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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201126007 審決 特許
不服201217207 審決 特許
不服201126373 審決 特許
不服20127054 審決 特許
不服20129701 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E03D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E03D
管理番号 1273655
審判番号 不服2012-475  
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-01-11 
確定日 2013-05-09 
事件の表示 特願2006-301275「便器」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 5月22日出願公開、特開2008-115641〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成18年11月7日の出願であって,平成23年10月4日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成24年1月11日に拒絶査定不服審判がなされると共に,同時に手続補正がなされた。
その後,平成24年6月4日付けで,審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ,同年8月6日付けで回答書が提出されたものである。


第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成24年1月11日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容・目的
平成24年1月11日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)は,特許請求の範囲について,補正前(平成23年9月5日付けの手続補正書参照。)の請求項1を,以下のように補正することを含むものである。
「便器本体と、前記便器本体上に配される便座と、前記便座の上面を開閉する便座蓋と、窒化物系半導体発光素子から成るとともに前記便器本体内側に紫外線を照射する第1紫外線照射部と、を備える便器において、前記便器はさらに、前記便器本体外側に開口する吸気口及び排気口を有するダクトと、前記ダクトに配されてトイレ室内の空気を前記吸気口から吸気して前記排気口から排気させる送風機と、前記ダクトに配されて空気中でプラズマ放電を起こして正イオンと負イオンとを発生するイオン発生装置と、を備え、
前記イオン発生装置は前記便座蓋が開いたときに駆動され、前記第1紫外線照射部は前記便座蓋が閉じられたときに所定時間駆動されるものであって、前記イオン発生装置は前記第1紫外線照射部の停止後に停止することを特徴とする便器。」

上記補正事項は,実質的に,請求項1に係る発明の特定事項の一部である,「吸気口及び排気口」に「前記便器本体外側に開口する」という事項を付加し限定したものと認められるから,本件補正は,少なくとも,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含むものである。

そこで,本件補正後の上記請求項1に係る発明(以下,「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか,すなわち,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たしているか,について以下に検討する。

2.独立特許要件違反(特許法第29条第2項違反)
2-1.引用刊行物
(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された刊行物である,特開2005-23554号公報(以下,「刊行物1」という。)には,図面と共に,次の記載がある。
(1a)「【請求項1】
便器本体内側に光を照射する窒化物系半導体発光素子を備えることを特徴とする殺菌便器。
【請求項2】
便器本体の上側開口部を開閉する蓋体を備え、蓋体の裏面側に窒化物系半導体発光素子を配置したことを特徴とする請求項1に記載の殺菌便器。
【請求項3】
蓋体の開閉を検出する開閉検出手段と、
開閉検出手段により蓋体が閉成されてから予め設定された期間だけ、窒化物系半導体発光素子を発光させる手段と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の殺菌便器。
【請求項4】
蓋体を窒化物系半導体発光素子と一体化させて成形したことを特徴とする請求項2に記載の殺菌便器。
【請求項5】
窒化物系半導体発光素子が砲弾型の窒化物系発光ダイオードもしくは表面実装型の窒化物系発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の殺菌便器。
【請求項6】? 【請求項10】省略。」

(1b)「【0027】
図1は、本発明の殺菌便器の第1実施形態を模式的に示す側面図である。本実施形態の殺菌便器では、便器本体11の上側開口部11aの縁で、便座12及び便座蓋13をそれぞれの枢支軸12a及び13aにより開閉自在に支持している。
【0028】
便座蓋13は、複数の窒化物系発光ダイオード14を含み、各窒化物系発光ダイオード14及びそれらの配線と共に、樹脂モールドにより一体化されて形成されたものである。
【0029】
各窒化物系発光ダイオード14は、便座蓋13の裏面側に配置されており、各窒化物系発光ダイオード14の光の出射口が便座蓋13の裏面で露呈している。従って、便座12及び便座蓋13が閉じられたときには、各窒化物系発光ダイオード14の光の出射口が便器本体11の内側に向く。」

(1c)「【0038】
従って、便座蓋13が閉じられると、60秒間だけ、各窒化物系発光ダイオード14が発光し、オゾン発生装置17が動作する。各窒化物系発光ダイオード14の発光により、紫外線が便器本体11の内側面に照射されて、殺菌が行われる。また、オゾン発生装置17の動作により、オゾンが便器本体11の内側で発生して、殺菌が行われる。このため、紫外線による殺菌とオゾンによる殺菌とが相乗してなされ、極めて高い殺菌能力が実現される。
【0039】
この殺菌に際しては、便座蓋13が閉じられていることから、紫外線やオゾンが便器本体11の外側に漏れ出すことはなく、紫外線やオゾンが人体に影響を及ぼすことが阻止される。また、短時間だけ、各窒化物系発光ダイオード14が発光し、オゾン発生装置17が動作するので、消費電力を節減することができる。」

(1d)「【0061】
【発明の効果】
以上説明した様に本発明によれば、窒化物系半導体発光素子の紫外線を便器本体の内側面に照射して、殺菌を行なっている。窒化物系半導体発光素子は、安価であって、衝撃等に強く、寿命が長いため、頻繁な点検や交換を必要とせず、ランニングコストが低くて済む。また、有害な汚染物質を含まず、容易に廃棄することができる。更に、複数の窒化物系半導体発光素子を設け、各窒化物系半導体発光素子の位置及び向きを適宜に設定すれば、紫外線を便器本体の内側面全体に均一に照射して、殺菌を行なうことができる。」

上記記載事項(1a)乃至(1d)及び図面の記載から,刊行物1には,次の発明が記載されているものと認められる。
「便器本体11の上側開口部11aの縁で便座12及び便座蓋13をそれぞれ開閉自在に支持している殺菌便器において,便座蓋13は,便器本体11内側面に紫外線を照射する窒化物系半導体発光素子である複数の窒化物系発光ダイオード14を含み,
前記便座蓋13が閉じられると,予め設定された期間だけ,各窒化物系発光ダイオード14が発光し,オゾン発生装置17が動作する殺菌便器。」(以下,「刊行物1記載の発明」という。)

(2)刊行物2
原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された刊行物である,特開2003-147828号公報(以下,「刊行物2」という。)には,図面と共に,次の記載がある。
(2a)「【請求項1】 空気を吸気口からダクトに吸い込んで排気口を経て前記ダクトの外に導くファンと、空気中でプラズマ放電を起こして正イオンと負イオンを発生するイオン発生部とを前記ダクト内に設けたことを特徴とするトイレ用脱臭・殺菌装置。
【請求項2】 空気を吸気口からダクトに吸い込んで排気口を経て前記ダクトの外に導くファンを前記ダクト内に設け、空気中でプラズマ放電を起こして正イオンと負イオンを発生するイオン発生部を前記ダクト内の空気の流れに対して前記ファンよりも下流側に設けたことを特徴とするトイレ用脱臭・殺菌装置。
【請求項3】 省略。
【請求項4】 前記吸気口は、便器内の空気を吸入する便器内用吸気口と、便器外の空気を吸入する便器外用吸気口とから成ることを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載のトイレ用脱臭・殺菌装置。
【請求項5】?【請求項13】 省略。」

(2b)「【0022】本発明のトイレ用脱臭・殺菌装置10の作動によって、正イオンと負イオンのみならず、オゾンも副次的に生成する。このオゾンにも脱臭や殺菌効果があることが知られている。
【0023】省略。
【0024】また、オゾンは人体に有害であることが知られているため、人体センサおよび水流センサによりトイレに人間がいるときといないときで発生するオゾンの濃度を制御することにより、トイレ用脱臭・殺菌装置10を効率的に運転できる。さらに、狭いトイレ室内にオゾンが堆積して高濃度になるおそれがあるため、タイマーおよびオゾンセンサを連動させて、トイレ用脱臭・殺菌装置10の運転を制御することでオゾンの堆積を抑えることができる。」

(2c)「【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明のトイレ用脱臭・殺菌装置によると、トイレ室内の大小便の臭いを瞬時に脱臭し、空気中の浮遊菌を速やかに殺菌することができる。したがって、快適で、衛生的なトイレ室内の環境を実現できる。」

上記記載事項(2a)乃至(2c)及び図面の記載から,刊行物2には,次の発明が記載されているものと認められる。
「吸気口は便器内の空気を吸入する便器内用吸気口と便器外の空気を吸入する便器外用吸気口とから成り,前記吸気口から空気をダクトに吸い込んで排気口を経て前記ダクトの外に導くファンを前記ダクト内に設け,空気中でプラズマ放電を起こして正イオンと負イオンを発生するイオン発生部を前記ダクト内の空気の流れに対して前記ファンよりも下流側に設けたトイレ用脱臭・殺菌装置。」(以下,「刊行物2記載の発明」という。)

(3)刊行物3
原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された刊行物である,特開2005-336844号公報(以下,「刊行物3」という。)には,図面と共に,次の記載がある。
(3a)「【0005】
そこで本発明者は発明に至る過程において、温水洗浄便座に上記静電霧化装置を設け、この静電霧化装置によって生成されるナノメータサイズのミストによって、トイレ室内の空間や、便器、トイレ室の室内壁面の脱臭・除菌を有効に除去できる静電霧化装置付き温水洗浄便座を想起した。」

(3b)「【0049】
次に静電霧化装置6の制御方法の第4例を示す。本例の静電霧化装置付き温水洗浄便座1は、便蓋4の開閉状態を検知する開閉検知手段として、便蓋4を設けたヒンジ部に便蓋4の便器の上面からの回動角度を検出する角度検出センサ(図示せず)を設けている。そして制御部21を、角度検出センサにより便蓋4の回動角度が所定角度以上になった際、即ち便蓋4が開になったことを検知した際に、同時に静電霧化装置6をOFFからONに切り換え、角度検出センサにより便蓋4の回動角度が所定角度未満になった際、即ち便蓋4が閉になったことを検知した際に、この便蓋4が閉になったことを検知した時点から所定時間後に静電霧化装置6をONからOFFに切り換えるように設定している。
【0050】
このように便蓋4の開閉状態を検知する開閉検知手段の検知結果に基づいて静電霧化装置6のON/OFFの切り換えを制御することで、使用者が便器の使用の前に便蓋4を開にした際に静電霧化装置6をOFFからONに切り換え、使用者が用を足した後に便蓋4を閉にした時点から所定時間後に静電霧化装置6をOFFからONに切り換えることができ、これにより便器使用時及び便器使用後の所定時間にのみ静電霧化装置6による脱臭を行うことができ、従ってトイレ室内において発生する臭いを静電霧化装置6によって効率良く除去できる。」

2-2.補正発明と刊行物1記載の発明との対比
補正発明と刊行物1記載の発明とを対比すると,
刊行物1記載の発明の「殺菌便器」が補正発明の「便器」に相当しており,以下同様に,
「便器本体11」,「便座12」及び「便座蓋13」が,「便器本体」,「便座」及び「便座蓋」に,
「開閉自在に支持している」が「開閉する」に,
「便器本体11内側面に紫外線を照射する窒化物系半導体発光素子である複数の窒化物系発光ダイオード14」が「窒化物系半導体発光素子から成るとともに前記便器本体内側に紫外線を照射する第1紫外線照射部」に,
「便座蓋13が閉じられると,予め設定された期間だけ,各窒化物系発光ダイオード14が発光し」が「前記第1紫外線照射部は前記便座蓋が閉じられたときに所定時間駆動される」に,
それぞれ相当している。

したがって,両者は,以下の点で一致している。
「便器本体と,前記便器本体上に配される便座と,前記便座の上面を開閉する便座蓋と,窒化物系半導体発光素子から成るとともに前記便器本体内側に紫外線を照射する第1紫外線照射部とを備える便器において,
前記第1紫外線照射部は前記便座蓋が閉じられたときに所定時間駆動される便器。」

そして,以下の点で相違している。
補正発明は,さらに,前記便器本体外側に開口する吸気口及び排気口を有するダクトと,前記ダクトに配されてトイレ室内の空気を前記吸気口から吸気して前記排気口から排気させる送風機と,前記ダクトに配されて空気中でプラズマ放電を起こして正イオンと負イオンとを発生するイオン発生装置とを備え,前記イオン発生装置は前記便座蓋が開いたときに駆動され,前記第1紫外線照射部の停止後に停止するのに対して,
刊行物1記載の発明は,そのようになっていない点。

2-3.判断
刊行物2記載の発明の「便器外の空気を吸入する便器外用吸気口」は,補正発明の「便器本体外側に開口する吸気口」に相当する。以下同様に,
「吸気口から空気をダクトに吸い込んで排気口を経て前記ダクトの外に導」き「前記ダクト内に設け」た「ファン」は,「前記ダクトに配されてトイレ室内の空気を前記吸気口から吸気して前記排気口から排気させる送風機」に,
「空気中でプラズマ放電を起こして正イオンと負イオンを発生」し「前記ダクト内の空気の流れに対して前記ファンよりも下流側に設けた」「イオン発生部」は,「前記ダクトに配されて空気中でプラズマ放電を起こして正イオンと負イオンとを発生するイオン発生装置」にそれぞれ相当する。
してみると,刊行物2には,補正発明の「便器本体外側に開口する吸気口及び排気口を有するダクトと,前記ダクトに配されてトイレ室内の空気を前記吸気口から吸気して前記排気口から排気させる送風機と,前記ダクトに配されて空気中でプラズマ放電を起こして正イオンと負イオンとを発生するイオン発生装置とを備え」るとの構成に相当する構成が記載されており,刊行物1記載の発明の,便器本体内側の殺菌を行う殺菌便器において,さらに殺菌機能を強化することや他の機能を持たせようとすることは当業者であれば考慮すると認められるから,該刊行物2記載の発明のトイレ用脱臭・殺菌装置を備えて,トイレ室内の脱臭及び殺菌を行うようにすることは,当業者が容易に想到し得ることである。また,補正発明において,イオン発生装置が「便座蓋が開いたときに駆動され,前記第1紫外線照射部の停止後に停止する」のは,「便器の使用中にトイレ室内の殺菌及び脱臭を確実に行うことができる。」また「短時間駆動されるだけであるため、電力消費を抑制することができる。」ため(明細書の段落【0025】,【0048】参照。)とあるが,刊行物3にも記載されているように,トイレ室内において発生する臭い除去のための機器を制御するのに,便蓋が開かれたときにONにし,閉じられてから所定時間後にOFFに切り換えるように設定しておくことにより,効率良く臭いを除去できるようにする程度のことは,従来から行われていることにすぎない。その際,第1紫外線照射部の駆動時間やイオン発生装置の駆動時間は,それぞれ便器本体内側の殺菌に要する時間,トイレ室内の脱臭・殺菌に要する時間を実験等を通じて適宜最適化すべきものであり,結果的に第1紫外線照射部の停止後にイオン発生装置を停止させるのは単なる設計的事項である。

また,補正発明全体の作用効果も,刊行物1,2記載の発明及び刊行物3記載の技術事項から当業者が予測しうる程度のことである。

なお,請求人は,回答書等において,補正発明は「イオン発生装置のダクトは少なくとも便器本体内に開口することなく、便器本体外に開口していることが明らかであり」,また,「引用文献2は便器本体内及びトイレ室内の両方を同時に脱臭殺菌するものであり、明細書中には脱臭、殺菌が十分行えることが記載されているばかりか、便器本体内の脱臭、殺菌が不十分であるとの記載もありません。従って、引用文献2の脱臭殺菌装置に対して他の脱臭殺菌装置を追加しなければならない必然性は、本願発明の出願当時においては特に認識されていないものであります。」と主張しているが,請求項の記載からは,便器本体内にダクトが開口しないものであることは読み取れないし,引用文献2(刊行物2)では,便器本体内から吸気された空気の脱臭・殺菌は行えるとしても,刊行物1記載の発明のように,便器本体内側の殺菌を行うことはできない。したがって,便器本体内側の殺菌を行う刊行物1記載の発明と,トイレ室内の脱臭及び殺菌を行う刊行物2記載の発明とを組み合わせることには技術的な意味があり,上記判断に変わりはない。
したがって,補正発明は,刊行物1,2記載の発明及び刊行物3記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.補正の却下の決定のむすび
以上より,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たしていないものであるから,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明
1.本願発明
平成24年1月11日付けの手続補正は却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成23年9月5日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものと認める。
「便器本体と、前記便器本体上に配される便座と、前記便座の上面を開閉する便座蓋と、窒化物系半導体発光素子から成るとともに前記便器本体内側に紫外線を照射する第1紫外線照射部と、吸気口及び排気口を有するダクトと、前記ダクトに配されてトイレ室内の空気を前記吸気口から吸気して前記排気口から排気させる送風機と、前記ダクトに配されて空気中でプラズマ放電を起こして正イオンと負イオンとを発生するイオン発生装置と、を備える便器において、
前記便座蓋を開いた際にイオン発生装置を駆動し、前記便座蓋を閉じた際に第1紫外線照射部を所定時間駆動して第1紫外線照射部の停止後に前記イオン発生装置を停止したことを特徴とする便器。」(以下,請求項1に係る発明を,「本願発明」という。)

2.引用刊行物
(1)刊行物1
本願出願前に頒布された,上記刊行物1には,「第2 2.2-1.(1)」に記載したとおりの発明が記載されているものと認められる。

(2)刊行物2
本願出願前に頒布された,上記刊行物2には,「第2 2.2-1.(2)」に記載したとおりの発明が記載されているものと認められる。

(3)刊行物3
本願出願前に頒布された,上記刊行物3には,「第2 2.2-1.(3)」に記載したとおりの技術事項が記載されているものと認められる。

3.対比・判断
本願発明は,実質的に,前記「第2」で検討した補正発明から,「吸気口及び排気口」に対する限定事項を省いたものである。
そうすると,本願発明を特定するために必要な事項を全て含み,さらに他の事項を付加したものに相当する補正発明が、前記「第2 2.2-3.」に記載したとおり,刊行物1,2記載の発明及び刊行物3記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,刊行物1,2記載の発明及び刊行物3記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

したがって,本願発明は,刊行物1,2記載の発明及び刊行物3記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


第4 むすび
以上のとおり,本願発明は特許を受けることができないから,本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-03-08 
結審通知日 2013-03-12 
審決日 2013-03-25 
出願番号 特願2006-301275(P2006-301275)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (E03D)
P 1 8・ 121- Z (E03D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 俊久  
特許庁審判長 高橋 三成
特許庁審判官 鈴野 幹夫
筑波 茂樹
発明の名称 便器  
代理人 佐野 静夫  
代理人 井上 温  

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