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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A45D 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A45D |
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管理番号 | 1273079 |
審判番号 | 不服2012-15144 |
総通号数 | 162 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-08-06 |
確定日 | 2013-04-18 |
事件の表示 | 特願2006-23724号「櫛付きキャップ」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 8月16日出願公開、特開2007-202720号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I 手続の経緯 本願は、平成18年1月31日の出願であって、平成24年5月8日付けで拒絶査定がなされたところ、同査定を不服として、平成24年8月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同時に明細書及び特許請求の範囲についての手続補正がなされたものである。 II 平成24年8月6日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成24年8月6日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。 「内容液を収納する容器体の口筒部に密に組付いて、列設した複数の櫛歯片から、前記内容液を注出可能とした櫛付きキャップであって、前記各櫛歯片を、その上部に、前記内容液を櫛歯片間に注出する注出口を開設し、該注出口に近接して基端側に位置する両側縁部分に、横幅を減少させるくびれ部を形成すると共に、前記注出口に近接して先端側に位置する両側縁部分に、横幅を減少させる補助くびれ部を形成して構成した櫛付きキャップ。」(下線部は補正個所を示す。) 2 補正の目的の適否及び新規事項の追加の有無 本件補正は、補正前の請求項3に記載した発明を特定するために必要な事項である「くびれ部」に対して、それを形成する位置として、「基端側に位置する」との限定を付加することを特定するものであって、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。 3 独立特許要件 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)、以下に検討する。 3-1 引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、特開平10-75815号公報(以下、「引用例」という)には、図面と共に次の事項が記載されている。 記載A 「図1?図3に示す本発明の髪用塗布剤の塗布用具の1実施例品は、髪用塗布剤が収納されている容器1と、該容器1に嵌め込み又は螺合等の手段によって着脱自在に係合される合成樹脂製のブラシ2とで構成されている。 合成樹脂製のブラシ2におけるブラシ本体3には複数の櫛歯4、4、・・・・が設けられており、合成樹脂製のブラシ2のブラシ本体3と各々の櫛歯4、4、・・・・とは、それぞれに形成されている中空部(図示せず)を通して連通しており、又前記合成樹脂製のブラシ2におけるブラシ本体3の中空部の内部は前記容器1に連通している。更に、櫛歯4には、該櫛歯4に形成されている前記中空部に連通して吐出口5が形成されている。 容器1内に収納されている髪用塗布剤は、ボタンあるいは他の押圧手段等により、容器1より合成樹脂製のブラシ2のブラシ本体3に設けてある中空部を通って櫛歯4の中空部に導かれ、続いて櫛歯4の表面に形成されている吐出口5より吐出される。なお、これらの構造は、通常の髪用塗布剤の塗布用具と同様である。」(【0017】-【0019】段落) 記載B 「前記の構造において、図2及び図3に示すように、各々の櫛歯4には、その両側の側面周縁6、6に凹凸を形成する突出部からなる突起7、7、・・・・が、互いに間隔を置いて複数設けられている。 突起7、7、・・・・は、櫛歯4の側面周縁よりほぼ垂直方向に適宜の長さを有して形成されており、隣接する各々の突起7の間隔は、櫛歯4の側面周縁6の近傍に吐出された髪用塗布剤が、その表面張力によって突起7、7、・・・・同士の間に十分に保持され得る間隔になっている。 これにより、従来の髪用塗布剤の塗布用具のように、櫛歯4の側面周縁6から髪用塗布剤が落下し易いという液ダレ現象がなく、櫛歯4における髪用塗布剤の保持能力の高いものになる。」(【0020】-【0022】段落) 記載C 「図4?図6は、本発明の髪用塗布剤の塗布用具の他の実施例品を示すものであり、櫛歯4の両側の側面周縁6、6には、凹凸が形成される波型形状の突出部7が形成されている。 又、図5及び図6に示すように、側面周縁6に波型形状をなす突出部7を有する櫛歯4は、各々隣接して配置されている櫛歯4において、突出部7を形成する山部8と谷部9とが互い違いになるようにして位置している。」(【0026】、【0027】段落) 記載D 「なお、図4?図6に示す髪用塗布剤の塗布用具の実施例品におけるその他の構造は、前記した図1?図3に示す実施例品の場合と同様である。 更に本発明の髪用塗布剤の塗布用具は、図4?図5に示す髪用塗布剤の塗布用具のように櫛歯4の側面周縁6に形成されている突出部7が波型形状をなしているときに、隣接して配置されている櫛歯4の突出部7が、上記のような互い違いになる位置関係をなすように限定されるものではない。 ・・又同様にして、図4?図6に示す実施例品からなる髪用塗布剤の塗布用具の場合にも、波型形状の突出部を形成する山部と山部、及び谷部と谷部が、隣接して配置されている櫛歯4において、重なるようにして配置されてもよい。(【0030】-【0033】段落) 記載E 「【発明の効果】上記の構成からなる本発明の髪用塗布剤の塗布用具によれば、各々の櫛歯の側面周縁に設けられている複数の突出部により、櫛歯上の髪用塗布剤の保持能力が向上し、それによって櫛歯からの髪用塗布剤の液ダレを防止でき、ひいては該塗布用具の使用時に髪用塗布剤が落下して衣服等に付着するおそれがなくなる。 又、本発明の髪用塗布剤の塗布用具における櫛歯の側面周縁に形成されている突出部は、小櫛歯の作用を果たし、これによって髪の細部に亙って効率的に髪用塗布剤を塗布することができる。 特に長い髪に髪用塗布剤を塗布する場合には、髪の先端に近くになったときに、櫛歯を手前に引くことによって髪をしごきながら前記突部によって髪を梳く操作を行なうことができ、これにより長い髪であっても髪用塗布剤を効率よく、まんべんなく塗布することができる。」(【0034】-【0036】段落) そして、図面には、以下の記載がある。 記載F 図1及び図4には、容器1のいわゆる首部にブラシ2が取り付けられた状態が図示されている。 記載G 図5、図6には、吐出口5が図示される櫛歯4の形状として、櫛歯上に1つの吐出口5を有すること、吐出口5を有する部分の両側面周縁に横幅を増大させる形状の突出部7を有すること、その突出部7を有する部分に近接しかつ基端側の部分の両側面周縁に谷部6を有すること、その突出部7を有する部分に近接する先端側の部分の両側面周縁に、横幅が減少して櫛歯4の先端部分へと連なるくびれた形状の部分を有することが図示されている。 ここで、これらの記載について検討する。 記載Aの「図1?図3に示す本発明の髪用塗布剤の塗布用具の1実施例品は、髪用塗布剤が収納されている容器1と、該容器1に嵌め込み又は螺合等の手段によって着脱自在に係合される合成樹脂製のブラシ2とで構成されている。・・」との記載と、記載Fの図示内容とを併せてみて、ブラシ2の容器1に着脱自在に係合される位置は、容器1のいわゆる首部であると認められる。 また、記載Aの「・・容器1内に収納されている髪用塗布剤は、ボタンあるいは他の押圧手段等により、容器1より・・櫛歯4の中空部に導かれ、続いて櫛歯4の表面に形成されている吐出口5より吐出される。・・」との記載からみて、ブラシ2の「着脱自在に係合」は、液漏れのない密な構造と解される。 以上の事項と、記載Aの「・・合成樹脂製のブラシ2におけるブラシ本体3には複数の櫛歯4、4、・・・・が設けられており、・・」との記載とから、引用例には、 髪用塗布剤を収納する容器1の首部に密に組付いて、列設した複数の櫛歯4から、前記髪用塗布剤を吐出可能としたブラシ2、 が記載されている。 記載Cの「図4?図6は、本発明の髪用塗布剤の塗布用具の他の実施例品を示すものであり、櫛歯4の両側の側面周縁6、6には、凹凸が形成される波型形状の突出部7が形成されている。 又、図5及び図6に示すように、側面周縁6に波型形状をなす突出部7を有する櫛歯4は、各々隣接して配置されている櫛歯4において、突出部7を形成する山部8と谷部9とが互い違いになるようにして位置している。」との記載と、記載Gの図示内容とを併せてみて、引用例には、吐出口5を有する櫛歯4について、 吐出口5を有する部分の両側面周縁の位置に横幅を増大させる形状の突出部7を形成して、吐出口5に近接して基端側に位置する両側面周縁部分に、谷部6を形成すると共に、吐出口5に近接して先端側に位置する両側面周縁部分に、くびれた形状を形成すること、が記載されている。 また、記載Aからみて、吐出口5は、櫛歯4間に髪用塗布剤を吐出する口であると認められる。 以上から、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「髪用塗布剤を収納する容器1の首部に密に組付いて、列設した複数の櫛歯4から、前記髪用塗布剤を吐出可能としたブラシ2であって、複数の櫛歯4を、前記髪用塗布剤を櫛歯4間に吐出する吐出口5を開設し、吐出口5を有する部分の両側面周縁の位置に横幅を増大させる形状の突出部7を形成して、吐出口5に近接して基端側に位置する両側面周縁部分に、谷部6を形成すると共に、吐出口5に近接して先端側に位置する両側面周縁部分に、くびれた形状を形成して構成した、ブラシ2。」 3-2 対比 本願補正発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、引用発明の「髪用塗布剤」は、本願補正発明の「内容液」に相当し、以下同様に、「容器1」は「容器体」に、「首部」は「口筒部」に、「櫛歯4」は「櫛歯片」に、「吐出口5」は「注出口」に、「吐出可能とした」は「注出可能とした」に、「ブラシ2」は「櫛付きキャップ」に、「両側面周縁」は「両側縁」に、「谷部6」は「くびれ部」に、「くびれた形状」は「補助くびれ部」に、それぞれ相当する。 引用発明の「複数の櫛歯4を、前記髪用塗布剤を櫛歯4間に吐出する吐出口5を開設し、吐出口5を有する部分の両側面周縁の位置に横幅を増大させる形状の突出部7を形成して、吐出口5に近接して基端側に位置する両側面周縁部分に、谷部6を形成すると共に、吐出口5に近接して先端側に位置する両側面周縁部分に、くびれた形状を形成して構成」することと、本願補正発明の「各櫛歯片を、その上部に、前記内容液を櫛歯片間に注出する注出口を開設し、該注出口に近接して基端側に位置する両側縁部分に、横幅を減少させるくびれ部を形成すると共に、前記注出口に近接して先端側に位置する両側縁部分に、横幅を減少させる補助くびれ部を形成して構成」することとは、「複数の櫛歯片を、前記内容液を櫛歯片間に注出する注出口を開設し、該注出口に近接して基端側に位置する両側縁部分に、くびれ部を形成すると共に、前記注出口に近接して先端側に位置する両側縁部分に、補助くびれ部を形状を形成して構成」する点で一致する。 そこで、本願補正発明の用語を用いて表現すると、両発明は次の点で一致する。 (一致点) 内容液を収納する容器体の口筒部に密に組付いて、列設した複数の櫛歯片から、前記内容液を注出可能とした櫛付きキャップであって、複数の櫛歯片を、前記内容液を櫛歯片間に注出する注出口を開設し、該注出口に近接して基端側に位置する両側縁部分に、くびれ部を形成すると共に、前記注出口に近接して先端側に位置する両側縁部分に、補助くびれ部を形状を形成して構成した、櫛付きキャップ。 そして、両発明は次の点で相違する。 (相違点1) 注出口について、本願補正発明は、各櫛歯片の上部に開設するのに対し、引用発明は、複数の櫛歯片に開設するものであって、その位置が上部であるか不明である点。 (相違点2) くびれ部及び補助くびれ部について、本願補正発明は、各櫛歯片に対して、該注出口に近接して基端側に位置する両側縁部分に、横幅を減少させるくびれ部を形成すると共に、前記注出口に近接して先端側に位置する両側縁部分に、横幅を減少させる補助くびれ部を形成するものであるのに対して、引用発明は、複数の櫛歯片に対して、注出口を有する部分の両側縁の位置に横幅を増大させる形状の突出部7を形成して、注出口に近接して基端側に位置する両側縁部分に、くびれ部を形成すると共に、注出口に近接して先端側に位置する両側縁部分に、補助くびれ部を形成するものである点。 3-3 相違点の判断 上記相違点について検討する。 (相違点1について) 引用発明の注出口は、列設した複数の櫛歯片間に内容液を注出するためのものであるから、当該注出口は櫛歯片において、上記櫛歯片間に臨む表面のいずれかの位置に設けられるものであることは明らかであるところ、その位置を、櫛歯片の上部とすること及び当該注出口を複数の櫛歯片に開設することに換えて各櫛歯片に開設することに何ら困難性は認められない。 したがって、引用発明の注出口を各櫛歯片の上部に開設することは当業者が必要に応じて適宜なし得る程度の事項にすぎない。 (相違点2について) 本願補正発明は、各櫛歯片に対して、該注出口に近接して基端側に位置する両側縁部分に、横幅を減少させるくびれ部を形成すると共に、前記注出口に近接して先端側に位置する両側縁部分に、横幅を減少させる補助くびれ部を形成することにより、櫛歯片の両側縁部に、注出口を有する部分の両側縁の位置に横幅を増大させている凹凸形状をなすものである。 一方、引用発明は、注出口を有する部分の両側縁の位置に横幅を増大させる形状の突出部7を形成して、注出口に近接して基端側に位置する両側縁部分に、くびれ部を形成すると共に、注出口に近接して先端側に位置する両側縁部分に、補助くびれ部を形成することにより、櫛歯片の両側縁部に、注出口を有する部分の両側縁の位置に横幅を増大させている凹凸形状をなすものである。 したがって、本願補正発明の凹凸形状と引用発明の凹凸形状とは、櫛歯片の両側縁部に、注出口を有する部分の両側縁の位置に横幅を増大させている凹凸形状をなすものである点において相違するとはいえない。 また、本願補正発明の「くびれ部」及び「補助くびれ部」について、明細書には、「【0025】 本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。 発明にあっては、注出された内容液に余剰分が生じたとしても、この内容液の余剰分はくびれ部および補助くびれ部に浸入するので、このくびれ部および補助くびれ部で保持されて、妄りに櫛付きキャップから垂れ落ちすることがなく、安全で好適な使用状況を得ることができる。 【0026】 また、注出された内容液は、数回の梳き動作の繰り返しにより、頭髪に塗布されるので、内容液を、頭髪に対して、小出しに複数回に分けて塗布することができ、これにより内容液を頭髪に、斑となることなく、均等に塗布することができる。また、櫛歯片間に注出した内容液を、櫛歯片の先端側部分だけを使って、頭髪の特定した部分に塗布したい場合に、櫛歯片の先端側に位置した補助くびれ部に浸入した内容液が、頭髪に対して小出しに塗布されるので、この頭髪の特定部分に対する内容液の塗布を均等に達成することができる。」と記載されている。 したがって、本願補正発明の凹凸形状は内容液が進入し、当該内容液を保持する部分であると認められる。 一方、引用発明の凹凸形状も内容液を保持する部分と認められる(上記記載Bを参照。)。 よって、本願補正発明の凹凸形状と引用発明の凹凸形状とはその作用において相違するものともいえない。 以上のとおり、凹凸形状に関して、本願補正発明と引用発明とは形状と作用とのいずれにおいても相違するとはいえないから、本願補正発明の「注出口に近接して基端側に位置する両側縁部分に、横幅を減少させるくびれ部を形成すると共に、前記注出口に近接して先端側に位置する両側縁部分に、横幅を減少させる補助くびれ部を形成」することによる凹凸形状と、引用発明の「注出口を有する部分の両側縁の位置に横幅を増大させる形状の突出部7を形成して、注出口に近接して基端側に位置する両側縁部分に、くびれ部を形成すると共に、注出口に近接して先端側に位置する両側縁部分に、補助くびれ部を形成」することによる凹凸形状とは実質的に相違するものとはいえない。 仮に、本願補正発明の上記凹凸形状における「くびれ部」及び「補助くびれ部」は横幅を減少することによるものであるのに対し、引用発明のそれらは横幅を増大させる形状の突出部7を形成することによるものである点で相違するとしても、凹凸形状を形成するに当たり、凸部を形成することにより凹凸とするか、凹部を形成することにより凹凸とするかは必要に応じて適宜選択し得る事項であると認められる。 したがって、引用発明の「注出口を有する部分の両側縁の位置に横幅を増大させる形状の突出部7を形成して、注出口に近接して基端側に位置する両側縁部分に、くびれ部を形成すると共に、注出口に近接して先端側に位置する両側縁部分に、補助くびれ部を形成する」ことに代えて該注出口に近接して基端側に位置する両側縁部分に、横幅を減少させるくびれ部を形成すると共に、前記注出口に近接して先端側に位置する両側縁部分に、横幅を減少させる補助くびれ部を形成することは当業者が適宜なし得る程度の事項にすぎない。 そして、引用発明において、注出口に近接して基端側に位置する両側縁部分に、横幅を減少させるくびれ部を形成すると共に、前記注出口に近接して先端側に位置する両側縁部分に、横幅を減少させる補助くびれ部を形成するものとした櫛歯片を複数の櫛歯片に対してのものに代えて各櫛歯片に対してのものとすることは当業者が容易になし得る程度の事項にすぎない。 また、本願補正発明による効果も、引用発明から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。 したがって、本願補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3-4 むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 III 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項3に係る発明(以下、同項記載の発明を、「本願発明」という。)は、出願時の特許請求の範囲の請求項3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 内容液を収納する容器体の口筒部に密に組付いて、列設した複数の櫛歯片から、前記内容液を注出可能とした櫛付きキャップであって、前記各櫛歯片を、その上部に、前記内容液を櫛歯片間に注出する注出口を開設し、該注出口に近接した両側縁部分に横幅を減少させるくびれ部を形成して構成した櫛付きキャップ。 【請求項3】 櫛歯片の、注出口に近接して先端側に位置する両側縁部分に、横幅を減少させる補助くびれ部を設けた請求項1または2記載の櫛付きキャップ。」 IV 引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び、その記載事項は、前記II.3-1に記載したとおりである。 V 対比・判断 本願発明は、前記IIの「1 補正後の本願発明」欄の本願補正発明から、「くびれ部」位置の限定事項である「基端側に位置する」との特定を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記IIの「3-3 相違点の判断」欄に記載したとおり、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 VI むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-02-13 |
結審通知日 | 2013-02-19 |
審決日 | 2013-03-04 |
出願番号 | 特願2006-23724(P2006-23724) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A45D)
P 1 8・ 575- Z (A45D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 永田 和彦 |
特許庁審判長 |
高木 彰 |
特許庁審判官 |
高田 元樹 松下 聡 |
発明の名称 | 櫛付きキャップ |
代理人 | 渡辺 一豊 |