原色のセグメントからなる少なくとも1つのサブセットを有しており、 前記カラーホイールは、赤に対応する波長のレンジ及び緑に対応する波長のレンジの両者で光を透過する第一のセグメント、緑に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過する第二のセグメント、及び赤に対応する波長のレンジ及び青に対応する波長のレンジの両者で光を透過する第三のセグメントを含むコンポジットカラーからなる同一平面にあるセグメントの少なくとも1つのサブセットを備える、 システム。」で一致し、次の点で相違する。 (3)相違点 本願発明は、「前記イメージャの動作領域にわたり前記ソースからの光を一様に分散する光学的手段」を備えるのに対して、引用発明2はそのような手段を備えていない点。(以下「相違点ロ」という。) 4.判断 上記相違点ロについて判断する。 ディスプレイパネルを照明する光学系中に、照明光を分散させて、ディスプレイパネルを一様に照明するような光学的手段を配置することは、引用文献2の上記摘記事項以外の箇所(例えば、段落【0049】,【0057】、図10,13等参照)にも示されるように周知技術であるから、引用発明2の「光源1」と「ディスプレイパネル5」の間に、「光源1」からの光を分散させて、「ディスプレイパネル5」を一様に照明するような光学的手段を配置することは、当業者が容易になし得ることである。 そして、本願発明が奏し得る効果は、引用発明2、周知技術及び技術常識から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものではない。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明2、周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-11-09 |
結審通知日 | 2012-11-13 |
審決日 | 2012-11-29 |
出願番号 | 特願2006-530434(P2006-530434) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G03B)
P 1 8・ 575- Z (G03B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小野 博之、横井 巨人 |
特許庁審判長 |
伊藤 昌哉 |
特許庁審判官 |
川俣 洋史 森林 克郎 |
発明の名称 | 複数のカラーセグメントのサブセットを有するカラーホイールが設けられたイメージャをもつ画像投影システム、及び対応する投影機器 |
代理人 | 大貫 進介 |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 伊東 忠彦 |