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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1278645
審判番号 不服2012-12119  
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-06-27 
確定日 2013-08-29 
事件の表示 特願2010- 8437「表示処理装置、プログラムおよび表示処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 4月15日出願公開、特開2010- 86559〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成22年1月18日の特許出願であって、平成20年8月28日の出願(特願2008-220532号)の一部を新たな特許出願としたものである。
そして、その特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、平成24年2月22日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものと認める。
「 【請求項1】
複数の映像データのコンテンツに関する第1の一覧情報画面を出力して、前記複数のコンテンツの中の1のコンテンツを選択可能とする第1の表示制御手段と、
コンテンツを再生する再生画面を出力する再生手段と、
前記第1の一覧情報画面及び前記再生画面から遷移可能なメニュー画面であって、第2の一覧情報画面へ遷移する第1の処理と、前記第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツ又は前記再生画面で再生していたコンテンツの種別に応じて変化する第2の処理とを含む複数の処理のうちの何れかの処理を選択可能とするメニュー画面を出力する第2の表示制御手段と、
前記第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツ又は前記再生画面で再生していたコンテンツとの関連に応じて、複数のコンテンツのアイコンを配置した前記第2の一覧情報画面を出力する第3の表示制御手段とを備え、
前記第2の表示制御手段は、前記第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツの代表画像を含む表示情報又は前記再生画面で再生していたコンテンツの代表画像を含む表示情報を含む前記メニュー画面を出力し、
前記第3の表示制御手段は、前記第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツの代表画像又は前記再生画面で再生していたコンテンツの代表画像を中心にして複数のコンテンツのアイコンを配置する、
ことを特徴とする表示処理装置。」

2.引用例記載の発明
(1)原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2004/107743号(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
「[0008] ところで、HDDレコーダやDVDレコーダなどの数十時間分にも及ぶ番組録画が可能なシステムにおいては、効率的な録画予約操作を行なうことが、有益な視聴活動を送る上で重要であると思料される。
[0009] 例えば、ユーザは、番組に付随して配信されるEPGを参照して、見たい番組を特定または推定することができる。しかしながら、この場合、ユーザはまずEPGを起動し、EPG画面上で見たい番組を検索して、その選択を行なうという煩雑な操作を行なわなければならない。
[0010] 例えば、録画した番組(あるいは現在オンエア中の番組)を視聴している際に喚起された関心に基づいて、次回の放送番組や、同じ出演者の他の出演番組など、視聴中の番組と関連性の強い番組を探して録画しようとすると、EPG画面を起動して、多くの番組の中から曜日やチャネルを基に探し出すか、又はタイトルや出演者名による検索を行なわなければならない。この場合、ユーザは、番組の視聴を中断し、録画番組の検索作業を行なわなければならない。また、番組の公式ウェブ・サイトにおいて番組関連情報が提供されることが多いが、詳細情報を閲覧するためには、ウェブ・ブラウザを起動してURLを入力するという煩雑な操作を行なわなければならない。
[0011] テレビ番組の視聴は、本来、受動的に楽しむという性格を持つ。これに対し、録画予約番組の検索は積極的な操作をユーザに求めるものであり、番組の視聴から喚起された関心を検索操作中に損なってしまう。」

「[0015] 本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、予定時刻に従って配信される番組コンテンツに対する操作を支援する情報処理装置であって、
番組コンテンツに関する情報を管理する番組情報管理手段と、
操作上の基点番組を設定する基点番組設定手段と、
すべての番組状態の番組情報を検索して基点番組と関連する番組を抽出し、該抽出された関連番組からなる基点番組関連情報ページを生成する基点番組関連情報生成手段と、
前記基点番組関連情報ページ上で関連番組が選択されたことに応答して、該関連番組について番組状態に応じて適用可能な操作方法を含んだ詳細操作画面を提示する詳細操作画面提示手段と、
を具備することを特徴とする情報処理装置である。
[0016] ここで、前記基点番組設定手段は、ユーザが再生中又は視聴中の番組コンテンツ、あるいは所定の番組表から選択した番組コンテンツを基点番組に設定する。そして、前記基点番組関連情報生成手段は、基点番組との関連度に基づいて項目毎に基点番組と関連する番組を検索し、該検索結果を基点番組との関連度の強い項目の順に関連番組を配置して基点番組関連情報ページを生成する。ユーザは、ブラウザを起動して、基点番組関連情報ページを閲覧して、基点番組に関連する番組に対して録画予約などの操作を行なうことができる。
[0017] したがって、本発明によれば、ユーザが現在視聴又は再生している番組を基点とし、これに関連する他の番組を関連度の強い順に紹介するので、テレビ番組の視聴から喚起されたユーザの関心を損なうことなくテレビ番組の検索や録画予約、再生などのコンテンツ操作を好適に支援することができる。すなわち、受動的に楽しむというテレビ番組視聴の性格を考慮して、テレビ番組の検索や録画予約、再生などのコンテンツ操作を好適に支援することができる。
[0018] それぞれの番組コンテンツは、番組コンテンツの録画済、未録画、録画予約済み、未録画予約、受信前など複数の番組状態を持つ。本発明によれば、基点番組関連情報ページ上で関連番組が選択されたことに応答して該関連番組についての詳細操作画面を提示するようになっている。この詳細操作画面では番組状態に応じて適用可能な操作方法が提供されるので、ユーザは、番組コンテンツの視聴・再生や録画予約などの操作を円滑に行なうことができる。
[0019] 例えば、選択された関連番組の番組状態が録画済みである場合には、前記詳細操作画面提示手段は、操作方法として再生、及び/又は録画消去を提示するようにしてもよい。
[0020] あるいは、選択された関連番組の番組状態が録画予約済みである場合には、前記詳細操作画面提示手段は、操作方法として録画取消し及び/又は予約確認を提示するようにしてもよい。
[0021] あるいは、選択された関連番組の番組状態が未録画予約である場合には、前記詳細操作画面提示手段は、操作方法として録画予約を提示するようにしてもよい。ここで、「今回のみ録画」、「毎週録画」、「毎日録画」などのように、複数の録画予約方法を提示するようにしてもよい。」

「[0064] 図4には、基点番組を入力する様子と、基点番組関連情報ページの構成を示している。また、図5には、基点番組関連情報ページを提供するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
[0065] まず、基点番組の入力が行なわれる(ステップS1)。録画番組を視聴中にリモコン66の所定のボタンを押すと、再生中の番組が基点番組に設定される。あるいは、録画番組の再生を停止したとき又は再生が終了したときにも、当該番組が基点番組として設定される。
[0066] また、オンエア番組を視聴中にリモコン66の所定のボタンを押したとき、あるいは番組が終了したときに、当該番組が基点番組として設定される。
[0067] また、EPGを起動して番組表を閲覧中に、所定の番組欄をリモコン66などで操作すると、該当する番組が基点番組として設定される。
[0068] 基点番組が設定されると、その番組IDが端末600からセンター500へ転送される(ステップS2)。番組IDでなく、ボタンを押したときの放送日と放送時点の時刻、放送局名と放送地域名または放送局IDをセンターへ転送し、コンテンツ・メタデータ・データベース501を検索し、基点番組の同定を行なってもよい。
[0069] センター500では、所定の検索ルール(表2を参照のこと)に従って番組/コンテンツ・メタデータ・データベース501を検索し、検索結果に基づいて基点番組関連情報ページを生成する。但し、データベース中の過去及び未来すなわち時間軸上にあるすべての番組を検索対象とする。
[0070] 番組/コンテンツ・メタデータ・データベース501では、放送番組毎の情報を、番組属性やその他の番組関連付け方法を複数の項目に分けて管理している。また、各項目には番組との関連度が割り当てられている。まず、各項目について基点番組と関連する番組についてデータベース検索が行なわれる(ステップS3)。但し、データベース中の過去及び未来すべての番組を検索対象とする。
[0071] 次いで、番組/コンテンツ・メタデータ・データベース501の検索結果を、基点番組との関連度の強い項目の順に配置して(ステップS4)、基点番組関連情報ページを生成する(ステップS5)。
[0072] 生成された基点番組関連情報ページは、端末600へ返信される。端末600側では、ブラウザを起動して基点番組関連ページが表示出力される(ステップS6)。このページ画面上では、基点番組に関連する番組情報が表示され、その録画予約やその他のユーザ操作が受容される。
[0073] 基点番組関連情報ページでは、基点番組を基に、「次回放送予定」、「出演者」、「タイトル」、「ジャンル」といった具合に、関連度が高く設定されている項目の順にお薦め番組のリストが表示される。また、この他、基点番組に関する統計結果(視聴率、投票結果など)や、コミュニティ・サイトなどへの誘導、基点番組を扱う他のアプリケーションへのリンクなども、基点番組関連情報ページに表示することができる。
[0074] 次回放送予定欄では、基点番組の次回放送予定が日時や番組タイトルとともに提示されている。
[0075] また、関連番組欄では、出演者、タイトル、ジャンルという具合に、番組との関連度の高い項目がより上位となるに関連番組欄が配列されている。画面をスクロールしていくことによって、関連度がより低く設定されている下位の項目の関連番組欄に移動していく(図示しない)。基点番組との関連度の強い順に表示することで、ユーザの閲覧選択の利便性がよくなる。
[0076] 出演者関連番組欄には、基点番組の(主要な)出演者が出演する他の番組が放送日時や番組タイトルとともに提示されている。タイトル関連番組欄には、基点番組のタイトルに関連する他の番組が放送日時や番組タイトルとともに提示されている。これら関連番組欄の番組リストでは、既に録画予約されている番組には録画予約済みアイコンを表示して、重複して予約録画操作しないように施してもよい。また、出演者間あるいは項目間で同じ番組が同時にエントリされるような場合には、一方の欄から番組情報を削除してより多くの番組情報を表示できるようにしてもよい。
[0077] 関連番組欄において、番組/コンテンツ数が多い場合は、ユーザの嗜好との一致度の高い順や、基点番組の放送日時から近いものか遠いもの順、基点番組関連ページの表示日時から近いものか遠いもの順、視聴率情報や投票による複数ユーザによる評価順などで、絞り込むようにしてもよい。
[0078] 図4に示す例では、基点番組関連情報ページ上には、次回放送予定と、当該番組の出演者毎の関連番組が表示されている。出演者の配列は、例えば当該基点番組における、出演者の配役の軽重(主役か脇役か)、あるいはユーザの関心度(ファンかそうでないか)などに基づいて決定される。
[0079] 本実施形態では、データベース中の過去及び未来すべての番組を検索対象とする。過去のテレビ番組に関しては、視聴可能すなわち録画済みのものが検索され、ページに表示される。また、未来のテレビ番組に関しては、録画予約済み、未録画予約という2通りの番組状態を持つ。基点番組関連情報ページ上では、関連番組が録画済み、録画予約済みである場合には、その番組状態を示すアイコンが併せて表示される。
[0080] また、シリーズ番組の複数の出演者に対し、同じ番組が検索される複数回表示される場合などは、ページの上位にのみに表示し、限られた画面サイズ内でなるべく多くの関連番組が表示されるようにしても良い。また、ページ上で下位の出演者又は別の関連において、検索該当番組数が少ない場合、該出演者に重複番組を表示し各関連での番組数を一定とするように表示しても良い。」
[0081] 基点番組として設定された番組の関連に該当する番組数が少ない場合には、管理者が設定する関連コンテンツの数を増やし、逆の場合は減らし、必ず一定量の情報が表示されるようにページを生成するようにしてもよい。
[0082] なお、基点番組関連ページにおける関連種類と順序については、基点番組のジャンルなど、属性に応じて切り替えるようにしてもよい。また、基点番組関連ページにおける関連種類と順序を、要求元ユーザの嗜好情報に基づいてカスタマイズしてもよい。
[0083] 基点番組関連情報ページ上に表示されている関連番組には、当該番組に対して適用される操作方法が埋め込まれている。例えば、「次回放送予定」などのお薦め番組リストのエントリを選択すると、当該番組の概要や、「今回のみ録画」、「毎回録画」、「毎日録画」などの番組に対する操作方法を含んだダイアログすなわち詳細予約画面が出現する。このダイアログすなわち詳細予約画面を介して、録画の予約操作を直接行なうことができる。
[0084] 図6には、図4に示した基点番組関連情報ページ上で「次回放送予定」(又は未録画予約の関連番組)を選択したときの、詳細予約画面の構成例を示している。図4に示す例では、次回放送予定の番組は録画予約が行なわれていないので、録画予約を操作方法として含んでいる。
[0085] 図6に示す詳細予約画面では、番組タイトルの表示、放送局並びに放送日時の表示、出演者その他の番組内容表示、視聴率やその他の統計データ表示などからなる関連番組の詳細情報が表示される。
[0086] 番組の詳細情報表示に続いて、当該関連番組に対する操作コマンドが配置されている。図示の例では、録画コマンドとして、「今回のみ録画」、「毎週録画」、「毎日録画」が用意されている。
[0087] また、「この番組に投票」コマンドは、視聴者の統計データを採取するために用意されているコマンドであり、これを選択すると、所定のURLによってリンクが設定されているサイトに接続され、集計処理が行なわれる。
[0088] また、「この番組に関するおすすめを表示」コマンドは、当該関連番組を基点としたときのさらに関連する番組などの情報の取得処理が行なわれ、その処理結果は基点番組関連情報ページという形式で出力される。この場合、基点番組がリモコン操作時(図4を参照のこと)のものから次回放送予定に移動するが、基点番組の移動に関しては後述に譲る。
[0089] また、図7には、図4に示した基点番組関連情報ページ上で、録画済みとなっている関連番組を選択したときの詳細操作画面(詳細再生画面)を示している。この場合の関連番組は既に録画されているので、操作方法として当該関連番組の再生を含んでいる。
[0090] 図7に示す詳細再生画面では、番組タイトルの表示、放送局並びに放送日時の表示、出演者その他の番組内容表示、視聴率やその他の統計データ表示などからなる関連番組の詳細情報が表示される。
[0091] 番組の詳細情報表示に続いて、当該関連番組に対する操作コマンドが配置されている。図示の例では、録画番組に対する操作コマンドとして「この番組を再生」コマンドが用意されている。この他、録画したものを消去するコマンドをさらに用意しておいてもよい。
[0092] また、「この番組に投票」コマンドは、視聴者の統計データを採取するために用意されているコマンドであり、これを選択すると、所定のURLによってリンクが設定されているサイトに接続され、集計処理が行なわれる。
[0093] また、「この番組に関するおすすめを表示」コマンドは、当該関連番組を基点としたときのさらに関連する番組などの情報の取得処理が行なわれ、その処理結果は基点番組関連情報ページという形式で出力される。この場合、基点番組が、リモコン操作時(図4を参照のこと)のものから次回放送予定に移動する。
[0094] 図8には、図7に示した詳細操作画面上で、「この番組に関するおすすめを表示」コマンドを選択したことに応答して新たに生成された基点番組関連情報ページの表示例を示している。この基点番組関連情報ページ上には、次回放送予定と、当該番組の出演者毎の関連番組が表示されている。また、データベース中の過去及び未来すべての番組を検索対象とする。過去のテレビ番組に関しては、視聴可能すなわち録画済みのものが検索され、ページに表示される。また、未来のテレビ番組に関しては、録画予約済み、未録画予約という2通りの状態を持つ。基点番組関連情報ページ上では、関連番組が録画済み、録画予約済みである場合には、その状態を示すアイコンが併せて表示される。
[0095] 続いて、基点番組の移動について説明する。図4及び5に示した例では、再生中の録画番組又は視聴中のオンエア番組をその時点でユーザの関心を最も引いている基点番組として設定し、この基点番組との関連度に基づいて基点番組関連情報ページが生成される。したがって、どの番組を基点として設定するかに応じて、ユーザに提示される基点番組関連情報ページは相違する。
[0096] また、上述したように、ユーザは、基点番組関連情報ページ上で提示されている関連番組に対して録画予約や、再生(但し予約済みの番組の場合)などの処理を適用することができる。基点番組はユーザの関心を最も引いている番組として位置付けられるが、基点番組関連情報ページ上で他の番組の録画予約や再生を指示した時点でユーザの関心は移り変わっていると推定されるので、基点番組を移行するのが相当であると考えられる。また、ユーザが意図的に基点番組を移行させたい場合もある。以下では、基点番組の移行手順について説明する。」

ここで、引用例1の上記記載事項を引用例1の関連図面と技術常識に照らせば、以下のことがいえる。
ア.引用例1の図4に示される基点番組関連情報ページ(図4の左側のボックスに示される各操作ないし動作(段落[0064]?[0067]に記載された各操作ないし動作)に応じて設定される番組を基点番組とする基点番組関連情報ページ。以下、そのような基点番組関連情報ページを「基点番組関連情報ページ1」と呼ぶ。)は、複数の映像データのコンテンツに関するものであって、その複数のコンテンツの中の1のコンテンツを選択可能とされているものである。
また、引用例1の「情報処理装置」は、そのような基点番組関連情報ページ1を出力するための「第1の表示制御手段」と呼び得る手段を当然に有している。
イ.引用例1の「情報処理装置」は、「コンテンツを再生する再生画面を出力する再生手段」といえる手段を当然に有している。
ウ.引用例1の図6、7に示される各画面は、段落[0018]でいう「詳細操作画面」の具体例であって、上記「基点番組関連情報ページ1」から遷移可能な画面である。そして、その「詳細操作画面」は、段落[0083]?[0094]に示されるように、「図8に示されるような基点番組関連情報ページ(基点番組関連情報ページ1で選択されたコンテンツを新たな基点番組とする基点番組関連情報ページ。以下、そのような基点番組関連情報ページを「基点番組関連情報ページ2」と呼ぶ。)へ遷移する第1の処理(図6、7に示される操作コマンド群の中の「この番組に関するおすすめを表示」コマンドが選択されたときに実行される処理)」と「前記基点番組関連情報ページ1で選択されたコンテンツの種別に応じて変化する第2の処理(図6、7に示される操作コマンド群の中の「今回のみ録画」、「毎週録画」、「この番組を再生」の各コマンドが選択されたときに実行される処理)」とを含む複数の処理のうちの何れかの処理が選択可能とされているものである。
また、引用例1の「情報処理装置」は、上記「詳細操作画面」を出力するための「第2の表示制御手段」と呼び得る手段と、上記「基点番組関連情報ページ2」を出力するための「第3の表示制御手段」と呼び得る手段をも、当然に有している。
エ.上記「基点番組関連情報ページ2」は、基点番組関連情報ページ1で選択されたコンテンツとの関連に応じて、当該基点番組関連情報ページ1で選択されたコンテンツと関連する複数のコンテンツを配置したものである。

したがって、引用例1には、以下の発明(以下、「引用例1記載発明」と呼ぶ。)が記載されているということができる。
「複数の映像データのコンテンツに関する基点番組関連情報ページ1を出力して、前記複数のコンテンツの中の1のコンテンツを選択可能とする第1の表示制御手段と、
コンテンツを再生する再生画面を出力する再生手段と、
前記基点番組関連情報ページ1から遷移可能な詳細操作画面であって、基点番組関連情報ページ2へ遷移する第1の処理と、前記基点番組関連情報ページ1で選択されたコンテンツの種別に応じて変化する第2の処理とを含む複数の処理のうちの何れかの処理を選択可能とする詳細操作画面を出力する第2の表示制御手段と、
前記基点番組関連情報ページ1で選択されたコンテンツとの関連に応じて、当該基点番組関連情報ページ1で選択されたコンテンツと関連する複数のコンテンツを配置した前記基点番組関連情報ページ2を出力する第3の表示制御手段とを備える、
情報処理装置。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された特開2007ー122496号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0191】
上記の第1?第3の実施の形態では、特定情報300、800、1100が入力装置104の操作により順次変化していくことを説明していたが、どのような情報が最初に特定情報300、800、1100として選択されるかについては説明していなかった。最初の特定情報300、800、1100は、情報処理装置において適当に選択されるものとすることもできるが、表示装置105への表示対象となる情報の構成によってはユーザの指示に従って選択されるものとすることができる。最初の特定情報を選択するために、例えば、電子番組表を適用することができる。
【0192】
図14(a)は、電子番組表の例を示す図である。図示するように、電子番組表では、横軸にチャンネルが、縦軸に時間が設定されて、チャンネルと時間毎に番組が一覧形式で表示される。電子番組表に従って最初の特定情報を選択するために、まず、この電子番組表を表示装置105に表示させるものとする。
【0193】
電子番組表では、入力装置104の左右キーを操作することによってチャンネルが変更され、上下方向キーを操作することによって時間が変更される。例えば、図14(a)の状態では、2チャンネルの11:30のニュースが選択された状態(図において、網が目表示)となっている。ここで、左方向キーを操作した場合には、1チャンネルの11:30のニュースが選択された状態となり、上方向キーを操作した場合には、2チャンネルの10:30の報道スペシャルが選択された状態となる。例えば、ユーザが入力装置104の○ボタンを操作すると、選択された状態となっている番組が最初の特定情報となる。
【0194】
図14(b)は、2チャンネルの11:30のニュースが最初の特定情報として設定された場合における表示装置104における情報の表示態様の例を示す図である。ここでは、2チャンネルの11:30のニュースが特定情報1400として表示装置105の中央に表示される。また、2チャンネルという同じ関連性で関連する他の番組が選択軸1410上に並べて表示され、ニュースという同じ関連性で関連する他の番組が選択軸1420上に並べて表示され、出演者が××太郎であるという同じ関連性で関連する他の番組が選択軸1430上に並べて表示される。
【0195】
このように一覧表示された情報(ここでは、個々の番組)からユーザの指示により所望の情報を最初の特定情報となる情報として選択させることで、ユーザの所望する情報にさらに容易に辿り着くことができるようになる。
【0196】
上記の第1?第3の実施の形態では、表示装置105において表示される情報に関する情報を表示するものではなかったが、特定情報300、800、1100に対してどのような関連基準が選択関連基準となっているかという情報を表示するものであってもよい。また、該選択関連基準によって特定情報300、800、1100と関連付けられる情報数を表示するものであってもよい。ここでは、ユーザは選択軸310、810、1100上に並べられた情報の数を把握しながら、表示状態を変更することができる。」

そして、上記記載事項を引用例2の関連図面と技術常識に照らせば、引用例2には次の発明(以下、「引用例2記載発明」と呼ぶ。)が記載されているといえる。
「電子番組表(図14(a))からユーザが選択した特定の番組との関連に応じて、前記特定の番組を表す表示情報を中心にして、前記特定の番組と関連する複数の番組をそれぞれが表す複数の表示情報を配置した画面(図14(b))を表示する機能を有する表示情報選択装置。」

また、引用例2記載発明でいう「番組」はコンテンツの一種であるから、引用例2記載発明は、「特定のコンテンツとの関連に応じて、前記特定のコンテンツを中心にして、複数のコンテンツを配置する機能を有する表示情報選択装置」であるということもできる。

3.対比
本願発明と引用例1記載発明を対比すると、以下のことがいえる。
ア.引用例1記載発明の「基点番組関連情報ページ1」、「詳細操作画面」は、それぞれ、本願発明の「第1の一覧情報画面」、「メニュー画面」に相当する。
イ.引用例1記載発明の「基点番組関連情報ページ2」と本願発明の「第2の一覧情報画面」とは、「第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツとの関連に応じて、複数のコンテンツを配置した画面」であって「第2の一覧情報画面」とも呼び得る画面である点で共通する。
ウ.引用例1記載発明の「情報処理装置」は、その処理内容からみて「表示処理装置」とも呼び得るものである。

したがって、本願発明と引用例1記載発明の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「複数の映像データのコンテンツに関する第1の一覧情報画面を出力して、前記複数のコンテンツの中の1のコンテンツを選択可能とする第1の表示制御手段と、
コンテンツを再生する再生画面を出力する再生手段と、
前記第1の一覧情報画面から遷移可能なメニュー画面であって、第2の一覧情報画面へ遷移する第1の処理と、前記第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツの種別に応じて変化する第2の処理とを含む複数の処理のうちの何れかの処理を選択可能とするメニュー画面を出力する第2の表示制御手段と、
前記第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツとの関連に応じて、複数のコンテンツを配置した前記第2の一覧情報画面を出力する第3の表示制御手段とを備える、
表示処理装置。」である点。

(相違点1)
本願発明においては、「第2の表示制御手段」が出力する「メニュー画面」は再生画面からも遷移可能とされており、それに伴い、本願発明の上記「メニュー画面」において選択可能な「第2の処理」は「第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツ又は前記再生画面で再生していたコンテンツの種別に応じて変化する第2の処理」とされており、同「メニュー画面」において選択可能な「第1の処理」によって遷移する「第2の一覧情報画面」は「前記第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツ又は前記再生画面で再生していたコンテンツとの関連に応じて、複数のコンテンツを配置した前記第2の一覧情報画面」とされているのに対し、引用例1記載発明の「メニュー画面」(詳細操作画面)は、再生画面から遷移可能とはされておらず、それに伴い、引用例1記載発明の「第2の処理」は「第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツ又は前記再生画面で再生していたコンテンツの種別に応じて変化する第2の処理」とはされておらず、引用例1記載発明の「第2の一覧情報画面」は「前記第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツ又は前記再生画面で再生していたコンテンツとの関連に応じて、複数のコンテンツを配置した前記第2の一覧情報画面」とはされていない点。

(相違点2)
本願発明においては、「第2の表示制御手段」が出力する「メニュー画面」は「第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツの代表画像を含む表示情報又は前記再生画面で再生していたコンテンツの代表画像を含む表示情報」を含むものとされているのに対し、引用例1記載発明の「メニュー画面」は「第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツの代表画像を含む表示情報又は前記再生画面で再生していたコンテンツの代表画像を含む表示情報」を含むものとはされていない点。

(相違点3)
本願発明においては、「第3の表示制御手段」が出力する「第2の一覧情報画面」は「第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツ又は前記再生画面で再生していたコンテンツとの関連に応じて、複数のコンテンツのアイコンを配置」したものであって、「第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツの代表画像又は前記再生画面で再生していたコンテンツの代表画像を中心にして複数のコンテンツのアイコンを配置」したものとされているのに対し、引用例1記載発明の「第2の一覧情報画面」は、「第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツ又は前記再生画面で再生していたコンテンツとの関連に応じて、複数のコンテンツのアイコンを配置」したものとはされておらず、「第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツの代表画像又は前記再生画面で再生していたコンテンツの代表画像を中心にして複数のコンテンツのアイコンを配置」したものともされていない点。

4.当審の判断
(1)(相違点1)について
以下の事情を勘案すると、引用例1記載発明において上記相違点1に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
ア.引用例1記載発明のようにユーザに対して画面を通じて情報を伝える装置一般において、画面遷移をどのように構成するかは、ユーザの利便性等を考慮して当業者が適宜決定する設計事項である。
イ.一方、引用例1記載発明のメニュー画面(詳細操作画面)に表示される処理の選択肢は、ユーザにより選択された特定のコンテンツからの選択肢であり、再生画面で再生されている特定のコンテンツからも該選択肢に示される処理を選択できるのが便利であることは当業者に自明のことである。また、引用例1記載発明に、そのようにできるようにすることを妨げる事情はない。
ウ.してみれば、引用例1記載発明におけるメニュー画面(詳細操作画面)を再生画面からも遷移可能なものとすることは当業者が、容易に推考し得たことである。
エ.そして、引用例1記載発明において、メニュー画面(詳細操作画面)を再生画面からも遷移可能なものとする場合に、引用例1記載発明の「第2の処理」を「第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツ又は前記再生画面で再生していたコンテンツの種別に応じて変化する第2の処理」とすべきことや、引用例1記載発明の「第2の一覧情報画面」を「前記第1の一覧情報画面で選択されたコンテンツ又は前記再生画面で再生していたコンテンツとの関連に応じて、複数のコンテンツを配置した前記第2の一覧情報画面」とすべきことは、引用例1記載発明の構成に照らし、当業者に自明のことである。
オ.以上のことは、引用例1記載発明において、相違点1に係る本願発明の構成を採用することが当業者にとって容易であったことを意味する。

(2)(相違点2)について
以下に示すように、引用例1記載発明において上記相違点2に係る本願発明の構成を採用することも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
ア.引用例1記載発明のような映像データのコンテンツを表示する機能を有する装置一般において、映像データのコンテンツの内容をユーザに対して分かりやすく示すために、コンテンツの代表画像を含む表示情報を画面に表示することは、いわゆる「サムネイル」として広く知られていることであり、ごく普通に行われていることである。また、そのようなことを可能にした装置において、代表画像を含む表示情報をどのような場面で表示するようにするかは、ユーザの利便性等を考慮して当業者が適宜決定する設計事項である。
イ.一方、引用例1記載発明のメニュー画面(詳細操作画面)は、ユーザにより選択された特定のコンテンツについての画面であり、そこに当該特定のコンテンツについての代表画像が表示されるのが望ましいことは当業者に自明のことである。また、引用例1記載発明に、そのようにすることを妨げる事情はない。
ウ.してみれば、引用例1記載発明の「メニュー画面」を「コンテンツの代表画像を含む表示情報」を含むものとすることは、当業者が容易に推考し得たことである。
エ.以上のことと、上記(1)で検討した事項を併せ考えれば、引用例1記載発明において上記相違点2に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易に推考し得たことである。

(3)(相違点3)について
以下に示すように、引用例1記載発明において上記相違点3に係る本願発明の構成を採用することも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
ア.引用例1記載発明のようにユーザに対して画面を通じて情報を伝える装置一般において、各画面の構成をどのようにするかも、ユーザの利便性等を考慮して当業者が適宜決定する設計事項である。また、そのような装置一般において、画面に表示してユーザに選択させる情報をアイコン化することは、ごく普通に行われていることである。
そして、引用例1記載発明の「第2の一覧情報画面」(基点番組関連情報ページ2)についても、その画面構成をユーザの利便性を考慮して改変したり、各選択項目をアイコン化したりすることは、当業者が適宜なし得たことである。
イ.一方、引用例1記載発明と引用例2記載発明は、「相互に関連する複数のコンテンツをユーザ提示する機能を有する装置」に関するものであるという意味において共通の技術分野に属するものであり、また、引用例1の図8をその具体例とする引用例1記載発明の「第2の一覧情報画面」と引用例2の図14(b)をその具体例とする引用例2記載発明の「複数の表示情報を配置した画面」とは、「特定のコンテンツとの関連に応じて、複数のコンテンツを配置したもの」である点で共通し、引用例1記載発明の「第2の一覧情報画面」の構成として引用例2の図14(b)に示されるような構成を採用できない理由もないから、引用例1記載発明の「第2の一覧情報画面」の構成として引用例2記載発明の「複数の表示情報を配置した画面」の構成、すなわち引用例2の図14(b)に示されるような構成を採用することも、当業者が適宜なし得たことである。
ウ.したがって、引用例1記載発明の「第2の一覧情報画面」の各選択項目をアイコン化するとともに、同「第2の一覧情報画面」の構成として引用例2の図14(b)に示されるような構成を採用することは、当業者が容易に推考し得たことである。
エ.以上のことと、上記(2)のア.に示した事情、及び上記(1)で検討した事項を併せ考えれば、引用例1記載発明において上記相違点3に係る本願発明の構成を採用することも、当業者が容易に推考し得たことである。

(4)本願発明の効果について
本願発明の構成によってもたらされる効果は、引用例1記載発明、引用例2記載発明および周知慣用の事項から当業者ならば予測することができる程度のものであり、本願発明の進歩性を肯定する根拠となり得るものではない。

(5)まとめ、
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例1記載発明、引用例2記載発明及び周知慣用の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり本願発明は、引用例1記載発明、引用例2記載発明及び周知慣用の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-06-26 
結審通知日 2013-07-02 
審決日 2013-07-17 
出願番号 特願2010-8437(P2010-8437)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 衣川 裕史  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 山田 正文
水野 恵雄
発明の名称 表示処理装置、プログラムおよび表示処理方法  
代理人 宮田 英毅  
代理人 酒井 宏明  

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