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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1274933
審判番号 不服2011-9198  
総通号数 163 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-28 
確定日 2013-06-06 
事件の表示 特願2000-324331「広告方法、WWWサーバー、及び、コンピュータ読取可能な記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 5月10日出願公開、特開2002-132814〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成12年10月24日の出願であって、平成19年10月22日付けで審査請求がなされ、平成22年4月21日付けで最初の拒絶理由通知(同年5月11日発送)がなされ、同年7月7日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされ、同年8月5日付けで最後の拒絶理由通知(同年8月17日発送)がなされ、同年10月18日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、平成23年1月4日付けで前記平成22年10月18日付け手続補正を却下する旨の補正の却下の決定(同年2月1日発送)がなされるとともに、同日付けで拒絶査定(同年2月1日謄本送達)がなされたものである。
これに対して、本件審判請求は、「原査定を取り消す、本願は特許をすべきものであるとの審決を求める。」ことを請求の趣旨として、平成23年4月28日付けで審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。
そして、平成23年6月6日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、平成24年4月24日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋(同年5月8日発送)がなされ、同年7月4日付けで回答書の提出がなされたが、当審により同年10月4日付けで前記平成23年4月28日付け手続補正を却下する旨の補正の却下の決定(同年10月16日発送)がなされるとともに、同日付けで拒絶理由通知(同年10月9日発送)がなされ、これに対して、同年12月5日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明

本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記平成24年12月5日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「通信回線を介して利用者端末から広告用メッセージを閲覧可能としたWWWサーバーにおける広告方法であって、
前記広告用メッセージにキーワードを対応付けて登録した広告データベースを参照して、前記キーワードに基づいて前記広告用メッセージに関連のあるニュースを該広告用メッセージと関連付け、前記広告データベースに登録された前記広告用メッセージと、該広告用メッセージと関連付けられたニュースとがWWWページ上に設けられた広告表示欄内に共に表示されるように掲載され、前記広告表示欄は当該WWWページ上に表示されるコンテンツと重ならないように設けられた当該WWWページを閲覧可能としたことを特徴とする広告方法。」

3.平成24年10月4日付け拒絶理由の概要

平成24年10月4日付けで通知した拒絶の理由の概要は、本願請求項1ないし8に係る発明は、本願の出願前に頒布された、特開平9-114781号公報、及び、特開平10-312396号公報に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

4.先行技術

(1)引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定

上記平成24年10月4日付けの当審による拒絶理由通知において引用され、原願の出願日前に頒布された刊行物である、特開平9-114781号公報(平成9年5月2日出願公開、以下、「引用文献」という。)には、関連する図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

A 「【0002】
【従来の技術】従来における、情報やサービス(以下、適宜情報サービスと称する)の提供システムにおいては、情報サービスを提供する提供側が、例えば、商品の宣伝を行うための情報(副次的情報)を、サービスの主要な情報(主要情報;以下、サービス情報と称する)に付加して視聴者に提供することがしばしば行われていた。」

B 「【0004】また、近年WWW(World Wide Web)システムの導入により活況を呈している双方向情報システムであるインターネットでは、例えば、ブラウザ(Browser)と呼ばれるソフトウエアを使用して、対話形式で提供側から情報を取得することが可能となっている。」

C 「【0011】図33は、サーバから送られてきた情報の表示例である。この表示例では、画面中央部に、サービス情報(データベースの検索メニュー)に挿入される形で、APPLE社(商号)の広告が表示されている。この例では、“Click here tofind out more”の表示が示すように、この部分をポインティングデバイス等により指定することで、更に詳細な広告情報を得ることができるようになされている。
【0012】また、加入者がデータベースの検索項目として“SONY”(商標)を入力すると、このキーワードはサーバに転送される。サーバは、このキーワードに対応する情報をデータベース等から検索し、この情報に広告を付加し、端末装置に転送する。」

D 「【0035】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に関するインターネットの接続関係を説明する図である。この図において、図32と同一の部分には、同一の符号が付してあるので、説明を適宜省略する。図1においては、IP15、専用回線16、LAN(Local Area Network)17、内部回線18、および端末装置19が付加されている。IP15は、IP10と同様に、各加入者に対して情報を提供するようになされている。LAN17は、例えば、社内に敷設されている局所的なネットワークである。IP15は、また、LAN17におけるサーバとして機能し、各社員の端末装置19を内部回線18を介して相互に接続したり、あるいは、外部のネットワーク(インターネット)11と接続するようになされている。また、IP15とLAN17とは専用回線16によって接続されている。
【0036】なお、本明細書中において、主要情報は、IP10,15およびAP12が提供する主要なサービス情報を意味しており、また、副次的情報は、同じくIP10,15およびAP12が提供する、例えば、商品の広告、メッセージ、ニュース、天気予報などの情報を意味するものであることを予め付言しておく。」

E 「【0037】図2は、本発明に関するサーバの構成の一例を示すブロック図である。このサーバ20は、図1に示すIP10,15およびAP12などの装置の一部を構成するものである。この図において、制御部21(要求手段、第1の検出手段)は、中央処理装置(CPU;Central Processing Unit)21a、ROM(Read Only Memory)21b、RAM(Random Access Memory)21c、IF(Interface)21dなどにより構成され、装置各部の制御を行うようになされている。
【0038】主要情報用データベース22は、例えば、加入者が検索することができる様々な情報や、電子メールなどの情報(主要情報)を格納するようになされている。また、広告用データベース23は、例えば、様々な商品の広告情報や、サーバ側から各加入者へ送られるメッセージなどの情報を格納している。また、広告用データベース部23は、各加入者のサービス利用履歴などの個人情報も格納している。ネットワーク部24(第1の送信手段、第2の送信手段)は、制御部21から出力されるデータを適当な大きさのパケットに分割し、ネットワーク11上へ送出すると共に、ネットワーク11上のパケットを元のデータに変換し、制御部21に供給するようになされている。なお、このサーバ20の制御部21は、サーバソフトウェア(WWWサーバ)と呼ばれるソフトウェアに記述された手順によって制御を行っている。」

F 「【0083】図19は、主要情報と広告とを同一ページ内の別々のウィンドウに表示する表示例を示している。このような表示形式では、それぞれのウィンドウが縮小されるため、文字などが多少判別しにくくなる可能性がある。しかしながら、主要情報と広告とを同時に表示することができるため、例えば、メニュー上の項目を選択した後で、これを取り消す(キャンセルする)処理などを行うことが可能となる。また、この表示例では、1種類の広告のみが表示されているが、複数の広告を同時に表示することも可能である。
【0084】図20は、主要情報が表示されているウィンドウの一部に広告を表示するようにした表示例である。この表示例は、従来の表示例と同一の表示形式である。しかしながら、従来例では、主要情報に広告データが挿入されて転送されていたのに対し、この例では、回線が混雑していないときに広告データが転送されるので、主要情報の転送を遅延することがない。
【0085】以上の例では、広告だけを表示するようにしたが、例えば、ニュースや天気予報などの情報(付加情報)と、広告などとを組み合わせて表示することにより、加入者の注意を引き、更に広告効果を向上させることができる。このような表示の一例を図21に示す。この表示例では、金相場の高騰を伝えるニュース(“金相場大幅に高騰”)と共に、貴金属店の広告(“貴金属のご購入は内外貴金属で。”)が表示されており、これにより、広告効果の向上を期待することができる。なお、この例では広告と付加情報とを同時に表示するようにしたが、ニュースやメッセージなどの付加情報のみを先に表示し、加入者が興味を抱いた場合に、所定の入力をきっかけにして、広告情報を続いて表示するようにしてもよい。また、付加情報のみを単独で表示するようにしてもよいことは勿論である。」

ここで、上記引用文献に記載されている事項を検討する。

(ア)上記Aの「情報サービスを提供する提供側が、例えば、商品の宣伝を行うための情報(副次的情報)を、サービスの主要な情報(主要情報;以下、サービス情報と称する)に付加して視聴者に提供する」との記載、上記Cの「図33は、サーバから送られてきた情報の表示例である。この表示例では、画面中央部に、サービス情報(データベースの検索メニュー)に挿入される形で、APPLE社(商号)の広告が表示されている。」との記載、上記Dの「図1は、本発明に関するインターネットの接続関係を説明する図である。・・・図1においては、IP15、専用回線16、LAN(Local Area Network)17、内部回線18、および端末装置19が付加されている。・・・あるいは、外部のネットワーク(インターネット)11と接続するようになされている。」との記載、上記Eの「図2は、本発明に関するサーバの構成の一例を示すブロック図である。・・・なお、このサーバ20の制御部21は、サーバソフトウェア(WWWサーバ)と呼ばれるソフトウェアに記述された手順によって制御を行っている。」との記載からすると、引用文献には、
「専用回線、LAN、内部回線、外部のネットワーク等(以下、これらを総称して「通信回線」という。)を介して端末装置に商品の宣伝を行うための情報(以下、「広告情報」という。)を(提供して画面に)表示可能としたWWWサーバによる広告情報提供方法」
が記載されていると解される。

(イ)上記Dの「本明細書中において、主要情報は、IP10,15およびAP12が提供する主要なサービス情報を意味しており、また、副次的情報は、同じくIP10,15およびAP12が提供する、例えば、商品の広告、メッセージ、ニュース、天気予報などの情報を意味する」との記載、上記Eの「図2は、本発明に関するサーバの構成の一例を示すブロック図である。このサーバ20は、図1に示すIP10,15およびAP12などの装置の一部を構成するものである。」、「主要情報用データベース22は、例えば、加入者が検索することができる様々な情報や、電子メールなどの情報(主要情報)を格納するようになされている。また、広告用データベース23は、例えば、様々な商品の広告情報や、サーバ側から各加入者へ送られるメッセージなどの情報を格納している。」との記載、上記Fの「図19は、主要情報と広告とを同一ページ内の別々のウィンドウに表示する表示例を示している。」、「図20は、主要情報が表示されているウィンドウの一部に広告を表示するようにした表示例である。」、「以上の例では、広告だけを表示するようにしたが、例えば、ニュースや天気予報などの情報(付加情報)と、広告などとを組み合わせて表示することにより、加入者の注意を引き、更に広告効果を向上させることができる。このような表示の一例を図21に示す。この表示例では、金相場の高騰を伝えるニュース(“金相場大幅に高騰”)と共に、貴金属店の広告(“貴金属のご購入は内外貴金属で。”)が表示されており、これにより、広告効果の向上を期待することができる。」との記載からすると、引用文献には、広告効果を向上させることを目的として、広告だけを表示するウィンドウ(以下、「広告表示用ウィンドウ」という。)に、広告に関連したニュース(例えば、貴金属店の広告(“貴金属のご購入は内外貴金属で。”)に対して、金相場の高騰を伝えるニュース(“金相場大幅に高騰”))を共に表示させる技術が記載されている。してみると、引用文献には、
「広告情報を格納した広告用データベースを参照して、広告情報に関連のあるニュースを該広告情報と関連付け、前記広告用データベースに格納された前記広告情報と、該広告情報と関連付けられたニュースとがウィンドウ上に設けられた広告表示用ウィンドウ内に共に表示されるように掲載された当該ウィンドウを閲覧可能とした」
態様が記載されていると解される。

以上、(ア)及び(イ)で指摘した事項から、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

通信回線を介して端末装置に広告情報を表示可能としたWWWサーバによる広告情報提供方法であって、
前記広告情報を格納した広告用データベースを参照して、前記広告情報に関連のあるニュースを該広告情報と関連付け、前記広告用データベースに格納された前記広告情報と、該広告情報と関連付けられたニュースとがウィンドウ上に設けられた広告表示用ウィンドウ内に共に表示されるように掲載された当該ウィンドウを閲覧可能としたことを特徴とする広告情報提供方法。

(2)参考文献に記載されている技術的事項

(2-1)参考文献1

上記平成24年10月4日付けの当審による拒絶理由通知において引用され、原願の出願日前に頒布された刊行物である、特開平10-312396号公報(平成10年11月24日出願公開、以下、「参考文献1」という。)には、関連する図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。

G 「【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明によるデータベースシステムは、登録対象となるデータが入力されたとき、前記データの種類に応じたデータベースに前記データを登録するデータ登録部と、これらの各データベースにデータを登録する毎に、登録したデータの内容を示すユニークデータを抽出するとともに、このユニークデータに基づき、関連キー情報ファイルの内容を更新する関連キー情報作成部と、検索キーが入力されたとき、この検索キーに対応するデータベースから前記検索キーに対応するデータを読み出すテーブル検索部と、このテーブル検索機能部によるデータの検索機能が行われるとき、前記関連キー情報ファイルを検索して、前記検索キーに対応するユニークデータを抽出し、このユニークデータに基づき、他のデータベースを検索して、前記ユニークデータに対応するデータを読み出す関連テーブル検索部とを備えたことを特徴としている。」

(2-2)参考文献2

原願の出願日前に頒布された刊行物である、特表平10-507286号公報(平成10年7月14日出願公開、以下、「参考文献2」という。)には、関連する図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。

H 「本発明の種々の実施例に含まれる付加的特徴を示す」図である【図5】(特に、FIG.5c、FIG.5d)には、複数のウィンドウ(515、520、525、530)の表示方法として、カスケード表示された例(FIG.5c)と、タイル表示された例(FIG.5d)が記載されている。

5.本願発明と引用発明との対比

本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「端末装置」、「広告情報」、「WWWサーバ」、及び「広告情報提供方法」は、それぞれ、本願発明の「利用者端末」、「広告用メッセージ」、「WWWサーバー」、及び「広告方法」に相当する。そして、「端末装置に広告情報を表示可能としたWWWサーバ」は、「端末装置から広告情報を閲覧可能としたWWWサーバ」に相当する。
してみると、引用発明の「通信回線を介して端末装置に広告情報を表示可能としたWWWサーバによる広告情報提供方法」は、本願発明の「通信回線を介して利用者端末から広告用メッセージを閲覧可能としたWWWサーバーにおける広告方法」に相当する。

(2)引用発明の「格納」、「広告用データベース」、「広告表示用ウィンドウ」は、それぞれ、本願発明の「登録」、「広告データベース」、「広告表示欄」に相当する。
そして、引用発明の「ウィンドウ」と、本願発明の「WWWページ」とは、ともに、“利用者端末画面”に表示されるものである点で共通する。
してみると、引用発明の「前記広告情報を格納した広告用データベースを参照して、前記広告情報に関連のあるニュースを該広告情報と関連付け、前記広告用データベースに格納された前記広告情報と、該広告情報と関連付けられたニュースとがウィンドウ上に設けられた広告表示用ウィンドウ内に共に表示されるように掲載された当該ウィンドウを閲覧可能とした」と、本願発明の「前記広告用メッセージにキーワードを対応付けて登録した広告データベースを参照して、前記キーワードに基づいて前記広告用メッセージに関連のあるニュースを該広告用メッセージと関連付け、前記広告データベースに登録された前記広告用メッセージと、該広告用メッセージと関連付けられたニュースとがWWWページ上に設けられた広告表示欄内に共に表示されるように掲載され、前記広告表示欄は当該WWWページ上に表示されるコンテンツと重ならないように設けられた当該WWWページを閲覧可能とした」とは、ともに、“前記広告用メッセージを登録した広告データベースを参照して、前記広告用メッセージに関連のあるニュースを該広告用メッセージと関連付け、前記広告データベースに登録された前記広告用メッセージと、該広告用メッセージと関連付けられたニュースとが利用者端末画面上に設けられた広告表示欄内に共に表示されるように掲載された当該利用者端末画面を閲覧可能とした”点で共通する。

以上から、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

(一致点)

通信回線を介して利用者端末から広告用メッセージを閲覧可能としたWWWサーバーにおける広告方法であって、
前記広告用メッセージを登録した広告データベースを参照して、前記広告用メッセージに関連のあるニュースを該広告用メッセージと関連付け、前記広告データベースに登録された前記広告用メッセージと、該広告用メッセージと関連付けられたニュースとが利用者端末画面上に設けられた広告表示欄内に共に表示されるように掲載された当該利用者端末画面を閲覧可能としたことを特徴とする広告方法。

(相違点1)

広告用メッセージの登録、広告用メッセージに関連のあるニュースの関連付けにおいて、本願発明が、「広告用メッセージにキーワードを対応付けて登録」、「前記キーワードに基づいて前記広告用メッセージに関連のあるニュースを該広告用メッセージと関連付け」するものであるのに対して、引用発明は、広告情報の格納、広告情報に関連のあるニュースの関連付けに関して、どのように行うのか具体的に明記されていない点。

(相違点2)

利用者端末画面の表示に関して、本願発明が、「WWWページ」として表示するものであるのに対して、引用発明は、「ウィンドウ」として表示するものである点。

(相違点3)

広告表示欄に関して、本願発明が、「WWWページ上に表示されるコンテンツと重ならないように設けられ」ているのに対して、引用発明は、広告表示用ウィンドウがどのように表示されるのか明記されていない点。

6.当審の判断

上記相違点1ないし相違点3について検討する。

(1)相違点1について

上記Cに「サーバは、このキーワードに対応する情報をデータベース等から検索し、この情報に広告を付加し、端末装置に転送する。」と記載されるように、データベースを検索する際に、キーワードを用いて検索することは、当該技術分野における常とう手段であり、また、効率的な検索を行うために、キーワードを対応付けて登録しておくことについても、周知技術に過ぎない。(必要であれば、上記参考文献1の上記G参照。)
してみると、引用発明の広告情報の格納、広告情報に関連のあるニュースの関連付けに際しても、当該周知技術を採用し、“広告情報にキーワードを対応付けて格納”、“前記キーワードに基づいて前記広告情報に関連のあるニュースを該広告情報と関連付け”するように構成すること、すなわち、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点1は格別なものではない。

(2)相違点2について

上記Bに「近年WWW(World Wide Web)システムの導入により活況を呈している双方向情報システムであるインターネットでは、例えば、ブラウザ(Browser)と呼ばれるソフトウエアを使用して、対話形式で提供側から情報を取得することが可能となっている。」と記載されるように、本願出願時点において、WWW(World Wide Web)システムやブラウザは周知の技術であり、画面表示に際して、引用発明の「ウィンドウ」に替えて「WWWページ」とすることは、必要に応じて、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。

よって、相違点2は格別なものではない。

(3)相違点3について

一般に、複数の情報を画面に表示させる場合に、互いに重ならないように表示させるように構成することは、引用文献を示すまでもなく、慣用的に行われている事項に過ぎない。
また、複数ウィンドウを画面に表示する技術として、カスケード表示やタイル表示は、当該技術分野において、常識的に用いられている周知技術(必要であれば、上記参考文献2の上記H参照。)であり、カスケード表示を用いるか、タイル表示を用いるかについては、当業者が適宜選択し得る設計的事項に過ぎない。
そして、引用文献においても、図20や図21に示されるように、カスケード表示ではなく、タイル表示を意識した画面構成が用いられているものと認められる。
してみると、引用発明においても、広告表示用ウィンドウを他のウィンドウと重ならないように構成すること、すなわち、上記相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点3は格別なものではない。

(4)まとめ

上記で検討したごとく、相違点1ないし相違点3は格別のものではなく、そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、上記引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、容易に発明できたものである。

7.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-04-05 
結審通知日 2013-04-09 
審決日 2013-04-22 
出願番号 特願2000-324331(P2000-324331)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 萩島 豪辻本 泰隆  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 仲間 晃
田中 秀人
発明の名称 広告方法、WWWサーバー、及び、コンピュータ読取可能な記録媒体  
代理人 一色国際特許業務法人  

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