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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 B44C 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B44C |
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管理番号 | 1276174 |
審判番号 | 不服2012-20506 |
総通号数 | 164 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-10-18 |
確定日 | 2013-07-04 |
事件の表示 | 特願2006-290023「水圧転写用シート及び転写方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 5月 8日出願公開、特開2008-105259〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成18年10月25日の出願であって、平成24年4月16日付けで手続補正がなされ、同年7月31日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月18日付けで拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。 なお、請求人は、当審における平成24年11月26日付けの審尋に対して平成25年1月25日付けで回答書を提出している。 第2 平成24年10月18日付け手続補正についての補正却下の決定 〔補正却下の決定の結論〕 平成24年10月18日付け手続補正を却下する。 〔理由〕 1 本件補正 平成24年10月18日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするものであって、特許請求に範囲については、本件補正前の請求項1及び請求項4に、 「【請求項1】 被転写物の表面への転写のために用いられる水圧転写用シートであって、 水溶性フィルムと、該水溶性フィルム上に形成された絵柄印刷層とを含み、 前記水溶性フィルムは、転写後に乾燥され、前記絵柄印刷層から剥離され、 前記絵柄印刷層は該絵柄印刷層に対する前記水溶性フィルムの剥離性を促進するための易剥離性インキを含む、水圧転写用シート。」、 「【請求項4】 被転写物の表面への転写のために用いられる水圧転写用シートであって、 水溶性フィルムと、該水溶性フィルム上に形成された剥離剤層と、該剥離剤層上に形成された絵柄印刷層とを含み、 前記水溶性フィルムは、転写後に乾燥され、前記剥離剤層から剥離される、水圧転写用シート。」とあったものを、それぞれ、 「【請求項1】 被転写物の表面への転写のために用いられる水圧転写用シートであって、 水溶性フィルムと、該水溶性フィルム上に形成された絵柄印刷層とを含み、 前記水溶性フィルムは、転写後に乾燥され、乾燥後に前記絵柄印刷層から剥離されるものであり、 前記絵柄印刷層は該絵柄印刷層に対する乾燥された前記水溶性フィルムの剥離性を促進するための易剥離性インキを含む、水圧転写用シート。」、 「【請求項4】 被転写物の表面への転写のために用いられる水圧転写用シートであって、 水溶性フィルムと、該水溶性フィルム上に形成された剥離剤層と、該剥離剤層上に形成された絵柄印刷層とを含み、 前記水溶性フィルムは、転写後に乾燥され、乾燥後に前記剥離剤層から剥離されるものであり、 前記剥離剤層は乾燥された前記水溶性フィルムが剥離しやすいようにするものである、水圧転写用シート。」とする補正を含むものである(下線は審決で付した。以下同じ。)。 2 本件補正の内容 (1)本件補正後の請求項1に係る上記1の補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「転写後に乾燥され、前記絵柄印刷層から剥離され」る「水溶性フィルム」における「剥離」が、「乾燥後」になさ「れるものであ」るとの限定を付加するものである。 (2)本件補正後の請求項4に係る上記1の補正は、本件補正前の請求項4に係る発明を特定するために必要な事項である「転写後に乾燥され、前記絵柄印刷層から剥離され」る「水溶性フィルム」における「剥離」が、「乾燥後」になさ「れるものであ」るとの限定を付加するとともに、本件補正前の請求項4に係る発明を特定するために必要な事項である「剥離剤層」が「乾燥された前記水溶性フィルムが剥離しやすいようにするものである」るとの限定を付加するものである。 3 本件補正の目的 本件補正後の請求項1及び4に係る上記1の補正は、上記2のとおり、本件補正前の請求項1及び4に係る発明を特定するために必要な事項をそれぞれ限定するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そこで、本件補正後の請求項1、4に係る発明(以下「本願補正発明1、2」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下検討する。 4 引用例 (1)本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-35195号公報(以下「引用例1」という。)」には、次の事項が図とともに記載されている。 ア 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 水溶性もしくは水膨潤性を有する基材フィルムと、転写用の印刷層とを有する水圧転写用シートであって、前記転写用の印刷層を、弗素系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂をビヒクルとする印刷インキで形成してあることを特徴とする水圧転写用シート。」 イ 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、主として凹凸による立体面や曲面を有する成形体の表面に転写層を形成するのに好適な水圧転写用シート、該水圧転写用シートを使用する水圧転写方法、及び該水圧転写用シートによる転写層を有する成形体に関する。」 ウ 「【0007】 【課題を解決するための手段】上記の課題は、以下の構成による本発明の水圧転写用シート、該水圧転写用シートを使用する水圧転写方法、及び該水圧転写用シートによる転写層を有する成形体によって解決される。 【0008】すなわち本発明の水圧転写用シートは、水溶性もしくは水膨潤性を有する基材フィルムと転写用の印刷層とを有する水圧転写用シートであって、前記転写用の印刷層を、弗素系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂をビヒクルとする印刷インキで形成してなるものである。 【0009】上記の構成による本発明の水圧転写用シートにおいては、弗素系樹脂とアクリル系樹脂との合計を100重量部にしたときに、弗素系樹脂45?85重量部、アクリル系樹脂55?15重量部の範囲にあることが好ましい。 【0010】又、本発明の水圧転写方法は、水溶性もしくは水膨潤性を有する基材フィルムと転写用の印刷層とを有する水圧転写用シートを水面に浮かべた後、被転写体をその上方から押し入れることにより、水圧を利用して成形体の表面に転写用の印刷層を転写する水圧転写法において、上記の構成による本発明の水圧転写用シートを使用するものである。 【0011】更に、本発明の水圧転写による転写層を有する成形体は、水圧転写による成形体の表面の転写層が、弗素系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂をビヒクルとする印刷インキによる印刷層からなるものである。」 エ 「【0018】 【発明の実施の形態】本発明の水圧転写用シートは、水溶性もしくは水膨潤性を有する基材フィルムと、転写用の印刷層とを有するものであって、前記転写用の印刷層を、弗素系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂をビヒクルとする印刷インキで形成してなるものである。 【0019】上記の水圧転写用シートにおいて、水溶性もしくは水膨潤性を有する基材フィルムとして好適なものは、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂フィルムである。ポリビニルアルコール樹脂フィルムは、ポリビニルアルコールの重合度、ケン化度、及び澱粉やゴム等の添加剤の配合量等を変えることにより、基材フィルムに対して転写用の印刷層を形成する際に必要な機械的強度、取り扱い中の耐湿性、水面に浮かべてからの吸水による柔軟化の速度、水中での延展又は拡散に要する時間、転写工程での変形のし易さ等を適宜調節することができる。」 オ 「【0041】水圧転写用シートにおける転写用の印刷層は、上記の弗素系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂をビヒクルとする印刷インキにより、例えば凹版印刷方式、平版印刷方式、凸版印刷方式、スクリーン印刷方式等による印刷方法、はけ塗り、へら塗り、吹付け塗り等の塗布方法、筆等による描画等の公知の方法により、ベタ刷り、又は文字、図形、記号、各種の絵柄等の任意の形状、更にはベタ刷りと文字、図形、記号、各種の絵柄との組み合わせ等に形成される。」 カ 上記アないしオから、引用例1には次の発明が記載されているものと認められる。 「水溶性もしくは水膨潤性を有する基材フィルムと、基材フィルムに対して形成した転写用の印刷層とを有し、凹凸による立体面や曲面を有する成形体の表面に転写層を形成するのに好適な水圧転写用シートであって、 前記水溶性もしくは水膨潤性を有する基材フィルムとして好適なものは、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂フィルムであり、 前記転写用の印刷層は、弗素系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂をビヒクルとする印刷インキにより、例えば凹版印刷方式、平版印刷方式、凸版印刷方式、スクリーン印刷方式等による印刷方法、はけ塗り、へら塗り、吹付け塗り等の塗布方法、筆等による描画等の公知の方法により、ベタ刷り、又は文字、図形、記号、各種の絵柄等の任意の形状、更にはベタ刷りと文字、図形、記号、各種の絵柄との組み合わせ等に形成される水圧転写用シート。」(以下「引用発明1」という。) (2)原査定の拒絶の理由に引用された「本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-264126号公報(以下「引用例2」という。)」には、次の事項が図とともに記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、硬化性樹脂層を有する水圧転写用フィルム及び該フィルムを水圧転写した水圧転写体に関する。 【背景技術】 【0002】 水圧転写法は、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと、装飾層を含む転写層とからなる水圧転写フィルムを、支持体フィルムを下方にして水面に浮かべ、活性化剤と呼ばれる有機溶剤で転写層を軟化させた後、被転写体をその上方から押し付けながら水中に沈めることにより、転写層を被転写体に転写する方法である(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。これにより、意匠性に富む装飾層を複雑な三次元形状の成形品に付与することができる。 【0003】 一般に、水圧転写体の表面は、ワキ、ブツ、凹みなどのいわゆる塗膜欠陥が皆無であることが要求され、表面層となる部分にレベリング剤等を配合することが行われる。しかし、表面層に配合してある樹脂がレベリング剤と相溶性が乏しい場合は配合できないことや、レベリング剤を添加することで、例えば耐水性等の塗膜物性が下がってしまう等の問題があった。レベリング剤を添加せず、被転写体をその上方から押し付けながら水中に沈める際のスピードや沈める角度等を工夫することにより表面欠陥をある程度回避できるが、被転写体の形状により最適な条件が異なるため非常に煩雑であった。 【特許文献1】特開昭64-22378号公報(特公平7-29084号公報) 【特許文献2】特開2004-34393号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明の目的は、水圧転写品の表面欠陥が発生しにくい水圧転写フィルムを提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明者らは、硬化性樹脂層にノイブルクシリカを配合することで、上記課題を解決できることを見いだした。 【0006】 即ち本発明は、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと該支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な転写層を有し、該転写層が活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化可能な硬化性樹脂層を有する水圧転写用フィルムであって、前記硬化性樹脂層が、ノイブルクシリカを含有する水圧転写フィルムを提供する。 【0007】 また本発明は、前記記載の水圧転写フィルムを、前記支持体フィルムを下にして水に浮かべ、有機溶剤により前記転写層を活性化し、前記転写層を被転写体に転写し、前記支持体フィルムを除去し、次いで前記転写層を活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化させた水圧転写体を提供する。 【0008】 なお、本発明で言う硬化性樹脂層は、転写の段階では未硬化状態の層であって、硬化後、硬化樹脂層を形成する層を意味する。また、硬化樹脂層は、転写後の硬化反応によって作製される層を意味する。」 イ 「【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 (支持体フィルム) 本発明の水圧転写用フィルムに用いる水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムは、水で溶解もしくは膨潤可能な樹脂からなるフィルムである。 水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルム(以下、支持体フィルムと略す)としては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、ポリビニルピロリドン、アセチルセルロース、ポリアクリルアミド、アセチルブチルセルロース、ゼラチン、にかわ、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のフィルムが使用できる。 【0010】 なかでも一般に水圧転写用フィルムとして用いられているPVAフィルムが水に溶解し易く、入手が容易で、硬化性樹脂層の印刷にも適しており、特に好ましい。用いる支持体フィルムの厚みは10?200μm程度が好ましい。 【0011】 (転写層) 本発明の水圧転写用フィルムの支持体フィルム上に設けられる転写層は、活性エネルギー線照射又は加熱により硬化可能な硬化性樹脂層(以下、硬化性樹脂層と言う。)を有する。また、転写層は硬化性樹脂層とその上に設けられた印刷インキ皮膜または塗料皮膜からなる装飾層(以下、装飾層と言う。)とを有する。本発明での硬化性樹脂層は、常温では硬化せず活性エネルギー線照射又は加熱により硬化して、硬化樹脂層を形成する。 【0012】 (硬化性樹脂層 ノイブルクシリカ) 前記硬化性樹脂層は、ノイブルクシリカを含有する。 ノイブルクシリカとは一般に、薄板状のカオリナイトと塊状石英の天然結合物を指す。ドイツ国のノイブルグ地方で採れるノイブルグ硅土を特殊な方法で精製したもので、薄板状のカオリナイトと塊状の石英とが自然に組み合わされ結合されている。具体例を挙げるとシリチンV85(平均粒径3μm)、シリチンV88(平均粒径3μm)、シリチンN82(平均粒径2.3μm)、シリチンN85(平均粒径2.3μm)、シリチンZ86(平均粒径1.8μm)、シリチンZ89(平均粒径1.8μm)、シリコロイドP82(平均粒径1.6μm)、シリコロイドP87(平均粒径1.6μm)、その他表面処理をしたアクティジルMAM(平均粒径3μm)、アクティジルVM56(平均粒径1.8μm)等(ドイツ国ホフマンミネラル社製)がある。なお、平均粒径や表面処理の異なる複数のノイブルクシリカを併用しても良いし、人工的に造り出された同じ構造を有した結合物を用いても良い。 【0013】 ノイブルクシリカにはナノメートル粒径の無数のシリカが結合していることにより、多数の毛細管があり、ここを通じて揮発分を引き上げ、板状表面から蒸散させることができる。またフィラー効果で皮膜強度が大きくなる。このため、水圧転写後の乾燥工程において、硬化性樹脂層が事実上破壊されることなく、硬化性樹脂層に残存していた有機溶剤/ 水を効率よく蒸散できるため、気泡などの表面欠陥が回避できるものと推定される。 【0014】 ノイブルクシリカの平均粒径は1?5μmであることが好ましい。平均粒径が1μm未満では粉塵が多くなるために配合作業性が低下することがあり、平均粒径が5μmを超えると硬化性樹脂層の透明性が損なわれることがある。 尚、本発明において平均粒径は、重量平均粒径測定法により算出した平均粒径を指す。ノイブルクシリカは、厳密に見れば、全て単一の粒径からなるのでなく、異なる粒径の混合物である。故に粒径を表示するとき、平均粒径で示される。 【0015】 また、平均粒径1.7μm以下のノイブルクシリカを使用することにより、20°グロスで80以上という高光沢を示す。これは、硬化性樹脂層中に分散したノイブルクシリカは、その板状部分が概ね塗膜面と平行方向に分散し、入射光線に対して反射鏡の役割するためと推察している。 【0016】 硬化性樹脂層中、ノイブルクシリカの含有量は3?20重量%であることが好ましく、より好ましくは5?18重量%、更により好ましく7?15重量%である。含有量が3%未満では表面欠陥の解消効果が乏しくなることがあり、35重量%を超えると硬化性樹脂層の透明性が損なわれることがある。 【0017】 (ラジカル重合性化合物) 本発明で使用する硬化性樹脂層は活性エネルギー線照射又は加熱で硬化する。そのために、汎用のラジカル重合性化合物を含有するのが好ましい。中でも、硬化性に優れることから(メタ)アクリレートが好ましく、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2?15個有する多官能(メタ)アクリレートが特に好ましい。ラジカル重合性化合物に特に限定はないが、硬化前のガラス転移温度が40℃未満であると、反応性基がマトリックス内でも比較的動きやすく、前述のオルガノシロキシ基及び/又はフルオロアルキル基を有する重合性化合物と効率的に硬化反応が進むため好ましい。 具体的なラジカル重合性化合物としては、ウレタン(メタ)クリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの重量平均分子量は300?5000が好ましい。 【0018】 (ウレタン(メタ)アクリレート) ウレタン(メタ)アクリレートとは、分子内にウレタン結合を持つ(メタ)アクリレートであり、水酸基含有(メタ)アクリレート、ポリイソシアネート、およびポリオールを反応させて得ることができる。尚、目的に応じて、ポリオールを原料に用いず、水酸基含有(メタ)アクリレートとポリイソシアネートとからなるウレタン(メタ)アクリレートを使用することも可能である。勿論、市販のウレタン(メタ)アクリレートを使用してもよい。 【0019】 (ポリエステル(メタ)アクリレート) 本発明で使用するポリエステル(メタ)アクリレートは、1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する飽和または不飽和ポリエステル(メタ)アクリレートである。例えば、多塩基酸またはその無水物、ポリオール、(メタ)アクリル酸またはその無水物をエステル化したポリエステル(メタ)アクリレート、ポリオールと(メタ)アクリル酸またはその無水物とからなるポリエステル(メタ)アクリレート、常法により合成されたポリエステルのカルボキシル基と、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。勿論、市販のポリエステル(メタ)アクリレートを使用してもよい。 多塩基酸としては、例えば、芳香族多塩基酸、鎖状脂肪族多塩基酸、環状脂肪族多塩基酸等が使用できる。ポリオールとしては、例えば、アルキレンポリオール等が使用できる。 【0020】 (エポキシ(メタ)アクリレート) エポキシ(メタ)アクリレートとは、ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸またはその無水物を反応させて得られる(メタ)アクリレートである。ポリエポキシドとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等や、ビスフェノール型エポキシ樹脂の芳香環を水素添加したものが挙げられる。エポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールA型エポキシアクリレートが好ましい。勿論、市販のエポキシ(メタ)アクリレートを使用してもよい。 【0021】 (ポリエーテル(メタ)アクリレート) ポリエーテル(メタ)アクリレートとは、例えば、ポリエーテルと(メタ)アクリル酸またはその無水物をエステル化して得られる(メタ)アクリレートである。ポリエーテルとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびその他の分岐アルキルポリオールや、ビスフェノールA骨格、ポリシロキサン鎖等を組み合わせたもの等が使用できる。 【0022】 (非重合性熱可塑性樹脂) 本発明で使用する硬化性樹脂層は、前記ノイブルクシリカ、及びラジカル重合性化合物の他、非重合性熱可塑性樹脂を含有すると、得られる水圧転写体の外観や諸物性を向上させることができ好ましい。非重合性熱可塑性樹脂としては汎用の熱可塑性樹脂が使用できる。中でも(メタ)アクリル樹脂であると硬化性樹脂層の乾燥性の向上や、透明性、耐溶剤性等を付与することができ好ましく、ポリエステル樹脂であると、ノイブルクシリカが分散し易く、深み感や可とう性を付与することができ好ましい。 【0023】 ((メタ)アクリル樹脂) (メタ)アクリル樹脂としては重量平均分子量7万?25万の(メタ)アクリル樹脂が好ましい。中でもポリ(メタ)アクリレートが、Tgが高く、硬化性樹脂層の乾燥性向上に適しているために好ましい。特にポリメチルメタクリレートを主成分とした重量平均分子量10万?20万、より好ましくは10万?15万のポリ(メタ)アクリレートが透明性、耐溶剤性および耐擦傷性に優れる点で好ましい。 また、ポリ(メタ)アクリレートの共重合成分として、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体を用いて、ポリマーの酸価を1?10程度に調整することで、支持体フィルムへの密着性や、被転写体と硬化性樹脂層との密着性を向上させることができる。 【0024】 (ポリエステル) ポリエステル樹脂としては重量平均分子量3万?7万のポリエステル樹脂が好ましい。本発明で使用するポリエステル樹脂は、芳香族又は脂肪族ジカルボン酸と、芳香族又は脂肪族ジオールとを共重合させて得られたポリエステル樹脂を好ましく使用することができる。中でも、芳香族又は脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールとを共重合させて得られる1種又は2種以上のポリエステル樹脂の混合物であることが好ましく、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールから合成されるポリエステル樹脂の混合物であることが好ましい。 【0025】 芳香族ジカルボン酸、又は脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールから合成されるポリエステル樹脂ならびに、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールから合成されるポリエステル樹脂は市販品を用いてもよく、具体例としては、望ましい塗膜物性が得やすいという観点から、バイロン200、バイロン240、バイロン650、バイロンGK880、エリーテルXA-0611が好適に用いられる。 【0026】 硬化性樹脂層は、膜厚が厚いほど、得られる成形品の保護効果は大きく、また装飾層の凹凸を吸収する効果が大きいために成形品に優れた光沢を持たせることができる。従って、硬化性樹脂層の膜厚は、具体的には3μm以上、好ましくは15μm以上の厚みを持つことが好ましい。硬化性樹脂層の厚みが200μmを超えると、有機溶剤による硬化性樹脂層の活性化が十分なされにくい。有機溶剤による硬化性樹脂層の十分な活性化、装飾層に対する保護層としての機能、及び装飾層の凹凸の吸収等の観点から、硬化性樹脂層の乾燥膜厚は3?200μmであることが好ましく、より好ましくは、15?70μmである。 【0027】 (光重合開始剤) 硬化性樹脂層には、必要に応じて慣用の光重合開始剤や光増感剤が含まれて良い。光重合開始剤の代表的なものとしては、ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトンの如きアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン系化合物;2,4,6-トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル-4-フェニルベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系化合物;2,4-ジメチルチオキサントンの如きチオキサントン系化合物;4,4′-ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。 【0028】 光重合開始剤は全重合性成分に対して、通常0.5?15質量%、好ましくは1?8質量%である。光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸エチルの如きアミン類が挙げられる。さらに、ベンジルスルホニウム塩やベンジルピリジニウム塩、アリールスルホニウム塩などのオニウム塩は、光カチオン開始剤として知られており、これらの開始剤を用いることも可能であり、上記の光ラジカル発生剤と併用することもできる。 【0029】 硬化性樹脂層に、所望の物性発現を阻害しない範囲で、汎用の(メタ)アクリルモノマー、あるいは、乾燥性を高めるなどの目的でアクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の非反応性熱可塑性樹脂を配合してもよい。 【0030】 硬化性樹脂層は、膜厚が厚いほど、得られる成形品の保護効果は大きく、また装飾層の凹凸を吸収する効果が大きいために成形品に優れた光沢を持たせることができる。従って、硬化性樹脂層の膜厚は、具体的には3μm以上、好ましくは15μm以上の厚みを持つことが好ましい。硬化性樹脂層の厚みが200μmを超えると、有機溶剤による硬化性樹脂層の活性化が十分なされにくい。有機溶剤による硬化性樹脂層の十分な活性化、装飾層に対する保護層としての機能、及び装飾層の凹凸の吸収等の観点から、硬化性樹脂層の乾燥膜厚は3?200μmであることが好ましく、より好ましくは、15?70μmである。 【0031】 (装飾層) 硬化性樹脂層の上に装飾層を設けてもよい。装飾層には、汎用の印刷インキまたは塗料を使用することができる。有機溶剤によって活性化されて転写に十分な柔軟性が得られることが好ましい。グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷などを用いて形成する。装飾層の乾燥膜厚は0.5?15μmであることが好ましく、更に好ましくは、1?7μmである。また絵柄のない着色層や、無色のワニス樹脂層についても塗工によって形成することができる。 【0032】 装飾層は、支持体上の硬化性樹脂層上への塗布または印刷する方法、や、支持体フィルム上に硬化性樹脂層が形成されたフィルムと剥離性フィルム上に装飾層を有するフィルムとのドライラミネートする方法により水圧転写用フィルム中に積層することができる。中でも、後者のドライラミネートする方法により水圧転写用フィルム中に積層が好ましい。 【0033】 なお、硬化性樹脂層および装飾層中に、意匠性、展延性を阻害しない範囲において、消泡剤、沈降防止剤、顔料分散剤、流動性改質剤、ブロッキング防止剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、シリカゾル、オルガノシリカゾルなどの慣用の各種添加剤を加えることができる。これらの添加剤は液体でも固体でもよいし、溶解するものであっても、分散するだけであってもよい。 【0034】 本発明の水圧転写用フィルムは、従来の水圧転写用フィルムの水圧転写と同様な方法で水圧転写を行うことができる。 【0035】 (水圧転写体の製造方法) 本発明の硬化性樹脂層、または装飾層と硬化性樹脂層とを有する成形品の製造方法は、本発明の水圧転写フィルムを、その支持体フィルムを下にして水に浮かべ、有機溶剤により硬化性樹脂層、または装飾層と硬化性樹脂層を有する転写層を活性化した後、転写層を被転写体に水圧転写し、支持体フィルムを除去し、次いで転写層を活性エネルギー線照射で硬化させる方法であり、従来の水圧転写用フィルムと同様な方法で水圧転写を行うことができる。水圧転写用フィルムを用いた装飾成形品の製造方法の概略は、以下に示す通りである。 【0036】 (1)水圧転写フィルムを、その支持体フィルムを下にし、転写層を上にして水槽中の水に浮かべ、前記支持体フィルムを水で溶解もしくは膨潤させる。 (2)水圧転写用フィルムの転写層に活性化剤を塗布または噴霧することにより硬化性樹脂層と装飾層からなる転写層を活性化させる。 なお、転写層の有機溶剤による活性化はフィルムを水に浮かべる前に行っても良い。 (3)水圧転写用フィルムの転写層に被転写体を押しつけながら、被転写体と水圧転写用フィルムを水中に沈めて行き、水圧によって転写層を前記被転写体に密着させて転写する。 (4)水から出した被転写体から支持体フィルムを除去し、被転写体に転写された転写層の硬化性樹脂層を活性エネルギー線照射により硬化させ、硬化性樹脂層もしくは硬化性樹脂層と装飾層とを有する成形品を得る。 【0037】 硬化性樹脂層または、硬化性樹脂層と装飾層とからなる本発明の水圧転写フィルムの転写層は、有機溶剤を塗布または散布することにより活性化され、十分に可溶化もしくは柔軟化される。ここで言う活性化とは、転写層に有機溶剤を塗布または散布することにより、転写層を完全には溶解せずに可溶化させ、転写層に柔軟性を付与することにより転写層の被転写体への追従性と密着性を向上させることを意味する。この活性化は転写層を水圧転写用フィルムから被転写体へ転写する際に、これらの転写層が柔軟化され、被転写体の三次元曲面へ十分に追従できる程度に行われれば良い。 【0038】 水圧転写における水槽の水は、支持体フィルムを膨潤または溶解させる他、転写層を転写する際に水圧転写用フィルムを被転写体の三次元曲面に密着させる水圧媒体として働く。具体的には、水道水、蒸留水、イオン交換水などの水で良く、また用いる支持体フィルムによっては、水にホウ酸等の無機塩類やアルコール類を10%以内の範囲で溶解させたものでもよい。 【0039】 (活性化剤) 活性化剤は、硬化樹脂層もしくは硬化性樹脂層と装飾層とを可溶化させ、柔軟性を付与する有機溶剤である。水圧転写工程が終了するまで蒸発しないことが好ましい。本発明で使用される活性化剤は、一般の水圧転写に用いる活性化剤を用いることができる。具体的 には、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、カルビトール、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ソルフィットアセテート及びそれらの混合物が挙げられる。 【0040】 この活性化剤中に印刷インキ又は塗料と成形品との密着性を高めるために、若干の樹脂成分を含ませてもよい。例えば、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂といった、インキのバインダーに類似の構造のものを1?10%含ませることによって密着性が高まることがある。 【0041】 また同様の目的で、活性化剤中に上述したラジカル重合性化合物や光重合開始剤を溶解させて使用してもよい。 【0042】 被転写体に転写層を水圧転写した後、支持体フィルムを水で溶解もしくは剥離して除去し乾燥させる。被転写体からの支持体フィルムの除去は、従来の水圧転写方法と同様に水流で支持体フィルムを溶解もしくは剥離して除去する。 【0043】 硬化性樹脂層は、水および活性化剤を乾燥後させた後に、活性エネルギー線照射により硬化を行う。硬化時間は、組成、硬化剤の種類にもよるが、数分から1時間以内に硬化が進むものが工程上好ましい。 【0044】 (活性エネルギー線) 活性エネルギー線は、可視光、紫外線、電子線、ガンマ線を意味し、いずれも使用可能であるが、特に紫外線が好適である。紫外線源としては、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が用いられる。 【0045】 (被転写体となる成形品) 被転写体となる成形品は、その表面に硬化性樹脂層や装飾層が十分密着することが好ましく、このため必要に応じて成形物表面にプライマー層を設ける。プライマー層を形成する樹脂は、プライマー層として慣用の樹脂を特に制限なく用いることができ、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。また、密着性の良好なABS樹脂やSBSゴムなど、溶剤吸収性の高い樹脂成分からなる成形品にはプライマー処理は不要である。成形品の材質は、プライマー処理さえ施されていて、水中に沈めても形状が崩れたりせず品質上問題を起こさないレベルの防水性があれば、金属、プラスチック、木材、パルプモールド、ガラスなど特に限定されない。 【0046】 本発明が適用できる成形物の具体例としては、テレビ、ビデオ、エアコン、ラジオカセット、携帯電話、冷蔵庫等の家庭電化製品、パーソナルコンピューターやプリンター等のOA機器、その他石油ファンヒーター、カメラなどの家庭製品のハウジング部分に適用できる。また、テーブル、タンス、柱などの家具部材や、バスタブ、システムキッチン、扉、窓枠、廻り縁などの建築部材、筆記用具、電卓、電子手帳、ケースなどの雑貨、文房具、自動車内装パネル、自動車やオートバイの外板、ホイールキャップ、スキーキャリヤ、自動車用キャリアバッグ、ゴルフクラブ、ヨットなどの船舶部品、スキー板、スノーボード、ヘルメット、ゴーグル、モニュメントなどの曲面を有し、かつ意匠性を必要とする成形品に特に有用に用いられ、極めて広い分野で使用可能である。」 ウ 「【実施例】 【0047】 以下に、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、これらに何ら制限されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。 【0048】 (製造例1)<木目柄印刷フィルムP1> 厚さ30μmの東洋紡製無延伸ポリプロピレンフィルム「パイレンCT」上に、下記組成の印刷インキG1をグラビア印刷にて、ベタ2版、柄3版で木目柄を印刷し、印刷フィルムP1を得た。 (インキ組成G1、黒、茶、白) バーノックEZL676:20質量部(固形分換算) 顔料(黒、茶、白):10質量部(固形分) ワックス等添加剤:10質量部 溶剤:不揮発分が30%となるように添加 但し、バーノックEZL676は、大日本インキ化学工業(株)社製のポリウレタンであり、溶剤はトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンを2:1:1で混合した溶剤を用いた。 【0049】 (実施例1) アイセロ化学社製の厚さ30μmのPVAフィルムに硬化性樹脂組成物C1を、リップコーターで固形分膜厚40μmになるように塗工し、次いで60℃で2分間乾燥してフィルムを製造した。硬化性樹脂組成物C1の組成は表1に示した。このフィルムの硬化性樹脂層と製造例1で作製した印刷フィルムP1の装飾層を向き合わせて60℃でラミネートした。ラミネートしたフィルムをそのまま巻き取り水圧転写用フィルムF1を製造した。 この水圧転写用フィルムF1を、30℃の水浴に、インキ面が上になるようにして浮かべ、2分間放置後、活性化剤(キシレン:MIBK:酢酸ブチル:イソプロパノール=5:2:2:1):40g/m2をフィルム上に散布した。さらに10秒放置後、垂直方向からプライマー処理済亜鉛メッキ鋼板(石油ファンヒーターハウジング)に、水圧転写した。転写後、被転写体を水洗し、90℃で20分乾燥した。次にUV照射装置(出力160W/cm、5m/分のコンベア速度)に1回サンプルを通すことにより、光沢のある硬化皮膜を有する水圧転写体を得た。」 エ 「【0052】 【表1】 NKオリゴEA-1020:新中村化学(株)製エポキシアクリレート M-8530:東亞合成(株)製ポリエステルアクリレート(重量平均分子量1,200) バイロンGK880:東洋紡績(株)製ポリエステル シリコロイドP87:ドイツ国ホフマンミネラル社製ノイブルクシリカ(平均粒径1.6μm) アクテジルMAM:ドイツ国ホフマンミネラル社製メタクリルシラン表面処理済ノイブルクシリカ(平均粒径3μm) イルガキュア184:チバ・スペシャリティケミカルス社製光重合開始剤 希釈溶剤:MEK、酢酸ブチル、トルエンの混合溶剤」 オ 上記アないしエから、引用例2には次の発明が記載されているものと認められる。 「水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと、該支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な転写層を有する水圧転写用フィルムであって、 前記支持体フィルムとしては、PVA(ポリビニルアルコール)フィルムが特に好ましく、 前記転写層は、活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化可能で、転写の段階では未硬化状態の層であって、硬化後、硬化樹脂層を形成する層である硬化性樹脂層と、該硬化性樹脂層の上に設けられた印刷インキ皮膜または塗料皮膜からなる装飾層とを有し、 前記硬化性樹脂層は、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエステル、ノイブルクシリカ及び光重合開始を含み、 前記装飾層は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷などを用いて形成され、また、前記支持体フィルム上の前記硬化性樹脂層上への塗布または印刷する方法、や、前記支持体フィルム上に前記硬化性樹脂層が形成されたフィルムと剥離性フィルム上に前記装飾層を有するフィルムとをドライラミネートする方法により水圧転写用フィルム中に積層される、 転写層を被転写体に転写するために用いられる水圧転写用フィルム。」(以下「引用発明2」という。) 5 本願補正発明1について 本願補正発明1と引用発明1とを対比する。 (1)引用発明1の「凹凸による立体面や曲面を有する成形体の表面に転写層を形成するのに好適な」、「凹凸による立体面や曲面を有する成形体」、「転写層を形成する」、「水圧転写用シート」、「『水溶性もしくは水膨潤性を有する基材フィルムとして好適』な『ポリビニルアルコール(PVA)樹脂フィルム』」、「『各種の絵柄との組み合わせ等』に形成される『転写用の印刷層』」及び「印刷インキ」は、それぞれ、本願補正発明1の「被転写物の表面への転写のために用いられる」、「被転写物」、「転写」、「水圧転写用シート」、「水溶性フィルム」、「絵柄印刷層」及び「インキ」に相当する。 (2)引用発明1の「インキ(印刷インキ)」は、弗素系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂をビヒクルとするものであるところ、本願明細書の発明の詳細な説明には「前記易剥離性インキとして、例えば塩ビ酢ビ共重合樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂等、又はこれらの混合物を用いることができる。」(【0022】)と記載されている。この記載からみて、引用発明1の「インキ」と本願補正発明1の「インキ」とは「該絵柄印刷層に対する乾燥された前記水溶性フィルムの剥離性を促進するための易剥離性インキ」である点で一致するといえる。 したがって、引用発明1の「絵柄印刷層(転写用の印刷層)」と本願補正発明1の「絵柄印刷層」とは「該絵柄印刷層に対する乾燥された前記水溶性フィルムの剥離性を促進するための易剥離性インキを含む」点で一致する。 (3)引用発明1の「水圧転写用シート」は、「水溶性フィルム(水溶性もしくは水膨潤性を有する基材フィルム)」と、「水溶性フィルム」に対して形成した「絵柄印刷層(転写用の印刷層)」とを有しているから、本願補正発明1の「水圧転写用シート」と、「水溶性フィルムと、該水溶性フィルム上に形成された絵柄印刷層とを含」む点で一致する。 (4)本願明細書の発明の詳細な説明には、本願補正発明1の「前記水溶性フィルムは、転写後に乾燥され、乾燥後に前記絵柄印刷層から剥離されるものであ」る点に関連して、次のアないしウの記載がある。 ア 「第1発明によれば、水溶性フィルムに形成された絵柄印刷層について、該絵柄印刷層に対する前記水溶性フィルムの剥離性を促進するための易剥離性インキを含むものとし、あるいは前記水溶性フィルムと前記絵柄印刷層との間に剥離剤層を設けたことから、被転写物への前記絵柄印刷層の水圧転写の後、前記水溶性フィルムを除去するのに、洗浄によらず、前記水溶性フィルムを乾燥させた後、これを絵柄印刷層又は前記剥離剤層から引き剥すことよって行うことができる。これには、前記洗浄による前記水溶性フィルムの除去に伴う廃液処理が不要であり、また前記絵柄印刷層の部分剥落とこれに伴う印刷効果の低減がなく、さらに耐候性の付与や外観調整を目的として前記絵柄印刷層に施される塗装の凹凸や外観毀損の発生が防止される。」(【0011】) イ 「水溶性フィルム12は例えばポリビニルアルコールからなり、水圧転写用シート10による被転写物への転写すなわち印刷のために水に漬けられると膨潤する性質を有する。」(【0015】) ウ 「水溶性フィルム12の除去は、前記膨潤状態にある水溶性フィルム12を乾燥させた後、該水溶性フィルムを絵柄印刷層14から引き剥がすことにより行う。水溶性フィルム12の乾燥は、好ましくは、これに含まれる水分及び溶剤が発泡しないように40?50℃の温度下で行う。 絵柄印刷層14を構成する印刷インキは、乾燥された水溶性フィルム12が絵柄印刷層14から剥がれやすいようにするための易剥離性インキのみ、あるいは前記易剥離性インキと通常のインキとの混合物からなる。したがって、前記印刷インキは、水溶性フィルム12の絵柄印刷層14に対する剥離性を促進するための前記易剥離性インキを含む。 前記易剥離性インキとして、例えば塩ビ酢ビ共重合樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂等、又はこれらの混合物を用いることができる。また、前記易剥離性インキとして、特にUV樹脂(紫外線硬化樹脂)を用いることが可能である。前記UV樹脂を用いる場合、乾燥された水溶性フィルム12に紫外線を照射することにより水溶性フィルム12を剥離することができる。 絵柄印刷層14が前記易剥離性インキを含むものとする図1に示す例に代えて、水溶性フィルム12と絵柄印刷層14との間に剥離剤層18(図2)を介在させることができる。剥離剤層18は、前記易剥離性インキと同様、塩ビ酢ビ共重合樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂等、又はこれらの混合物からなる。図示の例では剥離剤層18上に印刷により絵柄印刷層14が形成されており、また剥離剤層18は水溶性フィルム12に対するより絵柄印刷層14に対して強固に接着している。このため、乾燥後の水溶性フィルム12の剥離剤層18から引き剥がしが可能である。 絵柄印刷層14又は剥離剤層18に占める前記易剥離性インキの量、その種類等は、絵柄印刷層14の印刷中に水溶性フィルム12又は剥離剤層18から印刷インキが剥がれず、しかも前記被転写物への印刷の後、乾燥された水溶性フィルム12が剥離しやすいように、適宜選択される。 絵柄印刷層14又は剥離剤層18から引き剥がされた乾燥状態の水溶性フィルム12は焼却処理することができ、このため従来行っていた前記水溶性フィルムの水洗浄に伴う問題の発生を回避することができる。」(【0020】?【0025】) (5)上記(4)アないしウの記載からみて、本願補正発明1の「前記水溶性フィルムは、転写後に乾燥され、乾燥後に前記絵柄印刷層から剥離されるものであ」るとの構成は、「水溶性フィルムがポリビニルアルコールからなり、絵柄印刷層が易剥離性インキを含む」との技術事項を包含するものと解される。 してみると、引用発明1において、「絵柄印刷層(転写用の印刷層)」は、「易剥離性インキを含む」ものであり(上記(2)参照。)、「絵柄印刷層」を「被転写物(凹凸による立体面や曲面を有する成形体)」に転写した後に、「水溶性フィルム(ポリビニルアルコール(PVA)樹脂フィルム)」を、洗浄によらず乾燥させた後「絵柄印刷層」から引き剥すようにして除去することができるものと解されるから、引用発明1は、本願補正発明1の「前記水溶性フィルムは、転写後に乾燥され、乾燥後に前記絵柄印刷層から剥離されるものであ」るとの事項を備えているといえる。 (6)上記(1)及び(5)から、本願補正発明1と引用発明1とは、 「被転写物の表面への転写のために用いられる水圧転写用シートであって、 水溶性フィルムと、該水溶性フィルム上に形成された絵柄印刷層とを含み、 前記水溶性フィルムは、転写後に乾燥され、乾燥後に前記絵柄印刷層から剥離されるものであり、 前記絵柄印刷層は該絵柄印刷層に対する乾燥された前記水溶性フィルムの剥離性を促進するための易剥離性インキを含む、水圧転写用シート。」である点で一致し、相違するところはない。 したがって、本願補正発明1は、引用発明1と同一の発明であり、本願の出願前に頒布された刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 6 本願補正発明2について 本願補正発明2と引用発明2とを対比する。 (1)引用発明2の「転写層を被転写体に転写するために用いられる水圧転写用フィルム」、「被転写体」、「水圧転写用フィルム」、「『PVA(ポリビニルアルコール)フィルムが特に好まし』い『水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルム』」及び「『グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷などを用いて形成され』る『装飾層』」は、それぞれ、本願補正発明2の「被転写物の表面への転写のために用いられる水圧転写用シート」、「被転写物」、「水圧転写用シート」、「水溶性フィルム」及び「絵柄印刷層」に相当する。 (2)本願明細書の発明の詳細な説明には、本願補正発明2の「前記剥離剤層は乾燥された前記水溶性フィルムが剥離しやすいようにするものである」点及び本願補正発明2の「前記水溶性フィルムは、転写後に乾燥され、乾燥後に前記剥離剤層から剥離されるものであり」の点に関連して、次のアないしウの記載がある。 ア 「第1発明によれば、水溶性フィルムに形成された絵柄印刷層について、該絵柄印刷層に対する前記水溶性フィルムの剥離性を促進するための易剥離性インキを含むものとし、あるいは前記水溶性フィルムと前記絵柄印刷層との間に剥離剤層を設けたことから、被転写物への前記絵柄印刷層の水圧転写の後、前記水溶性フィルムを除去するのに、洗浄によらず、前記水溶性フィルムを乾燥させた後、これを絵柄印刷層又は前記剥離剤層から引き剥すことよって行うことができる。これには、前記洗浄による前記水溶性フィルムの除去に伴う廃液処理が不要であり、また前記絵柄印刷層の部分剥落とこれに伴う印刷効果の低減がなく、さらに耐候性の付与や外観調整を目的として前記絵柄印刷層に施される塗装の凹凸や外観毀損の発生が防止される。」(【0011】) イ 「水溶性フィルム12は例えばポリビニルアルコールからなり、水圧転写用シート10による被転写物への転写すなわち印刷のために水に漬けられると膨潤する性質を有する。」(【0015】) ウ 「水溶性フィルム12の除去は、前記膨潤状態にある水溶性フィルム12を乾燥させた後、該水溶性フィルムを絵柄印刷層14から引き剥がすことにより行う。水溶性フィルム12の乾燥は、好ましくは、これに含まれる水分及び溶剤が発泡しないように40?50℃の温度下で行う。 絵柄印刷層14を構成する印刷インキは、乾燥された水溶性フィルム12が絵柄印刷層14から剥がれやすいようにするための易剥離性インキのみ、あるいは前記易剥離性インキと通常のインキとの混合物からなる。したがって、前記印刷インキは、水溶性フィルム12の絵柄印刷層14に対する剥離性を促進するための前記易剥離性インキを含む。 前記易剥離性インキとして、例えば塩ビ酢ビ共重合樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂等、又はこれらの混合物を用いることができる。また、前記易剥離性インキとして、特にUV樹脂(紫外線硬化樹脂)を用いることが可能である。前記UV樹脂を用いる場合、乾燥された水溶性フィルム12に紫外線を照射することにより水溶性フィルム12を剥離することができる。 絵柄印刷層14が前記易剥離性インキを含むものとする図1に示す例に代えて、水溶性フィルム12と絵柄印刷層14との間に剥離剤層18(図2)を介在させることができる。剥離剤層18は、前記易剥離性インキと同様、塩ビ酢ビ共重合樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂等、又はこれらの混合物からなる。図示の例では剥離剤層18上に印刷により絵柄印刷層14が形成されており、また剥離剤層18は水溶性フィルム12に対するより絵柄印刷層14に対して強固に接着している。このため、乾燥後の水溶性フィルム12の剥離剤層18から引き剥がしが可能である。 絵柄印刷層14又は剥離剤層18に占める前記易剥離性インキの量、その種類等は、絵柄印刷層14の印刷中に水溶性フィルム12又は剥離剤層18から印刷インキが剥がれず、しかも前記被転写物への印刷の後、乾燥された水溶性フィルム12が剥離しやすいように、適宜選択される。 絵柄印刷層14又は剥離剤層18から引き剥がされた乾燥状態の水溶性フィルム12は焼却処理することができ、このため従来行っていた前記水溶性フィルムの水洗浄に伴う問題の発生を回避することができる。」(【0020】?【0025】) (3)上記(2)アないしウの記載からみて、本願補正発明2の「前記剥離剤層は乾燥された前記水溶性フィルムが剥離しやすいようにするものである」との構成は、「水溶性フィルムがポリビニルアルコールからなり、剥離剤層に占める易剥離性インキがUV樹脂(紫外線硬化樹脂)を用いたもの」を包含するものと解される。 してみると、引用発明2の「『エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエステル、ノイブルクシリカ及び光重合開始を含む』ところの『活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化可能で、転写の段階では未硬化状態の層であって、硬化後、硬化樹脂層を形成する層である硬化性樹脂層』」は、UV樹脂(紫外線硬化樹脂)を用いたものであるといえるから、本願補正発明2の「乾燥された水溶性フィルムが剥離しやすいようにするものである剥離剤層」に相当するといえる。 また、本願補正発明2の「前記水溶性フィルムは、転写後に乾燥され、乾燥後に前記剥離剤層から剥離されるものであり」との構成も、同様に、「水溶性フィルムがポリビニルアルコールからなり、剥離剤層に占める易剥離性インキがUV樹脂(紫外線硬化樹脂)を用いたもの」を包含するものと解される。 したがって、引用発明2では、「水溶性フィルム(支持体フィルム)」がポリビニルアルコールからなるものであり、「剥離剤層(硬化性樹脂層)」が「UV樹脂(紫外線硬化樹脂)」を用いているから、引用発明2は、本願補正発明2の「前記水溶性フィルムは、転写後に乾燥され、乾燥後に前記剥離剤層から剥離されるものであり」との構成を備えているといえる。 (4)引用発明2の「絵柄印刷層(転写用の印刷層)」は、「剥離剤層(硬化性樹脂層)」の上に設けられた印刷インキ皮膜または塗料皮膜からなるものであるから、本願補正発明2の「絵柄印刷層」と、「剥離剤層上に形成された」点で一致する。 (5)引用発明2の「剥離剤層(硬化性樹脂層)」は、「水溶性フィルム(支持体フィルム)」上に設けられるものであるから、本願補正発明2の「剥離剤層」と、「水溶性フィルム上に形成された」点で一致する。 (6)引用発明2において、「水圧転写用シート(水圧転写用フィルム)」は、「水溶性フィルム(支持体フィルム)」と、該「水溶性フィルム」上に設けた転写層を有し、該転写層は、「剥離剤層(硬化性樹脂層)」と、該「剥離剤層」の上に設けられた「絵柄印刷層(装飾層)」とを有するから、引用発明2の「水圧転写用シート」と本願補正発明2の「水圧転写用シート」とは、「水溶性フィルムと、該水溶性フィルム上に形成された剥離剤層と、該剥離剤層上に形成された絵柄印刷層とを含」む点で一致する。 (7)上記(1)及び(6)から、本願補正発明2と引用発明2とは、 「被転写物の表面への転写のために用いられる水圧転写用シートであって、 水溶性フィルムと、該水溶性フィルム上に形成された剥離剤層と、該剥離剤層上に形成された絵柄印刷層とを含み、 前記水溶性フィルムは、転写後に乾燥され、乾燥後に前記剥離剤層から剥離されるものであり、 前記剥離剤層は乾燥された前記水溶性フィルムが剥離しやすいようにするものである、水圧転写用シート。」である点で一致し、相違するところはない。 したがって、本願補正発明2は、引用発明2と同一の発明であり、本願の出願前に頒布された刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 7 小括 以上のとおり、本願補正発明1及び2は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成24年4月16日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項4に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年4月16日付けで補正された明細書及び特許請求の範囲の記載からみて、上記「第2〔理由〕1」に本件補正前の請求項4として記載したとおりのものであると認める。 2 引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例2及びそれらの記載事項は、上記「第2〔理由〕4(2)」に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願補正発明2は、上記「第2〔理由〕2(2)」のとおり、本願発明の発明特定事項を限定するものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明2が、上記「第2〔理由〕6」に記載したとおり、引用発明2と同一の発明であり、本願の出願前に頒布された刊行物に記載された発明であるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明2と同一の発明であり、本願の出願前に頒布された刊行物に記載された発明である。 なお、原査定の拒絶の理由は、特許法第29条第1項第3号に該当するというものではないが、審判請求人は、審判請求書において、本願発明と上記引用例2とを対比し、容易性のみならず、同一性についても検討していることは明らかである。 4 むすび 本願発明は、以上のとおり、引用発明2と同一の発明であり、本願の出願前に頒布された刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-04-24 |
結審通知日 | 2013-05-07 |
審決日 | 2013-05-20 |
出願番号 | 特願2006-290023(P2006-290023) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(B44C)
P 1 8・ 575- Z (B44C) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高橋 三成、神尾 寧 |
特許庁審判長 |
小牧 修 |
特許庁審判官 |
西村 仁志 清水 康司 |
発明の名称 | 水圧転写用シート及び転写方法 |
代理人 | 三好 秀和 |