• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C09J
管理番号 1276020
審判番号 不服2011-11454  
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-05-31 
確定日 2013-06-27 
事件の表示 特願2000-298074「再剥離型水分散感圧接着剤の製造方法及び再剥離型水分散感圧接着剤」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 4月10日出願公開、特開2002-105420〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,
平成12年 9月29日に出願され,
平成22年 9月14日付けで通知された拒絶理由に対して,
同年12月20日に意見書及び手続補正書が提出されたが,
平成23年 2月22日付けで拒絶査定され,これに対して,
同年 5月31日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に,
手続補正書が提出された後,
平成24年 7月20日付けで当審において審尋され,これに対して,
同年 9月24日に回答書が提出され,
同年12月 6日付けで当審によって通知された拒絶理由に対して,
平成25年 2月12日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2.本願発明
本願の請求項1?3に係る発明は,平成25年 2月14日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?3にそれぞれ記載された事項により特定されるとおりのものであり,このうち請求項1は次のとおりである。
「【請求項1】
セパレーターに塗布乾燥後、基材に転写する方法で製造される、金属板用、プラスチック板用及び段ボール用のいずれにも使用できる粘着シートに使用するための再剥離型水分散感圧接着剤の製造方法であって、
アルキル基の炭素数が4?12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体50?99.9重量%と、カルボキシル基含有不飽和単量体0.1?5重量%とを乳化重合して共重合体の水分散液を得、
得られた共重合体水分散液を用いて保持力測定用試料を調製し、そのJIS Z-0237に準じて測定した40℃における保持力が200秒?2,000秒の範囲内にあることを確認した後、
該保持力に調整されている共重合体水分散液に、カルボジイミド結合(-N=C=N-)とエチレンオキサイド部位(-CH_(2)-CH_(2)-O-)を有するカルボジイミド化合物を添加することを特徴とする再剥離型水分散感圧接着剤の製造方法。」
(以下「本願発明」という。)

第3.当審で通知した拒絶理由の概要
平成24年12月 6日付けの拒絶理由通知(以下「先の拒絶理由通知」という。)に示した拒絶の理由は,「本願は,発明の詳細な説明の記載が下記の点で,特許法第36条第4項号に規定する要件を満たしていない。」というものであって,より具体的には,「JIS Z-0237に準じて測定した40℃における保持力が特定の範囲の値となるようにするためには,具体的にどのようにすればよいのかについて,当業者が理解できるように発明の詳細な説明の記載がなされているとはいえない。」という趣旨のものである。

第4.当審の判断
本願発明は,「物を生産する方法」のカテゴリーに属するものであって,
「…共重合体の水分散液を得,
得られた共重合体水分散液を用いて保持力測定用試料を調製し,そのJIS Z-0237に準じて測定した40℃における保持力が200秒?2,000秒の範囲内にあることを確認した後,…」
との特定事項を含むものであるが,このように,「JIS Z-0237に準じて測定した40℃における保持力(以下,単に「40℃保持力」という。)が『200秒?2000秒』にあることを確認する」と規定されている趣旨は,発明の詳細な説明の記載を参酌すると,得られた共重合体の40℃保持力がこの特定範囲にあることが,目的とする再剥離型感圧接着剤を得るために必要であることを前提とするものと解される(なお,発明の詳細な説明においては,明示的には,「100秒?10,000秒」との記載があるだけで,『200秒?2000秒』の範囲にあることが必要であるとする明示的な記載はないものの,上記請求項1の記載と発明の詳細な説明の記載とを照らし考慮すると,このように解すべきものといえる。)から,そのような範囲となるよう調整する手段が,発明の詳細な説明に開示されている必要があるといえる。というのは,特許制度は,そもそも新たな技術の公開の代償として一定期間の独占権が得られるというものであるから,新たな技術の公開といえる内容が,発明の詳細な説明において当業者にとって理解できるように開示されている必要があるというべきものであり,本願発明の場合には,「40℃保持力が特定範囲の共重合体を使用することにより,粘着性に優れ,かつ,各種の被着体に貼り付けた後,長期間放置しても容易に剥離できる再剥離型感圧接着剤が得られること」(明細書【0001】,【0006】及び【0007】など)が,従来技術に対する,本願発明の特徴的部分といえる,新たな技術事項と解されるからである。
さらに,本願発明においては,上記40℃保持力の確認段階の前段で特定されている「アルキル基の炭素数が4?12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体50?99.9重量%と,カルボキシル基含有不飽和単量体0.1?5重量%とを乳化重合」するという方法によって得られる共重合体が,特定された範囲の40℃保持力との関連において,例えば,およそそのような範囲とはならないものであったり,また,発明の詳細な説明に開示された技術事項に加えて如何に技術常識を加味しても,当業者にとって所定の保持力に調整できないというものであったならば,それは第三者に対して,必要以上に過剰な拘束や無用な対応を強いることとなり,ひいては産業の発達に寄与するという特許制度の目的にも反することにもなるものといえる。
よって,40℃保持力の確認段階の前段で特定されている共重合体と,特定された40℃保持力との関連において,当業者にとって,十分な合理性があると理解できる記載がなされていない発明の詳細な説明ならば,そのような発明の詳細な説明の記載は,特許法第36条第4項の規定に反するというべきものである。
以上の観点を踏まえて,本願発明における「アルキル基の炭素数が4?12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体50?99.9重量%と,カルボキシル基含有不飽和単量体0.1?5重量%とを乳化重合した共重合体」と,「40℃保持力が『200秒?2,000秒』であること」との関連について,発明の詳細な説明の記載を検討する。
本願の発明の詳細な説明における40℃保持力に関する記載を摘記すると,次のとおりである。(「保持力」の下線は当審にて付与した。)

「【0008】すなわち,本発明は,アルキル基の炭素数が4?12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし,かつカルボキシル基含有不飽和単量体を0.1?5重量%含有する共重合体の水分散液に,カルボジイミド結合(-N=C=N-)とエチレンオキサイド部位(-CH2-CH2-O-)を有するカルボジイミド化合物を添加してなり,カルボジイミド化合物の添加量が,カルボキシル基含有不飽和単量体のカルボキシル基1当量当り,カルボジイミド結合が0.01?5当量からなる再剥離型水分散感圧接着剤であり,該共重合体の40℃おける保持力が100秒?10,000秒であることを特徴とする。
【0009】本発明において,40℃における保持力は,アクリル系共重合体水分散液をシリコン系剥離紙に塗膜厚が25μmになるように塗工し100℃で1分間乾燥後,25μmペットフィルムに転写して得られた粘着シートをJIS Z-0237「粘着テープ・粘着シート試験法」に準じて測定する。幅25mm×長さ50mm切断した試験片を接着面積が25mm×25mmになるように,研磨し清浄にしたSUS304板に貼り付け,重さ2Kgの圧着ロールで1往復させ圧着し,23℃,65%RH中に30分放置後,40℃の雰囲気中で1Kgの荷重をかけ落下するまでの時間(秒数)を測定する。」
「【0018】本発明のアクリル系共重合体は,40℃における保持力が100秒?10,000秒であることが必要である。好ましくは100秒?5,000秒である。保持力を100秒?10,000秒に調整することにより基材へのしみこみ及び再剥離性のバランスの取れた再剥離型水分散感圧接着剤を得ることが出来る。40℃における保持力が100秒より少ない場合は紙等基材へのしみこみが多すぎて,外観上好ましくない。また10,000秒を超える場合は,基材に対する密着性が悪くなるため再剥離性が低下する。」
「【0026】実施例1
温度計,攪拌機,滴下装置,窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器に,イオン交換水38部及び窒素を封入し,反応器の内温を80℃に保ちながら,5%濃度の過硫酸カリウム2部を添加し,予め別途に準備したアクリル酸2-エチルヘキシル99部,アクリル酸1部,ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム(日本油脂(株)製 商品名トラックスH-45)1.5部及びイオン交換水56部で乳化した単量体乳化物を,2時間かけて滴下し乳化重合させた。並行して5%濃度の過硫酸カリウム4部滴下した。滴下終了後80℃で2時間保ちその後室温まで冷却する。アンモニア水で中和調製し,固形分50%,粘度200mPa・s,pH8.0の水分散液を得た。該水分散液に,ポリアクリル酸系増粘剤(ローム アンド ハース(株)製 商品名ASE-60)を添加して増粘した。さらに,その固形分100部に対して5部のカルボジイミド化合物(日清紡製 商品名カルボジライトV-04)を添加してよく混合して,再剥離型水分散感圧接着剤を調製した。該再剥離型水分散感圧接着剤を剥離紙に塗膜厚が25μmになるように塗布し,100℃で1分間乾燥後,上質紙(64g/m2)に転写して,23℃,65%RHの雰囲気で7日間放置後,再剥離用粘着ラベルを得た。上記架橋剤を配合する前の共重合体水分散液を,同様に剥離紙に塗膜厚が25μmになるように塗布し,100℃で1分間乾燥後,25μmのペットフィルムに転写して,保持力測定用試料とした。各項目を評価した結果,保持力,初期及び経時粘着力,再剥離性,基材へのしみこみ及び経時安定性全て良好であった。結果を表1に示す。
【0027】実施例2及び3
実施例2は,実施例1の架橋剤の量を変える以外は全く実施例と同様にして再剥離型水分散感圧接着剤を調製し,再剥離用粘着ラベル及び保持力測定用試料を得た。実施例3は,実施例1の単量体組成を変える以外は実施例と全く同様にして再剥離型水分散感圧接着剤を調製し,再剥離用粘着ラベル及び保持力測定用試料を得た。共に保持力,初期及び経時粘着力,再剥離性,基材へのしみこみ及び経時安定性全て良好であった。結果を表1に示す。
【0028】比較例1及び2
比較例1及び2は,実施例1の架橋剤を変える以外は全く実施例1と同様にして再剥離型水分散感圧接着剤を調製し,再剥離用粘着ラベル及び保持力測定用試料を得た。比較例1は,再剥離性のステンレス板及び段ボールが悪かった。また経時安定性も悪かった。比較例2は,経時安定性が悪かった。結果を表1及び表2に示す。
【0029】比較例3及び4
比較例3は,実施例1の単量体組成を変える以外は実施例と全く同様にして再剥離型水分散感圧接着剤を調製し,再剥離用粘着ラベル及び保持力測定用試料を得た。40℃における保持力が本発明の範囲外にあり,ステンレス板の再剥離性が悪かった。比較例4は,実施例1に連鎖移動剤を使用する以外は全く実施例1と同様にして再剥離型水分散感圧接着剤を調製し,再剥離用粘着ラベル及び保持力測定用試料を得た。40℃における保持力が本発明の範囲外にあり,ステンレス板の再剥離性及び基材へのしみこみが悪かった。結果を表2に示す。


「【0033】試験方法
1.保持力
40℃保持力は,架橋剤を配合する前の共重合体水分散液を,剥離紙に塗膜厚が25μmになるように塗布し,100℃で1分間乾燥後,25μmのペットフィルムに転写して,保持力測定用試料とした。保持力測定用試料JIS Z-0273に準じて,幅25mm長さ50mmに切断した試験片を接着面積が25mm×25mmになるように,研磨し清浄にしたSUS304板に貼り付け,2Kgの圧着ロールで1往復させ圧着後,23℃,65%RH中に30分間放置して40℃の雰囲気中で1Kgの荷重をかけ落下するまでの時間(秒数)を測定する。」
「【0035】
【発明の効果】以上のように,本発明は,架橋剤配合前の保持力を特定範囲に設定した,アクリル系の共重合体水分散液に特定のカルボジイミド化合物を特定量配合することにより,経時安定性が良く,塗工後に架橋反応が速やかに完結し,被着体への粘着力の経時上昇性が少なくて,再剥離性に非常に優れ,基材へのしみこみも良好な1液再剥離型水分散感圧接着剤を提供でき,粘着ラベル,テープ,シート,表面保護フィルム,塗装用マスキングテープ,粘着メモ等として幅広く利用することができる。」
上記記載のうち,特に,表1及び表2の記載に着目すると,40℃保持力が本願発明で特定された範囲から逸脱している比較例3の共重合体は,本願発明における重合体に関する特定事項のうち,40℃保持力の点のみを除く,他の特定事項,すなわち,「アルキル基の炭素数が4?12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体50?99.9重量%と,カルボキシル基含有不飽和単量体0.1?5重量%とを乳化重合した共重合体」を全て充足するものであって,しかも,MMA(メタクリル酸メチル)の配合及びその量についても,明細書【0012】において許容される旨記載されているものであるし,また,同様に40℃保持力が本願発明で特定された範囲から逸脱している比較例4も,本願発明における重合体に関する特定事項のうち,40℃保持力の点のみを除く,他の事項を全て充足するものであって,しかも連鎖移動剤の使用も,明細書【0016】において許容される旨記載されている(すなわち,かかる連鎖移動剤を添加することが直ちに本願発明の範囲外のものとなることを意味するものではないと解される)ものであることから,本願発明において,共重合体に関する特定事項のうち,40℃保持力の点のみを除く,他の特定事項の全てを充足する共重合体であっても,直ちに40℃保持力が「200秒?2000秒」となるものではない。すなわち,40℃保持力を「200秒?2000秒」とするためには,本願発明で特定されている共重合体に関する他の事項に加えて,さらなる何らかの技術手段の適用が必要となるものである。
この点に関して,先に摘記した本願の発明の詳細な説明の記載を検討すると,40℃保持力に関しては,いずれも特定の範囲にあることが必要である旨の記載とか,その測定法についての記載,或いは,各共重合体の測定値を単に示すに止まり,該保持力を「200秒?2000秒」とするための直接的な調整法に関する記載は見当たらない。
もっとも,表1及び表2の記載から次のことが窺えるものではある。
(a)実施例1と実施例3及び比較例3の各例の対比において,単量体組成を変更,特に「アルキル基の炭素数が4?12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体」である2EHA(アクリル酸2-エチルヘキシル)の割合を減らし,アルキル基の炭素数がこの範囲にないMMA(メタクリル酸メチル)の割合を増加させると,40℃保持力が上方に変動し,(たとえ,変更後の割合が,本願発明及び明細書【0012】において許容されている範囲内であったとしても,)場合によっては「200秒?2000秒」の範囲から逸脱すること。
(b)実施例1と比較例4との対比から,(たとえ,その使用が明細書【0016】において許容されているものであったとしても,)連鎖移動剤の添加により,40℃保持力が下方に変動し,「200秒?2000秒」の範囲から逸脱すること。
(とはいえ,40℃保持力が本願発明で特定された範囲から逸脱している比較例3の共重合体について,例えば,連鎖移動剤の添加により,40℃保持力を調整し所望の範囲内としたとか,連鎖移動剤を使用した場合でも所望の40℃保持力を有する共重合体が得られたとする例までが示されてるものではない。)
以上のような,発明の詳細な説明の記載に基づく理解を踏まえて,さらに検討を進める。
例えば,「アクリル酸ブチル59重量部,メタクリル酸ブチル40部及びアクリル酸1部を乳化重合して得られた共重合体」(すなわち,原審で特許法第29条の2の拒絶理由に引用された特願平11-312988号の明細書の実施例1の重合体;以下,「共重合体A」という。)は,本願明細書【0010】の「本発明に使用するアルキル基の炭素数が4?12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては,アルキル基がブチル基,…等からなるアクリル酸ないしメタクリル酸のアルキルエステルであり,これらの群より選ばれた少なくとも1種以上使用することができる。」との記載を参酌すると,本願発明で特定される「アルキル基の炭素数が4?12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体50?99.9重量%と,カルボキシル基含有不飽和単量体0.1?5重量%とを乳化重合して得られた共重合体」といえることから,本願発明における共重合体に関する特定事項のうち,40℃保持力を除く他の事項について全て充足されるものである。
しかしながら,この共重合体Aの40℃保持力については「≧250000」とされるものである。(請求人が提出した審判請求書の(4-2)の(C)の表に測定結果が示されている)
そして,この値は,本願発明で特定された,40℃保持力の上限である「2000」と比較しても,また,本願の発明の詳細な説明において記載された最も大きい値である比較例3の「80000」と比較しても極めて大きな乖離があるといえることから,発明の詳細な説明の記載から把握される,40℃保持力の下方変動手段である連鎖移動剤の添加を考慮し,さらには,仮に,該移動剤の添加量のみならず,種類をも変更することにより,さなる調整が可能であると推測したとしても,もはや,到底調整可能な範囲を大きく逸脱しているものと解さざるを得ないものである。そして,たとえ技術常識を考慮したとしても,このような大きな差を調整することについて他の手段があるものとすることもできない。
また,付言するならば,比較例3の「80000」とて,上で指摘したように,明細書において,現にこれを調整して所定の範囲とすることが可能であったとする例がないことから調整可能なものであることが明らかとはいえないし,さらに,実施例1と比較例3の対比で示されるように,単量体組成における2EHAの割合を99から84という,本願発明において許容された「50?99.9」という変動範囲の,いずれも上限近辺での変更にもかかわらず,40℃保持力は200から80000へと大きく変動しており,仮に,2EHAの割合を下限の50により近づけたならば,さらに極めて大きな値になると常識的には解されるが,そのような場合でも,本願発明で特定する「200?2000」という範囲にまで下方調整が可能であるとは到底考えられないものである。
さらに加えて,仮に,単量体の種類や組成を変更する以外に,所定の40℃保持力とする方法がないということであれば,そのことはすなわち,本願発明で特定されている「アルキル基の炭素数が4?12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体50?99.9重量%と,カルボキシル基含有不飽和単量体0.1?5重量%とを乳化重合して得られた共重合体」に対応する共重合体の中には,部分的に,所定の40℃保持力となりえないものが存在するということになるが,そのような場合には,特許制度の趣旨及び特許法の目的に反することとなることは,上記したとおりである。
したがって,本願明細書の発明の詳細な説明の記載は,当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。

第5.むすび
以上のとおり,本願明細書の発明の詳細な説明の記載は,特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。
そして,その余の点については検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-03-14 
結審通知日 2013-03-19 
審決日 2013-05-15 
出願番号 特願2000-298074(P2000-298074)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (C09J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大熊 幸治  
特許庁審判長 星野 紹英
特許庁審判官 磯貝 香苗
新居田 知生
発明の名称 再剥離型水分散感圧接着剤の製造方法及び再剥離型水分散感圧接着剤  
代理人 近藤 利英子  
代理人 阿部 寛志  
代理人 菅野 重慶  
代理人 岡田 薫  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ