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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1279343
審判番号 不服2012-2098  
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-03 
確定日 2013-09-19 
事件の表示 特願2006-513295号「血管傷を閉鎖する装置、および血管傷を閉鎖する装置を設置する装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年11月11日国際公開、WO2004/096056、平成18年11月 2日国内公表、特表2006-524550号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成16年4月23日(パリ条約による優先権主張 2003年4月24日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成21年12月14日付けで拒絶の理由が通知され、その指定期間内である平成22年6月21日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年12月3日付けで拒絶の理由が通知され(最後の拒絶理由通知)、その指定期間内である平成23年6月13日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年9月29日付けで、平成23年6月13日付け手続補正書による手続補正の却下の決定がなされるとともに、拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年2月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同時に手続補正がなされたものである。

II.平成24年2月3日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[結論]
平成24年2月3日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)本件補正後の本願発明
本件補正により、補正前(平成22年6月21日付け手続補正書により補正されたもの。以下同様。)の請求項1は、特許請求の範囲の請求項5として、
「血管傷を閉鎖する装置を設置する装置であって、該血管傷を閉鎖する装置を設置する装置は、
遠位端および近位端を設けた鞘部材を備え、鞘部材は封鎖装置を挿入するための接近点を提供し、
鞘部材にかつその遠位端付近に位置する第1の検出開口と、
鞘部材にかつその遠位端付近に位置する第2の検出開口と、
鞘部材にかつその近位端付近に位置する第1の位置探査開口と、
鞘部材にかつその近位端付近に位置する第2の位置探査開口と、をさらに備えており、
第1の検出開口は第1の位置探査開口と流体連絡状態にあるため、第1の検出開口が血管内に配置されて血流に曝されると、かかる血流はその存在が第1の位置探査開口で表示され、
第2の検出開口は第2の位置探査開口と流体連絡状態にあるため、第2の検出開口が血管内に配置されて血流に曝されると、かかる血流はその存在が第2の位置探査開口で表示されることを特徴とする血管傷を閉鎖する装置を設置する装置。」と補正された。(上記下線部分が、今回補正された箇所である。)
補正前の請求項1に係る上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第1の検出開口」「第2の検出開口」「第1の位置探査開口」「第2の位置探査開口」のそれぞれが設けられる部材を「鞘部材に」と限定するものであり、さらに「設置装置」を「血管傷を閉鎖する装置を設置する装置」と限定するものであり、かつ、補正後の請求項5に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、補正前の請求項1に係る上記補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項5に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(2)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である国際公開02/028286号公報(以下「引用刊行物1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。( 『』内の訳文は、引用刊行物1のパテントファミリーの特表2004-510484号公報の対応する箇所を援用する。)

(ア)「 1. An apparatus for introduction into an opening in a wall of a body lumen, comprising: a sheath having proximal and distal ends, the distal end having a size and shape for insertion into a body lumen, the distal end including first and second ports therein, the first port being disposed at a more distal location than the second port; an elongate member disposed within the sheath, the elongate member including a distal region configured for sealingly engaging an inner surface of the sheath, the elongate member including first and second openings in the distal region, the first and second openings being alignable with the first and second ports in the sheath; and first and second lumens extending distally from the proximal end of at least one of the sheath and the elongate member, the first and second lumens communicating with the first and second openings, respectively.」『【請求項1】
体内管腔の壁の開口部内への導入装置において、
基端および末端を有するシースであって、末端は、体内管腔内に挿入可能な大きさ・形状を有し、末端は、第1および第2のポートを備え、第1のポートは、第2のポートより末端側に位置するものと、
シース内に配置され、シースの内面と密閉係合するように構成された末端領域を有するとともに、末端領域に第1および第2の開口部を有する細長部材であって、第1および第2の開口部は、シースの第1および第2のポートと整合可能なものと、
シースおよび細長部材の少なくとも一つの基端から末端方向に伸び、第1および第2の開口部にそれぞれ連通する第1および第2の内腔と、を備えた装置。』(第19頁第2行?13行)
(イ)「FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates generally to apparatus and methods for closing and/or sealing openings into body lumens, and more particularly to apparatus and methods for delivering a vascular closure element for closing an iatrogenic puncture in a blood vessel formed during a diagnostic or therapeutic procedure.」『技術分野
本発明は、一般に、体内管腔への開口部を閉鎖および/または密閉するための装置および方法、特に、診断または治療処置中に形成された血管の医原性点穴を閉鎖するための血管閉鎖部材を供給するための装置および方法に関する。』(第1頁第3行?7行)
(ウ)「SUMMARY OF THE INVENTION
The present invention is directed to apparatus and methods for providing access into a blood vessel or other body lumen from an incision or puncture, and/or for delivering a closure element for closing the incision.
In accordance with one aspect of the present invention, an apparatus is provided that includes a sheath having proximal and distal ends, the distal end having a size and shape for insertion into a body lumen. The distal end includes first and second ports therein, the second port being disposed at a more distal location than the first port. An obturator is disposed within the sheath, the obturator including a distal region having a size for sealingly engaging an interior surface of the sheath. The obturator includes first and second openings in the distal region, the first and second openings being alignable with the first and second ports in the sheath. First and second lumens extend distally from the proximal end of at least one of the sheath and the obturator, the first and second lumens communicating with the first and second openings, respectively. One or more of the lumens may be located within the wall of one of the sheath or obturator, or may be defined by a region between the sheath and obturator.
In addition, the apparatus may include a closure element slidably disposed on an exterior of the sheath, the closure element configured for engaging tissue adjacent an opening into a body lumen for closing the opening. Preferably, a housing is slidably disposed on the exterior of the sheath, the housing configured for releasably holding the closure element. The housing may be actuable from a proximal end of the sheath for advancing the closure element distally during deployment of the closure element.
In a preferred embodiment, the first and second ports are axially aligned with one another. A marker may then be provided on the proximal end of the tubular sheath, the marker having a predetermined peripheral orientation about the sheath for identifying the peripheral location of the first and second ports.」『発明の概要
本発明は、切開部または点穴から血管あるいは他の体内管腔内にアクセスし、且つ/または切開部を閉鎖するための閉鎖部材を供給するための装置および方法に関する。
本発明に係る一態様において、装置は、基端および末端を有するシースを備え、末端は、体内管腔内に挿入可能な大きさ・形状を有する。末端は、第1および第2のポートを備え、第2のポートは、第1のポートより末端側に位置する。シース内には、シースの内面と密閉係合するように構成された末端領域を有するオブテュレータが配置される。オブテュレータは、末端領域に第1および第2の開口部を有し、第1および第2の開口部は、シースの第1および第2のポートと整合可能である。シースおよびオブテュレータの少なくとも一つの基端から末端方向に第1および第2の内腔が伸び、第1および第2の内腔は、第1および第2の開口部にそれぞれ連通する。一つまたはそれ以上の内腔は、シースまたはオブテュレータの一つの壁の内部に配置してもよいし、シースとオブテュレータとの間の領域により形成されてもよい。
加えて、装置は、シース外面にスライド可能に配置された閉鎖部材を備え、閉鎖部材は、体内管腔への開口部に隣接する組織と係合して該開口部を閉鎖するように構成してもよい。好適には、シース外面にスライド可能にハウジングが配置され、ハウジングは、閉鎖部材を解放可能に保持するように構成される。ハウジングは、閉鎖部材の展開中に閉鎖部材を末端方向に移動するよう、シースの基端から作動させることが可能であってもよい。
好適な実施形態では、第1および第2のポートは、軸方向に関して互いに整合される。この場合、管状シースの基端上にマーカを設け、マーカは、第1および第2のポートの周位置を特定するように、シース周りに予め決められた周方向に関する向きを有するようにしてもよい。
使用中、オブテュレータはシースに挿入可能で、第1および第2のポートは、オブテュレータがシースに完全に挿入されると、第1および第2の開口部に整合されるようにしてもよい。オブテュレータおよびシースは、オブテュレータがシースに完全に挿入されると、シースに対してオブテュレータを軸方向に固定するための協働移動止めを有してもよい。代わりに、第1の開口部は、オブテュレータがシース内に第1の距離だけ挿入されると、第1のポートと整合され、第2の開口部は、オブテュレータがシース内に第2の距離だけ挿入されると、第2のポートと整合されるようにしてもよい。』(第2頁第30行?第3頁第25行)
(エ)「Turning to FIGS. 14A and 14B, still another preferred embodiment of an apparatus 310 is shown that includes a sheath 312 and obturator 314 similar to the previous embodiment. Unlike the previous embodiment, however, the sheath 312 includes first side port 342 and a second side port 350 instead of a plurality of side ports in each set. The first and second side ports 342, 350 are axially aligned with one another, i.e., at a similar peripheral location about the exterior of the sheath 312. The obturator 314 includes first and second annular recesses 349, 351 that are spaced apart axially a distance similar to the distance between the first and second side ports 342, 350. Thus, when the obturator 314 is fully inserted into the sheath 312, the first and second side ports 342, 350 are substantially aligned with the first and second annular recesses 349, 351, respectively, such that the first and second side ports 342, 250 communicate with first and second lumens 348, 352 within the obturator 314. In an alternative embodiment, the obturator may include a first lumen that may communicate with the first side port, and the obturator may include a reduced diameter region, similar to the embodiment shown in FIGS. 1 and 2, such that the second side port may communicate with the annular region defined between the sheath and the obturator.
The apparatus 310 preferably includes a visible marker (not shown), for example, on the proximal end (not shown) of the sheath 312 at a predetermined peripheral location. For example, the marker may be axially aligned with the first and second side ports 342, 350 to thereby provide a visual indication of the peripheral location of the side ports 342, 350. The apparatus 310 may then be used similar to the embodiments described above to position the sheath 312 within a blood vessel 90 and/or to deliver a closure element to close an incision 92 communicating with the vessel 90. During this procedure, the marker may be used to orient the sheath 312, for example, to rotate the side ports 342, 350 into an "anterior" orientation, i.e., towards the outer surface of the patient's skin 94. This may provide more precise control of the depth of the sheath, e.g., by taking into account the fact that the sheath 312 is inserted at an angle into the blood vessel 90, as will be appreciated by those skilled in the art.」『図14Aおよび14Bには、さらに別の好適な実施形態である装置310が示されている。この装置310は、上記実施形態と同様のシース312およびオブテュレータ314を備えている。しかしながら、上記実施形態と異なり、シース312は、各群に複数のサイドポートを有する代わりに、第1のサイドポート342および第2のサイドポート350を備えている。第1および第2のサイドポート342,350は、軸方向に互いに整合され、すなわちシース312の外面において同様の周位置に配置されている。オブテュレータ314は、第1と第2のサイドポート342,350の間の距離と同程度に軸方向に間をあけて、第1および第2の環状凹部349,351を有する。したがって、オブテュレータ314がシース312に完全に挿入されると、第1および第2のサイドポート342,350はそれぞれ、第1および第2の環状凹部349,351と整合し、その結果、第1および第2のサイドポート342,250は、オブテュレータ314内の第1および第2の内腔348,352と連通する。別の実施形態では、オブテュレータは、第1のサイドポートと連通できる第1の内腔を有し、オブテュレータは、図1および2に示す実施形態と同様に、径の小さな領域を有し、これにより、第2のサイドポートがシースとオブテュレータの間に形成された環状領域と連通できるようにしてもよい。
好適には、装置310は、可視マーカ(図示せず)を、例えばシース312の基端(図示せず)上に予め決められた周位置に備えてもよい。例えば、マーカを、第1および第2のサイドポート342,350と軸方向に関して整合し、これにより、サイドポート342,350の周位置を視覚的に表示するようにしてもよい。続いて、装置310を、上述した実施形態と同様に使用して、シース312を血管90内に位置決めさせ、且つ/または、血管90とつながった切開部92を閉鎖するための閉鎖部材を供給する。この処置の間、例えばサイドポート342,350を「前方」姿勢、すなわち患者の皮膚94の外面に向かう方向に回転させるために、マーカを用いてシース312の向きを制御するようにしてもよい。これは、当業者により理解されるように、例えばシース312が血管90内に所定の角度で挿入されることを考慮すれば、シースの深さのより正確な制御を行うことになる。』(第12頁第24行?第13頁第19行)
(オ)「Turning to FIGS. 16A and 16B, still another embodiment of an apparatus 510 is shown that includes a sheath 512, including first side port 542 and a second side port 550, and an obturator 514. The sheath 512 optionally may include a clip housing, clip, actuator handle and the like (not shown), similar to the previous embodiments. The first and second side ports 542, 550 may be axially aligned with one another, i.e., at a similar peripheral location about the exterior of the sheath 512, or they may be offset from one another about the periphery. The obturator 514 includes an enlarged distal region 532, and a relatively narrow region 528 extending between the distal region 532 and a proximal end 530 of the obturator 514.
An annular piston 529 extends radially outward from the narrow region 528 to slidably engage an inner wall 540 of the sheath 512, thereby sealing a region distal of the piston 529, i.e., between the piston 529 and the enlarged distal region 532. The piston 529 is located a predetermined distance from the distal region 528 such that the piston 529 may selectively open or close the first and seconds side ports 542, 550. The obturator 514 also includes a lumen 552 that extends from a proximal outlet 553 to a distal inlet 551 located distally of the piston 529.
When the obturator 514 is inserted a first distance into the sheath 512, as shown in FIG. 16 A, the piston 529 may sealably obstruct the second side port 550, thereby allowing fluid to enter the first side port 542 and pass through the obturator lumen 552 to the proximal outlet 553. The obturator 514 and sheath 512 may include cooperating detents, e.g., annular ridge 536 and a first annular groove 538a, for releasably securing the obturator 514 in the first position shown in FIG. 16 A.
As shown in FIG. 16B, the obturator 514 may be advanced distally to a second position at which the piston 529 sealably obstructs the first side port 550, thereby allowing fluid to enter the second side port 542 and pass through the annular lumen 548 to proximal side port 544. The sheath 512 may include a second annular groove 538b for receiving the ridge 536 on the obturator 514 for releasably securing the obturator 514 in the second position.
The apparatus 510 may be used similar to the embodiments described above to position the sheath 512 within a blood vessel and/or to deliver a closure element to close an incision communicating with the vessel. A marker (not shown) may be used to orient the sheath 512, for example, to rotate the side ports 542, 550 into an "anterior" orientation, as described above. The obturator 514 may be inserted into the sheath 512 until it reaches the first position. The sheath 512 and obturator 514 may then be manipulated, i.e., advanced or retracted, until internal blood pressure directs blood through the first side port 542 and into the proximal side port 544, indicating that the first side port 542 is within the vessel. The obturator 514 may then be advanced to the second position, occluding the first side port 550. The sheath 512 and obturator 514 may then be manipulated until blood enters the second side port 542 and exits the proximal side port 544, indicating the precise depth of the sheath 512.
Turning to FIGS. 17A-17H, yet another alternative embodiment is shown of an apparatus 610, including a sheath 612, including first and second side ports 642, 650, and an obturator 614. The sheath 612 optionally may include a clip housing, clip, actuator handle and the like (not shown), similar to the previous embodiments. The first and second side ports 642, 650 may be axially aligned with one another, i.e., at a similar peripheral location about the exterior of the sheath 612, as shown or they may be offset from one another about the periphery (not shown). The obturator 614 includes an enlarged distal region 632 that slidably and sealingly engages an inner wall 640 of the sheath 612. The obturator 614 also includes a relatively narrow region 628 extending between the distal region 632 and a proximal end 630 of the obturator 514, thereby defining an annular lumen 648 between the narrow region 628 and an inner wall 640 of the sheath 612. A notch or slot 629 is provided in the distal region 632 of the obturator 614 that communicates with the lumen 648. The obturator 514 also includes a lumen 652 that extends from a proximal outlet 653 to a distal inlet 651 located distally of the notch 629. Preferably, the outlet 651 and the notch 629 are aligned with the first and second side ports 642, 650 when the obturator 614 is fully inserted into sheath 612. The obturator 614 is rotatable within the sheath 612 between first and second positions. As best seen in FIGS. 17A and 17E, in the first position, the outlet 651 communicates with the first side port 642, while the second side port 650 is substantially sealed by the enlarged distal portion 632 of the obturator 614. Thus, fluid may enter the first side port 642 and pass through the obturator lumen 652 to the proximal outlet 653. The obturator 614 and sheath 612 may include cooperating detents 636, 638a for releasably securing the obturator 614 in the first position, as best seen in FIG. 17C.
As best seen in FIGS. 17B and 17G, the obturator 614 may be rotated to the second position such that the enlarged distal region 632 of the obturator 614 sealably obstructs the first side port 650, while fluid may freely enter the second side port 642 and pass through the notch 629 into the annular lumen 648 to proximal side port 644. The sheath 612 may include a second detent 638b for engaging the detent 636 on the obturator 614 for releasably securing the obturator 614 in the second position. The apparatus 510 may be used similar to the embodiments described above to position the sheath 512 within a blood vessel and/or to deliver a closure element to close an incision communicating with the vessel, except that the obturator 614 is rotated within the sheath 612 rather than moved axially in order to selectively open or close the first and second side ports 642, 650. In an alternative embodiment, the obturator 614 may include two lumens (not shown), one that may selectively communicate with the respective first and second side ports 642, 650 when the obturator 614 is rotated within the sheath 612, as will be appreciated by those skilled in the art.」『図16Aおよび16Bには、さらに別の好適な実施形態である装置510が示されている。この装置510は、第1のサイドポート542および第2のサイドポート550を有するシース512と、オブテュレータ514とを備えている。上記実施形態と同様に、シース512は、任意的に、クリップハウジング、クリップ、アクチュエータハンドル等(図示せず)を備えてもよい。第1および第2のサイドポート542,550は、軸方向に互いに整合され、すなわちシース512の外面において同様の周位置に配置されてもよいし、あるいは、周方向に互いにオフセットされていてもよい。オブテュレータ514は、拡大した末端領域532、および、末端領域532とオブテュレータ514の基端530との間に伸張した比較的細い領域528を備える。
細長領域528から径方向外側に向けて、シース512の内壁540にスライド可能に係合するための環状ピストン529が伸びており、その結果、ピストン529の末端側の領域、すなわちピストン529と末端拡大領域532との間が密閉される。ピストン529は、末端領域528から予め決められた距離だけ離れて配置され、これにより、ピストン529は、第1および第2のサイドポート542,550を選択的に開放あるいは閉鎖する。オブテュレータ514はまた、基端アウトレット553から、ピストン529の末端側に位置する末端インレット551まで伸張した内腔552を有する。
図16Aに示すように、オブテュレータ514がシース512内に第1の距離だけ挿入されると、ピストン529は、第2のサイドポート550を密閉可能に遮断し、これにより、液体は、第1のサイドポート542内に入り、オブテュレータ内腔552を介して基端アウトレット553に到達する。オブテュレータ514を図16Aに示す第1の位置に解放可能に固定するために、オブテュレータ514およびシース512は、協働移動止め、例えば環状リッジ536および第1の環状溝538aを備えてもよい。
図16Bに示すように、オブテュレータ514を、ピストン529が第1のサイドポート550を密閉可能に遮断する第2の位置に、末端方向に向けて進出すると、液体は第2のサイドポート542内に入り、環状内腔548を介して基端サイドポート544に到達する。オブテュレータ514を第2の位置に解放可能に固定するために、シース512は、オブテュレータ514上のリッジ536を収容するための第2の環状溝538bを備えてもよい。
装置510を、上述した実施形態と同様に使用して、シース512を血管内に位置決めさせ、且つ/または、血管とつながった切開部を閉鎖するための閉鎖部材を供給する。上述したように、例えばサイドポート542,550を「前方」姿勢になるよう回転するために、マーカ(図示せず)を用いてシース512の向きを制御するようにしてもよい。オブテュレータ514を、第1の位置に到達するまで、シース512に挿入する。続いて、シース512およびオブテュレータ514を、内部血圧により血液が第1のサイドポート542を介して基端サイドポート544内に送られるようになるまで、共同して操作、すなわち進出または退避させる。ここでは、第1のサイドポート542が血管内にあることが表示される。続いて、オブテュレータ514を第2の位置に進出させ、第1のサイドポート550を閉塞する。続いて、血液が第2のサイドポート542内に入り、基端サイドポート544から出るまで、シース512およびオブテュレータ514を操作する。その結果、シース512の正確な深さが表示される。
図17A?17Hには、さらに別の好適な実施形態である装置610が示されている。この装置610は、第1および第2のサイドポート642,650を有するシース612と、オブテュレータ614とを備えている。上記実施形態と同様に、シース612は、任意的に、クリップハウジング、クリップ、アクチュエータハンドル等(図示せず)を備えてもよい。第1および第2のサイドポート642,650は、図に示すように軸方向に互いに整合され、すなわちシース612の外面において同様の周位置に配置されてもよいし、あるいは、周方向に互いにオフセットされていてもよい(図示せず)。オブテュレータ614は、シース612の内壁640に対しスライド可能に密閉係合する末端拡大領域632を備えている。オブテュレータ614はまた、末端領域632とオブテュレータ514の基端630との間に伸張した比較的細い領域628を備え、その結果、細長領域628とシース612の内壁640との間に環状内腔648が形成される。
オブテュレータ614の末端領域632には、内腔648と連通するノッチまたはスロット629が設けてある。オブテュレータ514はまた、基端アウトレット653から、ノッチ629の末端側に位置する末端インレット651まで伸張した内腔652を有する。好適には、アウトレット651およびノッチ629は、オブテュレータ614がシース612に完全に挿入されると、第1および第2のサイドポート642,650と整合される。
オブテュレータ614は、シース612内において、第1と第2の位置の間で回転可能である。図17Aおよび17Eに最もよく示されるように、第1の位置で、アウトレット651は第1のサイドポート642と連通し、一方、第2のサイドポート650は、オブテュレータ614の末端拡大部分632により実質的に密閉される。したがって、液体は、第1のサイドポート642内に入り、オブテュレータ内腔652を介して基端アウトレット653に到達する。図17Cに最もよく示すように、オブテュレータ614を第1の位置に解放可能に固定するために、オブテュレータ614およびシース612は、協働移動止め636,638aを備えてもよい。
図17Bおよび17Gに最もよく示すように、オブテュレータ614を第2の位置まで回転させると、オブテュレータ614の末端拡大領域632は、第1のサイドポート650を密閉可能に閉塞し、一方、液体は、第2のサイドポート642に自由に入り、ノッチ629を介して環状内腔648内に進入し基端サイドポート644に到達する。オブテュレータ614を第2の位置に解放可能に固定するために、シース612は、オブテュレータ614上の移動止め636と係合するための第2の移動止め638bを備えてもよい。
装置510を、上述した実施形態と同様に使用して、シース512を血管内に位置決めさせ、且つ/または、血管とつながった切開部を閉鎖するための閉鎖部材を供給する。但し、第1および第2のサイドポート642,650を選択的に開放あるいは閉鎖するのに、オブテュレータ614を、軸方向に移動させるのではなく、シース612内で回転させる。別の実施形態では、当業者により理解されるように、オブテュレータ614は2つの内腔(図示せず)を備え、一方が、オブテュレータ614をシース612内で回転させる際に、対応する第1および第2のサイドポート642,650と選択的に連通するようにしてもよい。』(第14頁第28行?第17頁第8行)

以上の記載事項及び図示内容を総合すると、上記引用刊行物1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。
「血管の穴を閉鎖する閉鎖部材を供給するための装置であって、該血管の穴を閉鎖する閉鎖部材を供給するための装置は、
基端および末端を有するシース312を備え、シース312は閉鎖部材を外側から供給し、
シース312にかつその末端付近に位置する第1のサイドポート342と、
シース312にかつその末端付近に位置する第2のサイドポート350と、
オブテュレータ314内に第1および第2の内腔348,352をさらに備えており、
第1および第2のサイドポート342,350は、オブテュレータ314内の第1および第2の内腔348,352と連通する、血管の穴を閉鎖する閉鎖部材を供給するための装置。」

また、以上の記載事項のうち、特に記載事項(オ)及び図示内容、特に図16A?図17Bを総合すると、上記引用刊行物1には、以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。
「血管の穴を閉鎖する閉鎖部材を供給するための装置であって、該血管の穴を閉鎖する閉鎖部材を供給するための装置は、
基端および末端を有するシース512を備え、シース512は閉鎖部材を外側から供給し、
シース512にかつその末端付近に位置する第1のサイドポート542と、
シース512にかつその末端付近に位置する第2のサイドポート550と、
シース512にかつその基端付近に位置する基端サイドポート544と、
オブテュレータ514に基端アウトレット553をさらに備えており、
第1のサイドポート542は基端アウトレット553と流体連絡状態にあり、血液は、第1のサイドポート542内に入り、オブテュレータ内腔552を介して基端アウトレット553に到達し、
第2のサイドポート550は基端サイドポート544と流体連絡状態にあり、血液が第2のサイドポート542内に入り、基端サイドポート544から出る、血管の穴を閉鎖する閉鎖部材を供給するための装置。」

(3)対比・判断
本願補正発明と引用発明1を対比すると、その機能及び構成からみて、後者の「血管の穴を閉鎖する閉鎖部材を供給するための装置」は前者の「血管傷を閉鎖する装置を設置する装置」に、以下同様に、「閉鎖部材」は「封鎖装置」に、「基端」は「近位端」に、「末端」は「遠位端」に、「シース312」は「鞘部材」に、「第1のサイドポート342」は「第1の検出開口」に、「第2のサイドポート350」は「第2の検出開口」に、それぞれ相当する。
引用発明1の「シース312は閉鎖部材を外側から供給し」と本願補正発明の「鞘部材は封鎖装置を挿入するための接近点を提供し」とは、「鞘部材を介して封鎖装置を供給し」の点で共通する。

そうすると、両者は、
「血管傷を閉鎖する装置を設置する装置であって、該血管傷を閉鎖する装置を設置する装置は、
遠位端および近位端を設けた鞘部材を備え、鞘部材を介して封鎖装置を供給し、
鞘部材にかつその遠位端付近に位置する第1の検出開口と、
鞘部材にかつその遠位端付近に位置する第2の検出開口と、を有し
血管傷を閉鎖する装置を設置する装置。」
の点で一致しており、以下の点で相違している。

(相違点1)
本願補正発明は、鞘部材は封鎖装置を挿入するための接近点を提供するのに対し、引用発明1は、鞘部材は閉鎖装置(封鎖装置)を外側から供給する点。
(相違点2)
本願補正発明は、鞘部材にかつその近位端付近に位置する第1の位置探査開口と、鞘部材にかつその近位端付近に位置する第2の位置探査開口と、をさらに備えており、第1の検出開口は第1の位置探査開口と流体連絡状態にあるため、第1の検出開口が血管内に配置されて血流に曝されると、かかる血流はその存在が第1の位置探査開口で表示され、第2の検出開口は第2の位置探査開口と流体連絡状態にあるため、第2の検出開口が血管内に配置されて血流に曝されると、かかる血流はその存在が第2の位置探査開口で表示されるようになっているのに対し、引用発明1は、オブテュレータ314内に第1および第2の内腔348,352をさらに備えており、第1および第2のサイドポート342,350は、オブテュレータ314内の第1および第2の内腔348,352と連通する点。

上記相違点について検討する。
(相違点1について)
鞘部材が封鎖装置を挿入するための接近点を提供することは、血管傷の閉鎖技術の技術分野において従来周知の技術である(例えば、特開平8-173438公報、特開2002-200088号公報参照)。そして、引用発明に上記周知技術を適用して、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。
(相違点2について)
引用発明2の「基端サイドポート544」は、シース512(鞘部材)に設けられているので、本願補正発明の「第2の位置探査開口」に相当するものといえる。そして引用発明2は、「第2のサイドポート550(第2の検出開口)は基端サイドポート544(第2の位置探査開口)と流体連絡状態にあり、血液が第2のサイドポート550(第2の検出開口)内に入り、基端サイドポート544から出る」構成を有するものであり、血流の流通経路としてオブテュレータのみならず、シースを用いる構成も採用し得ることを示している。そうすると、引用発明2を引用発明1に適用して、サイドポートをシースに設けてシースを血液の流通経路として利用するとともに、第2のサイドポート及び基端サイドポートに加えて第1のサイドポートについても連通するサイドポートをシースに設けるように変更し、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
なお、審判請求人は、「しかしながら、上述したように、引用文献1に開示されたシース構造だけが、近位端に出口開口を構成する単一の流路(lumen 216)を有している。この単一の流路は、obturator 314を受け入れるようになっている。そして、複数の流路および複数のインジケータを有しているのは、obturator 314だけである。引用文献1には、当業者に、sheath 312を変更してobturator 314の特徴を含ませるように示唆する開示は存在しない。なぜならば、かかる変更は、血管に封鎖装置を挿入するための接近点を提供するというsheath 312の能力をなくすことになるからである。」と主張する。しかしながら、シース等の医療用円筒体に、内腔とは別に、円筒体そのものに流路を形成することは、引用刊行物1の上記記載事項(ウ)の「・・・一つまたはそれ以上の内腔は、シースまたはオブテュレータの一つの壁の内部に配置してもよいし、シースとオブテュレータとの間の領域により形成されてもよい。・・・」に示唆されており、また、本願優先権主張日前に医療器具の分野で周知の技術である(例えば、特開平8-173438号公報図31参照)から、そのような周知技術に照らせば、流路が内腔内の部材にしか形成できないという制約はないから、上記審判請求人の主張は採用できない。

そして、本願補正発明による効果も、引用発明1、引用発明2及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用発明1、引用発明2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明1、引用発明2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。したがって、補正前の請求項1を補正後の請求項5とする補正を含む本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきである。

III.本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成22年6月21日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「血管傷の閉鎖装置を設置する装置であって、該設置装置は、
遠位端および近位端を設けた鞘部材を備え、該鞘部材を通して封鎖装置を挿入することができ、
鞘部材の遠位端付近に位置する第1の検出開口と、
鞘部材の遠位端付近に位置する第2の検出開口と、
鞘部材の近位端付近に位置する第1の位置探査開口と、
鞘部材の近位端付近に位置する第2の位置探査開口と、をさらに備えており、
第1の検出開口は第1の位置探査開口と流体連絡状態にあるため、第1の検出開口が血管内に配置されて血流に曝されると、かかる血流はその存在が第1の位置探査開口で表示され、
第2の検出開口は第2の位置探査開口と流体連絡状態にあるため、第2の検出開口が血管内に配置されて血流に曝されると、かかる血流はその存在が第2の位置探査開口で表示されることを特徴とする設置装置。」

IV.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物1及び、その記載事項は、上記「II.(2)引用刊行物」に記載したとおりである。
上記の引用刊行物1の記載事項及び図示内容を総合すると、上記引用刊行物1には、以下の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されている。
「血管の穴を閉鎖する閉鎖部材を供給するための装置であって、該血管の穴を閉鎖する閉鎖部材を供給するための装置は、
基端および末端を有するシース312を備え、シース312は閉鎖部材を外側から供給し、
シース312の末端付近に位置する第1のサイドポート342と、
シース312の末端付近に位置する第2のサイドポート350と、
オブテュレータ314内に第1および第2の内腔348,352をさらに備えており、
第1および第2のサイドポート342,350は、オブテュレータ314内の第1および第2の内腔348,352と連通する、血管の穴を閉鎖する閉鎖部材を供給するための装置。」

V.対比・判断
本願発明と引用発明3を対比すると、その機能及び構成からみて、後者の「血管の穴を閉鎖する閉鎖部材を供給するための装置」は前者の「血管傷の閉鎖装置を設置する装置」あるいは「設置装置」に、以下同様に、「閉鎖部材」は「封鎖装置」に、「基端」は「近位端」に、「末端」は「遠位端」に、「シース312」は「鞘部材」に、「第1のサイドポート342」は「第1の検出開口」に、「第2のサイドポート350」は「第2の検出開口」に、それぞれ相当する。
引用発明3の「シース312は閉鎖部材を外側から供給し」と本願発明の「鞘部材を通して封鎖装置を挿入することができ」とは、「鞘部材を介して封鎖装置を供給し」の点で共通する。

そうすると、両者は、
「血管傷の閉鎖装置を設置する装置であって、該設置装置は、
遠位端および近位端を設けた鞘部材を備え、鞘部材を介して封鎖装置を供給し、
鞘部材の遠位端付近に位置する第1の検出開口と、
鞘部材の遠位端付近に位置する第2の検出開口と、を有し
血管傷を閉鎖する装置を設置する装置。」
の点で一致しており、以下の点で相違している。

(相違点3)
本願発明は、鞘部材は封鎖装置を挿入するための接近点を提供するのに対し、引用発明3は、鞘部材は閉鎖装置(封鎖装置)を外側から供給する点。
(相違点4)
本願発明は、鞘部材の近位端付近に位置する第1の位置探査開口と、鞘部材の近位端付近に位置する第2の位置探査開口と、をさらに備えており、第1の検出開口は第1の位置探査開口と流体連絡状態にあるため、第1の検出開口が血管内に配置されて血流に曝されると、かかる血流はその存在が第1の位置探査開口で表示され、第2の検出開口は第2の位置探査開口と流体連絡状態にあるため、第2の検出開口が血管内に配置されて血流に曝されると、かかる血流はその存在が第2の位置探査開口で表示されるようになっているのに対し、引用発明3は、オブテュレータ314内に第1および第2の内腔348,352をさらに備えており、第1および第2のサイドポート342,350は、オブテュレータ314内の第1および第2の内腔348,352と連通する点。

上記相違点について検討する。
(相違点3について)
鞘部材が封鎖装置を挿入するための接近点を提供することは、血管傷の閉鎖技術の技術分野において従来周知の技術である(例えば、特開平8-173438公報、特開2002-200088号公報参照)。そして、引用発明に上記周知技術を適用して、相違点3に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。
(相違点4について)
引用刊行物1のFIG.14Aには、第1のサイドポート342が血管内に配置されて血流に曝されると、かかる血流はその存在がオブテュレータ314の第1の内腔348の開口からの漏洩により表示される点、及び引用刊行物1のFIG.14Bには、第2のサイドポート350が血管内に配置されて血流に曝されると、かかる血流はその存在がオブテュレータ314の第2の内腔352の開口からの漏洩により表示される点が示唆されている。それらの示唆に基づいて引用発明3のオブテュレータ314内の第1および第2の内腔348,352の開口をシース312(鞘部材)の近位端付近に設け、上記相違点4に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明による効果も、引用発明3及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願発明は、引用発明3及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

VI.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明3及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-03-29 
結審通知日 2013-04-03 
審決日 2013-05-09 
出願番号 特願2006-513295(P2006-513295)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61B)
P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 菅家 裕輔  
特許庁審判長 村田 尚英
特許庁審判官 蓮井 雅之
高田 元樹
発明の名称 血管傷を閉鎖する装置、および血管傷を閉鎖する装置を設置する装置  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 弟子丸 健  
代理人 辻居 幸一  
代理人 井野 砂里  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 松下 満  

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