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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1272938 |
審判番号 | 不服2012-22113 |
総通号数 | 162 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-11-07 |
確定日 | 2013-04-11 |
事件の表示 | 特願2008-326209「ゲームプログラムおよびゲーム装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 7月 1日出願公開、特開2010-142592〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成20年12月22日の出願であって、平成24年8月14日付けで拒絶査定がされ、この査定に対し、同年11月7日に本件審判が請求されたものである。 第2 本願発明について 1.本願発明 本件出願の請求項1?23に係る発明は、平成24年7月11日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?23に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「【請求項1】 撮像手段および表示手段を利用可能なゲーム装置のコンピュータで実行されるゲームプログラムであって、前記撮像手段は、ユーザを撮像するように適合されており、前記ゲームプログラムは、前記コンピュータを 前記撮像手段により取得される画像データに含まれるユーザ画像に基づいてゲームを進行するゲーム進行手段、および 少なくとも、前記ユーザ画像が予め定められた条件を満足した場合に前記撮像手段により取得される画像データに基づく画像を、前記ゲーム進行手段によるゲームが進行中でないときに前記表示手段に表示させる表示制御手段、として機能させる、ゲームプログラム。」 2.引用刊行物とその記載事項 (1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2007-151647号公報(以下「刊行物1」という。)には、ユーザの動画像を含む画面を表示する画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関し、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。 (ア)「【請求項8】 2以上のカメラの各々により撮影された画像を所定時間毎に取得する画像取得手段、 前記画像取得手段により前記所定時間毎に取得される前記各画像を画面に順次表示する画像表示手段、及び 前記画像取得手段により取得される、前記2のカメラにより撮影された前記各画像の関係に基づいて、前記画面の表示内容を制御する表示内容制御手段 としてコンピュータを機能させるためのプログラム。」 (イ)「【0007】 また、本発明に係るプログラムは、2以上のカメラの各々により撮影された画像を所定時間毎に取得する画像取得手段、前記画像取得手段により前記所定時間毎に取得される前記各画像を画面に順次表示する画像表示手段、及び前記画像取得手段により取得される、前記2のカメラにより撮影された前記各画像の関係に基づいて、前記画面の表示内容を制御する表示内容制御手段として、例えば家庭用ゲーム機、携帯用ゲーム機、業務用ゲーム機、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、携帯電話機、携帯情報端末等のコンピュータを機能させるためのプログラムである。このプログラムは、例えばDVD-ROM、CD-ROM、ROMカートリッジ等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されてよい。 【0008】 本発明によれば、2以上のカメラの各々により撮影された画像が所定時間毎に取得され、画面に表示される。そして、その表示内容は、それらカメラのうち2つにより撮影された画像の関係に基づいて制御される。この結果、各カメラにより撮影される内容に応じて画面の表示内容を変化させることができ、複数のユーザによるゲームやコミュニケーションに好適に適用することができるようになる。」 (ウ)「【0030】・・本実施形態では、これら複数の画像の中に所定の関係を有するペアがあるか否かを判定し、その判定結果に応じて、モニタ26に表示される画面にエフェクトを付加するようになっている。すなわち、エンタテインメントシステム10では、自機のカメラユニット46及び他機のカメラユニット46で撮影された複数のユーザの画像の中から、同じ或いは類似のポーズで写っているものがあるかを判定して、そのようなものがあれば、画面にエフェクトを追加するようにしている。 【0031】 図5は、エフェクトが付加された画面の一例を示している。同図に示すように、エフェクトが付加されると、各ユーザの画像の位置は、エフェクトが付加されていない場合の位置(図4参照)から移動するようになっている。また、エフェクト用の画像や文字も追加で表示されるようになっている。図5の場合は、中央に相対的に大きく表示されている2個のユーザ画像は、同じ或いは類似のポーズで写っているか、同じ又は類似の動きをしているので、エフェクトが付加されている例である。」 (エ)「【0042】 こうした動きデータを、すべてのカメラユニット46で撮影された画像について生成し、それらを比較することにより、各カメラユニット46により写されるユーザが同じ又は類似の動きをしているか否かを判定することができる。これにより、例えば多人数参加型のネットワークゲーム(カメラユニットにより各プレイヤのジェスチャを撮影し、それを解析することにより、コマンド入力を行う格闘ゲーム、ロールプレイングゲーム、ダンシングゲーム等)をプレイしているときに、複数のプレイヤが同じ攻撃ポーズをとった場合、敵キャラクタに数倍のダメージを与えることができるといった応用も考えられ、多彩で魅力的なゲームアプリケーションを実現できる。」 (オ)記載事項(ア)の「プログラム」は、「2以上のカメラの各々により撮影された画像を所定時間毎に取得する画像取得手段、 前記画像取得手段により前記所定時間毎に取得される前記各画像を画面に順次表示する画像表示手段、及び 前記画像取得手段により取得される、前記2のカメラにより撮影された前記各画像の関係に基づいて、前記画面の表示内容を制御する表示内容制御手段 としてコンピュータを機能させるためのプログラム」であって、それは、記載事項(イ)の「本発明に係るプログラムは、・・・表示内容制御手段として、例えば家庭用ゲーム機、携帯用ゲーム機、業務用ゲーム機・・・等のコンピュータを機能させるためのプログラムである」ので、「2以上のカメラの各々により撮影された画像を所定時間毎に取得する画像取得手段および前記画像取得手段により前記所定時間毎に取得される前記各画像を画面に順次表示する画像表示手段を利用可能な、ゲーム機のコンピュータを機能させるためのプログラム」といえる。 (カ)記載事項(ア)の「カメラ」は、「2以上のカメラの各々により撮影された画像を所定時間毎に取得する」ためにあるものであって、それにより、記載事項(エ)の「動きデータを、すべてのカメラユニット46で撮影された画像について生成し、それらを比較することにより、各カメラユニット46により写されるユーザが同じ又は類似の動きをしているか否かを判定することができる。・・・これにより、例えば多人数参加型のネットワークゲーム(カメラユニットにより各プレイヤのジェスチャを撮影し、それを解析することにより、コマンド入力を行う格闘ゲーム、ロールプレイングゲーム、ダンシングゲーム等)をプレイしているときに、複数のプレイヤが同じ攻撃ポーズをとった場合、敵キャラクタに数倍のダメージを与えることができるといった応用も考えられ、多彩で魅力的なゲームアプリケーションを実現できる。」ものであるので、「カメラは、各プレイヤのジェスチャを撮影する」ものといえる。 (キ)記載事項(ア)の「プログラム」は、記載事項(エ)の「複数のプレイヤが同じ攻撃ポーズをとった場合、敵キャラクタに数倍のダメージを与えることができるといった応用も考えられ、多彩で魅力的なゲームアプリケーションを実現」するためのものであるので、「複数のプレイヤが同じ攻撃ポーズをとった場合、敵キャラクタに数倍のダメージを与えることができるといった、魅力的なゲームアプリケーションを実現する」「プログラム」といえる。 (ク)記載事項(ア)の「プログラム」は、「画面の表示内容を制御する表示内容制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム」であって、その表示内容が、記載事項(ウ)の「カメラユニット46で撮影された複数のユーザの画像の中から、同じ或いは類似のポーズで写っているものがあるかを判定して、そのようなものがあれば、画面にエフェクトを追加するようにしている。」「図5の場合は、中央に相対的に大きく表示されている2個のユーザ画像は、同じ或いは類似のポーズで写っているか、同じ又は類似の動きをしているので、エフェクトが付加されている例である」あって、その「カメラユニット46」は、カメラであるので、「各カメラで撮影された複数のユーザの画像の中から、同じ或いは類似のポーズで写っているものがあるかを判定して、中央に相対的に大きく表示するプログラム」ともいえる。 すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されているということができる。 「2以上のカメラの各々により撮影された画像を所定時間毎に取得する画像取得手段および前記画像取得手段により前記所定時間毎に取得される前記各画像を画面に順次表示する画像表示手段を利用可能な、ゲーム機のコンピュータを機能させるためのプログラムであって、 カメラは、各プレイヤのジェスチャを撮影し、 プログラムは、複数のプレイヤが同じ攻撃ポーズをとった場合、敵キャラクタに数倍のダメージを与えることができるといった、魅力的なゲームアプリケーションを実現し、 各カメラで撮影された複数のユーザの画像の中から、同じ或いは類似のポーズで写っているものがあるかを判定して、中央に相対的に大きく表示するプログラム。」 3.本願発明と引用発明との対比 (1)両発明の対応関係 (a)引用発明の「カメラ」は、本願発明の「撮像手段」に相当し、同様に 「画像表示手段」は、「表示手段」に相当する。 そして、引用発明の「2以上のカメラの各々により撮影された画像を所定時間毎に取得する画像取得手段および前記画像取得手段により前記所定時間毎に取得される前記各画像を画面に順次表示する画像表示手段を利用可能な、ゲーム機のコンピュータを機能させるためのプログラム」は、本願発明の「撮像手段および表示手段を利用可能なゲーム装置のコンピュータで実行されるゲームプログラム」に相当する。 (b)引用発明の「カメラは、各プレイヤのジェスチャを撮影し」は、本願発明の「撮像手段は、ユーザを撮像するように適合されており」に相当する。 (c)引用発明の「複数のプレイヤが同じ攻撃ポーズをとった場合、敵キャラクタに数倍のダメージを与えることができるといった、魅力的なゲームアプリケーションを実現」する「プログラム」は、「ゲーム機のコンピュータを機能させるためのプログラム」であって、ゲームアプリケーションがゲームを進行するゲーム進行手段として機能することが自明であるので、本願発明の「前記コンピュータを 前記撮像手段により取得される画像データに含まれるユーザ画像に基づいてゲームを進行するゲーム進行手段」「として機能させる、ゲームプログラム」に相当する。 (d)引用発明のプログラムが「各カメラで撮影された複数のユーザの画像の中から、同じ或いは類似のポーズで写っているものがあるかを判定して、中央に相対的に大きく表示するプログラム」であることと、本願発明の「少なくとも、前記ユーザ画像が予め定められた条件を満足した場合に前記撮像手段により取得される画像データに基づく画像を、前記ゲーム進行手段によるゲームが進行中でないときに前記表示手段に表示させる表示制御手段、として機能させる、ゲームプログラム」とは、「少なくとも、ユーザ画像が予め定められた条件を満足した場合に撮像手段により取得される画像データに基づく画像を、表示手段に表示させる表示制御手段、として機能させる、ゲームプログラム」である点で共通する。 (2)両発明の一致点 「撮像手段および表示手段を利用可能なゲーム装置のコンピュータで実行されるゲームプログラムであって、前記撮像手段は、ユーザを撮像するように適合されており、前記ゲームプログラムは、前記コンピュータを 前記撮像手段により取得される画像データに含まれるユーザ画像に基づいてゲームを進行するゲーム進行手段、および 少なくとも、ユーザ画像が予め定められた条件を満足した場合に撮像手段により取得される画像データに基づく画像を、表示手段に表示させる表示制御手段、として機能させる、ゲームプログラム。」 (3)両発明の相違点 画像を表示手段に表示させる時期が、本願発明は「ゲーム進行手段によるゲームが進行中でないとき」なのに対して、引用発明はそうでない点。 4.本願発明の容易推考性の検討 相違点について (a)ゲーム装置の技術分野において、ゲームを興味深いものとする為に、ゲーム進行中に撮影されたハイライトシーン等の画像を、例えばサッカーのゴール後のようなゲームが進行中でないときに、所謂リプレイとして表示することは、例えば、特開2006-6853号公報の【0095】【0304】、特開2000-197775号公報【0082】等に記載されている様に周知慣用技術である。 そして、引用発明の様なゲーム機のプログラムにおいて、ゲームをより興味深いものとすることは、基本的要求事項であり、しかも、引用発明における「敵キャラクタに数倍のダメージを与える」場面は、所謂ハイライトシーンといえる性質のものであるので、引用発明のゲームを興味深いものとする為に、中央に相対的に大きく表示する表示を、ゲームが進行中でないときにも行うものとして相違点に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (b)なお請求人は、審判請求書において、「文献1に記載の発明において、「前記ユーザ画像が予め定められた条件を満足した場合に前記撮像手段により取得される画像データに基づく画像を、前記ゲーム進行手段によるゲームが進行中でないときに前記表示手段に表示させる」という構成を当業者が採用したはずがなく、かつそのような構成を採用しようと試みたはずもない。なぜならば、文献1に記載の発明は、ゲーム進行中に自身および他のユーザの画像を同時に表示させて、ゲームを楽しむものであり、ゲームが進行中でないときに、自身または他のユーザの画像を事後的に表示させたところで、全く無意味であるからである。」旨主張しているが、(a)に記載した様に、引用発明の中央に相対的に大きく表示する表示を、ゲームが進行中でないときにも行うものとすることで、引用発明のゲームを、上記例示した周知慣用技術の様に、ゲームを興味深いものとし得ることが想定でき、「全く無意味である」といえる様なものではなく、請求人の主張を採用することは出来ない。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、及び周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そうすると、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-02-07 |
結審通知日 | 2013-02-12 |
審決日 | 2013-02-26 |
出願番号 | 特願2008-326209(P2008-326209) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 坪内 優佳 |
特許庁審判長 |
高橋 三成 |
特許庁審判官 |
鈴野 幹夫 中川 真一 |
発明の名称 | ゲームプログラムおよびゲーム装置 |
代理人 | 特許業務法人深見特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人深見特許事務所 |